説明

偏光板、その製造方法およびこれを含む画像表示装置

本発明は、偏光板、その製造方法およびこれを用いた画像表示装置に関し、より詳しくは、a)偏光子、およびb)前記偏光子の少なくとも一方の面に備えられ、光硬化性組成物100重量部に対し(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部および(C)光重合開始剤1から20重量部を含む光硬化性組成物から形成される硬化樹脂層を含むことを特徴とする偏光板、その製造方法およびこれを用いた画像表示装置に関する。本発明によれば偏光特性および耐久性に優れて表面硬度が高く、薄型化できる偏光板を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板、その製造方法およびこれを用いた画像表示装置に関する。本出願は2009年12月15日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0124757号の出願日の利益を主張し、その内容の全部は本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
偏光板は多層のプラスチック光学フィルムで構成され、液晶パネルの前面と後面に設置され、これらの光学フィルムのうち、ヨウ素および染料などの偏光媒質を吸着したPVA(ポリビニルアルコール)偏光フィルムは、偏光板の核心といえる。PVA偏光フィルムは光学特性に優れるが、温度、湿度および光に対する耐久性がぜい弱であり、これを保護するための保護フィルムをPVA両面に接着して、強度および耐久性を補完しなければならない。
【0003】
最近、偏光板保護フィルムは、いくつかの機能を同時に有する高機能型に発展している傾向であり、ハードコート(hard coat)処理、乱反射(anti−glare)コーティング、無反射(anti−reflection)コーティングなどの機能を同時に有する一体型の偏光板保護フィルムに開発され、薄型化と価格競争力を実現している。特に、最近は画像液晶装置の用途が広範囲になり、色々な分野の装置に使われており、偏光板の硬度の向上および薄型化に対する関心が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、偏光特性、耐久性、表面硬度に優れており、薄型化できる偏光板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、前記偏光板を含む画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、a)偏光子、およびb)前記偏光子の少なくとも一方の面に備えられ、光硬化性組成物100重量部に対し(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部、(C)光重合開始剤1から20重量部および(D)光硬化性オリゴマー0から50重量部を含む光硬化性組成物から形成される硬化樹脂層を含む偏光板を提供する。
【0007】
また、本発明は、a)光硬化性組成物100重量部に対し、(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部および(C)光重合開始剤1から20重量部を含む光硬化性組成物を製造するステップ;およびb)前記製造された光硬化性組成物を用いて、偏光子の少なくとも一方の面に直接硬化樹脂層を形成するステップを含む偏光板の製造方法を提供する。
【0008】
前記a)ステップ以前に前記(A)光硬化性アクリル系重合体を製造するステップをさらに含むことができる。
【0009】
また、本発明は、a)光硬化性組成物100重量部に対し、(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部および(C)光重合開始剤1から20重量部を含む光硬化性組成物を製造するステップ;およびb)前記製造された光硬化性組成物から製造された硬化樹脂層を接着剤層を介して偏光子の少なくとも一方の面に形成するステップを含む偏光板の製造方法を提供する。
【0010】
前記a)ステップ以前に前記(A)光硬化性アクリル系重合体を製造するステップをさらに含むことができる。
【0011】
本発明において、前記(A)光硬化性アクリル系重合体はアクリロイル官能基を含むことが好ましく、(a)アクリレート系単量体、(b)芳香族ビニル系単量体および(c)N−置換マレイミド系単量体を含み、アクリロイル官能基を含むことがより一層好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記本発明に係る偏光板を含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、偏光特性および耐久性に優れるだけでなく、表面硬度が高く、薄型化できる偏光板を提供することができる。また、本発明に係る前記偏光板を含み、偏光特性などの物性に優れた画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る偏光板の構造を示した模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る偏光板の構造を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明に係る偏光板は、a)偏光子、およびb)前記偏光子の少なくとも一方の面に備えられ、光硬化性組成物100重量部に対し(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部および(C)光重合開始剤1から20重量部を含む光硬化性組成物から形成される硬化樹脂層を含む偏光板であることを特徴とする。
【0017】
<偏光子>
