説明

傾斜磁場コイル、及び、磁気共鳴イメージング装置

【課題】z軸が貫通しないループコイルを用いることなく配線パターンを構成可能な傾斜磁場コイルを提供する。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に軸方向に線形な磁場分布を作る略ソレノイド状の第1コイルと、第1コイルの外側で、撮像領域に均一な磁場分布の静磁場を作る静磁場コイル装置の内側に配置され、第1コイルから静磁場コイル装置への漏れ磁場を抑制する略ソレノイド状の第2コイルとを備え、第1コイルと第2コイルの間隔が、周方向で異なり第1の領域A1(θ=0、π)と第1の領域A1より狭い第2の領域A2(θ=π/2)とを有し、第1コイルでは、第1コイルの中心を通り軸方向(z軸方向)に垂直なゼロ面F0側の配線パターン17a、17bが、第1の領域A1でゼロ面F0から離れ、第2の領域A2でゼロ面F0に近接して、周方向に蛇行している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、MRIと称す)装置に関し、特に、前記MRI装置に用いられる傾斜磁場コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置としては、撮像領域に水平方向の磁場を形成する水平磁場型(トンネル型)のMRI装置が提案されている。このMRI装置では、撮像領域に均一な磁場を生成する静磁場コイル(超伝導コイルなど)が中空円筒型容器に収納され、この中空円筒型容器の内筒壁内側(中空円筒型容器の外部)に、撮像領域に位置(情報)を設定するためのパルス状の磁場(傾斜磁場)を発生させる傾斜磁場コイルと、核スピンを励起させるRFコイルが配置されている。
【0003】
水平磁場型のMRI装置の撮像領域では、静磁場コイルが生成する静磁場中に被検体(通常は人体)を挿入して、RFコイルが生成するRFパルスを照射し、これにより被検体の生体内から発生する磁気共鳴信号を受信して、医療診断用の被検体の断層画像を取得する。このとき、傾斜磁場コイルは、被検体が置かれた撮像領域に、中空円筒型容器の軸方向(z軸方向)に線形に変化する傾斜磁場を発生させるz方向傾斜磁場コイルと、そのz軸に垂直で床に対して平行な横方向(x軸方向)に線形に変化する傾斜磁場を発生させるx方向傾斜磁場コイルと、床に対して垂直な縦方向(y軸方向)に線形に変化する傾斜磁場を発生させるy方向傾斜磁場コイルとを有し、それぞれの方向用の傾斜磁場コイルに、パルス状の電流を印加することで、それぞれの方向に傾斜した傾斜磁場を発生させ、磁気共鳴信号に被検体内の位置情報を付与するようにしている。
【0004】
傾斜磁場コイルは、撮像領域以外にも磁場(漏れ磁場)を作り、この漏れ磁場が周囲に配置される中空円筒型容器に渦電流を発生させる。そして、この渦電流が作る磁場が断層画像に悪影響を及ぼす場合があるので、漏れ磁場を抑制するために、傾斜磁場コイルには、傾斜磁場を作るメインコイルに加えて、メインコイルとは反対方向の電流が流れるシールドコイルが設けられている。
【0005】
傾斜磁場コイルは、静磁場コイルを収納する中空円筒型容器の内筒壁に沿うように、z軸に垂直な断面の形状を円形にするのが一般的であるが、被検体、例えば患者の内筒壁内に挿入される際の圧迫感を低減するため、円形の断面の形状を横長にすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、傾斜磁場コイルのメインコイル及びシールドコイルのz軸に垂直な断面の形状が、横長の楕円形になっている。また、特許文献1では、断面の形状が楕円形のメインコイルと、このメインコイルの外側に配置されてその断面形状が円形のシールドコイルを備える傾斜磁場コイルが提案されている。
【0006】
特許文献2では、傾斜磁場コイルの断面形状が非円形である水平磁場型のMRI装置が提案されている。この傾斜磁場コイルのメインコイルは、z軸に垂直な断面の形状(断面形状)の下半分が扁平した円弧であり、上半分が略真円形の円弧である形状を有する。特許文献2は、z方向に線形勾配の磁場を作るz方向傾斜磁場コイルの配線パターンの例を示しており、メインコイルとシールドコイルとの間隔が狭い上側と、間隔が広い下側で、配線パターンの巻き線密度が異なる様子が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−327478号公報
【特許文献2】特開2001−170026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
z方向傾斜磁場コイルの断面形状がメインコイルとシールドコイル共に同心円の円形である場合、メインコイルとシールドコイルの配線パターンは、z軸が貫通するように配置されるソレノイド状コイルの配線パターンになる。
一方、特許文献2のように、z方向傾斜磁場コイルのメインコイルの断面形状が非円形であり、シールドコイルの断面形状が円形であるため、メインコイルとシールドコイルの間隔が周方向で異なり狭い領域と広い領域が存在する。狭い領域では、広い領域より、メインコイルとシールドコイルの一方のコイルが他方のコイルの配置された領域に作る磁場が大きくなる。そのため、メインコイルとシールドコイルを、ソレノイド状コイルの配線パターンのみでは形成できなくなり、静磁場コイルを収納する中空円筒型容器の中心(装置中心)を通りz軸に垂直な断面をまたぎz軸が貫通していないループコイルが追加形成される。このように、ソレノイド状コイルとループコイルが混在すると、ソレノイド状コイルとループコイルの配線パターンをつなぐ渡り線により余分な磁場が発生する。この渡り線による磁場は時間的に変動するため、周囲の中空円筒型容器に渦電流が誘起され、その渦電流が作る磁場は、MRI装置の断層画像に悪影響を及ぼすと考えられる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、メインコイルとシールドコイルの間隔が周方向で異なり狭い領域と広い領域が存在しても、z軸が貫通しないループコイルを用いることなくソレノイド状コイルで配線パターンを構成可能な傾斜磁場コイルを提供することであり、さらに、その傾斜磁場コイルが搭載されたMRI装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、
磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に軸方向に線形な磁場分布を作る略ソレノイド状の第1コイル(メインコイル)と、
前記第1コイル(メインコイル)の外側で、前記撮像領域に均一な磁場分布の静磁場を作る静磁場コイル装置の内側に配置され、前記第1コイル(メインコイル)から前記静磁場コイル装置への漏れ磁場を抑制する略ソレノイド状の第2コイル(シールドコイル)とを備え、
前記第1コイル(メインコイル)と前記第2コイル(シールドコイル)の間隔が、周方向で異なり、第1の領域(広い領域)と前記第1の領域よりも前記間隔が狭い第2の領域(狭い領域)とを有し、
前記第1コイル(メインコイル)では、前記第1コイル(メインコイル)の中心を通り前記軸方向に垂直なゼロ面側の配線パターンが、前記広い領域で前記ゼロ面から離れ、前記狭い領域で前記ゼロ面に近接して、前記周方向に蛇行している傾斜磁場コイルであることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、本発明に係る傾斜磁場コイルと、前記傾斜磁場コイルに近接して配置される前記静磁場コイル装置とを有するMRI装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メインコイルとシールドコイルの間隔が周方向で異なり狭い領域と広い領域が存在しても、z軸が貫通しないループコイルを用いることなく配線パターンを構成可能な傾斜磁場コイルを提供することができ、さらに、その傾斜磁場コイルが搭載されたMRI装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzメインコイル(第1コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図1B】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzシールドコイル(第2コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置をy軸とz軸を含む平面で切断した断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図である。
