充填包装機
【課題】横シール装置を備えた充填包装機について、高速で振動および騒音を減少させるとともに小型、軽量化、更には耐久性やリサイクル性などの向上を図る。
【解決手段】長尺で帯状の包装フィルムを連続的に取り出して上方から下方へと移送する過程で、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに、シール部の上方位置において配置された往復動クランク機構を用いて上下方向に往復動させる上下動機構を介して基板に取り付けた一対の横シールロールを有する横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状とし、これに充填装置のノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に横シール装置により封着して連続して包装袋を形成する充填包装機であって、横シール装置の上下機構において上下移動可能に支持する基板、横シールロールのシャフトまたはシャフトを基板に支持する軸受けケースの少なくとも1つをマグネシウム合金またはチタン合金により形成した。
【解決手段】長尺で帯状の包装フィルムを連続的に取り出して上方から下方へと移送する過程で、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに、シール部の上方位置において配置された往復動クランク機構を用いて上下方向に往復動させる上下動機構を介して基板に取り付けた一対の横シールロールを有する横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状とし、これに充填装置のノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に横シール装置により封着して連続して包装袋を形成する充填包装機であって、横シール装置の上下機構において上下移動可能に支持する基板、横シールロールのシャフトまたはシャフトを基板に支持する軸受けケースの少なくとも1つをマグネシウム合金またはチタン合金により形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の帯状フィルムをヒートシールすることにより袋状として内容物を充填した包装袋を連続的に製造する充填包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体などの流動可能な商品について、巻回した長尺の帯状フィルムを連続的に取り出して上方から下方へと移送する過程で、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状とし、これに充填装置のノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に前記横シール装置により封着して連続して形成される包装袋を切断装置により切断して分離し、包装袋を形成する充填包装機が知られている。
【0003】
そして、前記充填包装機における横シール装置は筒状に形成されて移送される長尺の包装フィルムを一対の横シールロールで間欠的に挟持することにより包装袋の下端と上端とをヒートシールするものであるが、ヒートシールする包装フィルムは一定の速度で移動していることから一対の横シールロールで挟持する時間が短く充分なシールを行えない場合がある。
【0004】
そこで、従来から、横シール装置を上下動機構により包装フィルムに沿って往復動させることによりシール時間を長くして確実なシールを行うことが一般的に行われている(ロールアジャスター機構)。
【0005】
そして、従来の動きが大きく迅速な上下動が困難であり、包装フィルムの高速な移動に対処することができないボックスモーション式やラック、ボールねじ、カム機構を用いた上下動機構に代えてシール部の上方位置において配置された往復動クランク機構を用いて上下方向に往復動させる上下動機構が特開2007−223614号公報に提示されている。
【0006】
この公報に提示されている、高速での連続的上下動が可能であるとともに、上下動の速さが無段階に調節可能であり、また、小型化も可能であるという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−223614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の如く前記公報に提示されている横シール装置を備えた充填包装機は、前記ボックスモーション式やラック、ボールねじ、カム機構を用いた上下動機構を用いたものに比べて高速での連続的上下動が可能であるとともに、上下動の速さが無段階に調節可能であるばかりか小型化も可能であるという多数の優れた点を有している。
【0009】
