優先順位付き光学的アービトレーションシステム及び方法
本発明の種々の実施形態は、短い待ち時間の優先順位付き光学的アービトレーションのためのシステム、及び方法に関する。一実施形態において、光学的アービトレーションシステム(100, 1100)は、第1の端部、及び第2の端部を有する導波路(102, 1102)と、導波路の第1の端部に光学的に結合され、少なくとも1つの波長の光を導波路に入力するように構成された光源(104, 1104)とを含む。システムはさらに、導波路に光学的に結合された複数の波長選択要素(106-109, 1106-1109)を含む。各波長選択要素は、電気的に結合されたノードにより駆動されたとき、ある波長の光を導波路から抽出する機能を有する。アービター(110, 116, 120, 1112, 1116, 1120)は、導波路の第2の端部に光学的に結合され、かつ、光源と、導波路に沿って光源に最も近い位置にある波長選択要素との間において、導波路に光学的に結合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の実施形態は、概して、共有コンピュータリソースにアクセスするために同時発生する複数の要求のアービトレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の分散コンピュータシステムは通常、多数の独立して動作するノードから構成される。ノードは、プロセッサ、メモリ、回路基板、サーバ、ストレージサーバ、1コア若しくはマルチコアプロセッサ、外部ネットワーク接続、又は任意の他のデータ処理、記憶又は伝送装置であってよい。これらの独立して動作する種々のノードは、しばしば、同じリソースへのアクセスを必要とすることがある。例えば、2つのノードは、情報を伝送するために、他のノードの出力ポートを使用しなければならない場合があり、又は、共有通信バスのような共有リソースを使用しなければならない場合がある。これら2つのノードは、協調性なく、リソースを同時に使用し始める場合がある。ノードの一方又は両方から送信された情報は、リソースへの到達時に失われていることがあり、又は破損していることがある。従って、コンピュータシステムはしばしば、2以上のノードが同じリソースを同時に使用することを防止するために、「アービトレーション」と呼ばれる衝突解消手段を採用している。アービトレーションによれば、ある時点において一つのノードのみがリソースを使用することが確保される。
【0003】
アービトレーションは生来的に、通常ならば独立している並列な2以上の活動を一列に並べるため、多くの場合、アービトレーションは、コンピュータシステムパフォーマンスのクリティカルパス上に置かれる。リソースへのアクセスを要求する種々のノードは、物理的に分散されていることがある。一般的なアービトレーション手段は、リソースに対する「要求」を全て収集するための通信と、要求の1つを選択し、又は「許可」するための集中的又は分散的な計算とを必要とし、その後、アービトレーションに勝利したノードに「許可」を与えるための更に別の通信を必要とする。
【0004】
アービトレーションメカニズムの最も重要な性質は、任意の所与の時点において最大で1つの要求元ノードにアクセスを許可する能力である。このアービトレーションの性質は一般に、「相互排他」と呼ばれる。アービトレーションメカニズムを実際に有用なものにするために必要なもう1つの性質は、「公平性」である。一般に、公平性とは、競合するノードの十分に大きなサンプルが与えられたときに、競合する複数の要求が、同じ確率でアービトレーションに勝利することを意味する。公平性のこの一般的解釈は、しばしば理想的であると考えられるが、実際に実現するためには、しばしば高価なものとなる。このことは、公平性のこの一般的概念を実現するために被るオーバヘッドによって、パフォーマンスの低下、及びコストの増加がしばしば発生する分散アービトレーション手段の場合に、特に言える。システムサイズの増大に伴い、コスト及びパフォーマンスが大幅に悪化する場合、このオーバヘッド問題は、特に非現実的になる。この「スケーリング」問題は、多数のノードを含むシステムにおける使用を意図するアービトレーションメカニズムにとって、特に重要である。
【0005】
「スタベーションフリー(飢餓状態なし)」のアービトレーションを提供にするために、アービトレーション公平性のこの一般的概念をポリシーへ緩和することが可能である。もしアービトレーションがスタベーションフリーであれば、アービトレーションによって、いずれの要求元ノードも、最終的にアービトレーションに勝利することが保証される。スタベーションフリーのアービトレーションは一般に、オーバヘッドが少なく、真に公平なアービトレーションに比べて改善されたスケーリング特性を有するが、スタベーションフリーのアービトレーションは生来的に、任意の所与の時点において全ての要求を同じ優先順位を有するものとして扱う。一般に、特定の幾つかの要求が、未許可の要求がパフォーマンスボトルネックとなるポイントまで遅れた場合、総合的なシステムパフォーマンスは大幅に低下する。いずれのシステムにおいても、一部の要求は、他のシステムに比べて高い優先順位を有する。優先順位に基くアービトレーションは、高い優先順位の要求が、低い優先順位の要求よりも先に許可されることを意味する。優先順位に基くスキームでは、新たな要求のそれぞれに、何らかの重要度メトリックに基く初期優先順位が割当てられる。さらに別の選択肢は、それらが特定のリソースへのアービトレーションアクセスを勝ち取ることをどのくらいの時間にわたって待っているかに基いて、優先順位を増加させることを許可することである。各優先順位レベルにおいてこの「経過時間に基くアービトレーション優先順位」をスタベーションフリーのアービトレーションと結合することによって、妥当な公平性、スケーリング、及びコスト特性を有するアービトレーションポリシーを達成することができる。
【0006】
正しいアービトレーションメカニズムはいずれも、共有リソースに対する相互排他的アクセスを確保する機能を有しなければならず、また、その相互排他的アクセスをスタベーションフリーな形で実施しなければならない。アービトレーションメカニズムの他の望ましい特性としては、コスト、及びパフォーマンスに関するスケーラビリティが挙げられる。コストスケーラビリティのために重要な事は、アービトレーションポリシーを実施するために必要とされるエネルギー、ワイヤー、導波路、及びトランジスタのような物理的リソースを最小限に抑えることであり、パフォーマンススケーラビリティのために重要な事は、個々のアービトレーション判断の待ち時間を可能な限り短縮する必要性である。技術者、及びコンピュータ科学者は、短い待ち時間のアービトレーションシステム、及びシステムパフォーマンスを向上させる方法の開発を続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の種々の実施形態は、短い待ち時間の優先順位付き分散光学的アービトレーションを実現するシステム、及び方法に関する。一実施形態において、光学的アービトレーションシステムは、第1の端部及び第2の端部を有する導波路と、導波路の第1の端部に光学的に結合され、少なくとも1つの波長の光を導波路に入力するように構成された光源とを含む。このシステムは、導波路に光学的に結合された複数の波長選択要素をさらに含む。各波長選択要素は、電気的に結合されたノードによって駆動されたとき、導波路から或る波長の光を抽出する機能を有する。アービターは、導波路の第2の端部に結合され、さらに光源と、導波路に沿って光源に最も近い位置にある波長選択要素との間において、導波路に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の種々の実施形態に従って構成された第1の優先順位付き光学的アービトレーションシステムを示す概略図である。
【図2】本発明の種々の実施形態による光学的アービトレーションシステムにおいて実施されるアービトレーションの例示的な1ラウンドの間における波長選択要素の挙動を示す表である。
【図3A】本発明の種々の実施形態によるアービトレーションのあるラウンドの要求フェイズにおける図1に示したアービトレーションシステムを示す図である。
【図3B】本発明の種々の実施形態によるアービトレーションのあるラウンドの許可フェイズにおける図1に示したアービトレーションシステムを示す図である。
【図4】本発明の種々の実施形態による、2つの共有リソースについてのアービトレーションに関連する第2の例示的タイミング図である。
【図5A】本発明の種々の実施形態による、要求フェイズにおける図1に示したアービトレーションシステムを示す図である。
【図5B】本発明の種々の実施形態による、許可フェイズにおける図1に示したアービトレーションシステムを示す図である。
【図6】本発明の種々の実施形態による、共有リソースについての優先順位付き波長分割多重アービトレーションのための方法に関連する種々のステップを示す制御フロー図である。
【図7A】本発明の種々の実施形態に従って構成された或るノードの種々の電子部品の回路図である。
【図7B】本発明の種々の実施形態に従って動作する図7Aに示したノードを示す図である。
【図8A】本発明の種々の実施形態に従って構成された電子回路の種々の電子部品を示す回路図である。
【図8B】本発明の種々の実施形態に従って動作する図8Aに示した電子回路を示す図である。
【図9】本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の光学的アービトレーションシステムを示す概略図である。
【図10】本発明の種々の実施形態に従って構成された第3の光学的アービトレーションシステムを示す概略図である。
【図11】本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の光学的アービトレーションシステムを示す概略図である。
【図12】本発明の種々の実施形態による、図11に示した光学的アービトレーションシステムにおいて実施される優先順位付き時分割多重アービトレーションの2つのラウンドに関連する例示的なタイミング図である。
【図13】本発明の種々の実施形態による共有リソースについての優先順位付き時分割多重アービトレーションのための方法に関連する種々のステップを示す制御フロー図である。
【図14】本発明の種々の実施形態に従って構成されたノードの回路図である。
【図15】本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の電子回路の回路図である。
【図16A】基板の表面に配置され、本発明の種々の実施形態に従って構成されたマイクロリング共振器、及び隣接リッジ導波路の一部を示す等角図である。
【図16B】図16Aに示したマイクロリング及び導波路についての波長と透過率の関係を示すグラフである。
【図17】本発明の種々の実施形態による、検出共振器部分に結合されたマイクロリング共振器を示す図である。
【図18】本発明の種々の実施形態による、マイクロリング及びリッジ導波路を取り囲むドープ領域を示す概略的表現及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
種々の実施形態は、短い待ち時間の優先順位付き分散アービトレーションを実現するシステム、及び方法に関する。アービトレーションシステム及び方法は、光学的なものであり、それによって、共有リソースにアクセスするための異なる優先順位レベルが、特定のタイムスロットにおいて伝送される特定の幾つかの波長の光、又は単一波長の光に関連付けられる。「光」という用語は、電磁スペクトルの紫外線部分、及び赤外線部分のような、電磁スペクトルの可視部分、及び不可視部分内の波長を有する電磁放射を意味する。独立した波長優先順位付きアービトレーションシステム及び方法の種々の実施形態について以下の第1節で説明し、時分割多重優先順位付きアービトレーションシステム及び方法の種々の実施形態について以下の第2節で説明する。
【0010】
1.波長分割多重を使用して優先順位付き光学的アービトレーションを実施するシステム、及び方法
A.光学的アービトレーションシステム
図1は、本発明の種々の実施形態に従って構成された第1の光学的アービトレーションシステム100を示す概略図である。システム100は、導波路102と、導波路102の第1の端部に光学的に結合された光源104と、円106〜109のような円で表された4つの波長選択要素の8つの実質的に同一の組とを含む。波長選択要素の各組は、導波路102に光学的に結合され、かつ、N0からN7のラベルを付された8つのノードのうちの1つに電気的に結合される。システム100は、検出要素110、及び無効化要素116を含むアービターをさらに含む。検出要素110は、導波路102の第2の端部の近くに配置された4つの検出波長選択要素111〜114を含み、無効化要素116は、光源104とノードN0との間において導波路102に光学的に結合された3つの無効化波長選択要素117〜119を含む。アービターは、検出波長選択要素111〜114、及び無効化波長選択要素117〜119に電気的に結合された電子回路120をさらに含む。
【0011】
図1の例に示すように、4つの区別可能な無変調波長を含む光であって、各波長が、異なるパターンの方向矢印で示されている光が、光源104から出力され、導波路102に入力される。光は、方向矢印112〜124で示されているように、導波路102に沿って反時計回りに進行し、無効化要素116、波長選択要素の各組、及び最終的に検出要素110を通過する。各波長は、ある時点において1つのノードのみが使用可能なバス導波路、ポート、又は他の共有リソースのようなリソースの使用に関連する特定の優先順位レベルを表している。図1及び後続の図は、4つのラインパターンを示す凡例126を含む。各ラインパターンは、光源104から出力される光の波長を表し、各波長は、特定の優先順位レベルに関連している。点線パターン127は、最も高い優先順位レベル1を有する光の波長を表し、点線パターン128は、2番目に高い優先順位レベル2を有する光の波長を表し、破線パターン129は、3番目に高い優先順位レベル3を有する波長を表し、二点破線パターン130は、最も低い優先順位レベル4を有する波長を表している。
【0012】
導波路102は、リッジ導波路であっても、フォトニック結晶導波路であっても、光ファイバーであってもよい。波長選択要素の例は、マイクロリング共振器、フォトニック結晶共振器、又は隣接導波路102の中を進行する特定波長の光と共振するように構成された任意の他のデバイスである。共振器は、導波路102に隣接して配置される。この共振によって、共振器は、エバネッセント結合によって導波路102から特定波長の光を抽出することができる。簡略化のために、ノード、無効化、及び検出共振器は、以後、「ノード共振器」、「無効化共振器」、及び「検出共振器」とそれぞれ呼ばれる。マイクロリング共振器の動作に関するより詳細な説明は、以下のサブセクション「マイクロリング共振器」の節において提供する。
【0013】
ノード共振器、及び無効化共振器は、電気的に調節可能であり、各ノード共振器、及び各無効化共振器は、適当な電圧が印加されたときに、光源104から出力される4つの波長のうちの1つと共振するように構成され、その際、ノード共振器、又は無効化共振器は、「アクティブ」であると言われる。図1に示したように、各共振器がアクティブであるときに共振する波長を識別するために、各ノード、及び無効化共振器は、特定のラインパターンで示されている。例えば、ノード共振器106は、アクティブであるときに波長127と共振し、ノード共振器107は、アクティブであるときに波長128と共振する。或る調節可能な共振器がアクティブであるとき、共振器は、エバネッセント結合を利用して導波路102から関連波長の光を抽出、及び捕捉する。実施形態によっては、ノード共振器は、無効化共振器とは違い、捕捉した光の少なくとも一部を電気信号に変換するように構成されることがあり、電気信号は、電気的に結合されたノードへと伝送され、そこでそのノードが、その電気信号を、導波路102からその波長が除去されたことを示すものと解釈する場合がある。他の実施形態として、アクティブにされたノード共振器により抽出された光は、その光を検出器へ伝送する独立した導波路に結合される場合がある。一般に、共振器に捕捉された光は、種々の損失によって最終的には減衰し、漏出する。共振器がアクティブである間、導波路102によって伝送される共振波長の強度又は振幅は、およそゼロまで急速に低下する。電圧がもはや印加されなくなると、共振器の共振器波長は、光の波長から離れ、波長の強度又は振幅は復元され、波長は、導波路102に沿って分散されることなく伝搬する。調節可能な共振器に何も電圧が印加されていないとき、共振器は、「非アクティブ」であると言われる。
【0014】
ノード共振器、及び無効化共振器とは違い、検出要素110の検出共振器111〜114は、永久的にアクティブ、すなわち共振状態であるように構成される。換言すれば、検出共振器111〜114は、電気的に調節可能ではなく、各検出共振器は、波長127〜130のうちの1つと少なくとも部分的に共振するように構成される。図1に示されているように、検出要素106における各検出共振器も同様に、各検出共振器が少なくとも部分的に共振する波長を識別するために、波長127〜130のうちの1つに対応するラインパターンで示されている。従って、各検出共振器は、対応する波長の光の少なくとも一部を、エバネッセント結合によって導波路102から抽出する。光が検出共振器に捕捉されると、検出共振器は、比較的高い電気信号を生成し、それを電気的に接続された信号線に沿って電子回路120へと伝送する。光が検出共振器に捕捉されなかった場合、検出共振器は、比較的低い電気信号を電子回路120へ送信するか、又は何も電気信号を電子回路120へ送信しないことができる。電子回路120は、検出共振器111〜114から電気信号を受信すると、後述するように、どの優先順位レベルを無効化すべきかを決定し、適当な無効化共振器117〜119を駆動する。
【0015】
B.波長分割多重アービトレーション
システム100において、アービトレーションは、連続した複数のラウンドにおいて実行される。アービトレーションの各ラウンドは、(1)要求フェイズと、その後に続く(2)許可フェイズとを含む。要求フェイズにおいて、無効化共振器は非アクティブにされ、アービトレーションのそのラウンドに参加しているノードは、それらの参加ノードにより選択された優先順位レベルに関連する波長を抽出することが出来る。検出共振器111〜114は、要求フェイズにおいて前記ノードにより選択された優先順位レベルを有する電子回路120と通信する。許可フェイズの初めに、電子回路120は、検出共振器111〜114から送信された信号に応答し、無効化要素116の適当な無効化共振器を駆動することによって、前記ノードの1つにより選択された最高優先順位レベルよりも低い優先順位レベルに関連する波長を除去する。その結果、光源104に最も近い位置にあるノードであって、要求フェイズにおいてその最高優先順位レベルに関連する波長を首尾よく抽出したものは、その後の許可フェイズにおいて、リソースへのアクセスを許可される。許可フェイズにおいて、自己の要求の優先順位レベルに関連する波長を検出する要求元ノードは、自分がそのラウンドのアービトレーションに勝利したこと、及び自分がある時間にわたるリソースの使用を開始してよいことを認識する。許可フェイズではさらに、要求フェイズにおいて参加ノードにより選択された優先順位レベルに関連する波長を検出しなかったノードは、自分がそのラウンドのアービトレーションに敗北したこと、及び自分がアービトレーションの次のラウンドを待たなければならないことを認識する。
【0016】
図2は、本発明の種々の実施形態による、光学的アービトレーションシステム100において実施されるアービトレーションの例示的な1つのラウンドにおける種々の共振器の挙動を示す表A、及び表Bを示している。具体的には、表Aは、アービトレーションのあるラウンドにおけるシステム100の検出共振器111〜114、及び無効化共振器117〜119の挙動を示し、表Bは、アービトレーションの同じラウンドにおけるシステム100のノード共振器の挙動を示している。優先順位レベル1〜4に対応するエントリは、PLnで表されている。ただし、nは、1、2、3又は4である。以下の説明では、本発明の種々の実施形態による、表A、及び表Bに示されたアービトレーションのラウンドについて、要求フェイズ、及び許可フェイズのそれぞれにおけるアービトレーションシステム100を示す図3A〜図3Bを参照する。
【0017】
表Aにおいて、列201、及び202は、要求、及び許可フェイズにおいて導波路102から除去される優先順位レベル、又は波長を示している。アービトレーションのラウンドの開始時に列201にあるエントリは空であり、これは、無効化共振器117〜119が非アクティブであり、優先順位レベル1〜4に関連する波長が導波路102に入力されることを示している。要求をアサートする各ノードは、ノードにより選択された優先順位レベルに関連する波長に対応する共振器を駆動する。表Bにおいて、列203は、アービトレーションのラウンドの開始時にノードにより選択された優先順位レベルを示し、列204は、要求フェイズにおいて各ノードが抽出を試みる優先順位レベルに関連する波長を示している。例えば、列203からは、ノードN1が、優先順位レベル4を選択したことが分かり、列204からは、ノードN1が、優先順位レベル4に関連する波長に対応するノード共振器を駆動したことが分かる。共振器は、アービトレーションのそのラウンド全体にわたって、アクティブ状態に留まる。
