説明

充填バルブ

【課題】充填終了後にノズル6先端からの液だれを防止する。
【解決手段】内部に液通路2が形成されたバルブハウジング4と、その先端に連続して形成されたノズル6とを有し、バルブハウジング4内面の第1弁座22に着座可能な第1弁体20によって前記液通路2を開閉するとともに、第1弁体20内に昇降可能に挿通したロッド34に設けた第2弁体36をノズル6内に挿入して、前記第1弁体20の下方で液通路10を開閉できるようになっている。第1弁体20を第1弁座22に着座させるとともに、第2弁体36をノズル6内に挿入して液通路2、10を閉鎖して充填を終了した後、第2弁体36を僅かに上昇させる。ノズル6内の出口側の容積が拡大して、残留している充填液が吸引された状態になり、液だれが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を容器に充填する充填バルブに係り、特に、充填終了後にノズルの先端に残留している液体が垂れることを防止するようにした充填バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液垂れの発生を防止するようにした充填バルブは従来から知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された「大流量用充填弁」は、内部に円柱状の充填室が形成されたケース本体の側部に供給通路が形成された供給筒が接続されるとともに、下部には、内部に通路空間が形成されたノズル筒が設けられ、さらに上部にはシリンダケースが取り付けられている。前記充填室の下部に座受け面が形成され、座受け面内の充填口を介してノズル筒の通路空間に連通されている。この充填室には、シリンダケース内に設けられた弁体駆動シリンダにより弁筒を介して昇降される第1弁体が配置されており、第1弁体が下降限で座受け面に当接して充填口を閉止することができる。
【0003】
前記弁筒の軸心部に軸心孔が、第1弁体に前記軸心孔に連続して弁収容孔が形成され、これら軸心孔および弁収容孔に、弁軸とその先端部に一体成形された第2弁体が内装されており、上方のシリンダケースに設けられた弁体駆動シリンダにより出退駆動されるようになっている。この特許文献1に記載された発明に係る充填弁では、第1弁体を座受け面に押し付けて全閉した後に、第2弁体を後退させることにより、通路空間内を負圧にして液だれを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−229602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載された発明では、第1弁体を弁受け面に押し付けて充填を終了した後、第1弁体内に設けられている第2弁体を上方に後退させてノズル筒内を負圧状態としたので、液だれを防止することができる。しかしながら、第1弁体および弁筒と、これらの内部に形成された軸心孔および弁収容孔内に挿通している弁軸および第2弁体との摺動部が充填液の通路内に露出しているので、サニタリー性が損なわれるおそれがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に液通路が形成されたバルブハウジングと、このバルブハウジングの下部に設けられたノズルと、前記液通路の内面に形成された第1弁座に着座可能な第1弁体と、この第1弁体内に昇降可能に挿通され、前記第1弁体よりも下方で前記液通路を開閉可能な第2弁体と、前記第1弁体を作動する第1駆動手段と、前記第2弁体を作動する第2駆動手段と、前記第1弁体と第2弁体との間を覆うベローズとを備え、前記第1弁体によって前記液通路を閉鎖して充填が終了した後、第2弁体を上方へ後退させてノズル内の容積を拡大することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
