説明

偏光変換素子

【課題】簡便な構成であり、小型化及び低コスト化を実現可能な偏光変換素子を提供する。
【解決手段】偏光変換素子10は、光が入射する側から順に、基板12、偏光選択集光部14、偏光回転部16、及び基板18をこの順に積層した構成である。この偏光選択集光部14は、光が入射する側から順に、集光層14A及び補正層14Bをこの順に積層した積層体である。補正層14Bは、2種類の偏光成分の内の集光層14Aを透過したTM偏光成分における位相差を相殺するように補正する。このため、偏光選択集光部14は、偏光変換素子10に入射した光に含まれるTE偏光成分を、選択的に偏光回転部16の後述する回転領域16Aの設けられた領域に向かって集光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光とは、光の電気振動(または、電気信号に直交する磁気振動)の振動方向がランダムな状態である白色光に対し、振動の方向が揃っている光を示す。
【0003】
このような偏光を制御する偏光制御素子としては、偏光選択素子、偏光分離素子、位相シフト素子、旋光素子、及び無機ガラス材料を用いた位相変調素子等が知られている(特許文献1〜特許文献5、非特許文献1等参照)。
【0004】
また、入射光を特定の方向の直線偏光にして出射する素子としては、偏光変換素子が知られている。この偏光変換素子は、上述した偏光制御素子を組み合わせることにより形成されるものであり、光利用効率の向上のために広く利用されている。このような偏光変換素子は、ランプ光源またはLED(Light Emitting Diode)光源等から出射されるランダム偏光成分を、直交する二つの偏光成分に分離する。そして、一方の直線偏光成分の偏光面を90度回転させて、偏光成分を特定の偏光方向に揃えた直線偏光として出射する。これにより、特定方向の偏光に対し50%以上の光利用効率を得ることができる。
【0005】
このような偏光変換素子としては、偏光分離または光路分岐した偏光成分をレンズアレイにて集光し、特定の偏光成分のみについて偏光方向を揃えるものや、偏光ビームスプリッタアレイと偏光回転部を用いたものが知られている(特許文献6及び特許文献7参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の偏光変換素子は、高価なものとなりやすく、また複雑化及び大型化する傾向にあった。
【0007】
即ち、特許文献6〜特許文献7等に記載されている偏光変換素子は、レンズ等による収束・拡散光学系を用いた偏光変換素子であり、光路長が長くなる。このため、素子全体の構成が大型なものとなってしまい、小型化することは困難であった。また、特許文献6〜特許文献7に開示されている偏光変換素子では、レンズ光学系のアライメントが煩雑であることから、偏光変換素子の製造コストが高くなるという問題点も有していた。また、特許文献7等に記載されている偏光変換素子は、主にキューブプリズムアレイにより構成されるが、プリズム自体が高価であることや、アレイ化のための接着工程を行う必要があることから、製造コストが高く非常に高価な素子となってしまうという問題があった。また、プリズムアレイは一定の大きさを必要とするため、小型化には限界があった。
【0008】
このように、従来技術では、小型化可能であって低コストで製造することが可能な、簡便な構成の偏光変換素子は実現されていなかった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、簡便な構成であり、且つ小型化及び低コスト化を実現可能な偏光変換素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、入射する光に含まれる電場振動方向が互いに直交する2種類の偏光成分の内の少なくとも一方の第1の偏光成分を集光させる集光層と、前記集光層より光出射側に設けられ、前記2種類の偏光成分の内の該集光層を透過した他方の第2の偏光成分における位相差を相殺するように補正する補正層と、前記補正層より光出射側に設けられ、前記集光層によって集光された前記第1の偏光成分の電場振動方向を前記第2の偏光成分の電場振動方向に偏光回転させる偏光回転部と、を備えた偏光変換素子である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便な構成であり、小型化及び低コスト化を実現可能な偏光変換素子を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施の形態の偏光変換素子を模式的に示した断面図である。
【図2】図2は、本実施の形態の偏光変換素子における図1とは異なる形態を模式的に示した断面図である。
【図3】図3は、本実施の形態の偏光変換素子における図1とは異なる形態を模式的に示した断面図である。
【図4】図4は、集光層及び補正層における周期構造を模式的に示した断面図である。
【図5】図5は、TE偏光成分の有効屈折率nTE及びTM偏光成分の有効屈折率nTMと、フィルファクタfと、の関係を示す線図である。
【図6】図6は、TM偏光成分及びTE偏光成分の各々における、フィルファクタfと位相差との関係を示す線図である。