【0018】
図3Aに示されているように、アクティブな共振器には影が付けられ、非アクティブな共振器には影が付けられていない。アクティブな共振器301〜306は、図2に示した表Bの列204に示された優先順位レベルに対応する。図3Aの例に示したように、4つのアクティブな共振器301〜303及び305は、優先順位レベル1〜4に対応する波長がノードN1〜N3、及びN6を通過する際に、それらの波長を導波路102から抽出する。ノードN5、及びN7は、ノードN4、及びN1と同じ優先順位レベルに対応する共振器をそれぞれ駆動したが、ノードN1、及びN4は、導波路102に沿って光源104により近い位置にあることから、ノードN1、及びN4は、ノードN5、及びN7よりも先に波長を抽出する。
【0019】
図2に戻り、表Bの列205は、要求フェイズにおいてどのノードが波長を首尾よく抽出し、検出したかを示している。ここで、検出器値「0」は、検出無しを意味し、検出器値「1」は、検出を意味する。例えば、図3Aを参照して上で説明したように、列205にある「1」を有するエントリからは、ノードN1〜N3、及びN6が、ノードN1〜N3、及びN6によって選択された優先順位レベルに関連する波長を検出したことが分かり、「0」を有するエントリからは、ノードN5、及びN7が、ノードN5、及びN7により選択された優先順位レベルに関連する波長を検出しなかったことが分かる。波長はノードN1〜N3、及びN6によって完全に抽出されるので、表Aの列206からは、要求フェイズの最後において、検出共振器111〜114は、それらの優先順位レベルのそれぞれについて何も光を検出しないことが分かる。例えば、図3Aに示したように、優先順位レベル1〜4に関連する波長は、アクティブな共振器301〜303、及び305によって抽出され、検出共振器111〜114に到達する波長は何もない。
【0020】
要求フェイズの最後の時点で最高優先順位レベルに関連する波長が検出されなかったので、許可フェイズの最初の時点で、電子回路120は、無効化共振器117〜119を駆動し、最高優先順位レベル以外の波長が、導波路102から抽出されるようにする。図3Bに示されているように、許可フェイズの最初の時点で、電子回路120は、3つの無効化共振器117〜119を全て駆動する。その結果、最高優先順位レベルに対応する波長を導波路102に沿って進行する状態に維持しつつ、優先順位レベル2〜4に対応する波長が、導波路102から抽出され、最高優先順位レベルに対応する波長は、ノードN6によって抽出される。
【0021】
図2に戻ると、表Bの列207からは、許可フェイズの間、共振器301〜306はアクティブな状態に維持されることが分かる。表Aの列202における優先順位レベル2〜4に関連するエントリは、許可フェイスにおいて無効化共振器117〜119によって抽出される導波路に対応し、列208は、ノードN6についてのエントリ「1」を有し、このエントリは、図3Bを参照して上で説明したように、最高優先順位レベルに関連する波長を抽出し、アービトレーションのラウンドに勝利するノードN6に対応する。列209のエントリは全て「0」であり、これは、許可フェイズの間に検出共振器111〜114に到達する波長が何も無いことを意味する。
【0022】
C.波長分割多重と時分割多重を結合したアービトレーション
多くの計算機システムにおいて、ノードは、2以上のリソースを共有することがある。例えば、複数のノードが、1つのバス導波路にアクセスしなければならない場合があり、複数のノードが、およそ同時刻に1つの共有出力ポートにアクセスしなければならない場合もある。そのため、WDMベースのアービトレーション法は、時分割多重(TDM)を含むように拡張される場合があり、同じアービトレーションシステム100を用いて複数のリソースについてアービトレーションを実行できるように拡張される場合がある。これは、アービトレーションの各ラウンド内における個々の要求フェイズ及び許可フェイズを時分割多重化することによって達成され、その際、要求フェイズと許可フェイズの各対は、種々の共有リソースへのアクセスの決定に関連する。
【0023】
図4は、本発明の種々の実施形態によるシステム100を使用した2つの共有リソースについてのアービトレーションに関連する第2の例示的タイミング図である。アービトレーションの単一のラウンドは、第1の要求フェイズ401、及びその後に続く第1の許可フェイズ402、並びに第2の要求フェイズ403、及びその後に続く第2の許可フェイズ404を含む。第1の要求フェイズ401は、タイムステップ0から開始され、第2の要求フェイズ403は、タイムステップ4から開始される。タイムステップは、クロック信号のクロックエッジであってもよいし、あるいは、離散的な時間についての他の適当な図表であってもよい。要求フェイズ、及び許可フェイズはそれぞれ、8つのタイムスロットにわたって存在し、1つのタイムスロットは、単一のクロックサイクル、1クロックサイクルの一部分、複数のクロックサイクル、又は他の適当な時間であってもよい。各タイムスロットは、整数0〜35で識別される規則正しい間隔を空けたラインにより表されたタイムステップにおいて開始され、終了する。列406は、第1のリソースについて種々のノードにより行われる優先順位要求のリストを示し、列408は、第2のリソースについて同じノードにより行われる優先順位要求のリストを示している。各ノードは、要求フェイズの中に特定のタイムスロットを有し、その中で、要求をアサートすることができ、各ノードは、許可フェイズの中に特定のタイムスロットを有し、その中で、自分の要求が許可されたか、又は拒否されたことを知る。例えば、ノードN0は、第1の要求フェイズ401の中でタイムステップ0から始まる1つのタイムスロットにわたって要求をアサートすることができ、ノードN1は、第1の要求フェイズ401の中でタイムステップ1から始まる1つのタイムスロットにわたって同じリソースについて要求をアサートすることができる。さらに、ノードN0は、第2の要求フェイズ403の中でタイムステップ4から始まる1つのタイムステップにわたって要求をアサートすることができ、ノードN1は、第1の要求フェイズ401の中でタイムステップ5から始まる1つのタイムステップにわたって同じリソースについての要求をアサートすることができる。表1は、種々のノードと、要求フェイズ401、及び403において2つのリソースについて要求をアサートするために、各ノードが1つのタイムスロットにわたって共振器を駆動することが可能となる対応するタイムステップとを示している。
【0024】
【表1】
【0025】
要求フェイズ401、及び403のうちの一方において要求を首尾よくアサートした各ノードは、第1、及び第2の許可フェイズ402、及び404において、選択された優先順位レベルに対応する共振器を1タイムスロットにわたって駆動することにより、許可フェイズ402、及び404において、その要求が許可されたか否かを判断することができる。表2は、種々のノードと、許可フェイズ402、及び404のそれぞれにおいて各ノードが共振器を駆動することが可能となる対応するタイムステップとを示している。
【0026】
【表2】
【0027】
図4の例に示したように、列406から、ノードN2、N3、及びN6は全て、第2の優先順位レベルを選択したことが分かる。ノードN2は、導波路102の周りを進行する波長128に1タイムスロットのギャップ412を残しつつ、タイムステップ2から波長128の抽出を開始し、ノードN5は、波長129に1タイムスロットのギャップ414を残しつつ、タイムステップ5から波長129の抽出を開始する。第1の要求フェイズ401に関連するギャップには、ラベル「1」が付されている。図4から、ギャップ412は、タイムステップ3の最初の時点でノードN3に到達し、タイムステップ6の最初の時点でノードN6に到達することが分かり、これらのタイムステップは、ノードN3、及びN6が、波長128に関連する優先順位レベルについての要求をアサートすることが可能になるタイムステップに対応する。従って、ノードN3、及びN6は、タイムステップ3、及び6の最初の時点で波長128を抽出することができず、その結果、ノードN3、及びN6は、第1のリソースについての次の要求をアサートするために、アービトレーションの後のラウンドを待たなければならない。
【0028】
図5A〜図5Bは、本発明の種々の実施形態に従って動作する、要求フェイズ401、及び許可フェイズ402のそれぞれにおけるアービトレーションシステム100を示している。アクティブ共振器501〜504は、図4の列406において丸で囲まれたノードに対応する。各ノードの隣にある整数は、要求フェイズ401、及び許可フェイズ402における種々のタイムステップに関連する。図5Aに示されているように、アクティブ共振器501は、図4のギャップ412に対応するタイムステップ2において駆動されると、対応する波長を導波路102から抽出し、アクティブ共振器503は、図4のギャップ418に対応するタイムステップ5において駆動されると、対応する波長を導波路102から抽出する。波長127、及び130は、邪魔されることなく共振器の各組を通過し、タイムステップ7から始まるタイムスロットにおいて検出共振器111、及び114によって検出される。検出共振器111は、電気信号を電子回路120へ送る。図5Bに示されているように、電子回路120は、無効化共振器118、及び119を1タイムスロットの時間にわたって駆動することによって、これに応答する。図4に示されているようにタイムスロット8から始まる許可フェイズ402の最初の時点で、波長129、及び130は、導波路102から抽出され、波長127、及び128は、導波路102に沿って進行を続け、タイムステップ10において、波長128は、ノードN2により導波路102から抽出される。
【0029】
図4に戻り、タイムスロット8において第1の許可フェイズ402が開始されると、図5Bを参照して上で説明したように、波長129、及び130にギャップ420、及び422を残しつつ、波長129、及び130は、1タイムスロットにわたって導波路102から抽出される。タイムステップ10の最初の時点で、ノードN2は、波長128に1タイムスロットのギャップ416を残しつつ、1タイムスロットにわたって波長128を抽出する。従って、ノードN2は、アービトレーションの次のラウンドの最初の許可フェイズの開始までに、自分が第1のリソースへのアクセスを許可され、リソースの使用を開始してよいことを認識する。
【0030】
一方、列408から、ノードN0は最低優先順位レベルを選択し、ノードN3は最高優先順位レベルを選択したことが分かる。要求フェイズ403、及び許可フェイズ404に関連するギャップには、ラベル「2」が付されている。タイミング図から、ノードN3は、最終的にタイムステップ15において第2のリソースへのアクセスを許可されることが分かる。
【0031】
D.優先順位レベルの増加
図2〜図5を参照して上で説明したアービトレーション方法は、光源104に最も近いところにあるノードを好む。例えば、ノードN3とN6が両方とも、要求フェイズの最初の時点で同じ優先順位レベルを選択するものと仮定する。より高い優先順位レベルを選択したノードが他に何も無ければ、ノードN3は、アクセスを許可されることになり、ノードN6は、別の要求をアサートするために、アービトレーションの次のラウンドを待たなければならない。本発明の種々の実施形態によれば、ノードは、許可フェイズ中にアクセスを失ったときではなく、要求が敗北したときか、又は要求が勝利したときに優先順位レベルをインクリメント、又は増加させることができる。優先順位レベルの増加は、サービス契約の種類、伝送すべき情報のタイプ、情報の世界的な年齢、情報がノードに記憶されている時間の長さ、情報の有効期限が切れるまでの時間の現在の長さ、又は優先順位レベルの増加を判断するための任意の他の基準に基いて決定することができる。例えば、ノードN6が、タイムスタンプが付されたパケットを処理しなければならず、それらのパケットを有効期限が切れる前に送信しなければならないものと仮定する。一部の実施形態では、アービトレーションの不首尾に終わった各ラウンドの後、ノードN6は、各パケットのタイムスタンプを再検査し、それに従って優先順位レベルを増加させることができる場合がある。他の実施形態として、ノードN6は、不首尾に終わった要求フェイズの直後に、又は、不首尾に終わった許可フェイズの直後に、優先順位レベルを増加させることが出来る場合がある。
【0032】
E.波長分割多重アービトレーションの概要
図6は、本発明の種々の実施形態による、共有リソースついての優先順位付きWDMアービトレーションを実施する方法に関連する種々のステップを示す制御フロー図である。図6に示されているように、ステップ602〜607は、要求フェイズにおいて実施され、ステップ608〜613は、許可フェイズにおいて実施される。ステップ601では、図1を参照して上で説明したように、複数の波長を含む光が、波長分割多重を使用して、光源から導波路へ入力される。光の各波長は、特定の優先順位レベルに関連する。ステップ602において、この方法は、要求フェイズに入り、アービトレーションのあるラウンドへの参加を選択しているノードはそれぞれ、共有リソースにアクセスするための優先順位レベルを選択する。参加を選択したノードは、他の参加ノードにより選択された優先順位レベルを何も知らず、従って、各ノードは、優先順位レベルを個別に選択する。ステップ603において、参加を選択したノードは、図1、図3A、及び図5Aを参照して上で説明したように、選択された優先順位レベルに関連する光の波長に対応する共振器を駆動する。ステップ604において、選択された波長の光を抽出する各ノードは、ステップ605へ進み、波長の光を抽出しない各ノードは、ステップ606へ進む。ステップ606において、ノードは、自分の要求が敗北したことを認識し、自分の共振器を停止させ、共有リソースへのアクセスのための新たな要求をアサートするために、アービトレーションの後のラウンドを待つ。任意選択的ステップ607において、要求のアサートが不首尾に終わったノードは、アービトレーションのその後のラウンドにおける当該ノードの成功の機会を増加させるために、優先順位を増加させることができる。例えば、VOIPパケットを送信するノードは、アービトレーションのその後のラウンドにおいて最高優先順位レベルまで増加させることができる場合があり、あるいはノードは、タイムスタンプを付され、有効期限が切れるまでに送信しなければならない特定のパケットに関連する優先順位レベルを増加させることができる場合がある。ステップ605において、残りの参加中のノードは、自分達の要求が勝ったことを認識すると、許可フェイズへ進み、自分達の要求が許可されたか、それとも拒否されたかを判断する。任意選択的ステップ608において、自分達の要求が勝利し、許可フェイズへ進んだノードは、図4〜図5を参照して上で説明したように、自分達の共振器をアクティブな状態に維持することができ、又は、図2〜図3を参照して上で説明したように、自分達の共振器を停止させ、許可フェイズにおいて自分達の共振器を再駆動させることができる。ステップ609において、抽出された最高優先順位レベル波長よりも低い優先順位レベルに関連する波長は、図3B、及び図5Bを参照して上で説明したように、導波路から除去される。ステップ610において、光源に最も近い位置にある選択された最高優先順位レベルを有するノードは、関連波長を導波路から抽出するとき、ステップ611へ進み、さもなければ、残りのノードはステップ612へ進む。ステップ611において、ノードは、リソースへのアクセスを許可され、次のステップ613において、ノードは、リソースの使用を開始する。ステップ612において、残りのノードは、自分達が、リソースへのアクセスを許可されていないことを認識し、アービトレーションの後続のラウンドを待つ。任意選択的ステップ614において、それらのノードは、アービトレーションの後続のラウンドにおいて自分達の選択された優先順位レベルをインクリメントすることができる。ステップ615において、アービトレーションの後続のステップについて、ステップ601〜613が繰り返される。
【0033】
F.ノード、電子回路、及び他の光学的アービトレーションシステム実施形態の略回路図
図7Aは、本発明の種々の実施形態に従って構成されたノード700の略回路図である。ノード700は、光学的アービトレーションシステム100の種々のノードを表す。電子部品は、有効化回路(「ENB」)702、ORゲート704、及び要求ラッチ706を含む。要求ラッチ706は、ENB702に電気的に接続され、ENB702は、共振器708〜711のそれぞれに電気的に接続される。共振器708〜711はそれぞれ個別にORゲート704に電気的に接続される。各共振器には、波長127〜130に割当てられた4つの優先順位レベルのうちの1つに対応する2ビットの優先順位レベルが割当てられている。具体的には、共振器708〜711に割当てられる2ビットの優先順位レベルはそれぞれ、「00」、「01」、「10」、及び「11」である場合があり、これらの優先順位レベルは、図7Aにおいて各共振器の下に記載されている。「00」は、最高優先順位レベルに対応し、「01」は、2番目に高い優先順位レベルに対応し、「10」は、3番目に高い優先順位レベルに対応し、「11」は、最低優先順位レベルに対応する。ビット「0」及び「1」は、ビット「0」を低電気信号、又は電気信号無しに割り当て、ビット「1」を比較的高い電気信号に割当てることによって実現される場合がある。共振器708〜711は、駆動されると、対応する波長127〜130を導波路102から抽出するように構成される。要求ラッチ706は、ノードからの電気信号を入力D1、D2、及びD3から受信し、システムクロック信号をCLKから受信する。2つの入力D1、及びD2は、2ビットの優先順位レベルを受信し、第3の入力D3は、そのノードが、その2ビットの優先順位レベルに関連する共振器を駆動する準備が出来たことを示す電気要求信号を受信する。要求ラッチ706は、クロック信号の立ち上がりエッジ、又は立ち下がりエッジのいずれかにおいて、2ビットの優先順位レベル、及び要求信号を出力する。ENB702は、2ビットの優先順位レベル、及び要求信号を受信し、その2ビットの優先順位レベルに関連する共振器を駆動する。
【0034】
図7Bは、本発明の種々の実施形態によるノード700の例示的な動作を示す図である。独立して動作するノード700は、共有リソースへのアクセスを要求する際に、2番目に高い優先順位レベルを選択するものと仮定する。その場合、ノード700は、2ビットの優先順位レベル「01」を要求ラッチ706へ送信し、要求ラッチ706は、要求ラッチ706が要求信号を受信するまで、それらのビットを記憶する。ノード700は、共有リソースへのアクセスを要求する準備ができると、要求信号を要求ラッチ706へ送信し、要求ラッチ706は、ビット「0」、及び「1」を入力S1、及びS2に同時かつ個別にラッチし、クロック信号の立ち上がり時間ステップ、又は立ち下がり時間ステップのいずれかにおいて、要求信号をENB702にラッチする。ENB702は、2ビットの優先順位レベルを受信すると、対応する共振器709を駆動する。駆動された共振器709には影が付され、駆動されていない共振器708、710、及び711には影が付されていない。図7Bに示されているように、駆動された共振器709は、対応する波長128を導波路102から抽出する。他の波長127、129、及び130は、共振器708、710、及び711を邪魔されることなく通過する。駆動された共振器709は、電気信号をORゲート704に送信し、ORゲート704は、ノード200に信号を送信することによって、これに応答する。ノードは、その信号を、そのノードが、共有リソースへのアクセスの要求を首尾よく完了したことを意味するものと解釈する。許可フェイズの間、処理は繰り返される。
【0035】
図8Aは、本発明の種々の実施形態に従って構成された電子回路120を示す回路図である。電子回路120の構成要素は、インバータ802、第1のNANDゲート804、及び第2のNANDゲート806を含む。図8Aから、検出共振器111〜113がインバータ802、並びにNANDゲート804、及び806にどのように電気的に接続されるかが分かる。検出共振器114は、波長130が導波路102へ反射して戻されることを維持するために、最低優先順位の波長130を導波路102から抽出する。波長127が検出共振器111によって検出されると、電気信号が、検出共振器111からインバータ802、並びにNANDゲート804、及び806へ入力される。波長128が検出共振器112によって検出されると、電気信号が、検出共振器112からNANDゲート804、及び806へ入力される。波長129が検出共振器113によって検出されると、電気信号が、検出共振器113からNANDゲート806へ入力される。インバータ802は、無効化共振器117に電気信号を出力し、NANDゲート804、及び806は、無効化共振器118、及び119にそれぞれ電気信号を出力する。上で述べたように、検出共振器111〜113はそれぞれ、対応する波長の光が検出共振器に捕捉されたときに比較的高い電気信号を生成し、光が検出共振器に何も捕捉されないときに、比較的低い電気信号を生成し、又は何も電気信号を生成しない。インバータ802は、検出共振器111から受信した比較的高い電気信号を、無効化共振器117へ送信される比較的低い電気信号に変換するとともに、検出共振器117から受信した比較的低い電気信号、又は電気信号無しを、無効化共振器117へ送信される比較的高い電気信号に変換する。NANDゲート804、及び806は、入力電気信号の全てが比較的高いときに、低い電気信号を無効化共振器118、及び119に出力し、又は何も電気信号を出力せず、入力電気信号のうちの少なくとも1つが低いときに、比較的高い電気信号を無効化共振器118、及び119に出力する。
