説明

傾斜屋根緑化の施工方法

【課題】
つる性植物の水耕栽培で傾斜屋根の緑化を行うに当たって、つる性植物が繁茂し、自分で日陰を作るまで生長する間の、熱的な生育環境を良好に維持し、かつ、施工作業や維持管理作業に支障となることのない、安全に配慮した施工方法を提供する。
【解決手段】
高温となる屋根材12の表面からつる性植物14が熱によるダメージを受けることがないよう、つる性植物の生育に適した離隔を確保した育成用の床網2を設置し、その上をつる性植物14が伸延できるようにする。また、床網2およびそれの離隔を確保するための部材が作業者の安全な作業に支障とならないよう、伸縮自在の部材で構成し、踏み込んだ時、これらの部材が屋根材12に密着することにより、違和感なく床網2上の踏み歩きができる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜屋根緑化の施工方法に関し、さらに詳細には、たとえば、つる性植物を利用して工場のスレートや折板屋根など、比較的広い面積を全面的に緑化する際に用いる施工方法に関る。
【背景技術】
【0002】
工場の建物にはいろいろな形のものが存在するが、その代表的なものとして、スレート屋根や折板屋根などの工場建物がある。これらの工場の多くは天井が高いのに加えて、天井や壁が薄板一枚でできている場合が多く、空調が効きにくいなど、冷暖房効率が悪いのが現状である。しかも、工場からの出荷のため、大型のシャッターが備えられ、これが高く持ち上げられた状態で操業していることが多く、省エネルギーの観点から好ましい状況ではない。この状況を踏まえ、省エネルギーの推進、大気中の炭酸ガス量の削減、さらには作業効率や安全作業の推進のために、工場のスレート屋根や折板屋根の棟などに水耕栽培用の栽培槽を設け、ヘデラで大規模に屋根緑化を行うことも既に提案されており、その効果が期待されている。
【0003】
このような緑化対策は、増加し続けるビルや工場の二酸化炭素軽減のためにもきわめて重要である。しかしながら、スレート屋根や折板屋根など傾斜屋根の緑化は、芝や苔で覆う例は多少あるが、傾斜屋根という危険性の高い場所で除草作業もままならず、ヘデラの水耕栽培にしても、大規模な仮設備や安全対策を施すことなく、安全確実、かつ、効率的に必要な作業を行うための施工方法が、実用のためには極めて重要なポイントとなる。また、スレート屋根や折板屋根は真夏の直射日光を受け、70℃程度の高温になることから、ヘデラなどつる性植物が繁茂し、自分で日陰を作りながら成長を続けられる状況になるまでは、温度管理には特別な配慮が必要となり、これを解決することが傾斜屋根の大規模緑化による環境対策を実現するための鍵となっている。
【0004】
このような課題を解決するため、本発明では、傾斜屋根上でヘデラ等のつる性植物により緑化を行う際に、安全・確実、かつ、効率的な施工作業を行い、植栽物が、真夏の直射日光を受けても障害を受けることなく、確実に育成するための施工方法を提供する。このようなつる性植物による傾斜屋根の全面緑化自体ほとんど成功例がないが、たとえば、特開2000−262152号公報においては、実施形態を示すものとして、ツタ系植物を絡ませる金網などによるメッシュ板を栽培容器の上に一体的に取り付けたものが示されている。
【0005】
また、特開2005−110563号公報においては、建造物の屋上の中央部分に液肥栽培槽を配置し、その周囲に格子状網を設け、蔓性植物が定植した後、蔓が網に絡みつつ生長させることにより、強風により液肥栽培装置全体が転覆する危険をなくすことができるとして、格子の一辺の長さを100mm〜200mmとし、蔓が網の上部と共に下部にも潜り込むように生長し、強固に絡み合よう仕向けている。
【0006】
しかしながら、前記2例の先行文献はいずれも、つる性植物を使用して屋上や屋根の緑化を行おうとしている点、その設備の一部に金網などの網を利用している点は共通しているが、つるを自ら巻きつかせることにその目的がある。本発明の目的とする、傾斜屋根やビル屋上で、ヘデラ等下垂性のつる性植物により緑化を行う際、作業性を改善するとともに、植栽物が植栽初期の十分繁茂しきれていない状況の下で、真夏の直射日光の高温障害を解消し、着実に育成するための施工方法とは、目的も構成も全く異なるものである。
【0007】
【特許文献1】特開2000−262152号公報
【特許文献2】特開2005−110563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、スレート屋根や折板屋根あるいはビル屋上のように真夏の直射日光により高温状態となる屋根上で、ヘデラなどつる性植物が繁茂し、少なくとも自分で日陰を作りながら成長を続けられる状況になるまで、高温屋根面からの植栽物の離隔を確保し、成長に必要な条件を満足させる仕掛けの方法と、この仕掛けが屋根上における作業の障害となることなく、安全確実、かつ、効率的に必要な作業を行えるための施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
