説明

傾斜センサーおよびそれを用いたカメラ

【課題】日付などの時や地名などの場所の情報を文字画像として被写体に対して正常な方向で、クリアーにプリントするコンパクトなカメラなどに使用できる傾斜センサーを提供すること。
【解決手段】本発明の傾斜センサーは個々に絶縁されている複数の導電部26を有する区分導電筐体24と共通導電筐体23と複数の抵抗体22とを備え、複数の導電部26と共通導電筐体23とが向き合うように、共通導電筐体23と区分導電筐体24を配置し、共通導電筐体23と区分導電筐体24との間の空間に、可動な可動導電体である導電球25を配置し、それぞれの抵抗体を介するか否かによって、出力部21より異なる電圧値が出力されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重力によって傾斜度合いを測定することが出来る傾斜センサーに係わるものであり、例えばその傾斜センサーを用いたカメラに関するものである。特に撮ったその場で現像プリントされるインスタントカメラや、日付などの時や地名などの場所の情報を文字画像として写真画像に付加する写真システムに関わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影時の日付や時刻をプリントするカメラは市場にリリースされているが、日付や時間などの文字をプリントする露光部が固定されているため、カメラの撮影方向によっては、人、建物、風景などの被写体に対して文字が90度異なる位置にプリントされ不自然な画像となったり、文字がはっきり見えなかったりなどの欠点があった。
【0003】
一方、特開平7−13254号公報には、文字露光部をカメラの上下、左右の4種の方向に配置させ、前記4方向の文字露光部をカメラの撮影時に、カメラの傾 斜方向によって1方向の文字露光部のみを選択書き込みをし、被写体に対して文字が正常な方向でプリントされる日付撮影機能付きカメラの技術が開示されている。
【特許文献1】特開平7−13254号公報(第2頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、文字露光部をカメラの上下、左右の4種の方向に配置させ、前記4方向の文字露光部をカメラの撮影時に、カメラの傾斜方向によって1方向の文字露光部のみを選択書き込みをする特開平7−13254号公報の方法は、4種の文字露光部があるためカメラを大型化してしまう。また、4種の文字露光部のうちどの露光部で選択露光するかを決めるカメラの傾斜方位の検出信号回路も4個のインバータを使い、出力回路および出力部もそれぞれ4個あり煩雑である。
【0005】
また、写真画像に写し込まれた文字も、写真背景との関係などからくっきりと見えない場合が多い。そこで、本発明の目的は、日付などの時や地名などの場所の情報を文字画像として被写体に対して正常な方向で、くっきりと付加プリントするコンパクトなカメラ機器用傾斜センサーを提供することにある。そして、このようなコンパクトなカメラの実現を可能にするため、簡易な構成の傾斜センサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の傾斜センサーは、個々に絶縁されている複数の導電部を有する区分導電筐体と共通導電筐体と複数の抵抗体とを備え、複数の導電部と共通導電筐体とが向き合うように、共通導電筐体と前記区分導電筐体を配置し、共通導電筐体と区分導電筐体との間の空間に、可動な可動導電体を配置し、共通導電筐体には、複数の抵抗体のうち、一つの抵抗体を介して第1の電圧を印加する手段と、出力電圧が出力される出力部とを有し、区分導電筐体におけるそれぞれの導電部は、全く電圧が印加されない形態、複数の抵抗体のうち、少なくとも一つの抵抗体を介して第2の電圧が印加される形態、または第2の電圧値が直接印加される形態のいずれかの形態を有し、可動導電体が、複数の導電部と共通導電筐体との間を各々に接しながら移動して、複数の導電部のうち、いずれか一つの導電部と共通導電筐体とを電気的に接続し、接続された区分導電筐体における導電部の形態に対応して出力部より異なる電圧値が出力されることを特徴とする。
【0007】
また、可動導電体は球状の導電球であることを特徴とし、さらに導電球は複数個で構成
されていてもよい。あるいは導電球が共通導電筐体および区分導電筐体に接する部位は重力方向に対して導電球の下半球であることを特徴とする。また、複数の抵抗体に流れる電流は何れも1mA以下であることを特徴とする。
【0008】