【0036】
図8Bは、本発明の種々の実施形態に従って動作する図8Aに示した電子回路を示している。検出共振器112、及び114は、波長128、及び130をそれぞれ抽出し、波長127、及び129は、検出共振器111、及び113に到達しない。図2を参照して上で説明したように、波長127、及び129は、導波路に沿って種々のノードにより抽出されている場合がある。換言すれば、要求フェイズにおいて、ノードは、選択された最高優先順位レベルを有する場合もあれば、選択された3番目に高い優先順位レベルを有する場合もある。その結果、検出共振器112は、比較的高い電気信号をNANDゲート804、及び806へ送信する。一方、検出共振器111は、低い電気信号をインバータ802、及びNANDゲート804の入力へ送信し、又は何も電気信号を送信せず、検出共振器113は、低い電気信号をNANDゲート806の入力に送信し、又は何も電気信号を送信しない。インバータ802は、無効化共振器117を駆動する高い電気信号を送信することによって、検出共振器111から受信した低い電気信号、又は電気信号が無い状態に応答する。NANDゲート804は、無効化共振器118を駆動することによって、検出共振器111、及び113からそれぞれ受信される低い電気信号、及び比較的高い電気信号に応答する。最後に、NANDゲート804は、無効化共振器119を駆動することによって、検出共振器111、及び113により送信される低い電気信号、並びに、検出共振器112から受信する比較的高い電気信号に応答する。アクティブな無効化共振器117〜119には影が付され、それらは、最も高い優先順位の波長127を導波路102に沿って伝搬させつつ、導波路102から波長128〜130を抽出し、その結果、選択された最高優先順位レベルを有するノードは、波長127を抽出することができ、自分が共有リソースへのアクセスを許可されていることを認識することができる。一方、3番目に高い優先順位レベルを抽出したノードは、許可フェイズにおいて波長129を抽出せず、自分が共有リソースへのアクセスを許可されていないことを認識する。
【0037】
アービトレーションシステムの実施形態が、8つのノード、及び、図1に示した特定のノード構成に限定されることはない。アービトレーションシステムの種々の実施形態は、任意の可能な構成を有する任意数のノードについて優先順位付けされた光学的アービトレーションを提供するように構成されることができる。図9は、本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の光学的アービトレーションシステム900を示す概略図である。システム900は、導波路902、導波路902の第1の端部に光学的に結合された光源104、及び8セットの4つの共振器を含む。このシステムはさらに、光源104と、ノードN0との間に配置された無効化要素116、導波路902の第2の端部に光学的に結合された検出要素110、並びに、無効化要素116の無効化共振器117〜119及び検出要素110の検出共振器111〜114に電気的に結合された電子回路120を含む。共振器、及び導波路902は、導波路904の第1の部分が、最高優先順位レベルに関連する全ての共振器に隣接し、導波路906の第2の部分が、2番目に高い優先順位レベルに関連する全ての共振器に隣接し、導波路908の第3の部分が、3番目に高い優先順位レベルに関連する全ての共振器に隣接し、導波路910の第4の部分が、最低優先順位レベルに関連する全ての共振器に隣接するように構成される。
【0038】
アービトレーションシステム実施形態が、導波路102及び902のように、各優先順位レベルに関連する波長を伝送するように構成された単一の導波路に限定されることはない。他の実施形態として、各波長は、個別の導波路の中を伝送させてもよい。図10は、本発明の種々の実施形態に従って構成された第3の光学的アービトレーションシステム1000の概略図である。システム1000は、4つの独立した導波路1002〜1005、導波路1002〜1005のそれぞれの第1の端部に光学的に結合された光源104、及び8セットの4つの共振器を含む。システム400はさらに、光源104と、ノードN0との間に配置された無効化要素116、導波路1002〜1005の第2の端部に光学的に結合された検出要素110、並びに無効化要素116の無効化共振器117〜119及び検出要素110の検出共振器111〜114に電気的に結合された電子回路120を含む。導波路1002〜1005は、4つの波長127〜130をそれぞれ個別に伝送する。最高優先順位レベルに関連する共振器は、導波路1002に隣接して配置され、2番目に高い優先順位レベルに関連する共振器は、導波路1003に隣接して配置され、3番目に高い優先順位レベルに関連する共振器は、導波路1004に隣接して配置され、最低優先順位レベルに関連する共振器は、導波路1005に隣接して配置される。
【0039】
2.時分割多重アービトレーションを使用して優先順位付き光学的アービトレーションを実施するシステム、及び方法
A.光学的アービトレーションシステム
図11は、本発明の種々の実施形態に従って構成された光学的アービトレーションシステム1100を示す概略図である。システム1100は、導波路1102、導波路1102の第1の端部に光学的に結合された光源1104、及び4つの実質的に同一のノード共振器1106〜1109を含む。各ノード共振器は、導波路1102に光学的に結合され、かつ、ラベルN0〜N3が付された4つのノードのうちの1つに電気的に結合されている。システム1100はさらに、検出要素1112、及び無効化要素1116を含むアービターを含む。検出要素1112は、導波路1102の第2の端部の近くに配置された検出共振器1114を含み、無効化要素1116は、光源1104と、ノードN0との間において導波路1102に光学的に結合された無効化共振器1118を含む。アービターはさらに、検出共振器1114、及び無効化共振器1118に電気的に結合された電子回路120を含む。図11の例に示したように、単一の無変調波長を含む光が、光源1104から出力され、導波路1102に入力される。光は、方向矢印1122〜1124で示されているように、導波路1102に沿って反時計回りに進行し、無効化要素1116、及び各ノード共振器を通過し、最終的に検出要素1112に到達する。導波路1102は、リッジ導波路であっても、フォトニック結晶導波路であっても、光ファイバーであってもよい。共振器1106〜1109、検出共振器1114、及び無効化共振器1118は、図1を参照して上で説明したように構成され、動作するものであってもよい。
【0040】
B.時分割多重アービトレーション
アービトレーションシステム1100における優先順位付きアービトレーションは、アービトレーションの各ラウンド内において優先順位レベルを時分割多重化することによって実施することができる。上で説明した優先順位付きWDMアービトレーションによれば、優先順位付きTDMアービトレーションの各ラウンドは、(1)要求フェイズ、及び(2)その後に続く許可フェイズを用いて実行される。要求フェイズ、及び許可フェイズの最初の時点で、トークンは、導波路1102に入力される。トークンは、特定の波長、及び有限の時間を有する光のパルスである。トークンの各部分は、特定の優先順位レベルに関連する。例えば、3つの優先順位レベルに関連するトークンは、3つの部分を含み、第1の部分は、最高優先順位レベルに関連するノードを通過し、第2の部分は、2番目に高い優先順位レベルに関連するノードを通過し、第3の部分は、最低優先順位レベルに関連するノードを通過する。トークンが各ノードを通過する時刻は、固定オフセットであるノード間の距離によって異なる。あるノードが要求をアサートするためには、すなわち、特定の優先順位レベルについて要求が許可されたか否かを判断するためには、そのノードは、その優先順位レベルに対応するトークンの部分を抽出する。例えば、3つの優先順位レベルを採用するシステムにおいて優先順位レベル2の要求をアサートする第1のノードは、トークンの第1の部分と第3の部分との間にギャップを残しつつ、トークンの中間部分を抽出する。導波路1102に沿ってより遠くに位置し、優先順位レベル1の要求をアサートする第2のノードは、トークンの第1の部分を抽出する。このように、各優先順位レベルを特定の光の波長に関連付ける波長分割多重とは違い、時分割多重は、各優先順位レベルをトークンの特定の部分に関連付ける。
【0041】
図12は、本発明の種々の実施形態によるシステム1100において実施される優先順位付きTDMアービトレーションの2つのラウンドに関連する例示的なタイミング図である。アービトレーションの第1のラウンドは、要求フェイズ1201、及びその後に続く第1の許可フェイズ1202を含み、アービトレーションの第2のラウンドは、第2の要求フェイズ1203、及びその後に続く第2の許可フェイズ1204を含む。列1205は、図11におけるノードラベルN0〜N3、及び検出要素1114を表すラベルDを並べて示している。表1206は、ノードラベルN0〜N3を示し、アービトレーションの2つのラウンドについて、それらのノードにより選択された優先順位レベルを列に並べて示している。ノードは、その中から選択可能な3つの優先順位レベルを有する。例えば、アービトレーションの第1のラウンドにおいて、ノードN0、N1、及びN3は、優先順位レベル2、1、及び3をそれぞれ選択し、ノードN2は、参加しないことを選択した。タイムスロットには、優先順位レベルがラベル付けされ、各ノードは、要求をアサートすることができ、すなわち、首尾よく成功した要求が許可されたか、それとも拒否されたかを知ることができる。例えば、ノードN0は、タイムステップ0から始まる優先順位レベル1の要求1207をアサートし、タイムステップ1から始まる優先順位レベル2の要求1208をアサートし、タイムステップ2から始まる優先順位レベル3の要求1209をアサートすることができる。また、ノードN0は、タイムステップ5から開始して、優先順位レベル1の要求が許可されたか否かを知ることができ1210、タイムステップ6から開始して、優先順位レベル2の要求が許可されたか否かを知ることができ1211、タイムステップ7から開始して、優先順位レベル3の要求が許可されたか否かを知ることができる1212。ノードは、そのノードにより選択された優先順位レベルに関連するタイムスロットの中で導波路1102からトークンの部分を抽出したとき、その要求を勝ち取り、すなわち、リソースへのアクセスを許可される。
【0042】
図11を参照し、図12に示した例示的なタイミング図について以下で説明する。3つの優先順位レベルしかないため、3つの優先順位レベルに関連するトークンが、導波路1102に入力される。単純化のために、トークンの持続時間は、約3タイムスロットである。トークンを導波路1102に入力するために、電子回路1120は、3タイムスロットの時間にわたって無効化共振器1118を停止させる。ノードN0は、優先順位レベル2を選択したから、タイムステップ1から共振器1106の駆動を開始し、ギャップ1214を残して、優先順位レベル2に関連するトークンの部分の導波路1102からの抽出を開始する。ギャップはその後、タイムステップ2、3、及び4においてノードN1、N2、及びN3にそれぞれ到達し、タイムステップ5において検出共振器Dに到達する。同様に、ノードN1、及びN3は、優先順位レベル1、及び3を選択したから、ギャップ1215、及び1216をそれぞれ残して、タイムステップ1、及び5から導波路1102に沿ってそれぞれ進行する光の抽出を開始する。検出共振器Dは、タイムステップ4から始まる最高優先順位レベル1に関連するトークンの部分を受信しない。その結果、電子回路1120は、ノードの1つによって最高優先順位レベルが既に選択されていると判断し、第1の許可フェイズ1202の最初の時点で、無効化共振器1118を停止させ、最高優先順位レベル1に関連する1タイムスロットの持続時間を有するトークンを導波路1102に入力することによって、これに応答する。換言すれば、1タイムスロット長のトークンが、導波路1102に置かれ、最高優先順位レベル1に関連するタイムスロットの間に各ノードを通過する。ノードN1は、最高優先順位レベル1を選択した唯一のノードであるから、ノードN1は、共振器1107を駆動し、タイムステップ6から、最高優先順位レベルに関連するトークンの部分の抽出を開始する。その後、ノードN1は、タイムステップ6からリソースの使用を開始することができる。優先順位レベル2、及び3に関連するトークンの部分が存在しないので、タイムステップ8、及び10のそれぞれにおいて光がノードN0、及びN3を通過することはない。タイムステップ8、及び10は、許可フェイズにおいてノードN0、及びN3が光を抽出することが可能なタイムスロットをマーキングするタイムステップである。従って、ノードN0、及びN3は、自分達がリソースへのアクセスを許可されなかったことをアービトレーションの最初のラウンドの間に認識する。
【0043】
アービトレーション1203の第2のラウンドについての要求フェイズ2は、タイムステップ10から開始される。表1206は、アービトレーションの第2のラウンドにおいて、ノードN1、及びN3が、優先順位レベル3、及び2をそれぞれ選択したこと、並びにノードN0、及びN2が、参加しないことを選択したことを示している。ノードN1、及びN3は、導波路1102に沿って進行するギャップ1218、及び1219を残して、タイムステップ13、及び14から光の抽出をそれぞれ開始する。検出共振器Dは、タイムステップ15、及び16から始まるタイムスロットの間に光を受け取らず、電子回路1120は、第2の許可フェイズ1202の開始時に、図1における無効化共振器1118を停止させ、最高優先順位レベル、及び2番目に高い優先順位レベルに関連する部分を有するトークンを導波路1102に置くことによって、これに応答する。従って、ノードN1が自分の共振器1107を駆動するとき、タイムステップ18の開始時に、ノードN1に到達する光は無い。その結果、ノードN1は、アービトレーションの第2のラウンドの間に自分がリソースへのアクセスを許可されなかったことを認識する。一方、ノードN3は、タイムステップ19において自分の共振器1109を駆動し、優先順位レベル2に関連するタイムスロットの間に光を抽出する。その結果、ノードN3は、自分がリソースへのアクセスを許可されたことを認識し、リソースの使用を開始することができる。
【0044】
また、図12を参照して上で説明した優先順位付きTDMアービトレーション方法は、光源1104に最も近い場所にあるノードを好む。そのため、本発明の種々の実施形態によればさらに、ノードは、自分が要求を首尾よく達成しなかったか、又は許可フェイズにおいてアクセスを許可されなかったときに、優先順位レベルをインクリメント、又はデクリメントすることが可能となる。優先順位レベルの増加は、サービス契約の種類、伝送すべき情報のタイプ、情報の世界的な年齢、情報がノードに記憶されている時間の長さ、及び情報の有効期限が切れるまでの時間の現在の長さに基づくことがある。例えば、ノードN2が、通信の途絶を回避するために送信しなければならないVOIPパケットを送信しているものと仮定する。一部の実施形態において、ノードN2は、アービトレーションの不首尾に終わった各ラウンドの後、それに従って優先順位レベルを増加させることができる場合がある。他の実施形態として、ノードN2は、不首尾に終わった要求フェイズ、又は不首尾に終わった許可フェイズの後に、優先順位レベルを増加させることができる場合がある。
【0045】
C.時分割多重アービトレーションの概要
図13は、本発明の種々の実施形態による、共有リソースについての優先順位付きTDMアービトレーションを実施する方法に関連する種々のステップを表す制御フロー図である。図13に示されているように、ステップ1301〜1309は、要求フェイズの間に実施され、ステップ1309〜1318は、許可フェイズの間に実施される。ステップ1301では、図11を参照して上で説明したように、特定波長の光パルスが、光源から導波路に入力される。光の持続時間は、優先順位レベル要求をアサートするために使用される優先順位レベルの数、及びタイムスロットの数によって決まる。例えば、図12を参照して上で説明したように、3つの優先順位レベルしか存在せず、各ノードは、1タイムスロットの持続時間にわたって要求をアサートする。従って、光のパルスは、約3タイムスロットの持続時間を有する。ステップ1302において、アービトレーションのあるラウンドに参加することを選択しているノードはそれぞれ、共有リソースにアクセスする優先順位レベルを選択する。参加することを選択しているノードは、他の参加ノードにより選択された優先順位レベルを知らず、従って、各ノードは、優先順位レベルを個別に選択する。ステップ1303から始まるFORループでは、要求フェイズに参加している各ノードについて、ステップ1304〜1309が繰り返される。ステップ1304において、ノードは、共振器を駆動し、そのノードにより選択された優先順位レベルに対応するタイムスロットの間に、導波路からパルスの一部を抽出する。ステップ1305では、ノードにより選択された優先順位レベルに対応するタイムスロットの間にノードが光を抽出するとき、方法は、ステップ1306へ進み、そうでなければ、ノードは、光の抽出に成功しなかったとして、方法はステップ1307へと進む。ステップ1306において、ノードは、そのノードが要求を首尾よく完了したことを認識し、共振器を停止させ、要求が許可されたか否かを判断するために、その後に続く許可フェイズを待つ。ステップ1307において、ノードは、要求が不首尾に終わったことを認識すると、次の要求をアサートするために、アービトレーションの後のラウンドを待つ。任意選択的ステップ1308において、要求フェイズにおける要求のアサートが不首尾に終わったノードは、アービトレーションの後続のラウンドにおけるそのノードの成功の機会を増加させるために、優先順位レベルをインクリメントすることができる。例えば、VOIPパケットを送信しているノードは、アービトレーションの後続のラウンドのために最高優先順位レベルまで増加させる場合があり、あるいは、ノードは、タイムスタンプが付され、有効期限が切れるまでに送信しなければならない特定のパケットに関連する優先順位レベルをインクリメントすることができる。ステップ1309において、別のタイムスロットが利用可能である場合、ステップ1305〜1309が繰り返され、そうでなければ、方法は、許可フェイズの最初の時点で、ステップ1310へ進む。ステップ1310では、光のパルスが、光源から導波路へ入力される。光のパルスは、導波路に沿って光源に最も近い場所にある最高優先順位レベルを選択しているノードが、そのノードにより選択された最高優先順位レベルの間に光を抽出できるような形で、導波路に入力される。ステップ1311から始まるFORループでは、許可フェイズにおける各タイムスロットについてステップ1312〜1317が繰り返される。ステップ1312では、首尾よく要求フェイズを完了した各ノードは、そのノードにより選択された優先順位レベルに関連するタイムスロットの間に、共振器を駆動する。ステップ1313において、ノードが導波路から光を抽出する場合、方法はステップ1314へ進み、そうでなければ、方法はステップ1315へ進む。ステップ1314において、ノードは、自分が供給リソースへのアクセスを許可されていることを認識し、次のステップ1316において、ノードは、図14を参照して上で説明したように、リソースの使用を開始する。ステップ1315において、ノードは、自分がアクセスを許可されていないことを認識し、任意選択的ステップ1317において、ノードは、アービトレーションの後続のラウンドにおけるそのノードの優先順位レベルを増加させる。ステップ1318において、許可フェイズにおける次のステップが利用可能である場合、ステップ1312〜1316が繰り返され、そうでなければ、方法はステップ1319へと進み、そこで、アービトレーションの後続のラウンドについて、TDMアービトレーション方法が繰り返される。
【0046】
D.ノード、及び電子回路の略回路図