本発明は、前記公報に提示されている横シール装置を備えた充填包装機の改良に関するものであり、更に、高速で振動および騒音を減少させるとともに小型、軽量化、更には耐久性やリサイクル性などの向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するためになされた本発明は、長尺で帯状の包装フィルムを連続的に取り出して上方から下方へと移送する過程で、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに、シール部の上方位置において配置された往復動クランク機構を用いて上下方向に往復動させる上下動機構を介して基板に取り付けた一対の横シールロールを有する横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状とし、これに充填装置のノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に前記横シール装置により封着して連続して包装袋を形成する充填包装機であって、前記横シール装置の上下機構において上下移動可能に支持する基板、前記横シールロールのシャフトまたは前記シャフトを前記基板に支持する軸受けケースの少なくとも1つがマグネシウム合金またはチタン合金により形成されていること特徴とする。
【0011】
本発明によれば、上下動機構を比強度の大きいマグネシウム合金またはチタン合金により形成することにより軽量化し、振動を減少させて更に充填機の高速化を図ることができる。特に、内部損出が大きく減衰能に優れたマグネシウム合金では振動や衝撃吸収により振動の吸収が大きい。
【0012】
また、前記上下動機構を構成する往復動クランク機構を構成するクランク軸に前記横シール装置へのコンロッドと上下方向において対称に配置されたもう1つのコンロッドから構成される往復動クランク機構により上下方向に往復動するカウンターウエイトが設置されている場合には、カウンターウエイトの軽量化が可能で、カウンターウエイトの慣性エネルギーの減少により更に振動の軽減と高速化が図れる。
【0013】
特に、前記基板、軸受けケースがマグネシウム合金により形成されているとともに前記シャフトがより耐久性に優れたチタン合金により形成されている場合には、全体として軽量化が図れるだけでなく、振動の軽減、高速化が図れるだけでなく、剛性、経済性の面でも優れたものとなる。
【0014】
加えて、前記横シール装置における表面を周方向へ弧状とした帯状ヒートプレートが軸線方向へ延在している横シールロールにおいて、前記帯状ヒートプレートの弧状部分がその横断面内において前記包装フィルムと最初に接する部分におけるロール中心からの距離が前記包装フィルムと最後に接する部分のロール中心からの距離よりも大きく形成されているものとした場合には、前記横シール装置が軽量化などにより高速で回転したとしても確実に横シールを行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の充填包装機にも増して、高速な包装フィルムの移送にも対応して充分なヒートシールが可能であるばかりか、振動もなく低騒音化を図ることができるばかりか、軽量化、小型化を図ることができ、剛性、耐久性にも優れ経済的にも有利なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態である横シール装置を用いた充填包装機の概略図。
【図2】図1に示した本発明における実施の形態を示す概略縦断面図。
【図3】図1に示した実施の形態を示す上下動機構の駆動モータを外した状態の正面側から観た斜視図。
【図4】図1に示した実施の形態のケースを取り去った背面側から観た斜視図。
【図5】図4において一部のカウンターウエイト部材を取り去った状態の斜視図。
【図6】本発明の実施の形態に用いられる基板の拡大斜視図。
【図7】本発明の実施の形態に用いられるシャフトの拡大斜視図。
【図8】本発明の実施の形態に用いられるシャフトの拡大斜視図。
【図9】本発明の実施の形態に用いられる軸受けケースの拡大斜視図。
【図10】本発明の実施の形態に用いられる軸受けケースの拡大斜視図。
【図11】本発明の実施の形態に用いられる横シールロールの一部拡大断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明における横シール装置1を用いた充填包装機2の概略を示すものであり、箱形のケース21内に、長尺で帯状の包装フィルムFをロール状に巻回したフィルム原反3が交換可能に配置されており、上部に前記包装フィルム原反3に巻回した包装フィルムFを上方へ取り出す案内装置4が配置されているとともに、その下方にフィルム折り返し装置5がそれぞれ配置されており、更にその下方に縦シール装置6、充填装置7,ノッチ形成装置8、本発明である横シール装置1、カッター装置9などが配置されている。
【0019】
本充填包装機2は、フィルム原反3から案内装置4を介して連続的に移送される包装フィルムFを、前記フィルム折り返し装置5により両縁を合わせて折り重ねて縦シール装置6により折り重ね部をシールして筒状にし、次いで、本発明である横シール装置1により包装フィルムFを横方向にシールして充填装置7から内容物を充填して後、更に、本発明である横シール装置1により封着して連続した包装袋を形成し、これを必要であれば冷却ローラ装置10により冷却した後、カッター装置9により個々に切断して分離し包装袋を自動的に形成するものである。
【0020】