【図7】図7は、偏光選択集光部を透過したTE偏光成分及びTM偏光成分の各々の光が回転領域に至る状態を模式的に示したものであり、(A)は、偏光変換素子を模式的に示した断面図であり、(B)は、偏光選択集光部から回転領域に至るTE偏光成分の光の状態を示す模式図であり、(C)は、偏光選択集光部を透過するTE偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と有効屈折率との関係を示す線図である。また、(D)は、偏光選択集光部を透過したTE偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と位相差との関係を示す線図であり、(E)は、偏光選択集光部から回転領域に至るTM偏光成分の光の状態を示す模式図であり、(F)は、偏光選択集光部を透過するTM偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と有効屈折率との関係を示す線図であり、(G)は、偏光選択集光部を透過したTM偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と位相差との関係を示す線図である。
【図8】図8は、偏光選択集光部における集光層及び補正層の各々を透過したTE偏光成分及びTM偏光成分の各々の光が回転領域に至る状態を模式的に示したものであり、(A)は、偏光選択集光部から回転領域に至るTE偏光成分の光の状態を示す模式図であり、(B)は、集光層を透過するTE偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と有効屈折率との関係を示す線図であり、(C)は、集光層を透過したTE偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と位相差との関係を示す線図である。また、(D)は、補正層を透過するTE偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と有効屈折率との関係を示す線図であり、(E)は、補正層を透過したTE偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と位相差との関係を示す線図であり、(F)は、偏光選択集光部を透過したTE偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と位相差との関係を示す線図であり、(G)は、偏光選択集光部から回転領域に至るTM偏光成分の光の状態を示す模式図であり、(H)は、集光層を透過するTM偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と有効屈折率との関係を示す線図である。また、(I)は、補正層を透過するTM偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と有効屈折率との関係を示す線図であり、(J)は、集光層を透過したTM偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と位相差との関係を示す線図であり、(K)は、補正層を透過したTM偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と位相差との関係を示す線図であり、(L)は、偏光選択集光部を透過したTM偏光成分における回転領域に直交する直線Pからの位置と位相差との関係を示す線図である。
【図9】図9は、集光層における、TM偏光成分及びTE偏光成分の各々のフィルファクタと位相差との関係を示す線図である。
【図10】図10は、補正層における、TM偏光成分及びTE偏光成分の各々のフィルファクタと位相差との関係を示す線図である。
【図11】図11は、偏光変換素子に入射した光の状態を示す模式図であり、(A)は、偏光変換素子に入射したTE偏光成分の光の状態を示す模式図であり、(B)は、偏光変換素子に入射したTM偏光成分の光の状態を示す模式図である。
【図12】図12は、偏光変換素子を示す模式図であり、(A)は、偏光変換素子を模式的に示した断面図であり、(B)は、偏光選択集光部を拡大して模式的に示した断面図である。
【図13】図13は、本実施の形態の偏光変換素子における図1とは異なる形態を模式的に示した断面図である。
【図14】図14は、本実施の形態の偏光変換素子における図1とは異なる形態を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる偏光変換素子の一の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態における偏光変換素子10(図1参照)は、入射した光を特定の電場振動方向の直線偏光として出射する素子である。図1に示すように、本実施の形態の偏光変換素子10は、光が入射する側(図1中、矢印A方向参照)から順に、基板12、偏光選択集光部14、偏光回転部16、及び基板18を積層した構成である。偏光選択集光部14と偏光回転部16との間には、空隙であるギャップ領域20が設けられている。偏光回転部16には、偏光回転部16の面に沿って、回転領域16A及び透過領域16Bが交互に設けられている。
