説明

側溝蓋および、側溝蓋に用いられる蓋体

【課題】 側溝のメンテナンス性に優れた側溝蓋を提供する。
【解決手段】 側溝蓋2は、コンクリート製の蓋体3と、グレーチング4とからなる。ここで、蓋体3は、グレーチング4が掛け渡されるようにして載置される複数の載置部3b、3bを有する。そして、それら載置部3b、3bは、側溝1のそれぞれの蓋掛り部1b、1bに載るように設けられる。そこで、グレーチング4は、蓋体3の載置部3b、3bに掛け渡され、取付ボルト5により着脱可能に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、グレーチングを備える側溝蓋および、その側溝蓋に用いられる蓋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、側溝には、コンクリート製の側溝蓋の他に、グレーチングが適宜の間隔で配置されていた。ここにおいて、グレーチングは、コンクリート製の側溝蓋に比べて重量が軽く、車両がグレーチング上を通過した際に、そのグレーチングが跳ね上がる虞があった。このため、グレーチングを、側溝に対してボルトを用いて固定することがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記従来の側溝のように、グレーチングが側溝にボルト固定されていると、側溝の点検とか清掃等のメンテナンスの際には、ボルトを外した後に、グレーチングを側溝から取り外す必要があった。
【0004】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、側溝のメンテナンス性に優れた、側溝蓋および、側溝蓋に用いられる蓋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る側溝蓋および、側溝蓋に用いられる蓋体は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る側溝蓋は、側溝に配備される側溝蓋であって、コンクリート製の蓋体と、グレーチングとを備える。そして、前記グレーチングは、前記蓋体に着脱可能に取り付けられている。このように、グレーチングを重量のあるコンクリート製の蓋体に取り付けることで、グレーチングが車両の通過によって跳ね上がるのを防ぐことができる。そして、このことから、グレーチングの跳ね上がり対策としてグレーチングを側溝に固定することも必要ない。したがって、側溝のメンテナンスの際には、グレーチングを側溝蓋の状態でそのまま持ち上げることができる。その上、蓋体にグレーチングが着脱可能に取り付けられるため、蓋体とグレーチングとのいずれか一方が損傷した場合には、その一方のみを交換すればよく、側溝蓋全体を交換する必要がない。
【0006】
また、請求項2に記載の発明に係る側溝蓋のように、請求項1に記載の側溝蓋において、前記蓋体は、前記グレーチングが掛け渡されるようにして載置される複数の載置部を有し、それら載置部は、前記側溝のそれぞれの蓋掛り部に載るように設けられてもよい。このように、蓋体の、グレーチングが載置される載置部が、側溝の蓋掛り部に載ることで、グレーチングが受ける荷重を効率よく側溝に伝えることができる。
【0007】
また、請求項3に記載の発明に係る側溝蓋のように、請求項2に記載の側溝蓋において、前記載置部の上面は、前記蓋体の本体部の上面と前記グレーチングの上面とが略同一(同一を含む)の高さとなるよう、前記本体部の上面よりも低く形成されるのが望ましい。
【0008】
また、請求項4に記載の発明に係る側溝蓋のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の側溝蓋において、前記グレーチングは、前記側溝の延びる方向側に位置する、この側溝蓋の端面を形成するように配置されてもよい。このように、グレーチングを、側溝蓋の端面を形成するように配置することで、グレーチングが、コンクリート製の蓋体を保護して、この蓋体の欠けを防ぐことができる。
【0009】
また、請求項5に記載の発明に係る側溝蓋のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の側溝蓋において、前記グレーチングは、グレーチング本体と、この側溝蓋を持ち上げるための手掛け部とを備え、前記グレーチング本体は、前記手掛け部が収容される収容部を有し、前記手掛け部は、前記収容部から引き上げられて手が掛けられてもよい。このように、グレーチングに手掛け部を設けることで、側溝蓋の着脱が容易となる。また、その手掛け部がグレーチング本体に収容されることで、歩行者が手掛け部につまずくことも避けることができ、バリアフリーの効果も期待できる。
