説明

傾斜面と移動体車両との組合せ

【課題】 走行車両等の移動体が傾斜面を走行する際に、空転ないし滑落することなく、安定して確実に走行することを可能にした傾斜面と移動体車両との組合せを提供する。
【解決手段】 傾斜面5を走行する移動体車両1における傾斜面5と移動体車両1との組合せにおいて、傾斜面5に植毛摩擦材4を敷設するとともに移動体車両1の車輪2周面に植毛摩擦材4を装着したことにより、傾斜面5と移動体車両1の車輪2周面における植毛摩擦材4、4同士が高い摩擦力にて接触して絡むと同時に、容易に分離することもできるので、粘着性タイヤや磁石の吸引力を利用したもののように経年劣化がなく耐久性に優れるのはもとより、傾斜面5からの離脱のためにエネルギーを費やすことがなく、移動体車両1が大きな傾斜路であっても高い摩擦力にて、安全かつ軽快に登坂あるいは降坂することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜面を走行する移動体車両における傾斜面と移動体車両との組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
傾斜面を走行する移動体車両においては、スリップ空転や滑落を防止して円滑に走行ができるようにするために様々な工夫がなされている。例えば、垂直に近い磁性体壁面を一対の前輪間および一対の後輪間にそれぞれ揺動自在に配設された磁石の吸引により、稜線等の走行面を落下することなく越えることを可能にした走行玩具を開示する下記特許文献1や、粘着性タイヤを駆動軸に着脱自在に装着して、駆動用ギヤ比の切換えとともに、登坂および登壁機能を付与した登壁機能を有する走行玩具を開示する下記特許文献2が提案されている。また、傾斜面を走行する移動体車両ではないが、図8に示すように、ローラと無端ベルト間の接触面に電気植毛によるアラミド繊維等の短繊維を植毛し、ローラと無端ベルト間のスリップがなく、高負荷の物品搬送に耐え、かつ騒音のない伝動装置を開示した下記特許文献3も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−87426号公報(公報要約書参照)
【特許文献2】実開平5−39595号公報(公報要約書参照)
【特許文献3】特開2000−289828合公報(公報要約書参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来例にあって、前記特許文献1に開示された第1従来例である走行玩具では、一対の車輪間に配設される磁石の磁力が経年変化により低下したり、磁性体が付着して機能が劣化するのが避けられなかった。また磁石が高価な上に、壁の稜線の乗越えに適合させるために磁石の揺動機構が必要となる等構造が複雑となった。また、前記特許文献2に開示された第2従来例である登壁機能を有する走行玩具でも、駆動軸に着脱自在に装着される粘着性タイヤの粘着力が、同様に経年変化により低下するのが避けられず、登壁機能が劣化する虞れがあった。さらに、図8に示した前記特許文献3に開示された第3従来例のものでは、駆動ローラ101と無端ベルト102間の接触面に電気植毛によるアラミド繊維等の短繊維106、108を植毛したので、駆動ローラ101と無端ベルト102間のスリップがなく、高負荷に耐え、かつ騒音のない伝動が可能となったものの、その効力が発揮されるのは、駆動ローラと無端ベルト間の接触面に限定されるものであった。
【0005】
そこで本発明は、従来の走行玩具はもとより走行車両等の移動体が傾斜面を走行する際に、空転ないし滑落することなく、安定して確実に走行することを可能にした傾斜面と移動体車両との組合せを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため本発明は、傾斜面を走行する移動体車両における傾斜面と移動体車両との組合せにおいて、傾斜面に植毛摩擦材を敷設するとともに移動体車両の車輪周面に植毛摩擦材を装着したことを特徴とする。また本発明は、前記植毛摩擦材が接着剤を介した静電植毛により植毛されて形成されたことを特徴とする。また本発明は、前記移動体車両が路面上を走行する玩具車両であることを特徴とする。