説明

健康運動器具

【課題】乗降時の使用者の負担を軽減し、また使用時の姿勢の自由度を向上させ、さらに上半身の振動運動を容易に行うことができる健康運動器具を提供する。
【解決手段】基部11上にステップ12を配し、該ステップ12が前記基部11上で振動運動する運動補助器具において、該ステップ12の平面視形状が前記基部11の平面視形状に略相似形状であるとともに、該ステップ12の左右幅が前記基部の左右幅よりも大きく形成した。また、前記ステップ12の前後幅を左右幅と略同一に構成し、さらに前記ステップ12の左右側部に、上方に延出した把持部を設けた。これらにより、乗降時の使用者の負担を軽減し、またステップ12に乗らなくても立位で上半身の振動運動を容易に行えるようにした。そして、両足を斜めに向けて立った状態でも使用ができ、姿勢の自由度を向上させることができるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動するステップ上に乗り、運動効果を得るための健康運動器具に関し、詳しくは、健康運動器具の操作性及び利便性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、全身あるいは身体の一部に振動を加え、マッサージ効果によって血行を良くすることで心身を健康に保つ方法が知られている。そして、一般家庭だけでなくリハビリ施設・介護センター等においても、運動不足を補う健康増進あるいはけがで不自由になった個所のリハビリテーション等、さまざまな目的で振動型の健康運動器具が使用されている。このような状況において、身体を載置して振動させる形態の健康運動器具については、既に複数のものが提案され公知となっている(例えば、「特許文献1」、「特許文献2」参照)。
【特許文献1】特開2004−16803号公報
【特許文献2】特開2006−181123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし従来のものでは、フレーム等の手すりが主に、使用者から見て前方高部に配置されている場合があり、例えば車椅子から健康運動器具に乗ろうとしたときに手すりの位置が遠く、高齢者等力の弱い者にとっては乗り降りが困難な場合があった。
また、ステップの前後幅が小さく、足腰の弱い使用者にとっては使用中の姿勢を維持するのが困難な場合があった。
さらに、健康運動器具を立った状態で使用する場合は、振動は主に下半身を中心に伝わり、上半身には伝わりにくいため、上半身を充分に運動させることが難しい場合がある。そこで上半身を運動させようとすると、床にひざをついた上でステップに手を乗せるといった不自由な体勢をとる必要があり、使用者にとっては姿勢面・心理面双方で抵抗が大きかった。
そして、従来の健康運動器具は金属的な外観が主であり、無機質なイメージのものが多く、家庭内で一般的に使用する上でデザイン的に適さない場合もあった。
【0004】
本発明は上記の課題を解決するために、乗降時の使用者の負担を軽減し、使用時の姿勢の自由度を向上させ、さらに上半身の振動運動を容易に行うことができる、意匠性に優れた健康運動器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、基部上にステップを配し、該ステップが前記基部上で振動運動する運動補助器具において、該ステップの平面視形状が前記基部の平面視形状に略相似形状であるとともに、該ステップの左右幅が前記基部の左右幅よりも大きいものである。
【0007】
請求項2においては、前記健康運動器具において、前記ステップの前後幅を左右幅と略同一に構成したものである。
【0008】
請求項3においては、前記ステップの左右側部に、上方に延出した把持部を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、基部とステップの間に障害物などがはさまる可能性を低減させることができる。
【0011】
請求項2においては、ステップの前後幅が従来よりも広く構成されているので、両足を斜めに向けて立った状態でも健康運動器具の使用ができ、使用者の姿勢の自由度を向上させることができる。即ち、人は左右の揺れに比べ前後の揺れに対する対応力は低いが、ステップの前後幅の広さにより前後方向の揺れに対して使用者の姿勢が保持しやすく構成しているので、左右方向だけでなく前後方向の平衡感覚も養われ、さらに転倒防止の機能を向上させることができる。なお、身体の自由が利きにくい使用者にとっての負担を軽減させることもできる。また、ステップ上に腰を掛けた姿勢でも安定して使用でき、腰周りや胸周りの運動を容易に行うことができる。
【0012】
