説明

像加熱装置

【課題】加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱ニップ部の下流端に蓄積させないようにして画像不良の発生を防止するようにする。
【課題手段】回転体10と、前記回転体と共に加熱ニップ部Hを形成する加熱部材14と、前記回転体と共にニップ部Nを形成するバックアップ部材16と、を有し、前記加熱ニップ部で前記加熱部材により前記回転体を加熱し、前記ニップ部で記録材Pが担持するトナー像Tを前記回転体の熱により記録材に加熱する像加熱装置において、前記加熱部材は、基板14aと、前記回転体の回転方向における前記加熱ニップ部の領域内で前記基板に設けられ、通電により発熱して前記回転体を加熱する発熱抵抗体14bと、前記回転体の回転方向における前記加熱ニップ部の領域の外側で前記基板に設けられ、通電により発熱して前記加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱する発熱抵抗体14dと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像形成装置に搭載する加熱定着装置(定着器)として用いて好適な像加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の複写機やプリンタに搭載する加熱定着装置(以下、定着装置と記す)として、熱ローラ方式の定着装置が知られている。この定着装置は、定着ローラと、定着ローラと接触して加熱ニップ部を形成する加熱ヒータと、定着ローラと接触してニップ部を形成するバップアップ部材などを有している。特許文献1にはこのタイプの定着装置が記載してある。未定着トナー像を担持する記録材はニップ部で挟持搬送されつつ定着ローラにより加熱され、これにより記録材上のトナー像は記録材に加熱定着される。加熱ヒータは、低熱容量のプレート形状であり、加熱ニップ部で定着ローラの外周面(表面)と摺擦して定着ローラ表面を加熱するタイプである。このタイプの定着装置は、加熱ニップ部で加熱ヒータのエネルギー密度を高くすることができるので、定着ローラ表面を効率良く加熱することができ高速化に対応することが可能となる。定着ローラは、定着ローラ表面に弾性を有する為、記録材やトナーとの密着性がよく、高画質化にも優れた構成である。また、このタイプの定着装置では、加熱ヒータ表面と定着ローラ表面との摩擦が大きく駆動トルクが増大してしまう場合があるため、加熱ヒータと定着ローラとの間に摺動性に優れた耐熱性シートを介すような発展形態もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−186327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記熱ローラ方式の定着装置では、記録材が担持する未定着トナー像のトナーが定着ローラ表面に付着し定着ローラの回転方向に伴い加熱ニップ部をすり抜けて加熱ニップ部の下流端に蓄積することがある。その蓄積トナーは定着ローラの回転に伴い加熱ニップ部の下流端から定着ローラ表面に転移しニップ部で記録材に付着して画像不良を発生させることがある。
【0005】
本発明の目的は、加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱ニップ部の下流端に蓄積させないようにして画像不良の発生を防止するようにした像加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る像加熱装置の構成は、回転体と、前記回転体と共に加熱ニップ部を形成する加熱部材と、前記回転体と共にニップ部を形成するバックアップ部材と、を有し、前記加熱ニップ部で前記加熱部材により前記回転体を加熱し、前記ニップ部で記録材が担持するトナー像を前記回転体の熱により記録材に加熱する像加熱装置において、前記加熱部材は、基板と、前記回転体の回転方向における前記加熱ニップ部の領域内で前記基板に設けられ、通電により発熱して前記回転体を加熱する発熱抵抗体と、前記回転体の回転方向における前記加熱ニップ部の領域の外側で前記基板に設けられ、通電により発熱して前記加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱する発熱抵抗体と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱ニップ部の下流端に蓄積させないようにして画像不良の発生を防止するようにした像加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の横断側面の概略構成模式図
【図2】実施例1に係る定着装置の横断側面の概略構成模式図
【図3】実施例1に係る定着装置の加熱ヒータの説明図
【図4】実施例2に係る定着装置の加熱ヒータの説明図
【図5】実施例3に係る定着装置の横断側面の概略構成模式図