高温屋根面からの植栽物の離隔を確保し、成長に必要な条件を満足させる仕掛けとして屋根材凸部や屋上面などから所要の高さ浮き上がらせた状態で育成用の床網を設置し、この床網上を植栽物の育成床として、少なくとも植栽物が十分に繁茂し、自ら日陰を形成するようになるまでの間育成する。
【0010】
床網と屋根材凸部や屋上面などとの間に、所要の高さを確保する手段として、屋根材凸部や屋上面上に設置した支持材上につる性植物育成用の床網を敷き詰める方法、屋根材凸部や屋上面との間に必要な離隔を確保して張り巡らしたワイヤー上に床網を敷き詰める方法、および屋根材凸部や屋上面上との間に所定の高さで張り巡らしたワイヤーから床網を吊り下げる方法をとる。なお、いずれの方法においても、床網上を作業者等が移動する際に支障とならないよう、床網、各ワイヤーは伸縮性を持たせた材質または構造とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ヘデラ等の下垂性のつる性植物で、屋上や屋根を全面緑化する場合に、極めて効果が大きい。すなわち、ビルの屋上、工場のスレート屋根や折板屋根を緑化する場合には、栽培槽から伸延したつる性植物は、その初期においては枝葉が貧弱であり、この状態で、高温となる屋根上を這わせたならば、5月中旬の気温であっても生育は難しく、6〜9月の夏季においては新芽や葉が焼け、枯れてしまう。このために屋根面から生育上必要な高さの離隔を保ちつつ、施工や保守のために、屋根上の踏み歩きができることが不可欠であるが、本発明により、これを可能としたことで、屋上および傾斜屋根緑化の普及促進に関して極めて大きな効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
傾斜屋根の緑化施工面にステンレス製やビニール被覆等の金網を敷き詰め、これを屋根材の支持ボルトにバインド、あるいはワッシャとボルトで締めこむなどして固定することにより凹凸のある屋根材の上に網で平面を形成して、つる性植物及びその落葉が屋根材凹部に進入することを防止し、あわせて作業時にその上を踏み歩きする際に、足元の安定を確保し、さらには万が一、踏み抜いた場合でも安全が確保できる構成とする。
【0013】
なお、この網は傾斜屋根の最下端部に円弧状に返しを設けて、その返しの頂部を適当な間隔で、45度程度の角度を持たせたワイヤーで上方に牽引させることにより、つる性植物の垂れ下がり防止と、作業者や器物の転落防止効果を持たせている。
【0014】
屋根材の凸部には、数山ごとの間隔で、スポンジ等、弾力性のある高さ15〜20cm程度の立方体あるいは円柱状などの部材を屋根材の支持ボルトに取り付け、これを支持材としてビニール製の風防ネット等の床網を張り詰め、これと屋根材の間に所定の離隔を確保し、その上につる性植物を伸延させることにより、夏季に高温となる屋根材の影響をなくすとともに、床網および支持材、双方の伸縮性により、施工や保守作業時における、床網上の踏み歩き可能としている。もちろん、この弾力性のある支持材は伸延してきたつるを、つるの枝葉が十分に繁茂するまでの1〜2年の間支持し得るだけの弾力性を持っていれば良く、ボルト締めなど強固なものでなく、屋根材の凸部全面に接着剤で固定しても良いし、必要最小限設置するものであっても良い。また、繁茂後は不要となるものであるから、2年程度で分解する生分解性の樹脂等を材料としたものであっても良い。
【0015】
同様の目的で、ビニール製の風防ネット等の床網と屋根材の間に所定の離隔を確保する方法として、離隔を保持するために屋根材凸部から15〜20cm程度浮かした状態で離隔保持するためのワイヤーを水平または垂直方向のどちらか一方、あるいは縦横に張り巡らし、この離隔保持ワイヤーの両端または片端にスプリングを接続して緊線し、この上にビニール製の風防ネット等の床網を敷き詰め要所要所を固定する。こうすることにより、屋根材と網の間に所定の離隔を確保し、その上につる性植物を繁茂させるとともに、床網と離隔保持ワイヤー双方の伸縮性により、施工や保守作業時における、床網上の踏み歩き可能としている。
【0016】