また共通導電筐体は電気的に直接接続する1本のリード端子を備え、区分導電筐体における複数の導電部は、各々電気的に直接接続するリード端子を備え、全てのリード端子が略同一平面上に接地することを特徴とする。あるいは区分導電筐体は、導電部が配置された面と反対側の面に導電部へ電圧を印加するための外側電極を複数備え、外側電極と導電部とは電気的に接続されていることを特徴とする。その外側電極と導電部とは、区分導電筐体に形成されたスルーホールによって電気的に接続されていることを特徴とする。可動導電体と、共通導電筐体と、導電部の表面とのいずれかが金メッキ処理されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明はこれらの傾斜センサーを用いたカメラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記記載の本発明の傾斜センサーは出力部が1ヶ所のみであり、そこから傾斜の度合いに応じて異なる電圧が出ることを特徴としており、構成がいたって簡素である。よって、傾斜センサー自体の小型化、低コスト化が可能である。この傾斜センサーをカメラ機器に採用することによって、カメラ機器自体の小型化が可能となり、さらにカメラの縦、横方向のいずれの撮影においても、日付などの文字が被写体に対して正常な方向に、くっきりとプリントすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の形態を詳述する。本発明のカメラ機器用傾斜センサーを用いたカメラ機器の機能を図2に基づいて説明する。本発明を用いたカメラはプリント機能を備えたインスタントカメラ11で、縦方向プリントの場合は縦長のファインダー13の中に見える被写体に向けてシャッターボタン12を押すとインスタント画像14が、重力方向の向きに縦方向プリントされる。このインスタント画像14は、被写体に対して、日付文字「2005.7.1」がインスタント画像14の短辺に対して、平行方向に付加しプリントされ、被写体と文字の関係が違和感のない写真画像プリントとなる。
【0012】
一方、インスタントカメラ11を、重力方向に対して90度傾けて、シャッターボタンを押す横方向プリントの場合は、インスタント画像15は重力方向に対して垂直方向の向きに横方向プリントされ、日付文字と場所文字「2005.7.1 Tokyo」がインスタント画像15の長辺に対して、平行な向きに付加プリントされ、やはり、被写体と文字の関係が違和感のない写真画像プリントとなる。
【0013】
図3は、本発明のインスタントカメラの構成を示す模式図である。カメラの本体には、640×480画素を有するシチズンミヨタ社製のCMOSカラーイメージセンサーを用いたVGAカメラモジュール51が備えられ、2次元の画像信号を展開し、1次元ずつのRGBデータ信号に変換する回路基板(図示せず)に電気的接続がなされている。また、本体の内部には、インスタントカメラの向きを重力方向領域と重力方向に対して垂直方向となる垂直方向領域に区分検知する傾斜センサー55を備え、電気的に前述の回路基板に接続され、画像上に配置する文字位置と方向を定める。
【0014】
図3に図示するように、露光ヘッド52が1次元ずつのRGB信号によって、1ラインずつRGBの光を順次連続して照射し、画像を形成する。10枚のインスタントフィルムが充填されたフィルムパック53からメカ機構(図示せず)により定速で1枚ずつ排出移動するインスタントフィルム54に2次元のフルカラー画像を、被写体に対して文字が正
常に読める状態でプリントすることができる。
【0015】
図4は前述の露光ヘッドの内部構成を示した模式図であり、露光ヘッドはRGBのLEDチップ点光源からの光をライン光に変換するアクリルロッド62と、各RGB光の順次点灯に同期してミリ秒単位で光の透過、非透過を高速選択するSTN(スーパーツイステッドネマチック)型の液晶シャッターアレイ63と、液晶シャッターアレイの各画素から透過した光をインスタントフィルム61に結像させるためのレンズアレイ64とで構成され、VGAの文字付きフルカラー写真画像を6秒でプリントできた。また、フィルム移送時間や信号処理時間等も含め、シャッタを押してからインスタント画像が排出されるまでの時間も12秒程であった。
【0016】