【図6】従来の熱ローラ方式の定着装置における定着ローラ表面のオフセットトナーの挙動を表す概念図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などはこの発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
[実施例1]
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る像加熱装置を画像定着装置として搭載する画像形成装置の横断側面の概略構成模式図である。この画像形成装置は、電子写真プロセスを利用して記録紙やOHPシート等の記録材に画像を形成するレーザビームプリンタ(以下、プリンタと記す)である。本実施例に示すプリンタは、ホストコンピュータなどの外部装置(不図示)から出力されるプリント指令に応じて制御部100が所定の画像形成シーケンスを実行し、この画像形成シーケンスに従って所定の画像形成動作行う。制御部100はCPUとROMやRAM等のメモリとからなり、メモリには画像形成シーケンス及び画像形成に必要な各種プログラムが記憶されている。
【0011】
本実施例のプリンタは、記録材上にトナー像を形成する画像形成部と、記録材が担持するトナー像を記録材上に加熱定着する加熱定着装置(以下、定着装置と記す)7を備えた定着部と、に大別される。画像形成シーケンスが実行されると、画像形成部において、先ず像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)1が矢印方向へ所定の周束度(プロセススピード)で回転される。
【0012】
感光ドラム1は、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料をアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成することによって作製されたものである。感光ドラム1が矢印方向に回転されると、その感光ドラム1の外周面(表面)は帯電装置としての帯電ローラ2によって所定の極性及び電位に一様に帯電される。
【0013】
次に、その感光ドラム1表面の帯電面に対して、レーザースキャナ3により外部装置から出力された画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビームLの走査露光が施され、感光ドラム1表面の帯電面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4でトナーを用いて現像され可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0014】
一方、給送カセット10に積載された状態に収納されている記録材Pは送出しローラ11により一枚ずつ分離されて給送カセット10からレジストローラ12に搬送される。
レジストローラ12は、感光ドラム1表面と転写ローラ5の外周面(表面)とで形成される転写ニップ部Tnに対して、感光ドラム1表面のトナー像の画像形成位置と記録材Pの先端の書き出し位置とが合致するように所定のタイミングで記録材Pを送り出す。6は転写ニップ部Tnに送り出す記録材Pの先端を検知するためのトップセンサである。
【0015】
転写ニップ部Tnにおいて記録材Pが感光ドラム1表面と転写ローラ5表面とで挟持されその状態に搬送される。そしてこの搬送過程において転写ローラ5により感光ドラム1表面のトナー像が記録材Pに転写される。これにより記録材Pはトナー像を担持する。トナー像転写後の感光ドラム1表面は、感光ドラム1表面に残留している転写残トナーがクリーニング装置8によって除去され、次の画像形成に供される。
【0016】
未定着のトナー像を担持した記録材Pは定着装置7へと搬送され、定着装置7によりトナー像に熱と圧力を印加することによってトナー像は記録材Pに加熱定着される。トナー像が加熱定着された記録材Pは排出ローラ13によって排出トレー14に排出される。
【0017】
9は加熱定着装置6の記録材排出口側に設けられた排紙センサであり、記録材Pがトップセンサ6と排紙センサ9との間で紙詰まりなどを起こした際に、それを検知する為のセンサである。
【0018】
(2)定着装置7
以下の説明において、定着装置及び定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向をいう。長さとは長手方向の寸法をいう。幅とは短手方向の寸法をいう。
【0019】
図2は定着装置7の横断側面の概略構成模式図である。この定着装置7は、熱ローラ方式の定着装置であり、回転体としての定着ローラ10と、加熱部材としてのセラミックヒータ(以下、加熱ヒータと記す)14と、耐熱性シート15と、バックアップ部材としての弾性加圧ローラ16などを有している。定着ローラ10と、加熱ヒータ14と、耐熱性シート15と、弾性加圧ローラ16は、何れも長手方向に長い部材である。加熱ヒータ14は、定着ローラ10の外周面(表面)と共に耐熱性シート15を挟むことによって加熱ニップ部Hを形成している。弾性加圧ローラ16は、加熱ヒータ14と異なる位置で定着ローラ10表面に接触することによって定着ニップ部Nを形成する。