図14は、本発明の種々の実施形態に従って構成されたノード1400の種々の電子部品を示す略回路図である。ノード1400は、図11の各ノードについての種々の電子部品の構成を示している。電子部品は、3ビット要求レジスタ1402、1〜3のラベルが付された3つのレジスタを含むシフトレジスタ1404、2つのORゲート1406、及び1408、5つのANDゲート1410〜1414、並びに許可ラッチ1416を含む。図14に示されているように、レジスタ1〜3は直列に構成され、レジスタ1の出力がレジスタ2に入力され、レジスタ2の出力がレジスタ3に入力される。論理値は、クロック信号CLKの立ち上がりエッジ、又は立ち下りエッジのいずれかに従って、あるレジスタから次のレジスタへとシフトする。ANDゲート1411〜1413はそれぞれ、入力として3ビットレジスタ1402から第1の論理値を、レジスタ1〜3から第2の論理値をそれぞれ受け取る。さらに、レジスタ1、及び2からの出力は、ANDゲート1410に入力される前にループバックされ、インバータ1418のようなインバータによって反転される。ANDゲート1410はさらに、各要求フェイズの最初の時点で、入力として要求信号を受け取る。ANDゲート1411〜1413の出力は、ORゲート1408に入力され、ORゲート1408は、ノード共振器1420を駆動する電気信号を送出し、信号は、ANDゲート1414に入力される。ANDゲート1414は、許可フェイズの最初の時点でANDゲート1414へ送信される許可信号の入力点にインバータをさらに含む。共振器1420が光を捕捉すると、電気信号が生成され、許可ラッチ1416へ送られる。許可ラッチ1416もまた、システムクロックCLKを受け取る。
【0047】
図14は、要求/許可クロック信号1422、及びシステムクロック信号1424の例をさらに含む。1つの完全な要求/許可クロックサイクルが、立ち上がりエッジ1426から始まる要求フェイズ、及び立ち下がりエッジ1428から始まる許可フェイズによって示されている。便宜上、及び単純化の目的で、3つの優先順位レベルしか存在せず、要求フェイズ、及び許可フェイズはそれぞれ、3システムクロックサイクルの長さであるものと仮定する。3ビットの二進文字列「100」、「010」、及び「001」は、優先順位レベル1、2、及び3をそれぞれ表すことができ、二進文字列「000」は、要求無しを表すことができる。要求フェイズの最初の時点で、優先順位レベルの要求が、3ビットレジスタ1402に読み込まれる。要求信号は、許可ラッチ1416をクリアし、論理「1」に対応する要求信号が、ANDゲート1410に入力される。ORゲート1406は、ANDゲート1410から入力された論理「1」を受信し、レジスタ3から論理「0」を受信し、論理「1」をレジスタ1に入力する。要求フェイズの間に、シフトレジスタ1404は、各クロックサイクルの立ち上がりエッジにおいて優先順位「100」、「010」、及び「001」を循環し、許可フェイズの間にも、それらの優先順位を再度循環する。例えば、クロックサイクル1430の間に、シフトレジスタ1404は、論理値「1」、「0」、及び「0」をANDゲート1411〜1413にそれぞれ出力し、クロックサイクル1431の間に、シフトレジスタは、論理値「0」、「1」、及び「0」をANDゲート1411〜1413にそれぞれ出力する。シフトレジスタ1404の中身が3ビットレジスタ1402からの出力に一致した場合、ANDゲート1412は、電気信号をORゲート1408に出力し、ノード共振器1420を駆動する。許可フェイズの間に、共振器1420がアクティブになると、許可ラッチ1416がロードされ、導波路1102に沿って進行するトークンの、ノード1400により選択された優先順位レベルに対応する部分が抽出される。
【0048】
図15は、本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の電子回路1120の種々の電子部品を示す略回路図である。電子回路1120は、インバータ1502、NORゲート1504、ANDゲート1506〜1508、及びシフトレジスタ1510を含む。シフトレジスタ1510は、検出共振器1114の出力に従ってロードされる。要求フェイズの開始時に、NORゲート1504は、論理「1」に対応する要求信号を受信する。その結果、NORゲート1304は、無効化共振器1118に信号を出力せず、無効化共振器1118は、要求フェイズの間、非アクティブな状態に留まり、その結果、3クロックサイクル持続時間を有するトークンを導波路1102に置くことができる。要求フェイズにおいて、アービトレーションの結果は、シフトレジスタ1510へシフトされる。複数の優先順位レベル要求がある場合、論理ゲート1507、及び1506は、複数の要求のうちの最初のもののみがセットされることを確保し、要求フェイズの最後の時点で、シフトレジスタ1510が、レジスタ3において要求された最高優先順位レベルの位置に一組のビットを有するものとなるように、又は、要求が無かった場合に、シフトレジスタ1510が空となるようにする。許可フェイズにおいて、シフトレジスタ1510の中身は、無効化共振器1118の制御に使用され、適当なタイムスロットの間に、選択された優先順位レベルについてのみ、トークンが導波路1102に入力されるようにする。
【0049】
3.オンチップ実施形態
光学的アービトレーションシステム100、及び1100は、単一チップ上の光学層において実施することができる。例えば、一部の実施形態において、チップサイズは、約25×25mmにすることができ、64以上のノードを有する場合がある。導波路は、約200×500nmの断面寸法を有することができ、図1、9、10、及び11を参照して上で説明した共振器、及び検出共振器のセットは、約20〜60μmからの範囲の寸法を有することができ、波長選択要素は、0.5〜5μmだけ間隔を空けることができ、波長選択要素の直径は、約1〜20μmからの範囲を有することができる。なお、これらの寸法範囲は、例示的な範囲であり、それらに、光学的アービトレーションシステムが採用可能な寸法の広い範囲を限定する意図は全くない。従って、これらの寸法、及び寸法範囲は、実施形態によって変更してもよい。
【0050】
4.マイクロリング共振器
一部のシステム実施形態において、導波路は、リッジ導波路にすることができ、波長選択要素は、マイクロリング共振器にすることができる。図16Aは、基板1606の表面に配置され、本発明の種々の実施形態に従って構成されたマイクロリング共振器1602、及び、隣接リッジ導波路1604の一部を示す等角図である。波長が下記の共振条件を満たすとき、導波路に沿って伝送される特定波長の光は、導波路1604からマイクロリング1602へエバネッセント結合される。
【0051】
【数1】
【0052】
ここでneffはマイクロリング1602の有効屈折率であり、Cはマイクロリング1602の円周であり、mは整数であり、λは波長である。積neffCは、キャビティの光学長である。換言すれば、波長λの整数倍である波長は、導波路1604からマイクロリング1602へエバネッセント結合される。
【0053】
エバネッセント結合は、マイクロリングのようなある媒体からリッジ導波路のような他の媒体へ、又はその逆に、光のエバネッセント波を伝送するために使用されるプロセスである。例えば、マイクロリング共振器1602とリッジ導波路1604との間のエバネッセント結合は、導波路1604を進行する光によって生成されたエバネッセント場がマイクロリング1602に結合するときに発生する。マイクロリング1602が、エバネッセント場の種々のモードをサポートするように構成されていると仮定した場合、エバネッセント場は、マイクロリング1602の中を伝搬する光を生じさせ、それによって導波路1604からマイクロリング1602へ光をエバネッセント結合する。
【0054】
図16Bは、図16Aに示したマイクロリング1602及び導波路1604について透過率と波長の関係を示すグラフである。水平線1608は、波長軸を表し、垂直線1610は、透過率軸を表し、曲線1612は、ある範囲の波長についてマイクロリング1602を通過する光の透過率を表している。マイクロリング1602を通過する光の透過率は、下記のように定義される。
【0055】
【数2】
【0056】
ここで、Iinは、マイクロリング1602に到達するまでに導波路1604に沿って伝搬する光の強度であり、Ioutは、マイクロリング1602を通過した後に導波路1604に沿って伝搬する光の強度である。透過率曲線1612の最小値1614、及び1616は、Lをキャビティの光学長としたとき、波長λm=L/m、及びλm+1=L/(m+1)を有する光についてのゼロ透過率に対応する。これらの波長は、規則正しい間隔を空けて現れる多数の最小値のうちの2つのみを表している。上記の共振条件を満たす波長は、マイクロリング1602との間に「強い共振」を有すると言われ、導波路1604からマイクロリング1602へエバネッセント結合される。波長λm、及びλm+1を取り囲む狭い波長領域では、波長が波長λm、及びλm+1から遠ざかるにつれ、透過率が急激に増加することが、透過率曲線1612から分かる。換言すれば、波長が共振波長から遠ざかるほど、共振の強度は減少し、導波路1604からマイクロリング1602へ結合される光の部分は減少する。領域1618〜1620の波長を有する光は、実質的に邪魔されることなく、マイクロリング1602を通過する。
【0057】
マイクロリング共振器はエバネッセント結合特性を有するため、マイクロリング共振器は、隣接導波路を伝搬する特定波長を検出するための検出共振器111〜114のような検出共振器として動作させることができる。図17は、本発明の種々の実施形態による検出共振器部分1702に結合されたマイクロリング共振器1602を示している。マイクロリング1602と共振する波長を有する光は、導波路1604からマイクロリング1602へエバネッセント結合され、導波路1602の中を循環しながら、ある時間にわたって捕捉された状態に留まる。検出共振器部分1702は、マイクロリング1602のSiGeドープ領域であってもよい。検出共振器部分1702は、マイクロリング1602の中を循環する光を吸収し、その光を信号線を通じて電気的に結合されたノードへ伝送することが可能な電気信号に変換する。他の実施形態として、マイクロリング1602の中に捕捉された光は、第2の導波路にエバネッセント結合され、検出器へと運ばれる場合がある。
【0058】
マイクロリング1602は、マイクロリング1602、及び導波路1604を取り囲む基板の領域に、適当な電子ドナー、及び電子アクセプター原子又は不純物をドープすることによって、電気的に調節することができる。図18は、本発明の種々の実施形態によるマイクロリング1602、及びリッジ導波路1604を取り囲むドープ領域の概略表現、及び平面図である。一部の実施形態において、マイクロリング1602は、真性半導体からなる。マイクロリング1702内部の半導体基板にp型半導体領域1801を形成し、マイクロリング1602の外側を取り囲む半導体基板1606、及び導波路1604の反対側にn型半導体領域1802、及び1803を形成することができる。p型領域1801、及びn型領域1802、1803は、マイクロリング1602の周りに、pーiーn接合を形成する。他の実施形態では、マイクロリング1602の内側の基板領域にp型半導体領域1801を形成し、マイクロリング1602の外側を取り囲む基板領域にp型半導体領域1802、及び1803を形成するために、ドーパントを逆にすることがある。
【0059】
電気的に調節可能なマイクロリング1602は、マイクロリングを取り囲む領域に適当な電圧が印加されたときに、隣接導波路からの光をエバネッセント結合し、又は転向するように構成される場合がある。例えば、電子制御式マイクロリング1602は、外周C、及び有効屈折率neff’を有するように構成され、導波路1604に沿って伝搬する波長λの光が、下記の共振条件を満たさないように構成される場合がある。
【0060】
【数3】
【0061】
ここで、n’effCは、共振器の光学長である。光は、邪魔されることなくマイクロリング1602を通過し、マイクロリング1602は、「非アクティブ」であると言われる。一方、マイクロリング1602は、マイクロリング1602に適当な電圧が印加されたときに、有効屈折率neff’が屈折値neffにシフトし、光が下記のリソース条件を満たすように、適当な材料を用いて形成することができる。
【0062】
【数4】
【0063】
このとき、光は、導波路1604からマイクロリング1602へ結合され、マイクロリング1602は、「アクティブ」であると言われる。電圧が実質的に「オフ」になると、マイクロリング1602の有効屈折率は、neff’へシフトバックし、光は、邪魔されることなく導波路1604に沿って伝搬する。
【0064】
なお、本発明の種々のシステム実施形態が、マイクロリング共振器、及びリッジ導波路に限定されることはない。他の実施形態では、導波路に沿って伝搬する特定波長の光と結合するように構成された任意の適当な共振器を使用することが可能である。
【0065】
上記の説明では、説明の目的上、本発明を完全に理解してもらうために、特定の用語を使用した。しかしながら、当業者には明らかなように、特定の詳細は、本発明を実施するために必要とされない。本発明の幾つかの特定の実施形態に関する上記の説明は、図示説明の目的で提供するものである。それらは、本発明を網羅することも、本発明を記載した実施形態に厳密に限定することも意図していない。当然ながら、上記の教示に照らして、多数の修正、及び変形が可能である。実施形態は、本発明の原理、及びその実際の種々の応用形態を最良の形で説明し、それによって当業者が、本発明、及び想定される特定の用途に適合するように種々の修正が加えられた実施形態を最も良好に使用することができるようにするために、図示説明されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びその均等によって規定されることを意図している。
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の実施形態は、概して、共有コンピュータリソースにアクセスするために同時発生する複数の要求のアービトレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の分散コンピュータシステムは通常、多数の独立して動作するノードから構成される。ノードは、プロセッサ、メモリ、回路基板、サーバ、ストレージサーバ、1コア若しくはマルチコアプロセッサ、外部ネットワーク接続、又は任意の他のデータ処理、記憶又は伝送装置であってよい。これらの独立して動作する種々のノードは、しばしば、同じリソースへのアクセスを必要とすることがある。例えば、2つのノードは、情報を伝送するために、他のノードの出力ポートを使用しなければならない場合があり、又は、共有通信バスのような共有リソースを使用しなければならない場合がある。これら2つのノードは、協調性なく、リソースを同時に使用し始める場合がある。ノードの一方又は両方から送信された情報は、リソースへの到達時に失われていることがあり、又は破損していることがある。従って、コンピュータシステムはしばしば、2以上のノードが同じリソースを同時に使用することを防止するために、「アービトレーション」と呼ばれる衝突解消手段を採用している。アービトレーションによれば、ある時点において一つのノードのみがリソースを使用することが確保される。
【0003】
アービトレーションは生来的に、通常ならば独立している並列な2以上の活動を一列に並べるため、多くの場合、アービトレーションは、コンピュータシステムパフォーマンスのクリティカルパス上に置かれる。リソースへのアクセスを要求する種々のノードは、物理的に分散されていることがある。一般的なアービトレーション手段は、リソースに対する「要求」を全て収集するための通信と、要求の1つを選択し、又は「許可」するための集中的又は分散的な計算とを必要とし、その後、アービトレーションに勝利したノードに「許可」を与えるための更に別の通信を必要とする。
【0004】
アービトレーションメカニズムの最も重要な性質は、任意の所与の時点において最大で1つの要求元ノードにアクセスを許可する能力である。このアービトレーションの性質は一般に、「相互排他」と呼ばれる。アービトレーションメカニズムを実際に有用なものにするために必要なもう1つの性質は、「公平性」である。一般に、公平性とは、競合するノードの十分に大きなサンプルが与えられたときに、競合する複数の要求が、同じ確率でアービトレーションに勝利することを意味する。公平性のこの一般的解釈は、しばしば理想的であると考えられるが、実際に実現するためには、しばしば高価なものとなる。このことは、公平性のこの一般的概念を実現するために被るオーバヘッドによって、パフォーマンスの低下、及びコストの増加がしばしば発生する分散アービトレーション手段の場合に、特に言える。システムサイズの増大に伴い、コスト及びパフォーマンスが大幅に悪化する場合、このオーバヘッド問題は、特に非現実的になる。この「スケーリング」問題は、多数のノードを含むシステムにおける使用を意図するアービトレーションメカニズムにとって、特に重要である。
【0005】
「スタベーションフリー(飢餓状態なし)」のアービトレーションを提供にするために、アービトレーション公平性のこの一般的概念をポリシーへ緩和することが可能である。もしアービトレーションがスタベーションフリーであれば、アービトレーションによって、いずれの要求元ノードも、最終的にアービトレーションに勝利することが保証される。スタベーションフリーのアービトレーションは一般に、オーバヘッドが少なく、真に公平なアービトレーションに比べて改善されたスケーリング特性を有するが、スタベーションフリーのアービトレーションは生来的に、任意の所与の時点において全ての要求を同じ優先順位を有するものとして扱う。一般に、特定の幾つかの要求が、未許可の要求がパフォーマンスボトルネックとなるポイントまで遅れた場合、総合的なシステムパフォーマンスは大幅に低下する。いずれのシステムにおいても、一部の要求は、他のシステムに比べて高い優先順位を有する。優先順位に基くアービトレーションは、高い優先順位の要求が、低い優先順位の要求よりも先に許可されることを意味する。優先順位に基くスキームでは、新たな要求のそれぞれに、何らかの重要度メトリックに基く初期優先順位が割当てられる。さらに別の選択肢は、それらが特定のリソースへのアービトレーションアクセスを勝ち取ることをどのくらいの時間にわたって待っているかに基いて、優先順位を増加させることを許可することである。各優先順位レベルにおいてこの「経過時間に基くアービトレーション優先順位」をスタベーションフリーのアービトレーションと結合することによって、妥当な公平性、スケーリング、及びコスト特性を有するアービトレーションポリシーを達成することができる。
【0006】
正しいアービトレーションメカニズムはいずれも、共有リソースに対する相互排他的アクセスを確保する機能を有しなければならず、また、その相互排他的アクセスをスタベーションフリーな形で実施しなければならない。アービトレーションメカニズムの他の望ましい特性としては、コスト、及びパフォーマンスに関するスケーラビリティが挙げられる。コストスケーラビリティのために重要な事は、アービトレーションポリシーを実施するために必要とされるエネルギー、ワイヤー、導波路、及びトランジスタのような物理的リソースを最小限に抑えることであり、パフォーマンススケーラビリティのために重要な事は、個々のアービトレーション判断の待ち時間を可能な限り短縮する必要性である。技術者、及びコンピュータ科学者は、短い待ち時間のアービトレーションシステム、及びシステムパフォーマンスを向上させる方法の開発を続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の種々の実施形態は、短い待ち時間の優先順位付き分散光学的アービトレーションを実現するシステム、及び方法に関する。一実施形態において、光学的アービトレーションシステムは、第1の端部及び第2の端部を有する導波路と、導波路の第1の端部に光学的に結合され、少なくとも1つの波長の光を導波路に入力するように構成された光源とを含む。このシステムは、導波路に光学的に結合された複数の波長選択要素をさらに含む。各波長選択要素は、電気的に結合されたノードによって駆動されたとき、導波路から或る波長の光を抽出する機能を有する。アービターは、導波路の第2の端部に結合され、さらに光源と、導波路に沿って光源に最も近い位置にある波長選択要素との間において、導波路に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の種々の実施形態に従って構成された第1の優先順位付き光学的アービトレーションシステムを示す概略図である。
【図2】本発明の種々の実施形態による光学的アービトレーションシステムにおいて実施されるアービトレーションの例示的な1ラウンドの間における波長選択要素の挙動を示す表である。
【図3A】本発明の種々の実施形態によるアービトレーションのあるラウンドの要求フェイズにおける図1に示したアービトレーションシステムを示す図である。
【図3B】本発明の種々の実施形態によるアービトレーションのあるラウンドの許可フェイズにおける図1に示したアービトレーションシステムを示す図である。
【図4】本発明の種々の実施形態による、2つの共有リソースについてのアービトレーションに関連する第2の例示的タイミング図である。
【図5A】本発明の種々の実施形態による、要求フェイズにおける図1に示したアービトレーションシステムを示す図である。
【図5B】本発明の種々の実施形態による、許可フェイズにおける図1に示したアービトレーションシステムを示す図である。
