説明

充填ノズル

【課題】液体食品の固形分が詰まり難く確実且つ容易に所定量を紙容器に充填することができる填ノズルを提供する。
【解決手段】充填ノズル11では、内溶液Wが第二充填管11bを流れる。充填ノズル下部11cには内溶液Wの漏れ防止用の支持部材12を備え、支持部材12が上下して第二充填管11bの端部Pを開閉する。支持部材12に支えられた円錐面状のメッシュ部15は、メッシュ部15の上流側邪魔板16を備える。多固形分や高粘性の液体であっても、内溶液を確実に充填できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体食品用の紙容器に内溶液を充填する充填ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュース、牛乳等の液体食品などを充填する紙容器は、シート状の包材を縦シール部でシールして筒状にした後、一端部を折込んで底部を形成し、また、容器上部をプラスチックで蓋を成形し、直立させて上部開口から、又は、倒立して開口した底部から、充填ノズルで内容液を充填し、開口を折込みシールして紙容器が形成される。この紙容器の充填ノズルに関する従来技術として特許文献1の内容が知られている。
【0003】
図7に示すように、特許文献1の充填ノズル31は、ノズル本体32の中間部に流量調整バルブ31aを備える。ノズル本体32の下端部の開口33に網状部34が設けられ、この網状部34は円形リング状の枠材34aの内部に網目状領域34bがスペーサーを介して所定間隔で複数枚設けられ、網状部34におけるそれぞれの網目の大きさは適宜調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−224973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、充填ノズル31を用いて、固形分の多い液体や粘性の高い液体食品を充填する際に、網目状領域34bがメッシュなのでその網目部に固形分が詰まる場合があり、この詰まりによって内溶液がスムーズに流下しないため紙容器に内溶液が所定量充填されない。さらに、ゴムの弾性/復元力で液の流れを止めるラバーノズルでは、固形分の多い液体や粘性の高い液体では、シャープに流れを止められない。
【0006】
本発明は、紙容器充填装置に設ける液体食品用の紙容器の充填ノズルにおいて、多固形分や高粘性の液体であっても、詰まりなく、瞬時に液の流れを止めることができる紙容器の充填ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紙容器の充填ノズルは、熱可塑性樹脂を両面に備える包材を縦シール部で筒状にし、開口から内容液を充填した後に開口を折込みシールする紙容器用の充填ノズルであって、この充填ノズルの下端部に円錐面状の硬質バルブ部を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明の好ましい態様において、前記バルブ部の上流側に垂直に邪魔板を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、以下のように、機能し、動作して顕著な効果を奏する。
この発明の充填ノズルでは、この充填ノズルの下端部に円錐面状のバルブ部を備える。この円錐面状のバルブ部の傾斜に沿って内溶液が下方に流下し、さらに、充填終了時には、硬質バルブ部の外周端が、ノズル内側下端と接触し、即座に、シャープに流れを止めることができる。液固形分で詰まることがない。このため、多固形分や高粘性の液体であっても、紙容器に所定量の内溶液が確実に充填できる。
【0010】
この発明の好ましい態様において、充填ノズルのバルブ部の上流側に邪魔板を備える。邪魔板が、紙容器に内容液を充填する際に充填液に置換される空気の流入が邪魔板の下方に形成された空間沿って上方に流れやすくなるので、内溶液の充填がスムーズになり充填効率が確実に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に利用できる紙容器であって、紙基材を用いて形成された底面4と四組の側面5と頂面6から成る屋根型の紙容器1の開口状態(a)とシール状態(b)を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における、紙容器充填装置において、充填工程10において、タンク8と充填ノズル11とから、紙容器1に充填される様子を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態における、充填ノズル11が大径の第一充填管11aと小径の第二充填管11bとが連通し、第二充填管11bの周囲が滅菌エアーKの滅菌エアー管11dで覆われ、第二充填管11の下部にノズル下部11cを備え、充填が停止している状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態における、円錐面状のバルブ部15と円錐面上の邪魔板16の状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における、円錐面上のバルブ部15の上流側に設けられた邪魔板16の状態を示す平面図である。