また本発明は、前記移動体車両がレール上を走行する鉄道玩具車両であることを特徴とする。また本発明は、傾斜面を走行する移動体車両における傾斜面と移動体車両との組合せにおいて、移動する無端ベルト状の傾斜面に植毛摩擦材を敷設するとともに該植毛摩擦材に摩擦係合する植毛摩擦材を移動体車両の車体に装着したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、傾斜面を走行する移動体車両における傾斜面と移動体車両との組合せにおいて、傾斜面に植毛摩擦材を敷設するとともに移動体車両の車輪周面に植毛摩擦材を装着したことにより、傾斜面と移動体車両の車輪周面における植毛摩擦材同士が高い摩擦力にて接触して絡むと同時に、容易に分離することもできるので、粘着性タイヤや磁石の吸引力を利用したもののように経年劣化がなく耐久性に優れるのはもとより、傾斜面からの離脱のためにエネルギーを費やすことがなく、移動体車両が大きな傾斜路であっても高い摩擦力にて、安全かつ軽快に登坂あるいは降坂することが可能となる。
【0008】
また、前記植毛摩擦材が接着剤を介した静電植毛により植毛されて形成された場合は、多数の短繊維を簡便な方法にて密生起立させて傾斜面に植毛させることができるので、製造が容易となる。さらに、前記移動体車両が路面上を走行する玩具車両である場合は、ミニカー等の玩具を移動体車両とし、傾斜した走行路として狭い範囲の中に起伏に富んだ傾斜や曲走路を組み合わせた走行コースを形成させる等すれば、高勾配の傾斜走行路や旋回コースをはみ出しやスリップすることなく軽快に疾走させることができるので、児童等の興味をそそることができる。
【0009】
さらにまた、前記移動体車両がレール上を走行する鉄道玩具車両である場合は、ミニカーのように自在な走行は制限されるものの、レールによって規制された範囲内にては、走行レールとして狭い範囲の中に起伏に富んだ傾斜や曲線レール走路を組み合わせた走行レール群を形成させる等すれば、高勾配の傾斜走行レール路や曲線レール走路をスリップすることも、さらにレールにより規制されてはみ出しが抑制され、脱線することもなく軽快に走行させることができ、鉄道模型として児童等の興味をそそることができる。
【0010】
また、傾斜面を走行する移動体車両における傾斜面と移動体車両との組合せにおいて、移動する無端ベルト状の傾斜面に植毛摩擦材を敷設するとともに該植毛摩擦材に摩擦係合する植毛摩擦材を移動体車両の車体に装着したことにより、高い勾配の傾斜路における移動対車両の搬送に供することができる他、慣性を利用して昇降走行するジェットコースター型移動車両のコース初期における高位置への搬送等にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の傾斜面と移動体車両との組合せの第1実施例を示す縦断面図である。
【図2】同、図1におけるA部の要部拡大断面図である。
【図3】植毛摩擦材同士の気中および水中における動摩擦係数および静摩擦係数を表す関係図である。
【図4】同、第1実施例の傾斜面と移動体車両との横断面図および斜視図である。
【図5】本発明の傾斜面と移動体車両との組合せの第2実施例を示す横断面図である。
【図6】本発明の傾斜面と移動体車両との組合せの第3実施例を示す横断面図および移動体車両の底面図である。
【図7】本発明の傾斜面と移動体車両との組合せの第4実施例を示す横断面図および縦断面図である。
【図8】第3従来例である伝動装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の傾斜面と移動体車両との組合せを実施するための好適な形態を図面に基づいて説明する。本発明の傾斜面と移動体車両との組合せは、図1に示すように、傾斜面5を走行する移動体車両1における傾斜面と移動体車両との組合せにおいて、傾斜面5に植毛摩擦材4を敷設するとともに移動体車両1の車輪2周面に植毛摩擦材4を装着したことを特徴とするものである。
【実施例1】
【0013】