【図5A】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのxメインコイルの配線パターンの展開図の半分である。
【図5B】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのxシールドコイルの配線パターンの展開図の半分である。
【図6A】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのyメインコイルの配線パターンの展開図の半分である。
【図6B】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのyシールドコイルの配線パターンの展開図の半分である。
【図7】比較例1の傾斜磁場コイルのzメインコイルとzシールドコイルを透視して記載した斜視図である。
【図8A】比較例1の傾斜磁場コイルのzメインコイルの配線パターンの展開図の半分である。
【図8B】比較例1の傾斜磁場コイルのzシールドコイルの配線パターンの展開図の半分である。
【図9A】比較例2の傾斜磁場コイルのzメインコイルの配線パターンの展開図の半分である。
【図9B】比較例2の傾斜磁場コイルのzシールドコイルの配線パターンの展開図の半分である。
【図10A】比較例2の傾斜磁場コイルのzシールドコイルを透視して記載した斜視図(その1:ループコイルをz座標の正負で分割)である。
【図10B】比較例2の傾斜磁場コイルのzシールドコイルを透視して記載した斜視図(その2:ループコイルをソレノイドコイルに接続)である。
【図11A】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzメインコイル(第1コイル)を透視して記載した斜視図である。
【図11B】本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzシールドコイル(第2コイル)を透視して記載した斜視図である。
【図12A】本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイルをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図である。
【図12B】本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzメインコイル(第1コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図12C】本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzシールドコイル(第2コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図13A】本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイルをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図である。
【図13B】本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzメインコイル(第1コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図13C】本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzシールドコイル(第2コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図14A】本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイルをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図である。
【図14B】本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzメインコイル(第1コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図14C】本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzシールドコイル(第2コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図15A】本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイルをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図である。
【図15B】本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzメインコイル(第1コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【図15C】本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzシールドコイル(第2コイル)の配線パターンの展開図の半分である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0015】
(第1の実施形態)
図2に、本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置100の斜視図を示す。MRI装置100は、ベッド41にねたままの状態で被検体40が挿入される撮像領域7に均一な静磁場を生成する静磁場コイル装置1と、撮像領域7に位置情報を付与するために空間的に磁場強度が傾斜勾配した傾斜磁場をパルス状に発生させる傾斜磁場コイル2と、被検体40に高周波パルスを照射するRFコイル3と、被検体40からの磁気共鳴信号を受信する受信コイル(図示省略)と、受信した磁気共鳴信号を処理して前記断層画像を表示するコンピュータシステム(図示省略)とを有している。そして、MRI装置100によれば、均一な静磁場中に置かれた被検体40に高周波パルスを照射したときに生じる核磁気共鳴現象を利用して、被検体40の物理的、化学的性質を表す断層画像を得ることができ、その断層画像は、特に、医療用として用いられている。静磁場コイル装置1と、傾斜磁場コイル2と、RFコイル3とは、筒状であり、筒状の中心軸は互いに概ね一致し、z軸方向を向いている。なお、y軸方向は垂直方向上向きに設定されている。x軸方向は、水平方向に設定され、さらに、z軸方向からy軸方向にネジを回したときにネジの進む方向に設定されている。静磁場コイル装置1の外周は、中空円筒型容器である真空容器6で構成されている。中空円筒型容器である真空容器6の内筒壁内側(中空円筒型容器の外部)に、傾斜磁場コイル2と、RFコイル3が配置されている。
【0016】
傾斜磁場コイル2は、撮像領域7側に配置されるメインコイル2aと、真空容器6側に配置されるシールドコイル2bを有している。メインコイル2aは、撮像領域7に傾斜磁場を発生させるが、中空円筒型容器である真空容器6にも、いわゆる漏れ磁場を発生させる。この中空円筒型容器である真空容器6への漏れ磁場を抑制するために、シールドコイル2bには、メインコイル2aとは反対方向の電流が流されるようになっている。
【0017】
メインコイル2aは、z軸方向に線形に変化する傾斜磁場を発生させるzメインコイル9zと、x軸方向に線形に変化する傾斜磁場を発生させるxメインコイル9xと、y軸方向に線形に変化する傾斜磁場を発生させるyメインコイル9yとを有している。zメインコイル9zとxメインコイル9xとyメインコイル9yのそれぞれに、順番にパルス状の電流を印加することで、対応するそれぞれの方向に傾斜した傾斜磁場を発生させ、磁気共鳴信号に被検体40内の位置情報を付与することができる。