さらに、同様の目的で、ビニール製の風防ネット等の床網と屋根材の間に所定の離隔を確保する方法として、離隔を保持するために屋根材凸部から30〜40cm程度浮かした状態で床網を吊るすための牽引ワイヤーを水平または垂直方向のどちらか一方、あるいは縦横に張り巡らし、この牽引ワイヤーの両端または片端にスプリングを接続して緊線し、これに屋根材凸部から15〜20cm程度浮かした状態で吊り下げる形で、ビニール製の風防ネット等の床網を固定する。こうすることにより、屋根材と床網の間に所定の離隔を確保し、その上につる性植物を伸延させるとともに、床網と牽引ワイヤー双方の伸縮性により、施工や保守作業時における、床網上の踏み歩き可能としている。なお、この方法によると、牽引ワイヤーと床網吊り下げ用の吊りワイヤーの間を縫いながらつる性植物が伸延するので、強風時の捲れ防止対策としての、つる性植物押さえ用ロープ等の役割も兼ねることができる。
【0017】
さらに別な方法として、屋根上における、緑化を施工する範囲の縦または横方向のいずれか、あるいは縦横両方向に、しゃがんで作業できる程度の高さの支柱を設け、この支柱に横材を固定して、それに一定の間隔で複数本の誘引ワイヤーを設置する。そのワイヤーにつる性植物を誘引結束して伸延させることにより、成長して枝葉が繁茂し、自らの葉で日陰を形成して屋根面の輻射熱を緩和できるようになるまでの1〜2年の間、高温となる屋根面から遠ざけることが可能であり、高温期の葉焼けや枯死を防止することができる。この方法によると、つる性植物が伸延・繁茂するまでの1〜2年の、比較的手のかかる時期に、ぶどう棚などと同様にその下に入って作業できるというメリットがあると共に、十分繁茂した後には支柱を撤去し、ワイヤーを止めている横材をワイヤーがやや緩む程度の位置で、屋根材の支持ボルトを利用するなどして固定すれば、ワイヤーで抑えられた形で、つる性植物が伸延するので、強風時の捲れ防止対策としての、つる性植物押さえ用ロープ等の役割も兼ねることができる。
【0018】
また、つる性植物は屋根上などの過酷な条件の下では年に3m程度の伸延にとどまるため、広い屋根に対しては、据付を行う栽培槽で予め2〜3m程度に育成した苗を使用し、伸延・繁茂による全面緑化が完成するまでの間を短縮するとともに、それまでの見栄えをよくするために、つる性植物の造花を緑化施工面上に敷き詰め、この上につる性植物を伸延させても良い。こうすることにより、当面の美観が保てるとともに造花がつる性植物を屋根面から浮かび上がらせ、輻射熱を緩和して、つる性植物の早期の伸延を助長することもできる。
【0019】
これまで述べたように、つる性植物を夏季の表面温度が60℃以上にもなる屋根上で成育させるためには、安全や作業性を損なうことなく、いかに高温表面から引き離して育成するかが課題であり、これが成功の秘訣ともいえる。しかし、視点を変えて、成育上支障とならない温度まで、屋根面の温度を下げる方法もある。すなわち、つる性植物が十分に繁茂し自ら屋根面の輻射熱を緩和し、屋根に接触した状態であっても葉焼けや枯死を起こさない繁茂状況になるまでの1〜2年の間、日の出から日の入りの間の必要時間帯に散水装置を作動させ、屋根上全面を生育に必要な温度に保つことで、夏季においてもつる性植物の伸延を停滞させることなく成長させることができる。なお、スプリンクラーは農事用のスプリンクラーで良く、屋根の表面温度を40℃程度以下にするような散水量・周期に調整し、高温時期において、トラブル時でも30分以上の散水停止が生じないよう留意する必要がある。また、つる性植物が全面的に繁茂し、緑化が完成した時点で、スプリンクラーを撤去して、他に転用することも可能である。さらには、一定の期間、遮光ネットを設置して50%程度の遮光を行い、陽射しを緩和するなどの処置を合わせて行うことにより大きな効果を得ることができる。
【実施例】
【0020】
本発明を図示された実施例によって、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態を示す概略図であり、スレート等の傾斜屋根の棟に水耕栽培による、つる性植物14を育成するための栽培槽13が設置されている。網1は、網目の大きさが10〜40mm程度の金属製の網を使用しており、これを、緑化を行う範囲全面に敷き詰めている。通常スレート屋根にせよ折板屋根にせよ屋根材の支持ボルト3が屋根材17の表面に突き出ており、これを利用し、バインドするなり、ワッシャをかませてナット締めするなどして網1を固定する。支持ボルトがない場合は別途同様なものを取り付けて、それに固定する。網1は傾斜屋根下端の樋15の手前で返り16を設けており、返り16の上端を1m程度の間隔でワイヤー(図省略)で固定し、つる性植物14の樋15への侵入を防止するとともに、器材や作業者の落下を防止する
【0022】