【0015】
なお、図1〜図14中に示すX軸、Y軸、Z軸は、直交座標系を示している。この直交座標系におけるXY平面は、上記偏光選択集光部14及び偏光回転部16の積層方向に直交する面であり、また、これらの各部の面に平行な面である。また、Z軸は、このXY平面に垂直な座標軸である。
【0016】
本実施の形態の偏光変換素子10には、TE(Transverse Electric)偏光成分と、TM(Transverse Magnetic)偏光成分と、の混在した光が入射する。本実施の形態では、このTE偏光成分(第1の偏光成分)とは、電場振動方向が上記Y軸方向である偏光成分を示す。また、TM偏光成分(第2の偏光成分)とは、電場振動方向が上記X軸方向である偏光成分を示す。すなわち、このTE偏光成分とTM偏光成分とが、偏光変換素子10に入射する光に含まれる、電場振動方向が互いに直交する2種類の偏光成分に相当する。
【0017】
偏光選択集光部14は、偏光変換素子10に入射した光に含まれるTE偏光成分を、選択的に偏光回転部16の後述する回転領域16Aの設けられた領域に向かって集光させる。なお、TM偏光成分については、偏光選択集光部14によって集光されずに該偏光選択集光部14を透過する(詳細後述)。
【0018】
この偏光選択集光部14は、光が入射する側から順に、集光層14A及び補正層14Bを積層した積層体である(図1参照)。
【0019】
集光層14Aは、入射する光に含まれるTM偏光成分及びTE偏光成分の内の少なくともTE偏光成分を、回転領域16Aに向かって集光させる機能(以下、集光機能と称する)を有する。この集光層14Aには、該集光層14Aに入射する光の波長より小さい周期構造が形成されており、該集光機能が発現するように該周期構造のパラメータが設計されている(詳細後述)。
【0020】
この集光層14Aには、例えば、回折格子が用いられる。この集光層14Aに用いられる回折格子としては、入射する光に対して透明(入射する光の透過率が80%以上)な板状部材を、格子ベクトル方向をX軸方向として配列した構成が挙げられる。該板状部材の構成材料としては、例えば、透明な誘電体材料が挙げられる。
【0021】
本実施の形態では、この集光層14Aには、集光層14Aにおける周期構造の単位周期に対応して単位構造が形成されている。この単位構造は、偏光回転部16に設けられた回転領域16A毎に対応して設けられている。集光層14Aには、例えば、図1に示す単位周期W1で単位構造が形成されている。このため、集光層14Aでは、この単位構造毎にTE偏光成分に集光力(回転領域16Aに向かって集光する力)が付与される、いわゆるシリンドリカルレンズ構造とされている。この単位周期W1としては、偏光変換素子10を適用する対象によって異なるが、例えば、2μm以上100μm以下程度の値が挙げられる。
【0022】
集光層14Aは、例えば、ガラス等の透明基板の表面を加工すること、または、ガラス等の透明基板にガラス等と異なる屈折率を有する膜を形成し、その膜を加工すること等により作製される。
【0023】
なお、図1には、偏光変換素子10の一部を拡大して模式的に示したため、集光層14Aの周期構造における単位構造(単位周期W1)が2個である場合を示した。しかし、偏光変換素子10には、3個以上の多数の単位構造(単位周期W1)がX軸方向に連続して設けられていてもよい。
【0024】
補正層14Bは、集光層14Aの光出射側に設けられている。補正層14Bは、2種類の偏光成分の内の該集光層14Aを透過したTM偏光成分における位相差を相殺するように補正する機能(以下、位相補正機能と称する)。これによって、集光層14Aを透過することによってTM偏光成分に付与された集光力は相殺される。
【0025】
なお、本実施の形態において、上記「位相差」とは、偏光選択集光部14の各層を透過したTM偏光成分及びTE偏光成分の各々における、位置に対する位相の差を示している。なお、この「位置」とは、偏光選択集光部14の面(XY平面)に対して直交し、且つ回転領域16Aの中央を通る直線(図7中、直線P参照、以下「直線P」と称する)と、該偏光選択集光部14(集光層14A及び補正層14B)の面と、の交点を原点“0”としたときの、該原点からの位置(距離)を示している。
【0026】
このため、本実施の形態では、集光層14Aを透過したTE偏光成分における位相差とは、集光層14Aの該原点を透過したTE偏光成分と、集光層14A上の各位置を透過したTE偏光成分と、の位相の差を示す。また、補正層14Bを透過したTE偏光成分における位相差とは、補正層14Bの該原点を透過したTE偏光成分と、補正層14B上の各位置を透過したTE偏光成分と、の位相の差を示す。
【0027】
同様に、集光層14Aを透過したTM偏光成分における位相差とは、集光層14Aの該原点を透過したTM偏光成分と、集光層14A上の各位置を透過したTM偏光成分と、の位相の差を示す。また、補正層14Bを透過したTM偏光成分における位相差とは、補正層14Bの該原点を透過したTM偏光成分と、補正層14B上の各位置を透過したTM偏光成分と、の位相の差を示す。
【0028】