【図6】本発明実施形態における、ノズル下部11cの端部Pでパルブ部15が開き、充填状態で内溶液Wが流れで、邪魔板16下方から容器1の空気Aが逃げる状態を示す断面図である。
【図7】従来例における、充填ノズル31はノズル本体32の中間部に流量調整バルブ31aを備え、ノズル本体32の下端部に複数の網状部34が円形リング状の枠材34aを介して設けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
<充填ノズルの構成>
【0013】
図1に示すように、内溶液を充填する屋根型の紙容器1は、平板矩形形状の紙基材ブランクスを用いて形成される。詳しくは、紙基材ブランクスが縦シールで筒状に形成された後、下部を折込んで熱圧着により底部4を形成する(図1(a))。上方開口から内溶液を充填した後、上方開口を折込んで熱圧着で屋根型の頂部6に形成する(図1(b))。これによって、底面4と四組の側面5と頂面6から成る屋根型形状の内溶液を充填した紙容器1が形成される。
【0014】
紙基材の詳細構成は、外側から内側に向かって外側層、紙基材、接着層、必要に応じてバリヤー層、内側シール層から成り、紙基材の外側面にデザイン等が予め印刷される。外側層は低密度ポリエチレン樹脂、内側層はポリエチレン或いはエチレン共重合体等の樹脂、バリヤー層はアルミ箔が用いられる。なお、充填する内溶液によってはバリヤー層を省く構成もある。一個分の紙容器1を形成する紙基材の領域に、縦方向、横方向、斜め方向に折り目が各々複数形成されるので、この折り目を折込むことで屋根型形状の紙容器1が容易に形成できる。
【0015】
図2に示すように、クリーンチャンバー内に設置された紙容器充填装置において、筒状で底部4が形成された状態のブランクスが複数のマンドレルによって回転しながら各々供給され、底部4を下にした状態で下降してコンベアに等間隔で送り込まれる。
【0016】
紙容器1はコンベアで移動しながら充填工程10で間欠的に停止して、充填ノズル11を介して所定量の内容液Wが上方から充填される。
【0017】
次に、紙容器1は予備加熱工程に移動し、熱風装置が下降して紙容器の上端部における筒状部の所定の内外面に熱風を吹きつけて当該部の熱可塑性樹脂を溶融する。その後熱風装置は上昇する。
【0018】
さらに、紙容器1が移動して成形工程で間欠的に停止し、圧着部が下降して紙容器の上端部を折込むと同時に加圧すると、溶融した熱可塑性樹脂の領域が密封して頂部6が形成され内溶液を充填した屋根型の紙容器1が形成される。
【0019】
図3、図4、図5に示すように、充填ノズル11の構成は、大径の第一充填管11aと、この第一充填管11aの下方に小径の第二充填管11bとが連通し、第二充填管11bは先端にノズル下部11cを備え、第二充填管11bの周囲が滅菌エアー管11dで覆われて成る二重管構造である。この第一充填管11aから所定量の内溶液Wが流下し、滅菌エアー管11dから滅菌エアーKが噴出する。
【0020】
ノズル下部11cの下端部Pには、円錐面状のバルブ部15の支持部材12を備え、この支持部材12を開閉する操作棒13が第一充填管11aから第二充填管11bに至って連続して中心上に配置する。ここで、第二充填管11bに操作棒13を昇降自在に支えるリンク14を備える。このため、操作棒13が第二充填管11bの内部を上下移動する動作に連動して支持部材12が第二充填管11bの下端部Pを確実に開閉することができる。
【0021】
操作棒13の上端部は支点の周りに回転自在の操作棒14にリンクし、操作棒14は第二充填管11aの壁に形成された開口部から突出する。なお、開口部は図示しない柔軟性遮蔽材で水密的に覆われる。
【0022】
第二充填管11bの下端部Pと滅菌エアー管11dの下端部には、図6に図示するように、容器1の開口が、充填時に置かれる。滅菌エアー管11dの径は、滅菌エアー管11dが紙容器の開口の矩形断面形を収まる大きさに設定される。
【0023】
ノズル下部11cには、円錐面状のバルブ部15と、バルブ部15の円錐面上に平行四辺形状の邪魔板16を備える。邪魔板16は一辺で第二充填管11bに近接する。他辺は操作棒13に近傍する。邪魔板16の下辺はバルブ部15の円錐面15aに固定される。
