説明

修飾されたランダマーの存在下での核酸増幅

【課題】増幅過程自体の前だけでなく、熱サイクリング過程の間にも、不特定なプライミングおよびプライマー伸長の阻害を可能にするホットスタートPCRのための改善された代替的組成物および方法を提供すること。
【解決手段】−DNAポリメラーゼ、−デオキシヌクレオチド、−少なくとも一つのプライマーオリゴヌクレオチド、−有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とする、ランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチド、を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプレート依存性ポリメラーゼ触媒プライマー伸長反応の分野に関する。特に、本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことによる核酸増幅のための新規方法を提供する。より正確には、本発明は、不特定なプライマーダイマー増幅を回避することを特徴とする、ホットスタートPCRを行うための新規方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
核酸増幅およびより正確にはPCRに関する主な問題は、不特定な増幅産物の生成である。多くの場合、熱安定性DNAポリメラーゼが周囲温度でも中程度に活性であるので、これは、実際の熱サイクリング手順自体の前の不特定なオリゴヌクレオチドプライミングおよびその後のプライマー伸長事象による。例えば、プライマーダイマー化が結局偶然生じ、その後、伸長することによる増幅産物が、頻繁に観察される。この問題を克服するために、増幅反応に必須の1つの成分を、反応混合物から分離するか、または反応混合物の温度を初めて上げるまで不活性状態に維持するかのいずれかである、いわゆる「ホットスタート」PCRを行うことは、周知である。ポリメラーゼが、これらの条件下では機能し得ないので、プライマーが非特異的に結合し得る期間の間、プライマー伸長は起きない。この効果を達成するために、いくつかの方法が適用される:
【0003】
a)DNAポリメラーゼの物理的分離
物理的分離は、例えば、DNAポリメラーゼを含む区画を他の試薬の大部分を含む区画から分離する固体ワックスの障壁によって得られ得る。第1の加熱工程の間、次いで、ワックスは、自動的に溶解し、流体区画が混合される(非特許文献1、特許文献1)。あるいは、DNAポリメラーゼが増幅反応の前に固体支持体に親和性固定され、熱媒介遊離によってのみ反応混合物中に遊離される(非特許文献2)。しかし、両方の方法は、時間を浪費し、実施するのが不便である。
【0004】
b)DNAポリメラーゼの化学修飾
この型のホットスタートPCRのために、DNAポリメラーゼは、化学修飾の結果、可逆的に不活性化される。より正確には、熱に不安定なブロッキング基がTaq DNAポリメラーゼに導入され、そのことによって、酵素が室温で不活性になる(特許文献2)。これらのブロッキング基は、プレPCR工程の間に高温で除去され、その結果、酵素が活性になる。例えば、かかる熱に不安定な修飾は、酵素のリジン残基にシトラコン酸無水物またはアコニット酸無水物を結合することによって得られ得る(特許文献3)。一方、かかる修飾を保持する酵素は、Amplitaq Gold(非特許文献3)またはFastStart DNAポリメラーゼ(Roche Molecular Biochemicals)として市販されている。しかし、ブロッキング基の導入は、酵素の立体的に利用できる全てのリジン残基上で任意に生じる。従って、化学修飾された酵素調製物の再現性および質は変わり得、ほとんど制御され得ない。
【0005】
c)DNAポリメラーゼの組換え改変
Taqポリメラーゼの冷感受性変異体が、遺伝子工学によって調製された。これらの変異体は、野生型酵素と、N末端を欠く点において異なる(特許文献4)。ネイティブまたは野生型組換えTaqポリメラーゼとは対照的に、これらの変異体は、35℃未満で完全に不活性であり、従って、いくつかの場合においてホットスタートPCRを行うために使用され得る。しかし、N末端短縮化冷感受性変異体型は、低塩バッファ条件を必要とし、野生型酵素と比較して、より低いプロセッシビティーを有し、従って、短い標的核酸の増幅のためにしか使用され得ない。さらに、短縮型形態は、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を欠損しているので、TaqMan検出フォーマットに基づくリアルタイムPCR実験のために使用され得ない。
【0006】
d)核酸添加物によるDNAポリメラーゼ阻害
非特異的にアニーリングしたプライマーの伸長は、短い二本鎖のDNA断片の添加によって阻害されることが示された(非特許文献4)。この場合、プライマー伸長は、短い二本鎖DNA断片の融解点未満の温度で阻害されるが、競合体DNAそれ自体の配列には依存しない。しかし、過剰の競合体DNAが、どの程度、核酸増幅反応の収率に影響するかは知られていない。
【0007】
あるいは、所定の二次構造を生じる特定の配列を有するオリゴヌクレオチドアプタマーが使用され得る。かかるアプタマーは、DNAポリメラーゼに対する非常に高い親和性についてSELEX技術を使用して選択された(特許文献5及び非特許文献5)。実際の熱サイクリング過程自体の前に増幅混合物内にかかるアプタマーが存在すると、DNAポリメラーゼに対して高い親和性で結合し、その後、熱に不安定なその活性の阻害が生じる(特許文献6)。しかし、選択過程のために、これまでに入手可能な全てのアプタマーは、1つの特定の種のDNAポリメラーゼとの組み合わせでのみ使用され得る。
【0008】
e)Taq DNAポリメラーゼ抗体
Taq DNAポリメラーゼの熱に不安定な阻害を達成するための代替的なアプローチは、精製されたこの酵素に対して惹起されたモノクローナル抗体の添加である(非特許文献6、非特許文献7)。オリゴヌクレオチドアプタマーのように、この抗体は、周囲温度で高い親和性でTaq DNAポリメラーゼに阻害様式で結合する(特許文献7)。複合体は、熱サイクリング過程自体の前のプレ加熱工程において、分離する。特に、迅速熱サイクリングのためのプロトコルが適用される場合、これは、全体として実質的な増幅の時間浪費的延長を導く(特許文献8)。
【0009】
特許文献9では、不特定のプライマーダイマー中間体を消化するために、Taqポリメラーゼ以外に、例えば、大腸菌(E.coli)由来のエキソヌクレアーゼIIIが、増幅混合物へのサプリメントとして添加される、ホットスタート抗体を使用するPCRを実施するための特定の態様が開示される。上記に開示されるように、エキソヌクレアーゼIIIは、例えば、標的/プライマー−ハイブリッドまたは標的/プライマー伸長産物ハイブリッド等の二本鎖DNAを基質として認識する。消化は、3’末端のデオキシヌクレオチド残基の5’位のリン酸ジエステル結合の切断によって起こる。従って、この型のエキソヌクレアーゼが周囲温度で活性なので、全ての不特定にアニーリングしたプライマーおよびプライマー伸長産物が消化される。このことは、いくつかの態様において、増幅産物の増大した特異性さえ生じる。さらに、プレインキュベーション時間の継続時間に依存する不特定にアニーリングしたプライマーの消化は、実質的かつ制御できないプライマー濃度の減少を導き得、これは、次いで、増幅反応自体に影響し得る。
【0010】
f)単独またはエキソヌクレアーゼと組み合わせての修飾プライマーの使用
特許文献10および特許文献11は、3’でブロックされたオリゴヌクレオチドのPCR反応への添加を開示する。3’ブロックのために、これらのオリゴヌクレオチドは、プライマーとして作用し得ない。このブロックされたオリゴヌクレオチドは、PCRプライマーと競合/相互作用するように設計され、このことは、非特異的産物の減少を生じる。