【0020】
1)定着ローラ(回転体)10
定着ローラ10は以下の部材から構成される。アルミ或いは鉄製の芯金11の外周面上に、シリコーンゴムで形成された弾性層12(ソリッドゴム層)を設けている。弾性層12として、より断熱効果を持たせるためにシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層(スポンジゴム層)を用いてもよい。あるいは、シリコーンゴム層内に中空のフィラーを分散させ、硬化物内に気体部分を持たせ、断熱作用を高めた弾性層(気泡ゴム層)を用いてもよい。
【0021】
定着ローラ10は、熱容量が大きく、また熱伝導率が少しでも大きいと、定着ローラ10表面から受ける加熱ヒータ14の熱を内部に吸収しやすく、定着ローラ10表面温度が上昇しにくくなる。そのため、定着ローラ10の弾性層12はできるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質の方が、定着ローラ10表面温度の立ち上がり時間に有利である。
【0022】
ここで、上記シリコーンゴムのソリッドゴム層は熱伝導率が0.25〜0.29W/(m・K)、スポンジゴム・気泡ゴムは0.11〜0.16W/(m・K)であり、スポンジゴム・気泡ゴムはソリッドゴムの約半分の値を示す。
【0023】
また、熱容量に関係する比重はソリッドゴムが約1.05〜1.30、スポンジゴム・気泡ゴムが約0.75〜0.85である。したがって、定着ローラ10の弾性層12の好ましい形態としては、熱伝導率が約0.15W/m・K以下で、比重が0.85以下の断熱効果の高いスポンジゴム層や気泡ゴム層の方が好ましい。
【0024】
また、定着ローラ10の外径は小さい方が熱容量を抑えられるが、小さすぎると加熱ニップ部Hの幅が稼ぎにくくなるので適度な外径が必要である。弾性層12の肉厚に関しても、薄すぎれば金属製の芯金11に熱が逃げるので適度な厚みが必要である。以上を考慮して本実施例では、加熱ニップ部Hにおいて適正な幅を形成でき、且つ熱容量を抑えるために、肉厚が4mmの気泡ゴムを用いて弾性層12を形成し、外径がφ18mmの定着ローラを使用した。芯金11は中実芯金に限られず中空芯金でも良い。
【0025】
上記に述べた弾性層12の外周面上にはパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等のフッ素樹脂離型成層13を形成する。あるいは、GLSラテックスコーティングを施したものであっても良い。離型層13はチューブを被覆させたものでも表面を塗料でコートしたものであってもどちらでもよい。
【0026】
この定着ローラ10は、定着ローラ10の芯金11の長手方向両端部が定着装置7の装置フレーム(不図示)に軸受(不図示)を介して回転可能に支持されている。
【0027】
2)加熱ヒータ(加熱部材)14
加熱ヒータ14は、低熱容量のプレート状であり、アルミナや窒化アルミ等の絶縁性セラミック基板や、ポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板等のヒータ基板(以下、基板と記す)14aを有している。基板14aの表面(加熱ニップ部N側の面)には、基板14aの長手方向に沿って、Ag/Pd(銀パラジウム)、RuO、TaN等の通電発熱抵抗体14b,14dが、厚み約10μm、幅約1〜5mm程度でスクリーン印刷等により形成されている。
【0028】
この加熱ヒータ14の定着ローラ10側の表面には、熱効率を損なわない範囲で通電発熱抵抗体14b,14dを保護する保護層14cを設けてあっても良い。保護層14cの厚みは十分薄く、表面性を良好にする程度が望ましい。保護層14cとしては、PFA、PTFE、FEP、ETFE、CTFEや、PVDF等のフッ素樹脂層、ポリイミドあるいはポリアミドイミド等のイミド系樹脂層を単層あるいは混合して被覆することが挙げられる。或いは、グラファイト、ダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)、二硫化モリブデン等から成る乾性皮膜潤滑剤を単層あるいは混合して被覆することが挙げられる。ここで、PFAはパーフルオロアルコキシ樹脂であり、PTFEはポリテトラフルオロエチレン樹脂である。FEPはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂であり、ETFEはエチレンテトラフルオロエチレン樹脂である。CTFEはポリクロロトリフルオロエチレン樹脂であり、PVDFはポリビニリデンフルオライドである。また一般的にはガラスコート等の保護層が考えられる。さらに、基板14aとして熱伝導性の良好な窒化アルミ等を使用する場合には、通電発熱抵抗体14bは基板14aに対して定着ローラ10と反対側に形成してあってもよい。
【0029】