図5は、本発明に関わる写真システムをインスタントカメラに用いた場合のフローチャート図である。シャッターボタンを押して、撮像素子によりカメラ撮影すると、「被写体画像データ」をデジタルデータとして被写体画像データ記憶手段41に記憶する。傾斜センサーにより得られた「カメラ傾斜方向データ」もカメラ傾斜方向データ記憶手段42に記憶する。日付や場所などの「文字データ」はカメラ機器内の文字データ記憶手段43で別途記憶されており、この記憶された「カメラ傾斜方向データ」に基づいて、「文字データ」を書き換え手段44により記憶されている「被写体画像データ」の一部の書き加えを行い、新たに「被写体画像合成データ」を作成し、被写体画像合成データ記憶手段45に記憶させる。すなわち、カメラの傾斜方向が縦と認識されたときは、被写体画像データの1画面における短辺方向に沿った位置に、文字データを書き加えて、デジタルデータを書き換え、新たな1画面の被写体画像合成データを作成する。また、カメラの傾斜方向の横と認識されたときには被写体画像データの1画面における長辺方向に沿った位置に、文字データを書き加えて、デジタルデータを書き換え、新たな1画面の被写体画像合成データを作成する。このように、傾斜データに基づいて、1画面分の被写体画像データの書き換える位置が選択される。
【0017】
さらに書き換えられた被写体画像合成データを露光ヘッドに転送しながら、相対的に移動するインスタントフィルム上に書き込みすることにより、くっきりとした「文字入り写真画像プリント」46が、インスタントカメラから排出される。
【0018】
図5ではインスタントカメラに撮像素子と傾斜センサーを備え、それらから得られた被写体画像データとカメラ傾斜方向データを記憶する手段もインスタントカメラ本体に備えていたが、撮像素子と傾斜センサーとをカメラ本体に備えていなくてもよい。例えば小型のプリンター機器に被写体画像データとカメラ傾斜方向データと文字データとを記憶する手段を備え、被写体画像合成データをこれらデータにより作成し、文字入り画像プリントを出力するようにしてもよいし、記憶回路を有する記録装置にこれらデータを記憶させ、プリンターにデータを送付することによって、文字入り画像プリントを出力させるようにしてもよい。
【実施例1】
【0019】
次に、前述したインスタントカメラに用いられた本発明の傾斜センサーについて実施例として詳述する。図1は本発明のカメラ機器用傾斜センサーの<組立斜視図>および<断面図>である。この図において、本発明の傾斜センサーは共通導電筐体と区分導電筐体で構成されている。この区分導電筐体は、個々に絶縁されている複数の導電部を有している。共通導電筐体23と区分導電筐体24における複数の導電部はそれぞれ厚みのある導電材よりなり、それぞれ向き合って構成されている。ちょうど共通導電筐体23と区分導電筐体24との間は、中央部がくり抜かれた状態で空間があり、そこに可動な可動導電体、ここでは球状の導電球25が配置されている。
【0020】
本実施例では、抵抗体を3個備えている。表面が金メッキ処理された金属製の共通導電筐体23は10KΩの3個のうちの一つである抵抗体22を介して第1の電圧である0Vに接続する手段を有する。さらに、傾斜センサーから複数の電圧値が出力される出力部21に直接接続されている。他方、区分導電筐体24は、電気的に分離された4個の金メッキ処理された金属製の導電部26である導電片から構成されている。これら4個のうち、1個の導電片は5Vの第2の電圧Vddに直接接続されている形態をとり、他の1個の導電片は10KΩの抵抗体を介して電圧Vddに接続される形態をとり、他の1個の導電片は、10KΩの抵抗体2個を介して接続される形態をとり、残りの1個の導電片は電圧値が全く印加されていない形態となっている。
【0021】
導電球25は直径1.2mm径の金メッキ処理された球状であり、共通導電筐体と区分導電筐体で構成される傾斜センサーの外形は約5mm角であり小型化が可能である。導電球25がくり抜かれた2つの筐体の間を重力方向に沿って自由に移動すると、重力方向に対して導電球の下半球の表面と2つの導電筐体が電気的接続し、接続した区分導電筐体における導電部の形態に対応して、出力部21からは0V、1.66V、2.5V、5Vのいずれかの複数電圧が出力される。つまり、このような傾斜センサーをカメラに備えることによって、出力部21から出力される電圧値によって、カメラがどのような位置にあるかを知ることができる。
【0022】
図6は、本発明の傾斜センサーの<上面斜視図>と<下面斜視図>であり、図1の構成において、電極接続部を明確にした図である。共通導電筐体31と区分導電筐体34とを電気的に接続させる導電球32、さらに、カメラ機器の回路基板に実装接続するためのリード端子33から構成されている。4本のリード端子33のうち3本は接合部35を介して、4個の区分導電筐体34における導電片のうち、3個の導電片に電気的に接続している。残り1本のリード端子は接合部を介して共通導電筐体31に接続している。