【図6】本発明の種々の実施形態による、共有リソースについての優先順位付き波長分割多重アービトレーションのための方法に関連する種々のステップを示す制御フロー図である。
【図7A】本発明の種々の実施形態に従って構成された或るノードの種々の電子部品の回路図である。
【図7B】本発明の種々の実施形態に従って動作する図7Aに示したノードを示す図である。
【図8A】本発明の種々の実施形態に従って構成された電子回路の種々の電子部品を示す回路図である。
【図8B】本発明の種々の実施形態に従って動作する図8Aに示した電子回路を示す図である。
【図9】本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の光学的アービトレーションシステムを示す概略図である。
【図10】本発明の種々の実施形態に従って構成された第3の光学的アービトレーションシステムを示す概略図である。
【図11】本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の光学的アービトレーションシステムを示す概略図である。
【図12】本発明の種々の実施形態による、図11に示した光学的アービトレーションシステムにおいて実施される優先順位付き時分割多重アービトレーションの2つのラウンドに関連する例示的なタイミング図である。
【図13】本発明の種々の実施形態による共有リソースについての優先順位付き時分割多重アービトレーションのための方法に関連する種々のステップを示す制御フロー図である。
【図14】本発明の種々の実施形態に従って構成されたノードの回路図である。
【図15】本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の電子回路の回路図である。
【図16A】基板の表面に配置され、本発明の種々の実施形態に従って構成されたマイクロリング共振器、及び隣接リッジ導波路の一部を示す等角図である。
【図16B】図16Aに示したマイクロリング及び導波路についての波長と透過率の関係を示すグラフである。
【図17】本発明の種々の実施形態による、検出共振器部分に結合されたマイクロリング共振器を示す図である。
【図18】本発明の種々の実施形態による、マイクロリング及びリッジ導波路を取り囲むドープ領域を示す概略的表現及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
種々の実施形態は、短い待ち時間の優先順位付き分散アービトレーションを実現するシステム、及び方法に関する。アービトレーションシステム及び方法は、光学的なものであり、それによって、共有リソースにアクセスするための異なる優先順位レベルが、特定のタイムスロットにおいて伝送される特定の幾つかの波長の光、又は単一波長の光に関連付けられる。「光」という用語は、電磁スペクトルの紫外線部分、及び赤外線部分のような、電磁スペクトルの可視部分、及び不可視部分内の波長を有する電磁放射を意味する。独立した波長優先順位付きアービトレーションシステム及び方法の種々の実施形態について以下の第1節で説明し、時分割多重優先順位付きアービトレーションシステム及び方法の種々の実施形態について以下の第2節で説明する。
【0010】
1.波長分割多重を使用して優先順位付き光学的アービトレーションを実施するシステム、及び方法
A.光学的アービトレーションシステム
図1は、本発明の種々の実施形態に従って構成された第1の光学的アービトレーションシステム100を示す概略図である。システム100は、導波路102と、導波路102の第1の端部に光学的に結合された光源104と、円106〜109のような円で表された4つの波長選択要素の8つの実質的に同一の組とを含む。波長選択要素の各組は、導波路102に光学的に結合され、かつ、N0からN7のラベルを付された8つのノードのうちの1つに電気的に結合される。システム100は、検出要素110、及び無効化要素116を含むアービターをさらに含む。検出要素110は、導波路102の第2の端部の近くに配置された4つの検出波長選択要素111〜114を含み、無効化要素116は、光源104とノードN0との間において導波路102に光学的に結合された3つの無効化波長選択要素117〜119を含む。アービターは、検出波長選択要素111〜114、及び無効化波長選択要素117〜119に電気的に結合された電子回路120をさらに含む。
【0011】
図1の例に示すように、4つの区別可能な無変調波長を含む光であって、各波長が、異なるパターンの方向矢印で示されている光が、光源104から出力され、導波路102に入力される。光は、方向矢印112〜124で示されているように、導波路102に沿って反時計回りに進行し、無効化要素116、波長選択要素の各組、及び最終的に検出要素110を通過する。各波長は、ある時点において1つのノードのみが使用可能なバス導波路、ポート、又は他の共有リソースのようなリソースの使用に関連する特定の優先順位レベルを表している。図1及び後続の図は、4つのラインパターンを示す凡例126を含む。各ラインパターンは、光源104から出力される光の波長を表し、各波長は、特定の優先順位レベルに関連している。点線パターン127は、最も高い優先順位レベル1を有する光の波長を表し、点線パターン128は、2番目に高い優先順位レベル2を有する光の波長を表し、破線パターン129は、3番目に高い優先順位レベル3を有する波長を表し、二点破線パターン130は、最も低い優先順位レベル4を有する波長を表している。
【0012】
導波路102は、リッジ導波路であっても、フォトニック結晶導波路であっても、光ファイバーであってもよい。波長選択要素の例は、マイクロリング共振器、フォトニック結晶共振器、又は隣接導波路102の中を進行する特定波長の光と共振するように構成された任意の他のデバイスである。共振器は、導波路102に隣接して配置される。この共振によって、共振器は、エバネッセント結合によって導波路102から特定波長の光を抽出することができる。簡略化のために、ノード、無効化、及び検出共振器は、以後、「ノード共振器」、「無効化共振器」、及び「検出共振器」とそれぞれ呼ばれる。マイクロリング共振器の動作に関するより詳細な説明は、以下のサブセクション「マイクロリング共振器」の節において提供する。
【0013】
ノード共振器、及び無効化共振器は、電気的に調節可能であり、各ノード共振器、及び各無効化共振器は、適当な電圧が印加されたときに、光源104から出力される4つの波長のうちの1つと共振するように構成され、その際、ノード共振器、又は無効化共振器は、「アクティブ」であると言われる。図1に示したように、各共振器がアクティブであるときに共振する波長を識別するために、各ノード、及び無効化共振器は、特定のラインパターンで示されている。例えば、ノード共振器106は、アクティブであるときに波長127と共振し、ノード共振器107は、アクティブであるときに波長128と共振する。或る調節可能な共振器がアクティブであるとき、共振器は、エバネッセント結合を利用して導波路102から関連波長の光を抽出、及び捕捉する。実施形態によっては、ノード共振器は、無効化共振器とは違い、捕捉した光の少なくとも一部を電気信号に変換するように構成されることがあり、電気信号は、電気的に結合されたノードへと伝送され、そこでそのノードが、その電気信号を、導波路102からその波長が除去されたことを示すものと解釈する場合がある。他の実施形態として、アクティブにされたノード共振器により抽出された光は、その光を検出器へ伝送する独立した導波路に結合される場合がある。一般に、共振器に捕捉された光は、種々の損失によって最終的には減衰し、漏出する。共振器がアクティブである間、導波路102によって伝送される共振波長の強度又は振幅は、およそゼロまで急速に低下する。電圧がもはや印加されなくなると、共振器の共振器波長は、光の波長から離れ、波長の強度又は振幅は復元され、波長は、導波路102に沿って分散されることなく伝搬する。調節可能な共振器に何も電圧が印加されていないとき、共振器は、「非アクティブ」であると言われる。
【0014】
ノード共振器、及び無効化共振器とは違い、検出要素110の検出共振器111〜114は、永久的にアクティブ、すなわち共振状態であるように構成される。換言すれば、検出共振器111〜114は、電気的に調節可能ではなく、各検出共振器は、波長127〜130のうちの1つと少なくとも部分的に共振するように構成される。図1に示されているように、検出要素106における各検出共振器も同様に、各検出共振器が少なくとも部分的に共振する波長を識別するために、波長127〜130のうちの1つに対応するラインパターンで示されている。従って、各検出共振器は、対応する波長の光の少なくとも一部を、エバネッセント結合によって導波路102から抽出する。光が検出共振器に捕捉されると、検出共振器は、比較的高い電気信号を生成し、それを電気的に接続された信号線に沿って電子回路120へと伝送する。光が検出共振器に捕捉されなかった場合、検出共振器は、比較的低い電気信号を電子回路120へ送信するか、又は何も電気信号を電子回路120へ送信しないことができる。電子回路120は、検出共振器111〜114から電気信号を受信すると、後述するように、どの優先順位レベルを無効化すべきかを決定し、適当な無効化共振器117〜119を駆動する。
【0015】
B.波長分割多重アービトレーション
システム100において、アービトレーションは、連続した複数のラウンドにおいて実行される。アービトレーションの各ラウンドは、(1)要求フェイズと、その後に続く(2)許可フェイズとを含む。要求フェイズにおいて、無効化共振器は非アクティブにされ、アービトレーションのそのラウンドに参加しているノードは、それらの参加ノードにより選択された優先順位レベルに関連する波長を抽出することが出来る。検出共振器111〜114は、要求フェイズにおいて前記ノードにより選択された優先順位レベルを有する電子回路120と通信する。許可フェイズの初めに、電子回路120は、検出共振器111〜114から送信された信号に応答し、無効化要素116の適当な無効化共振器を駆動することによって、前記ノードの1つにより選択された最高優先順位レベルよりも低い優先順位レベルに関連する波長を除去する。その結果、光源104に最も近い位置にあるノードであって、要求フェイズにおいてその最高優先順位レベルに関連する波長を首尾よく抽出したものは、その後の許可フェイズにおいて、リソースへのアクセスを許可される。許可フェイズにおいて、自己の要求の優先順位レベルに関連する波長を検出する要求元ノードは、自分がそのラウンドのアービトレーションに勝利したこと、及び自分がある時間にわたるリソースの使用を開始してよいことを認識する。許可フェイズではさらに、要求フェイズにおいて参加ノードにより選択された優先順位レベルに関連する波長を検出しなかったノードは、自分がそのラウンドのアービトレーションに敗北したこと、及び自分がアービトレーションの次のラウンドを待たなければならないことを認識する。
【0016】
図2は、本発明の種々の実施形態による、光学的アービトレーションシステム100において実施されるアービトレーションの例示的な1つのラウンドにおける種々の共振器の挙動を示す表A、及び表Bを示している。具体的には、表Aは、アービトレーションのあるラウンドにおけるシステム100の検出共振器111〜114、及び無効化共振器117〜119の挙動を示し、表Bは、アービトレーションの同じラウンドにおけるシステム100のノード共振器の挙動を示している。優先順位レベル1〜4に対応するエントリは、PLnで表されている。ただし、nは、1、2、3又は4である。以下の説明では、本発明の種々の実施形態による、表A、及び表Bに示されたアービトレーションのラウンドについて、要求フェイズ、及び許可フェイズのそれぞれにおけるアービトレーションシステム100を示す図3A〜図3Bを参照する。
【0017】
表Aにおいて、列201、及び202は、要求、及び許可フェイズにおいて導波路102から除去される優先順位レベル、又は波長を示している。アービトレーションのラウンドの開始時に列201にあるエントリは空であり、これは、無効化共振器117〜119が非アクティブであり、優先順位レベル1〜4に関連する波長が導波路102に入力されることを示している。要求をアサートする各ノードは、ノードにより選択された優先順位レベルに関連する波長に対応する共振器を駆動する。表Bにおいて、列203は、アービトレーションのラウンドの開始時にノードにより選択された優先順位レベルを示し、列204は、要求フェイズにおいて各ノードが抽出を試みる優先順位レベルに関連する波長を示している。例えば、列203からは、ノードN1が、優先順位レベル4を選択したことが分かり、列204からは、ノードN1が、優先順位レベル4に関連する波長に対応するノード共振器を駆動したことが分かる。共振器は、アービトレーションのそのラウンド全体にわたって、アクティブ状態に留まる。
【0018】
図3Aに示されているように、アクティブな共振器には影が付けられ、非アクティブな共振器には影が付けられていない。アクティブな共振器301〜306は、図2に示した表Bの列204に示された優先順位レベルに対応する。図3Aの例に示したように、4つのアクティブな共振器301〜303及び305は、優先順位レベル1〜4に対応する波長がノードN1〜N3、及びN6を通過する際に、それらの波長を導波路102から抽出する。ノードN5、及びN7は、ノードN4、及びN1と同じ優先順位レベルに対応する共振器をそれぞれ駆動したが、ノードN1、及びN4は、導波路102に沿って光源104により近い位置にあることから、ノードN1、及びN4は、ノードN5、及びN7よりも先に波長を抽出する。
【0019】
図2に戻り、表Bの列205は、要求フェイズにおいてどのノードが波長を首尾よく抽出し、検出したかを示している。ここで、検出器値「0」は、検出無しを意味し、検出器値「1」は、検出を意味する。例えば、図3Aを参照して上で説明したように、列205にある「1」を有するエントリからは、ノードN1〜N3、及びN6が、ノードN1〜N3、及びN6によって選択された優先順位レベルに関連する波長を検出したことが分かり、「0」を有するエントリからは、ノードN5、及びN7が、ノードN5、及びN7により選択された優先順位レベルに関連する波長を検出しなかったことが分かる。波長はノードN1〜N3、及びN6によって完全に抽出されるので、表Aの列206からは、要求フェイズの最後において、検出共振器111〜114は、それらの優先順位レベルのそれぞれについて何も光を検出しないことが分かる。例えば、図3Aに示したように、優先順位レベル1〜4に関連する波長は、アクティブな共振器301〜303、及び305によって抽出され、検出共振器111〜114に到達する波長は何もない。
【0020】
要求フェイズの最後の時点で最高優先順位レベルに関連する波長が検出されなかったので、許可フェイズの最初の時点で、電子回路120は、無効化共振器117〜119を駆動し、最高優先順位レベル以外の波長が、導波路102から抽出されるようにする。図3Bに示されているように、許可フェイズの最初の時点で、電子回路120は、3つの無効化共振器117〜119を全て駆動する。その結果、最高優先順位レベルに対応する波長を導波路102に沿って進行する状態に維持しつつ、優先順位レベル2〜4に対応する波長が、導波路102から抽出され、最高優先順位レベルに対応する波長は、ノードN6によって抽出される。
【0021】
図2に戻ると、表Bの列207からは、許可フェイズの間、共振器301〜306はアクティブな状態に維持されることが分かる。表Aの列202における優先順位レベル2〜4に関連するエントリは、許可フェイスにおいて無効化共振器117〜119によって抽出される導波路に対応し、列208は、ノードN6についてのエントリ「1」を有し、このエントリは、図3Bを参照して上で説明したように、最高優先順位レベルに関連する波長を抽出し、アービトレーションのラウンドに勝利するノードN6に対応する。列209のエントリは全て「0」であり、これは、許可フェイズの間に検出共振器111〜114に到達する波長が何も無いことを意味する。
【0022】
C.波長分割多重と時分割多重を結合したアービトレーション
多くの計算機システムにおいて、ノードは、2以上のリソースを共有することがある。例えば、複数のノードが、1つのバス導波路にアクセスしなければならない場合があり、複数のノードが、およそ同時刻に1つの共有出力ポートにアクセスしなければならない場合もある。そのため、WDMベースのアービトレーション法は、時分割多重(TDM)を含むように拡張される場合があり、同じアービトレーションシステム100を用いて複数のリソースについてアービトレーションを実行できるように拡張される場合がある。これは、アービトレーションの各ラウンド内における個々の要求フェイズ及び許可フェイズを時分割多重化することによって達成され、その際、要求フェイズと許可フェイズの各対は、種々の共有リソースへのアクセスの決定に関連する。
【0023】
図4は、本発明の種々の実施形態によるシステム100を使用した2つの共有リソースについてのアービトレーションに関連する第2の例示的タイミング図である。アービトレーションの単一のラウンドは、第1の要求フェイズ401、及びその後に続く第1の許可フェイズ402、並びに第2の要求フェイズ403、及びその後に続く第2の許可フェイズ404を含む。第1の要求フェイズ401は、タイムステップ0から開始され、第2の要求フェイズ403は、タイムステップ4から開始される。タイムステップは、クロック信号のクロックエッジであってもよいし、あるいは、離散的な時間についての他の適当な図表であってもよい。要求フェイズ、及び許可フェイズはそれぞれ、8つのタイムスロットにわたって存在し、1つのタイムスロットは、単一のクロックサイクル、1クロックサイクルの一部分、複数のクロックサイクル、又は他の適当な時間であってもよい。各タイムスロットは、整数0〜35で識別される規則正しい間隔を空けたラインにより表されたタイムステップにおいて開始され、終了する。列406は、第1のリソースについて種々のノードにより行われる優先順位要求のリストを示し、列408は、第2のリソースについて同じノードにより行われる優先順位要求のリストを示している。各ノードは、要求フェイズの中に特定のタイムスロットを有し、その中で、要求をアサートすることができ、各ノードは、許可フェイズの中に特定のタイムスロットを有し、その中で、自分の要求が許可されたか、又は拒否されたことを知る。例えば、ノードN0は、第1の要求フェイズ401の中でタイムステップ0から始まる1つのタイムスロットにわたって要求をアサートすることができ、ノードN1は、第1の要求フェイズ401の中でタイムステップ1から始まる1つのタイムスロットにわたって同じリソースについて要求をアサートすることができる。さらに、ノードN0は、第2の要求フェイズ403の中でタイムステップ4から始まる1つのタイムステップにわたって要求をアサートすることができ、ノードN1は、第1の要求フェイズ401の中でタイムステップ5から始まる1つのタイムステップにわたって同じリソースについての要求をアサートすることができる。表1は、種々のノードと、要求フェイズ401、及び403において2つのリソースについて要求をアサートするために、各ノードが1つのタイムスロットにわたって共振器を駆動することが可能となる対応するタイムステップとを示している。
【0024】
【表1】
【0025】
要求フェイズ401、及び403のうちの一方において要求を首尾よくアサートした各ノードは、第1、及び第2の許可フェイズ402、及び404において、選択された優先順位レベルに対応する共振器を1タイムスロットにわたって駆動することにより、許可フェイズ402、及び404において、その要求が許可されたか否かを判断することができる。表2は、種々のノードと、許可フェイズ402、及び404のそれぞれにおいて各ノードが共振器を駆動することが可能となる対応するタイムステップとを示している。
【0026】
【表2】
【0027】
図4の例に示したように、列406から、ノードN2、N3、及びN6は全て、第2の優先順位レベルを選択したことが分かる。ノードN2は、導波路102の周りを進行する波長128に1タイムスロットのギャップ412を残しつつ、タイムステップ2から波長128の抽出を開始し、ノードN5は、波長129に1タイムスロットのギャップ414を残しつつ、タイムステップ5から波長129の抽出を開始する。第1の要求フェイズ401に関連するギャップには、ラベル「1」が付されている。図4から、ギャップ412は、タイムステップ3の最初の時点でノードN3に到達し、タイムステップ6の最初の時点でノードN6に到達することが分かり、これらのタイムステップは、ノードN3、及びN6が、波長128に関連する優先順位レベルについての要求をアサートすることが可能になるタイムステップに対応する。従って、ノードN3、及びN6は、タイムステップ3、及び6の最初の時点で波長128を抽出することができず、その結果、ノードN3、及びN6は、第1のリソースについての次の要求をアサートするために、アービトレーションの後のラウンドを待たなければならない。
【0028】