【0010】
また、請求項6に記載の発明に係る側溝蓋に用いられる蓋体は、グレーチングとで側溝に配備される側溝蓋を構成するコンクリート製の蓋体である。そして、この蓋体は、前記グレーチングが着脱可能に取付固定される取付部を有する。そこで、グレーチングを重量のあるコンクリート製の蓋体に取り付けると、グレーチングが車両の通過によって跳ね上がるのを防ぐことができる。そして、このことから、グレーチングの跳ね上がり対策としてグレーチングを側溝に固定することも必要ない。したがって、側溝のメンテナンスの際には、グレーチングを側溝蓋の状態でそのまま持ち上げることができる。その上、蓋体にグレーチングが着脱可能に取り付けられるため、蓋体とグレーチングとのいずれか一方が損傷した場合には、その一方のみを交換すればよく、側溝蓋全体を交換する必要がない。
【0011】
また、請求項7に記載の発明に係る側溝蓋に用いられる蓋体のように、請求項6に記載の蓋体において、前記グレーチングが掛け渡されるようにして載置される複数の載置部を有し、それら載置部は、前記側溝のそれぞれの蓋掛り部に載るように設けられてもよい。このように、蓋体の、グレーチングが載置される載置部が、側溝の蓋掛り部に載ることで、グレーチングが受ける荷重を効率よく側溝に伝えることができる。
【0012】
また、請求項8に記載の発明に係る側溝蓋に用いられる蓋体のように、請求項7に記載の蓋体において、前記載置部の上面は、前記蓋体の本体部の上面よりも低く形成されるのが望ましい。このように、載置部の上面を、この蓋体の本体部の上面よりも低く形成することで、この蓋体の本体部の上面とグレーチングの上面とを、略同一(同一を含む)の高さとすることが可能となる。
【0013】
また、請求項9に記載の発明に係る側溝蓋に用いられる蓋体のように、請求項7または8に記載の蓋体において、前記載置部は、前記取付部を兼ねてもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る側溝蓋および、側溝蓋に用いられる蓋体によれば、グレーチングの跳ね上がり対策としてグレーチングを側溝に固定することも必要がなく、グレーチングを側溝蓋の状態でそのまま持ち上げることができるため、側溝のメンテナンス性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1ないし図6は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、側溝である。2は、側溝1に配備される側溝蓋、特に側溝1に固定されることなく配備される側溝蓋である。
【0017】
ここで、側溝1は、例えば、U字側溝からなり、両側の側壁1a、1aには、上面から下がった蓋掛り部1b、1bが設けられている。そして、この蓋掛り部1bは、側溝蓋2との干渉音対策(つまり、側溝1と側溝蓋2とが、がたつくことにより、車両通過時に、側溝1と側溝蓋2とが干渉して発する音の対策)として、弧状に形成されている。一方、側溝蓋2は、コンクリート製の蓋体3と、グレーチング4とを備えている。そして、グレーチング4は、蓋体3に、例えば取付ボルト5を用いて、着脱可能に取り付けられている。
【0018】
詳細には、蓋体3は、グレーチング4とで前記側溝蓋2を構成するものであり、グレーチング4が着脱可能に取付固定される取付部3aを有する。さらに、蓋体3は、グレーチング4が掛け渡されるようにして載置される、複数の離れて位置する載置部3b、3bを有する。そして、それら載置部3b、3bは、側溝1のそれぞれの蓋掛り部1b、1bに載るように、すなわち蓋掛り部1b、1bと対面しかつ当接するように設けられている。この載置部3bの上面は、蓋体3の本体部3cの上面とグレーチング4の上面とが略同一(同一を含む)の高さとなるよう、本体部3cの上面よりも低く形成されている。また、グレーチング4は、側溝1の延びる方向側に位置する、側溝蓋2の端面2aを形成するように(図示実施の形態においては、側溝蓋2の各端面2aを形成するように二つ)配置されている。
【0019】