請求項3においては、側方フレームがステップ左右両端部に、低い場所からでも使用者が把持しやすい位置に配置されているので、例えば車椅子に座った姿勢からでも容易にステップに乗ることができ、使用者の乗降時の負担を軽減できる。また、ステップに乗らずに床に立ったまま該側方フレームに体重を乗せることで、上半身の振動運動を容易に行える。よって、ひざの曲げ伸ばしが困難である等、下半身が不自由でステップに乗ることが出来ない場合でも使用することができる。そして、ステップ上に乗って使用する際には該側方フレームにより身体側方を支えることができるので、姿勢を崩した場合でも転倒等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の技術的範囲は実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
図1は健康運動器具の全体的な構成を示した斜視図である。
図2は健康運動器具の全体的な構成を示した正面図である。
図3は健康運動器具の全体的な構成を示した側面図である。
図4は健康運動器具の全体的な構成を示した平面図である。
図5は本実施例における基部11及びステップ12の構造を示した分解斜視図である。
図6は本実施例におけるステップ12等の振動状態を示した正面図である。
図7は本発明の実施例1に係る使用状態斜視図である。
図8は従来の使用法での使用状態斜視図である。
図9は本発明の実施例2に係る使用状態斜視図である。
図10は本発明の実施例3に係る使用状態斜視図である。
【0014】
[全体構成]
まず、本発明の一実施例における、健康運動器具10の全体構成について、図1乃至図4により説明する。なお説明の便宜上、図1に示す矢印Aの方向を前方とし、前後左右を決定するものとする。
図1乃至図4に示すように健康運動器具10は、図示しない電動モータ等の駆動源を収納する基部11と、該基部11の上方に配置されるステップ12と、基部11の前部から上方に立設配置される前把持部13と、同じく該基部11の前部から上方に立設配置され、該前把持部13の後方に位置する操作盤フレーム14と、操作盤フレーム14の上端に配置される操作盤15と、該ステップの左右両側端から上方に立設配置される側部フレーム16・16等によって構成される。それぞれの素材は金属製あるいは木製で構成され、製作者・使用者の趣意に沿って製作することができる。
【0015】
[基部]
基部11は上面が開口された筐体であり、健康運動器具10全体を支えるものである。該振動基部11の内部には図示しない駆動源が収納されており、駆動源としては、電動モータ等を用いることができる。また、基部11内には、図示しない錘が配設され、重心が低くなるように構成され、転倒し難いものとしている。健康運動器具10は操作盤15により操作される。操作盤15は、図示しないコントローラを介して駆動源と接続され、駆動源などを制御する。基部11には、ステップ12を振動させる図示しない振動部があり、この振動部は電動モータ等の駆動源と連結され、駆動力をステップ12に伝達して、ステップ12を振動運動させる。振動部は基部11の上方においてステップ12と連結される。基部11の前部からは上方に前把持部13及び操作盤フレーム14が立設配置される。基部11は、平面視略正方形状であり後部が丸みを帯びた形状となっている。これにより、側部の張り出しを抑えながら前後幅を大きくとった形状となっている。
【0016】
[ステップ]
ステップ12は平面視略正方形状の平板であり、本実施例においては、該ステップ12の後部は丸みを帯びた形状に構成して意匠性を高めている。また、該ステップ12は本実施例においては略正方形状に構成しているが、使用者が身体を載置して使用可能な形状であれば良く、円形状や楕円形状、多角形状等でも差し支えない。さらに、該ステップ12の上面には、滑り止めのラバーを貼る等の構成にすることも可能である。
該ステップ12底面は基部11に収納された振動部の上端と連結され、該振動部の振動によりステップ12全体が振動する。また、該ステップ12は平面視外形端を、基部11の平面視外形端よりも大きく構成しているので、ステップ12と基部11の間に障害物などが挟まる可能性を低減させることができる。すなわち、ステップ12に足や手をおいてステップ12の振動による運動を行う場合において、足や手がステップ12と基部11との間に挟まる可能性が極めて低くなる。なお、本実施例では該ステップ12と基部11との間に蛇腹によるシール18を配置し、振動による衝撃を緩和すると共に異物が基部に侵入するのを防いでいる。
ステップ12は基部11に対して、振動運動を行うものであり、振動運動としては、ステップ12の左右端が交互に上下するシーソー運動や、ステップ12全体が同様に上下する上下運動などを用いることができる。本実施例においては、振動はシーソー運動を用いるものであり、これにより、必要となる駆動力を小さくできる。