第1弁体によって液通路を閉じるとともに、その第1弁体よりも下方で第2弁体により液通路を閉じた後、第2弁体を上昇させてノズル内の容積を拡大するサックバックを行うことにより、充填終了後のノズル先端からの液だれを防止することができる。また、第1弁体と第2弁体の間をベローズによって覆って、バルブ側の摺動部と液通路内とを遮断しているので、サニタリー性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は充填バルブの縦断面図であり、特に、大流量での充填を行っている状態を示す。(実施例1)
【図2】図2はこの実施例に係る充填バルブの液バルブが閉鎖した状態を示す縦断面図である。
【図3】図3はこの実施例に係る充填バルブで小流量での充填を行っている状態を示す縦断面図である。
【図4】図4はこの実施例に係る充填バルブで充填終了後のサックバックを行った状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
内部に液通路が形成されたバルブハウジングの側部に、液通路内に充填液を供給する給液管が接続され、バルブハウジングの下端に連続して設けられたノズルを介して、前記給液管から供給された充填液が容器内に充填される。バルブハウジング内に第1弁体が配置され第1駆動手段によって昇降するようになっており、この第1弁体が液通路の内面に形成された第1弁座に着座し、また離座することにより液通路を開閉する。第1弁体内に第2弁体が昇降可能に挿通され、第2駆動手段によって昇降するようになっており、前記第1弁体よりも下方で液通路を開閉する。第1弁体および第2弁体をそれぞれ着座させて液通路を閉鎖した後、第2弁体を上昇させることによりノズル内の容積を拡大するという構成により、充填終了後にノズル内に残留していた充填液が流れ落ちてしまうことを防止するという目的を達成する。
【実施例1】
【0010】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この実施例に係る充填バルブ(全体として符号1で示す)は、内部に充填液の通路2が形成されたバルブハウジング4を備えている。このバルブハウジング4は、上方の大径部4aと、その下方に続き、下方に向かって先細となるテーパー部4bを有しており、さらに、テーパー部4bの下端に連続して小径のノズル6が一体に形成されている。バルブハウジング4の上方大径部4aの側壁に給液口8が設けられており、この給液口8に、充填液タンクに接続された給液管(図示せず)が連結されている。充填時には、充填液タンクから送られた充填液が、この給液口8を介して前記液通路2内に供給される。バルブハウジング4内に供給された充填液は、大径部4aおよびテーパー部4b内の液通路2から、下方のノズル6内の液通路(液通路2のノズル内の部分を符号10で示す)を通り下方に供給された容器(図示せず)内に充填される。
【0011】
バルブハウジング4の上端にシリンダハウジング12が固定され、この固定シリンダハウジング12内に第1駆動手段(第1エアシリンダ13)が設けられている。この第1エアシリンダ13は、固定シリンダハウジング12の内部に形成された円形空間14内に上下に摺動可能に収容された第1ピストン16を備えている。第1ピストン16は、この充填バルブ1の軸心部に昇降可能に配置された筒状部材18の外周面に一体的に設けられており、第1ピストン16の上下動により筒状部材18全体が昇降する。筒状部材18の上部は、固定シリンダハウジング12の上部壁面12aを貫通して上方に突出しており、下部は、固定シリンダハウジング12の下部壁面12bを貫通して前記バルブハウジング4の内部に伸びている。固定シリンダハウジング12内の円形空間14は、第1ピストン16によって上方側の上部圧力室14Aと下方側の下部圧力室14Bとに区画されており、上部エア通路14Aaと下部エア通路14Baを介してそれぞれ圧力エアが給排される。これら両圧力室14A、14Bのいずれか一方に圧力エアを供給するとともに、他方からエア排出することにより第1ピストン16および筒状部材18を昇降させる。
【0012】