そして、本発明である横ロール装置1は、図2乃至図5に示すように、主として包装フィルムFを横方向にシールする一対の横シールロール111,111を有するシール部11と、前記シール部11の上方に配置されてシール部11を上下方向に往復動させる上下動機構12と、前記上下動機構12の上方に配置されて前記上下動機構12により上下方向に往復動させられるカウンターウエイト13とから構成され、特に、本実施の形態では前記上下動機構12およびカウンターウエイト13は、移送される包装フィルムFを挟んで縦シール装置6の対向側においてケース21内に形成される空所Aに配置されるので、装置全体の高さや幅が増加することなくきわめて有効に配置することができる。
【0021】
実施の形態であるシール部11は、図1に示したケース21に沿って配置される基盤23にそれぞれ両端に配置した固着具24,24により互いに所定の間隔を有して縦方向に並設された2本の摺動杆25,25に摺動可能に嵌装させたそれぞれ上下一対の摺動部材26,26により支持された基板27に取り付けられる。
【0022】
殊に、本実施の形態に用いられる前記基板27は図6に示すような全体形状であり、従来のアルミ合金に代わって、比強度が大きく、耐振動性、耐衝撃性の大きいマグネシウム合金またはチタン合金により形成することにより軽量化し、振動の吸収が大きい軽量で剛性の高いマグネシウム合金により形成されている。
【0023】
そして、シール部11は、従来からこの種の充填包装機に用いられているものとほぼ同様の構造を有するものであり、2つのサーボモータなどの駆動源112およびエアシリンダからなる駆動源113により、外周面にヒートシール用の帯状ヒートプレート114を間欠的に列設した一対の横シールロール111,111を形成するシャフト118,119が内部にベアリング軸受けを収容した前後一対の軸受けケース101、102により前記基板27に取り付けられている。
【0024】
図7は本実施の形態におけるシャフト118、図8はシャフト119の全体を示すものであり、シャフト119は分割式で2つのシャフト部材119a,119bから構成され
る。
【0025】
特に、本実施の形態では前記シャフト118,119はいずれもチタン合金により形成されている。そのため、より一層の軽量化が図れるばかりか強度も増してきわめて高い剛性を発揮することができる。
【0026】
また、図9および図10は前記軸受けケース101および102を示すものであり、これらの軸受けケース101および102がマグネシウム合金により形成されていて高い剛性により確実且つ円滑な回転と軽量化を図っている。
【0027】
そして、前記シャフト118,119に付設したギヤ115,116を噛み合わせて回転させることにより、所定の時間ごとに横シールロール111,111の間に移送される包装フィルムを横シールする。
【0028】
また、前記シール部11を上下動させる上下動機構12は、前記図1に示したケース21に沿って配置される基盤23に、前記シール部11が上下方向に移動可能に支持される2本の摺動杆25,25を包囲するようにして固着された断面がH形の固定具121により前記シール部11の上方に配置される。
【0029】
この上下動機構12は、少なくとも前記固定具121と基盤23とに設置したベアリン
グにより軸支される複数の支持体122,123により装置に支持されるサーボモータなどの駆動源124により回転するクランク軸125を有している。
【0030】
更に、前記クランク軸125は、支持体122を挟んで縦方向(上下方向)に対向して一対のクランクピン126,127を有しており、これらのクランクピン126,127にコンロッド128,129がそれぞれ軸支されている。一方のコンロッド128の軸端は前記シール部11を支持する基板27に突設した支持軸117に回動自由に支持されており、もう一方のコンロッド129の軸端はカウンターウエイト13を前記摺動杆25,25に摺動可能に嵌装させた摺動部材28,28により上下動可能に基盤23に支持する支持盤131に突設した支持軸132に回動自由に支持されている。従って、クランク軸125を回転させるとシール部11およびカウンターウエイト13が互いに常にクランク軸25を挟んで上下方向の対称位置にあるような状態で上下動する往復動クランク機構を構成している。従って、上下動機構12によりシール部11を高速で上下動させたとしても不要な振動を生じることなく安定した状態で稼働させることができる。
【0031】
尚、図面中、符号133は支持盤131に付設したカウンターウエイト部材であり、前述のように前記上下動機構12の作動機構を構成する上下移動可能に支持する基板27、基板27に支持する軸受けケース102,103をマグネシウム合金により形成するとともに、横シールロール11のシャフト118,119、シャフト118,119をチタン合金により形成して横シールロール11を含む上下動機構12を軽量化したので振動が減少するとともに、カウンターウエイト部材自体も小型、軽量化が可能であり、全体として高速化(回転速度200〜300rpm)ならびに小型化、省エネルギー化が可能である。
【0032】