【0018】
シールドコイル2bは、zメインコイル9zが発生させる漏れ磁場を抑制するzシールドコイル10zと、xメインコイル9xが発生させる漏れ磁場を抑制するxシールドコイル10xと、yメインコイル9yが発生させる漏れ磁場を抑制するyシールドコイル10yとを有している。
【0019】
図3に、本発明の第1の実施形態に係るMRI装置100をy軸とz軸を含む平面で切断した断面図を示す。MRI装置100は、撮像領域7に形成される静磁場8の向きが水平方向(z軸方向)である水平磁場型MRI装置である。また、前記したように互いに直角になるようにx軸とy軸とz軸を設定し、原点は撮像領域7の中心すなわち中空円筒型容器である真空容器6の中心付近に設定している。静磁場コイル装置1には、z=0面に対して左右(z<0とz>0の部分)で対を成すように、静磁場メインコイル1aと、静磁場の周囲への漏れを抑制する静磁場シールドコイル1bが設けられている。これらのコイル1a、1bはそれぞれ、z軸を共通の中心軸とする円環形状をしている。静磁場メインコイル1aの外径より、静磁場シールドコイル1bの内径の方が大きくなっている。また、これらのコイル1a、1bには、超伝導コイルを利用することが多く、その場合、コイル1a、1bは、3層構造の容器内に収納されることになる。まず、コイル1a、1bは、冷媒の液体ヘリウム(He)と共にヘリウム容器4内に収容される。ヘリウム容器4は内部への熱輻射を遮断する輻射シールド5に内包されている。そして、中空円筒型容器である真空容器6は、ヘリウム容器4及び輻射シールド5を収容しつつ、内部を真空に保持している。真空容器6は、普通の室温の室内に配置されても、真空容器6内が真空になっているので、室内の熱が伝導や対流で、ヘリウム容器4に伝わることはない。また、輻射シールド5は、室内の熱が輻射によって真空容器6からヘリウム容器4に伝わることを抑制している。このため、コイル1a、1bは、液体ヘリウムの温度である極低温に安定して設定することができ、超伝導電磁石として機能させることができる。ヘリウム容器4と、輻射シールド5と、真空容器6には、不必要な磁場が発生しないように非磁性の部材が用いられ、さらに、真空を保持しやすいことから非磁性の金属が用いられる。このため、ヘリウム容器4と、輻射シールド5と、特に、最外周に配置される真空容器6には、前記渦電流が発生し易い状況にある。
【0020】
傾斜磁場コイル2は筒状の形状を有し、RFコイル3と撮像領域7を内蔵するように配置されている。傾斜磁場コイル2の外筒壁は、中空円筒型容器である真空容器6の内筒壁に沿い対向するように形成されている。
【0021】
RFコイル3も筒状の形状を有し、撮像領域7を内蔵するように配置されている。RFコイル3の外筒壁は、傾斜磁場コイル2の内筒壁に沿い対向するように形成されている。RFコイル3は、撮像領域7に高周波パルスを照射する。受信コイル(図示省略)は被検体40からの磁気共鳴信号を受信し、コンピュータシステム(図示省略)に送信する。コンピュータシステムは、受信コイルからの磁気共鳴信号を受け取ると、この磁気共鳴信号を処理して被検体40の断層画像を作成し表示する。
【0022】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2をx軸とy軸を含む平面で切断した断面図を示す。(傾斜磁場)メインコイル2aの外側に、(傾斜磁場)シールドコイル2bが配置されている。(傾斜磁場)メインコイル2aの断面形状が楕円形になっており、(傾斜磁場)シールドコイル2bの断面形状が(真)円形になっている。(傾斜磁場)メインコイル2aの中心軸と、(傾斜磁場)シールドコイル2bの中心軸とは、z軸方向となり、一致している。(傾斜磁場)メインコイル2aでは、x軸方向が長軸となり、y軸方向が短軸となっている。このため、メインコイル2aとシールドコイル2bの間隔が、周方向(θ方向)で異なり、第1の領域(広い領域)A1と、この広い領域A1よりもメインコイル2aとシールドコイル2bの間隔が狭い第2の領域(狭い領域)A2とを有している。(傾斜磁場)メインコイル2aの楕円形の短軸の延長上に第1の領域(広い領域)A1が生じ、(傾斜磁場)メインコイル2aの楕円形の長軸の延長上に第2の領域(狭い領域)A2が生じている。なお、θは、z軸周りの角度である。座標原点からy軸負方向を、ゼロラジアン(θ=0rad)としている。同様に、x軸正方向を、π/2ラジアン(θ=π/2rad)としている。y軸正方向を、πラジアン(θ=πrad)としている。x軸負方向を、3π/2ラジアン(θ=3π/2ラジアン)としている。これより、広い領域A1は、θがゼロラジアン(θ=0rad)とπラジアン(θ=πrad)とそれらの付近で生じている。逆に、狭い領域A2は、θがπ/2ラジアン(θ=π/2rad)と3π/2ラジアン(θ=3π/2ラジアン)とそれらの付近で生じている。
【0023】
そして、メインコイル2aとシールドコイル2bの間隔の広い領域A1の内の、θがπラジアン(θ=πrad)である側の領域に、外部電源とメインコイル2aとを接続する接続配線24、25が設けられている。また、この同じ広い領域A1に外部電源とシールドコイル2bとを接続する接続配線26、27が設けられている。広い領域A1であれば、容易に接続配線24〜27を配設することができる。
【0024】
メインコイル2aのxメインコイル9xとyメインコイル9yとzメインコイル9zは、図示を省略した絶縁層を挟んで積層されている。シールドコイル2bのxシールドコイル10xとyシールドコイル10yとzシールドコイル10zも、図示を省略した絶縁層を挟んで積層されている。
【0025】
図5Aに、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2のメインコイル2aのxメインコイル9xの配線パターンのθ方向の展開図の半分を示す。すなわち、図5Aでは、θが0〜πラジアンの範囲を示しているが、π〜2πラジアンの範囲の記載を省略している。θがπ〜2πラジアンの範囲のxメインコイル9xの配線パターンは、θが0〜πラジアンの範囲のxメインコイル9xの配線パターンを、θがπラジアン(θ=π)であるz軸と平行な直線を対称線として折り返したような線対称の配線パターンをしている。これより、xメインコイル9xは、4つの渦巻状のサドル型ループコイルを有していることがわかる。
【0026】
図5Bに、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2のシールドコイル2bのxシールドコイル10xの配線パターンのθ方向の展開図の半分を示す。すなわち、図5Bでは、θが0〜πラジアンの範囲を示しているが、π〜2πラジアンの範囲の記載を省略している。θがπ〜2πラジアンの範囲のxシールドコイル10xの配線パターンは、θが0〜πラジアンの範囲のxシールドコイル10xの配線パターンを、θがπラジアン(θ=π)であるz軸と平行な直線を対称線として折り返したような線対称の配線パターンをしている。これより、xシールドコイル10xは、4つの渦巻状のサドル型ループコイルを有していることがわかる。
【0027】
図6Aに、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2のメインコイル2aのyメインコイル9yの配線パターンのθ方向の展開図の半分を示す。図6Aでも、θが0〜πラジアンの範囲を示しているが、π〜2πラジアンの範囲の記載を省略している。θがπ〜2πラジアンの範囲のyメインコイル9yの配線パターンは、θが0〜πラジアンの範囲のyメインコイル9yの配線パターンを、θがπラジアン(θ=π)であるz軸と平行な直線を対称線として折り返したような線対称の配線パターンをしている。これより、yメインコイル9yは、4つの渦巻状のサドル型ループコイルを有していることがわかる。yメインコイル9yは、xメインコイル9xをz軸の回りに90度回転したものに略一致している。
【0028】