【0011】
別の選択肢は、PCR反応混合物中での、エキソヌクレアーゼIIIと組み合わせてのホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの使用である(特許文献12)。この場合、通常、二本鎖DNA基質および一本鎖DNA基質を受容する3’エキソヌクレアーゼは、プライマーダイマーおよび持ち越しアンプリコン等の二本鎖アーティファクトを分解し、分解されていない一本鎖増幅プライマーを残す。同様に、塩基修飾された3’末端を有するプライマーおよび大腸菌エンドヌクレアーゼIVによるテンプレート依存性除去を使用することが示唆された(特許文献13)。
【0012】
一般的な概念の特定の態様は、特許文献14に見出される。その明細書は、(i)熱安定性DNA−ポリメラーゼ、(ii)熱安定性3’−5’エキソヌクレアーゼ、および(iii)修飾された3’末端残基を有し、当該熱安定性DNA−ポリメラーゼで伸長されない、核酸増幅のための少なくとも1つのプライマーを含む、核酸増幅反応を実施するための組成物、ならびにこの組成物を使用するPCR反応を実施する方法を開示する。
【0013】
しかし、各PCR反応について、修飾されたプライマーを必要とし、各個々のアッセイに対する費用の増大に関して、要件の増大を導くことが、開示された選択肢の主な欠点である。
【0014】
g)他のPCR添加物
DMSO、ベタイン、およびホルムアミド(特許文献15、非特許文献8、非特許文献9)等の当該分野で公知の他の有機添加物は、プライマーダイマー形成の阻害より、GCリッチ配列の増幅の改善を生じる。同様に、ヘパリンは、染色体DNAに接近可能にするために、ヒストン等のタンパク質をおそらく除去することによって、インビトロランオン(run-on)転写を刺激し得る(非特許文献10)
【0015】
一本鎖結合タンパク質(特許文献16)またはtRNA(非特許文献11)の添加が、これらの添加物のプライマーへの非共有結合を生じさせることはまた、公知である。これらの添加物は、PCRの間に加熱されると破壊される。DNAへリカーゼの添加は、プライマーのランダムアニーリングを阻害することもまた見出された(非特許文献12)。さらに、いくつかの場合、ポリ−グルタミン酸(特許文献17)が、低温でポリメラーゼ活性を阻害するために、使用され得る。
【0016】
さらに、ポリアニオン性ポリメラーゼインヒビターが、適用されたインキュベーション温度に依存して熱安定性DNAポリメラーゼの活性を制御し得ることは公知である。特許文献18は、不活性なポリメラーゼ−インヒビター複合体が、40℃未満の温度で形成されることを特徴とするホットスタート態様を開示する。40℃〜55℃で、インヒビターは、Taqポリメラーゼへの結合についてテンプレートDNAと競合し、一方で、55℃を超える温度で、インヒビターは、ポリメラーゼ活性部位から外れる。さらに、低いアニーリング温度を有するプライマーが使用される場合、インヒビターは、得られ得る生成物の収率を減少させる傾向にある。
【0017】
h)マグネシウム封鎖
熱安定性ポリメラーゼは、Mg2+カチオンの存在下のみで活性であると長い間公知であるので、熱サイクリングプロトコルの開始前のマグネシウムの封鎖は、プライマー伸長のミスプライミングおよび不特定化を避けるために試みられてきた。特許文献19に開示されるように、Mg2+は、沈殿の形態で存在し得、従って、増幅反応の開始時に使用できないことがあり得る。第1回の熱サイクリングの間の温度上昇の際、この沈殿は溶解し、Mg2+は、最初の3サイクル以内に完全に使用可能になる。かかる解法は、かなり適用可能であり、良好なホットスタート結果を提供し得ることが示されてきた。他方、かかる解法は、核酸増幅反応を実施するのに必要なプライマーおよび標的核酸以外の全ての試薬を含むマスターミックスの調製を可能にしない。結果として、アッセイ間データ再現性およびデータ比較が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】US 5,411,876
【特許文献2】US 5,773,258
【特許文献3】US 5,677,152
【特許文献4】US 6,241,557
【特許文献5】US 5,693,502
【特許文献6】US 6,020,130
【特許文献7】US 5,338,671
【特許文献8】WO 97/46706
【特許文献9】US 5,985,619
【特許文献10】EP 0 799 888
【特許文献11】GB 2293238
【特許文献12】EP 0 744 470
【特許文献13】US 5,792,607
【特許文献14】EP 1 275 735
【特許文献15】WO 99/46400
【特許文献16】US 5,449,603
【特許文献17】WO 00/68411
【特許文献18】US 6,667,165
【特許文献19】US 6,403,341
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Chou, Q., et al., Nucleic Acids Res 20 (1992) 1717-23
【非特許文献2】Nilsson, J., et al., Biotechniques 22 (1997) 744-51
【非特許文献3】Moretti, T., et al., Biotechniques 25 (1998) 716-22
【非特許文献4】Kainz, P., et al., Biotechniques 28 (2000) 278-82
【非特許文献5】Lin, Y., and Jayasena, S. D., J Mol Biol 271 (1997) 100-11
【非特許文献6】Kellogg, D. E., et al., Biotechniques 16 (1994) 1134-7
【非特許文献7】Sharkey, D. J., et al., Biotechnology (N Y) 12 (1994) 506-9
【非特許文献8】Hengen, P. N., Trends Biochem Sci 22 (1997) 225-6
【非特許文献9】Chakrabarti, R., and Schutt, C. E., Nucleic Acids Res 29 (2001) 2377-81
【非特許文献10】Hildebrand, C. E., et al., Biochimica et Biophysica Acta 477 (1977) 295-311
【非特許文献11】Sturzenbaum, S. R., Biotechniques 27 (1999) 50-2
【非特許文献12】Kaboev, O. K., et al., Bioorg Khim 25 (1999) 398-400
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
概略を述べた先行技術を考慮して、増幅過程自体の前だけでなく、熱サイクリング過程の間にも、不特定なプライミングおよびプライマー伸長の阻害を可能にするホットスタートPCRのための改善された代替的組成物および方法を提供することが本発明の課題であった。より正確には、非特異的にアニーリングしたプライマーの伸長が起こらない、ホットスタートPCRのための代替的組成物および方法を提供することが本発明の課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 −DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオチド
−少なくとも一つのプライマーオリゴヌクレオチド