この補正層14Bには、該補正層14Bに入射する光の波長より小さい周期構造が形成されており、上記位相補正機能が発現するように、周期構造のパラメータや格子ベクトル方向が設計されている。なお、補正層14Bについても、集光層14Aの単位周期W1に対応する単位周期で、周期構造が設けられている。
【0029】
補正層14Bには、例えば、回折格子が用いられる。この補正層14Bに用いられる回折格子としては、入射する光に対して透明な板状部材を、格子ベクトル方向をY軸方向として配列した構成が挙げられる。該板状部材の構成材料としては、例えば、透明な誘電体材料が挙げられる。
【0030】
補正層14Bは、ガラス等の透明基板の表面を加工すること、または、ガラス等の透明基板にガラス等と異なる屈折率を有する膜を形成し、その膜を加工すること等により作製される。
【0031】
ギャップ領域20は、偏光選択集光部14と偏光回転部16との間の空隙の領域である。このギャップ領域20は、偏光選択集光部14と偏光回転部16との間隙に空気を充填した領域であってもよいし、該間隙に透明な誘電体材料を充填した領域(図2中、ギャップ領域20A参照)であってもよい。すなわち、偏光変換素子10のギャップ領域20をギャップ領域20Aとした偏光変換素子10Aとしてもよい。なお、図2に示す偏光変換素子10Aは、ギャップ領域20に変えてギャップ領域20Aを用いた以外は偏光変換素子10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0032】
偏光回転部16は、入射した光の偏光方向を変えることなくそのまま透過させる透過領域16Bと、入射した光の偏光方向を変えて出射させる回転領域16Aと、により形成されている。これらの透過領域16Bと回転領域16Aとは、XY平面に沿って交互に配列されている。そして、偏光回転部16では、各回転領域16Aが、集光層14Aの各単位構造(単位周期W1)に対応する位置に設けられている。また、この回転領域16Aは、集光層14Aの各単位構造によって集光された光が集光する位置に対応して配置されている。すなわち、回転領域16Aには、集光層14Aを透過したTE偏光成分が集光される。そして、各回転領域16Aは、上記単位周期W1毎に、該単位周期W1より小さい単位周期W2(W1>W2)でXY平面に沿って配置されている。
【0033】
なお、単位周期W2は、集光層14Aによるシリンドリカルレンズ構造の集光スポット径に合わせて調整すればよい。例えば、この単位周期W2は、単位周期W1の5%以上40%以下程度の範囲が好ましい。
【0034】
回転領域16Aは、特定の偏光成分について、1/2波長分の位相をシフトさせる機能を有する。このため、回転領域16Aに入射したTE偏光成分は、TM偏光成分として出射される。一方、回転領域16Aに入射したTM偏光成分は、TE偏光成分として出射される。
【0035】
この回転領域16Aは、該機能を有する領域であればよく、色素含有ポリマー等から構成してもよいし、サブ波長構造、位相変調構造、旋光素子等により構成してもよい。なお、小型化や透過効率の観点からは、回転領域16Aとしては、サブ波長構造、位相変調構造、旋光素子等により構成することが好ましい。このため、回転領域16Aとしては、入射する光の波長以下の周期構造を有する回折格子により構成することが好ましい。
【0036】
この回転領域16Aに用いられる回折格子としては、入射する光に対して透明な板状部材を、格子ベクトル方向をX軸方向とY軸方向との中間の方向(45°方向)として配列した構成が挙げられる。該板状部材の構成材料としては、入射する光に対して透明な誘電体材料が挙げられる。
【0037】
透過領域16Bは、入射する光の電場振動方向を変えずにそのまま透過させる領域である。
【0038】
上記回転領域16A及び透過領域16Bを有する偏光回転部16は、例えば、透明なガラス基板上の、集光層14Aの各単位構造に対応する位置に、回転領域16Aを単位周期W2で形成することによって作製される。例えば、偏光回転部16は、ガラス等の透明基板の表面を加工すること、または、ガラス等の透明基板にガラス等と異なる屈折率を有する膜を形成し、その膜を加工すること等により作製される。
【0039】
基板12及び基板18は、入射する光に対して透明な誘電体材料から構成される。
【0040】
なお、本実施の形態における偏光変換素子10では、基板12と基板18との間に、光入射側から順に、偏光選択集光部14、ギャップ領域20、及び偏光回転部16が設けられた構成である場合を説明するが、基板12及び基板18の少なくとも一方を設けない構成であってもよい。具体的には、図3に示すように、基板18を有さない構成の偏光変換素子10Cとしてもよい。なお、図3に示す偏光変換素子10Cは、基板18を備えない以外は偏光変換素子10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0041】
以上のように構成された本実施の形態の偏光変換素子10では、光が基板12側から入射すると、入射した光を特定の電場振動方向の直線偏光として出射する。
【0042】
ここで、上述のように、本実施の形態の偏光変換素子10では、偏光選択集光部14は、集光層14A及び補正層14Bの積層体である。