図6Bに、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2のシールドコイル2bのyシールドコイル10yの配線パターンのθ方向の展開図の半分を示す。図6Bでも、θが0〜πラジアンの範囲を示しているが、π〜2πラジアンの範囲の記載を省略している。θがπ〜2πラジアンの範囲のyシールドコイル10yの配線パターンは、θが0〜πラジアンの範囲のyシールドコイル10yの配線パターンを、θがπラジアン(θ=π)であるz軸と平行な直線を対称線として折り返したような線対称の配線パターンをしている。これより、yシールドコイル10yは、4つの渦巻状のサドル型ループコイルを有していることがわかる。yシールドコイル10yは、xシールドコイル10xをz軸の回りに90度回転したものに略一致している。
【0029】
このように、xメインコイル9x、xシールドコイル10x、yメインコイル9y、yシールドコイル10yは、それぞれが、4つからなる渦巻状のサドル型ループコイルで構成できる。なお、渦巻状のループコイルを構成する多重のループコイルにおいて、隣接するループコイル間を接続する渡り線は図示を省略している。
【0030】
図1Aに、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2のメインコイル2aのzメインコイル(第1コイル)9zの配線パターンのθ方向の展開図の半分を示す。すなわち、図1Aでは、θが0〜πラジアンの範囲を示しているが、π〜2πラジアンの範囲の記載を省略している。θがπ〜2πラジアンの範囲のzメインコイル(第1コイル)9zの配線パターンは、θが0〜πラジアンの範囲のzメインコイル(第1コイル)9zの配線パターンを、θがπラジアン(θ=π)であるz軸と平行な直線を対称線として折り返したような線対称の配線パターンをしている。これより、zメインコイル(第1コイル)9zは、z軸が貫通する略ソレノイド状コイルであることがわかる。zメインコイル(第1コイル)9zは、MRI装置100の撮像領域7に、強度が軸方向(z軸方向)に線形に傾斜した磁場分布を作る。
【0031】
zメインコイル(第1コイル)9zでは、zメインコイル(第1コイル)9zの中心を通り軸方向(z軸方向)に垂直なゼロ面F0(z=0面)側の配線パターン17a、17b(図1Aでは6本からなる配線パターン)が、広い領域A1(θ=0、π付近)でゼロ面F0(z=0面)から離れ、狭い領域A2(θ=π/2付近)でゼロ面F0(z=0面)に近接して、周方向(θ方向)に蛇行している。
【0032】
配線パターン17a、17bの6本の配線パターンの内、最もゼロ面F0(z=0面)に近いゼロ面F0(z=0面)の両側の2本の配線パターンは、広い領域A1(θ=0、π付近)以外の、狭い領域A2(θ=π/2付近)を含めた周方向(θ方向)の大半の領域で、ゼロ面F0(z=0面)に近接している。したがって、この2本の配線パターンでは、広い領域A1(θ=0、π付近)で、z軸方向に変位している。
【0033】
配線パターン17a、17bの6本の配線パターンの内、最もゼロ面F0(z=0面)から遠いゼロ面F0(z=0面)の両側の2本の配線パターンは、広い領域A1(θ=0、π付近)を含めた周方向(θ方向)の大半の領域で、ゼロ面F0(z=0面)から離れて配線パターン18a、18bに近接し、狭い領域A2(θ=π/2付近)だけ、ゼロ面F0(z=0面)に接近している。したがって、この2本の配線パターンでは、狭い領域A2(θ=π/2付近)で、z軸方向に変位している。
【0034】
配線パターン17a、17bの6本の配線パターンの内、最もゼロ面F0(z=0面)に近いゼロ面F0(z=0面)の両側の2本の配線パターンと、最もゼロ面F0(z=0面)から遠いゼロ面F0(z=0面)の両側の2本の配線パターンとで挟まれた2本の配線パターンは、広い領域A1(θ=0、π付近)を含めた周辺の領域で、ゼロ面F0(z=0面)から離れて配線パターン18a、18bに近接し、狭い領域A2(θ=π/2付近)を含めた周辺の領域で、ゼロ面F0(z=0面)に接近している。したがって、この2本の配線パターンでは、広い領域A1(θ=0、π付近)と、狭い領域A2(θ=π/2付近)の間の領域で、z軸方向に変位している。
【0035】
zメインコイル(第1コイル)9zは、ゼロ面F0(z=0面)から離れた外側の配線パターン18a、18bも有する。配線パターン18a、18bは、周方向(θ方向)に略直線状な、複数本からなる配線パターンである。
【0036】
なお、z軸が正の側の配線パターン17a、18aに流す電流の向きは、θ方向の正方向であり、z軸が負の側の配線パターン17b、18bに流す電流の向きは、θ方向の負方向である。また、隣り合う配線パターン17a、17b、18a、18bをつなぐ渡り線は記載を省略している。
【0037】
図1Bに、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2のシールドコイル2bのzシールドコイル(第2コイル)10zの配線パターンのθ方向の展開図の半分を示す。すなわち、図1Bでは、θが0〜πラジアンの範囲を示しているが、π〜2πラジアンの範囲の記載を省略している。θがπ〜2πラジアンの範囲のzシールドコイル(第2コイル)10zの配線パターンは、θが0〜πラジアンの範囲のzシールドコイル(第2コイル)10zの配線パターンを、θがπラジアン(θ=π)であるz軸と平行な直線を対称線として折り返したような線対称の配線パターンをしている。zシールドコイル(第2コイル)10zは、z軸が貫通する略ソレノイド状コイルであることがわかる。zシールドコイル(第2コイル)10zは、zメインコイル(第1コイル)9zの外側で、zメインコイル(第1コイル)9zから静磁場コイル装置1への漏れ磁場を抑制する。
【0038】
zシールドコイル(第2コイル)10zでは、配線パターン19の内の、軸方向(z軸方向)の外側とゼロ面F0(z=0面)側の配線パターンが、滑らかに蛇行している。配線パターン19の内の、軸方向(z軸方向)の外側の配線パターンの狭い領域A2(θ=π/2付近)を含めた周方向(θ方向)の周辺の領域が、他の領域に比べて、ゼロ面F0(z=0面)方向に寄っている。配線パターン19の内の、ゼロ面F0(z=0面)側の配線パターンの広い領域A1(θ=0、π付近)を含めた周方向(θ方向)の周辺の領域が、他の領域に比べて、ゼロ面F0(z=0面)方向に寄っている。なお、z軸が正の側の配線パターン19に流す電流の向きは、θ方向の負方向であり、z軸が負の側の配線パターン19に流す電流の向きは、θ方向の正方向である。
【0039】
図7に、比較例1の傾斜磁場コイルのzメインコイル11とzシールドコイル12を透視して記載した斜視図を示す。比較例1では、z軸を共通の中心軸とするzメインコイル11とzシールドコイル12を用い、zメインコイル11とzシールドコイル12のz軸に垂直な面での断面形状が円形になっている。このため、zメインコイル11とzシールドコイル12の間隔は、周方向で一定になり、広い領域A1と狭い領域A2とを有していない。
【0040】
図8Aに、比較例1の傾斜磁場コイルのzメインコイル11の配線パターンの展開図の半分を示し、図8Bに、zシールドコイル12の配線パターンの展開図の半分を示す。比較例1では断面形状が、zメインコイル11、zシールドコイル12とも円形であり、zメインコイル11とzシールドコイル12の間隔が周方向で一様(一定)になるので、配線パターンも周方向(θ方向)に一定のパターンになり、周方向(θ方向)に略直線状な、複数本からなる配線パターンとなる。
【0041】
図9Aに、比較例2の傾斜磁場コイルのzメインコイルの配線パターン13、14の展開図の半分を示し、図9Bに、比較例2の傾斜磁場コイルのzシールドコイルの配線パターン15、16の展開図の半分を示す。比較例2では、第1の実施形態の図4のzメインコイル9zとzシールドコイル10zと同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔が周方向で異なり、広い領域A1と狭い領域A2とを有している。狭い領域A2では、広い領域A1に比べて、zメインコイル9zとzシールドコイル10zの一方のコイルが、他方のコイルの配置されている場所に作る磁場が強くなる。そのため、その磁場をその他方のコイルで打ち消せる(その強度を再現する(ただし、向きは逆))ように、zメインコイル9zであれば配線パターン14、zシールドコイル10zであれば配線パターン16のように、ゼロ面F0(z=0面)をまたぐループコイルを形成する。配線パターン14と16のループコイルは、z軸の貫通しないループコイルである。なお、配線パターン14以外のzメインコイル9zの配線パターン13と、配線パターン16以外のzシールドコイル10zの配線パターン15は、円筒面上あるいは楕円筒面上で周方向(θ方向)に蛇行する概ソレノイド状コイルを形成する。