−有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とする、ランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチド
を含む組成物;
〔2〕 当該修飾が、当該ランダム化されたオリゴヌクレオチドの5’末端に位置する、前記〔1〕に記載の組成物;
〔3〕 当該部分がピレン又はスチルベンのいずれか一方である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の組成物;
〔4〕 −DNAポリメラーゼが熱安定性であること、及び
−組成物が増幅プライマーのペアを含むこと、
を特徴とする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の組成物;
〔5〕 標的核酸試料をさらに含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の組成物;
〔6〕 −DNAポリメラーゼ、及び
−有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とする、ランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチド、
を含むキット;
〔7〕 当該DNAポリメラーゼが熱安定性であって、増幅プライマーのペアをさらに含むことを特徴とする、前記〔6〕に記載のキット;
〔8〕 −標的核酸を含むとされる試料を提供する工程
−前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の組成物を添加する工程
−少なくとも一つの第一のプライマー伸長反応を実施する工程
を含む、特定の標的核酸を増幅するための方法;
〔9〕 当該組成物が前記〔4〕に記載の組成物であって、
核酸増幅反応を実施する工程をさらに含む、
前記〔8〕に記載の方法;
〔10〕 当該核酸増幅反応が、リアルタイムでモニターされるポリメラーゼ連鎖反応であることを特徴とする、前記〔9〕に記載の方法;並びに
〔11〕 当該増幅によって生成する増幅産物を融解曲線分析に供することを特徴とする、前記〔7〕又は〔8〕に記載の方法;に関するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、特異性の増大したプライマー伸長反応を実施するための新規かつ改善された解法を提供する。特に、本発明は、特異性の改善した核酸増幅反応を実施するための新規かつ改善された開放を提供する。いわゆるホットスタート効果は、所望されないプライマー伸長の効果的な阻害を生じる。所望されないプライマー伸長は、核酸標的の実際のプライマー結合部位と異なる核酸試料中の任意の配列に、プライマーが少なくとも部分的にハイブリダイズする偶然のハイブリダイゼーション事象から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1によるピレンでキャップされたヘキサマーの存在下でのゲノムDNAの増幅。レーン1:添加物を伴わないPCR、50ngのDNAレーン2:添加物を伴わないPCR、25ngのDNAレーン3:添加物を伴わないPCR、10ngのDNAレーン4:添加物を伴わないPCR、5ngのDNAレーン5:添加物を伴わないPCR、1ngのDNAレーン6:添加物を伴わないPCR、鋳型コントロールなしレーン7:添加物を伴うPCR、50ngのDNAレーン8:添加物を伴うPCR、25ngのDNAレーン9:添加物を伴うPCR、10ngのDNAレーン10:添加物を伴うPCR、5ngのDNAレーン11:添加物を伴うPCR、1ngのDNAレーン12:添加物を伴うPCR、鋳型コントロールなし
【図2】実施例2によるピレンでキャップされたヘキサマーの存在下でのゲノムDNAの増幅。レーン1:Taqポリメラーゼ、30ngのDNAレーン2:Taqポリメラーゼ、3ngのDNAレーン3:Taqポリメラーゼ、0.3ngのDNAレーン4:Taqポリメラーゼ、ピレンでキャップされたヘキサマー、30ngのDNAレーン5:Taqポリメラーゼ、ピレンでキャップされたヘキサマー、3ngのDNAレーン6:Taqポリメラーゼ、ピレンでキャップされたヘキサマー、0.3ngのDNA
【図3】実施例4によるピレン−又はスチルベンでキャップされたオクタマーの存在下での増幅。レーン1〜6:50ng、25ng、10ng、5ng、1ng及び0ngのヒトDNAをそれぞれ伴う、添加物の非存在下で形成されたPCR産物。レーン7〜12:50ng、25ng、10ng、5ng、1ng及び0ngのヒトDNAをそれぞれ伴う、100μMのピレンでキャップされたオクタマーの存在下で形成されたPCR産物。レーン13〜18:50ng、25ng、10ng、5ng、1ng及び0ngのヒトDNAをそれぞれ伴う、100μMスチルベンでキャップされたオクタマーの存在下で形成されたPCR産物。
【図4】実施例7によるリアルタイムPCR融解曲線分析。図4a 種々の量のゲノムDNA上でのPCR及びピレンでキャップされたヘキサマー非存在下での融解曲線分析。図4b 種々の量のゲノムDNA上でのPCR及びピレンでキャップされたヘキサマー存在下での融解曲線分析。
【図5】実施例9によるリアルタイムRT PCR。5a:キャップされたヘキサマー存在下での第一鎖cDNA合成、及びそれに続くキャップされたヘキサマー非存在下でのPCR、5b:キャップされたヘキサマー存在下での第一鎖cDNA合成、及びそれに続くキャップされたヘキサマー存在下でのPCR、5c:キャップされたヘキサマー非存在下での第一鎖cDNA合成、及びそれに続くキャップされたヘキサマー非存在下でのPCR、5d:キャップされたヘキサマー非存在下での第一鎖cDNA合成、及びそれに続くキャップされたヘキサマー存在下でのPCR。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の簡単な説明
従って、第1の局面において、本発明は、
−DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオチド
−少なくとも1つのプライマーオリゴヌクレオチド、および
−有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とする、ランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチド
を含む組成物を提供する。
【0025】
プライマーダイマー等のアーティファクトの増幅産物の形成が回避されるので、かかる組成物は、PCR増幅反応の性能のために特に有用である。
【0026】
好ましくは、当該修飾は、当該ランダム化されたオリゴヌクレオチドの5’末端に位置する。また、好ましくは、当該修飾の当該有機疎水性部分は、ピレンまたはスチルベンのいずれかである。
【0027】
1つの特定の態様において、DNAポリメラーゼは、Taqポリメラーゼ等の熱安定性DNAポリメラーゼである。そうである場合、組成物は、1つのプライマーのみを含むのではなく、少なくとも1対の増幅プライマーを含み得る。
【0028】
さらに、上記に定義される組成物のいずれかが標的核酸試料をさらに含む場合、それはまた、本発明の範囲内である。
【0029】
第2の局面において、本発明は、DNAポリメラーゼ、および有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とするランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチドを含むキットに関する。好ましくは、当該修飾は、当該ランダム化されたオリゴヌクレオチドの5’末端に位置する(キャップされたランダマー)。また、好ましくは、当該修飾の当該有機疎水性部分は、ピレンまたはスチルベンのいずれかである。
【0030】
