説明

像担持体のクリーニング装置、クリーニング方法、および画像形成装置

【課題】転写後に像担持体に残留する転写残りトナーをより効果的に除去しつつ、バンディングや中抜けを防止しかつクリーニング部材のびびりや捲れを抑制する。
【解決手段】負帯電トナーによるトナー像の転写後に感光体2をトナーの極性と同じ負極性に帯電する帯電ローラ3aと、帯電ローラ3aで帯電された感光体2に当接して、転写後に感光体2上に残留する転写残りトナーを除去するクリーニングブレード4aと、クリーニングブレード4aを通過した感光体2にトナーの極性と逆極性の電荷を与えるコロナ帯電器5aとを少なくとも備える感光体2のクリーニング装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写後に残留する転写残りトナーを除去する像担持体のクリーニング装置、クリーニング方法、およびこのクリーニング装置を備えた、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置からなる画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、転写後の感光体表面を帯電ブラシで負極性に大きく帯電させた後、帯電ブラシより感光体の回転する方向にコロナ帯電器による正極性のコロナ帯電で感光体を所定の負帯電電位に調整する帯電方式を採用した画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この感光体の帯電方式によれば、オゾン発生量が少なく、感光体を均一に帯電させることができる。
【特許文献1】特開平4−275569号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、転写後の感光体上には転写残りトナーおよびトナーから遊離した外添剤が残留する。前述の特許文献1に記載の画像形成装置において、これらの転写残りトナーおよび外添剤を帯電ブラシに到達する前にクリーニングブラシで除去した場合、帯電ブラシおよびコロナ帯電器の汚れが抑制されて良好な帯電が継続することができる。
【0004】
しかし、このように帯電ブラシで転写後の感光体を帯電する前にクリーニングブラシで転写残りトナーおよび外添剤を除去すると、感光体と中間転写ベルトとの間にタックが生じる場合がある。そして、このタックにより中間転写ベルトのバンディングや画像の中抜けが発生する。特に、近年、画像形成装置においては、高画質化を図るために小粒径(5μm以下)で高円形度(0.96以上)のトナーが用いられてきているが、このようなトナーが用いられた場合に、バンディングや中抜けが発生し易い。
【0005】
この理由は、次のように考えられる。すなわち、小粒径(5μm以下)で高円形度(0.96以上)のトナーを用いた場合には、転写残りトナーがクリーニングブレードを容易にすり抜けてしまう。そこで、転写残りトナーを確実に除去するためにクリーニングブレードの感光体への接触圧を従来の画像形成装置に比べて大きくする必要がある。しかし、クリーニングブレードの接触圧を大きくすると、転写残りトナーとともに外添剤も掻き取られてしまう。そして、外添剤がクリーニングブレードによって掻き取られ過ぎると、クリーニングブレードをすり抜けて転写装置の方へ移動する外添剤がほとんどなくなる。このため、感光体と中間転写ベルトとの間にタックが生じ易くなり、バンディングや中抜けが発生する。
また、クリーニングブレードをすり抜ける外添剤が少ないと、接触圧が大きいことからクリーニングブレードにびびりや捲れが生じるようになる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、転写後に像担持体に残留する転写残りトナーをより効果的に除去しつつ、バンディングや中抜けを防止しかつクリーニング部材のびびりや捲れを抑制することのできる像担持体のクリーニング装置、クリーニング方法および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明に係る像担持体のクリーニング装置、クリーニン
グ方法および画像形成装置では、転写後に像担持体に残留する転写残りトナーと外添剤を第1帯電部材でトナーと同じ極性に帯電して、転写残りトナーおよび外添剤の像担持体への静電吸着力を大きくしている。そして、転写残りトナーおよび大粒径の外添剤は、像担持体に接触するクリーニング部材で除去しかつ回収している。また、小粒径の外添剤は静電吸着力を大きくさせることでクリーニング部材をすり抜けさせている。
【0008】