具体的には、蓋体3は、その本体部3cが、略長方形平板形状をしている。そして、載置部3bは、本体部3cにおける、側溝1の延びる方向側の各端面3dの両側部から突出するように形成されて、両載置部3b、3b間は、空隙Sとなっている(図4参照)。図示実施の形態においては、この載置部3bは、グレーチング4を取り付けるための取付部3aを兼ねている。そのため、この載置部3b(取付部3a)には、取付ボルト5がねじ込まれるナット3eが、載置部3b(取付部3a)の上面に開口するように埋設されている。また、本体部3cの下面は、前記干渉音対策として、載置部3bの下面を含めて、側溝1の蓋掛り部1bに載る部分が、例えば、その蓋掛り部1bの弧形状と対応するように、弧状(詳細には、蓋掛り部1bの弧形状のアールよりも若干小さなアールとなる弧形状)に形成されている。
【0020】
グレーチング4は、平面視が、矩形形状、特に、蓋体3の載置部3bに掛け渡される方向に長手となる長方形形状をしている。そして、グレーチング4は、蓋体3の載置部3bに載置される被載置部4aが、長手方向の両端に位置している。図示実施の形態においては、この被載置部4aは、ベースプレート4bとパッキン4cとからなる。そして、被載置部4aは、蓋体3の取付部3aに取り付けられる被取付部を兼ねており、この被載置部4a(被取付部)には、ナット3eと対応するように、取付ボルト5が挿通される孔4dが明けられている。
【0021】
次に、以上の構成からなる側溝蓋2の作用効果について説明する。この側溝蓋2によると、グレーチング4を重量のあるコンクリート製の蓋体3に取り付けることで、グレーチング4が車両の通過によって跳ね上がるのを防ぐことができる。そして、このことから、グレーチング4の跳ね上がり対策としてグレーチング4を側溝1に固定することも必要ない。したがって、側溝1のメンテナンスの際には、グレーチング4を側溝蓋2の状態でそのまま持ち上げることができる。よって、このグレーチング4を備えた側溝蓋2は、側溝1のメンテナンス性に優れる。しかも、蓋体3にグレーチング4が着脱可能に取り付けられるため、蓋体3とグレーチング4とのいずれか一方が損傷した場合には、その一方のみを交換すればよく、側溝蓋2全体を交換する必要がない。すなわち、この側溝蓋2自身のメンテナンスが、経済的に行われる。
【0022】
また、グレーチング4を蓋体3の載置部3b、3bに載置することで、側溝蓋2の下面に、側溝1との車両通過時の干渉音対策を施す場合であっても、その干渉音対策を蓋体3に施せばよく、グレーチング4には施す必要がない。また、この載置部3b、3bが、側溝1の蓋掛り部1b、1bに載ることで、グレーチング4が受ける荷重を効率よく側溝1に伝えることができる。したがって、蓋体3へのグレーチング4の取付強度は、それほど必要なく、その取付の構造を簡単化することができる。さらに、従来のようにグレーチングと側溝蓋とが別個に設けた場合には、グレーチングを側溝1の蓋掛り部1bに載せるために、グレーチングには、かさ上げ材を設ける必要があったが、この発明においては、グレーチング4を蓋体3の載置部3b、3bに載せることで、グレーチング4にはかさ上げ材を設ける必要がなく、トータル的なコストが低減される。
【0023】
また、グレーチング4が、側溝蓋2の端面2aを形成するように配置されているので、例えば、車両の通過時に側溝蓋2が揺れて隣合う側溝蓋2どうしがぶつかた場合等に、このグレーチング4が、コンクリート製の蓋体3を保護し、この蓋体3の欠けを防ぐことができる。
【0024】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、側溝1は、U字側溝でなくとも、可変側溝とか、暗渠型側溝とかであってもよい。
【0025】
また、蓋体3には、グレーチング4が掛け渡されるようにして載置される載置部3b、3bが設けられているが、図7に示すように、この載置部3bの他に、グレーチング4における、蓋体3の本体部3c側に位置する側辺部分が載置されるように、本体部3cの端面3dに沿って延びる他の載置部3fが設けられてもよい。
【0026】