【0043】
偏光選択集光部14が補正層14Bを有さず、集光層14Aのみから構成されていると、入射する光に含まれるTE偏光成分のみではなく、TM偏光成分にもまた集光力が付与される。このため、補正層14Bを有さない構成である場合には、TE偏光成分のみではなくTM偏光成分もまた偏光回転部16の回転領域16Aに集光されることとなる。
【0044】
これは、集光層14Aにおける上記原点を透過したTM偏光成分と、集光層14A上の各位置におけるTM偏光成分と、の位相の差が、一定とはならないためである。このため、集光層14Aのみから偏光選択集光部14を構成した場合には、入射する光に含まれるTE偏光成分と共に、TM偏光成分もまた集光されてしまい、TE偏光成分を選択的に回転領域16Aに集光させることは出来ない。
【0045】
一方、本実施の形態では、集光層14Aの光出射側に補正層14Bが設けられている。この補正層14Bは、上述のように、集光層14Aを透過することによってTM偏光成分に付与された集光力を相殺する、位相補正機能を有する。具体的には、補正層14Bは、集光層14Aを透過して該補正層14Bに入射したTM偏光成分における位相差を相殺するように補正する。このため、補正層14Bを光が透過することによって、集光層14AによってTM偏光成分に付与された集光力が相殺されて、TE偏光成分が選択的に回転領域16Aに向かって集光される。
【0046】
このような集光層14Aによる集光機能及び補正層14Bによる位相補正機能の発現は、これらの層における周期構造のパラメータの調整と格子ベクトル方向の調整とを組み合わせることによって実現される。
【0047】
まず、集光層14A及び補正層14Bにおける周期構造のパラメータの調整について説明する。
【0048】
図4には、集光層14A及び補正層14Bにおける周期構造を模式的に示した。
【0049】
図4に示すように、集光層14A及び補正層14Bは、例えば、入射する光に対して透明な板状部材15Aを複数配列した構成の回折格子とされている。
【0050】
本実施の形態では、集光層14A及び補正層14Bにおける周期構造のパラメータとは、板状部材15Aのピッチ(補正層14B及び集光層14Aの周期構造の周期に相当、図4中、ピッチp参照)、板状部材15Aの格子幅(板状部材15Aの配列方向の長さに相当、図4中、格子幅w参照)、板状部材15Aの高さ(図4中、高さd参照)、板状部材15Aの屈折率n(以下、格子屈折率nと称する)、及び背景媒質15Bの屈折率n(以下、屈折率nと称する)を示している。
【0051】
以下には、これらの周期構造のパラメータと、集光層14A及び補正層14Bの各々を透過するTE偏光成分の有効屈折率nTEとの関係式を示した。また、これらの周期構造のパラメータと、集光層14A及び補正層14Bの各々を透過するTM偏光成分の有効屈折率nTMとの関係式についても以下に示した。
【0052】
【数1】

【0053】
【数2】

【0054】
【数3】

【0055】
なお、式(1)中、nTEは、TE偏光成分の有効屈折率を示す。また、式(2)中、nTMは、TM偏光成分の有効屈折率を示す。また、式(1)及び式(2)中、nは、板状部材15Aの格子屈折率を示し、nは、背景媒質15Bの屈折率を示す。また、式(1)及び式(2)中、pは、板状部材15Aのピッチを示し、wは、板状部材15Aの格子幅を示す。
【0056】
また、図5には、一例として、集光層14Aについて、格子屈折率nを“3.68”、背景媒質15Bの屈折率nを“1”とした場合の、該集光層14AにおけるTE偏光成分の有効屈折率nTE及びTM偏光成分の有効屈折率nTMと、フィルファクタfと、の関係を示した。
【0057】
そして、集光層14A及び補正層14Bの各々を透過したTE偏光成分及びTM偏光成分における位相差は、有効屈折率nTEやTM偏光成分の有効屈折率nTMの変化、及び板状部材15Aの高さ(図4中、高さd参照)に比例する。また、これらの位相差は、これらの集光層14Aや補正層14Bに入射する光の波長に対して反比例する。
【0058】
例えば、集光層14Aに入射する光の波長を0.95μmとし、板状部材15Aの高さdを0.35μmとしたときの、TM偏光成分及びTE偏光成分の各々におけるフィルファクタfと上記位相差との関係は、図6に示す関係となる。
【0059】
以上のことから、フィルファクタf等の上記周期構造のパラメータを調整することによって、集光層14A及び補正層14Bの各々における周期構造を空間分解能として、これらの層を透過する光の位相が調整されるといえる。
【0060】
そして、この周期構造のパラメータの調整と周期構造の格子ベクトル方向の調整とを組み合わせる事によって、集光層14A及び補正層14Bについて、各々集光機能及び位相補正機能が発現するように設計することができる。
【0061】
ここで、本実施の形態の偏光変換素子10における集光層14A及び補正層14Bの各々を光が透過したときの該光の状態について説明する。
【0062】
図7には、偏光選択集光部14を透過したTE偏光成分及びTM偏光成分における位相差の分布を模式的に示した。
【0063】