【0042】
比較例2では、図9Aの配線パターン14と図9Bの配線パターン16のように、ループコイルが形成されたが、第1の実施形態では、図1Aのzメインコイル9zと、図1Bのzシールドコイル10zに示すように、z軸を貫通しないループコイルが形成されていない。このように、第1の実施形態では、図1Aのzメインコイル9zと、図1Bのzシールドコイル10zに、z軸を貫通しないループコイルを形成しないことに成功している。
【0043】
まず、図1Aのzメインコイル9zの配線パターン17a、17b、18a、18bが作る磁場について以下に詳述する。z座標が正(z>0)の領域では、配線パターン17a及び配線パターン18aの電流の向きは、θ方向の正の方向となり、z座標が負(z<0)の領域では、配線パターン17b及び配線パターン18bの電流の向きは、θ方向の負の方向となる。よって、ゼロ面F0(z=0面)上では、磁束密度のz成分はゼロ(0)(T)となる。そして、ゼロ面F0(z=0面)から離れる程、磁束密度のz成分が大きくなるような傾斜磁場が形成される。
【0044】
広い領域A1(θ=0、π付近)では、蛇行する配線パターン17aが、配線パターン18aの近くを通り、蛇行する配線パターン17bが、配線パターン18bの近くを通るので、配線パターン17aと配線パターン17bとは離れている。このため、配線パターン17aと配線パターン17bとが作る磁場は互いによって打ち消されず、配線パターン17a、18aと配線パターン17b、18bとが作る磁場(傾斜磁場と漏れ磁場)を強める働きをする。
【0045】
一方、狭い領域A2(θ=π/2付近)では、蛇行した配線パターン17aと配線パターン17bが接近する。このため、配線パターン17aと配線パターン17bとが作る磁場は互いによって打ち消され、配線パターン17a、18aと配線パターン17b、18bとが作る磁場(傾斜磁場と漏れ磁場)を強めることはない。
【0046】
よって、zメインコイル9zから、外側のzシールドコイル10zの方向に一定の距離だけ離れたところでのθ方向の磁場のプロファイルは、狭い領域A2(θ=π/2付近)より、広い領域A1(θ=0、π付近)の方が大きくなる。言い換えると、狭い領域A2(θ=π/2付近)でのzメインコイル9zからある距離における磁場(漏れ磁場)に対して、広い領域A1(θ=0、π付近)では、その距離より離れた(大きい)距離のところに、その磁場(漏れ磁場)と大きさの等しくなる磁場(漏れ磁場)を形成するところが存在する。すなわち、zメインコイル9zの外側のzメインコイル9zから離れた領域には、zメインコイル9zが生成する磁場(漏れ磁場)の周方向(θ方向)の分布が略均一となる環状の領域が存在する。そして、この環状の領域に、zシールドコイル10zが配置されている。zシールドコイル10zは、周方向(θ方向)の分布が略均一な磁場(漏れ磁場)を抑制(遮蔽)すればよいので、略ソレノイドコイルで容易に形成することができる。すなわち、狭い領域A2(θ=π/2付近)と広い領域A1(θ=0、π付近)とで、zメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔の大きさに応じて、配線パターン17aと配線パターン17bの蛇行の程度や本数を調節することにより、zシールドコイル10zを、断面形状が略円形のソレノイドコイル形状に形成できる。例えば、図1Aでは、配線パターン17aと配線パターン17bとは、3ターン(本)ずつであったが、zメインコイル9zとzシールドコイル10zの最大間隔と最小間隔の差(狭い領域A2(θ=π/2付近)と広い領域A1(θ=0、π付近)の間隔の差)が大きい程、蛇行するターン数を多くすればよい。第1の実施形態によれば、zメインコイル9zとzシールドコイル10zともにループコイルを有しないことで、配線パターン間をつなぐ渡り線の引き回しを最小限に抑えられるため、周囲の構造物に生成する余分な渦電流を小さくすることができ、また、製造も容易になる。
【0047】
そこで、後記では、配線パターン間をつなぐ渡り線等の接続配線について説明する。まずは、第1の実施形態と比較するため、図9Bに示した比較例2のzシールドコイルについて、隣り合う配線パターン15、16間をつなぐ渡り線等の接続配線について説明する。
【0048】
図10Aに、比較例2のzシールドコイルを透視して記載した斜視図を示す。図10Aでは、配線パターン16(16a、16b)のループコイルをz座標の正負で(ゼロ面F0(z=0面)で)分割している。比較例2のzシールドコイルは、広い領域A1(θ=π付近)において、外部と接続配線20、21で接続されている。接続配線20から電流が流れ込み、接続配線21から電流が流れ出る。接続配線20から流れ込んだ電流は、まず、配線パターン15a(15)を流れる。複数の配線パターン15a(15)の相互間は、渡り線28で接続されている。電流は、配線パターン15a(15)を流れた後に、配線パターン15a(15)と略平行な引き回し線22を介して、ループコイルの上側の配線パターン16a(16)を流れる。そして、電流は、向きを、θ方向の負の方向から、正の方向に変え、ループコイルの下側の配線パターン16b(16)を流れる。次に、電流は、引き回し線22を流れて、配線パターン15b(15)に流れ込む。複数の配線パターン15b(15)の相互間は、渡り線28で接続されている。配線パターン15b(15)は、接続配線21に接続し、電流は、配線パターン15b(15)から接続配線21に流れ出る。
【0049】
図10Aに示すように引き回し線22は、4本ずつ近接して配置され、2本ずつでそれぞれの電流の向きが反対であるため、これらによる磁場はほとんど生成しないが、導体幅分の間隔で互いに離れているため、わずかな磁場が生成される。このわずかな磁場は、撮像領域7に作る磁場(傾斜磁場)と比較すると無視できるものであるが、zシールドコイル10zの径方向外側の元々磁場が遮蔽されている領域の磁場(漏れ磁場)に対しては、無視できないものとなる。よって、この磁場による周囲の構造物への渦電流の影響は、ターン間の接続を考慮に入れない場合よりも無視できない程度に大きくなる。
【0050】
図10Bにも、比較例2のzシールドコイルを透視して記載した斜視図を示す。図10Bでは、配線パターン16のループコイルが、隣接する配線パターン15(15a、15b)に、互いが最も接近する箇所において接続配線23a、23bを介して接続している。図10Bに示すzシールドコイルも、広い領域A1(θ=π付近)において、外部と接続配線20、21で接続されている。接続配線20から電流が流れ込み、接続配線21から電流が流れ出る。接続配線20から流れ込んだ電流は、まず、配線パターン15a(15)を流れる。複数の配線パターン15a(15)の相互間は、渡り線28で接続されている。電流は、配線パターン16のループコイルに近接する配線パターン15a(15)を流れる途中で、配線パターン15a(15)と略垂直な接続配線23aを介して、ループコイルの配線パターン16を流れ、配線パターン15a(15)に戻る。そして、配線パターン15a(15)を流れ終えると、電流は、向きを、θ方向の負の方向から、正の方向に変え、配線パターン15b(15)を流れる。電流は、配線パターン16のループコイルに近接する配線パターン15b(15)を流れる途中で、配線パターン15b(15)と略垂直な接続配線23bを介して、ループコイルの配線パターン16を流れ、配線パターン15b(15)に戻る。電流は、配線パターン15b(15)を流れる。複数の配線パターン15b(15)の相互間は、渡り線28で接続されている。配線パターン15b(15)は、接続配線21に接続し、電流は、配線パターン15b(15)から接続配線21に流れ出る。
【0051】
