説明

偏波無依存型光アイソレータ

【課題】一対の楔型複屈折結晶板とこの間に配置されたファラデー回転子を備え組立精度と作業の改善が図られた偏波無依存型光アイソレータを提供。
【解決手段】内側本体が仕切板12で区画された空間部10aと空間部10bを有する第一ホルダ10と、外側本体が上記空間部10bに嵌入されその一方が底面部90で閉止され他方が開放された空間部9aを有する第二ホルダ9を備え、第一ホルダ10の空間部10aに楔型複屈折結晶板3が、第二ホルダ9の空間部9aに楔型複屈折結晶板5が収容され、仕切板12と底面部90間にファラデー回転子4が固定されている。また、第二ホルダ9の開放縁部に切欠凹部95が設けられ、凹部95に回転調整外部治具の凸状部が係合しこの治具の回転操作棒を作用させて第一ホルダ10に対し第二ホルダ9が回転され、これにより楔型複屈折結晶板3と楔型複屈折結晶板5の楔面同士が平行に配置される。上記治具の回転操作棒を用いる作業のため1度以内の微調整が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信や加工用に使用される高出力レーザーの戻り光対策に用いられる光アイソレータに係り、特に、構成部品の組立精度が高くかつ組立作業の簡便化が図られた偏波無依存型光アイソレータの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信に利用されている半導体レーザーやレーザー加工等に利用されている固体レーザー等は、レーザー共振器外部の光学面や加工面で反射された光がレーザー素子に戻ってくるとレーザー発振が不安定になる。発振が不安定になると、光通信の場合には信号ノイズとなり、加工用レーザーの場合にはレーザー素子が破壊されてしまうことがある。このため、このような反射戻り光がレーザー素子に戻らないよう遮断するための光アイソレータが使用されている。
【0003】
ところで、光ファイバシステムでは、一般に光ファイバから出てくる光の偏光はランダムに変化するため偏波無依存型の光アイソレータが用いられる。
【0004】
そして、この種の偏波無依存型光アイソレータとしては、一対の楔型複屈折結晶板と、これ等楔型複屈折結晶板間に配置されかつ45度偏光を回転させるファラデー回転子と、ファラデー回転子に磁界を印加する磁石とで構成された「光アイソレータコア」と呼ばれる光学部品を主要部とし、「光アイソレータコア」の両端にコリメートレンズとファイバとで構成される「ファイバコリメータ」を配置した構造のものが知られている。
【0005】
以下、「光アイソレータコア」と「ファイバコリメータ」を具備する偏波無依存型光アイソレータに順方向の光が通過する場合の作用について、図1を用いて説明する。
【0006】
まず、入射側光ファイバ1から出射しコリメートレンズ2を通過した光は平行光となり、順方向入射側に位置する楔型複屈折結晶板3を通過する。このとき、上記平行光は、入射側の楔型複屈折結晶板3により常光と異常光の2つの光に分離される。この2つの光は偏光が90°直交しており、ファラデー回転子4を通過すると各々偏光方向が45°回転し、順方向出射側に位置する楔型複屈折結晶板5に入射する。この際、入射側の楔型複屈折結晶板3と出射側の楔型複屈折結晶板5の光学軸の向きは45°異なることになるため、入射側の楔型複屈折結晶板3で常光および異常光として分離した各々の光は、出射側の楔型複屈折結晶板5の常光、異常光として各々入射する。このため、常光、異常光の各々の光はあたかも平行平板の光学結晶に入射したごとく振る舞い、入射した際の平行光と同じく平行光として出射側のコリメートレンズ6に入射し、出射側光ファイバ7に結合する。
【0007】
一方、図2に示すように偏波無依存型光アイソレータに逆方向の光が通過する場合には、出射側の楔型複屈折結晶板5を通過した常光および異常光線は、ファラデー回転子4を通過するとファラデー回転子4の非相反性のために順方向の場合と同じ向きに偏光方向が45°回転し、入射側の楔型複屈折結晶板3に入射する。その際、順方向の場合と偏光が90°回転しているため、出射側の楔型複屈折結晶板5を通過した際に常光として透過した光は、入射側の楔型複屈折結晶板3では異常光として振る舞い、異常光は常光として振る舞う。
【0008】