本発明に用いられる偏光子としては、本発明の目的を達成できるものならば任意の適切なものを選択して用いることができ、本発明で特別に限定はしないが、好ましくはPVAフィルムを用いることができる。
【0018】
<硬化樹脂層の製造>
本発明に係る硬化樹脂層は、光硬化性組成物100重量部に対し(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部、(C)光重合開始剤1から20重量部および(D)光硬化性オリゴマー0から50重量部を含む光硬化性組成物から形成されることを特徴とする。
【0019】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体は(a)アクリレート系単量体、(b)芳香族ビニル系単量体、および(c)N−置換マレイミド系単量体を含む重合体であり、紫外線(UV)硬化時反応に参加できるアクリロイル官能基を含む。ここで、重合体内に含まれる単量体とは、単量体の二重結合が重合されて重合体の構造内に結合したものを意味するものと理解される。
【0020】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体は、硬化樹脂層を形成する光硬化性組成物100重量部に対し4から95重量部であることが好ましい。
【0021】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体の重量平均分子量は、10,000g/mol〜200,000g/molの範囲であることが好ましい。前記(A)光硬化性アクリル系重合体の重量平均分子量が10,000g/mol未満ならば、フィルム形成がなされにくく、フィルムが砕け易い特性(brittleness)を有するようになり好ましくない。前記重量平均分子量が大き過ぎると、フィルムの硬度(hardness)を所望の水準で得られない。
【0022】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体は、紫外線(UV)硬化時反応に参加できるアクリロイル官能基を含み、前記光硬化性アクリル系重合体100重量部に対しアクリロイル官能基が5から90重量部であることが好ましい。前記(a)アクリレート系単量体としては、エチルアクリレートなどのアルキルアクリレート;メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート;およびこれらの混合物からなる群から選択するものが好ましく、前記(a)アクリレート系単量体は、前記(A)光硬化性アクリル系重合体100重量部に対し30から98重量部であることが好ましい。
【0023】
前記(b)芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、メチルスチレンおよびこれらの混合物からなる群から選択するものが好ましく、前記(b)芳香族ビニル系単量体は前記(A)光硬化性アクリル系重合体100重量部に対し1から30重量部であることが好ましい。
【0024】
前記(c)N−置換マレイミド系単量体としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−s−マレイミド、N−t−マレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ドデシルマレイミド、N−アリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−ヒドロキシ基マレイミド、N−メトキシマレイミド、N−エトキシマレイミド、N−モノクロロフェニルマレイミド、N−ジクロロフェニルマレイミド、N−モノメチルフェニルマレイミド、N−ジメチルフェニルマレイミドおよびN−エチルフェニルマレイミドからなる群から選択するものが好ましく、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドがさらに好ましい。前記(c)N−置換マレイミド系単量体は、前記(A)光硬化性アクリル系重合体100重量部に対し1から40重量部であることが好ましい。
【0025】
前記(B)多官能アクリル系単量体は、紫外線(UV)硬化時反応に参加できるアクリレート官能基を1つ以上含む単量体を意味するものであり、その種類が特別に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野において通常用いられるものを選択して用いることができる。具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチレンプロピルトリアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、およびトリメチロプロパンエトキシトリアクリレートからなる群から選択するものが好ましく、前記(B)多官能アクリル系単量体は、硬化樹脂層を形成する光硬化性組成物100重量部に対し4から95重量部であることが好ましい。
【0026】
前記(C)光重合開始剤としては、この分野において通常用いられる光重合開始剤を用い、本発明で特別に限定はしない。具体的には、クロロアセトフェノン(Chloroacetophenone)、ジエトキシアセトフェノン(Diethoxy Acetophenone)、ヒドロキシアセトフェノン(Hydroxy Acetophenone(商品名Darocure 1173、Irgacure 184等))、α−アミノアセトフェノン(α−Amino Acetophenone(商品名Irgacure−907等))、ベンゾインエーテル(Benzoin Ether)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal(商品名Irgacure−651等))、ベンゾフェノン(BenzoPhenone)、チオキサントン(Thioxanthone)、2−2−エチルアントラキノン(2−EthylAnthraquinone、2−ETAQ)等を用いることができ、用いられるUVランプの波長帯に合わせて選択して用いることができる。