更に、図11は横シール装置1における一方の横シールロール111における部分横断面図を示すものであり、中心に配置されたチタン合金により形成されたシャフト118の外周面にヒートシール用の帯状ヒートプレート114が取り付けねじ114aにより固着されている。尚、可能であれば帯状ヒートプレート114も軽合金やチタン合金などのような軽量で且つ熱伝導に優れた金属により形成することが好ましい。
【0033】
そして、前記帯状ヒートプレート114は、横断面内において回転方向の前記包装フィルムと最初に接する部分におけるロール中心Cからの距離L1が前記包装フィルムと最後に接する部分のロール中心Cからの距離L2よりも大きく形成されて全体に包装フィルムと最初に接する部分から最後に接する部分へと漸次ロール中心Cからの距離が小さくなるように表面が弧状に形成されている。従って、前記横シール装置1がシャフト118の軽量化などにより高速で回転したとしても、少なくとも最初に包装シートを溶着する部分におけるロール中心Cからの距離L1が大きいので確実に横シールを行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 横シール装置、2 充填包装機、5 折り返し装置、6 縦シール装置、7 充填装置、
9 切断装置、11 シール部、12 上下動機構、13 カウンターウエイト、27 基板、101,102 軸受けケース、118,119 シャフト、125 クランク軸、1
26,127 クランクピン、 128,129 コンロッド、130 ニードルベアリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の帯状フィルムをヒートシールすることにより袋状として内容物を充填した包装袋を連続的に製造する充填包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体などの流動可能な商品について、巻回した長尺の帯状フィルムを連続的に取り出して上方から下方へと移送する過程で、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状とし、これに充填装置のノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に前記横シール装置により封着して連続して形成される包装袋を切断装置により切断して分離し、包装袋を形成する充填包装機が知られている。
【0003】
そして、前記充填包装機における横シール装置は筒状に形成されて移送される長尺の包装フィルムを一対の横シールロールで間欠的に挟持することにより包装袋の下端と上端とをヒートシールするものであるが、ヒートシールする包装フィルムは一定の速度で移動していることから一対の横シールロールで挟持する時間が短く充分なシールを行えない場合がある。
【0004】
そこで、従来から、横シール装置を上下動機構により包装フィルムに沿って往復動させることによりシール時間を長くして確実なシールを行うことが一般的に行われている(ロールアジャスター機構)。
【0005】
そして、従来の動きが大きく迅速な上下動が困難であり、包装フィルムの高速な移動に対処することができないボックスモーション式やラック、ボールねじ、カム機構を用いた上下動機構に代えてシール部の上方位置において配置された往復動クランク機構を用いて上下方向に往復動させる上下動機構が特開2007−223614号公報に提示されている。
【0006】
この公報に提示されている、高速での連続的上下動が可能であるとともに、上下動の速さが無段階に調節可能であり、また、小型化も可能であるという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−223614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の如く前記公報に提示されている横シール装置を備えた充填包装機は、前記ボックスモーション式やラック、ボールねじ、カム機構を用いた上下動機構を用いたものに比べて高速での連続的上下動が可能であるとともに、上下動の速さが無段階に調節可能であるばかりか小型化も可能であるという多数の優れた点を有している。
【0009】
本発明は、前記公報に提示されている横シール装置を備えた充填包装機の改良に関するものであり、更に、高速で振動および騒音を減少させるとともに小型、軽量化、更には耐久性やリサイクル性などの向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するためになされた本発明は、長尺で帯状の包装フィルムを連続的に取り出して上方から下方へと移送する過程で、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに、シール部の上方位置において配置された往復動クランク機構を用いて上下方向に往復動させる上下動機構を介して基板に取り付けた一対の横シールロールを有する横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状とし、これに充填装置のノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に前記横シール装置により封着して連続して包装袋を形成する充填包装機であって、前記横シール装置の上下機構において上下移動可能に支持する基板、前記横シールロールのシャフトまたは前記シャフトを前記基板に支持する軸受けケースの少なくとも1つがマグネシウム合金またはチタン合金により形成されていること特徴とする。