以上の部材から構成される加熱ヒータ14は、定着ローラ10の右斜め上方で定着ローラ10と平行に配設されている。そして加熱ヒータ14の保護層14cの外表面を耐熱性シート15を介して定着ローラ10表面に加圧バネ等の加圧部材(不図示)により加圧することによって定着ローラ10と共に加熱ニップ部Hを形成している。
【0030】
次に本実施例における加熱ヒータ14の通電発熱抵抗体について説明する。図3は本実施例における加熱ヒータ14の説明図であって、(a)は加熱ヒータ14の保護層14cの一部を省略した長手方向表面側の説明図、(b)は(a)のI−I線矢視拡大断面図である。加熱ヒータ14は、独立した二つの通電発熱抵抗体を有している。そしてこの二つの通電発熱抵抗体は、それぞれ、独立した給電用電極を有している。
【0031】
二つの通電発熱抵抗体のうち、一つの通電発熱抵抗体は、基板14aの定着ローラ10の回転方向上流側で加熱ニップ部Hの領域内に配置されている2本の通電発熱抵抗体14bである。即ち、この2本の通電発熱抵抗体14bは、定着ローラ10の回転方向における加熱ニップ部Hの領域内で基板14aに配置されている。この通電発熱抵抗体14bは、基板14aの長手方向にわたって1往復パターンで形成されている。この通電発熱抵抗体14bへの給電(通電)は、第1の通電制御部(電源回路)としての第1トライアック101から基板14aの長手方向一端部で通電発熱抵抗体14bと連続して設けられた給電用電極14eに給電することにより行われる(片側給電)。この通電発熱抵抗体14bには、耐熱性シート15を介して定着ローラ10表面を加熱することによって、記録材Pが担持するトナー像の加熱定着に必要な熱を定着ローラ10表面に供給する役割を持たせている。以降、この通電発熱抵抗体14bを定着用発熱体と称する。
【0032】
他の一つの通電発熱抵抗体は、基板14aの定着ローラ回転方向下流側で加熱ニップ部Hの領域外に配置されている通電発熱抵抗体14dである。即ち、この通電発熱抵抗体14dは、定着ローラ10の回転方向における加熱ニップ部Hの領域の外側で基板14aに配置されている。この通電発熱抵抗体14dは、基板14aの長手方向にわたって1本のパターンで形成されている。この通電発熱抵抗体14dへの給電(通電)は、第2の通電制御部(電源回路)としての第2トライアック102から基板14aの長手方向両端部で通電発熱抵抗体14dと連続して設けられた給電用電極14fに給電することにより行われる(両側給電)。
この通電発熱抵抗体14dには、加熱ニップ部Hをすり抜けてきたオフセットトナーを適切な温度に加熱する役割を持たせている。これにより加熱ニップ部Hをすり抜けてきたオフセットトナーが加熱ニップ部の定着ローラ回転方向下流端に汚れとして固着せずにそのまま定着ローラ10表面に保持させて排出させることができる。以降、この通電発熱抵抗体14dを汚れ防止用発熱体と称する。本実施例においては、汚れ防止用発熱体14dは、例えば基板14aの定着ローラ10の回転方向における加熱ニップ部Hの下流端から1.5mmの位置(領域)に配置される。この配置位置はトナーの軟化点溶融粘度や、加熱ヒータ14と定着ローラ10の表面性の関係、定着ローラ10のローラ径、通電発熱抵抗体の発熱量によって適切な位置が変化する。そのため、汚れ防止用発熱体14dは少なくとも加熱ニップ部Hの下流端から3.0mm以内の位置に配置される事が好ましい。
【0033】
また、汚れ防止用発熱体14dの一部が加熱ニップ部Hの領域内に入っていても良い。従来の発熱体パターンは定着に必要な熱を供給するために配置されており、その一部が加熱ニップ部Hの領域からはみ出すと定着ローラに熱を奪われる部分と奪われない部分ができて温度ムラが発生するため、ヒータの割れなどが発生する可能性があった。本実施例の汚れ防止用発熱体14dは、定着用発熱体14bとは別に通電され温調(温度制御)されるため、上記のような温度ムラが発生したときも定着用発熱体14bに影響を及ぼさないように温度ムラに対応する温調ができる。したがって、汚れ防止用発熱体14dの大部分が加熱ニップ部Hの領域内に入ってしまうことは好ましくない。しかし、公差の関係上などで汚れ防止用発熱体14dの一部が加熱ニップ部Hの領域に入ってしまっても定着に影響を与えることなくヒータ割れなどの発生を抑えることができる。
【0034】
また、本実施例では、例えば、定着用発熱体14bは往復ともに10Ωで総抵抗20Ωであり、汚れ防止用発熱体14dは20Ωに設定される。また、加熱ヒータ14の基板14aの背面(定着ニップ部Nと反対側の面)には、定着用発熱体14bの配置領域の基板温度を検知するサーミスタ等の温度検知素子20aが設けられている。また、加熱ヒータ14の基板14aの背面には、汚れ防止用発熱体14dの配置領域の基板温度を検知するサーミスタ等の温度検知素子20bが設けられている。この2つの温度検知素子20a,20bから出力される温度検知信号(出力信号)に基づいて対応する定着用発熱体14bと汚れ防止用発熱体14dがそれぞれ温度制御され一定の温度に保たれる。
【0035】