図1に示しているのように、ナイロン製などを材料とした数ミリ角の小さな網目の床網2は、市販の防風ネットなどの伸縮自在のものを使用し、栽培槽の設置台当たりを起点として返り16のあたりまで、緑化を行う範囲全面に、屋根材12の凸部に取り付けたスポンジなどの弾力性のある部材を用いた支持材4により浮き上がらせた形で、屋根材との間に20cm程度の離隔を確保するように敷き詰めてある。支持材4は屋根材12の凸部全体に貼り付けても良いが、屋根材12の支持ボルト3などを利用して、床網2が浮き上がるに足る個数、簡単に固定されておれば問題はない。
【0023】
図2は、図1の実施形態の部分断面図を示している。屋根材12は屋根骨材11上に支持ボルト3により固定されており、支持ボルト3の突出部のボルトを利用して、網1が固定されており、同時に支持材4もこれを利用して固定されている。床網2は、支持材4の上に載せられた形で敷き詰められている。また、床網2がずれたり、間が空いたりすることがないよう、床網2は繋ぎ合わせるなどして一枚物とされており、必要な個所数、網1に止められている。これらの方法により、夏季に屋根上の温度が高温となっても、枯れることなく、つる性植物14を繁茂させることができる。また、支持材4と網2の伸縮性により、この上を踏み歩きする際にも安全が確保できる。なお、床網2の上に繁茂したつる性植物が、強風にあおられた場合に捲れ状態になることがあるため、植物の伸延状況に合わせて、シュロ縄などのロープを水平方向に張り、所々押さえのバインドを行う。
【0024】
図3は、網1と床網2との間に、離隔保持ワイヤー5を縦または横、あるいは縦横に張り巡らし、この上に床網2を載せ、必要個所を離隔保持ワイヤー5に縛ることにより、屋根材12と床網2の間に20cm程度の離隔を確保し、その上につる性植物を繁茂させるものである。こうすることにより、夏季に屋根上の温度が高温となっても、枯れることなく、つる性植物を繁茂させることができる。また、この離隔保持ワイヤー5の一端または両端にスプリングを接続して緊線することで、離隔保持ワイヤー5と床網2の伸縮性により、この上を踏み歩きする際にも、誤って引っ掛けた際にも、安全が確保できる。もちろん、スプリング付きワイヤーに替えて、伸縮性のあるロープを使用しても問題はない。なお、床網2の上に繁茂したつる性植物が、強風にあおられた場合に捲れ状態になることがあるため、植物の伸延状況に合わせて、シュロ縄などのロープを水平方向に張り、所々押さえのバインドを行う。
【0025】
図4は、つる性植物と直交するように、または縦横に数本の牽引ワイヤー8を緊線し、これに床網2を吊りワイヤー10で吊り下げることにより、屋根材12と床網2の間に20cm程度の離隔を確保し、その上につる性植物を繁茂させることができる。この場合、牽引ワイヤー8の一端または両端にスプリングを接続して緊線することで、牽引ワイヤー8と床網2の伸縮性により、この上を踏み歩きする際にも、誤って引っ掛けた際にも安全が確保できる。なお、スプリング付きの吊りワイヤー8に替えて伸縮性のあるロープを使用してもよいし、吊り下げに使う部材に伸縮性のあるものを使用しても同様の効果が得られることは言うまでもない。本施工方法を採用する場合は、牽引ワイヤーと床網吊り下げ用の吊りワイヤーの間を縫いながらつる性植物が伸延するので、強風時の捲れ防止対策としての、つる性植物押さえ用ロープ等の役割も兼ねることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の傾斜屋根緑化の施工方法は、スレート屋根や折板屋根のように真夏の直射日光により高温状態となる屋根上を、ヘデラなどつる性植物で全面緑化する場合に、緑化を所期の計画どおり完成させる上で極めて重要であり、かつ有効な方法である。栽培槽に植生されたつる性植物は、6〜9月の日中は60度を越える高温の屋根材の上を伸延することになるが、本発明の施工方法によらなければ、夏季を正常に越すことは不可能である。緑化施工から1〜2年を経て、全面的に枝葉が繁茂し、自分で日陰を作りながら成長を続けられる状況になるまでの間の、傾斜屋根上でのつる性植物の維持・育成、施工作業・維持管理時の作業安全になくてはならない施工方法であり、つる性植物による緑化の促進に大きく貢献できる。なお、本発明は傾斜屋根について詳しく記載しているが、傾斜がほとんどない屋根、あるいは平らな屋上や舗装されたグランド面など、つる性植物の育成において支障が生じるほどの高温となるあらゆる場所での、施工・育成方法として適用できるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す一部斜視図である。
【図2】図1の一部断面図である。
【図3】図2と異なる方法による一部断面図である。
