説明

修飾された抗体を製造する方法

【課題】抗体が有する2以上の特異的結合部位の活性を維持可能な抗体の修飾方法の提供。
【解決手段】第1の特異的結合部位6と特異的に結合する第1保護剤1を表面に有する第1磁性粒子3、第2の特異的結合部位7と特異的に結合する第2保護剤2を表面に有する第2磁性粒子4、および抗体5を混合し、第1の特異的結合部位6および第2の特異的結合部位7を第1保護剤1および第2保護剤2にそれぞれ特異的に結合させる工程、抗体5を修飾物質8によって修飾する工程、解離剤を添加し、第1・第2の特異的結合部位6・7から第1保護剤1および第2保護剤2をそれぞれ解離する工程、磁石を用いて第1磁性粒子3および第2磁性粒子4から抗体5を分離する工程、および分離された抗体5を回収する工程を有する修飾方法により、抗体が有する2以上の特異結合部位の活性を維持可能したまま、抗体を修飾する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は修飾された抗体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体の濃度を測定する従来の方法は、測定しようとする抗体を修飾物質により修飾する工程、次いで当該修飾物質の濃度を電気化学的または光学的に測定する工程を有する。
【0003】
図4は、測定しようとする抗体を修飾物質により修飾する具体的な方法を示す。図4では、修飾物質は蛍光物質である。
【0004】
まず、抗体を含む溶液中に蛍光物質を添加する。すると、蛍光物質は抗体と結合する。ここで、図5に示すように、抗体はY文字型を有する。そして、抗体は2つのFab領域および1つのFc領域を有する。これら3つの領域は、いずれも「特異的結合部位」として知られている。
【0005】
2つのFab領域には抗原が特異的に結合する。しかし、蛍光物質が2つのFab領域のいずれにも結合した後には、2つのFab領域のいずれにも抗原は特異的に結合しない。すなわち、そのような抗体は、抗原に対して不活性性を有する。
【0006】
特許文献1は、2つのFab領域のいずれにも蛍光物質が結合した抗体を排除する方法を開示している。図6は特許文献1に示された方法を示す。まず、抗原は抗体と反応し、複合体を得る。次に、当該複合体に修飾物質が結合する。修飾物質が結合した複合体から抗原が解離される。
【0007】
この方法では、修飾物質は抗体のFab領域に結合しない。なぜなら、修飾物質が抗体に結合する時には、抗体のFab領域は抗原と特異的に結合しているからである。よって、Fab領域に修飾物質が全く結合していない抗体が得られ得る。
【0008】
特許文献1の他、特許文献2〜5は本発明に関連し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−355369号公報
【特許文献2】特開平1−224664号公報
【特許文献3】特開昭61−4961号公報
【特許文献4】特開昭52−154519号公報
【特許文献5】特開2004−177402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1は、抗体のFc領域の保護を開示も示唆もしていない。特許文献1に開示された方法によれば、Fc領域が修飾物質によって修飾され、Fc領域の活性は消失し得る。
【0011】
図3(a)および図3(b)は、特許文献1に開示された方法にFc領域の保護を加えたフローチャートを示す。
【0012】
図3(a)では、まず、第1の特異的結合部位、すなわちFab領域を第1保護剤により保護する。次いで、当該Fab領域が保護された抗体は修飾物質によって修飾される。このようにして、Fab領域に修飾物質が結合していない抗体が得られる。その後、抗体は第1保護剤から解離され、回収される。プロテインAおよびプロテインGのような、第2の特異的結合部位、すなわちFc領域と特異的に結合する抗体結合性タンパクを保持する支持体に抗体は供給される。Fc領域に修飾物質を有さない抗体は、当該支持体に結合する。一方、Fc領域に修飾物質が結合している抗体は、当該支持体に結合せず、除去される。最後に、支持体に結合した抗体を回収する。ここで、支持体としては、アフィニティーカラム、磁性微粒子、および非磁性微粒子が挙げられる。
【0013】
しかし、図3(a)では、Fc領域を修飾物質によって修飾された抗体を修飾後に除去するため、抗体の損失が大きい。さらに、Fc領域と結合した抗体結合性タンパクから抗体を低pHのような厳しい溶媒条件で解離させるために、抗体が変性し易い。これは、低収率および凝集体混入の原因になり得る。
【0014】