特定の態様において、当該キットは、当該DNAポリメラーゼが、Taq DNAポリメラーゼ等の熱安定性DNAポリメラーゼであることを特徴とする。そうである場合、キットは、1つのプライマーのみを含むのではなく、少なくとも1対の増幅プライマーを含み得る。
【0031】
第3の局面において、本発明は、特定の標的核酸上でプライマーを伸長するための方法を提供し、当該方法は、
−当該標的核酸を含むとされる試料を提供する工程
−上記に開示される組成物のいずれかを添加する工程、および
−少なくとも第1のプライマー伸長反応を実施する工程
を含む。
【0032】
特に、本発明は、特定の標的核酸の増幅のための方法を提供し、当該方法は、
−当該標的核酸を含むとされる試料を提供する工程
−熱安定性DNAポリメラーゼおよび1対の増幅プライマーを含む、上記に開示される組成物を添加する工程、ならびに
−核酸増幅反応を実施する工程
を含む。
【0033】
好ましくは、当該核酸増幅反応は、リアルタイムでモニターされるポリメラーゼ連鎖反応である。特定の態様において、当該増幅によって生成された増幅産物は、その後、融解曲線分析に供される。
【0034】
発明の詳細な説明
本発明は、特異性の増大したプライマー伸長反応を実施するための新規かつ改善された解法を提供する。特に、本発明は、特異性の改善した核酸増幅反応を実施するための新規かつ改善された開放を提供する。いわゆるホットスタート効果は、所望されないプライマー伸長の効果的な阻害を生じる。所望されないプライマー伸長は、核酸標的の実際のプライマー結合部位と異なる核酸試料中の任意の配列に、プライマーが少なくとも部分的にハイブリダイズする偶然のハイブリダイゼーション事象から生じる。
【0035】
従って、本発明は、
−DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオチド
−少なくとも1つのプライマーオリゴヌクレオチド、および
−有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とする、ランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチド
を含む。
【0036】
DNAポリメラーゼは、一般的に、テンプレート依存性プライマー伸長反応を実施し得る任意の酵素であり得る。かかるテンプレート依存性プライマー伸長反応は、遊離3’ヒドロキシ基を有するプライマー核酸が一本鎖5’突出を有するテンプレート核酸とハイブリダイズすることを特徴とする、全ての部分的二本鎖核酸ハイブリッド上で起こり得る。次いで、テンプレート依存性ポリメラーゼは、テンプレート鎖内の向かい側の位置のヌクレオチドにいつも相補的なヌクレオチド残基を組み込むことによって、プライマーの3’末端の伸長を触媒する。反応は、基質として、dNTPを使用し、ピロリン酸の放出を生じる。
【0037】
1つの態様において、当該DNAポリメラーゼは、RNAテンプレート依存性ポリメラーゼであるか、またはその任意の修飾体である。かかる酵素は、通常、逆転写酵素と呼ばれる。例は、AMV逆転写酵素またはMMLV逆転写酵素である。特に、Transcriptor Reverse Transcriptase (Roche Applied Science cat. No: 03 531 317 001)は、本発明の文脈に適用できる酵素である。かかるRNA依存性DNAポリメラーゼを含む本発明の組成物は、調製的および分析的cDNA合成の全ての種類および適用、ならびに、特に、2−ステップRT−PCRに特に有用である。
【0038】
別の態様において、DNAポリメラーゼは、DNAテンプレート依存性DNAポリメラーゼまたはその任意の変異体もしくは修飾体である。1つの顕著な例は、Klenowポリメラーゼ(Roche Applied Science Cat. No. 11 008 404 001)である。好ましくは、DNAポリメラーゼは、熱安定性DNAポリメラーゼまたはその任意の変異体もしくは修飾体である。典型的な例は、サーマス アクアティカス(Thermus aquaticus)由来のTaq DNAポリメラーゼ(Roche Applied Science Cat. No: 11 647 679 001)である。DNA依存性DNAポリメラーゼ酵素は、Pwo Polymerase (Roche Applied Science Cat. No: 11 644 947 001)のような3’−5’校正活性を有してもよいし、有さなくてもよい。さらに、本発明のDNAポリメラーゼ成分は、Expand High Fidelity system (Roche Applied Science Cat. No: 11 732 641 001)等の校正活性を有する酵素および有さない酵素の混合物であり得る。任意の種類の熱安定性ポリメラーゼを含む本発明の組成物は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の種々の調製的または分析的態様を実施するために有用である。
【0039】
さらなる態様において、本発明のDNAポリメラーゼ成分は、サーマス アクアティカス由来のポリメラーゼ(Roche Applied Science Cat. No: 11 480 014 001)等のさらなるRNAテンプレート依存性逆転写酵素活性を有する熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、またはRNA依存性DNAポリメラーゼ(すなわち、逆転写酵素)および熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼの混合物である。かかる成分を含む本発明の組成物は、ワンステップRT−PCRの分析的性能に特に有用である。
【0040】
デオキシヌクレオチド−トリホスフェート(dNTP)は、通常、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPの混合物であるが、いくつかの特定の例において、3以下のみの異なる種類のdNTPが使用され得る。さらに、当該ビルディングブロック(修飾されたdNTP)が、ポリメラーゼによって、生成されつつあるポリヌクレオチド鎖になお組み込まれ得る限り、かかるdNTPは、任意の方法で化学的に修飾され得る。例えば、当該修飾ヌクレオチド化合物は、それぞれの塩基部分にビオチンまたは蛍光化合物修飾体を保持し得る。
【0041】
少なくとも1つのプライマーオリゴヌクレオチドは、通常、標的核酸の特定の領域に完全にまたはほぼ完全に相補的なデオキシ−オリゴヌクレオチドである。さらに、当該プライマー部分は、遊離3’ヒドロキシル基を有しているに違いないので、それは、DNAポリメラーゼによって伸長可能である。特定の目的のために、かかるプライマーは、例えば、その3’末端で化学的に修飾され得る。頻繁に使用される修飾に関する例は、ビオチン標識、ジゴキシゲニン標識、および蛍光標識である。
【0042】
熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼがPCR反応について設計される場合、本発明の組成物は、通常、増幅されることになっている標的配列の近傍で、標的核酸の向かい合っている鎖に反対向きにハイブリダイズする2つのプライマーオリゴヌクレオチドを含む。本発明の組成物が、マルチプレックスPCR増幅のための多数の対のオリゴヌクレオチドPCRプライマーを含むことも可能である。
【0043】