【0023】
上記4本のリード端子は同一平面上のカメラ機器用のガラエポ回路基板(図示せず)にクリームハンダを介してリフロー実装される。4本のリード端子は、ガラエポ基板上に実装された10KΩの3個のチップ抵抗体36、第1の電圧である0Vと第2の電圧であるVdd(5V)の電源ライン、およびセンサー信号電圧の出力部37とガラエポ基板上の銅配線パターンにより、コンパクトに電気的接続がなされている。カメラの傾斜方向によって出力部37には、0V、1.66V、2.5V、5Vのいずれかの複数のとびとびの電圧値が出力されるが、この際、抵抗体に流れる電流は高々、0.5mAであり、インスタントカメラの消電も小さく、カメラの傾斜方向の区分検知も問題なく可能であった。特に抵抗体に流れる電流は1mA以下とするのが好ましい。また、リード端子の共通導電筐体よりはみ出す大きさは高々2mm程度であり、傾斜センサー全体の大きさは小型でインスタントカメラの外形拡大に無視できるレベルであった。
【0024】
上記出力部からカメラ機器の傾斜方向に応じて出力されるとびとびの電圧値、0V、1.66V、2.5V、5Vはカメラ機器内のガラエポ基板上に搭載されているワンチップマイコンによりA/D変換処理された後、デジタル的に被写体画像が演算処理され、日付や場所、コメントなどの文字が被写体に対して正常な方向に撮ったその場でクリアーにプリントされる。また、レンズ光学系や光路長を必須とするため大型化が避けられない、いままでのインスタントカメラに比べ非常に薄型でコンパクトなインスタントカメラを得ることができた。さらに、付加文字の位置、明るさ、色を自由に変更すれば、被写体の背景に合わせて、より見やすい文字にすることも可能である。なお、本実施例に拘らず、本発明の傾斜センサーは通常のデジタルカメラ、カメラ付き携帯電話などあらゆるカメラ機器に用いることが可能である。
【実施例2】
【0025】
本発明のカメラ機器に用いた傾斜センサーの別の実施形態について図面を用いて説明する。図7は本発明のカメラ機器用傾斜センサーの<組立斜視図>および<断面図>である。実施例1の構成とは、2個の導電球75が配置されている点で異なっている。
【0026】
表面が金メッキ処理された金属製の共通導電筐体73、10KΩの抵抗体72、傾斜センサーから複数の電圧値を出力される出力部71、および区分導電筐体74は、実施例1と同様に接続されている。また、実施例1と同様に共通導電筐体と区分導電筐体で構成される傾斜センサーの外形は5mm角である。
【0027】
2個の導電球75は直径1.2mm径の金メッキされた球状であり、このように導電球75が2個あるため、2つの導電筐体間における電気的接続の安定性がより強化され、接続不良による誤出力が激減する。
【実施例3】
【0028】
本発明のカメラ機器に用いた傾斜センサーの別の実施例について説明する。図8は傾斜センサーの内部を共通導電筐体側から透視した状態の平面図である。図9は図8の裏面における平面図である。図10は図8のA−A´において、Aを上方、A´を下方にした断面図であり、図11は図8のB−B´において、B´を上方、Bを下方にした断面図である。本実施例が実施例1と異なるのは、区分導電筐体の内側に金属薄膜を設け、外側に外側電極を設け、金属薄膜と外側電極をスルーホールで接続し、電圧印加を容易にした点が異なる。これらの図面を用いて本実施例を説明する。
【0029】
複数の導電領域が独立して配置される区分導電筐体24は、ガラエポ基板の両面に配置され、個々に絶縁されている導電部である4つの金属薄膜84と、金属薄膜84を電気的に接続し、金属薄膜84ごとに設けられたスルーホール85によって構成され、重力方向に対して可動な導電球32によって、対面する共通導電筐体23と電気的に接続する。
【0030】
実施例1と同様に区分導電筐体24は、図8および図9に図示するように、電気的に分離された導電部である4個の金メッキ処理された金属製の金属薄膜84を備えている。また、区分導電筐体24に配置された複数の金属薄膜84のうち、図11に図示するように、出力部と共に10KΩの抵抗体22および第1の電圧である0Vに接続されている1個の金属薄膜84は、共通導電筐体23と電気的に接続されている。図8に示す斜線部は区分導電筐体と共通導電筐体とが接する領域の接触部80である。
【0031】