図7(A)に示す偏光変換素子10の基板12側から基板18側に向かって光が入射すると、入射する光に含まれるTE偏光成分は、偏光選択集光部14を透過することによって回転領域16Aに向かって集光する。このため、偏光選択集光部14を透過したTE偏光成分は、図7(B)に示すような球面波22を形成する。このため、偏光選択集光部14を透過したTE偏光成分の、上記原点からの位置に対する有効屈折率nTEの分布は、図7(C)に示すような鋸波状となる。
【0064】
そして、偏光選択集光部14を透過したTE偏光成分における位相差の分布は、図7(D)に示すように、該図7(C)に示す有効屈折率nTEの波形の高低を反転させたフレネル形状となる。このため、偏光選択集光部14を透過したTE偏光成分は、偏光回転領域16Aに向かって図7(B)に示すような球面波22を形成する。このため、偏光選択集光部14を透過したTE偏光成分は、回転領域16Aに向かって集光する。
【0065】
一方、図7(A)に示す偏光変換素子10の基板12側から基板18側に向かって光が入射すると、入射する光に含まれるTM偏光成分は、集光せずに偏光選択集光部14を透過する。このため、偏光選択集光部14を透過したTM偏光成分は、図7(E)に示すような平面状の波24を形成する。このため、偏光選択集光部14を透過したTM偏光成分の、上記原点からの位置に対する有効屈折率nTMの分布は、図7(F)に示すような直線状の一定の分布となる。そして、偏光選択集光部14を透過したTM偏光成分における位相差の分布についても、図7(G)に示すように、一定の分布となる。このため、偏光選択集光部14を透過したTM偏光成分は、偏光回転領域16Aに向かって図7(E)に示すような平面状の波24となる。このため、偏光選択集光部14を透過したTM偏光成分は、集光せずに、偏光回転部16の全領域に向かって伝播する。
【0066】
本実施の形態では、このような、偏光選択集光部14を透過したTM偏光成分について、図8(G)及び図7(E)に示すような直線状の一定の分布が得られるように、補正層14Bの周期構造のパラメータと格子ベクトル方向を調整する。これによって、補正層14Bには上記位相補正機能が発現する。また、図7(B)に示す球面波22が得られるように、集光層14Aの周期構造のパラメータと格子ベクトル方向を調整する。これによって、集光層14Aには集光機能が発現する。
【0067】
具体的には、まず、集光層14Aを透過したTM偏光成分における位相差の分布(図8(J)参照)と、補正層14Bを透過したTM偏光成分における位相差の分布(図8(K)参照)と、の位置毎の位相差の和が一定(図8(L)参照)となるように、補正層14Bにおける上記原点からの位置に対する位相差分布を設定する。
【0068】
この位相差分布の設定のために、本実施の形態では、集光層14Aと補正層14Bとの格子ベクトル方向を互いに直交させた状態とする(X軸方向とY軸方向)。そして、この格子ベクトル方向を互いに直交させた状態で更に、フィルファクタfを調整する。このように、集光層14Aと補正層14Bとの格子ベクトル方向を直交させることによって、フィルファクタf調整時の、TE偏光成分の有効屈折率nTEの値と、TM偏光成分の有効屈折率nTMの値との高低関係が逆転する。
【0069】
すなわち、格子ベクトルを直交させることによって、集光層14AのTM偏光成分の有効屈折率nTMと、補正層14BのTM偏光成分の有効屈折率nTMと、が概ね同程度となる(図8(H)及び図8(I)参照)。このため、これらの有効屈折率の高低関係を利用し、さらにフィルファクタfの調整を組み合わせることによって、補正層14BによるTM偏光成分における位相差の相殺設計が可能となる(図8(J)、図8(K)、及び図8(L)参照)。
【0070】
また、このように集光層14Aと補正層14Bとの格子ベクトルを直交させると、集光層14AのTE偏光成分の有効屈折率nTEがTM偏光成分の有効屈折率nTMに比べて非常に低くなる(図8(B)及び図8(H)参照)。このため、集光層14Aを透過したTE偏光成分における位相差(図8(C)参照)と、補正層14Bを透過したTE偏光成分における位相差(図8(E)参照)と、の和は、図8(F)及び図7(D)に示すようなフレネル形状となる。このため、偏光選択集光部14を透過したTE偏光成分は、偏光回転領域16Aに向かって図8(A)及び図7(B)に示すような球面波22を形成する。そして更に、集光層14Aのフィルファクタfを調整することで、集光層14AによるTE偏光成分の集光設計が可能となる。
【0071】
なお、集光層14A及び補正層14Bのフィルファクタfの値は、具体的には、下記のようにして定められる。
【0072】
図9には、集光層14Aの周期構造におけるフィルファクタfと、集光層14Aを透過したTE偏光成分における位相差との関係(線図42参照)の一例を示した。また、図9には、一例として、集光層14Aの周期構造におけるフィルファクタfと、集光層14Aを透過したTM偏光成分における位相差との関係(線図40参照)の一例を示した。
【0073】
また、図10には、補正層14Bの周期構造におけるフィルファクタfと、補正層14Bを透過したTE偏光成分における位相差との関係(線図44参照)の一例を示した。また、図10には、補正層14Bの格子構造におけるフィルファクタfと、補正層14Bを透過したTM偏光成分における位相差との関係(線図46参照)の一例を示した。