【0027】
前記(C)光重合開始剤は、硬化樹脂層を形成する光硬化性組成物100重量部に対し1から20重量部であることが好ましい。
【0028】
前記(D)光硬化性オリゴマーは、紫外線(UV)硬化時反応に参加できるアクリレート官能基を少なくとも1つ以上含むオリゴマーを意味し、その種類が特別に限定されるものではないが、具体的には、ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリリックアクリレートオリゴマーなどを用いることができる。
【0029】
前記(D)光硬化性オリゴマーは、硬化樹脂層を形成する光硬化性組成物100重量部に対し0から50重量部であることが好ましい。
【0030】
前記(D)光硬化性オリゴマーの重量平均分子量は、1,000g/mol〜100,000g/molの範囲であることが好ましい。
【0031】
前記光硬化性組成物は追で溶媒をさらに含むことができる。溶媒としては、当技術分野に知られている溶媒を用いることができる。例えば、メチルエチルケトンなどが用いられうる。溶媒の使用量はコーティング性、工程性などを考慮して当業者が容易に決めることができる。
【0032】
<偏光板の製造および画像表示装置>
本発明の一実施形態に係る偏光板は、前記偏光子および硬化樹脂層を含み、前記偏光子の少なくとも一方の面に硬化樹脂層が形成されていることを特徴とする(図1)。
【0033】
また、本発明のもう一つの実施形態に係る偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に接着剤を用いて、前記光硬化組成物を用いて形成されたフィルムをラミネーション(lamination)して製造されることを特徴とする(図2)。この時、前記光硬化組成物を用いて形成されたフィルムは別途の離型フィルム上にコーティングされて形成されうる。
【0034】
前記硬化樹脂層の厚さは0.1μm〜50μmでありえ、5μm〜30μmであることが好ましく、10μm〜20μmであることがより一層好ましい。
【0035】
上述したとおり、硬化樹脂層の厚さ範囲を前記範囲内で調節できるため、本発明に係る偏光板は60μm〜70μmの厚さ範囲内まで達成することができる。
前記接着剤としては、この分野において通常用いられるものを用いることができ、本発明で特別に限定はしない。
【0036】
本発明に係る画像表示装置は、前記本発明に係る偏光板を含むことを特徴とする。本発明に係る偏光板を含む場合には、偏光特性、耐久性などの物性に優れた画像表示装置を提供することができる。本発明に係る画像表示装置は、本発明に係る偏光板を含むことを除いては、他の部分には制限を設けない。例えば、前記画像表示装置は、液晶セルおよび液晶セルの両面に備えられた2つの偏光板を含む構成を有することができ、前記偏光板のうちの少なくとも一つが本発明に係る偏光板でありうる。前記画像表示装置はバックライトユニットや位相差フィルムなどの光学フィルムをさらに含むことができる。
【0037】
本発明を下記の実施例を通して、より具体的に説明する。しかし、これらの実施例は単に例示的なものであるだけで、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[物性評価]
*厚さ測定;デジタルマイクロメータを使って測定した。
*鉛筆硬度測定;異なる硬度の鉛筆を用いて硬化樹脂層表面の鉛筆スクラッチ値を測定した。
【実施例】
【0038】
実施例1
(A)光硬化性アクリル系重合体の製造
メチルメタクリレート60g、グリシジルメタクリレート30g、スチレン5g、N−シクロヘキシルマレイミド5gおよびn−ドデシルメルカプタン0.2gと有機溶媒としてメチルイソブチルケトン233gを入れた後、反応溶液内部の温度が65℃に到達したら、アゾビスイソブチロニトリル0.3gを投入して18時間重合反応をする。重合禁止剤である4−t−ブチルピロカテコール0.1gを投入して反応を終結し、収率99%の重合体を得た。得られた重合体にアクリル酸15g、ジメチルアミノピリジン0.1gを投入して、110℃の温度で18時間反応させてアクリロイル官能基を含む光硬化性アクリル系重合体(重量平均分子量80,000g/mol)を製造した。
【0039】
(B)光硬化性組成物(ハードコーティング組成物)の製造
前記製造された(A)光硬化性アクリル系重合体40g、ペンタエリスリトールトリアクリレート60g、ウレタンアクリレートオリゴマーRS27−921(DIC Corp.)20g、光重合開始剤としてヒドロキシアセトフェノン(Darocure 1173)1.5g、ヒドロキシアセトフェノン(Irgacure 184)2.4g、α−アミノアセトフェノン(Irgacure 907)1.9gおよび有機溶媒としてメチルエチルケトン89gを混合して、光硬化性組成物(ハードコーティング組成物)を製造した。
【0040】
(C)偏光板の製造
前記製造されたハードコーティング組成物をPET離型フィルム(50μm)の上にバー(BAR)コーティング方式で乾燥厚さ15μmになるように塗布した。前記コーティングされたフィルムを90℃のオーブンで3分間乾燥した後、窒素の雰囲気で高圧水銀ランプを用いて積算光量が610mJ/cmになるように照射した。
前記製造されたハードコーティングフィルムを接着剤を用いて偏光子PVAフィルムと両面ラミネーション(lamination)した。それぞれのフィルムを接合した後、多層フィルム厚さ65μmの偏光板を形成した。
前記製造された偏光板の硬化樹脂層表面の鉛筆硬度は4Hであり、常温で24時間保存後、硬化層表面でクラック(CRACK)およびカール(CURL)が観察されなかった。