このようにして、転写残りトナーおよび外添剤を第1帯電部材で帯電させた後、転写残りトナーおよび大粒径の外添剤はクリーニング部材で確実に除去可能にしつつ、小粒径の外添剤はクリーニング部材をすり抜けできるようになる。また、小粒径外添剤がクリーニング部材をすり抜けることから、この小粒径外添剤の潤滑機能により、クリーニング部材のびびりや捲れを効果的に抑制することが可能となる。
【0009】
更に、クリーニング部材をすり抜けた小粒径外添剤を第2帯電部材でトナーの極性と逆極性に帯電する。そして、このように帯電された小粒径の外添剤の少なくとも一部を、次の画像形成プロセスで露光装置および非接触現像装置を通過して転写装置の方へ移動させる。更に、転写装置に到達した小粒径外添剤を、像担持体と中間転写媒体とのニップ部内に進入させる。これにより、この小粒径外添剤を潤滑剤として機能させることが可能となり、像担持体と中間転写媒体との間のタックを抑制することができる。したがって、中間転写媒体のバンディングや画像の中抜けを防止することができる。
【0010】
特に、像担持体の周速と中間転写媒体の周速との間に速度差を持たせた場合に、前述のニップ部に進入した小粒径の外添剤により、潤滑剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
【0011】
また、トナーのかぶり量が少ないと前述のタックが生じ易いが、このように小粒径の外添剤を積極的に前述のニップ部に進入させることで、トナーのかぶり量が少なくても前述のタックを効果的に防止することが可能となる。これにより、本発明の画像形成装置では、トナー使用量を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
この例の画像形成装置1においては、負帯電トナーを用いて画像形成が行われる。もちろん、正帯電トナーを用いて画像形成を行うこともできる。以下の説明では、画像形成装置1は負帯電トナーを用いるものとして説明するが、正帯電トナーを用いる場合には、以下の説明の各部材の帯電の電位を逆極性とすればよい。また、トナーは、トナー母粒子とこのトナー母粒子に外添される外添剤とを有しているが、以下の説明では、トナー母粒子を単にトナーという。
【0013】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は静電潜像およびトナー像が形成される像担持体である感光体2を備えている。この感光体2は感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと同様に円筒状の金属素管の外周面に所定膜厚の感光層が形成されている。この感光体2における金属素管には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層には、従来公知の有機感光体が使用される。
【0014】
感光体2の周囲には、第1帯電装置3、クリ−ニング部材4、第2帯電装置5、露光装置6、現像装置7、および転写装置8が、それぞれこれらの順に感光体2の回転方向A(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0015】
第1帯電装置3は、回転可能に設けられた帯電ローラ3a(本発明の第1帯電部材に相当)を有するローラ帯電器である。帯電ローラ3aは負極性の帯電バイアスV1(V)が印加されて、転写後の感光体2をトナーと同極性(つまり、負極性)に帯電する。この帯電ローラ3aには、従来周知慣用の帯電ブラシローラあるいは帯電ゴムローラを用いることができる。
【0016】
クリ−ニング部材4は、第1帯電装置3を通過した感光体2に当接するクリ−ニングブレード4a(本発明のクリーニング部材に相当)である。このクリ−ニングブレード4aには、従来周知慣用のクリ−ニングブレードを用いることができる。その場合、5μ以下の小粒径あるいは0.96以上の高円形度の負帯電トナーを使用することを考慮して、クリ−ニングブレード4aの感光体2への接触圧が、従来の画像形成装置に比べてやや高めに設定されている。これにより、小粒径あるいは高円形度のトナー粒子がクリ−ニングブレード4aをすり抜けることが防止されている。
【0017】
第2帯電装置5は、感光体2の表面に接触しないコロナ帯電器5a(本発明の第2帯電部材に相当)である。具体的には、コロナ帯電器5aとして、スコロトロン帯電器が用いられている。このスコロトロン帯電器のチャージワイヤ5bには正の直流(DC)のワイヤ帯電バイスVw(V)が印加されるとともに、グリッド5cには負の直流(DC)のグリッド帯電バイアスVg(V)が印加される。これにより、コロナ帯電器5aは正極性のコロナ放電で感光体2に正極性(トナーと逆極性)の電荷を与えることで、感光体2の表面の電位が下げられて均され、感光体表面電位が画像形成時に設定される負極性の電位に設定される。このとき、第2帯電装置5を通過した外添剤は、トナーの負極性と逆の正極性に帯電される。あるいは、帯電し難いものは略0Vとなる。