図5A〜図5Bは、本発明の種々の実施形態に従って動作する、要求フェイズ401、及び許可フェイズ402のそれぞれにおけるアービトレーションシステム100を示している。アクティブ共振器501〜504は、図4の列406において丸で囲まれたノードに対応する。各ノードの隣にある整数は、要求フェイズ401、及び許可フェイズ402における種々のタイムステップに関連する。図5Aに示されているように、アクティブ共振器501は、図4のギャップ412に対応するタイムステップ2において駆動されると、対応する波長を導波路102から抽出し、アクティブ共振器503は、図4のギャップ418に対応するタイムステップ5において駆動されると、対応する波長を導波路102から抽出する。波長127、及び130は、邪魔されることなく共振器の各組を通過し、タイムステップ7から始まるタイムスロットにおいて検出共振器111、及び114によって検出される。検出共振器111は、電気信号を電子回路120へ送る。図5Bに示されているように、電子回路120は、無効化共振器118、及び119を1タイムスロットの時間にわたって駆動することによって、これに応答する。図4に示されているようにタイムスロット8から始まる許可フェイズ402の最初の時点で、波長129、及び130は、導波路102から抽出され、波長127、及び128は、導波路102に沿って進行を続け、タイムステップ10において、波長128は、ノードN2により導波路102から抽出される。
【0029】
図4に戻り、タイムスロット8において第1の許可フェイズ402が開始されると、図5Bを参照して上で説明したように、波長129、及び130にギャップ420、及び422を残しつつ、波長129、及び130は、1タイムスロットにわたって導波路102から抽出される。タイムステップ10の最初の時点で、ノードN2は、波長128に1タイムスロットのギャップ416を残しつつ、1タイムスロットにわたって波長128を抽出する。従って、ノードN2は、アービトレーションの次のラウンドの最初の許可フェイズの開始までに、自分が第1のリソースへのアクセスを許可され、リソースの使用を開始してよいことを認識する。
【0030】
一方、列408から、ノードN0は最低優先順位レベルを選択し、ノードN3は最高優先順位レベルを選択したことが分かる。要求フェイズ403、及び許可フェイズ404に関連するギャップには、ラベル「2」が付されている。タイミング図から、ノードN3は、最終的にタイムステップ15において第2のリソースへのアクセスを許可されることが分かる。
【0031】
D.優先順位レベルの増加
図2〜図5を参照して上で説明したアービトレーション方法は、光源104に最も近いところにあるノードを好む。例えば、ノードN3とN6が両方とも、要求フェイズの最初の時点で同じ優先順位レベルを選択するものと仮定する。より高い優先順位レベルを選択したノードが他に何も無ければ、ノードN3は、アクセスを許可されることになり、ノードN6は、別の要求をアサートするために、アービトレーションの次のラウンドを待たなければならない。本発明の種々の実施形態によれば、ノードは、許可フェイズ中にアクセスを失ったときではなく、要求が敗北したときか、又は要求が勝利したときに優先順位レベルをインクリメント、又は増加させることができる。優先順位レベルの増加は、サービス契約の種類、伝送すべき情報のタイプ、情報の世界的な年齢、情報がノードに記憶されている時間の長さ、情報の有効期限が切れるまでの時間の現在の長さ、又は優先順位レベルの増加を判断するための任意の他の基準に基いて決定することができる。例えば、ノードN6が、タイムスタンプが付されたパケットを処理しなければならず、それらのパケットを有効期限が切れる前に送信しなければならないものと仮定する。一部の実施形態では、アービトレーションの不首尾に終わった各ラウンドの後、ノードN6は、各パケットのタイムスタンプを再検査し、それに従って優先順位レベルを増加させることができる場合がある。他の実施形態として、ノードN6は、不首尾に終わった要求フェイズの直後に、又は、不首尾に終わった許可フェイズの直後に、優先順位レベルを増加させることが出来る場合がある。
【0032】
E.波長分割多重アービトレーションの概要
図6は、本発明の種々の実施形態による、共有リソースついての優先順位付きWDMアービトレーションを実施する方法に関連する種々のステップを示す制御フロー図である。図6に示されているように、ステップ602〜607は、要求フェイズにおいて実施され、ステップ608〜613は、許可フェイズにおいて実施される。ステップ601では、図1を参照して上で説明したように、複数の波長を含む光が、波長分割多重を使用して、光源から導波路へ入力される。光の各波長は、特定の優先順位レベルに関連する。ステップ602において、この方法は、要求フェイズに入り、アービトレーションのあるラウンドへの参加を選択しているノードはそれぞれ、共有リソースにアクセスするための優先順位レベルを選択する。参加を選択したノードは、他の参加ノードにより選択された優先順位レベルを何も知らず、従って、各ノードは、優先順位レベルを個別に選択する。ステップ603において、参加を選択したノードは、図1、図3A、及び図5Aを参照して上で説明したように、選択された優先順位レベルに関連する光の波長に対応する共振器を駆動する。ステップ604において、選択された波長の光を抽出する各ノードは、ステップ605へ進み、波長の光を抽出しない各ノードは、ステップ606へ進む。ステップ606において、ノードは、自分の要求が敗北したことを認識し、自分の共振器を停止させ、共有リソースへのアクセスのための新たな要求をアサートするために、アービトレーションの後のラウンドを待つ。任意選択的ステップ607において、要求のアサートが不首尾に終わったノードは、アービトレーションのその後のラウンドにおける当該ノードの成功の機会を増加させるために、優先順位を増加させることができる。例えば、VOIPパケットを送信するノードは、アービトレーションのその後のラウンドにおいて最高優先順位レベルまで増加させることができる場合があり、あるいはノードは、タイムスタンプを付され、有効期限が切れるまでに送信しなければならない特定のパケットに関連する優先順位レベルを増加させることができる場合がある。ステップ605において、残りの参加中のノードは、自分達の要求が勝ったことを認識すると、許可フェイズへ進み、自分達の要求が許可されたか、それとも拒否されたかを判断する。任意選択的ステップ608において、自分達の要求が勝利し、許可フェイズへ進んだノードは、図4〜図5を参照して上で説明したように、自分達の共振器をアクティブな状態に維持することができ、又は、図2〜図3を参照して上で説明したように、自分達の共振器を停止させ、許可フェイズにおいて自分達の共振器を再駆動させることができる。ステップ609において、抽出された最高優先順位レベル波長よりも低い優先順位レベルに関連する波長は、図3B、及び図5Bを参照して上で説明したように、導波路から除去される。ステップ610において、光源に最も近い位置にある選択された最高優先順位レベルを有するノードは、関連波長を導波路から抽出するとき、ステップ611へ進み、さもなければ、残りのノードはステップ612へ進む。ステップ611において、ノードは、リソースへのアクセスを許可され、次のステップ613において、ノードは、リソースの使用を開始する。ステップ612において、残りのノードは、自分達が、リソースへのアクセスを許可されていないことを認識し、アービトレーションの後続のラウンドを待つ。任意選択的ステップ614において、それらのノードは、アービトレーションの後続のラウンドにおいて自分達の選択された優先順位レベルをインクリメントすることができる。ステップ615において、アービトレーションの後続のステップについて、ステップ601〜613が繰り返される。
【0033】
F.ノード、電子回路、及び他の光学的アービトレーションシステム実施形態の略回路図
図7Aは、本発明の種々の実施形態に従って構成されたノード700の略回路図である。ノード700は、光学的アービトレーションシステム100の種々のノードを表す。電子部品は、有効化回路(「ENB」)702、ORゲート704、及び要求ラッチ706を含む。要求ラッチ706は、ENB702に電気的に接続され、ENB702は、共振器708〜711のそれぞれに電気的に接続される。共振器708〜711はそれぞれ個別にORゲート704に電気的に接続される。各共振器には、波長127〜130に割当てられた4つの優先順位レベルのうちの1つに対応する2ビットの優先順位レベルが割当てられている。具体的には、共振器708〜711に割当てられる2ビットの優先順位レベルはそれぞれ、「00」、「01」、「10」、及び「11」である場合があり、これらの優先順位レベルは、図7Aにおいて各共振器の下に記載されている。「00」は、最高優先順位レベルに対応し、「01」は、2番目に高い優先順位レベルに対応し、「10」は、3番目に高い優先順位レベルに対応し、「11」は、最低優先順位レベルに対応する。ビット「0」及び「1」は、ビット「0」を低電気信号、又は電気信号無しに割り当て、ビット「1」を比較的高い電気信号に割当てることによって実現される場合がある。共振器708〜711は、駆動されると、対応する波長127〜130を導波路102から抽出するように構成される。要求ラッチ706は、ノードからの電気信号を入力D1、D2、及びD3から受信し、システムクロック信号をCLKから受信する。2つの入力D1、及びD2は、2ビットの優先順位レベルを受信し、第3の入力D3は、そのノードが、その2ビットの優先順位レベルに関連する共振器を駆動する準備が出来たことを示す電気要求信号を受信する。要求ラッチ706は、クロック信号の立ち上がりエッジ、又は立ち下がりエッジのいずれかにおいて、2ビットの優先順位レベル、及び要求信号を出力する。ENB702は、2ビットの優先順位レベル、及び要求信号を受信し、その2ビットの優先順位レベルに関連する共振器を駆動する。
【0034】
図7Bは、本発明の種々の実施形態によるノード700の例示的な動作を示す図である。独立して動作するノード700は、共有リソースへのアクセスを要求する際に、2番目に高い優先順位レベルを選択するものと仮定する。その場合、ノード700は、2ビットの優先順位レベル「01」を要求ラッチ706へ送信し、要求ラッチ706は、要求ラッチ706が要求信号を受信するまで、それらのビットを記憶する。ノード700は、共有リソースへのアクセスを要求する準備ができると、要求信号を要求ラッチ706へ送信し、要求ラッチ706は、ビット「0」、及び「1」を入力S1、及びS2に同時かつ個別にラッチし、クロック信号の立ち上がり時間ステップ、又は立ち下がり時間ステップのいずれかにおいて、要求信号をENB702にラッチする。ENB702は、2ビットの優先順位レベルを受信すると、対応する共振器709を駆動する。駆動された共振器709には影が付され、駆動されていない共振器708、710、及び711には影が付されていない。図7Bに示されているように、駆動された共振器709は、対応する波長128を導波路102から抽出する。他の波長127、129、及び130は、共振器708、710、及び711を邪魔されることなく通過する。駆動された共振器709は、電気信号をORゲート704に送信し、ORゲート704は、ノード200に信号を送信することによって、これに応答する。ノードは、その信号を、そのノードが、共有リソースへのアクセスの要求を首尾よく完了したことを意味するものと解釈する。許可フェイズの間、処理は繰り返される。
【0035】
図8Aは、本発明の種々の実施形態に従って構成された電子回路120を示す回路図である。電子回路120の構成要素は、インバータ802、第1のNANDゲート804、及び第2のNANDゲート806を含む。図8Aから、検出共振器111〜113がインバータ802、並びにNANDゲート804、及び806にどのように電気的に接続されるかが分かる。検出共振器114は、波長130が導波路102へ反射して戻されることを維持するために、最低優先順位の波長130を導波路102から抽出する。波長127が検出共振器111によって検出されると、電気信号が、検出共振器111からインバータ802、並びにNANDゲート804、及び806へ入力される。波長128が検出共振器112によって検出されると、電気信号が、検出共振器112からNANDゲート804、及び806へ入力される。波長129が検出共振器113によって検出されると、電気信号が、検出共振器113からNANDゲート806へ入力される。インバータ802は、無効化共振器117に電気信号を出力し、NANDゲート804、及び806は、無効化共振器118、及び119にそれぞれ電気信号を出力する。上で述べたように、検出共振器111〜113はそれぞれ、対応する波長の光が検出共振器に捕捉されたときに比較的高い電気信号を生成し、光が検出共振器に何も捕捉されないときに、比較的低い電気信号を生成し、又は何も電気信号を生成しない。インバータ802は、検出共振器111から受信した比較的高い電気信号を、無効化共振器117へ送信される比較的低い電気信号に変換するとともに、検出共振器117から受信した比較的低い電気信号、又は電気信号無しを、無効化共振器117へ送信される比較的高い電気信号に変換する。NANDゲート804、及び806は、入力電気信号の全てが比較的高いときに、低い電気信号を無効化共振器118、及び119に出力し、又は何も電気信号を出力せず、入力電気信号のうちの少なくとも1つが低いときに、比較的高い電気信号を無効化共振器118、及び119に出力する。
【0036】
図8Bは、本発明の種々の実施形態に従って動作する図8Aに示した電子回路を示している。検出共振器112、及び114は、波長128、及び130をそれぞれ抽出し、波長127、及び129は、検出共振器111、及び113に到達しない。図2を参照して上で説明したように、波長127、及び129は、導波路に沿って種々のノードにより抽出されている場合がある。換言すれば、要求フェイズにおいて、ノードは、選択された最高優先順位レベルを有する場合もあれば、選択された3番目に高い優先順位レベルを有する場合もある。その結果、検出共振器112は、比較的高い電気信号をNANDゲート804、及び806へ送信する。一方、検出共振器111は、低い電気信号をインバータ802、及びNANDゲート804の入力へ送信し、又は何も電気信号を送信せず、検出共振器113は、低い電気信号をNANDゲート806の入力に送信し、又は何も電気信号を送信しない。インバータ802は、無効化共振器117を駆動する高い電気信号を送信することによって、検出共振器111から受信した低い電気信号、又は電気信号が無い状態に応答する。NANDゲート804は、無効化共振器118を駆動することによって、検出共振器111、及び113からそれぞれ受信される低い電気信号、及び比較的高い電気信号に応答する。最後に、NANDゲート804は、無効化共振器119を駆動することによって、検出共振器111、及び113により送信される低い電気信号、並びに、検出共振器112から受信する比較的高い電気信号に応答する。アクティブな無効化共振器117〜119には影が付され、それらは、最も高い優先順位の波長127を導波路102に沿って伝搬させつつ、導波路102から波長128〜130を抽出し、その結果、選択された最高優先順位レベルを有するノードは、波長127を抽出することができ、自分が共有リソースへのアクセスを許可されていることを認識することができる。一方、3番目に高い優先順位レベルを抽出したノードは、許可フェイズにおいて波長129を抽出せず、自分が共有リソースへのアクセスを許可されていないことを認識する。
【0037】
アービトレーションシステムの実施形態が、8つのノード、及び、図1に示した特定のノード構成に限定されることはない。アービトレーションシステムの種々の実施形態は、任意の可能な構成を有する任意数のノードについて優先順位付けされた光学的アービトレーションを提供するように構成されることができる。図9は、本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の光学的アービトレーションシステム900を示す概略図である。システム900は、導波路902、導波路902の第1の端部に光学的に結合された光源104、及び8セットの4つの共振器を含む。このシステムはさらに、光源104と、ノードN0との間に配置された無効化要素116、導波路902の第2の端部に光学的に結合された検出要素110、並びに、無効化要素116の無効化共振器117〜119及び検出要素110の検出共振器111〜114に電気的に結合された電子回路120を含む。共振器、及び導波路902は、導波路904の第1の部分が、最高優先順位レベルに関連する全ての共振器に隣接し、導波路906の第2の部分が、2番目に高い優先順位レベルに関連する全ての共振器に隣接し、導波路908の第3の部分が、3番目に高い優先順位レベルに関連する全ての共振器に隣接し、導波路910の第4の部分が、最低優先順位レベルに関連する全ての共振器に隣接するように構成される。
【0038】
アービトレーションシステム実施形態が、導波路102及び902のように、各優先順位レベルに関連する波長を伝送するように構成された単一の導波路に限定されることはない。他の実施形態として、各波長は、個別の導波路の中を伝送させてもよい。図10は、本発明の種々の実施形態に従って構成された第3の光学的アービトレーションシステム1000の概略図である。システム1000は、4つの独立した導波路1002〜1005、導波路1002〜1005のそれぞれの第1の端部に光学的に結合された光源104、及び8セットの4つの共振器を含む。システム400はさらに、光源104と、ノードN0との間に配置された無効化要素116、導波路1002〜1005の第2の端部に光学的に結合された検出要素110、並びに無効化要素116の無効化共振器117〜119及び検出要素110の検出共振器111〜114に電気的に結合された電子回路120を含む。導波路1002〜1005は、4つの波長127〜130をそれぞれ個別に伝送する。最高優先順位レベルに関連する共振器は、導波路1002に隣接して配置され、2番目に高い優先順位レベルに関連する共振器は、導波路1003に隣接して配置され、3番目に高い優先順位レベルに関連する共振器は、導波路1004に隣接して配置され、最低優先順位レベルに関連する共振器は、導波路1005に隣接して配置される。
【0039】
2.時分割多重アービトレーションを使用して優先順位付き光学的アービトレーションを実施するシステム、及び方法
A.光学的アービトレーションシステム
図11は、本発明の種々の実施形態に従って構成された光学的アービトレーションシステム1100を示す概略図である。システム1100は、導波路1102、導波路1102の第1の端部に光学的に結合された光源1104、及び4つの実質的に同一のノード共振器1106〜1109を含む。各ノード共振器は、導波路1102に光学的に結合され、かつ、ラベルN0〜N3が付された4つのノードのうちの1つに電気的に結合されている。システム1100はさらに、検出要素1112、及び無効化要素1116を含むアービターを含む。検出要素1112は、導波路1102の第2の端部の近くに配置された検出共振器1114を含み、無効化要素1116は、光源1104と、ノードN0との間において導波路1102に光学的に結合された無効化共振器1118を含む。アービターはさらに、検出共振器1114、及び無効化共振器1118に電気的に結合された電子回路120を含む。図11の例に示したように、単一の無変調波長を含む光が、光源1104から出力され、導波路1102に入力される。光は、方向矢印1122〜1124で示されているように、導波路1102に沿って反時計回りに進行し、無効化要素1116、及び各ノード共振器を通過し、最終的に検出要素1112に到達する。導波路1102は、リッジ導波路であっても、フォトニック結晶導波路であっても、光ファイバーであってもよい。共振器1106〜1109、検出共振器1114、及び無効化共振器1118は、図1を参照して上で説明したように構成され、動作するものであってもよい。
【0040】
B.時分割多重アービトレーション
アービトレーションシステム1100における優先順位付きアービトレーションは、アービトレーションの各ラウンド内において優先順位レベルを時分割多重化することによって実施することができる。上で説明した優先順位付きWDMアービトレーションによれば、優先順位付きTDMアービトレーションの各ラウンドは、(1)要求フェイズ、及び(2)その後に続く許可フェイズを用いて実行される。要求フェイズ、及び許可フェイズの最初の時点で、トークンは、導波路1102に入力される。トークンは、特定の波長、及び有限の時間を有する光のパルスである。トークンの各部分は、特定の優先順位レベルに関連する。例えば、3つの優先順位レベルに関連するトークンは、3つの部分を含み、第1の部分は、最高優先順位レベルに関連するノードを通過し、第2の部分は、2番目に高い優先順位レベルに関連するノードを通過し、第3の部分は、最低優先順位レベルに関連するノードを通過する。トークンが各ノードを通過する時刻は、固定オフセットであるノード間の距離によって異なる。あるノードが要求をアサートするためには、すなわち、特定の優先順位レベルについて要求が許可されたか否かを判断するためには、そのノードは、その優先順位レベルに対応するトークンの部分を抽出する。例えば、3つの優先順位レベルを採用するシステムにおいて優先順位レベル2の要求をアサートする第1のノードは、トークンの第1の部分と第3の部分との間にギャップを残しつつ、トークンの中間部分を抽出する。導波路1102に沿ってより遠くに位置し、優先順位レベル1の要求をアサートする第2のノードは、トークンの第1の部分を抽出する。このように、各優先順位レベルを特定の光の波長に関連付ける波長分割多重とは違い、時分割多重は、各優先順位レベルをトークンの特定の部分に関連付ける。