【0041】
実施例2
(A)光硬化性アクリル系重合体および(B)光硬化性組成物(ハードコーティング組成物)の製造は、前記実施例1と同一に実施した。
【0042】
(C)偏光板の製造
前記(B)で製造された光硬化性組成物(ハードコーティング組成物)を偏光子PVAフィルムの上にバー(BAR)コーティング方式で乾燥厚さ15μmになるように塗布した。コーティングされたフィルムを90℃のオーブンで3分間乾燥した後、窒素の雰囲気で高圧水銀ランプを用いて積算光量が610mJ/cmになるように照射した。
両面同一方式でコーティングして、フィルム厚さ65μmの偏光板を形成することを除いては、実施例1と同一に実施した。
前記製造された偏光板の硬化樹脂層表面の鉛筆硬度は5Hであり、常温で24時間保存後、硬化層表面でクラック(CRACK)およびカール(CURL)が観察されなかった。
【0043】
実施例3
(A)光硬化性アクリル系重合体の製造
前記実施例1と同一に実施した。
【0044】
(B)光硬化性組成物(ハードコーティング組成物)の製造
前記実施例1で製造された(A)光硬化性アクリル系重合体40g、ペンタエリスリトールトリアクリレート60gを適用して、ウレタンアクリレートオリゴマーを用いないことを除いては、実施例1と同一に実施した(図1)。
【0045】
(C)偏光板の製造
前記実施例1と同一に実施し、その結果、多層フィルム厚さ65μmの偏光板を形成した。
【0046】
前記製造された偏光板の硬化樹脂層表面の鉛筆硬度は4Hであり、常温で24時間保存後、硬化層表面でクラック(CRACK)およびカール(CURL)が観察されなかった。
【0047】
実施例4
(A)光硬化性アクリル系重合体の製造
メチルメタクリレート60g、グリシジルメタクリレート30g、スチレン5g、N−フェニルマレイミド5gおよびn−ドデシルメルカプタン0.2gと有機溶媒としてメチルイソブチルケトン233gを入れた後、反応溶液内部の温度が65℃に到達したら、アゾビスイソブチロニトリル0.3gを投入して18時間重合反応をする。重合禁止剤である4−t−ブチルピロカテコール0.1gを投入して反応を終結し、収率99%の重合体を得た。
【0048】
得られた重合体にアクリル酸15g、ジメチルアミノピリジン0.1gを投入して、110℃の温度で18時間反応させてアクリロイル官能基を含む光硬化性アクリル系重合体を製造した。
【0049】
(B)光硬化性組成物(ハードコーティング組成物)の製造
実施例1と同一に実施した。
【0050】
(C)偏光板の製造
実施例1と同一に実施した。前記製造された偏光板の硬化樹脂層表面の鉛筆硬度は4Hであり、常温で24時間保存後、硬化層表面でクラック(CRACK)およびカール(CURL)が観察されなかった。
【0051】
比較例1
(B)ハードコーティング組成物および(C)偏光板の製造
前記実施例1とは異なって(A)光硬化性アクリル系重合体を適用しておらず、ウレタンアクリレートオリゴマーRS27−921(DIC Corp.)60g、ペンタエリスリトールトリアクリレート40gを適用することを除いては実施例1と同一に実施し、その結果、厚さ65μmの偏光板を形成した。
【0052】
前記製造された偏光板の硬化樹脂層表面の鉛筆硬度は2Hであり、常温で24時間保存後、硬化層表面でクラック(CRACK)およびカール(CURL)が観察された。
【0053】
比較例2
(B)ハードコーティング組成物、および(C)偏光板の製造
前記実施例1とは異なって(A)光硬化性アクリル系重合体およびウレタンアクリレートオリゴマーを適用しておらず、ペンタエリスリトールトリアクリレート60g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40gを適用することを除いては実施例1と同一に実施し、その結果、厚さ65μmの偏光板を形成した。
【0054】
前記製造された偏光板の硬化樹脂層表面の鉛筆硬度は3Hであり、常温で24時間保存後、硬化層表面でクラック(CRACK)およびカール(CURL)が観察された。
上記で検討したとおり、本発明に係る光硬化性組成物を用いた偏光板は比較例で製造された偏光板に比べて表面硬度に優れており、厚さもさらに薄いだけでなく、硬化層表面にクラックおよびカールが発生しないなど、その効果に優れていることが分かった。
【0055】
上記において本発明は、記載された具体例を中心に詳細に説明されたが、本発明の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能なことは当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然のことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)偏光子、およびb)前記偏光子の少なくとも一方の面に備えられ、光硬化性組成物100重量部に対し(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部および(C)光重合開始剤1から20重量部を含む光硬化性組成物から形成される硬化樹脂層を含む偏光板。
【請求項2】
前記硬化樹脂層は、前記光硬化性組成物100重量部に対し0超過50重量部の(D)光硬化性オリゴマーをさらに含む光硬化性組成物から形成されることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体は(a)アクリレート系単量体、(b)芳香族ビニル系単量体および(c)N−置換マレイミド系単量体を含む重合体であり、前記(A)光硬化性アクリル系重合体はアクリロイル官能基を含むことを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