【0074】
まず、図9に示す線図42から、TE偏光成分における該位相差が、位相差0°以上315°以下の範囲で一定間隔となるようなフィルファクタfの値を抽出する(図9中、位相差a〜gの各々に対応する、フィルファクタf:a’〜g’参照)。
【0075】
次に、このフィルファクタfの値であるa’〜g’の各々に対応する、TM偏光成分における位相差を図9に示す線図40から求める(図示省略、例えば、a1〜g1とする)。そして、この線図40から求めたTM偏光成分における位相差(a1〜g1)の各々に対応するフィルファクタfの値を、図10に示す線図46から再度抽出する(図10中、フィルファクタf:a1’〜g1’参照)。
【0076】
これによって、フィルファクタfの値が定められる。そして、これらの再度抽出されたフィルファクタf(図10中、a1’〜g1’参照)の値、及び上記式(1)及び式(2)に基づいて、集光層14A及び補正層14Bの周期構造の各パラメータの値を設定すると共に、格子ベクトル方法が互いに直交した集光層14A及び補正層14Bとする。
【0077】
これによって、集光層14AがTE偏光成分を集光させ、補正層14Bが集光層14Aを透過したTM偏光成分における位相差を相殺するように設計することができる。
【0078】
以上のように構成された本実施の形態の偏光変換素子10では、入射する光が基板12側から入射すると、図11(A)に示すように、入射する光に含まれるTE偏光成分が、偏光選択集光部14によって選択的に集光される。偏光選択集光部14によって集光されたTE偏光成分は、ギャップ領域20を介して回転領域16Aに至る。そして、回転領域16Aによる1/2波長分の位相シフトによって、TE偏光成分はTM偏光成分に変換される。そして、この変換されたTM偏光成分は、基板18を介して偏光変換素子10の外部へと放射される。
【0079】
一方、図11(B)に示すように、偏光変換素子10に入射した光に含まれるTM偏光成分は、偏光選択集光部14において集光されずに偏光選択集光部14を透過して、偏光回転部16の全領域に至る。すなわち、TM偏光成分は、偏光回転部16の回転領域16A及び透過領域16Bの双方の領域に至る。回転領域16Aに至ったTM偏光成分は、TE偏光成分に変換され、基板18を介して偏光変換素子10の外部へと放射される。一方、透過領域16Bに至ったTM偏光成分は、TM偏光成分のまま偏光変換素子10の外部へと放射される。
【0080】
このように、本実施の形態の偏光変換素子10では、偏光変換素子10に入射した光に含まれるTM偏光成分については集光させずに透過し、TE偏光成分を選択的に集光させてTM偏光成分の光に変換して出射する。このため、入射する光に含まれるTE偏光成分を効率よくTM偏光成分に変換して出射することができる。このため、入射する光に対して、TM偏光成分について50%以上の光利用効率を得ることができる。
【0081】
従って、本実施の形態の偏光変換素子10では、偏光選択集光部14、及び偏光回転部16によって、TM偏光成分について高い光利用効率を得ることができ、これらの2層による簡便な構成で、偏光変換素子10を構成することができる。
【0082】
また、上述のように、本実施の形態の偏光変換素子10を構成する偏光選択集光部14及び偏光回転部16は、ガラス等の透明基板の表面を加工すること、または、ガラス等の透明基板にガラス等と異なる屈折率を有する膜を形成し、その膜を加工すること等により得られる。即ち、本実施の形態の偏光変換素子10を構成する各部は、プリズム等の大型の部材を含むものではなく、作製の際に接着工程を必要とすることなく、光学的なアライメント等を行う必要もないものである。よって、本実施の形態における偏光変換素子10では、容易に小型化にすることができ、また、低コストで製造することが可能である。
【0083】
なお、本実施の形態では、偏光変換素子10における偏光選択集光部14は、集光層14A上に補正層14Bを光入射側から順に積層した構成である場合を説明した。しかし、これらの集光層14A及び補正層14Bは、光入射側からこの順に設けられていればよく、集光層14A及び補正層14Bが、間隙を介して設けられた構成であってもよい。
【0084】
例えば、図12(A)及び図12(B)に示すように、集光層14A及び補正層14Bが、ギャップ領域14Cを介して積層された偏光選択集光部14Dを備えた、偏光変換素子10Dとしてもよい。なお、偏光変換素子10Dは、偏光選択集光部14に代えて、ギャップ領域14Cの設けられた偏光選択集光部14Dを用いた以外は、偏光変換素子10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0085】
なお、このギャップ領域14Cは、空隙として構成してもよいし、入射する光に対して透明な誘電体材料を充填することで構成してもよい。このギャップ領域14Cの厚み(図12中、厚みd1参照)は、‘0’であることが好ましいが、‘0’でない場合には、このギャップ領域14Cの厚みd1は、入射する光の波長の1/2の厚みであることが好ましい。
【0086】