そして、この例の画像形成装置1では、第1帯電装置3、クリーニング部材4、および第2帯電装置5により、本発明のクリーニング装置が構成されている。
【0018】
露光装置6は、従来周知慣用の露光装置を用いることができる。また、現像装置7は、現像ローラ7aが感光体2に接触しない非接触現像器である。この現像装置7には従来周知慣用の非接触現像器を用いることができる。更に、転写装置8には、それぞれ、従来周知慣用の転写装置を用いることができる。その場合、この転写装置8の感光体2と中間転写ベルトとの当接部(ニップ部)において、感光体2の周速と中間転写ベルト9の周速とに、駆動ギアのバックラッシュを防止するための速度差が設定されている。
【0019】
次に、この例の画像形成装置1の動作(感光体2のクリーニング方法も含む)について説明する。
画像形成装置1の画像形成動作が開始されると、感光体2が回転され、コロナ帯電器5aによって感光体2の表面が画像形成時に設定される負極性電位に一様に帯電される。次いで、露光装置6によって感光体2の表面が露光されて像の書込みが行われ、感光体2上に負極性電位が低下した静電潜像が形成される。この感光体2上の静電潜像が現像装置7の現像ローラ7aからの負帯電トナーによって非接触現像され、感光体2上にトナー像が形成される。感光体2上のトナー像は、転写装置8による転写工程で中間転写ベルト9(本発明の中間転写媒体に相当)に転写される。従来の画像形成装置と同様に、中間転写ベルト9上に転写されたトナー像が第2の転写装置(不図示)によって更に紙等の転写材に転写された後、定着装置によって定着されて転写材に定着画像が形成される。
【0020】
転写工程終了後に、感光体2上には転写残りトナーおよび外添剤が残留する。これらの転写残りトナーおよび外添剤の極性は正負不揃いとなっている。そして、負極性のバイアスV1(V)が印加された帯電ローラ3aによって、感光体2の表面が負極性に帯電される(第1帯電工程)。このとき同時に、感光体2上の転写残りトナーと外添剤とも同極性に帯電される。これにより、転写残りトナーと外添剤は感光体2への静電吸着力が大きく
なる。
【0021】
帯電ローラ3aを通過した転写残りトナーと比較的大きな粒径の外添剤は感光体2への静電吸着力が大きくなっても、クリーニングブレード4aによって感光体2から除去され回収される(クリーニング工程)。しかし、比較的小さな粒径の外添剤は感光体2への静電吸着力が大きいことから、クリーニングブレード4aをすり抜けるようになる。このことは、例えば特開2006ー267510号公報の段落[0010]にも記載されているように明らかである。このように、小粒径の外添剤が感光体2とクリーニングブレード4aとの間をすり抜けることから、クリーニングブレード4aのびびりが抑制される。
【0022】
コロナ帯電器5aに到達した感光体2の部分は、このコロナ帯電器5aによって前述のように画像形成時に設定される電位に一様帯電される(第2帯電工程)。これにより、次の画像形成のためのプロセスが開始される。同時に、クリーニングブレード4aをすり抜けた小粒径の外添剤は、負帯電トナーと逆極性の正極性に帯電される。更に、露光装置6により感光体2に次の画像の書込みが行われて静電潜像が形成され、この静電潜像が現像装置7によって現像され、新たな負帯電のトナー像が形成される。この間、正極性に帯電された小粒径の外添剤は感光体2の回転とともに移動し、非接触現像器の現像ローラ7aと感光体2との間のギャップを通過する。このとき、白部の多い画像パターンでの小粒径の外添剤は、電界の関係から現像ローラ7aの方へ引き寄せられず、感光体2に付着したままとなる。
【0023】
これらの新たな負帯電のトナー像および小粒径の外添剤は、ともに転写装置8の方へ移動する。そして、負帯電のトナー像は転写装置8によって中間転写ベルト9に転写される。このとき、小粒径の外添剤は感光体2と中間転写ベルト9とのニップ部に進入する。すると、この小粒径の外添剤が潤滑剤として機能し、感光体2と中間転写ベルト9との間のタックが生じない。これにより、中間転写ベルト9のバンディングや画像の中抜けが抑制される。特に、この例の画像形成装置1では、感光体2の周速と中間転写ベルト9の周速との間に速度差を有しているので、前述のニップ部に進入した小粒径の外添剤はより効果的に潤滑剤の機能を発揮するようになる。なお、黒部の多い画像パターンの場合は、正極性に帯電された小粒径の外添剤は現像ローラ7aの方へ引き寄せられるが、現像ローラ7aから外添剤が外添された新たな負帯電トナーが現像されるため、感光体2上に付着した新たな負帯電トナーが潤滑剤として機能し、感光体2と中間転写ベルト9との間のタックが生じない。