実施例1と同様に、図9および図10に図示するように、区分導電筐体24におけるこれら4個の金属薄膜84のうち、1個の金属薄膜は5Vの第2の電圧Vddに直接接続されている形態をとり、他の1個の金属薄膜は、10KΩの抵抗体2個を介して接続される形態をとり、図9および図11に図示するように、他の1個の金属薄膜は10KΩの抵抗体を介して電圧Vddに接続される形態をとり、残りの1個の金属薄膜は、上述したように電圧値が全く印加されていない形態となっており、かつ電圧値が出力される出力部に直接接続されている。
【0032】
区分導電筐体24の内側には導電球32と接触する導電部である金属薄膜84が配置され、導電部が配置されたこの面と反対側の面である区分導電筐体の外側には、金属薄膜に電圧を印加するため、外側電極81を設けている。この外側電極81は金属薄膜に対応して4個設けられており、それぞれの外側電極と金属薄膜は電気的に接続されている。電気的に接続するために、区分導電筐体の本体には接続用のスルーホール85が設けられている。スルーホールのほかに、導電ピンなどを用いて、区分導電筐体の両側を電気的に接続しても構わない。外側電極より金属薄膜84に対して電圧が印加される。このように区分導電筐体の外側に配置した外側電極をクリームハンダでカメラ機器の基板上にリフロー実
装する。なお、導電球、金属薄膜、共通導電筐体はすべて金メッキされ、電気的接続の向上を計った。
【0033】
このように製造された上述の傾斜センサーは、導電球の直径が1.2mm、区分導電筐体の大きさは縦横厚さが4mm×4mm×0.5mm、共通導電筐体の大きさは4mm×4mm×2mmで構成されており、傾斜センサーそのものの大きさも4mm×4mm×2.5mmと非常にコンパクトなものになった。
【実施例4】
【0034】
本発明における傾斜センサーの別の実施例について説明する。図12は傾斜センサーの分解斜視図、図13は内部を共通導電筐体側から透視した状態の平面図である。図14は図13のC−C´において、C´を上方、Cを下方にした断面図、図15は図13のD−D´において、D´を上方、Dを下方にした断面図である。図16は共通導電筐体の平面図である。本実施例が実施例3と異なるのは、共通導電筐体の突起ピンで区分導電筐体に共通導電筐体を固定し、さらに、これら突起ピンが区分導電筐体の金属薄膜と外側電極との導通をとる手段として用いる点である。これらの図面を用いて本実施例を説明する。
【0035】
図12に図示した傾斜センサー本体は、中央内部がくり抜かれた状態になっており、四隅に突起ピン102が存在する形状の共通導電筐体23と、重力方向によって自在に移動可能な導電球32と、区分導電筐体24とで構成されている。図14に図示されているように、区分導電筐体24にはガラエポ基板の両面に導電部である金属薄膜84および外側電極81がパターニング形成され、適宜スルーホール85によって両面に配置された金属薄膜84と外側電極81とが電気的に接続している。
【0036】
また、図15に図示するように、共通導電筐体23の四隅の突起ピン102は区分導電筐体24のスルーホール85に挿入され、共通導電筐体23と区分導電筐体24の裏面に設けられた外側電極81とが、突起ピン102を介して電気的に接続される。なお、区分導電筐体24のガラエポ基板は、本明細書中のすべての実施例に拘らずカメラ機器のマザーボード基板を兼ねてもよい。この場合、傾斜センサーの高さが共通導電筐体23の高さにほぼ等しい2mmとなり、更なる薄型化と部品点数の省略が可能となる。
【0037】
図16は、共通導電筐体23の平面図であり、共通導電筐体23は、中央部が凹状のくりぬき部117を備えている。本発明の傾斜センサーは導電球32が接触する金属薄膜84の位置によって、出力値が異なるが、導電球32と金属薄膜84との導通を安定して得るために、共通導電筐体23における導電球と接する面を接触平面118として平面にしている。このように接触面を平面とすることで、導電球32と共通導電筐体23は、ほぼ点接触となり、傾斜センサーの接続安定性をより増加させる。鉄球を金メッキした導電球のサイズが、2mm以下の場合、特に有効であった。
【0038】
また、図14に図示するように、接触平面118は区分導電筐体24に対して、垂直方向より斜めに配置されている。このように導電球に接する壁面である接触平面118の角度は自由に設定することが可能である。このように、壁面の角度を区分導電筐体に対して30度傾けて設計した場合、傾斜センサー本体を水平方向に約20度近くまで傾けても縦と横の認識が可能であった。よって、接触平面118の区分導電筐体に対する設置角度を任意に設定することにより、水平方向の傾きでの縦方向、横方向の感度を向上することができる。また本実施例では、壁面が平面であったが、曲面であっても同様な効果が得られる。
【実施例5】
【0039】