本発明の組成物と当該分野で現在使用されている組成物とを区別する重要な化合物は、有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とするランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチドの添加である。より正確には、用語「ランダム化されたオリゴヌクレオチド」は、その配列が、4つの異なるヌクレオチド残基の全ての可能な組み合わせを事実上等しく示すオリゴヌクレオチドのプールをいう。5マーの添加および8マーの添加は、所望のホットスタート効果を有することが示されているが、ランダム化されたヘキサマーオリゴヌクレオチドが使用される場合、特別の利点を有することが明らかになった。当該ランダム化されたオリゴヌクレオチドは、10μM〜1mM、好ましくは25μM〜400μMの濃度範囲、最も好ましくは約100μMの濃度で、プライマー伸長反応またはPCR反応に添加され得る。ランダム化されたオリゴヌクレオチドが、例えば、リン酸部分によってブロックされ得る伸長可能でない3’末端を有する場合、特別な利点を有することがまた示された。これは、試料核酸の任意の領域でのいずれかのオリゴヌクレオチドの偶然のハイブリダイゼーションが生じた場合に、ポリメラーゼによる所望されない伸長を回避する。
【0044】
ランダム化されたオリゴヌクレオチドは、有機疎水性部分で化学的に修飾される。当該部分は、通常、いずれの型のプライマー伸長反応にも干渉しない。例えば、かかる有機疎水性部分は、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、アントラキノン類、カルバゾールフェナントロリン類、キノリン類等のような縮合重合芳香環および芳香族複素環からなる、部分の群、またはスチルベン、またはコレステロール等のステロイドから選択され得る。かかる疎水性部分は、シアノ、メトキシ、メチル、ニトロ、およびハロゲン等の大きくない置換基によって置換され得、末端塩基対を安定化するためのいわゆる「キャップ」として作用することが一部で知られている。Narayanan, S., et al., Nucleic Acids Research 32(9) (2004) 2901-2911; Dogan, Z., et al., Journal of the American Chemical Society 126(15) (2004) 4762-4763。
【0045】
最も好ましくは、かかる有機疎水性部分は、任意に置換されたピレンまたは任意に置換されたスチルベンのいずれかであり、これらは、以下の化学構造:
【化1】


を有する。
【0046】
最も好ましくは、かかるピレンまたはスチルベンは、ランダム化されたオリゴヌクレオチドの5’末端に結合され、かかるオリゴヌクレオチドの5’末端は、以下の構造:
【化2】


または
【化3】


を有する。
【0047】
有機疎水性部分は、ランダム化されたオリゴヌクレオチドの任意の部分に位置し得る。しかし、好ましくは、当該修飾は、ランダム化されたオリゴヌクレオチドの5’末端に導入される。理由は、かかる5’修飾は、当該分野で周知である標準的な方法に従って適切な末端ホスホロアミダイトを用いたホスホロアミダイト化学を使用してオリゴヌクレオチドに導入し得るからであり、ピレンおよびスチルベンホスホロアミダイトは、市販されているからである。
【0048】
ランダム化されたオリゴヌクレオチドは、7デアザdG等の7デアザアナログ、7ブロモ7デアザ8アザ2アミノdA等の7デアザ8アザアナログ等の修飾された塩基、もしくはプロピニルU、プロピニルC等の置換塩基を有する核酸塩基アナログ、または2’メトキシリボース等の修飾された糖もしくはLNA中等のロックされた糖を有するアナログ、またはヘキシトールおよびアルトリトールなどのリボースアナログを含み得る。ユニバーサル塩基はランダマーの一つの位置にのみ用いられることが好ましいのに対して、ランダム化に代えて、ニトロインドールまたはN8リボシル化−7デアザ8アザdAのようなユニバーサル塩基が用いられる。ヌクレオシド間リン酸は、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートまたはホスホロアミダイト等のリン酸模倣物によって置換され得る。ランダム化されたオリゴヌクレオチドは、好ましくは、1つの疎水性部分を有するが、他の疎水性部分によってさらに置換され得、一方、疎水性部分は、互いに対して独立して選択される。
【0049】
DNA依存性熱安定性DNAポリメラーゼおよび少なくとも1対の増幅プライマーと共に、有機疎水性部分で化学的に修飾されたランダム化されたオリゴヌクレオチドを含むこれらの組成物は、PCR増幅反応の性能に特に有用である。理由は、当該ランダム化され、かつ修飾されたオリゴヌクレオチドの存在が、それぞれの増幅プライマーの、アニーリング温度未満の温度でのプライマーダイマー等のアーティファクトの増幅産物の形成を阻害し、それによって、ホットスタート効果を生じるからである。
【0050】
上記される組成物のいずれかが、標的核酸試料をさらに含む場合、それはまた、本発明の範囲内である。試料は、通常、例えば、DNA依存性DNAポリメラーゼと共にゲノムDNAもしくは断片化ゲノムDNA、またはRNA依存性DNAポリメラーゼと共に全細胞RNAもしくはポリ−A+RNAを含み得る。
【0051】
1つの特定の態様において、本発明はまた、上記に詳細に開示される組成物を調製するためのキットを提供する。従って、本発明はまた、少なくともDNAポリメラーゼおよび有機疎水性部分での修飾を有することを特徴とするランダム化された5〜8マーオリゴヌクレオチドを含むキットに関する。好ましくは、当該修飾は、上記に開示される例のいずれかであり、当該ランダム化されたオリゴヌクレオチドの5’末端に位置する。さらに、キットは、それぞれのプライマー伸長反応を実施するのに有用な、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)および適切なバッファならびに他の試薬添加物等のさらなる成分を含み得る。さらに、パラメーター特異的キットは、少なくとも1つの標的特異的プライマーオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0052】
第1の特定の態様において、キットは、cDNA合成のために設計され、上記に開示されるように逆転写酵素を含む。プライマー成分として、キットは、特異的cDNAの増幅のためのパラメーター特異的プライマーを含み得る。
【0053】
第2の特定の態様において、キットは、PCRを実施するために設計され、DNA依存性熱安定性ポリメラーゼ、またはDNA依存性熱安定性ポリメラーゼの混合物を含む。その上、キットは、例えば、dNTPおよび/またはバッファ溶液および/または少なくとも1つもしくは複数の対の増幅プライマーをさらに含む。より具体的には、キットが、ワンステップRT−PCRのために設計される場合、酵素成分は、逆転写酵素活性をさらに含むDNA依存性熱安定性DNAポリメラーゼであり得る。
【0054】
第3の特定の態様において、キットは、2−ステップRT−PCRのために設計され、上記に開示される第1および第2の態様の成分から選択される成分の種々の組み合わせを含み得る。
【0055】
さらに、第2および第3の特定の態様によるキットは、PCR増幅産物の検出に有用な成分を含み得る。例えば、キットが、リアルタイムPCR(=qPCR)のために設計される場合、かかるキットは、SybrGreen(Roche Applied Science Cat. No: 04 707 516 001)またはLC480 ResoLIght色素(Roche Applied Science Cat. No: 04 909 640 001)等の二本鎖DNA結合色素成分をさらに含み得る。あるいは、かかるキットは、TaqManプローブ(US 5,804,375)、分子ビーコン(US 5,118,801)、FRETハイブリダイゼーションプローブ(US 6,174,670)、またはシンプルプローブ(Simple Probe)(WO 02/14555)等の蛍光標識されたハイブリダイゼーションプローブをさらに含み得る。