図10Bに示すように接続配線23a、23bは、配線長を短くできる分、渦電流の影響は最小限に抑えられるが、ループコイルの配線パターン16が2ターン(2重)以上になると、2本の接続配線23aの内の1本と、2本の接続配線23bの内の1本は、ループコイルの配線パターン16と交差する。この交差は、狭い領域A2(θ=π/2、3π/2付近)で生じるが、zメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔が最も狭くなっており、一本のコイル素線を用いて一巻きで形成する限りにおいては、配線を交差させるだけの空間的余裕はない。
【0052】
次に、図1Aに示した第1の実施形態のzメインコイル9zについて、隣り合う配線パターン17(17a、17b)、18(18a、18b)間をつなぐ渡り線等の接続配線について説明する。
【0053】
図11Aに、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzメインコイル(第1コイル)9zを透視して記載した斜視図を示す。第1の実施形態のzメインコイル9zは、広い領域A1(θ=π付近)において、外部と接続配線24、25で接続されている。接続配線24から電流が流れ込み、接続配線25から電流が流れ出る。接続配線24から流れ込んだ電流は、まず、配線パターン18bを流れる。複数の配線パターン18bの相互間は、渡り線28で接続されている。電流は、配線パターン18bを流れた後に、渡り線28を介して、蛇行した配線パターン17bを流れる。そして、電流は、渡り線28を流れて、向きを、θ方向の負の方向から、正の方向に変え、蛇行した配線パターン17aを流れる。次に、電流は、渡り線28を流れて、配線パターン18aに流れ込む。複数の配線パターン18aの相互間は、渡り線28で接続されている。配線パターン18aは、接続配線25に接続し、電流は、配線パターン18aから接続配線25に流れ出る。
【0054】
図11Aに示すように全ての渡り線28は、広い領域A1(θ=π付近)に設けることができ、接続配線24に近接させて略平行に配置できる。渡り線28を流れる電流の向きは、概ねz軸方向の正の方向を向いているので、接続配線24を流れる電流の向きとは反対であり、これらによる磁場はほとんど生成しない。また、接続配線24が、配線パターン17a、17b、18a、18b及び渡り線28と交差するが、この交差は、広い領域A1(θ=π付近)で生じるので、zメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔が最も広くなっており、配線を交差させるだけの空間的余裕を容易に確保することができる。
【0055】
次に、図1Bに示した第1の実施形態のzシールドコイル10zについて、隣り合う配線パターン19間をつなぐ渡り線等の接続配線について説明する。
【0056】
図11Bに、本発明の第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルのzシールドコイル(第2コイル)10zを透視して記載した斜視図を示す。第1の実施形態のzシールドコイル10zは、広い領域A1(θ=π付近)において、外部と接続配線26、27で接続されている。接続配線26から電流が流れ込み、接続配線27から電流が流れ出る。接続配線26から流れ込んだ電流は、まず、配線パターン19a(19)を流れる。複数の配線パターン19aの相互間は、渡り線28で接続されている。そして、配線パターン19a(19)を流れた後に、電流は、渡り線28を流れて、向きを、θ方向の負の方向から、正の方向に変え、配線パターン19b(19)を流れる。複数の配線パターン19b(19)の相互間は、渡り線28で接続されている。配線パターン19b(19)は、接続配線27に接続し、電流は、配線パターン19bから接続配線27に流れ出る。
【0057】
図11Bに示すように全ての渡り線28は、広い領域A1(θ=π付近)に設けることができ、接続配線27に近接させて略平行に配置できる。渡り線28を流れる電流の向きは、概ねz軸方向の負の方向を向いているので、接続配線27を流れる電流の向きとは反対であり、これらによる磁場はほとんど生成しない。また、接続配線27が、配線パターン19(19a、19b)及び渡り線28と交差するが、この交差は、広い領域A1(θ=π付近)で生じるので、zメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔が最も広くなっており、配線を交差させるだけの空間的余裕を容易に確保することができる。
【0058】
前記のように、第1の実施形態によれば、zメインコイル9zとzシールドコイル10zともに、z軸を貫通しないループコイルが生成されないことで、ターン間をつなぐ接続配線の引き回し距離を最小限に抑えられるため、周囲の構造物に生成する余分な渦電流を小さくすることができ、製造も容易にできる。
【0059】
(第2の実施形態)
図12Aに、本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Aをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図を示す。第2の実施形態の傾斜磁場コイル2Aが、第1の実施形態の傾斜磁場コイル2と異なる点は、メインコイル2a、特に、zメインコイル9zの断面形状が、レーストラック形状になっている点である。ただ、zメインコイル9zの断面形状は、第1の実施形態と同様に、x軸方向(水平方向)の幅が最大幅となるため、被検体40(図2参照)が仰向けに寝かされるような場合には、肩幅方向に余裕を持って挿入できるので、被検体40のMRI装置100(図2参照)に対する開放感を、向上させることができる。(傾斜磁場)メインコイル2aの中心軸と、(傾斜磁場)シールドコイル2bの中心軸とは、z軸方向となり、一致している。(傾斜磁場)メインコイル2aの前記レーストラック形状の短軸の延長上に第1の領域(広い領域)A1が生じ、(傾斜磁場)メインコイル2aのレーストラック形状の長軸の延長上に第2の領域(狭い領域)A2が生じている。また、第1の実施形態と同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zとの間隔が周方向(θ方向)によって異なり、x軸上(θ=π/2、3π/2(狭い領域A2))でのzメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔が、y軸上(θ=0、π(広い領域A1))での間隔よりも狭くなっている。
【0060】
図12Bに、本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Aのzメインコイル(第1コイル)9zの配線パターン17a、17b、18a、18bの展開図の半分を示す。第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、広い領域A1(θ=0、π付近)で、外側の概ソレノイドコイル形状の配線パターン18aと18bに近づき、狭い領域A2(θ=π/2付近)で、ゼロ面F0(z=0面)に近づけて、z軸周りをθ方向に進むとz軸方向に蛇行する概ソレノイド状コイルの配線パターン17a、17bを形成する。
【0061】
図12Cに、本発明の第2の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Aのzシールドコイル(第2コイル)10zの配線パターン19の展開図の半分を示す。第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、zシールドコイル10zは、z軸が貫通しないループコイルが生成しない概ソレノイド状コイルの配線パターン19を形成する。
【0062】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zともにループコイルが生成されないことで、ターン間をつなぐ接続配線の引き回しを最小限に抑えられるため、周囲の構造物に生成する渦電流を小さくすることができ、かつ、製造が容易になる。
【0063】
(第3の実施形態)