また、汚れ防止用発熱体14dの材料を抵抗温度係数が正である高PTC特性のペーストにすることによって、汚れ防止用発熱体14dに自己温度制御の機能をもたせるようにしてもよい。この場合、汚れ防止用発熱体14dの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子20を無くすことも可能である。
【0036】
3)耐熱性シート15
耐熱性シート15は、耐熱性、可撓性を有するポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PPS、PEA、PTFE、FEP等を基層とした樹脂製のシート、あるいは薄肉のSUSなどから形成される十分な強度をもった薄肉金属層のシートである。加熱ヒータ14からの熱を効率よく定着ローラ10表面に伝えるために厚みは50μm以下で形成されている。樹脂製のシートの場合は、基層中にBN、アルミ、アルミナ、窒化アルミ等の熱伝導性を向上させるフィラーが混入されていても良い。また、基層の定着ローラ10表面との摺動面側は、離型性や摺動性に優れた性質を持つPFA、PTFE、FEP等の樹脂薄膜をコーティングした多層構造であっても良い。この耐熱性シート15は短手方向の両端が固定部材21によって固定されるような構成となっている。
【0037】
また、加熱ヒータ14と耐熱性シート15の間に熱伝導性が良好な耐熱性グリースを介在させることにより加熱ヒータ14と耐熱性シート15との間の接触熱抵抗を減らすことができ、熱を効率よく定着ローラ側に伝えることが可能となる。
【0038】
また、加熱ヒータ14の表面が、例えばPTFEでコートされているなどして離型性、潤滑性に優れている場合は、この耐熱性シート15を必ずしも用いる必要はない。
【0039】
4)弾性加圧ローラ(バックアップ部材)16
弾性加圧ローラ(以下、加圧ローラと記す)16は、SUS(steel use stainless)、SUM(steel use machinability)、Al等の金属製芯金17を有している。そしてこの金属製芯金17の外周面上に、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層18を有する弾性加圧ローラである。この弾性層18の外周面上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層19を形成してあってもよい。加圧ローラ16も、定着ローラ10と同様に、低熱容量で熱伝導率が低く断熱効果の高い材質の方が、定着ローラ10の熱を吸収しにくく、表面温度が高く維持できるので、スポンジゴム層や気層ゴム層のほうが望ましい。
【0040】
この加圧ローラ16は、定着ローラ10の下方で定着ローラ10と平行に配設され、金属製芯金17の長手方向両端部が定着装置7の装置フレームに軸受(不図示)を介して回転可能に支持されている。そしてこの金属製芯金17の長手方向両端部の軸受を定着ローラ10側に加圧バネ等の加圧部材(不図示)により加圧することによって加圧ローラ16の外周面(表面)を定着ローラ10表面に加圧状態に接触させている。これにより加圧ローラ16は定着ローラ10と共に所定幅の定着ニップ部(ニップ部)を形成している。
【0041】
(3)定着装置7の加熱定着動作
制御部100は、プリント指令に応じて定着モータM(図2参照)を回転駆動する。この定着モータMの出力軸の回転はギア列(不図示)を介して定着ローラ10の芯金11に伝達され、これによって定着ローラ10は所定の周束度(プロセススピード)で矢印方向へ回転する。定着ローラ10の回転は定着ニップ部Nにおける定着ローラ10表面と加圧ローラ16表面との摩擦力によって弾性加圧ローラ16表面に伝わる。これにより加圧ローラ16は定着ローラ10の回転に追従して矢印方向へ回転する。また、プリント指令に応じて第1トライアック101をオン(ON)すると共に第2トライアック102をオン(ON)する。これにより、第1トライアック101から給電用電極14eを介して加熱ヒータ14の定着用発熱体14bに給電され、第2トライアック102から給電用電極14fを介して加熱ヒータ14の汚れ防止用発熱体14dに給電される。これにより、定着用発熱体14bと汚れ防止用発熱体14dが発熱し加熱ヒータ14は急速に昇温して定着ローラ10表面を耐熱性シート15を介して加熱する。定着用発熱体14bの温度は基板14aを通じて温度検知素子20aにより検知される。一方、汚れ防止用発熱体14dの温度は基板14aを通じて温度検知素子20bにより検知される。制御部100は、温度検知素子20aからの出力信号を取り込み、この出力信号に基づいて加熱ヒータ14が所定の定着温度(目標温度)を維持するように第1トライアック101の制御を行う。また制御部100は、温度検知素子20bからの出力信号を取り込み、この出力信号に基づいて加熱ヒータ14が所定の定着温度(目標温度)を維持するように第2トライアック102の制御を行う。本実施例では、加熱ヒータ14が所定の温度として180℃を維持するように第1トライアック101と第2トライアック102の制御を行っている。この温調温度は、記録材Pが担持する未定着のトナー像Tを定着ローラ10表面で記録材Pに加熱定着できる温度である。定着モータMが回転駆動され、かつ加熱ヒータ14が所定の温度に維持されると、トナー像Tを担持した記録材P(図2参照)はトナー像担持面を上向きにして定着ニップ部Nに導入される。この記録材Pは定着ニップ部Nで定着ローラ10表面と加圧ローラ16表面とで挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。そしてこの搬送過程において定着ローラ10表面の熱と定着ニップ部Nのニップ圧がトナー像Tに印加され、これよってトナー像Tは記録材に加熱定着される。そしてこの記録材Pは記録材Pに加熱定着されたトナー像が定着ローラ10表面から分離しながら定着ニップ部Nより排出される。