【0056】
本発明は、組成物及びキットのみに関するのではなく、一般的にはプライマー伸長反応を実施する方法及び特にPCR反応又は逆転写反応を実施する方法にも関する。従って、その最も広い意味において、本発明による方法は、
−当該標的核酸を含むとされる試料を提供する工程、
−上記に開示されたような組成物のいずれかを添加する工程、及び
−少なくとも一つの第一のプライマー伸長反応を実施する工程、
を含む。
【0057】
より正確には、本発明による方法は、
−当該標的核酸を含むとされる試料を提供する工程、
−次のものを添加する工程、
−DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオチド
−少なくとも一つのプライマーオリゴヌクレオチド、及び
−有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とする、ランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチド、
−少なくとも一つの第一のプライマー伸長反応を実施する工程、
を含む。
【0058】
第一の態様においては、試料はトータルRNA又はポリA+RNAのいずれか一方であり、DNAポリメラーゼは逆転写酵素であり、そしてプライマーオリゴヌクレオチドは特定のタイプのcDNAに相補的な特異的プライマーである。
【0059】
第二の態様においては、試料はゲノムDNAに由来し、DNAポリメラーゼは熱安定性DNAポリメラーゼ又は熱安定性DNAポリメラーゼの混合物であり、増幅プライマーの少なくとも一つのペア又は複数のペアがPCR増幅反応の前に添加される。好ましくは、当該核酸増幅反応は、当該技術分野で公知の標準的な方法によりリアルタイムでモニターされるポリメラーゼ連鎖反応である(例えば、US 5,210,015、US 5,338,848、US 5,487,972、WO 97/46707、WO 97/46712、WO 97/46714を参照)。
【0060】
特定の態様においては、生成される増幅産物は、増幅産物を経時的な温度勾配に供することによって融解曲線分析(US 6,174,670, US6,569,627)に供される。このタイプの実験において、蛍光強度がモニターされ、これは、それぞれに標識されたハイブリダイゼーションプローブの結合か、又はDNA結合色素に由来する蛍光のいずれか一方に起因する。次いで、ハイブリダイゼーションプローブ又はアンプリコンの二本の鎖のそれぞれの融解による蛍光強度の低下の一次導関数が、温度勾配に対してプロットされる。実施例に示されるように、次の増幅プロセスの間に有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とするランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチドの存在は、より質の高い融解曲線の結果を提供する。
【0061】
要約すれば、本発明の方法が、当該分野で既に開示された方法を超えるいくつかの利点を有することを記載することができる。逆転写若しくはPCR又はRT-PCR等のプライマー伸長反応の間に有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とするランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチドの存在は、それぞれの反応の特異性を高めるという結果を明確に与える。
【0062】
現在までのところ、本発明者らはこの肯定的な効果についての一つ又は複数の理由を完全に理解しているわけではない。一つのあり得る力学上の説明は、低温では、ランダム化されたオリゴヌクレオチド分子の集団の一部が、たとえより長い実質的に相補的な核酸分子に既にアニーリングしたとしても、プライマーが伸長され得ない程度まで、プライマーと相互作用し得るということであり得る。
【0063】
本発明の一つの主要な利点は、使用の容易さ及び低温でのポリメラーゼの阻害を解消するための活性化時間の短さである。単に、有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とするランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチドは、設定されたPCR反応に添加されることが必要である。PCR熱サイクルの間に、通常二本鎖DNA鋳型を一本鎖に分離することが要求される最初のサイクルの前の変性時間は、コンジュゲート化したランダマーとPCRプライマーとの間の相互作用を解消するのに十分である。
【0064】
さらに、当該技術分野で十分に確立された標準的なホスホルアミデート化学の方法により、ランダム・ヘキサマー(random hexamer)を合成することができる。さらに、標準的な方法によって非常に容易にそれぞれ修飾された末端ホスホルアミデートを用いるホスホルアミデート化学を利用して、5’修飾体をオリゴヌクレオチドに導入することもできる。従って、その他のホットスタートの解法と比較すると、本発明のPCR添加物のための生産コストは極めて低い。
【0065】
さらに、調製され、増幅され、検出され又は分析されるべき具体的な標的核酸配列が何であるかに関わらず、本発明の方法、組成物及びキットをあらゆる種類のプライマー伸長反応、逆転写又はPCR増幅に一般的に用いることができる。
【0066】
以下の実施例、配列表及び図面は、本発明の理解を助けるために提供され、その真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。本発明の精神から逸脱することなく、示された手順において改変がなされ得ることが理解される。
【実施例】
【0067】
実施例
固体支持体としての市販のホスフェートCPG(2-[2-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)エチルスルホニル]エチル-2-スクシノイル)-長鎖アルキルアミノ-CPG)及び標準的なdA(bz)、dT、dG(iBu)、dC(Bz)ホスホルアミデートの等モル濃度(総濃度0.1mol)混合物を用い、トリチルオフモード(trityl off mode)にて、ABI394シンセサイザー上での標準的な方法によって、ランダム化されたオリゴヌクレオチドを10マイクロモルスケールで合成し、アンモニア又はNaOHを用いた標準的な条件下で脱保護を行い、そして透析によって産物を脱塩した。
【0068】
実施例1
5’ピレンでキャップされたヘキサマーをDNA増幅において分析した。50ng、25ng、10ng、5ng、1ng及び0ngのヒトゲノムDNA、30mMのTris−HCl、pH8.6、1.5mMのMgCl2、50mMのKCl、0.2mMのdNTPのそれぞれ、0.4μMのプライマー(配列番号:1 ATT AGA GAA CCA TGT TAA CAC TAC CG及び配列番号:2 GAG GTG AAT GAC CAC TGT TTA TTT TC)並びに2.5単位のTaq DNAポリメラーゼを含む50μLの反応液内で、100μMのピレンでキャップされたヘキサマーの存在下又は非存在下でPCR反応を実施した。以下のサイクル条件を用いた:94℃で4分間の初期変性、及び94℃で20秒間の変性、62℃で30秒間のアニーリング、72℃で60秒間の伸長を伴う35サイクル、及び72℃で7分間の最終伸長工程。アガロースゲル上で増幅産物を分離し、臭化エチジウム染色によって可視化した。
【0069】
図1に描かれた結果から、ピレンでキャップされたヘキサマー存在下で増幅特異性が明確に改善されたことが示される。
【0070】
実施例2