図13Aに、本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Bをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図を示す。第3の実施形態の傾斜磁場コイル2Bが、第1の実施形態の傾斜磁場コイル2と異なる点は、メインコイル2a、特に、zメインコイル9zの断面形状において、短軸が通過する周辺の円弧部分を楕円形状とし、この楕円形状の長軸が通過する周辺の円弧部分を、その楕円形状をy軸方向に膨らませるような曲率の異なる円弧とする、異なる曲率を持つ円弧を複数個組み合わせた形状になっている点である。すなわち、(傾斜磁場)メインコイル2aの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が、楕円形をベースに、その楕円形の長軸の両端周辺の円弧部分を、その楕円形の短軸方向に膨らませるような円弧としている。(傾斜磁場)メインコイル2aの中心軸と、(傾斜磁場)シールドコイル2bの中心軸とは、z軸方向となり、一致している。(傾斜磁場)メインコイル2aの楕円形の短軸の延長上に第1の領域(広い領域)A1が生じ、(傾斜磁場)メインコイル2aの楕円形の長軸の延長上に第2の領域(狭い領域)A2が生じている。ただ、zメインコイル9zの断面形状は、第1の実施形態と同様に、x軸方向(水平方向)の幅が最大幅となるため、被検体40(図2参照)が仰向けに寝かされるような場合には、肩幅方向に余裕を持って挿入できるので、被検体40のMRI装置100(図2参照)に対する開放感を、向上させることができる。また、第1の実施形態と同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zとの間隔が周方向(θ方向)によって異なり、x軸上(θ=π/2、3π/2(狭い領域A2))でのzメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔が、y軸上(θ=0、π(広い領域A1))での間隔よりも狭くなっている。
【0064】
図13Bに、本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Bのzメインコイル(第1コイル)9zの配線パターン17a、17b、18a、18bの展開図の半分を示す。第3の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、広い領域A1(θ=0、π付近)で、外側の概ソレノイドコイル形状の配線パターン18aと18bに近づき、狭い領域A2(θ=π/2付近)で、ゼロ面F0(z=0面)に近づけて、z軸周りをθ方向に進むとz軸方向に蛇行する概ソレノイド状コイルの配線パターン17a、17bを形成する。
【0065】
図13Cに、本発明の第3の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Bのzシールドコイル(第2コイル)10zの配線パターン19の展開図の半分を示す。第3の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、zシールドコイル10zは、z軸が貫通しないループコイルが生成しない概ソレノイド状コイルの配線パターン19を形成する。
【0066】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zともにループコイルが生成されないことで、ターン間をつなぐ接続配線の引き回しを最小限に抑えられるため、周囲の構造物に生成する渦電流を小さくすることができ、かつ、製造が容易になる。
【0067】
(第4の実施形態)
図14Aに、本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Cをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図を示す。第4の実施形態の傾斜磁場コイル2Cが、第1の実施形態の傾斜磁場コイル2と異なる点は、メインコイル2a、特に、zメインコイル9zの断面形状が、円形形状になり、zメインコイル9zの円形形状の中心が、zシールドコイル10zの円形形状の中心とが一致せず、同心円でなく、それぞれの円形形状の中心がy軸方向にずれた(円形の中心位置が異なる)形状になっている点である。ただ、第1の実施形態と同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zとの間隔が周方向(θ方向)によって異なり、y軸上(θ=π(狭い領域A2))でのzメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔が、y軸上(θ=0(広い領域A1))での間隔よりも狭くなっている。すなわち、(傾斜磁場)メインコイル2aと(傾斜磁場)シールドコイル2bの中心軸がずれている方向の進退両方向の一方に第1の領域(広い領域)A1が、他方に第2の領域(狭い領域)A2が生じている。
【0068】
図14Bに、本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Cのzメインコイル(第1コイル)9zの配線パターン17a、17b、18a、18bの展開図の半分を示す。第4の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、広い領域A1(θ=0付近)で、外側の概ソレノイドコイル形状の配線パターン18aと18bに近づき、狭い領域A2(θ=π付近)で、ゼロ面F0(z=0面)に近づけて、z軸周りをθ方向に進むとz軸方向に蛇行する概ソレノイド状コイルの配線パターン17a、17bを形成する。
【0069】
第1〜第3の実施形態では、zメインコイル9zの断面形状がyz面,xz面に対して面対称であったため、zシールドコイル10zとの間隔が最大間隔となる領域(広い領域)A1がθ=0、θ=πと2箇所存在し、それぞれの広い領域A1で、蛇行する配線パターン17a、17bが、概ソレノイドコイル状の配線パターン18a、18bに近づいていたが、第4の実施形態では、zシールドコイル10zとの間隔が最大間隔となる領域(広い領域)A1はθ=0の1箇所となるため、この広い領域A1、一箇所のみで、蛇行する配線パターン17a、17bが、概ソレノイドコイル状の配線パターン18a、18bに近づいている。
【0070】
図14Cに、本発明の第4の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Cのzシールドコイル(第2コイル)10zの配線パターン19の展開図の半分を示す。第4の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、zシールドコイル10zは、z軸が貫通しないループコイルが生成しない概ソレノイド状コイルの配線パターン19を形成する。
【0071】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zともにループコイルが生成されないことで、ターン間をつなぐ接続配線の引き回しを最小限に抑えられるため、周囲の構造物に生成する渦電流を小さくすることができ、かつ、製造が容易になる。
【0072】
(第5の実施形態)
図15Aに、本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Dをx軸とy軸を含む平面で切断した断面図を示す。第5の実施形態の傾斜磁場コイル2Dが、第1の実施形態の傾斜磁場コイル2と異なる点は、メインコイル2a、特に、zメインコイル9zの断面形状が、上部と下部で曲率の異なる円弧を組み合わせている点である。下部の円弧の(曲率)半径を、上部の円弧より大きくする。そして、y軸の負の領域より正の領域での開口面積を大きくする。すなわち、(傾斜磁場)メインコイル2aの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が、円形をベースに、その円形の略下半分の円弧部分を、その円形の半径より大きい半径の円弧としている。(傾斜磁場)メインコイル2aの断面形状のベースの円形と(傾斜磁場)シールドコイル2bの断面形状の円形の中心が一致している。(傾斜磁場)メインコイル2aのベースの円形の側に第2の領域(狭い領域)A2が生じ、(傾斜磁場)メインコイル2aのベースの円形の半径より大きい半径の円弧の側に第1の領域(広い領域)A1が生じている。これにより、被検体40が仰向けに寝た場合に、下部の円弧を被検体40の背中にフィットさせることができ、かつ、被検体40の顔の前方には充分な空間を確保できる。また、第1の実施形態と同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zとの間隔が周方向(θ方向)によって異なり、y軸上(θ=π(狭い領域A2))でのzメインコイル9zとzシールドコイル10zの間隔が、y軸上(θ=0(広い領域A1))での間隔よりも狭くなっている。