筒状部材18の下端に大径部18aが設けられており、その大径部18aの下端外周に環状の弁体(以下第1弁体20と呼ぶ)が取り付けられている。第1ピストン16および筒状部材18が昇降すると、第1弁体20が前記テーパー部4bの内面に当接し、また離隔して、前記液通路2を連通遮断する。この第1弁体20とバルブハウジング4のテーパー部4bの内面(この内面の第1弁体20が当接する部分が第1弁座22である)とにより第1液バルブ24が構成されている。筒状部材18の外周面の、第1ピストン16よりも上部に、僅かに大径の部分16aが形成されており、この大径部分16aが固定シリンダハウジング12の上部壁面12aの下面に当たって、第1ピストン16の上昇限が規制される。また、第1ピストン16の下降限は、第1弁体20が第1弁座22に着座することにより規制される。
【0013】
固定シリンダハウジング12の上部壁面12aから上方に突出している筒状部材18の上端に、可動シリンダハウジング26が取り付けられている。この可動シリンダハウジング26内の下部側に第2駆動手段(第2エアシリンダ27)が、そして上部側に第3駆動手段(第3エアシリンダ29)が設けられている。可動シリンダハウジング26の内部には、上下2つの円形空間28、30が形成されている。下方の円形空間28内に第2エアシリンダ27を構成する第2ピストン32が上下に摺動可能に嵌合している。第2ピストン32が収容されている下方側の円形空間28内は、この第2ピストン32によって上方の圧力室28Aと下方の圧力室28Bに区画されており、これら上下の圧力室28A、28B内に、上部エア通路28Aaと下部エア通路28Baによってそれぞれ圧力エアが給排されるようになっている。これら両圧力室28A、28Bの一方に圧力エアを供給し、他方からエアを排出することにより第2ピストン32を昇降させる。第2ピストン32の下面側にロッド34が設けられており、このロッド34が、可動シリンダハウジング26の底部壁面26aと、この底部壁面26aに固定された前記筒状部材18の内部を貫通して昇降できるようになっており、第2ピストン32が昇降することにより、昇降ロッド34が筒状部材18の内部で昇降する。第2ピストン32が収容されている円形空間28の上部寄りに段部28aが形成されており、第2ピストン32はこの段部28aによって上昇限を規制される。なお、第2ピストン32の下降限を規制する手段については後に説明する。
【0014】
筒状部材18の下端から突出している昇降ロッド34の下端部に第2弁体36が設けられている。この第2弁体36は、上方の昇降ロッド34よりも大径の部分36aと、その下方の円錐部36bとを有している。前記バルブハウジング4の下部に設けられているノズル6は、内部に液通路10が形成されており、この液通路10を形成するノズル6の内面は、上方の小径孔部6aと、その下方に設けられ、下方に向けて次第に内径が大きくなる拡大径部6bと、その下端に連続する大径孔部6cから構成されている。前記第2弁体36の大径部分36aの外径は、ノズル6の内面上部に形成された小径孔部6aの内径とほぼ一致しており、第2ピストン32および昇降ロッド34が下降して第2弁体36がノズル6内の小径孔部6aに嵌入すると、上方のテーパー部4b内の液通路2とノズル内の液通路10との間を遮断する。この第2弁体36とノズル内の小径孔部6aの上部とで第2液バルブ38が構成されている。なお、ノズル6内の液通路10の下部(大径孔部6c)内には、複数枚(この実施例では3枚)のメッシュスクリーン40が取り付けられている。また、ノズル6の出口(ノズルの下端部)にもメッシュスクリーン40が取り付けられている。
【0015】
バルブハウジング4内の充填液通路2の上端と、第1弁体20の外周面および第2弁体36の外周面に亘って、ベローズ42によって覆われている。このベローズ42の上端42aは、バルブハウジング4の上端部内面と固定シリンダハウジング12の下部壁面12bの下面側に形成された段部との間に挟持され、中間部42bは、第1弁体20が取り付けられている大径部18aの外周面に形成された環状溝18b内に嵌着され、下端部42cは第2弁体36の上部に固定されている。このようにベローズ42によって覆ったことにより、筒状部材18とその内部の昇降ロッド34との摺動部、および筒状部材18の外周面と固定シリンダハウジング12の底部壁面12bに形成された貫通孔12cの内面との摺動部を、液通路2から遮断している。
【0016】