図3(b)では、まず、第1の特異的結合部位、すなわちFab領域を第1保護剤により保護する。同時に、第2の特異的結合部位、すなわちFc領域を第2保護剤により保護する。次いで、Fab領域およびFc領域が保護された抗体は修飾物質によって修飾される。このようにして、Fab領域およびFc領域に修飾物質が結合していない抗体が得られる。その後、抗体は第1保護剤から解離され、回収される。さらにその後、抗体は第2保護剤から解離される。
【0015】
しかし、図3(b)に示す方法は、修飾後に活性を失った抗体を除去する工程、および低解離した抗体と抗原を分離する工程を必要とする。
【0016】
本発明の目的は、Fab領域およびFc領域のいずれの領域の活性も維持している被修飾抗体を、低工程数および高収率に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の修飾方法は、第一の特異的結合部位と特異的に結合する第1保護剤を表面に有する第1磁性粒子、および前記第2の特異的結合部位と特異的に結合する第2保護剤を表面に有する第2磁性粒子、および前記抗体を混合し、前記第1の特異的結合部位および前記第2の特異的結合部位を前記第1保護剤および前記第2保護剤にそれぞれ特異的に結合させて、前記第1および第2の特異的結合部位を同時に保護する工程
前記抗体を修飾物質によって修飾する工程、
解離剤を添加し、前記第1の特異的結合部位および前記第2の特異的結合部位から前記第1保護剤および前記第2保護剤をそれぞれ解離する工程、
磁石を用いて前記第1および第2磁性粒子から前記抗体を同時に前記抗体から分離する工程、および
分離された前記抗体を回収する工程
を有し、第1の特異的結合部位と第2の特異的結合部位の活性を維持可能したまま、修飾された抗体を製造する。
【0018】
本構成によって、抗体が有する2以上の特異結合部位の活性を維持可能したまま、高収率で効率よく、抗体を修飾することができる。
【0019】
ただし、前記第1の特異的結合部位はFab領域にあり、前記第2の特異的結合部位はFc領域にある。
【0020】
前記第1保護剤は、前記抗体が認識するエピトープを有した生体由来物質であり、前記第2保護剤はプロテインAまたはプロテインGである。
【0021】
これによって、2以上の特異的結合部位を保護して修飾することができ、複数の保護剤を磁力によって同時に集めることで、それぞれの保護剤から解離した修飾抗体を、容易に分離・回収することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、抗体が有する2以上の特異的結合部位の活性を維持したまま、修飾された抗体を効率よく製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の各工程を示すフローチャート
【図2】本発明の各工程を示す図
【図3】各方法における各工程を示すフローチャート
【図4】測定しようとするタンパク質を修飾物質により修飾する具体的な方法を示す図
【図5】抗体の模式図
【図6】特許文献1に開示されているタンパク質の修飾方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、抗原結合部位およびプロテインA結合部位の活性を維持したまま、抗体に修飾を行う方法を説明する。抗原結合部位およびプロテインA結合部位は、いずれも、抗体が有する特異的結合部位である。
【0025】
(実施の形態1)
以下の精製において、化学薬品は使用前に0.045μmのフィルターに通される。
【0026】
図1は、本実施の形態である修飾方法を表すフローチャートである。図2は、本実施の形態を模式的に表した図である。
【0027】
まず、工程St1において、第1磁性粒子3、第2磁性粒子4、および抗体5を溶液中で混合する。第1磁性粒子3の表面には第1保護剤1が予め結合している。第2磁性粒子4の表面には第1保護剤2が予め結合している。抗体5は第1の特異的結合部位5および第2の特異的結合部位6を有する。
【0028】
図2(a)および図2(b)は、工程St1を模式的に示す。第1磁性粒子3および第2磁性粒子4の量は、混合される抗体5の量よりも過剰な量の抗体5に対する結合し得る量になるように設定される。
【0029】
第1保護剤1としてはHumanSerumAlbmin(SIGMA社製)(以下、HSAと略す)が用いられ得る。第2保護剤2としてはプロテインAが用いられ得る。第1磁性粒子としてはDynabeads M−450 Epoxy (invitrogen製)が用いられ得る。第2磁性粒子4としてはDynabeads Protein A (invitrogen製)が用いられ得る。抗体5としては抗HSAマウスモノクローナルIgG1抗体(以下、マウスモノクローナル抗体と略す)が用いられ得る。この場合、第1の特異的結合部位6は、マウスモノクローナル抗体のHSA結合部位である。第2の特異的結合部位7は、マウスモノクローナル抗体のプロテインA結合部位である。