次にカメラ機器に用いた傾斜センサーの信号処理について図面を用いて説明する。図1
7は本発明の<傾斜センサーの信号処理のフローチャート図>である。傾斜センサーの出力部からは実施例で示したように、0V、1.66V、2.5V、5.0Vのいずれかのとびとびのアナログ電圧値出力91が出力するが、これら電圧値をA/D変換器92に入れ、デジタルデータに変換する。0V→G、1.66V→A、2.5V→B、5.0V→Cとデジタル的に符号化し、MPU94(マイクロプロセッサーユニット)にデジタル出力93として、絶え間なく入力させる。
【0040】
MPU94内では、0.5秒毎に8回のサンプリングを行い、その結果を基にサンプリング後の0.5秒間における傾斜センサーの出力状態を判定する。GGGGGGGGとGしかサンプリング出来ない時は次の0.5秒間はGと判定し、GAGGGAAAとGとAの2値がサンプリングされた時は、傾斜センサー内の導電球と筐体の電気接続においてチャッタリングが生じ、導電球が所定の位置にあるにもかかわらず電気的接続を果たしていないと判断し、Gを排除しAと判定する。同様にGとBの2値がサンプリングされた場合、GとCの2値がサンプリングされた場合もそれぞれGを排除し、BまたはCと判定する。なお、サンプリングを行っているサンプリング期間において、チャタリングを起こさないときは、サンプリング期間前の判定を維持する。
【0041】
さらに、CCBACCGCとG、A、B、Cの4値すべてがサンプリングされた時は、カメラ機器の傾斜が変動している場合と判断し、Gを排除した残りのABC3値の内最も頻度の高いCと判定した。また、Gを含む複数値が出た場合、Gの排除の程度は上述したように完全に排除する場合以外にも、GGGAGGGG→Gと判定し、GGGAAGGG→Aと判定するような重みづけする方法も採用することができる。
【0042】
なお、図17においては、A/D変換器92とMPU94は別個になっているが、MPUの中に既にA/D変換器の入った、例えば、マイクロチップス社製の型番PIC18F2620のMPUもあり、回路構成上、小型化、実装の簡略化に有利である。
【0043】
以上述べてきたように、本発明のカメラ機器用傾斜センサーを用いることにより、カメラの縦、横方向などのいずれの撮影においても、日付けや場所、コメントなどの文字が被写体に対して正常な方向に撮ったその場でクリアーにプリントされる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式図である。
【図2】本発のカメラ機器用傾斜センサーを用いたインスタントカメラ機器の機能を示す模式図である。
【図3】本発明の傾斜センサーを用いたインスタントカメラ機器の構成を示す模式図である。
【図4】インスタントカメラ機器内の露光ヘッドの構成を示す模式図である。
【図5】本発明の傾斜センサーを用いたインスタントカメラ機器の動作を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の傾斜センサーの構成を示す別の模式図である。
【図7】本発明の傾斜センサーの構成を示す別の模式図である。
【図8】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式平面図である。
【図9】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式平面図である。
【図10】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式断面図である。
【図11】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式断面図である。
【図12】本発明の傾斜センサーの構成を示す別の模式図である。
【図13】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式平面図である。
【図14】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式断面図である。
【図15】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式断面図である。
【図16】本発明の傾斜センサーの構成を示す模式平面図である。
【図17】本発明の傾斜センサーの信号処理のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0045】
11 インスタントカメラ
12 シャッターボタン
13 ファインダー
14,15 インスタント画像