また、図8および図9に示すように、グレーチング4は、グレーチング本体7と、側溝蓋2を持ち上げるための手掛け部8とを備えていてもよい。ここにおいて、グレーチング本体7は、手掛け部8が収容される収容部7aを有する。そして、手掛け部8は、例えば逆U字形状に形成された取手からなり、収容部7aから引き上げられて手が掛けられるようになっている(図9において、一点鎖線で示す)。この側溝蓋2によると、グレーチング4に手掛け部8を設けることで、側溝蓋2の着脱が容易となる。そして、その手掛け部8がグレーチング本体7に収容されることで、歩行者が手掛け部8につまずくことも避けることができ、バリアフリーの効果も期待できる。そして、図示のように(図9参照)、蓋体3の本体部3cの下面は、載置部3bの下面を含めて、側溝1の蓋掛り部1bの形状と対応するように、直状に形成されていても構わない。
【0027】
また、グレーチング4は、側溝蓋2の両側に位置するよう、二つ配置されているが、一方のみに配置されてもよく、また、側溝蓋2の中間部分、あるいは中央部分に位置するよう配置されても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一の実施の形態の、平面図である。
【図2】同じく、正面図である。
【図3】同じく、側面図である。
【図4】同じく、蓋体の平面図である。
【図5】同じく、蓋体の正面図である。
【図6】同じく、蓋体の側面図である。
【図7】この発明の他の実施の形態の、図4相当図である。
【図8】この発明のさらに他の実施の形態の、平面図である。
【図9】同じく、側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 側溝
1b 蓋掛り部
2 側溝蓋
2a 端面
3 蓋体
3a 取付部
3b 載置部
4 グレーチング
7 グレーチング本体
7a 収容部
8 手掛け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝に配備される側溝蓋であって、
コンクリート製の蓋体と、グレーチングとを備え、
前記グレーチングは、前記蓋体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする側溝蓋。
【請求項2】
前記蓋体は、前記グレーチングが掛け渡されるようにして載置される複数の載置部を有し、
それら載置部は、前記側溝のそれぞれの蓋掛り部に載るように設けられることを特徴とする請求項1に記載の側溝蓋。
【請求項3】
前記載置部の上面は、前記蓋体の本体部の上面と前記グレーチングの上面とが略同一(同一を含む)の高さとなるよう、前記本体部の上面よりも低く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の側溝蓋。
【請求項4】
前記グレーチングは、前記側溝の延びる方向側に位置する、この側溝蓋の端面を形成するように配置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の側溝蓋。
【請求項5】
前記グレーチングは、グレーチング本体と、この側溝蓋を持ち上げるための手掛け部とを備え、
前記グレーチング本体は、前記手掛け部が収容される収容部を有し、前記手掛け部は、前記収容部から引き上げられて手が掛けられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の側溝蓋。
【請求項6】
グレーチングとで側溝に配備される側溝蓋を構成するコンクリート製の蓋体であって、
前記グレーチングが着脱可能に取付固定される取付部を有することを特徴とする、側溝蓋に用いられる蓋体。
【請求項7】
前記グレーチングが掛け渡されるようにして載置される複数の載置部を有し、
それら載置部は、前記側溝のそれぞれの蓋掛り部に載るように設けられることを特徴とする請求項6に記載の、側溝蓋に用いられる蓋体。
【請求項8】
前記載置部の上面は、前記蓋体の本体部の上面よりも低く形成されていることを特徴とする請求項7に記載の、側溝蓋に用いられる蓋体。
【請求項9】
前記載置部は、前記取付部を兼ねていることを特徴とする請求項7または8に記載の、側溝蓋に用いられる蓋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−299716(P2006−299716A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125599(P2005−125599)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(593159903)株式会社宝機材 (16)
【Fターム(参考)】