そして、2つの偏光は有限の角度だけ入射平行光と角度を持つことになり、コリメートレンズ2を通過した後、光ファイバ1に結合しないため、アイソレータとして機能することになる。
【0009】
ところで、偏波無依存型光アイソレータにおいて、順方向で充分高い結合効率を得るためには、一対の楔型複屈折結晶板の楔角度が等しいこと、および、楔面(すなわち、傾斜光透過面)が平行に配置されることが重要となる。
【0010】
そして、楔型複屈折結晶板の楔角度が大きいほど、また、使用するコリメートレンズの焦点距離が大きくなるほど結合効率に影響する(すなわち、楔型複屈折結晶板の楔角度、コリメートレンズの焦点距離が大きくなると、楔角度、楔面の平行配置からのズレにより結合効率の悪化が大きくなる)。
【0011】
そこで、上記影響をなるべく小さくするため、同一研磨ロットの楔型複屈折結晶板を使用することが一般的である。その他、戻り光が光ファイバのコアに戻らない程度に楔角度をなるべく小さく設定した楔型複屈折結晶板を使用することや、コリメートレンズの焦点距離を少しでも短くする方法が採られている。
【0012】
例えば、楔型複屈折結晶として安価なLiNbOを用いる場合、楔角度は13.5°で、焦点距離1.8mmのレンズを用いるのが一般的であるが、楔型複屈折結晶の楔角度を小さくするために楔角度が8°のYVOを用いる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−237268号公報
【特許文献2】特開平10−274749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、近年注目されている波長1μ付近のファイバレーザー用光アイソレータに、ビスマスが添加された希土類鉄ガーネットをファラデー回転子として適用する場合、ファラデー回転子での光吸収による熱の発生を抑制するため、ファラデー回転子に入射させる光のパワー密度を下げることが有効な手段となる。
【0015】
しかし、ファラデー回転子に入射させる光のパワー密度を下げる場合、上述した焦点距離の短いコリメートレンズを使用することはできず、焦点距離が長いレンズを使用することになる。
【0016】
更に、ファイバレーザー用光アイソレータの場合、逆方向の光が順方向入射側に位置する光ファイバのクラッドに戻ると、動作に支障を来たすことがある。
【0017】
そこで、逆方向の光を光ファイバのコアだけでなくクラッドにも戻さないようにするため、楔型複屈折結晶板の楔角度を大きくする必要があり、上述した順方向で充分高い結合効率を得る上において「光アイソレータコア」の組立調整に困難を来たすという課題が存在した。
【0018】
このような技術的背景の下、上記「光アイソレータコア」の組立調整を簡便に行える方法として、特許文献1では、楔型複屈折結晶板の光透過面以外の少なくとも1つの側面についても鏡面加工して光学面とし、この光学面を位置基準として楔角度が高精度にペアリングされた楔型複屈折結晶板を得ている。この方法を使用した楔型複屈折結晶板を用いれば、組立時の調整は容易になるが、楔型複屈折結晶板のコストが増大してしまう。
【0019】
更に、特許文献2では、金属ホルダを挟んで入射側の楔型複屈折結晶板とファラデー回転子が互いに表・裏となるように配置する構造を採用し、かつ、入射側の楔型複屈折結晶板とファラデー回転子が搭載された上記金属ホルダに対し、出射側の楔型複屈折結晶板が搭載されたケースを組み込むと共に、上記金属ホルダ若しくはケースを回転させて、入射側と出射側の各楔型複屈折結晶板の位置関係を微調整する方法を提案している。
【0020】
しかし、特許文献2で提案された微調整方法は、焦点距離が1.8mmのような短いコリメートレンズを用い、かつ、楔角度が小さい楔型複屈折結晶板を使用するような場合には調整可能であるが、上述した用途の場合、焦点距離が短いコリメートレンズや楔角度が小さい楔型複屈折結晶板を使用することができないため、金属ホルダ等を回転させて調整する精度は(+/−0.5°)程度が要求され、このような精度で回転調整することは実質的に不可能であるか、非常に時間がかかる問題を有する。
【0021】
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、楔角度の大きい楔型複屈折結晶板や焦点距離の長いコリメートレンズが適用されても簡便に結合効率の高い偏波無依存光アイソレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