5’ピレンでキャップされたヘキサマーをリアルタイムPCRにおいて分析した。30ng、3ng又は0.3ngのヒトゲノムDNA、50mMのTris−HCl、pH8.6、0.2mMのCHAPS、1mMのBigChap、20mMのKCl、3mMのMgCl2、0.4μMのプライマー(配列番号:3 GGA AGT ACA GCT CAG AGT TCT GC及び配列番号:4 GAA TCT CCA TTC ATT CTC AAA AGG ACT)、0.2mMのデオキシヌクレオチド、並びに2.5単位のTaq DNAポリメラーゼを含む20μLの反応液内で、ピレンでキャップされたヘキサマーの存在下又は非存在下でのPCR反応を実施した。以下のサイクル条件を用いてLightCycler(登録商標)480装置でPCRを実施した:95℃で2分間の初期変性並びに95℃で1秒間の変性、65℃で10秒間のアニーリング及び72℃で10秒間の伸長を伴う45サイクル。アガロースゲル上で増幅産物を分離し、臭化エチジウム染色によって可視化した(図2)。この結果から、ピレンでキャップされたヘキサマーにより、増幅特異性が明確に改善されることが示される。
【0071】
実施例3
実施例2に記載されたものと同じ実験の設定にて、5’ピレンでキャップされたペンタマーを分析した。試験された最終濃度は、50μM、100μM、150μMおよび200μMであった。コントロール反応(添加物の非存在下)において種々のPCR産物が形成され、その一方、漸増量のピレンでキャップされたペンタマーの存在下、所望の産物が収量の増加を伴って形成された。特異性及び感度は、添加物非存在下のコントロール実験よりも有意に高かった(示さず)。
【0072】
実施例4
実施例1に記載されたものと同じPCR緩衝液を用いて、50ng、25ng、10ng、5ng、1ng及び0ngのヒトDNAを用いるヒトコラーゲンの遺伝子断片の増幅において、5’ピレンでキャップされたオクタマー及びスチルベンでキャップされたオクタマーを100μMの最終濃度にて試験した。PCRプライマー(配列番号:5 TAA AGG GTC ACC GTG GCT TC及び配列番号:6 CGA ACC ACA TTG GCA TCA TC)を0.4μMの濃度で用いた。総反応体積は50μLであった。94℃で4分間の初期変性、94℃で20秒間、62℃で30秒間、72℃で4分間を伴う35サイクル、及び72℃で7分間の最終伸長工程によるPCRのサイクルを、ブロックサイクラー(block cycler)で実施した。
【0073】
結果は図3に描かれる。添加物の非存在下で、約550bpの不特定な産物が形成される。この不特定な産物は、キャップされたオリゴヌクレオチドの存在下では観察されない。スチルベンでキャップされたオクタマーが、ゲルの底部での強い蛍光をもたらす。
【0074】
実施例5
5’ピレンでキャップされたモノマーをリアルタイムPCRにおいて分析した。ピレンでキャップされたモノマー(400μMまで)又はピレンでキャップされたヘキサマー(400μMまで)の存在下又は非存在下におけるPCR反応を、30ng、3ng、0.3ng、0.03ng、0.01ng及び0ngのヒトゲノムDNA、50mMのTris−HCl、pH8.6、0.2mMのCHAPS、1mMのBigChap、20mMのKCl、3mMのMgCl2、0.4μMのプライマー(配列番号:7 CAC CCC GTG CTG CTG ACC GA及び配列番号:8 AGG GAG GCG GCC ACC AGA AG)、0.2mMのデオキシヌクレオチド、並びに2.5単位のTaq DNAポリメラーゼを含む20μLの反応液内で実施した。以下のサイクル条件を用いてLightCycler(登録商標)480装置でPCRを実施した:95℃で2分間の初期変性並びに95℃で1秒間の変性、65℃で15秒間のアニーリング及び72℃で5秒間の伸長を伴う45サイクル。アガロースゲル上で増幅産物を分離し、臭化エチジウム染色によって可視化した。この結果から、ピレンでキャップされたヘキサマーにより増幅特異性が明確に改善されることが示されるが、コントロール反応と比較して、ピレンでキャップされたモノマーによる特異性の上昇が無いこと(示さず)が示される。
【0075】
実施例6
50ng、25ng、10ng、5ng、1ng及び0ngのヒトゲノムDNAを用いるヒトコラーゲンの遺伝子断片の増幅において、実施例1で示されたものと同じPCR緩衝液を用いて、5’末端に有機分子を伴わない3’リン酸化ヘキサマーを200μMまでの最終濃度で試験した。PCRプライマー(配列番号:5 TAA AGG GTC ACC GTG GCT TC及び配列番号:6 CGA ACC ACA TTG GCA TCA TC)を0.4μMの最終濃度で用いた。総反応体積は50μLであった。94℃で4分間の初期変性、94℃で20秒間、58℃で30秒間、72℃で4分間を伴う35サイクル並びに72℃で7分間の最終伸長工程によるPCRサイクルを、ブロックサイクラーで実施した。アガロースゲル上で増幅産物を分離し、臭化エチジウム染色によって可視化した。この結果から、たとえヘキサマーが存在していようと又は存在していまいとに関わらず、PCR産物の組成物に相違がないこと(示さず)が示される。
【0076】
実施例7
リアルタイムPCRで、5’ピレンでキャップされたヘキサマーを分析した。ピレンでキャップされたヘキサマーの存在下又は非存在下におけるPCR反応を、30ng、3ng、0.3ng、0.03ng、0、01ng及び0ngのヒトゲノムDNA、50mMのTris−HCl、pH8.6、0.2mMのCHAPS、1mMのBigChap、20mMのKCl、3mMのMgCl2、0.4μMのプライマー(配列番号:3 GGA AGT ACA GCT CAG AGT TCT GC及び配列番号:4 GAA TCT CCA TTC ATT CTC AAA AGG ACT)、0.2mMのデオキシヌクレオチド、及び2.5単位のTaq DNAポリメラーゼ並びにSYBR Green(1:40000)を含む20μLの反応液内で実施した。以下のサイクル条件を用いてLightCycler(登録商標)480装置でPCRを実施した:95℃で2分間の初期変性並びに95℃で1秒間の変性、65℃で10秒間のアニーリング及び72℃で10秒間の伸長を伴う45サイクル。特異的産物及び不特定な産物の相対的な定量化のために、LightCycler(登録商標)480に推奨されたプロトコルに従って、融解曲線分析を実施した。結果を図4に示す。添加物の非存在下(図4A)では多量の不特定な産物が形成され、添加物の存在下(図4B)では不特定な産物は強く減少する。
【0077】
実施例8
5’ピレンでキャップされたヘキサマーもRT−PCRに使用可能かどうかを試験する目的で、別のDNAポリメラーゼと共に添加物がPCR反応のcp値に与える影響を調べた。従って、本出願人は、Tthポリメラーゼに基づくLightCycler(登録商標)480 RNA Master Hydrolysis Probes(Roche Applied Science社、カタログ番号04991885001)を用いてRT−PCR反応を実施した。20μLの反応混合物は、それぞれ100pg、10pg、1pg、0.1pg及び0pgのヒト肝細胞由来のトータルRNA、7.4μLのRNAマスター、3.25mMの酢酸マンガン、0.5μMの各プライマー(配列番号:9 TGCAGCCTCCATAACCATGAG及び配列番号:10 GATGCCTGCCATTGGACCTA)並びに0.25μMの加水分解プローブ(配列番号:11 FAM-GATGCCTGCCATTGGACCTA-TAMRA)を含有した。ピレンでキャップされたヘキサマーの非存在下か、又は50μM、100μM若しくは200μMのピレンでキャップされたヘキサマーを用いて、反応を実施した。製造業者により推奨されたプロトコルに従って、LightCycler(登録商標)480装置でRT−PCRを実施した。cp値を表1に示す。ピレンでキャップされたヘキサマーは、交点に影響を与えなかった。増幅シグナルの遅延又は感度の低下もない。