21 出力部
22 抵抗体
23 共通導電筐体
24 区分導電筐体
25,32,75 導電球
26 導電部
31,73 共通導電筐体
33 リード端子
34,74 区分導電筐体
35 接合部
36,72 抵抗体
37,71 出力部
51 カメラモジュール
52 露光ヘッド
53 フィルムパック
54,61 インスタントフィルム
55 傾斜センサー
62 アクリルロッド
63 液晶シャッターアレイ
80 接触部
81 外側電極
84 金属薄膜
85 スルーホール
91 アナログ電圧値出力
92 A/D変換器
93 デジタル出力
94 MPU
102 突起ピン
117 くりぬき部
118 接触平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に絶縁されている複数の導電部を有する区分導電筐体と共通導電筐体と複数の抵抗体とを備え、前記複数の導電部と前記共通導電筐体とが向き合うように、前記共通導電筐体と前記区分導電筐体を配置し、前記共通導電筐体と前記区分導電筐体との間の空間に、可動な可動導電体を配置し、
前記共通導電筐体には、前記複数の抵抗体のうち、一つの抵抗体を介して第1の電圧を印加する手段と、出力電圧が出力される出力部とを有し、
前記区分導電筐体におけるそれぞれの前記導電部は、全く電圧が印加されない形態、前記複数の抵抗体のうち、少なくとも一つの抵抗体を介して第2の電圧が印加される形態、または前記第2の電圧値が直接印加される形態のいずれかの形態を有し、
前記可動導電体が、前記複数の導電部と前記共通導電筐体との間を各々に接しながら移動して、前記複数の導電部のうち、いずれか一つの前記導電部と前記共通導電筐体とを電気的に接続し、接続された前記区分導電筐体における前記導電部の前記形態に対応して前記出力部より異なる電圧値が出力されることを特徴とする傾斜センサー。
【請求項2】
前記可動導電体は球状の導電球であることを特徴とする請求項1に記載の傾斜センサー。
【請求項3】
前記いずれか一つの前記導電部と前記共通導電筐体とが電気的に接続している時に、前記導電球と前記共通導電筐体とが接する面は平面であることを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサー。
【請求項4】
前記導電球は複数個で構成されることを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサー。
【請求項5】
前記導電球が前記共通導電筐体および前記区分導電筐体に接する部位は重力方向に対して導電球の下半球であることを特徴とする請求項2に記載の傾斜センサー。
【請求項6】
前記複数の抵抗体に流れる電流は何れも1mA以下であることを特徴とする請求項1に記載の傾斜センサー。
【請求項7】
前記共通導電筐体は電気的に直接接続する1本のリード端子を備え、前記区分導電筐体における前記複数の導電部は、各々電気的に直接接続するリード端子を備え、全ての前記リード端子が略同一平面上に接地することを特徴とする請求項1に記載の傾斜センサー。
【請求項8】
前記区分導電筐体は、前記導電部が配置された面と反対側の面に前記導電部へ電圧を印加するための外側電極を複数備え、前記外側電極と前記導電部とは電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の傾斜センサー。
【請求項9】
前記外側電極と前記導電部とは、前記区分導電筐体に形成されたスルーホールによって電気的に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の傾斜センサー。
【請求項10】
共通導電筐体の少なくとも1部の形状がピン形状であり、区分導電筐体に形成されたスルーホールに前記共通導電筐体のピン形状部が挿入され電気的接続がされていることを特徴とする請求項9に記載の傾斜センサー。
【請求項11】
前記導電体と、前記共通導電筐体と、前記導電部の表面とのいずれかが金メッキ処理されていることを特徴とする請求項1に記載の傾斜センサー。
【請求項12】
請求項1に記載の傾斜センサーを用いたカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−76376(P2008−76376A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331650(P2006−331650)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】