すなわち、請求項1に係る発明は、
光路上に設けられた一対の楔型複屈折結晶板と、これ等楔型複屈折結晶板間の光路上に設けられたファラデー回転子とを備え、かつ、一対の楔型複屈折結晶板における傾斜光透過面同士および非傾斜光透過面同士が互いに平行となるように配置された偏波無依存型光アイソレータにおいて、
中央に光路用開口部が設けられた仕切板により内側本体が第一筒状空間部と第二筒状空間部に区画された第一ホルダと、第一ホルダの第二筒状空間部内に外側本体が摺動可能に嵌入されかつ内側本体の一方側が底面部で閉止され他方側が開放されて筒状空間部を形成すると共に上記底面部に光路用開口部が設けられた第二ホルダを備え、
上記第一ホルダにおける第一筒状空間部内に一方の楔型複屈折結晶板がその外周縁近傍部位を仕切板に固定されて収容され、第二ホルダの筒状空間部内に他方の楔型複屈折結晶板がその外周縁近傍部位を底面部に固定されて収容されると共に、上記第一ホルダの仕切板と第二ホルダの底面部との間にファラデー回転子が固定され、かつ、
第二ホルダにおける内側本体の開放縁部に、上記第一ホルダに対し第二ホルダを回転摺動させて一対の楔型複屈折結晶板における傾斜光透過面同士を平行に配置させるための回転調整外部治具を係合させる切欠凹部が設けられ、更に、第二ホルダにおける筒状空間部内の底面部から上記切欠凹部の切欠底部までの距離が、第二ホルダの筒状空間部に収容される楔型複屈折結晶板の厚さ寸法より大きく設定されていることを特徴とする。
【0023】
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る偏波無依存型光アイソレータにおいて、
一方の楔型複屈折結晶板が第一ホルダにおける第一筒状空間部の仕切板にエポキシ接着剤を用いて固定され、他方の楔型複屈折結晶板が第二ホルダにおける筒状空間部の底面部にエポキシ接着剤を用いて固定され、かつ、上記ファラデー回転子が第一ホルダの仕切板若しくは第二ホルダの底面部の少なくとも一方にエポキシ接着剤を用いて固定されていることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
二段型の偏波無依存型光アイソレータにおいて、
請求項1または請求項2の偏波無依存型光アイソレータが2段重ねた構造を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る偏波無依存型光アイソレータによれば、
第二ホルダにおける内側本体の開放縁部に切欠凹部が設けられ、この切欠凹部に回転調整外部治具を係合させて第二ホルダを回転摺動させることができるため、1度以内の微細な回転調整が可能となる。
【0025】
従って、楔角度の大きい楔型複屈折結晶板や焦点距離の長いコリメートレンズを適用した場合においても、一対の楔型複屈折結晶板における傾斜光透過面同士を簡便に平行配置させることができるため、結合効率の高い偏波無依存光アイソレータを容易に提供できる効果を有する。
【0026】
更に、第二ホルダにおける筒状空間部内の底面部から上記切欠凹部の切欠底部までの距離が、第二ホルダの筒状空間部に収容される楔型複屈折結晶板の厚さ寸法より大きく設定されているため、回転調整外部治具による回転調整の際、第二ホルダの筒状空間部に収容された楔型複屈折結晶板を破損させることも無い効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】偏波無依存光アイソレータに順方向の光が通過した場合の作用説明図。
【図2】偏波無依存光アイソレータに逆方向の光が通過した場合の作用説明図。
【図3】図3(A)は本発明に係る偏波無依存光アイソレータの主要部を構成する「光アイソレータコア」を示す説明図、図3(B)は上記「光アイソレータコア」における第二ホルダの概略斜視図。
【図4】「光アイソレータコア」における第二ホルダの切欠凹部に回転調整外部治具を係合させて行なう回転調整作業の概略説明斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図3(A)は本発明の実施の形態に係る偏波無依存光アイソレータの主要部を構成する「光アイソレータコア」を示す説明図、図3(B)は上記「光アイソレータコア」における第二ホルダの概略斜視図である。