【0030】
図2(a)に示すように、0.2mg/mlの濃度を有する1mlのマウスモノクローナル抗体、予めHSAを結合させておいた30mgのDynabeads M−450 Epoxy (invitrogen製)、および予めプロテインAが結合されている30mgのDynabeads Protein A (invitrogen製)を、0.2 M NaHCO3および0.5 M NaCl(pH 8.9)を含有する緩衝液中で混合する。
【0031】
この混合溶液は10分間室温で攪拌される。HSAはマウスモノクローナル抗体が有する第1の特異的結合部位6(Fab領域)と特異的に結合し、ProteinAは抗体が有する第2の特異的結合部位7(Fc領域)と特異的に結合する。これにより図2(b)に示すように、マウスモノクローナル抗体、HSA、Dynabeads M−450 Epoxy、プロテインA、およびDynabeads Protein Aとからなる複合体が形成される。
【0032】
反応に用いる緩衝液は、1級アミノ基(−NH2)を持たない中性の生体用緩衝液である限り、特に限定されない。プロテインAに対する低い親和性を有するマウスIgG1抗体が結合される場合には、好ましくは、例えば、1Mリン酸カリウム、pH9.0のような高モル濃度かつ高pHの緩衝液が用いられ、結合力を高める。
【0033】
次に、工程St2で、修飾物質8によって抗体5が修飾される。図2(c)は、工程St2を模式的に示す。第1の特異的結合部位6および第2の特異的結合部位7はそれぞれ第1保護剤1および第2保護剤2によって保護されているので、修飾物質8によって修飾されない。
【0034】
修飾物質8としてはFerrocene carboxylic acid succinimidylesterが用いられ得る。
【0035】
まず、DMSOに溶解させた1.78mMの濃度を有する15μlのFerrocene carboxylic acid succinimidylesterが作成される。そして、図2(c)に示すように、溶解後これは直ちに上記混合溶液に加えられ、室温で一時間攪拌される。これをもう一度繰り返す。
【0036】
次に、工程St3において、混合溶液から未反応の修飾物質8が除去される。図2(d)は工程St3を模式的に示す。
【0037】
攪拌後、溶液中には、マウスモノクローナル抗体と反応しなかった未反応のFerrocene carboxylic acid succinimidylesterが存在している。そこで、図2(d)に示すように、修飾された上記複合体は、DynaMag−15(invitrogen製)を用いて磁力により集められる。上清を上記緩衝液に置換して再度、懸濁する。これを2〜3回繰り返し、未反応のFerrocene carboxylic acid succinimidylesterを除去する。
【0038】
好ましくは、未反応のFerrocene carboxylic acid succinimidylesterは、0.5 Mの1級アミノ基(−NH2)を持つ低分子化合物(例えば、モノエタノールアミン、グリシン、またはトリス)、および0.5 M NaCl(pH8.3)によって、回収前に不活性化される。ただし、マウスIgG1抗体が用いられる場合には、プロテインAに対する弱い親和性を有するマウスIgG1抗体がプロテインAから解離する可能性がある。そのため、0.5 Mの1級アミノ基(−NH2)を持つ低分子化合物(モノエタノールアミン、グリシン、トリスなど)および1.0 M NaCl(pH9.0)のような高モル濃度かつ高pHによって不活性化することが好ましい。
【0039】
次に、工程St4において、抗体5が第1の保護剤1および第2の保護剤3から解離される。図2(e)および図2(f)は、工程St4を模式的に示す。
【0040】
未反応のFerrocene carboxylic acid succinimidylesterが緩やかに攪拌された後、磁力によって上記複合体が再度集められて、上清が捨てられる。そこへ、0.1M Glycine−HCl(pH2.7)が加えられる。これによって、図2(e)のように、マウスモノクローナル抗体が、HSAおよびプロテインAから解離する。
【0041】
本実施の形態では、0.1M Glycine−HCl(pH2.7)が加えられて複合体からマウスモノクローナル抗体を解離する。しかし、0.1Mクエン酸(pH3.0)のような3.0以下のpHを有する緩衝液である限り、緩衝液は特に限定されない。
【0042】
最後に工程St5において、図2(f)に示すように、HSAが結合したDynabeads M−450 EpoxyおよびプロテインAが結合したDynabeads ProteinAを磁力によって分離し、上清を回収する。回収した溶液は、1M Tris緩衝液(pH 9.0)により直ちに中和される。