【0024】
この例の感光体2のクリーニング装置、クリーニング方法および画像形成装置1によれば、転写後に感光体2に残留する転写残りトナーと外添剤を第1帯電ローラ3aで負帯電トナーと同じ負極性に帯電して、転写残りトナーおよび外添剤の感光体2への静電吸着力を大きくしている。そして、転写残りトナーおよび比較的大粒径の外添剤は、クリーニングブレード4aで除去しかつ回収している。また、比較的小粒径の外添剤はクリーニングブレード4aをすり抜けさせるようにしている。このとき、小粒径外添剤の感光体2への静電吸着力が大きいことからこの小粒径外添剤をより確実にクリーニングブレード4aをすり抜けさせることができる。
【0025】
このようにして、転写残りトナーおよび外添剤を第1帯電ローラ3aで帯電させた後、転写残りトナーおよび大粒径の外添剤はクリーニングブレード4aで確実に除去可能にしつつ、小粒径の外添剤はクリーニングブレード4aをすり抜けできるようになる。また、小粒径の外添剤がクリーニングブレード4aをすり抜けることから、この小粒径外添剤の潤滑機能により、クリーニングブレード4aのびびりや捲れを効果的に抑制することが可能となる。
【0026】
クリーニングブレード4aをすり抜けた小粒径外添剤はコロナ帯電器5aで正極性に帯電している。更に、正極性に帯電された小粒径の外添剤の少なくとも一部を、次の画像形成プロセスで露光装置6および現像装置7を通過して転写装置8の方へ移動させている。そして、転写装置8に到達した小粒径外添剤を、感光体2と中間転写ベルト9とのニップ部内に積極的に進入させている。これにより、この小粒径外添剤を潤滑剤として機能させることが可能となり、感光体2と中間転写ベルト9との間のタックを抑制することができる。したがって、中間転写ベルト9のバンディングや画像の中抜けを防止することができる。特に、この例の画像形成装置1では、感光体2の周速と中間転写ベルト9の周速との間に速度差を有しているので、前述のニップ部に進入した小粒径の外添剤に、潤滑剤の機能をより効果的に発揮させることができる。
【0027】
ところで、前述の特許文献1に記載の帯電方式の画像形成装置のように、転写後の転写残りトナーを最初にクリーニングブレードで掻き取った場合、感光体と中間転写ベルトとの間にタックが生じる場合がある。そして、このタックにより、中間転写ベルトのバンディングや画像の中抜けが生じる。これは、クリーニングブレードにより転写残りトナーおよび外添剤を掻き取りすぎることで、小粒径の外添剤が感光体と中間転写ベルトとのニップ部にほとんど行かないためであると考えられる。特に、トナーのかぶり量が少ないと、前述のタックが生じ易い。
【0028】
トナーのかぶり量とバンディングおよび中抜けとの関係は、従来の種々の実験結果から、図2に示すようにかぶり量が少ないほどバンディングおよび中抜けが生じ易くなり、かぶり量が一定量(約7g/kp)を超えると、バンディングおよび中抜けが生じなくなる。これは、かぶり量が多くなると、クリーニングブレードをすり抜ける小粒径の外添剤が存在するようになり、この外添剤が感光体と中間転写ベルトとのニップ部に進入するようになるためであると考えられる。そこで、従来の画像形成装置には、バンディングおよび中抜けをほとんど生じない領域となるように、トナーのかぶり量が一定量(約7g/kp)より大きくに設定されているものもある。このため、従来の画像形成装置では、トナー使用量が多くなっている。
【0029】
これに対して、この例の画像形成装置1では、前述のように小粒径の外添剤がクリーニングブレード4aをより確実にすり抜けるようにするとともに、所定量の小粒径外添剤を感光体2と中間転写ベルト9とのニップ部に進入させるようにしている。これにより、トナーのかぶり量が一定量(約7g/kp)以下でも、バンディングおよび中抜けをほとんど生じない。したがって、この例の画像形成装置1では、トナー使用量を抑制することが可能となる。
【0030】
図3は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示す図である。