【0030】
まず、図3(A)に示すようにこの実施の形態に係る「光アイソレータコア」は、中央に光路用開口部11が設けられた仕切板12により内側本体が第一筒状空間部10aと第二筒状空間部10bに区画された金属製の第一ホルダ10と、第一ホルダ10の第二筒状空間部10b内に外側本体が摺動可能に嵌入されかつ内側本体の一方側が底面部90で閉止され他方側が開放されて筒状空間部9aを形成すると共に上記底面部90に光路用開口部91が設けられた金属製の第二ホルダ9を備えており、かつ、第一ホルダ10の外側本体には円筒形の磁石8が嵌合されている。
【0031】
また、上記第一ホルダ10における第一筒状空間部10a内に、順方向入射側の楔型複屈折結晶板3がその外周縁近傍部位を仕切板12に接着剤を介し固定されて収容され、第二ホルダ9の筒状空間部9a内に出射側の楔型複屈折結晶板5がその外周縁近傍部位を底面部90に接着剤を介し固定されて収容されると共に、上記第一ホルダ10の仕切板12と第二ホルダ9の底面部90との間に、ファラデー回転子4が接着剤を介し上記第一ホルダ10の仕切板12に固定されている。
【0032】
尚、入射側楔型複屈折結晶板3の非傾斜光透過面(楔面でない平坦面)と、出射楔型複屈折結晶板5の非傾斜光透過面、および、ファラデー回転子4の平坦面は互いに平行となるように配置されている。
【0033】
更に、第二ホルダ9における内側本体の開放縁部には図3(A)および図3(B)に示すように切欠凹部95が設けられており、図4に示すように上記切欠凹部95に回転調整外部治具100の凸状部100bが係合し、かつ、回転調整外部治具100の回転操作棒100aを作用させて上記第一ホルダ10に対し第二ホルダ9が回転されるようになっており、この回転操作により、第一ホルダ10の第一筒状空間部10a内に収容された入射側楔型複屈折結晶板3の傾斜光透過面(楔面)と、第二ホルダ9の筒状空間部9a内に収容された出射側楔型複屈折結晶板5の傾斜光透過面同士が平行に配置されるようになっている。尚、上記回転調整外部治具100の回転操作棒100aを用いた調整作業のため、1度以内の微細な回転調整が可能となる。
【0034】
また、図3(A)および図3(B)に示すように第二ホルダ9における筒状空間部9a内の底面部90から上記切欠凹部95の切欠底部までの距離が、第二ホルダ9の筒状空間部9aに収容される出射側楔型複屈折結晶板5の厚さ寸法より大きく設定されているため、上記回転調整外部治具100の回転操作棒100aを用いた調整作業の際、第二ホルダ9の筒状空間9a部に収容された出射側楔型複屈折結晶板5を破損させることも無い。
【0035】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0036】
金属製の第一ホルダ10と第二ホルダ9を構成する材料としては、微細加工が可能な材質ならば任意であるが、この実施例においてはニッケルメッキが施された銅を用いた。また、入射側楔型複屈折結晶板3と出射側楔型複屈折結晶板5については、2mm角寸法を有し、楔角度が8°で、厚さの一番厚い部分が0.5mmであるYVOを適用し、ファラデー回転子4としては、グラノプト社製のGGG基板付GLB膜(両面対空気無反射コートつき)を用いた。
【0037】
まず、入射側楔型複屈折結晶板3とファラデー回転子4の外周縁近傍部位に予めエポキシ接着剤を塗布し、第一ホルダ10における第一筒状空間部10aの仕切板12に入射側楔型複屈折結晶板3を固定し、かつ、第一ホルダ10における第二筒状空間部10bの仕切板12にファラデー回転子4を固定すると共に、第一ホルダ10の外側本体にエポキシ接着剤を用いて、円筒形磁石8を固定している。尚、入射側楔型複屈折結晶板3とファラデー回転子4の各光透過面を接着剤で覆わないようにした。
【0038】
他方、第二ホルダ9における筒状空間部9aの底面部90に、エポキシ接着剤を用いて出射側楔型複屈折結晶板5を固定した。尚、出射側楔型複屈折結晶板5についてもその外周縁近傍部位に上記接着剤を塗布し、光透過面が接着剤で覆われないようにした。
【0039】