【0042】
(4)加熱ニップ部Hの下流端に蓄積するオフセットトナーの説明
図6は従来の熱ローラ方式の定着装置における定着ローラ10表面のオフセットトナーの挙動を表す概念図である。従来の熱ローラ方式の定着装置は、加熱ヒータ14の発熱抵抗体のパターンが異なる点を除いて、本実施例の定着装置7と同じ構成としてある。図6において、本実施例と共通する部材及ぶ部分には同じ符号を付している。従来の熱ローラ方式の定着装置は、加熱ヒータ14の基板14aに定着用発熱体14bのみを設けたものである。つまり、本実施例の加熱ヒータ14のような汚れ防止用発熱体14dを設けていない。
【0043】
熱ローラ方式の定着装置において、記録材Pが担持するトナー像Tを定着ローラ10表面で記録材Pに加熱定着するとき、そのトナー像Tのほとんどのトナーは記録材P上に加熱定着される。しかしながら、トナー像Tのトナーのうち少量のトナーは定着ローラ10表面に付着するオフセットトナーToffとなってしまうことがある。このオフセットトナーToffは、記録材P上から定着ローラ10表面に移動する(図6(a)参照)。そして加熱ニップ部Hに到達すると加熱ヒータ14の熱により溶融されるが、加熱ニップ部Hをすり抜けた瞬間に外部雰囲気により冷却されて加熱ニップ部Hの下流端に固着する。このプロセスがプリントするたびに繰り返されると、加熱ニップ部Hの下流端にはオフセットトナー汚れがどんどん蓄積していく(図6(b)参照)。
そしてそのオフセットトナー汚れの塊がある量に達すると、そのオフセットトナー汚れの塊が加熱ニップ部Hの下流端から分離される。そしてこのオフセットトナー汚れの塊が再び定着ローラ10表面に移動(図6(c)参照)して次の加熱定着動作のときに記録材Pのトナー像担持面に加熱定着される。
【0044】
(5)本実施例の定着装置と従来の定着装置とのオフセットトナー汚れの比較
以下に、本実施例の定着装置7が従来の定着装置よりも優れている点について説明する。
【0045】
本実施例の定着装置7のように、加熱ヒータ14の基板14aに定着用発熱体14bとは別の汚れ防止用発熱体14dを設けることによって、加熱ニップ部Hの下流端に付着するオフセットトナー汚れを無くすことが出来る。つまり、オフセットトナーが加熱ニップ部Hをすり抜けたあとも加熱ニップ部Hよりも定着ローラ回転方向下流側に配置されている汚れ防止用発熱体14dによって加熱され、加熱ニップ部Hの下流端で固着することがない。このように、加熱ニップ部Hの下流端でオフセットトナー汚れを溜め込まず、プリント毎に少しずつ記録材に排出することによって、ユーザーが視覚的に気づかないレベルでのトナー汚れの除去が可能となる。
【0046】
実際に、本実施例の定着装置7と従来の定着装置とを用いて、オフセットトナー汚れの防止、及び画像不良の発生防止の効果確認を行った。加熱ヒータ14は、定着用抵抗体14bの総抵抗値が20Ω、汚れ防止用発熱体14dの抵抗値が20Ωであり、汚れ防止用発熱体14dの位置が加熱ニップ部の下流端から1.5mmの位置であるものを使用した。定着温度は、定着用発熱体14bの配置領域の基板温度で180℃に設定してあり、汚れ防止用発熱体14dの配置領域の基板温度も同様の180℃に設定してある。定着ローラ10としては、弾性層12がスポンジ層、離型層13としてPFAチューブを被覆したφ18のローラを使用している。加熱ヒータ14の外表面と定着ローラ10表面との間には、耐熱性シート15として、定着ローラ10表面側にPFAコートを施したPIフィルムを挟み込みこんでいる。弾性加圧ローラ16としては、定着ローラ10と同じ構成のローラを用いている。そして定着ローラ10と共に定着ニップ部Nを形成している。
【0047】
このような構成の定着装置7の定着ニップ部Nに、LTRサイズの普通紙(ゼロックス4200)(以下、記録紙と記す)を連続通紙(連続導入)させて、加熱ヒータ14の下流端でのオフセットトナー汚れ、プリントした後の記録紙の画像不良を確認した。印字パターンは横線(2d50s)の印字率4%である。表1に汚れ防止用発熱体14dの加熱ニップ部Hの下流端からの距離をふったときの結果を示す。結果の『○』は加熱ニップ部Hの下流端でのオフセットトナー汚れ、画像不良ともに無し、『△』は加熱ニップ部Hの下流端でのトナー汚れはあるが画像不良には至っていない、『×』は画像不良に至っていることを表している。