【0011】
本発明によれば、上下動機構を比強度の大きいマグネシウム合金またはチタン合金により形成することにより軽量化し、振動を減少させて更に充填機の高速化を図ることができる。特に、内部損出が大きく減衰能に優れたマグネシウム合金では振動や衝撃吸収により振動の吸収が大きい。
【0012】
また、前記上下動機構を構成する往復動クランク機構を構成するクランク軸に前記横シール装置へのコンロッドと上下方向において対称に配置されたもう1つのコンロッドから構成される往復動クランク機構により上下方向に往復動するカウンターウエイトが設置されている場合には、カウンターウエイトの軽量化が可能で、カウンターウエイトの慣性エネルギーの減少により更に振動の軽減と高速化が図れる。
【0013】
特に、前記基板、軸受けケースがマグネシウム合金により形成されているとともに前記シャフトがより耐久性に優れたチタン合金により形成されている場合には、全体として軽量化が図れるだけでなく、振動の軽減、高速化が図れるだけでなく、剛性、経済性の面でも優れたものとなる。
【0014】
加えて、前記横シール装置における表面を周方向へ弧状とした帯状ヒートプレートが軸線方向へ延在している横シールロールにおいて、前記帯状ヒートプレートの弧状部分がその横断面内において前記包装フィルムと最初に接する部分におけるロール中心からの距離が前記包装フィルムと最後に接する部分のロール中心からの距離よりも大きく形成されているものとした場合には、前記横シール装置が軽量化などにより高速で回転したとしても確実に横シールを行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の充填包装機にも増して、高速な包装フィルムの移送にも対応して充分なヒートシールが可能であるばかりか、振動もなく低騒音化を図ることができるばかりか、軽量化、小型化を図ることができ、剛性、耐久性にも優れ経済的にも有利なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態である横シール装置を用いた充填包装機の概略図。
【図2】図1に示した本発明における実施の形態を示す概略縦断面図。
【図3】図1に示した実施の形態を示す上下動機構の駆動モータを外した状態の正面側から観た斜視図。
【図4】図1に示した実施の形態のケースを取り去った背面側から観た斜視図。
【図5】図4において一部のカウンターウエイト部材を取り去った状態の斜視図。
【図6】本発明の実施の形態に用いられる基板の拡大斜視図。
【図7】本発明の実施の形態に用いられるシャフトの拡大斜視図。
【図8】本発明の実施の形態に用いられるシャフトの拡大斜視図。
【図9】本発明の実施の形態に用いられる軸受けケースの拡大斜視図。
【図10】本発明の実施の形態に用いられる軸受けケースの拡大斜視図。
【図11】本発明の実施の形態に用いられる横シールロールの一部拡大断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明における横シール装置1を用いた充填包装機2の概略を示すものであり、箱形のケース21内に、長尺で帯状の包装フィルムFをロール状に巻回したフィルム原反3が交換可能に配置されており、上部に前記包装フィルム原反3に巻回した包装フィルムFを上方へ取り出す案内装置4が配置されているとともに、その下方にフィルム折り返し装置5がそれぞれ配置されており、更にその下方に縦シール装置6、充填装置7,ノッチ形成装置8、本発明である横シール装置1、カッター装置9などが配置されている。
【0019】
本充填包装機2は、フィルム原反3から案内装置4を介して連続的に移送される包装フィルムFを、前記フィルム折り返し装置5により両縁を合わせて折り重ねて縦シール装置6により折り重ね部をシールして筒状にし、次いで、本発明である横シール装置1により包装フィルムFを横方向にシールして充填装置7から内容物を充填して後、更に、本発明である横シール装置1により封着して連続した包装袋を形成し、これを必要であれば冷却ローラ装置10により冷却した後、カッター装置9により個々に切断して分離し包装袋を自動的に形成するものである。
【0020】
そして、本発明である横ロール装置1は、図2乃至図5に示すように、主として包装フィルムFを横方向にシールする一対の横シールロール111,111を有するシール部11と、前記シール部11の上方に配置されてシール部11を上下方向に往復動させる上下動機構12と、前記上下動機構12の上方に配置されて前記上下動機構12により上下方向に往復動させられるカウンターウエイト13とから構成され、特に、本実施の形態では前記上下動機構12およびカウンターウエイト13は、移送される包装フィルムFを挟んで縦シール装置6の対向側においてケース21内に形成される空所Aに配置されるので、装置全体の高さや幅が増加することなくきわめて有効に配置することができる。