図1〜図4は本発明の傾斜面と移動体車両との組合せの第1実施例を示すもので、図1において、水平面に対して高勾配(図示の例では30°〜45°)の走行路を形成する傾斜面5に対して移動体車両1が走行する場合に、傾斜面5と移動体車両1との組合せとして、傾斜面5の表面に植毛摩擦材4を敷設し、移動体車両1における車輪2(少なくとも駆動車輪)の周面に植毛摩擦材4を装着するものである。このように構成することにより、車輪2の周面と傾斜面5との間が植毛摩擦材4同士を介して高い摩擦力で接触して絡むと同時に、容易に分離することもできるので、高勾配に起因して重力Wにより玩具車両1に傾斜面5に沿って下方へ発生する大きな力F1によっても、玩具車両1における車輪2の周面と傾斜面5の表面との間に発生する大きな摩擦力Fにより、玩具車両が1斜面5に沿って滑り落ちることがない。しかも、粘着性タイヤや磁石の吸引力を利用した従来のもののように経年劣化がなく耐久性に優れるのはもとより、車輪2の駆動回転時に傾斜面からの離脱のために大きなエネルギーを費やすこともなく円滑に回転できるので、移動体車両である玩具車両1が高勾配の傾斜路であっても高い摩擦力にて、安全かつ軽快に登坂走行あるいは降坂走行することが可能となる。
【0014】
図2は図1におけるA部の要部拡大断面図である。図2でよく理解されるように、パネル等で構成される傾斜面である走行路5の表面および移動車両の車輪(タイヤ)2の周面に、接着剤3を介して無数の植毛摩擦材4を構成する短繊維(アラミド、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、ケブラー(登録商標)等の炭素繊維、綿等の植物繊維からなる短繊維から構成される)が起立植毛されている。本発明では、植毛摩擦材4における短繊維のパネルへの植毛は高圧静電界の静電吸引力を利用してなされる。走行路であるパネル5および車輪2の周面を接着剤塗布基材として、これらに直に短繊維を静電吸引させて起立植毛させてもよいし、別途用意したシート状基材を接着剤塗布基材として短繊維を静電吸引させて起立植毛し、これを植毛摩擦材4として利用形状に合わせて切り取り、小さな車両等であれば、両面粘着テープ等を介して走行路であるパネル5の表面および移動車両体1における車輪2の周面に貼着するようにしてもよい。
【0015】
このような植毛摩擦材4同士の摩擦に関して、互いの表面に起立植毛された短繊維が図2のように互いに絡み合って所定の摩擦力が発生することになる。図3は高圧静電界により植毛された植毛摩擦材同士の動摩擦係数および静摩擦係数を表す関係図で、四角点線が水中における動摩擦係数および静摩擦係数、斜め四角点線が気中における動摩擦係数および静摩擦係数を表しており、水中摩擦係数についてはやや小さいものの、いずれも場合も1.5以上の高い静摩擦係数および動摩擦係数が得られることが理解される。そして、本願発明にて用いられる植毛摩擦材同士の摩擦については、マジックテープ(登録商標)のようなループ状起毛材同士の摩擦係合とは異なり、高い摩擦力が得られるものありながら、それらの植毛摩擦材同士の離脱が比較的容易であるので、走行路である傾斜面5上における移動車両の車輪2の転動が円滑になされるという、相反する特性が実現できることとなった。
【0016】
図4は傾斜面である走行路5をパネルで構成し、移動体車両1としてミニカー等の玩具車両に適用した例である。図4(A)に示すように、ミニカー等の玩具車両1の車輪(少なくとも駆動車輪)2の外周に植毛摩擦材4を静電植毛により植毛するか、静電植毛した植毛摩擦材4を装着したシート状のタイヤ部材を車輪の周面に外嵌させる等して構成するとともに、図4(B)に示すように、走行路となる傾斜面5のパネル表面に直に植毛摩擦材4を静電植毛により植毛するか、シート状基材の表面に静電植毛した植毛摩擦材4をパネル全面に貼着敷設したものを組み合わせる。このように構成したことにより、ミニカー等の玩具車両1を移動体車両とし、傾斜した走行路として狭い範囲の中に起伏に富んだ傾斜や曲走路を組み合わせた走行コースを箱庭のように構成して形成させる等すれば、高勾配の傾斜走行路や旋回コースをはみ出しやスリップすることなく駆動させて軽快に疾走させることや、操舵輪を操舵することで図4(B)に示した破線のように傾斜面5のパネル表面を曲がりながら走行できるので、児童等の興味をそそることができる。