図3に示すように、この例の画像形成装置1では、クリーニング部材4は帯電性クリーニング部材である。このクリーニングブレード4aに負極性のバイアスを印加している。これにより、クリーニングブレード4aは小粒径外添剤を更に感光体2の方へ付着させるように帯電することが可能となる。したがって、小粒径外添剤がクリーニングブレード4aを更に効果的にする抜けることができるようになる。
この例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は、前述の図1に示す例と同じである。
【0031】
次に、本発明の感光体2のクリーニング装置および画像形成装置1について実験した実施例および比較例について説明する。実験は、セイコーエプソン株式会社製カラープリンタLP9000Cを用いた。その場合、クリーニング装置のみを図1および図4に示す通りに変更し、変更したクリーニング装置が搭載可能にカラープリンタLP9000Cを改
造した。図4に示す画像形成装置1は比較例としての画像形成装置1であり、実施例の図1に示す画像形成装置1に対して、クリーニング部材4が転写装置8と第1帯電装置3との間に配置されている。すなわち、転写装置8から感光体2の回転方向に向かってクリーニング部材4および第1帯電装置3の順に配置されている。クリーニング装置4外の各装置の作動条件は、カラープリンタLP9000Cの標準作動条件である。
【0032】
まず、トナーのかぶり量を変えた場合のバンディングおよび中抜けの発生の実験につい説明する。実験に用いたトナーは、ポリエステル樹脂を用い重合法で体積平均粒径3μmに製造したトナー母粒子に外添剤として体積平均粒径が12nmでHMDS処理されたシリカを添加したトナーである。その場合、トナーのかぶり量のみを変え、他は一定に保持した。各実施例および各比較例におけるトナーのかぶり量および実験結果を表1に示す。バンディングおよび中抜けの評価は、目視でバンディングおよび中抜けがそれぞれ発生していないと判断した場合には良好とし、バンディングおよび中抜けがそれぞれ少し発生していると判断した場合にはやや不良とし、バンディングおよび中抜けがそれぞれ明らかに発生していると判断した場合には不良とした。
【0033】
【表1】

【0034】
表1に示すように、実施例1ではかぶり量が2g/kpであり、実施例2ではかぶり量が3g/kpであり、実施例3ではかぶり量が5g/kpであり、比較例1ではかぶり量が2g/kpであり、比較例2ではかぶり量が5g/kpであり、比較例3ではかぶり量が8g/kpである。バンディングおよび中抜けの評価結果は、それぞれ実施例1ないし3では良好の判断結果となり、比較例1ないし3では、やや不良または不良の判断結果となった。
【0035】
次に、トナーの体積平均粒径および円形度を変えた場合に、クリーニングブレードのびびり、クリーニングブレードの捲れ、バンディングおよび中抜けの発生の実験につい説明する。実験に用いたトナーは、ポリエステル樹脂を用い重合法および粉砕法で後述する種々の体積平均粒径および円形度に製造したトナー母粒子に外添剤として体積平均粒径が12nmでHMDS処理されたシリカを添加したトナーである。その場合、トナー母粒子の体積平均粒径および円形度を変え、他は一定に保持した。各実施例および各比較例におけるトナーの体積平均粒径、円形度、および実験結果を表2および表3に示す。表2は図1に示す画像形成装置1を用いて実験した場合を示し、表3は図4に示す画像形成装置1を用いて実験した場合を示している。クリーニングブレードのびびり、クリーニングブレードの捲れ、バンディングおよび中抜けの評価は、目視でこれらがいずれも発生していないと判断した場合には良好とし、これらの少なくとも1つが少し発生していると判断した場合にはやや不良とし、これらがの少なくとも1つが明らかに発生していると判断した場合には不良とした。
【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
表2および表3に示すように、実施例および比較例に用いたトナーは、いずれも同じである。すなわち、重合法で体積平均粒径が4μmで円形度0.97に製造した重合トナー、重合法で体積平均粒径が4.5μmで円形度0.97に製造した重合トナー、重合法で体積平均粒径が5.5μmで円形度0.95に製造した重合トナー、重合法で体積平均粒径が5.5μmで円形度0.96に製造した重合トナー、重合法で体積平均粒径が6.5μmで
円形度0.95に製造した重合トナー、重合法で体積平均粒径が7μmで円形度0.97に製造した重合トナー、粉砕法で体積平均粒径が5μmで円形度0.93に製造した粉砕トナー、粉砕法で体積平均粒径が7μmで円形度0.93に製造した粉砕トナー、粉砕法で体積平均粒径が8.5μmで円形度0.92に製造した粉砕トナーである。