可動シリンダハウジング26の上部の円形空間30内に、第3エアシリンダ29を構成する第3ピストン44が上下に摺動可能に嵌合している。上部の円形空間30内は、この第3ピストン44によって上方の圧力室30Aと下方の圧力室30Bに区画されており、これら上下の圧力室30A、30B内に上部エア通路30Aaと下部エア通路30Baによってそれぞれ圧力エアが給排されるようになっている。これら両圧力室30A、30Bの一方に圧力エアを供給し、他方からエアを排出することにより第3ピストン44を昇降させる。第3ピストン44の下面側の中央部に円柱部46が設けられており、前記下方側の円形空間28と上方側の円形空間30とを区画する隔壁26bを貫通して、下方側の円形空間28内(第2シリンダ27内)に伸びている。
【0017】
第3ピストン44の上部に、後に説明するサックバック量を調整するための機構(以下サックバック量調整機構47と呼ぶ)が設けられている。第3ピストン44の上面に複数箇所の連結部材48が設けられ、可動シリンダハウジング26の上部壁面26cに形成された上下方向の穴26caを貫通して上方へ伸びている。これら直立した連結部材48の上端に水平な取付部材50が固定されている。この水平取付部材50の中心に形成されたネジ孔に操作ネジ52が螺合されている。この操作ネジ52の下端には係合脚部54が鉛直方向を向けて取り付けられており、操作ネジ52の操作により係合脚部54の下端の高さを変更できるようになっている。一方、可動シリンダハウジング26の上部壁面26cの上面にストッパ56が配置されており、前記係合脚部54の先端(下端)がこのストッパ56に当たることにより第3ピストン44の下降限を規制することができる。その結果、操作ネジ52の操作によって係合脚部54の下端の高さを変更することによって、第3ピストン44の下面に設けられている円柱部46の下端面46aの位置を調整することができる。
【0018】
可動シリンダハウジング26の上部壁面26cの中央部にネジ孔26cbが形成され、このネジ孔26cb内に、第2ピストン32の下降限を規制する調整ナット58が螺合されている。この調整ナット58を、上端の回転操作部58aによって回転させることにより可動シリンダハウジング26に対する高さを変更することができる。この調整ナット58、可動シリンダハウジング26の上部壁面26cの調整ナット58よりも下側の部分、第3ピストン44およびその下方に設けられた円柱部46を上下に貫通する挿通孔が形成されており、これらの挿通孔内を上下に貫通して調整軸60が挿通されている。この調整軸60の下端は円柱部46の下方へ伸びており、その下端が、前記第2ピストン32の上面に連結されている。また、この調整軸60の上端は、前記調整ナット58の上方に伸びており、その上端に頭部60aが形成されている。従って、第2ピストン32が下降すると、その上端に連結されている調整軸60が一体として下降し、調整軸60の頭部60a下面が調整ナット58の操作部58aの上面に当たって、第2ピストン32およびその下端に連結されている第2弁体36の下降限が規制される。
【0019】
段落「0014」において、第2ピストン32が上昇したときには、下方側の円形空間28の段部28aによって第2ピストン32の上昇限が規制されることを説明した。しかしながら、第3ピストン44の下面に円柱部46が形成されているので、第3ピストン44が上昇しているときには、第2ピストン32が前記段部28aまで上昇するが、第3ピストン44が下降しているときには、第2ピストン32が前記段部28aまで上昇せず、円柱部46の下面46aに当たって停止する。
【0020】
以上の構成に係る充填バルブ1の作動について説明する。充填を開始する時点では、図2に示すように、第1、第2、第3シリンダ13、27、29の各ピストン16、32、44を下降させておく。このときには、第1シリンダ13の上部圧力室14Aに圧力エアを導入するとともに、下部圧力室14Bを開放して第1ピストン16を下降させる。第1ピストン16の下降とともに、筒状部材18が下降してその下端に設けられている第1弁体20が、バルブハウジング4のテーパー部4b内面の第1弁座22に着座して、液通路2を遮断している。また、第2シリンダ27の上部圧力室28Aにも圧力エアを導入し、第2ピストン32も下降させておく。第2ピストン32には、昇降ロッド34を介して第2弁体36が連結されており、第2弁体36がノズル6内の液通路10に挿入され、この液通路10を前記バルブハウジング4内の液通路2と遮断している。さらに、第3シリンダ30の上部圧力室30Aにも圧力エアを導入して第3ピストン44を下降させている。第3ピストン44は、その上方に連結されているサックバック量調整機構47の脚部54下端が可動シリンダハウジング26の上面に設けたストッパ56に当たって下降限を規制されている。