【実施例2】
【0017】
図5は本発明の傾斜面と移動体車両との組合せの第2実施例を示す横断面図である。本実施例では、移動体車両1がレール上を走行する鉄道玩具車両に適用された例である。電車や機関車、モノレール、地上ケーブルカー(空中ケーブルカーであっても適用可能である)等、軌道(レール)により、走行経路が規制される鉄道玩具から構成される玩具車両1の駆動軸の両端部に植毛摩擦材4を周面に施した一対の車輪(タイヤ)2、2を装着し、傾斜走行路5には、これらタイヤ2、2をそれぞれ受け入れる規制されたレール部(一対の起立壁部間に形成)を構成し、該レール部の底部表面に植毛摩擦材4を敷設したものである。このように構成したことにより、前記第1実施例のミニカーのように自在な走行は制限されるものの、レールによって規制された範囲内にて、走行レールとして狭い範囲の中に起伏に富んだ傾斜や曲線レール走路を組み合わせた走行レール群を形成させる等すれば、高勾配の傾斜走行レール路や曲線レール走路をスリップすることも、さらにレールによりはみ出しが抑制されて脱線することもなく軽快に走行させることができ、鉄道模型として児童等の興味をそそることができる。
【実施例3】
【0018】
図6は本発明の傾斜面と移動体車両との組合せの第3実施例を示す横断面図および移動体車両の底面図である。本実施例のものは、移動体車両として鉄道玩具車両に適用された例ではあるが、前記第2実施例のもののように、全ての駆動車輪の周面に植毛摩擦材4が装着されてはおらず、図6(A)(B)に示すように、両側の前輪2F、2Fおよび駆動軸6に装着される両側の後輪2D、2Dの4つの車輪は、両側のレール部材により規制されて脱線することなく走行することができる。そして、後輪の駆動輪2D、2Dの間に設けられた駆動輪には植毛摩擦材4を装着したタイヤ2が配設される。この真ん中の植毛摩擦材付タイヤ2が、専ら、傾斜走行路5との摩擦駆動を担う。これにより、走行時における転向時の遠心力による車両1の旋回時径方向の力は、主としてレール部により規制される両側の前後輪により受け、傾斜走行方向のスリップ防止効果は真ん中の植毛摩擦材付タイヤ2が担うことで、傾斜面5および車両の車輪周面において敷設ないし装着される植毛摩擦材4は必要最小限の面積の部位に施せば済み、コストが低減される。
【実施例4】
【0019】
図7は本発明の傾斜面と移動体車両との組合せの第4実施例を示す横断面図および縦断面図である。本実施例のものは、移動する無端ベルト状の植毛摩擦材ベルト7の傾斜面に植毛摩擦材4を敷設するとともに該植毛摩擦材4に摩擦係合する植毛摩擦材4を移動体車両1の車体(図示の例では車体底面。ベルト7との関連構成によっては車体側面等であってもよい)に装着したことにより、高い勾配の傾斜路5における移動対車両1の搬送に供することができる他、慣性を利用して昇降走行するジェットコースター型移動車両のコース初期における高位置への搬送等にも応用できる。図7(A)に示すように、傾斜路5と平行なガイド等により両側が規制されたレール部10、10に移動車両である玩具車両1の車輪が載置されて転動可能にセットされ、傾斜路5に沿って前記レール部10、10間で玩具車両1の下方に無端ベルト状の植毛摩擦材ベルト7が配設される。図7(B)に示すように、植毛摩擦材ベルト7は植毛摩擦材ベルト駆動ローラ8、8間に張設され、モータ等の駆動部9(図7(A))により駆動されて搬送される。植毛摩擦材ベルト7の傾斜面(表面)に植毛された植毛摩擦材4と玩具車両1の車体底面に装着された植毛摩擦材4との摩擦係合により、玩具車両1は植毛摩擦材ベルト7により確実に保持され、その車輪2は高勾配の傾斜走行路5におけるレール部10の上を転動して搬送されることになる。
【0020】
かくして本発明によれば、傾斜面と移動体車両の車輪周面における植毛摩擦材同士が高い摩擦力にて接触して絡むと同時に、容易に分離することもできるので、粘着性タイヤや磁石の吸引力を利用したもののように経年劣化がなく耐久性に優れるのはもとより、傾斜面からの離脱のためにエネルギーを費やすことがなく、移動体車両が大きな傾斜路であっても、空転ないし滑落することなく、曲走路にても高い摩擦力にて遠心力に打ち勝って安定して安全かつ軽快に登坂あるいは降坂することが可能となる。