【0041】
図12は、本発明の種々の実施形態によるシステム1100において実施される優先順位付きTDMアービトレーションの2つのラウンドに関連する例示的なタイミング図である。アービトレーションの第1のラウンドは、要求フェイズ1201、及びその後に続く第1の許可フェイズ1202を含み、アービトレーションの第2のラウンドは、第2の要求フェイズ1203、及びその後に続く第2の許可フェイズ1204を含む。列1205は、図11におけるノードラベルN0〜N3、及び検出要素1114を表すラベルDを並べて示している。表1206は、ノードラベルN0〜N3を示し、アービトレーションの2つのラウンドについて、それらのノードにより選択された優先順位レベルを列に並べて示している。ノードは、その中から選択可能な3つの優先順位レベルを有する。例えば、アービトレーションの第1のラウンドにおいて、ノードN0、N1、及びN3は、優先順位レベル2、1、及び3をそれぞれ選択し、ノードN2は、参加しないことを選択した。タイムスロットには、優先順位レベルがラベル付けされ、各ノードは、要求をアサートすることができ、すなわち、首尾よく成功した要求が許可されたか、それとも拒否されたかを知ることができる。例えば、ノードN0は、タイムステップ0から始まる優先順位レベル1の要求1207をアサートし、タイムステップ1から始まる優先順位レベル2の要求1208をアサートし、タイムステップ2から始まる優先順位レベル3の要求1209をアサートすることができる。また、ノードN0は、タイムステップ5から開始して、優先順位レベル1の要求が許可されたか否かを知ることができ1210、タイムステップ6から開始して、優先順位レベル2の要求が許可されたか否かを知ることができ1211、タイムステップ7から開始して、優先順位レベル3の要求が許可されたか否かを知ることができる1212。ノードは、そのノードにより選択された優先順位レベルに関連するタイムスロットの中で導波路1102からトークンの部分を抽出したとき、その要求を勝ち取り、すなわち、リソースへのアクセスを許可される。
【0042】
図11を参照し、図12に示した例示的なタイミング図について以下で説明する。3つの優先順位レベルしかないため、3つの優先順位レベルに関連するトークンが、導波路1102に入力される。単純化のために、トークンの持続時間は、約3タイムスロットである。トークンを導波路1102に入力するために、電子回路1120は、3タイムスロットの時間にわたって無効化共振器1118を停止させる。ノードN0は、優先順位レベル2を選択したから、タイムステップ1から共振器1106の駆動を開始し、ギャップ1214を残して、優先順位レベル2に関連するトークンの部分の導波路1102からの抽出を開始する。ギャップはその後、タイムステップ2、3、及び4においてノードN1、N2、及びN3にそれぞれ到達し、タイムステップ5において検出共振器Dに到達する。同様に、ノードN1、及びN3は、優先順位レベル1、及び3を選択したから、ギャップ1215、及び1216をそれぞれ残して、タイムステップ1、及び5から導波路1102に沿ってそれぞれ進行する光の抽出を開始する。検出共振器Dは、タイムステップ4から始まる最高優先順位レベル1に関連するトークンの部分を受信しない。その結果、電子回路1120は、ノードの1つによって最高優先順位レベルが既に選択されていると判断し、第1の許可フェイズ1202の最初の時点で、無効化共振器1118を停止させ、最高優先順位レベル1に関連する1タイムスロットの持続時間を有するトークンを導波路1102に入力することによって、これに応答する。換言すれば、1タイムスロット長のトークンが、導波路1102に置かれ、最高優先順位レベル1に関連するタイムスロットの間に各ノードを通過する。ノードN1は、最高優先順位レベル1を選択した唯一のノードであるから、ノードN1は、共振器1107を駆動し、タイムステップ6から、最高優先順位レベルに関連するトークンの部分の抽出を開始する。その後、ノードN1は、タイムステップ6からリソースの使用を開始することができる。優先順位レベル2、及び3に関連するトークンの部分が存在しないので、タイムステップ8、及び10のそれぞれにおいて光がノードN0、及びN3を通過することはない。タイムステップ8、及び10は、許可フェイズにおいてノードN0、及びN3が光を抽出することが可能なタイムスロットをマーキングするタイムステップである。従って、ノードN0、及びN3は、自分達がリソースへのアクセスを許可されなかったことをアービトレーションの最初のラウンドの間に認識する。
【0043】
アービトレーション1203の第2のラウンドについての要求フェイズ2は、タイムステップ10から開始される。表1206は、アービトレーションの第2のラウンドにおいて、ノードN1、及びN3が、優先順位レベル3、及び2をそれぞれ選択したこと、並びにノードN0、及びN2が、参加しないことを選択したことを示している。ノードN1、及びN3は、導波路1102に沿って進行するギャップ1218、及び1219を残して、タイムステップ13、及び14から光の抽出をそれぞれ開始する。検出共振器Dは、タイムステップ15、及び16から始まるタイムスロットの間に光を受け取らず、電子回路1120は、第2の許可フェイズ1202の開始時に、図1における無効化共振器1118を停止させ、最高優先順位レベル、及び2番目に高い優先順位レベルに関連する部分を有するトークンを導波路1102に置くことによって、これに応答する。従って、ノードN1が自分の共振器1107を駆動するとき、タイムステップ18の開始時に、ノードN1に到達する光は無い。その結果、ノードN1は、アービトレーションの第2のラウンドの間に自分がリソースへのアクセスを許可されなかったことを認識する。一方、ノードN3は、タイムステップ19において自分の共振器1109を駆動し、優先順位レベル2に関連するタイムスロットの間に光を抽出する。その結果、ノードN3は、自分がリソースへのアクセスを許可されたことを認識し、リソースの使用を開始することができる。
【0044】
また、図12を参照して上で説明した優先順位付きTDMアービトレーション方法は、光源1104に最も近い場所にあるノードを好む。そのため、本発明の種々の実施形態によればさらに、ノードは、自分が要求を首尾よく達成しなかったか、又は許可フェイズにおいてアクセスを許可されなかったときに、優先順位レベルをインクリメント、又はデクリメントすることが可能となる。優先順位レベルの増加は、サービス契約の種類、伝送すべき情報のタイプ、情報の世界的な年齢、情報がノードに記憶されている時間の長さ、及び情報の有効期限が切れるまでの時間の現在の長さに基づくことがある。例えば、ノードN2が、通信の途絶を回避するために送信しなければならないVOIPパケットを送信しているものと仮定する。一部の実施形態において、ノードN2は、アービトレーションの不首尾に終わった各ラウンドの後、それに従って優先順位レベルを増加させることができる場合がある。他の実施形態として、ノードN2は、不首尾に終わった要求フェイズ、又は不首尾に終わった許可フェイズの後に、優先順位レベルを増加させることができる場合がある。
【0045】
C.時分割多重アービトレーションの概要
図13は、本発明の種々の実施形態による、共有リソースについての優先順位付きTDMアービトレーションを実施する方法に関連する種々のステップを表す制御フロー図である。図13に示されているように、ステップ1301〜1309は、要求フェイズの間に実施され、ステップ1309〜1318は、許可フェイズの間に実施される。ステップ1301では、図11を参照して上で説明したように、特定波長の光パルスが、光源から導波路に入力される。光の持続時間は、優先順位レベル要求をアサートするために使用される優先順位レベルの数、及びタイムスロットの数によって決まる。例えば、図12を参照して上で説明したように、3つの優先順位レベルしか存在せず、各ノードは、1タイムスロットの持続時間にわたって要求をアサートする。従って、光のパルスは、約3タイムスロットの持続時間を有する。ステップ1302において、アービトレーションのあるラウンドに参加することを選択しているノードはそれぞれ、共有リソースにアクセスする優先順位レベルを選択する。参加することを選択しているノードは、他の参加ノードにより選択された優先順位レベルを知らず、従って、各ノードは、優先順位レベルを個別に選択する。ステップ1303から始まるFORループでは、要求フェイズに参加している各ノードについて、ステップ1304〜1309が繰り返される。ステップ1304において、ノードは、共振器を駆動し、そのノードにより選択された優先順位レベルに対応するタイムスロットの間に、導波路からパルスの一部を抽出する。ステップ1305では、ノードにより選択された優先順位レベルに対応するタイムスロットの間にノードが光を抽出するとき、方法は、ステップ1306へ進み、そうでなければ、ノードは、光の抽出に成功しなかったとして、方法はステップ1307へと進む。ステップ1306において、ノードは、そのノードが要求を首尾よく完了したことを認識し、共振器を停止させ、要求が許可されたか否かを判断するために、その後に続く許可フェイズを待つ。ステップ1307において、ノードは、要求が不首尾に終わったことを認識すると、次の要求をアサートするために、アービトレーションの後のラウンドを待つ。任意選択的ステップ1308において、要求フェイズにおける要求のアサートが不首尾に終わったノードは、アービトレーションの後続のラウンドにおけるそのノードの成功の機会を増加させるために、優先順位レベルをインクリメントすることができる。例えば、VOIPパケットを送信しているノードは、アービトレーションの後続のラウンドのために最高優先順位レベルまで増加させる場合があり、あるいは、ノードは、タイムスタンプが付され、有効期限が切れるまでに送信しなければならない特定のパケットに関連する優先順位レベルをインクリメントすることができる。ステップ1309において、別のタイムスロットが利用可能である場合、ステップ1305〜1309が繰り返され、そうでなければ、方法は、許可フェイズの最初の時点で、ステップ1310へ進む。ステップ1310では、光のパルスが、光源から導波路へ入力される。光のパルスは、導波路に沿って光源に最も近い場所にある最高優先順位レベルを選択しているノードが、そのノードにより選択された最高優先順位レベルの間に光を抽出できるような形で、導波路に入力される。ステップ1311から始まるFORループでは、許可フェイズにおける各タイムスロットについてステップ1312〜1317が繰り返される。ステップ1312では、首尾よく要求フェイズを完了した各ノードは、そのノードにより選択された優先順位レベルに関連するタイムスロットの間に、共振器を駆動する。ステップ1313において、ノードが導波路から光を抽出する場合、方法はステップ1314へ進み、そうでなければ、方法はステップ1315へ進む。ステップ1314において、ノードは、自分が供給リソースへのアクセスを許可されていることを認識し、次のステップ1316において、ノードは、図14を参照して上で説明したように、リソースの使用を開始する。ステップ1315において、ノードは、自分がアクセスを許可されていないことを認識し、任意選択的ステップ1317において、ノードは、アービトレーションの後続のラウンドにおけるそのノードの優先順位レベルを増加させる。ステップ1318において、許可フェイズにおける次のステップが利用可能である場合、ステップ1312〜1316が繰り返され、そうでなければ、方法はステップ1319へと進み、そこで、アービトレーションの後続のラウンドについて、TDMアービトレーション方法が繰り返される。
【0046】
D.ノード、及び電子回路の略回路図
図14は、本発明の種々の実施形態に従って構成されたノード1400の種々の電子部品を示す略回路図である。ノード1400は、図11の各ノードについての種々の電子部品の構成を示している。電子部品は、3ビット要求レジスタ1402、1〜3のラベルが付された3つのレジスタを含むシフトレジスタ1404、2つのORゲート1406、及び1408、5つのANDゲート1410〜1414、並びに許可ラッチ1416を含む。図14に示されているように、レジスタ1〜3は直列に構成され、レジスタ1の出力がレジスタ2に入力され、レジスタ2の出力がレジスタ3に入力される。論理値は、クロック信号CLKの立ち上がりエッジ、又は立ち下りエッジのいずれかに従って、あるレジスタから次のレジスタへとシフトする。ANDゲート1411〜1413はそれぞれ、入力として3ビットレジスタ1402から第1の論理値を、レジスタ1〜3から第2の論理値をそれぞれ受け取る。さらに、レジスタ1、及び2からの出力は、ANDゲート1410に入力される前にループバックされ、インバータ1418のようなインバータによって反転される。ANDゲート1410はさらに、各要求フェイズの最初の時点で、入力として要求信号を受け取る。ANDゲート1411〜1413の出力は、ORゲート1408に入力され、ORゲート1408は、ノード共振器1420を駆動する電気信号を送出し、信号は、ANDゲート1414に入力される。ANDゲート1414は、許可フェイズの最初の時点でANDゲート1414へ送信される許可信号の入力点にインバータをさらに含む。共振器1420が光を捕捉すると、電気信号が生成され、許可ラッチ1416へ送られる。許可ラッチ1416もまた、システムクロックCLKを受け取る。
【0047】
図14は、要求/許可クロック信号1422、及びシステムクロック信号1424の例をさらに含む。1つの完全な要求/許可クロックサイクルが、立ち上がりエッジ1426から始まる要求フェイズ、及び立ち下がりエッジ1428から始まる許可フェイズによって示されている。便宜上、及び単純化の目的で、3つの優先順位レベルしか存在せず、要求フェイズ、及び許可フェイズはそれぞれ、3システムクロックサイクルの長さであるものと仮定する。3ビットの二進文字列「100」、「010」、及び「001」は、優先順位レベル1、2、及び3をそれぞれ表すことができ、二進文字列「000」は、要求無しを表すことができる。要求フェイズの最初の時点で、優先順位レベルの要求が、3ビットレジスタ1402に読み込まれる。要求信号は、許可ラッチ1416をクリアし、論理「1」に対応する要求信号が、ANDゲート1410に入力される。ORゲート1406は、ANDゲート1410から入力された論理「1」を受信し、レジスタ3から論理「0」を受信し、論理「1」をレジスタ1に入力する。要求フェイズの間に、シフトレジスタ1404は、各クロックサイクルの立ち上がりエッジにおいて優先順位「100」、「010」、及び「001」を循環し、許可フェイズの間にも、それらの優先順位を再度循環する。例えば、クロックサイクル1430の間に、シフトレジスタ1404は、論理値「1」、「0」、及び「0」をANDゲート1411〜1413にそれぞれ出力し、クロックサイクル1431の間に、シフトレジスタは、論理値「0」、「1」、及び「0」をANDゲート1411〜1413にそれぞれ出力する。シフトレジスタ1404の中身が3ビットレジスタ1402からの出力に一致した場合、ANDゲート1412は、電気信号をORゲート1408に出力し、ノード共振器1420を駆動する。許可フェイズの間に、共振器1420がアクティブになると、許可ラッチ1416がロードされ、導波路1102に沿って進行するトークンの、ノード1400により選択された優先順位レベルに対応する部分が抽出される。
【0048】
図15は、本発明の種々の実施形態に従って構成された第2の電子回路1120の種々の電子部品を示す略回路図である。電子回路1120は、インバータ1502、NORゲート1504、ANDゲート1506〜1508、及びシフトレジスタ1510を含む。シフトレジスタ1510は、検出共振器1114の出力に従ってロードされる。要求フェイズの開始時に、NORゲート1504は、論理「1」に対応する要求信号を受信する。その結果、NORゲート1304は、無効化共振器1118に信号を出力せず、無効化共振器1118は、要求フェイズの間、非アクティブな状態に留まり、その結果、3クロックサイクル持続時間を有するトークンを導波路1102に置くことができる。要求フェイズにおいて、アービトレーションの結果は、シフトレジスタ1510へシフトされる。複数の優先順位レベル要求がある場合、論理ゲート1507、及び1506は、複数の要求のうちの最初のもののみがセットされることを確保し、要求フェイズの最後の時点で、シフトレジスタ1510が、レジスタ3において要求された最高優先順位レベルの位置に一組のビットを有するものとなるように、又は、要求が無かった場合に、シフトレジスタ1510が空となるようにする。許可フェイズにおいて、シフトレジスタ1510の中身は、無効化共振器1118の制御に使用され、適当なタイムスロットの間に、選択された優先順位レベルについてのみ、トークンが導波路1102に入力されるようにする。
【0049】
3.オンチップ実施形態
光学的アービトレーションシステム100、及び1100は、単一チップ上の光学層において実施することができる。例えば、一部の実施形態において、チップサイズは、約25×25mmにすることができ、64以上のノードを有する場合がある。導波路は、約200×500nmの断面寸法を有することができ、図1、9、10、及び11を参照して上で説明した共振器、及び検出共振器のセットは、約20〜60μmからの範囲の寸法を有することができ、波長選択要素は、0.5〜5μmだけ間隔を空けることができ、波長選択要素の直径は、約1〜20μmからの範囲を有することができる。なお、これらの寸法範囲は、例示的な範囲であり、それらに、光学的アービトレーションシステムが採用可能な寸法の広い範囲を限定する意図は全くない。従って、これらの寸法、及び寸法範囲は、実施形態によって変更してもよい。
【0050】
4.マイクロリング共振器
一部のシステム実施形態において、導波路は、リッジ導波路にすることができ、波長選択要素は、マイクロリング共振器にすることができる。図16Aは、基板1606の表面に配置され、本発明の種々の実施形態に従って構成されたマイクロリング共振器1602、及び、隣接リッジ導波路1604の一部を示す等角図である。波長が下記の共振条件を満たすとき、導波路に沿って伝送される特定波長の光は、導波路1604からマイクロリング1602へエバネッセント結合される。
【0051】
【数1】
【0052】
ここでneffはマイクロリング1602の有効屈折率であり、Cはマイクロリング1602の円周であり、mは整数であり、λは波長である。積neffCは、キャビティの光学長である。換言すれば、波長λの整数倍である波長は、導波路1604からマイクロリング1602へエバネッセント結合される。
【0053】
エバネッセント結合は、マイクロリングのようなある媒体からリッジ導波路のような他の媒体へ、又はその逆に、光のエバネッセント波を伝送するために使用されるプロセスである。例えば、マイクロリング共振器1602とリッジ導波路1604との間のエバネッセント結合は、導波路1604を進行する光によって生成されたエバネッセント場がマイクロリング1602に結合するときに発生する。マイクロリング1602が、エバネッセント場の種々のモードをサポートするように構成されていると仮定した場合、エバネッセント場は、マイクロリング1602の中を伝搬する光を生じさせ、それによって導波路1604からマイクロリング1602へ光をエバネッセント結合する。
【0054】
図16Bは、図16Aに示したマイクロリング1602及び導波路1604について透過率と波長の関係を示すグラフである。水平線1608は、波長軸を表し、垂直線1610は、透過率軸を表し、曲線1612は、ある範囲の波長についてマイクロリング1602を通過する光の透過率を表している。マイクロリング1602を通過する光の透過率は、下記のように定義される。
【0055】
【数2】
【0056】
ここで、Iinは、マイクロリング1602に到達するまでに導波路1604に沿って伝搬する光の強度であり、Ioutは、マイクロリング1602を通過した後に導波路1604に沿って伝搬する光の強度である。透過率曲線1612の最小値1614、及び1616は、Lをキャビティの光学長としたとき、波長λm=L/m、及びλm+1=L/(m+1)を有する光についてのゼロ透過率に対応する。これらの波長は、規則正しい間隔を空けて現れる多数の最小値のうちの2つのみを表している。上記の共振条件を満たす波長は、マイクロリング1602との間に「強い共振」を有すると言われ、導波路1604からマイクロリング1602へエバネッセント結合される。波長λm、及びλm+1を取り囲む狭い波長領域では、波長が波長λm、及びλm+1から遠ざかるにつれ、透過率が急激に増加することが、透過率曲線1612から分かる。換言すれば、波長が共振波長から遠ざかるほど、共振の強度は減少し、導波路1604からマイクロリング1602へ結合される光の部分は減少する。領域1618〜1620の波長を有する光は、実質的に邪魔されることなく、マイクロリング1602を通過する。
【0057】