【0043】
回収された修飾抗体9のHSA結合部位およびプロテインA結合部位は修飾されていない。すなわち、2つ以上の特異的結合部位は修飾されておらず、それらの活性は維持されている。このようにして、抗体が有する2以上の特異結合部位の活性を維持したまま、修飾された抗体(以下、「被修飾抗体」という)が得られる。
【0044】
第1保護剤1は、抗体5が特異的結合部位6を介して認識する特定のタンパク質であり得る。例えば第1の特異的結合部位6が抗体のFab部位である場合、第1保護剤1として、抗体5を認識するエピドープを有する抗原を挙げることができる。
【0045】
第2の保護剤2は、抗体5が特異的結合部位7を介して認識する特定のタンパク質であり得る。例えば第2の特異的結合部位7が抗体のFc部位である場合、第2保護剤2として、プロテインAおよびプロテインGを挙げることができる。プロテインAおよびプロテインGは、抗体のFc部分と特異的に結合する性質を有する。
【0046】
抗体5は抗原およびプロテインAまたはGと特異的に結合することが可能である限り、、特に限定されない。例えば第2保護剤2がプロテインAである場合、抗体5としては、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、マウスIgG2a、IgG2b、IgG3、ラットIgG2c、ウシIgG2、イヌIgG、ヤギIgG2、モルモットIgG、サルIgG、ブタIgG、ウサギIgG、およびヒツジIgG2が、プロテインAとの強い結合という観点から、好ましい。第2保護剤2がプロテインGである場合、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、マウスIgG1、マウスIgG2a、IgG2b、IgG3、ラットIgG2a、IgG2c、ウシIgG1、IgG2、ヤギIgG1、IgG2、ウマIgG、サルIgG、ブタIgG、ウサギIgG、およびヒツジIgG1、IgG2が、プロテインGとの強い結合という観点から、好ましい。
【0047】
第1磁性粒子3および第2磁性粒子4は、第1保護剤1と結合可能な官能基を備え、かつ抗体回収時に容易に分離可能な物質である。第1磁性粒子3および第2磁性粒子4が磁力によって同時に集合することが可能であるため、修飾物質8によって修飾された抗体5を短時間で効率よく回収することができる。
【0048】
強い酸またはアルカリでの処理、および界面活性剤による洗浄により、第1磁性粒子3および第4磁性粒子に固定化された抗原またはタンパク質を完全に除去し、その磁性粒子に別の抗体または抗原を固定化することも可能である。
【0049】
本実施形態では、磁性粒子を集めるための磁力の発生にDynaMag−15を挙げているが、永久磁石または電磁石が用いられ得る。
【0050】
修飾物質8としては、(1) フェリシアニドもしくはフェロセン及びおよびその誘導物質のような金属錯体、又はキノン類等の電気化学的に活性な物質、(2)2H、3H、125I、および131Iのような放射性物質、(3)フルオレセインイソチオシアネート、テトラローダミンイソチオシアネート、フルオレスカミン、および4−フルオロー7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1、3−ジアソールのような蛍光物質、(4)アミノピレン、ルミノール誘導体、およびアクリジニウム誘導体のような化学発光物質、(5)ペルオキシターゼ、β−D−ガラクトシターゼ、アルカリ性フォスファターゼ、およびウレアーゼのような酵素が使用され得る。
【0051】
本実施の形態では、修飾物質8の酸化還元反応における電流応答から、抗体の量を定量的に計測するため、Ferrocene carboxylic acid succinimidylesterが化学修飾されている。これに代えて、Ferrocene amidopentyl carboxylic acid succinimidylester、EDC、またはNHSを用いて活性化させたフェロセンカルボン酸によって抗体にフェロセン誘導体を修飾し得る。
【0052】
修飾物質を導入する部位を形成する方法としては、アミノ基、チオール基、または水酸基を利用する方法がある。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る修飾された抗体を製造する方法は、複数の特異的結合部位の活性を維持したまま、修飾物質によってタンパク質を修飾し得る。本発明の方法は、タンパク質の特異的相互作用を用いた分析方法において用いられる修飾タンパクを作成するために有用である。本発明の方法は、医学、薬学、生物学、化学、食品学のような様々な分野における免疫反応測定抗体を修飾する方法にも応用できる。
【0054】
上記の開示内容から導出される本発明は以下の通りである。

1.