図5は基部11及びステップ12の構造を示した分解斜視図である。基部11の底部には円形の孔が開口された基部側枢支部材11a、11aが上向きに固設され、一方ステップ12の下面には振動板12bが固定され、該振動板12bには振動補強板12cが固定され、振動補強板12cには円形の孔が開口されたステップ側枢支部材12d、12dが下向きに固設される。そして基部側枢支部材11a、11aとステップ側枢支部材12d、12dを相互にかみ合わせ、それぞれの円形孔を通る枢支部材を貫設することにより、基部側枢支部材11a、11aとステップ側枢支部材12d、12dが相互回動可能に枢支されるのである。
そして、該振動版12bは前記駆動源と連結されている。これらの構成において、駆動源が駆動し、振動板12bを振動させることにより、図6に示すようにステップ12及び後述する側方フレーム16・16等が一体的にシーソー運動を行うのである。振動補強板12cは振動による衝撃を吸収し、振動板12bを補強している。
そして、ステップ12は前後方向の奥行きを大きくとるものであり、足を斜め前後に位置させて搭乗できるように構成されている。即ち使用者は、図4に示す通常の立ち位置51a、51aだけでなく、両足を斜めに向けて立った状態状態の立ち位置51b、51bでも健康運動器具10の使用ができ、姿勢の自由度を向上させることができる。また、ステップ12を平面視略正方形状に構成するので、ステップ12上における足や手の置く位置のバリエーションを多くでき、脚や腕の様々な筋肉部位を鍛えることができる。
ステップ12は、一秒間に約24回前後振動させることにより、効率的に筋肉などを刺激して運動効果をえることができる。なお、単位時間当たりの振動回数は、使用者が身体状態に合わせて適宜設定することも可能である。
【0017】
[前把持部]
基部11の前部からは上方に前把持部13が立設配置される。前把持部13は正面視門形状に構成され、側部は後方に湾曲し、使用者が乗り降りする際に把持しやすい形状となっている。該前把持部13の側上部から上部にかけては樹脂等でグリップを構成し、滑り止め等の加工をすることもできる。本実施例においては、前把持部13が基部11に固設される下部は左右幅を小さくし、全体的に曲線的な形状に構成され、健康運動器具10全体の意匠性を高めており、日本の室内インテリアに馴染むデザインとしている。さらに、各部に木目調の部材を用いることにより、日本の屋内になじみ、使用者に安らぎを与えるものである。
【0018】
[操作盤フレーム・操作盤]
また、同じく基部11の前部からは上方に操作盤フレーム14が立設配置される。本実施例においては、該操作盤フレーム14は基部11から直線的に立設され、中途部にガイド14a・14a・・・を配置することで剛性と意匠性を高めている。なお、操作盤フレームは前把持部13と一体的に構成することも可能であり、また、フレームではなく前方にパネルを立設配置する構成としても良く、その形態は本実施例に限定されるものではない。
該操作盤フレーム14の上部には基部11の振動を制御する操作盤15が配置される。操作盤15には、スイッチ・時間表示・振動速度調節ボタン等が大きく配置され、高齢者にも分かりやすく操作しやすい構成となっている。
また、操作盤15に映像表示装置や音声出力装置を設け、健康運動器具10の利用者に対して、映像情報や音声情報を提供することができる。
【0019】
[側方フレーム]
ステップ12の側端部12a・12aには、逆U字状の側方フレーム16・16が上方に突設して連結される。本実施例においては側方フレーム16・16の上端は樹脂等で側部グリップ17・17が構成され、また該側部グリップ17・17は前上方に向かって傾斜する形に構成され、乗り降りする際に使用者が把持しやすくなっている。また、ステップ12に上がらない状態で、ステップ12の後方に位置した状態から側部グリップ17・17を把持しやすい構成となっている。なお、本実施例では側部フレーム16・16は逆U字状としたが、逆L字状等、板状等、その他使用者が持ちやすい形状であれば差し支えなく、本実施例に限定されるものではない。さらに、側方フレーム16・16を取り外して使用する構成にすることもできる。
【0020】
[使用例1・直立姿勢]
次に、健康運動器具10の使用例1について、図7を用いて説明する。まず使用者51はステップ12に乗り、操作盤15のスイッチを入れる。操作盤15のスイッチが入れられると、駆動源である電動モータが駆動し、振動部を振動させ、該振動が振動部と連結するステップ12へと伝えられる。使用者51はステップ12を介して振動を身体に伝えることによって、身体の一部あるいは全身にマッサージ効果を与えるのである。
使用者51は使用にあたって、自ら膝を曲げたり、踵を軽く浮かせたり、片足だけをステップに乗せたり、あるいは椅子にすわって足だけをステップ12に乗せたりというようにさまざまな姿勢をとることで、身体で負荷のかかる部位や負荷の程度を調節することができる。また、操作盤15の操作により、振動の速度や振動パターンを選択し、振動基部11の振動を制御することができる。さらに、健康運動器具10に体重計や体脂肪計等を組み込み、身体年齢を算定・表示できる構成にすることも可能である。