【0021】
実施の形態であるシール部11は、図1に示したケース21に沿って配置される基盤23にそれぞれ両端に配置した固着具24,24により互いに所定の間隔を有して縦方向に並設された2本の摺動杆25,25に摺動可能に嵌装させたそれぞれ上下一対の摺動部材26,26により支持された基板27に取り付けられる。
【0022】
殊に、本実施の形態に用いられる前記基板27は図6に示すような全体形状であり、従来のアルミ合金に代わって、比強度が大きく、耐振動性、耐衝撃性の大きいマグネシウム合金またはチタン合金により形成することにより軽量化し、振動の吸収が大きい軽量で剛性の高いマグネシウム合金により形成されている。
【0023】
そして、シール部11は、従来からこの種の充填包装機に用いられているものとほぼ同様の構造を有するものであり、2つのサーボモータなどの駆動源112およびエアシリンダからなる駆動源113により、外周面にヒートシール用の帯状ヒートプレート114を間欠的に列設した一対の横シールロール111,111を形成するシャフト118,119が内部にベアリング軸受けを収容した前後一対の軸受けケース101、102により前記基板27に取り付けられている。
【0024】
図7は本実施の形態におけるシャフト118、図8はシャフト119の全体を示すものであり、シャフト119は分割式で2つのシャフト部材119a,119bから構成され
る。
【0025】
特に、本実施の形態では前記シャフト118,119はいずれもチタン合金により形成されている。そのため、より一層の軽量化が図れるばかりか強度も増してきわめて高い剛性を発揮することができる。
【0026】
また、図9および図10は前記軸受けケース101および102を示すものであり、これらの軸受けケース101および102がマグネシウム合金により形成されていて高い剛性により確実且つ円滑な回転と軽量化を図っている。
【0027】
そして、前記シャフト118,119に付設したギヤ115,116を噛み合わせて回転させることにより、所定の時間ごとに横シールロール111,111の間に移送される包装フィルムを横シールする。
【0028】
また、前記シール部11を上下動させる上下動機構12は、前記図1に示したケース21に沿って配置される基盤23に、前記シール部11が上下方向に移動可能に支持される2本の摺動杆25,25を包囲するようにして固着された断面がH形の固定具121により前記シール部11の上方に配置される。
【0029】
この上下動機構12は、少なくとも前記固定具121と基盤23とに設置したベアリン
グにより軸支される複数の支持体122,123により装置に支持されるサーボモータなどの駆動源124により回転するクランク軸125を有している。
【0030】
更に、前記クランク軸125は、支持体122を挟んで縦方向(上下方向)に対向して一対のクランクピン126,127を有しており、これらのクランクピン126,127にコンロッド128,129がそれぞれ軸支されている。一方のコンロッド128の軸端は前記シール部11を支持する基板27に突設した支持軸117に回動自由に支持されており、もう一方のコンロッド129の軸端はカウンターウエイト13を前記摺動杆25,25に摺動可能に嵌装させた摺動部材28,28により上下動可能に基盤23に支持する支持盤131に突設した支持軸132に回動自由に支持されている。従って、クランク軸125を回転させるとシール部11およびカウンターウエイト13が互いに常にクランク軸25を挟んで上下方向の対称位置にあるような状態で上下動する往復動クランク機構を構成している。従って、上下動機構12によりシール部11を高速で上下動させたとしても不要な振動を生じることなく安定した状態で稼働させることができる。
【0031】
尚、図面中、符号133は支持盤131に付設したカウンターウエイト部材であり、前述のように前記上下動機構12の作動機構を構成する上下移動可能に支持する基板27、基板27に支持する軸受けケース102,103をマグネシウム合金により形成するとともに、横シールロール11のシャフト118,119、シャフト118,119をチタン合金により形成して横シールロール11を含む上下動機構12を軽量化したので振動が減少するとともに、カウンターウエイト部材自体も小型、軽量化が可能であり、全体として高速化(回転速度200〜300rpm)ならびに小型化、省エネルギー化が可能である。
【0032】
更に、図11は横シール装置1における一方の横シールロール111における部分横断面図を示すものであり、中心に配置されたチタン合金により形成されたシャフト118の外周面にヒートシール用の帯状ヒートプレート114が取り付けねじ114aにより固着されている。尚、可能であれば帯状ヒートプレート114も軽合金やチタン合金などのような軽量で且つ熱伝導に優れた金属により形成することが好ましい。
【0033】