修飾物質によって修飾された抗体を製造する方法であって、
前記抗体はFab領域およびFc領域を具備しており、
前記方法は、
前記Fab領域と特異的に結合する第1保護剤(1)を表面に有する第1磁性粒子(3)、および前記Fc領域と特異的に結合する第2保護剤(2)を表面に有する第2磁性粒子(4)、および前記抗体(5)を混合し、前記Fab領域および前記Fc領域を前記第1保護剤(1)および前記第2保護剤(2)にそれぞれ特異的に結合させる工程
前記抗体(5)を修飾物質によって修飾する工程、
解離剤を添加し、前記Fab領域および前記Fc領域から前記第1保護剤(1)および前記第2保護剤(2)をそれぞれ解離する工程、
磁石を用いて前記第1および第2磁性粒子(3・4)から前記抗体(5)を分離する工程、および
前記分離された抗体(5)を回収する工程
を有する。

A method for fabricating an antibody modified with a modification substance, said antibody comprising a Fab-flagment and an Fc-flagment, comprising:
mixing a first magnetic particle(3) with a first protection reagent(1) binding to said Fab-flagment on the surface thereof, a second magnetic particle(4) with a second protection reagent(2) binding to said Fc-flagment on the surface thereof, and said antibody to bind specifically said Fab-flagment and Fc-flagment with said first and second protection agent(1・2) respectively,
modifying said anbibody(5) with said modification substance,
adding a releasing reagent to release said first and second protection agent(1・2) from said Fab-flagment and said Fc-flagment,
dividing said antibody from said first and second magnetic particles with a magnet, and
collecting said divided antibody.

2.
前記第1保護剤(1)がアルブミンである、前記項目1に記載の方法。
3.
前記第1保護剤(1)が血清アルブミンである、前記項目2に記載の方法。
4.
前記第1保護剤(1)がヒト血清アルブミンである、前記項目3に記載の方法。
5.
前記第2保護剤(2)がプロテインAまたはプロテインGである、前記項目1に記載の方法。
6.
前記第2保護剤(2)がプロテインAまたはプロテインGである、前記項目2に記載の方法。
7.
前記解離剤がグリシンおよび塩酸の混合液である、前記項目1に記載の方法。
8.
前記解離剤がグリシンおよび塩酸の混合液である、前記項目2に記載の方法。
9.
前記解離剤がグリシンおよび塩酸の混合液である、前記項目5に記載の方法。
10.
前記解離剤がグリシンおよび塩酸の混合液である、前記項目6に記載の方法。

【符号の説明】
【0055】
1 第1保護剤
2 第2保護剤
3 第1磁性粒子
4 第2磁性粒子
5 抗体
6 第1の特異的結合部位
7 第2の特異的結合部位
8 修飾物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾物質によって修飾された抗体を製造する方法であって、前期方法は、抗原と結合する第1の特異的結合部位を有するFab領域および、抗原とは異なる物質と結合する第2の特異的結合部位を有するFc領域を具備しており、
前記方法は、
前記第一の特異的結合部位(6)と特異的に結合する第1保護剤(1)を表面に有する第1磁性粒子(3)、および前記第2の特異的結合部位(7)と特異的に結合する第2保護剤(2)を表面に有する第2磁性粒子(4)、および前記抗体(5)を混合し、
前記第1の特異的結合部位(6)および前記第2の特異的結合部位(7)を前記第1保護剤(1)および前記第2保護剤(2)にそれぞれ特異的に結合させて、前記第1および第2の特異的結合部位を同時に保護する工程
前記抗体(5)を修飾物質(8)によって修飾する工程、
解離剤を添加し、前記第1の特異的結合部位(6)および前記第2の特異的結合部位(7)から前記第1保護剤(1)および前記第2保護剤(2)をそれぞれ解離する工程、
磁石を用いて前記第1および第2磁性粒子(3・4)を同時に前記抗体(5)から分離する工程、および
前記分離された抗体(5)を回収する工程
を有する。
【請求項2】
前記第1保護剤が、前記抗体が認識するエピトープを有した生体由来物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2保護剤がプロテインAまたはプロテインGである、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−140459(P2011−140459A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1671(P2010−1671)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】