【0021】
この実施例の充填バルブ1では、設定された充填量の大部分を大流量で充填し(図1に示す状態)、その後、小流量で設定充填量の残りを充填するようになっており、先ず、第1液バルブ24を開放するとともに第2液バルブ38を大きく開放する。この場合には、第1シリンダ13の下部圧力室14Bにエアを導入し、上部圧力室14Aのエアを排出する。すると、第1ピストン16および筒状部材18が上昇し、筒状部材18の下端に設けられている第1弁体20が第1弁座22から離座して第1液バルブ24を開放する。第1ピストン16、筒状部材18および第1弁体20は、第1ピストン16の上面に形成されたやや大径の部分16aが固定シリンダハウジング12の上部壁面12aの下面に当たることにより上昇限が規定される。
【0022】
第1ピストン16および筒状部材18が上昇すると、その上端に固定されている可動シリンダハウジング26が一体として上昇する。この上昇した可動シリンダハウジング26内の第2シリンダ27の下部圧力室28Bに圧力エアを導入するとともに、上部圧力室28Aのエアを排出する。第2シリンダ27へのエアの給排により第2ピストン32が上昇すると、昇降ロッド34およびその下端の第2弁体36が一体として上昇し、ノズル6の内部の液通路10から上方へ抜け出す。前述のように可動シリンダハウジング26が上昇した状態で、第2ピストン32を上昇させているので、第2弁体36は大きく上昇し、第2液バルブ38を大開度で開放する。この第2ピストン32は、上部圧力室28A側の内周面に形成された段部28aに当たって上昇限を規制される(以下に説明するように第3ピストン44も上昇しているので第2ピストン32は段部28aまで上昇する)。さらに第3シリンダ29の下部圧力室30Bにも圧力エアを導入するとともに、上部圧力室30Aからエアを排出する。第3ピストン44は上昇し、その上面が可動シリンダハウジング26の上部壁面26cの下面に当たって上昇限を規制される。このように第2ピストン32と第3ピストン44がともに最も上昇した位置まで移動したときには、第3ピストン44の下面に設けられた円柱部46の下端面46aと第2ピストン32の上面との間隔は、図1に示すように大きくなっている。
【0023】
前述のように第1弁体20が上昇して第1液バルブ24が開放し、第2液バルブ38の第2弁体36がノズル6の上端から大きく離れた状態で、大流量の充填が行われる。この状態で、容器内に充填される設定充填量の大部分(例えば95%)を充填する。このように第1液バルブ24と第2液バルブ38の2段階で流量を制御するので、大流量の充填であっても正確な充填が可能である。なお、大流量の充填によって充填される量は前記数値に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0024】
大流量で所定量の充填が行われた後、小流量の充填に切り換える。小流量の充填に切り換える場合には、図3に示すように、第1ピストン16は下部圧力室14Bにエアを導入したままの状態で上昇させておく。このように第1弁体20が弁座22から離座して第1液バルブ24が開放したままの状態で、上方の第2シリンダ27と第3シリンダ29のそれぞれの上部圧力室28A、30Aに圧力エアを導入して第2ピストン32と第3ピストン44を下降させる。第2ピストン32が下降すると、その下端の第2弁体36が下降してノズル6内の液通路10に接近し、第2液バルブ38の開度を小さくする。なお、この第2液バルブ38の開度は、第2ピストン32の上面に連結されている調整軸60の頭部60aが、調整ナット58の操作部58aの上面に当たることによって、第2ピストン32の下降限が規制されることにより設定される。