【請求項4】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体の重量平均分子量は10,000g/mol〜200,000g/molであることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
【請求項5】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体は(A)光硬化性アクリル系重合体100重量部に対し5から90重量部のアクリロイル官能基を含むことを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
【請求項6】
前記(a)アクリレート系単量体は、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
【請求項7】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体100重量部に対し30から98重量部の(a)アクリレート系単量体を含むことを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
【請求項8】
前記(b)芳香族ビニル系単量体は、スチレン、メチルスチレンおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
【請求項9】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体100重量部に対し1から30重量部の(b)芳香族ビニル系単量体を含むことを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
【請求項10】
前記(c)N−置換マレイミド系単量体は、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−s−マレイミド、N−t−マレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ドデシルマレイミド、N−アリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N−ヒドロキシ基マレイミド、N−メトキシマレイミド、N−エトキシマレイミド、N−モノクロロフェニルマレイミド、N−ジクロロフェニルマレイミド、N−モノメチルフェニルマレイミド、N−ジメチルフェニルマレイミドおよびN−エチルフェニルマレイミドからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
【請求項11】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体100重量部に対し1から40重量部の(c)N−置換マレイミド系単量体を含むことを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
【請求項12】
前記(c)N−置換マレイミド系単量体は、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
【請求項13】
前記(D)光硬化性オリゴマーの重量平均分子量は1,000g/mol〜100,000g/molであることを特徴とする請求項2に記載の偏光板。
【請求項14】
前記偏光板の厚さは60μm〜70μmであることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
【請求項15】
前記偏光板は前記偏光子と硬化樹脂層との間に接着剤層がさらに含まれていることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
【請求項16】
前記硬化樹脂層は前記偏光子の上に直接形成されることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
【請求項17】
a)光硬化性組成物100重量部に対し、(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部および(C)光重合開始剤1から20重量部を含む光硬化性組成物を製造するステップ;およびb)前記製造された光硬化性組成物を利用して偏光子の少なくとも一方の面に直接硬化樹脂層を形成するステップを含む偏光板の製造方法。
【請求項18】
a)光硬化性組成物100重量部に対し、(A)光硬化性アクリル系重合体4から95重量部、(B)多官能アクリル系単量体4から95重量部および(C)光重合開始剤1から20重量部を含む光硬化性組成物を製造するステップ;およびb)前記製造された光硬化性組成物から製造された硬化樹脂層を接着剤層を介して、偏光子の少なくとも一方の面に形成するステップを含む偏光板の製造方法。
【請求項19】
前記(A)光硬化性アクリル系重合体は(a)アクリレート系単量体、(b)芳香族ビニル系単量体および(c)N−置換マレイミド系単量体を含み、アクリロイル官能基を含むものである請求項17または請求項18に記載の偏光板の製造方法。
【請求項20】
請求項1から請求項16のうちのいずれか一項に記載の偏光板を含む画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−513832(P2013−513832A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544380(P2012−544380)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008970
【国際公開番号】WO2011/074871
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】