【0021】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、傾斜面の形状(傾斜角度が一定な平坦傾斜面はもとより、傾斜角度の異なる路面を組み合わせ連結した連続傾斜面、これに曲走路を組み合わせた傾斜面等)、形式、移動対車両の形状、形式(実用の車両と傾斜路面との間に適用が可能な他、ミニカー等の自動車玩具、電車機関車等の軌道型鉄道車両玩具、モノレール(跨座式駆動形態のレール部とモノレール車両の内部の車輪との間に植毛摩擦材を設置)、地上ケーブルカー(牽引はケーブルによるも、ケーブルカーの車輪周面と傾斜レールとの間に植毛摩擦材を設置)、空中ケーブルカー(ケーブルに相当する帯状体とケーブルカーを吊り下げ駆動する滑車周面との間に植毛摩擦材を設置)等の玩具にも適用可能である)、植毛摩擦材の形状(短繊維の静電植毛による場合は通常、直立起毛が得られるが、電界を掛ける方向によって傾斜起毛を得て、車輪周面と傾斜面における傾斜起毛の方向を異ならせて、玩具車両の降坂にはわざと滑らせるような形態とすることも可能である)、形式、植毛方法(好適には無数の短繊維を簡便に起立植毛できる静電植毛が採用されるが、その他の植毛方法を採用するのを妨げない)、接着材の種類、植毛摩擦材の材質(アラミド、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、ケブラー(登録商標)等の炭素繊維、綿等の植物繊維からなる短繊維等から構成される)、植毛摩擦材の車輪周面および傾斜面表面への設置方法(車輪周面および傾斜表面に直に接着剤を介して静電植毛を行ってもよいし、短繊維を静電吸引させて起立植毛させたシート状基材を利用形状に合わせて切り取り、両面粘着テープ等を介して傾斜面の表面および移動車両体における車輪の周面に貼着してもよい。)等については適宜選定できる。また、実施例に記載の諸元はあらゆる点で単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、実用の移動体車両と傾斜路面との間に適用が可能な他、ミニカー等の自動車玩具、電車機関車等の軌道型鉄道車両玩具、モノレール、地上ケーブルカー、空中ケーブルカー等の玩具の傾斜面との間にも適用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 移動体車両(玩具車両等)
2 車輪(タイヤ)
2F 前輪
2D 駆動輪
3 接着剤
4 植毛摩擦材
5 傾斜面(走行路)
6 駆動軸
7 植毛摩擦材ベルト
8 植毛摩擦材ベルト駆動ローラ
9 植毛摩擦材ベルト駆動部
10 レール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜面を走行する移動体車両における傾斜面と移動体車両との組合せにおいて、傾斜面に植毛摩擦材を敷設するとともに移動体車両の車輪周面に植毛摩擦材を装着したことを特徴とする傾斜面と移動体車両との組合せ。
【請求項2】
前記植毛摩擦材が接着剤を介した静電植毛により植毛されて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の傾斜面と移動体車両との組合せ。
【請求項3】
前記移動体車両が路面上を走行する玩具車両であることを特徴とする請求項1または2に記載の傾斜面と移動体車両との組合せ。
【請求項4】
前記移動体車両がレール上を走行する鉄道玩具車両であることを特徴とする請求項1または2に記載の傾斜面と移動体車両との組合せ。
【請求項5】
傾斜面を走行する移動体車両における傾斜面と移動体車両との組合せにおいて、移動する無端ベルト状の傾斜面に植毛摩擦材を敷設するとともに該植毛摩擦材に摩擦係合する植毛摩擦材を移動体車両の車体に装着したことを特徴とする傾斜面と移動体車両との組合せ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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