ここで、ステップ12の側端部12a・12aには、逆U字状の側方フレーム16・16が上方に突設して連結され、該側方フレーム16・16の上端は樹脂等で側部グリップ17・17が構成され、使用者が握りやすいつくりになっている。これにより、例えば車椅子等の座位からでも容易にステップに乗ることができ、使用者51の乗降時の負担を軽減できる。そして、ステップ12上に乗って使用する際には該側方フレーム16・16により身体側方を支えることができるので、使用者51が姿勢を崩した場合でも転倒等を防止することができるのである。
さらに、ステップ12は前後幅を左右幅と略同一に構成している。これにより使用者51は、図4に示す通常の立ち位置51a、51aだけでなく、両足を斜めに向けて立った状態状態の立ち位置51b、51bでも健康運動器具10の使用ができ、姿勢の自由度を向上させることができる。そのため、身体の自由が利きにくい使用者にとっての負担を軽減させることができる。
【0021】
[使用例2・上体姿勢]
次に、健康運動器具10の使用例2について、図8及び図9を用いて説明する。実施例1と同様の構成・部材等については同じ符号を付し、説明を省略する。
実施例1の使用法では、振動は主に下半身を中心に伝わるため、上半身の運動にはなりにくい。そこで上半身を運動させようとすると、使用者52は図8のように床にひざをついた上でステップに手を乗せるといった体勢で使用することができるが、使用者52にとってこうした姿勢をとるのは姿勢面・心理面双方で抵抗が大きい。ここで本発明は側方フレーム16・16を配置しているので、使用者53はステップ12に乗らなくても図7のように立位で該側方フレーム16・16に体重をかけることができ、上半身の振動運動を容易に行える。よって、ひざの曲げ伸ばしが困難である等、下半身が不自由でステップ12に乗ることが出来ない場合でも使用することができるのである。
【0022】
[使用例3・座位姿勢]
次に、健康運動器具10の使用例3について、図10を用いて説明する。使用例2と同じように、使用例1と同様の構成・部材等については同じ符号を付し、説明を省略する。
図10に示すように、使用者54は直接ステップ12に腰掛けることで振動を腰や上体に伝えることができる。ここで、ステップ12は前後幅を左右幅と略同一に構成することにより、使用者54は姿勢を安定して使用することができ、腰周りや胸周りの運動を容易に行うことができる。また、ステップ12を平面視略正方形状に構成しているので、ステップ12上における足や手の置く位置のバリエーションを多くでき、脚や腕の様々な筋肉部位を鍛えることができる。
以上のように構成した健康運動器具により、乗降時の使用者の負担を軽減し、また使用時の姿勢の自由度を向上させ、さらに上半身の振動運動を容易に行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】健康運動器具の全体的な構成を示した斜視図。
【図2】健康運動器具の全体的な構成を示した正面図。
【図3】健康運動器具の全体的な構成を示した側面図。
【図4】健康運動器具の全体的な構成を示した平面図。
【図5】本実施例における基部11及びステップ12の構造を示した分解斜視図。
【図6】本実施例におけるステップ12等の振動状態を示した正面図。
【図7】本発明の実施例1に係る使用状態斜視図。
【図8】従来の使用法での使用状態斜視図。
【図9】本発明の実施例2に係る使用状態斜視図。
【図10】本発明の実施例3に係る使用状態斜視図。
【符号の説明】
【0024】
10 健康運動器具
11 基部
12 ステップ
13 前把持部
15 操作盤
16 側部フレーム
51 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部上にステップを配し、該ステップが前記基部上で振動運動する運動補助器具において、
該ステップの平面視形状が前記基部の平面視形状に略相似形状であるとともに、
該ステップの左右幅が前記基部の左右幅よりも大きいことを特徴とする、健康運動器具。
【請求項2】
前記健康運動器具において、
前記ステップの前後幅を左右幅と略同一に構成したことを特徴とする、請求項1に記載の健康運動器具。
【請求項3】
前記ステップの左右側部に、上方に延出した把持部を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の健康運動器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−113968(P2008−113968A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302029(P2006−302029)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(506373468)有限会社ぜんプロジェクト (2)
【Fターム(参考)】