【図4】図2、図3と異なる方法による一部断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1…網、2…床網、3…支持ボルト、4…支持材、5…離隔保持ワイヤー 、6、9…スプリング、7…延長アダプター、8…牽引ワイヤー 、10…吊りワイヤー、12…屋根材、13…栽培槽、14…つる性植物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜屋根の緑化施工面に網1を敷き詰め、これを屋根材の支持ボルト3に固定することにより凹凸のある屋根材の上に網1で平面を形成し、つる性植物及びその落葉が屋根材凹部に進入することを防止し、あわせて作業時の足元の安定を図ることを特徴とする傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の傾斜屋根緑化の施工方法において、傾斜屋根端部で、網1に返しを設けたことを特徴とする、傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項3】
屋根材の凸部に弾力性のある部材で構成した支持材4を取り付け、床網2と屋根材の間に所定の離隔を確保し、その上につる性植物を繁茂させるとともに、床網2の伸縮性によりこの上を踏み歩き可能とすることを特徴とする、請求項1乃至2に記載の傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項4】
前記網1と床網2との間に、離隔保持ワイヤー5を縦横に張りめぐらし、この離隔保持ワイヤー5の少なくとも一端にスプリングを接続して緊線することにより、屋根材と床網2の間に所定の離隔を確保し、その上につる性植物を繁茂させるとともに、床網2の伸縮性によりこの上を踏み歩き可能とすることを特徴とする、請求項1乃至2に記載の傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項5】
請求項4により施工し、伸延したつる性植物の上部に、屋根材の凹凸と直交するようにロープを緊線し、適切な間隔で網1に止めることにより、強風時のつる性植物の捲れを防止することを特徴とする請求項1乃至4に記載の傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項6】
床網2の上部において、縦横に数本の少なくとも一端にスプリングを接続した牽引ワイヤー8を緊線し、これに床網2を吊り下げることにより、屋根材と網2の間に所定の離隔を確保し、その上につる性植物を繁茂させるとともに、床網2の伸縮性によりこの上を踏み歩き可能とし、かつ、併せて強風時におけるつる性植物の捲れを防止することを特徴とする、請求項1乃至2に記載の傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項7】
屋根上において緑化を施工する範囲の縦または横方向のいずれか、または縦横両方向に立てた支柱に横材を固定し、これに複数本の誘引ワイヤーを設置し、少なくとも、つる性植物が成長して自ら屋根面の輻射熱を緩和し、屋根に接触した状態であっても葉焼けや枯死を起こさない繁茂状況になるまでの間、つるをそのワイヤーに誘引結束することにより屋根面からの離隔を確保して育成し、繁茂後は横材を屋根面に固定して強風時の捲れを防止することを特徴とする、請求項1乃至2に記載の傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項8】
つる性植物の伸延・繁茂による全面緑化が完成するまでの間、つる性植物の造花を緑化面上に敷き詰めることにより、当面の美観を保つとともに屋根面からの輻射熱を緩和して、つる性植物の早期の伸延を助長することを特徴とする、請求項1乃至7に記載の傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項9】
つる性植物が成長して十分に繁茂し、自ら屋根面の輻射熱を緩和し、屋根に接触した状態であっても葉焼けや枯死を起こさない繁茂状況になるまでの間、日中の必要時間帯に散水装置を作動させ、屋根上を生育に必要な温度に保つことを特徴とする、請求項1乃至8に記載の傾斜屋根緑化の施工方法。
【請求項10】
傾斜屋根の傾斜がほとんどない、いわゆる平面屋根やビルの屋上のように僅かな排水勾配を持たせたのみの屋根において、常用通路として確保する部分以外の場所を、少なくとも、つる性植物が十分に繁茂するまでの間、請求項3乃至9に記載の施工方法に倣って、屋根面からの離隔を確保することにより、輻射熱等からの保護対策を行い、つる性植物の成育と維持管理を行うことを特徴とするつる性植物による緑化の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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