【0078】
【表1】

【0079】
実施例9
特異性の上昇がcDNA合成においても観察され得るかどうかを評価する目的で、本出願人は、ワンステップRT−PCRの条件に近い反応設定がされたツーステップRT−PCR実験を実施した。並行して四つの反応を実施した:
(a)キャップされたランダム・ヘキサマーを伴わない第一鎖cDNA合成、それに続くキャップされたランダム・ヘキサマー存在下でのPCR、
(b)5’キャップされたランダム・ヘキサマーを伴わない第一鎖cDNA合成、それに続くキャップされたランダム・ヘキサマー非存在下でのPCR、
(c)5’キャップされたランダム・ヘキサマー存在下での第一鎖cDNA合成、それに続くキャップされたランダム・ヘキサマー非存在下でのPCR、
(d)5’キャップされたランダム・ヘキサマー存在下での第一鎖cDNA合成、それに続くキャップされたランダム・ヘキサマー存在下でのPCR。
【0080】
RT−PCR反応において少量のRNAが存在する場合に不特定な産物の形成を引き起こすプライマーペアを選択した:G6PDH forw(配列番号:12 GCA AAC AGA GTG AGC CCT TC)及びG6PDH rev(配列番号:13 GGG CAA AGA AGT CCT CCA G)プライマー。0.5μMのプライマー、0.6単位のTranscriptor(Roche Applied Sciences社、カタログ番号:03531317001)、30mMのTris−HCl、pH8.6;3mMのMgCl2、200μMのdATP、200μMのdGTP、200μMのdCTP、600μMのdUTP、20mMのKCl、0.2mMのCHAPSO、1mMのBigChap、125ng/mLのT4遺伝子32タンパク質、最終希釈率が1:20000のSYBR Green及び10pgのHeLa細胞由来のトータルRNAを含む20μLの反応液中でcDNAを合成した。cDNA合成のための二つの試料を調製し、一方は100μMのピレンでキャップされたヘキサマーを伴い、他方はピレンでキャップされたヘキサマーを伴わなかった。反応液を50℃で10分間、95℃で2分間インキュベートし、氷上で冷却した。cDNA反応混合物について記載されたものと同じ緩衝液にて、2μLのcDNA反応混合物、0.5μMのプライマー、1.2単位のTaqポリメラーゼを用い、100μMの最終濃度で追加のピレンでキャップされたヘキサマーの存在下又は非存在下で、20μLの反応体積でPCRを実施した。LightCycler(登録商標)480装置で反応液を、95℃で2分間及び95℃/10秒間、60℃/10秒間、72℃/13秒間の45サイクルでインキュベートした。増幅産物の融解プロフィールを、図5a〜dに示す。cDNA合成の間にピレンでキャップされたヘキサマーが存在した場合の反応液において(5a及び5b)、予想された融点を伴った一つの産物が形成された。ピレンでキャップされたヘキサマーの非存在下でcDNA合成を実施した場合(5c及び5d)、特異的産物の融点とは異なる融点を有するいくつかの産物が生成された。この結果から、RNAの逆転写の間に、ピレンでキャップされたヘキサマーが不特定な産物の形成を抑制し得ることが示される。
【0081】
実施例10
プライマーのうちの一つ(ピレン-CGGTAG-3'ホスフェート)の3’末端と6塩基対の重複を伴う100μMの5’ピレンでキャップされたヘキサマーを、DNA増幅においてプライマー(ピレン-CTTTTA-3'ホスフェート)と非相補的な100μMの5’ピレンでキャップされたヘキサマーと並行して分析した。50μLの反応液において、50ng、25ng、10ng、5ng、1ng及び0ngのヒトゲノムDNA、30mMのTris−HCl、pH8.6、1.5mMのMgCl2、50mMのKCl、0.2mMのdNTPのそれぞれ、0.4μMのプライマー(配列番号:1 ATT AGA GAA CCA TGT TAA CAC TAC CG及び配列番号:2 GAG GTG AAT GAC CAC TGT TTA TTT TC)並びに2.5単位のTaq DNAポリメラーゼが含まれる。ブロックサイクラーで、以下のサイクル条件を用いてPCRを実施した:94℃で4分間の初期変性、及び94℃で20秒間の変性、62℃で30秒間のアニーリング、72℃で60秒間の伸長を伴う35サイクル、及び72℃で7分間の最終伸長工程。アガロースゲル上で増幅産物を分離し、臭化エチジウム染色によって可視化した。添加物非存在下のコントロール反応を並行して実施した。ピレン-CGGTAG-3ホスフェートの存在下では、PCR産物は検出され得なかった。非相補的なピレン-CTTTTA-ホスフェートを含む試料では、類似の産物が生じ、(あらゆる添加物の非存在下の)コントロール反応のような感度が達成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−DNAポリメラーゼ
−デオキシヌクレオチド
−少なくとも一つのプライマーオリゴヌクレオチド
−有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とする、ランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチド
を含む組成物。
【請求項2】
該修飾が、該ランダム化されたオリゴヌクレオチドの5'末端に位置する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該部分がピレン又はスチルベンのいずれか一方である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
−DNAポリメラーゼが熱安定性であること、及び
−組成物が増幅プライマーのペアを含むこと、
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
標的核酸試料をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
−DNAポリメラーゼ、及び
−有機疎水性部分での修飾を含むことを特徴とする、ランダム化された5〜8マーのオリゴヌクレオチド、
を含むキット。
【請求項7】
該DNAポリメラーゼが熱安定性であって、増幅プライマーのペアをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
−標的核酸を含むとされる試料を提供する工程
−請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物を添加する工程
−少なくとも一つの第一のプライマー伸長反応を実施する工程
を含む、特定の標的核酸を増幅するための方法。
【請求項9】
該組成物が請求項4に記載の組成物であって、
核酸増幅反応を実施する工程をさらに含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該核酸増幅反応が、リアルタイムでモニターされるポリメラーゼ連鎖反応であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該増幅によって生成する増幅産物を融解曲線分析に供することを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−225796(P2009−225796A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−65018(P2009−65018)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】