【0024】
計量ポンプによって所定量の内容物Wが上方から充填パイプ11a内に流れる際に、その流動する液体内容物Wの圧力によって支持部材12が自動的に下降して開く。内容物Wが紙容器に充填完了したタイミングでリンク14を可動して操作棒13を引上げると、支持部材12が第二充填管11bの下端部Pに当接し、充填を完了し、内溶液Wの液垂れを防止する。
<紙容器の充填ノズルの作用>
【0025】
図3に示したように、上方から定量の内溶液Wが第一充填管11aから第二充填管11bに吐出されると、内溶液Wの重みによって第二充填管11bの下端部Pを塞いでいた支持部材12が操作棒13と共に下方に移動して自動的に開くことができるので内溶液Wを確実に吐出することができる。ここで、第二充填管11bの中間に設けられた保持部によって操作棒13が第一充填管11bと同芯状に上下移動するので支持部材12を容易且つ確実に開閉できる。
【0026】
ノズル下部11cの下端部Pに位置する、円錐面状のバルブ部15は水平面状に比べると面積が広くなり、さらに、この円錐面状の傾斜に沿って固形分を含む内溶液Wが下方に迅速に移動する。バルブ部15に固形分が詰まることがない。
また、充填終了時には、硬質バルブ部の外周端が、ノズル内側下端と接触し、即座に、シャープに流れを止めることができる。液固形分で詰まることがない。このため、多固形分や高粘性の液体であっても、紙容器に所定量の内溶液が確実に充填する。
【0027】
邪魔板16がバルブ部15の円錐面に平行の状態で備えるので、内溶液Wの充填に伴って、邪魔板が、紙容器に内容液を充填する際に充填液に置換される空気の流入が邪魔板の下方に形成された空間沿って上方に流れやすくなるので、内溶液の充填がスムーズになり充填効率が確実に向上する。
内溶液Wと空気の置換が安定化するので内溶液Wの充填が迅速でスムーズになり充填効率が確実に向上する。
【0028】
より詳しくは、図6に示すように、充填ノズル下部11cではバルブ部15の上流側に備える邪魔板16では、上方からの内容液Wの流れが邪魔板16の両側面に沿って分かれる。一方、邪魔板16の下方では邪魔板16によって内容液Wが流れない空白領域が生じる。この空白領域が、紙容器内部に存在していた空気Aの逃げ通路となる。このため、紙容器1に内容液Wを充填する際に紙容器1からの空気Aの流出がのために、邪魔板16の下方が通路となる。内溶液Wの落下がスムーズになり充填効率が確実に向上する。なお、充填中に滅菌エアーKが噴出して内溶液Wを覆うので衛生的に安定して紙容器に内溶液Wを充填できる。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0030】
例えば、邪魔板16をバルブ部15の上流側に複数組を例えば直径方向に一対設けてもよい。邪魔板16の形状は下端部の中央部が上方に膨らむアーチ型の曲線形状でも構わない。紙容器充填装置において、マンドレル、コンベア、充填ノズル11等を二列平行に配置して紙容器1の充填製造能力を二倍にする構成にもできる。頂面を屋根型の代わりに平面状等に形成した紙容器や、本体が紙基材で蓋部がポリエチレンによる複合素材の容器に対しても応用できる。円錐面状のバルブ部15は、底面を備える立体的な円錐面形状でも構わない。本発明はカートンリフターを設けて紙容器に充填ノズルを挿入して紙容器を下降しながら内溶液を充填する場合に適用すると充填効果が更に顕著に得られる。
【0031】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明の製造法によって、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器を製造することができる。
【符号の説明】
【0033】
11 充填ノズル
11a 第一充填管
11b 第二充填管
11c ノズル下部
11d 滅菌エアー管
12 支持部材
13 操作棒
15 バルブ部
15a 円錐面
16 邪魔板
P 端部
W 内溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を両面に備える包材を縦シール部で筒状にし、開口から内容液を充填した後に開口を折込みシールする紙容器のための充填ノズルであって、該充填ノズルの下端部に円錐面状の硬質バルブ部を備えることを特徴とする、
充填ノズル。
【請求項2】
前記バルブ部の上流側に垂直に邪魔板を備える、請求項1記載の充填ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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