ギャップ領域14Cの厚みd1を該厚みとすることによって、集光層14Aと補正層14Bとの層間において、該層間に至った光が多重反射し、集光層14Aを透過した光の位相の整合が図れる。このため、該層間に至った光の干渉による、偏光変換素子10Dから出射される光の強度低下を抑制することができる。このため、偏光変換素子10Dにおける高い光変換効率を実現することができる。
【0087】
なお、偏光変換素子10における偏光回転部16の光出射側には、さらに、TM偏光成分を選択的に透過する機能を有する偏光選択部を設けた構成としてもよい。
【0088】
この場合には、例えば、図3に示す偏光変換素子10Cの回転領域16Aの光出射側に、偏光選択部50を配置した構成の偏光変換素子10Eとすればよい(図13参照)。なお、図13に示す偏光変換素子10Eは、回転領域16Aの光出射側に更に偏光選択部50を設けた以外は、図3を用いて説明した偏光変換素子10Cと同じ構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0089】
同様に、例えば、図2に示す偏光変換素子10Aにおける基板18と偏光回転部16との間に、偏光選択部50を配置した構成の偏光変換素子10F(図14参照)としてもよい。なお、図14に示す偏光変換素子10Fは、偏光回転部16より光出射側で且つ基板18より光入射側に、偏光選択部50を設けた以外は、図2を用いて説明した偏光変換素子10Aと同じ構成である。このため、詳細な説明は省略する。
【0090】
この偏光選択部50としては、上記機能を有する構造であればいかなる構造であってもよいが、小型化薄型化の観点から、入射する光の波長以下の周期で複数の金属線を周期的に配列させた構造の、ワイヤグリッド偏光子構造を用いることが好ましい。なお、この金属線に用いられる金属材料としては、該偏光選択部50に入射する光の帯域が可視・近赤外帯域(0.4μm〜1μm)である場合には、Al(アルミニウム)を選択することが好ましい。
【0091】
このような偏光選択部50を偏光回転部16より光出射側に配置することにより、特定の偏光成分をより高い消光比で得ることができる。
【0092】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0093】
10、10A、10C、10D、10E、10F 偏光変換素子
14 偏光選択集光部
14A 集光層
14B 補正層
16 偏光回転部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2002−122733号公報
【特許文献2】特開2001−318217号公報
【特許文献3】特開2004−61905号公報
【特許文献4】特開2005−10377号公報
【特許文献5】特表2003−502708号公報
【特許文献6】特開2000−171754号公報
【特許文献7】特開2005−128241号公報
【非特許文献】
【0095】
【非特許文献1】「Rigorous concept for the design of diffractive microlenseswith high numerical apertures」Journal of the Optical Society of America A, Vol14(4),pp901−906 (1997)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光に含まれる電場振動方向が互いに直交する2種類の偏光成分の内の少なくとも一方の第1の偏光成分を集光させる集光層と、
前記集光層より光出射側に設けられ、前記2種類の偏光成分の内の該集光層を透過した他方の第2の偏光成分における位相差を相殺するように補正する補正層と、
前記補正層より光出射側に設けられ、前記集光層によって集光された前記第1の偏光成分の電場振動方向を前記第2の偏光成分の電場振動方向に偏光回転させる偏光回転部と、
を備えた偏光変換素子。
【請求項2】
前記集光層及び前記補正層が、入射する光の波長より小さい周期構造を有する回折格子からなり、且つ該集光層と該補正層の格子方向が互いに直交する請求項1に記載の偏光変換素子。
【請求項3】
前記集光層と前記補正層との層間隔が、入射する光の光路長の1/2±10%である請求項1または請求項2に記載の偏光変換素子。
【請求項4】
前記偏光回転部の光出射側に設けられ、前記他方の偏光成分を透過する偏光選択部を更に備えた請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の偏光変換素子。
【請求項5】
前記偏光選択部が、入射する光の波長より小さい周期で配列された複数の金属線により構成された請求項4に記載の偏光変換素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−145833(P2012−145833A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5163(P2011−5163)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】