【0039】
表2および表3に示すように、実施例ではいずれのトナーでも、良好の判断結果となった。また、比較例では、大粒径(5μmより大粒径)および低円形度(ほぼ0.95より低)のトナーでは、実施例と同様に良好の判断結果となったが、小粒径(5μm以下)および高円形度(0.96以上)のトナーでは、やや不良または不良の判断結果となった。これにより、本発明によれば所期の効果をが得られることが確認された。
なお、本発明は、前述の各例に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】トナーのかぶり量とバンディングおよび中抜けとの関係を説明する図である。
【図3】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の他の例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図4】比較例に用いた画像形成装置を模式的にかつ部分的に示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…画像形成装置、2…感光体、3…第1帯電装置、3a…帯電ローラ、4…クリ−ニング部材、4a…クリ−ニングブレード、5…第2帯電装置、5a…コロナ帯電器、5b…チャージワイヤ、5c…グリッド、6…露光装置、7…現像装置、8…転写装置、9…中間転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の極性に帯電されかつ外添剤が外添されたトナーによるトナー像の転写後に像担持体を前記トナーの極性と同極性に帯電する第1帯電部材と、
前記第1帯電部材で帯電された像担持体に当接するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材を通過した前記像担持体に前記トナーの極性と逆極性の電荷を与える第2帯電部材と、
を少なくとも備えることを特徴とする像担持体のクリーニング装置。
【請求項2】
前記第1帯電部材は帯電ローラであることを特徴とする請求項1に記載の像担持体のクリーニング装置。
【請求項3】
前記第2帯電部材はコロナ帯電器であることを特徴とする請求項1または2に記載の像担持体のクリーニング装置。
【請求項4】
前記クリーニング部材は、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の像担持体のクリーニング装置。
【請求項5】
前記クリーニング部材は、前記像担持体を前記第1帯電部材と同極性に帯電する帯電性クリーニング部材であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載の像担持体のクリーニング装置。
【請求項6】
転写後に像担持体を、所定の極性に帯電されたトナーと同極性に帯電する第1帯電工程と、
前記第1帯電工程後に前記像担持体に当接するクリーニング部材により、転写後に前記像担持体上に残留する転写残りトナーを除去するクリーニング工程と、
前記クリーニング工程後に前記像担持体に前記トナーの極性と逆極性の電荷を与える第2帯電工程と、
を少なくとも備えることを特徴とする像担持体のクリーニング方法。
【請求項7】
回転可能に設けられかつ潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に潜像を書き込む露光装置と、
前記像担持体の潜像を、所定の極性に帯電されかつ外添剤が外添されたトナーで現像する現像装置と、
前記像担持体上の現像されたトナー像を中間転写媒体に転写する転写装置と、
転写後に前記像担持体上に残留する転写残りトナーを導電性部材で除去する請求項1ないし5のいずれか1に記載のクリーニング装置とを、
を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記トナーの体積平均粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体と前記中間転写媒体との当接部に、前記像担持体の速度と前記中間転写媒体の速度とに速度差を有することを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−26060(P2010−26060A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184829(P2008−184829)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】