そして、入射側楔型複屈折結晶板3とファラデー回転子4が収容された第一ホルダ10の第二筒状空間部10b内に、出射側楔型複屈折結晶板5が収容された第二ホルダ9の外側本体を未硬化のエポキシ接着剤を介し挿入して「光アイソレータコア」を組み立てると共に、調整前における「光アイソレータコア」の構造体を、「ファイバコリメータ」(各コリメートレンズのレンズ焦点距離4mm)間に置き、図4に示すように回転調整外部治具100の回転操作棒100aを作用させて挿入損失が最小になるように回転調整した。
【0040】
この様に調整した「光アイソレータコア」を、ヒーターにより温度上昇させてエポキシ接着剤が固化するまで放置し、その後、オーブンで本キュアを実施した。固定後、挿入損失を確認したところ、調整時の挿入損失を維持していることが確認された。このような方法で容易に最大の結合効率を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る偏波無依存型光アイソレータによれば、楔角度の大きい楔型複屈折結晶板や焦点距離の長いコリメートレンズが適用されても高い結合効率を容易に得ることができるため、光通信やレーザー加工等における光アイソレータとして広範に利用することができる産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0042】
1 入射側光ファイバ
2 入射側コリメートレンズ
3 入射側楔型複屈折結晶板
4 ファラデー回転子
5 出射側楔型複屈折結晶板
6 出射側コリメートレンズ
7 出射側光ファイバ
8 磁石
9 第二ホルダ
9a 筒状空間部
90 底面部
91 光路用開口部
95 切欠凹部
10 第一ホルダ
10a 第一筒状空間部
10b 第二筒状空間部
11 光路用開口部
12 仕切板
100 回転調整外部治具
100a 回転操作棒
100b 凸状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路上に設けられた一対の楔型複屈折結晶板と、これ等楔型複屈折結晶板間の光路上に設けられたファラデー回転子とを備え、かつ、一対の楔型複屈折結晶板における傾斜光透過面同士および非傾斜光透過面同士が互いに平行となるように配置された偏波無依存型光アイソレータにおいて、
中央に光路用開口部が設けられた仕切板により内側本体が第一筒状空間部と第二筒状空間部に区画された第一ホルダと、第一ホルダの第二筒状空間部内に外側本体が摺動可能に嵌入されかつ内側本体の一方側が底面部で閉止され他方側が開放されて筒状空間部を形成すると共に上記底面部に光路用開口部が設けられた第二ホルダを備え、
上記第一ホルダにおける第一筒状空間部内に一方の楔型複屈折結晶板がその外周縁近傍部位を仕切板に固定されて収容され、第二ホルダの筒状空間部内に他方の楔型複屈折結晶板がその外周縁近傍部位を底面部に固定されて収容されると共に、上記第一ホルダの仕切板と第二ホルダの底面部との間にファラデー回転子が固定され、かつ、
第二ホルダにおける内側本体の開放縁部に、上記第一ホルダに対し第二ホルダを回転摺動させて一対の楔型複屈折結晶板における傾斜光透過面同士を平行に配置させるための回転調整外部治具を係合させる切欠凹部が設けられ、更に、第二ホルダにおける筒状空間部内の底面部から上記切欠凹部の切欠底部までの距離が、第二ホルダの筒状空間部に収容される楔型複屈折結晶板の厚さ寸法より大きく設定されていることを特徴とする偏波無依存型光アイソレータ。
【請求項2】
一方の楔型複屈折結晶板が第一ホルダにおける第一筒状空間部の仕切板にエポキシ接着剤を用いて固定され、他方の楔型複屈折結晶板が第二ホルダにおける筒状空間部の底面部にエポキシ接着剤を用いて固定され、かつ、上記ファラデー回転子が第一ホルダの仕切板若しくは第二ホルダの底面部の少なくとも一方にエポキシ接着剤を用いて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の偏波無依存型光アイソレータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2の偏波無依存型光アイソレータが2段重ねた構造を有していることを特徴とする二段型の偏波無依存型光アイソレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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