マイクロリング共振器はエバネッセント結合特性を有するため、マイクロリング共振器は、隣接導波路を伝搬する特定波長を検出するための検出共振器111〜114のような検出共振器として動作させることができる。図17は、本発明の種々の実施形態による検出共振器部分1702に結合されたマイクロリング共振器1602を示している。マイクロリング1602と共振する波長を有する光は、導波路1604からマイクロリング1602へエバネッセント結合され、導波路1602の中を循環しながら、ある時間にわたって捕捉された状態に留まる。検出共振器部分1702は、マイクロリング1602のSiGeドープ領域であってもよい。検出共振器部分1702は、マイクロリング1602の中を循環する光を吸収し、その光を信号線を通じて電気的に結合されたノードへ伝送することが可能な電気信号に変換する。他の実施形態として、マイクロリング1602の中に捕捉された光は、第2の導波路にエバネッセント結合され、検出器へと運ばれる場合がある。
【0058】
マイクロリング1602は、マイクロリング1602、及び導波路1604を取り囲む基板の領域に、適当な電子ドナー、及び電子アクセプター原子又は不純物をドープすることによって、電気的に調節することができる。図18は、本発明の種々の実施形態によるマイクロリング1602、及びリッジ導波路1604を取り囲むドープ領域の概略表現、及び平面図である。一部の実施形態において、マイクロリング1602は、真性半導体からなる。マイクロリング1702内部の半導体基板にp型半導体領域1801を形成し、マイクロリング1602の外側を取り囲む半導体基板1606、及び導波路1604の反対側にn型半導体領域1802、及び1803を形成することができる。p型領域1801、及びn型領域1802、1803は、マイクロリング1602の周りに、pーiーn接合を形成する。他の実施形態では、マイクロリング1602の内側の基板領域にp型半導体領域1801を形成し、マイクロリング1602の外側を取り囲む基板領域にp型半導体領域1802、及び1803を形成するために、ドーパントを逆にすることがある。
【0059】
電気的に調節可能なマイクロリング1602は、マイクロリングを取り囲む領域に適当な電圧が印加されたときに、隣接導波路からの光をエバネッセント結合し、又は転向するように構成される場合がある。例えば、電子制御式マイクロリング1602は、外周C、及び有効屈折率neff’を有するように構成され、導波路1604に沿って伝搬する波長λの光が、下記の共振条件を満たさないように構成される場合がある。
【0060】
【数3】
【0061】
ここで、n’effCは、共振器の光学長である。光は、邪魔されることなくマイクロリング1602を通過し、マイクロリング1602は、「非アクティブ」であると言われる。一方、マイクロリング1602は、マイクロリング1602に適当な電圧が印加されたときに、有効屈折率neff’が屈折値neffにシフトし、光が下記のリソース条件を満たすように、適当な材料を用いて形成することができる。
【0062】
【数4】
【0063】
このとき、光は、導波路1604からマイクロリング1602へ結合され、マイクロリング1602は、「アクティブ」であると言われる。電圧が実質的に「オフ」になると、マイクロリング1602の有効屈折率は、neff’へシフトバックし、光は、邪魔されることなく導波路1604に沿って伝搬する。
【0064】
なお、本発明の種々のシステム実施形態が、マイクロリング共振器、及びリッジ導波路に限定されることはない。他の実施形態では、導波路に沿って伝搬する特定波長の光と結合するように構成された任意の適当な共振器を使用することが可能である。
【0065】
上記の説明では、説明の目的上、本発明を完全に理解してもらうために、特定の用語を使用した。しかしながら、当業者には明らかなように、特定の詳細は、本発明を実施するために必要とされない。本発明の幾つかの特定の実施形態に関する上記の説明は、図示説明の目的で提供するものである。それらは、本発明を網羅することも、本発明を記載した実施形態に厳密に限定することも意図していない。当然ながら、上記の教示に照らして、多数の修正、及び変形が可能である。実施形態は、本発明の原理、及びその実際の種々の応用形態を最良の形で説明し、それによって当業者が、本発明、及び想定される特定の用途に適合するように種々の修正が加えられた実施形態を最も良好に使用することができるようにするために、図示説明されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びその均等によって規定されることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的アービトレーションシステム(100, 1100)であって、
第1の端部、及び第2の端部を有する導波路(102, 1102)と、
前記導波路の第1の端部に光学的に結合され、少なくとも1つの波長の光を前記導波路に入力するように構成された光源(104, 1104)と、
前記導波路に光学的に結合された複数の波長選択要素(106-109, 1106-1109)であって、各波長選択要素が、ノードに結合され、かつ、前記導波路によって伝送されるある光の波長を抽出、及び検出する機能を有する、複数の波長選択要素(106-109, 1106-1109)と、
前記導波路の第2の端部に光学的に結合され、かつ、前記光源と、前記導波路に沿って前記光源に最も近い位置にある波長選択要素との間において、前記導波路に光学的に結合されたアービター(110, 116, 120, 1112, 1116, 1120)と
からなる光学的アービトレーションシステム(100, 1100)。
【請求項2】
前記波長選択要素は、共振器を含む、請求項1に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項3】
前記導波路は、リッジ導波路である、請求項3に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項4】
前記アービターは、
前記導波路の前記第2の端部の近くに配置され、前記導波路の前記第2の端部に到達する光の少なくとも1つの波長を検出するように構成された検出要素(110, 1112)と、
前記光源と、前記導波路に沿って前記光源に最も近い位置にある波長選択要素との間に配置されたフィルター(116, 1116)と、
前記検出要素、及び前記フィルターに電気的に結合された電子回路(120, 1120)であって、前記検出要素から電気信号を受信し、前記電気信号に従って前記フィルターを駆動し、前記光源から出力される前記少なくとも1つの波長から少なくとも1つの波長を選択的に除去する電子回路(120, 1120)と
をさらに含む、請求項1に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項5】
前記検出要素は、前記導波路の前記第2の端部の近くにある前記導波路に光学的に結合され、かつ、前記電子回路に電気的に結合された少なくとも1つの検出波長選択要素(111-114, 1114)をさらに含み、前記少なくとも1つの検出波長選択要素は、前記導波路に入力される光の波長の少なくとも1つを検出し、電気信号を前記電子回路へ送信するように構成される、請求項4に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項6】
前記フィルターは、前記導波路に光学的に結合され、かつ、前記光源と、前記導波路に沿って前記光源に最も近い位置にある前記波長選択要素との間において前記電子回路に電気的に結合された少なくとも1つの無効化波長選択要素(117-119, 1118)をさらに含み、前記少なくとも1つの無効化波長選択要素は、駆動されたときに、前記光の波長の少なくとも1つを抽出する機能を有する、請求項4に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項7】
共有リソースの優先順位付き光学的アービトレーションを実施する方法であって、
複数波長の光を導波路に入力するステップ(601)であって、前記導波路が、マルチノードシステムの各ノードに光学的に結合され、各波長が、特定の優先順位レベルに対応する、複数波長の光を導波路に入力するステップ(601)と、
ある時間にわたって前記リソースへのアクセスを要求するステップ(602-605)であって、各ノードが、該ノードにより選択された優先順位レベルに対応する波長を前記導波路から抽出することを試みる、ある時間にわたって前記リソースへのアクセスを要求するステップ(602-605)と、
前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップ(608-613)であって、アクセスを許可された前記ノードは、選択された最高優先順位レベルに対応する波長を前記導波路から首尾よく抽出した、前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップ(608-613)と
からなる方法。
【請求項8】
複数波長の光を前記導波路に入力するステップは、前記複数波長を前記導波路に波長分割多重化することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
どの波長が前記リソースへのアクセスを要求しているノードによって抽出されるかを判断するステップ(604-606)と、
選択された最高優先順位レベルに関連する波長よりも低い優先順位レベルに関連する波長をフィルターにより除去するステップ(610-612)と
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップは、前記ノードが、前記リソースへのアクセスを求める時間を超えて、前記選択された最高優先順位レベルに関連する波長を抽出することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
サービス契約の種類、
情報のタイプ、
情報の世界的な年齢、
情報がノードに記憶されている時間の長さ、及び
情報の有効期限が切れるまでの時間の現在の長さ
のうちの1以上に基いて、前記リソースへのアクセスの取得に失敗したノードの優先順位レベルを増加させるステップ(607, 614)をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
共有リソースの優先順位付き光学的アービトレーションを実施する方法であって、
マルチノードシステムの各ノードに光学的に結合された導波路に、光のパルスを入力するステップ(1301)と、
ある時間にわたって前記リソースへのアクセスを要求するステップ(1302-1309)であって、各ノードが、該ノードにより選択された優先順位レベルに関連するタイムスロットにおいて前記パルスの一部を抽出することを試みる、ある時間にわたって前記リソースへのアクセスを要求するステップ(1302-1309)と、
前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップ(1310--1318)であって、アクセスを許可された前記ノードは、選択された最高優先順位レベルに関連するタイムスロットにおいて光の部分を首尾よく抽出した、前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップ(1310--1318)と
からなる方法。
【請求項13】
どのタイムスロットが前記リソースへのアクセスを要求しているノードによって抽出されるかを判断するステップ(1305-1307)と、
前記選択された最高優先順位レベルに関連するタイムスロットよりも低い優先順位レベルに関連するタイムスロットをフィルターにより除去するステップ(1310-1318)と
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップは、前記リソースへのアクセスを要求する時間の後、前記ノードが、選択された最高優先順位レベルに関連するタイムスロットの間に前記光を抽出するノードを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
サービス契約の種類、
情報のタイプ、
情報の世界的な年齢、
情報がノードに記憶されている時間の長さ、及び
情報の有効期限が切れるまでの時間の現在の長さ
のうちの1以上に基いて、前記リソースへのアクセスの取得に失敗したノードの優先順位レベルを増加させるステップ(607, 614)をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項1】
光学的アービトレーションシステム(100, 1100)であって、
第1の端部、及び第2の端部を有する導波路(102, 1102)と、
前記導波路の第1の端部に光学的に結合され、少なくとも1つの波長の光を前記導波路に入力するように構成された光源(104, 1104)と、
前記導波路に光学的に結合された複数の波長選択要素(106-109, 1106-1109)であって、各波長選択要素が、ノードに結合され、かつ、前記導波路によって伝送されるある光の波長を抽出、及び検出する機能を有する、複数の波長選択要素(106-109, 1106-1109)と、
前記導波路の第2の端部に光学的に結合され、かつ、前記光源と、前記導波路に沿って前記光源に最も近い位置にある波長選択要素との間において、前記導波路に光学的に結合されたアービター(110, 116, 120, 1112, 1116, 1120)と
からなる光学的アービトレーションシステム(100, 1100)。
【請求項2】
前記波長選択要素は、共振器を含む、請求項1に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項3】
前記導波路は、リッジ導波路である、請求項3に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項4】
前記アービターは、
前記導波路の前記第2の端部の近くに配置され、前記導波路の前記第2の端部に到達する光の少なくとも1つの波長を検出するように構成された検出要素(110, 1112)と、
前記光源と、前記導波路に沿って前記光源に最も近い位置にある波長選択要素との間に配置されたフィルター(116, 1116)と、
前記検出要素、及び前記フィルターに電気的に結合された電子回路(120, 1120)であって、前記検出要素から電気信号を受信し、前記電気信号に従って前記フィルターを駆動し、前記光源から出力される前記少なくとも1つの波長から少なくとも1つの波長を選択的に除去する電子回路(120, 1120)と
をさらに含む、請求項1に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項5】
前記検出要素は、前記導波路の前記第2の端部の近くにある前記導波路に光学的に結合され、かつ、前記電子回路に電気的に結合された少なくとも1つの検出波長選択要素(111-114, 1114)をさらに含み、前記少なくとも1つの検出波長選択要素は、前記導波路に入力される光の波長の少なくとも1つを検出し、電気信号を前記電子回路へ送信するように構成される、請求項4に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項6】
前記フィルターは、前記導波路に光学的に結合され、かつ、前記光源と、前記導波路に沿って前記光源に最も近い位置にある前記波長選択要素との間において前記電子回路に電気的に結合された少なくとも1つの無効化波長選択要素(117-119, 1118)をさらに含み、前記少なくとも1つの無効化波長選択要素は、駆動されたときに、前記光の波長の少なくとも1つを抽出する機能を有する、請求項4に記載の光学的アービトレーションシステム。
【請求項7】
共有リソースの優先順位付き光学的アービトレーションを実施する方法であって、
複数波長の光を導波路に入力するステップ(601)であって、前記導波路が、マルチノードシステムの各ノードに光学的に結合され、各波長が、特定の優先順位レベルに対応する、複数波長の光を導波路に入力するステップ(601)と、
ある時間にわたって前記リソースへのアクセスを要求するステップ(602-605)であって、各ノードが、該ノードにより選択された優先順位レベルに対応する波長を前記導波路から抽出することを試みる、ある時間にわたって前記リソースへのアクセスを要求するステップ(602-605)と、
前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップ(608-613)であって、アクセスを許可された前記ノードは、選択された最高優先順位レベルに対応する波長を前記導波路から首尾よく抽出した、前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップ(608-613)と
からなる方法。
【請求項8】
複数波長の光を前記導波路に入力するステップは、前記複数波長を前記導波路に波長分割多重化することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
どの波長が前記リソースへのアクセスを要求しているノードによって抽出されるかを判断するステップ(604-606)と、
選択された最高優先順位レベルに関連する波長よりも低い優先順位レベルに関連する波長をフィルターにより除去するステップ(610-612)と
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップは、前記ノードが、前記リソースへのアクセスを求める時間を超えて、前記選択された最高優先順位レベルに関連する波長を抽出することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
サービス契約の種類、
情報のタイプ、
情報の世界的な年齢、
情報がノードに記憶されている時間の長さ、及び
情報の有効期限が切れるまでの時間の現在の長さ
のうちの1以上に基いて、前記リソースへのアクセスの取得に失敗したノードの優先順位レベルを増加させるステップ(607, 614)をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
共有リソースの優先順位付き光学的アービトレーションを実施する方法であって、
マルチノードシステムの各ノードに光学的に結合された導波路に、光のパルスを入力するステップ(1301)と、
ある時間にわたって前記リソースへのアクセスを要求するステップ(1302-1309)であって、各ノードが、該ノードにより選択された優先順位レベルに関連するタイムスロットにおいて前記パルスの一部を抽出することを試みる、ある時間にわたって前記リソースへのアクセスを要求するステップ(1302-1309)と、
前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップ(1310--1318)であって、アクセスを許可された前記ノードは、選択された最高優先順位レベルに関連するタイムスロットにおいて光の部分を首尾よく抽出した、前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップ(1310--1318)と
からなる方法。
【請求項13】
どのタイムスロットが前記リソースへのアクセスを要求しているノードによって抽出されるかを判断するステップ(1305-1307)と、
前記選択された最高優先順位レベルに関連するタイムスロットよりも低い優先順位レベルに関連するタイムスロットをフィルターにより除去するステップ(1310-1318)と
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ノードの1つに前記リソースへのアクセスを許可するステップは、前記リソースへのアクセスを要求する時間の後、前記ノードが、選択された最高優先順位レベルに関連するタイムスロットの間に前記光を抽出するノードを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
サービス契約の種類、
情報のタイプ、
情報の世界的な年齢、
情報がノードに記憶されている時間の長さ、及び
情報の有効期限が切れるまでの時間の現在の長さ
のうちの1以上に基いて、前記リソースへのアクセスの取得に失敗したノードの優先順位レベルを増加させるステップ(607, 614)をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2012−507782(P2012−507782A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534463(P2011−534463)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/012392
【国際公開番号】WO2010/050921
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/012392
【国際公開番号】WO2010/050921
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】
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