【0048】
【表1】

【0049】
従来の定着装置の場合、100枚目には画像不良は発生していなかったが、加熱ニップ部Hの下流端にオフセットトナーが溜まって固着している状態であった。さらに、500枚目までには加熱ニップ部Hの下流端に溜まっていたトナーが大きな塊となって、記録紙上に画像不良となってあらわれた。本実施例の定着装置7の場合、1000枚通紙を行っても加熱ニップ部Hの下流端でのオフセットトナー溜まりが発生せず、出力される画像にも視覚的にわかるレベルの画像不良は見あたらなかった。しかしながら、汚れ防止用発熱体14dが加熱ニップ部Hの下流端から離れ過ぎてしまうとオフセットトナーが固着する領域に十分な熱を供給することができずに効果が弱まってしまう結果となった。
【0050】
発熱量の大きさによって汚れ防止用発熱体14dの適切な位置は変化してくる。オフセットトナーが蓄積する領域が加熱ニップ部Hの下流端から1〜2mmの範囲内にあることを考慮すると、汚れ防止用発熱体14dは基板14aの定着ローラ10の回転方向における加熱ニップ部Nの下流端から3mm以内の領域に配置されることが好ましい。
【0051】
以上に説明したように、本実施例の定着装置7は、加熱ヒータ14の汚れ防止用発熱体14dにより加熱ニップ部Hの下流端のオフセットトナーを加熱できるので、加熱ニップ部の下流端でのオフセットトナーの蓄積を防止することができる。これによって、オフセットトナーの塊が原因で発生する画像不良を防止できる。
【0052】
[実施例2]
定着装置の他の例を説明する。本実施例では、実施例1の定着装置7と同じ部材及び部分には同じ符号を付して、その部材及び部分の説明を省略している。
【0053】
本実施例に示す定着装置7は、加熱ヒータ14の通電発熱抵抗体のパターンが異なる点を除いて、実施例1の定着装置7と同じ構成としてある。
【0054】
図4は本実施例の定着装置の加熱ヒータ14の説明図であって、(a)は加熱ヒータ14の保護層14cの一部を省略した長手方向表面側の説明図、(b)は(a)のI−I線矢視拡大断面図である。
【0055】
加熱ヒータ14は、定着用発熱体14bと汚れ防止用発熱体14dを1つのパターンで形成している。即ち、基板10aの定着ローラ10の回転方向上流側に1本のパターンで形成した定着用発熱体14bを配置し、基板10aの定着ローラ10の回転方向下流側に2本のパターンで形成した汚れ防止用発熱体14dを配置している。そしてこの定着用発熱体14b及び汚れ防止用発熱体14dは、定着用発熱体14b及び汚れ防止用発熱体14dの長手方向他端部が基板10の長手方向他端部に設けられた導電部14gを介して結合されている。基板14aの長手方向一端部側には定着用発熱体14bの長手方向一端部と連続して給電用電極14hが設けられ、基板14aの長手方向一端部側には2本の汚れ防止用発熱体14dの長手方向一端部と連続して給電用電極14iが設けられている。つまり、定着用発熱体14bと、汚れ防止用発熱体14dは、共通の給電用電極14h,14iを有している。従って、定着用発熱体14b及び汚れ防止用発熱体14dへの給電(通電)は、通電制御部(電源回路)103から給電用電極14h,14iに給電(通電)することにより行われる(片側給電)。
【0056】
このように定着用発熱体14bと汚れ防止用発熱体14dを1つのパターンで形成することによって、トライアック等の電源回路の簡素化、コスト軽減を達成することができる。
【0057】
本実施例においては、汚れ防止用発熱体14dは、例えば基板14aの定着ローラ10の回転方向における加熱ニップ部Hの下流端から1.5mmの位置(領域)に配置されている。この配置位置はトナーの軟化点溶融粘度や、加熱ヒータ14と定着ローラ10の表面性の関係、定着ローラ10のローラ径、通電発熱抵抗体の発熱量によって適切な位置が変化する。そのため、汚れ防止用発熱体14dは少なくとも加熱ニップ部Hの下流端から3.0mm以内の位置に配置される事が好ましい。
【0058】
また、本実施例においては、2本の定着用発熱体14bは往復の定着用発熱体14bともに10Ωであり、1本の汚れ防止用発熱体14dは200Ωに設定されており、総抵抗は19.5Ωとなる。
【0059】
本実施例の加熱ヒータ14においては、定着用発熱体14bと汚れ防止用発熱体14dは一つのパターンで構成されており、かつ、その役割がお互い異なることから、それぞれの発熱量が異なるように抵抗値が設定されている。汚れ防止用発熱体14dでは、加熱ニップ部Hの下流端でオフセットトナーを溶融させる熱量を補うだけでよいので、汚れ防止用発熱体14dの発熱量は定着用発熱体14bの発熱量の1/40となるようにしている。この比率は使用するトナーの軟化点溶融粘度や、加熱ヒータ14と定着ローラ10の表面性の関係、定着ローラ10のローラ径、などによって適切な抵抗値が変化する。また、汚れ防止用発熱体14dは加熱ニップ部Hの領域の外側に配置されるため、定着ローラ10に熱を奪われることがなく昇温しやすい。そこで、汚れ防止用発熱体14dの材料を抵抗温度係数が正である高PTC特性のペーストにして、汚れ防止用発熱体14dに自己温度制御の機能をもたせることにより必要以上の昇温を防止することができる。