また、第3シリンダ29の第3ピストン44は、下降してサックバック量調整機構47の脚部54が可動シリンダハウジング26の上面に設けられたストッパ56に当たることにより下降限が規制されるようになっており、このときの第3ピストン44の下面側に設けた円柱部46の下端面46aと第2ピストン32の上面との間には僅かな間隙が形成される。このようにして第2液バルブ38の開度によって設定された流量で充填が行われ、予め設定された充填量の残量が充填される。前記大流量の充填とこの小流量の充填により、設定された充填量が容器内に充填されると、充填が終了する。
【0025】
充填を終了させるときには、図3に示す小流量の充填を行っていた状態から、第2および第3ピストン32、44はそのままで、第1シリンダ13の上部圧力室14Aにエアを導入するとともに、下部圧力室14Bのエアを排出する。すると、第1ピストン16が下降して、筒状部材18の下端に設けられた第1弁体20が充填液通路2内面の第1弁座22に着座してこの液通路2を閉鎖する。また、第1ピストン20が下降すると、筒状部材18の上端に固定されている可動シリンダハウジング26も一体的に下降する。その結果、可動シリンダハウジング26内で小流量の充填時(図3参照)と同じ位置にある第2ピストン32は、下方のバルブハウジング4に対して下降する。第2ピストン32が下降することにより昇降ロッド34の下端に設けられている第2弁体36が、ノズル6内面の液通路10の内部まで挿入されて第2液バルブ38が閉鎖される。また、第3ピストン44も、可動シリンダハウジング26に対しては小流量の充填時と同じ位置にあり、第3ピストン44の下面に設けられた円柱部46の下面46aと第2ピストン32の上面との間隔も小流量の充填時(図3参照)と同じく僅かであり、近い距離で対向している。このように第1液バルブ24および第2液バルブ38を閉じると図2に示す状態に戻る。
【0026】
第1液バルブ24および第2液バルブ38をともに閉鎖して充填が終了した後、ノズル6の先端からの液だれを防止するために、サックバックを行う。このときには、第1ピストン16と第3ピストン44は、液バルブ24、36の閉鎖時(図2参照)と同様にいずれも下降させた位置のままとし、第2シリンダ27の下部圧力室28Bにエアを導入するとともに、上部圧力室28Aのエアを排出する。このように下部圧力室28Bにエアを導入すると第2ピストン32が上昇するが、この第2ピストン32の上方の近接した位置に、第3ピストン44の円柱部46の下端46aが停止しているので、第2ピストン32はこの円柱部46に規制される位置まで僅かに上昇する。第2弁体36の上昇量は僅かなので、ノズル6内部の液通路10から抜け出さずに、この液通路10内で僅かに上昇する。ノズル6内の液通路10内で第2弁体36が上昇すると、ノズル6内部の容積が拡大して負圧状態となり、充填終了時にノズル6内に残留していた充填液が吸引されて保持され、液だれとして落下してしまうことがない。
【符号の説明】
【0027】
2 液通路
4 バルブハウジング
6 ノズル
10 液通路(ノズルの液通路)
13 第1駆動手段(第1シリンダ)
20 第1弁体
22 第1弁座
27 第2駆動手段(第2シリンダ)
36 第2弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液通路が形成されたバルブハウジングと、このバルブハウジングの下部に設けられたノズルと、前記液通路の内面に形成された第1弁座に着座可能な第1弁体と、この第1弁体内に昇降可能に挿通され、前記第1弁体よりも下方で前記液通路を開閉可能な第2弁体と、前記第1弁体を作動する第1駆動手段と、前記第2弁体を作動する第2駆動手段と、前記第1弁体と第2弁体との間を覆うベローズとを備え、
前記第1弁体によって前記液通路を閉鎖して充填が終了した後、第2弁体を上方へ後退させてノズル内の容積を拡大することを特徴とする充填バルブ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate