説明

傾倒可能な精錬容器のための固定機構

本発明は、傾倒可能な精錬容器、特に転炉のための固定機構であって、
処理容器(1)が担持リング(2)に支承されており、この担持リングが薄層要素(11)を介して処理容器カバーと接続しており、
各薄層要素が一つの薄層から成り、この薄層が、接続プレート(16)および第一の固定ブラケット(14)を介して担持リング(2)と接続しており、かつ別の接続プレート(17)および第二の接続プレート(15)を介して処理容器カバーと接続している固定機構に関する。その際に、接続プレート(16,17)は、固定ブラケット(14あるいは15)の側壁部(18,18aあるいは19,19a)の間の楔状部材(20)により遊びなしでクランプされており、前記楔状部材はその側で連接板(22)当接し、この連接板は固定ブラケットの側壁部に側壁部を橋渡しするように溶接されている。楔状部材(20)はネジ結合体(21)により連接板(22)と作用結合している

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾倒可能な精錬容器、特に転炉のための固定機構であって、処理容器が担持リングに支承されており、この担持リングが薄層要素を介して処理容器カバーと接続しており、各薄層要素が一つの薄層から成り、この薄層が、接続プレートおよび第一の固定ブラケットを介して担持リングと接続しており、かつ別の接続プレートおよび第二の接続プレートを介して処理容器カバーと接続している固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
転炉は液状の銑鉄を精錬するために使用される回転可能な精錬反応容器である。この場合、温度が高いので熱膨張により処理容器を支持する場合の問題が生じる。
【0003】
熱膨張を調整できるように、かつ担持リングにおける転炉の遊びのない座りを保証できるように、特許文献1は担持リングと転炉カバーの間の担持ストリップ(Tragstreifen)から成る固定機構を提案している。この場合、担持ストリップは転炉と担持リングの相対運動を可能にしなければならない。
【0004】
同様に、特許文献2からは転炉用の懸架部が開示されており、上側ブームと下側ブームは力一体的でかつ形状一体的な分離できる緊張要素連結部(Spannelementverbindung)
を介して互いに連結している。
【0005】
このような様式の容器固定部を備えたこのような転炉を使用する際に、例えばスラグの付着を除去する場合のような洗浄作業において、側方のブラケットの領域における薄層収容プレートを固定するために使用される固定プレートが緩められるか、引きはがされる恐れがあるのは短所である。固定プレートが損傷すると、この固定プレートを堅くするか、あるいは取り替えることが必要不可欠である。このことは必要不可欠な修理のための多額な費用と関連する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第1903685号明細書
【特許文献2】欧州特許第1061138号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、公知の容器固定を改善し、かつ先に挙げた短所を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明に従い、傾倒可能な精錬容器、特に転炉のための固定機構であって、処理容器が担持リングに支承されており、この担持リングが薄層要素を介して処理容器カバーと接続しており、
各薄層要素が一つのプレートから成り、このプレートが、接続プレートおよび第一の固定ブラケットを介して担持リングと接続しており、かつ別の接続プレートおよび第二の接続プレートを介して処理容器カバーと接続している固定機構において、
接続プレートが、固定ブラケットの側壁部の間の楔状部材により遊びなしでクランプされており、前記楔状部材がその側で連接板当接し、この連接板が固定ブラケットの側壁部に側壁部を橋渡しするように溶接されていること、そして
楔状部材がネジ結合体により連接板と作用結合していることより解決される。
【0009】
ネジ結合体は、楔状部材が遊びなしで固定可能であるネジ体を備えている。
【0010】
ネジ体は、連接板を調節した後、溶接の接合部により固定されるのが好ましい。
【0011】
したがって、本発明による固定機構において、ネジ体と連接板は労力を費やして固定されている。これにより、固定機構は緩んだ部分あるいは緩み易い部分をもはや一切有していない。個々の部分は薄層要素を担持リングあるいは転炉容器に取付ける際に遊びなしで組立てることができる。
【0012】
本発明を以下に模範的な実施形態を基に、添付した図に関連付けて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による固定装置の側面図である。
【図2】図1のH−H線に沿った断面図である。
【図3】転炉におけるこのような固定装置の概略的機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
第一に、精錬処理容器を示しており、その内でも特に通常の転炉の形式で示した図3に関連している。転炉は1で表示する。
【0015】
転炉の傾倒を可能にするために、転炉はプラグ3を介して駆動装置4に支承されている担持リング2に配置されている。
【0016】
担持リング2と処理容器カバーの間の接続は、薄層要素11から起立している固定機構10により達せられる。
【0017】
本発明においては、この固定機構の設計が大事である。
【0018】
図1に示したように、固定機構10は図1で模範的に示してある薄層要素から成る。
【0019】
薄層要素11は取付け位置において、その上側の自由端部12と下側の自由端部13でもって取付け位置で上側の固定ブラケット14および下側の固定ブラケット15と連結している。上側の自由端部12と下側の自由端部13は、接続プレート16および17と連結している。その際に接続プレート16および17は、固定ブラケット14および15の側方の側壁部18,18aおよび19,19aに遊びなしでクランプされている。
【0020】
図2はH−H線における上側の固定ブラケット14の断面図である。接続プレート16は側壁部18においては楔状部材20を用いて挟んで保持されかつ固定される。楔状部材20はネジ体21により位置決めされて保持されるか、あるいはネジ体により差当り位置決めされてもよい。
【0021】
ネジ体21はこの実施形態においてはスタッドボルトとして形成されている。楔状部材20と接続プレート16を固定するために、側壁部と溶接された、側壁部をオーバーラップしている連接板22が設けられている。
【0022】
付加的連結部として、ネジ体と連接板22には溶接の接合部23が設けられている。
【符号の説明】
【0023】
1 転炉
2 担持リング
3 軸ジャーナル
4 駆動装置
10 固定機構
11 薄層要素
12 上側の端部
13 下側の端部
14 上側の固定ブラケット
15 下側の固定ブラケット
16 接続プレート
17 接続プレート
18 側壁部
18a 側壁部
19 側壁部
19a 側壁部
20 楔状部材
21 ネジ体
22 連接板
23 溶接の接合部
23a 溶接の接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾倒可能な精錬容器、特に転炉のための固定機構であって、
処理容器(1)が担持リング(2)に支承されており、この担持リングが薄層要素(11)を介して処理容器カバーと接続しており、
各薄層要素が一つの薄層から成り、この薄層が、接続プレート(16)および第一の固定ブラケット(14)を介して担持リング(2)と接続しており、かつ別の接続プレート(17)および第二の接続プレート(15)を介して処理容器カバーと接続している固定機構において、
接続プレート(16,17)が、固定ブラケット(14あるいは15)の側壁部(18,18aあるいは19,19a)の間の楔状部材(20)により遊びなしでクランプされており、前記楔状部材がその側で連接板(22)当接し、この連接板が固定ブラケットの側壁部に側壁部を橋渡しするように溶接されていること、そして
楔状部材(20)がネジ結合体(21)により連接板(22)と作用結合していることを特徴とする固定機構。
【請求項2】
ネジ結合体(21)がネジ体を備えており、このネジ体により連接板が遊びなしで固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の固定機構。
【請求項3】
ネジ体が連接板を調節した後、溶接の接合部により固定されることを特徴とする請求項2に記載の固定機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−510237(P2013−510237A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537424(P2012−537424)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068087
【国際公開番号】WO2011/064233
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】