【0060】
また、汚れ防止用発熱体14dの一部が加熱ニップ部Hの領域内に入っていても良い。本実施例の汚れ防止用発熱体14dは、上記のように定着用発熱体14bとは発熱量が異なるように抵抗値が設定されている。このため、汚れ防止用発熱体14dの一部が加熱ニップ部Hの領域内に入っていたとしても、汚れ防止用発熱体では発熱量が少なく温度ムラが従来よう軽減される。したがって、汚れ防止用発熱体14dの大部分が加熱ニップ部Hの領域内に入ってしまうことは好ましくない。しかし、公差の関係上などで汚れ防止用発熱体14dの一部が加熱ニップ部Hの領域に入ってしまっても定着に影響を与えることなくヒータ割れなどの発生を抑えることができる。
【0061】
本実施例の定着装置7について、実施例1の定着装置と同様のオフセットトナー汚れの防止、及び画像不良の発生防止の効果確認を行なったところ、実施例1のときとほぼ同等の効果が確認された。
【0062】
以上に説明したように、本実施例の定着装置7も、加熱ヒータ14の汚れ防止用発熱体14dにより加熱ニップ部Hの下流端のオフセットトナーを加熱できるので、加熱ニップ部の下流端でのオフセットトナーの蓄積を防止することができる。これによって、オフセットトナーの塊が原因で発生する画像不良を防止できる。
【0063】
[実施例3]
定着装置の他の例を説明する。本実施例では、実施例1の定着装置7と同じ部材及び部分には同じ符号を付して、その部材及び部分の説明を省略している。
【0064】
本実施例に示す定着装置7は、加圧ローラ16が異なる点を除いて、実施例1の定着装置7と同じ構成としてある。
【0065】
実施例1及び実施例2に示す定着装置7において、加圧ローラ16の代わりに、バックアップ部材として加圧パッド40(図5(a)参照)を用いて定着ニップ部Nを形成してもよい。また、加圧ローラ16の代わりに、バックアップ部材として加圧シート保持部材42に保持された加圧シート41(図5(b)参照)を用いて定着ニップ部Nを形成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
7:定着装置、10:定着ローラ、H:加熱ニップ部、16:弾性加圧ローラ、T:トナー像、P:記録材、14:加熱ヒータ、14a:ヒータ基板、14b:通電発熱抵抗体(定着用発熱体)、14d:通電発熱抵抗体(汚れ防止用発熱体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、前記回転体と共に加熱ニップ部を形成する加熱部材と、前記回転体と共にニップ部を形成するバックアップ部材と、を有し、前記加熱ニップ部で前記加熱部材により前記回転体を加熱し、前記ニップ部で記録材が担持するトナー像を前記回転体の熱により記録材に加熱する像加熱装置において、
前記加熱部材は、基板と、前記回転体の回転方向における前記加熱ニップ部の領域内で前記基板に設けられ、通電により発熱して前記回転体を加熱する発熱抵抗体と、前記回転体の回転方向における前記加熱ニップ部の領域の外側で前記基板に設けられ、通電により発熱して前記加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱する発熱抵抗体と、を有することを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記回転体を加熱する発熱抵抗体と、前記加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱する発熱抵抗体は、それぞれ、独立した給電用電極を有することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項3】
前記回転体を加熱する発熱抵抗体と、前記加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱する発熱抵抗体は、共通の給電用電極を有することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱する発熱抵抗体は、前記基板の前記回転体の回転方向における前記加熱ニップ部の下流端から3mm以内の領域に設けられることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項5】
前記加熱ニップ部をすり抜けてきたトナーを加熱する発熱抵抗体は、抵抗温度係数が正である材料を用いて形成されることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−108172(P2012−108172A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254622(P2010−254622)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】