【0073】
図15Bに、本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Dのzメインコイル(第1コイル)9zの配線パターン17a、17b、18a、18bの展開図の半分を示す。第5の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、広い領域A1(θ=0付近)で、外側の概ソレノイドコイル形状の配線パターン18aと18bに近づき、狭い領域A2(θ=π付近)で、ゼロ面F0(z=0面)に近づけて、z軸周りをθ方向に進むとz軸方向に蛇行する概ソレノイド状コイルの配線パターン17a、17bを形成する。
【0074】
第5の実施形態では、第4の実施形態と同様に、zシールドコイル10zとの間隔が最大間隔となる領域(広い領域)A1はθ=0の1箇所となるため、この広い領域A1、一箇所のみで、蛇行する配線パターン17a、17bが、概ソレノイドコイル状の配線パターン18a、18bに近づいている。
【0075】
図15Cに、本発明の第5の実施形態に係る傾斜磁場コイル2Dのzシールドコイル(第2コイル)10zの配線パターン19の展開図の半分を示す。第5の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、zシールドコイル10zは、z軸が貫通しないループコイルが生成しない概ソレノイド状コイルの配線パターン19を形成する。
【0076】
第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、zメインコイル9zとzシールドコイル10zともにループコイルが生成されないことで、ターン間をつなぐ接続配線の引き回しを最小限に抑えられるため、周囲の構造物に生成する渦電流を小さくすることができ、かつ、製造が容易になる。
【符号の説明】
【0077】
1 静磁場コイル装置
2 傾斜磁場コイル
2a メインコイル
2b シールドコイル
3 RFコイル
4 ヘリウム容器
5 輻射シールド
6 真空容器
7 撮像領域
8 静磁場
9x xメインコイル
9y yメインコイル
9z zメインコイル(第1コイル)
10x xシールドコイル
10y yシールドコイル
10z zシールドコイル(第2コイル)
13〜19 配線パターン
24〜27 接続配線
28 渡り線
100 磁気共鳴イメージング(MRI)装置
A1 広い領域(第1の領域)
A2 狭い領域(第2の領域)
F0 ゼロ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージング装置の撮像領域に軸方向に線形な磁場分布を作る略ソレノイド状の第1コイルと、
前記第1コイルの外側で、前記撮像領域に均一な磁場分布の静磁場を作る静磁場コイル装置の内側に配置され、前記第1コイルから前記静磁場コイル装置への漏れ磁場を抑制する略ソレノイド状の第2コイルとを備え、
前記第1コイルと前記第2コイルの間隔が、周方向で異なり第1の領域と前記第1の領域よりも前記間隔が狭い第2の領域とを有し、
前記第1コイルでは、前記第1コイルの中心を通り前記軸方向に垂直なゼロ面側の配線パターンが、前記第1の領域で前記ゼロ面から離れ、前記第2の領域で前記ゼロ面に近接して、前記周方向に蛇行していることを特徴とする傾斜磁場コイル。
【請求項2】
前記第2コイルが配置される領域に前記第1コイルが生成する磁場の前記周方向の分布は、略均一となることを特徴とする請求項1に記載の傾斜磁場コイル。
【請求項3】
前記第2コイルでは、前記軸方向の外側と前記ゼロ面側の配線パターンが、滑らかに蛇行していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の傾斜磁場コイル。
【請求項4】
前記第1コイルと前記第2コイルでは、前記第1の領域において、隣り合う配線パターンが渡り線によって接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイル。
【請求項5】
前記第1コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が楕円形であり、
前記第2コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が円形であり、
前記第1コイルと前記第2コイルの中心軸が一致しており、
前記第1コイルの前記楕円形の短軸の延長上に前記第1の領域が生じ、
前記第1コイルの前記楕円形の長軸の延長上に前記第2の領域が生じていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイル。
【請求項6】
前記第1コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状がレーストラック形状であり、
前記第2コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が円形であり、
前記第1コイルと前記第2コイルの中心軸が一致しており、
前記第1コイルの前記レーストラック形状の短軸の延長上に前記第1の領域が生じ、
前記第1コイルの前記レーストラック形状の長軸の延長上に前記第2の領域が生じていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイル。
【請求項7】
前記第1コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が、楕円形をベースに、その楕円形の長軸の両端周辺の円弧部分を、前記楕円形の短軸方向に膨らませるような円弧としており、
前記第2コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が円形であり、
前記第1コイルと前記第2コイルの中心軸が一致しており、
前記第1コイルの前記楕円形の短軸の延長上に前記第1の領域が生じ、
前記第1コイルの前記楕円形の長軸の延長上に前記第2の領域が生じていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイル。
【請求項8】
前記第1コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が円形であり、
前記第2コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が円形であり、
前記第1コイルと前記第2コイルの中心軸がずれており、
前記第1コイルと前記第2コイルの中心軸がずれている方向の進退両方向に前記第1の領域と前記第2の領域が生じていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイル。
【請求項9】
前記第1コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が、円形をベースに、その円形の略下半分の円弧部分を、その円形の半径より大きい半径の円弧としており、
前記第2コイルの軸方向に垂直な平面で切断した断面形状が円形であり、
前記第1コイルの断面形状のベースの円形と前記第2コイルの断面形状の円形の中心が一致しており、
前記第1コイルの前記円形の側に前記第2の領域が生じ、
前記第1コイルの前記円形の半径より大きい半径の円弧の側に前記第1の領域が生じていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイル。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の傾斜磁場コイルと、前記傾斜磁場コイルに近接して配置される前記静磁場コイル装置とを有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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