そして、前記帯状ヒートプレート114は、横断面内において回転方向の前記包装フィルムと最初に接する部分におけるロール中心Cからの距離L1が前記包装フィルムと最後に接する部分のロール中心Cからの距離L2よりも大きく形成されて全体に包装フィルムと最初に接する部分から最後に接する部分へと漸次ロール中心Cからの距離が小さくなるように表面が弧状に形成されている。従って、前記横シール装置1がシャフト118の軽量化などにより高速で回転したとしても、少なくとも最初に包装シートを溶着する部分におけるロール中心Cからの距離L1が大きいので確実に横シールを行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 横シール装置、2 充填包装機、5 折り返し装置、6 縦シール装置、7 充填装置、
9 切断装置、11 シール部、12 上下動機構、13 カウンターウエイト、27 基板、101,102 軸受けケース、118,119 シャフト、125 クランク軸、1
26,127 クランクピン、 128,129 コンロッド、130 ニードルベアリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺で帯状の包装フィルムを連続的に取り出して上方から下方へと移送する過程で、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに、シール部の上方位置において配置された往復動クランク機構を用いて上下方向に往復動させる上下動機構を介して基板に取り付けた一対の横シールロールを有する横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状とし、これに充填装置のノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に前記横シール装置により封着して連続して包装袋を形成する充填包装機であって、前記横シール装置の上下機構において上下移動可能に支持する基板、前記横シールロールのシャフトまたは前記シャフトを前記基板に支持する軸受けケースの少なくとも1つがマグネシウム合金またはチタン合金により形成されていること特徴とする充填包装機。
【請求項2】
前記基板、軸受けケースがマグネシウム合金により形成されているとともに前記シャフトがチタン合金により形成されていること特徴とする請求項1に記載の充填包装機。
【請求項3】
前記上下動機構を構成する往復動クランク機構を構成するクランク軸に前記横シール装置へのコンロッドと上下方向において対称に配置されたもう1つのコンロッドから構成される往復動クランク機構により上下方向に往復動するカウンターウエイトが設置されている請求項1または2に記載の充填包装機。
【請求項4】
前記横シール装置における横シールロールが表面を周方向へ弧状とした帯状ヒートプレートが軸線方向へ延在しており、前記帯状ヒートプレートはその横断面内において前記包装フィルムと最初に接する部分におけるロール中心からの距離が前記包装フィルムと最後に接する部分のロール中心からの距離よりも大きく形成されている請求項1,2または3に記載の充填包装機。
【請求項1】
長尺で帯状の包装フィルムを連続的に取り出して上方から下方へと移送する過程で、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに、シール部の上方位置において配置された往復動クランク機構を用いて上下方向に往復動させる上下動機構を介して基板に取り付けた一対の横シールロールを有する横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状とし、これに充填装置のノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に前記横シール装置により封着して連続して包装袋を形成する充填包装機であって、前記横シール装置の上下機構において上下移動可能に支持する基板、前記横シールロールのシャフトまたは前記シャフトを前記基板に支持する軸受けケースの少なくとも1つがマグネシウム合金またはチタン合金により形成されていること特徴とする充填包装機。
【請求項2】
前記基板、軸受けケースがマグネシウム合金により形成されているとともに前記シャフトがチタン合金により形成されていること特徴とする請求項1に記載の充填包装機。
【請求項3】
前記上下動機構を構成する往復動クランク機構を構成するクランク軸に前記横シール装置へのコンロッドと上下方向において対称に配置されたもう1つのコンロッドから構成される往復動クランク機構により上下方向に往復動するカウンターウエイトが設置されている請求項1または2に記載の充填包装機。
【請求項4】
前記横シール装置における横シールロールが表面を周方向へ弧状とした帯状ヒートプレートが軸線方向へ延在しており、前記帯状ヒートプレートはその横断面内において前記包装フィルムと最初に接する部分におけるロール中心からの距離が前記包装フィルムと最後に接する部分のロール中心からの距離よりも大きく形成されている請求項1,2または3に記載の充填包装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−20775(P2012−20775A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161313(P2010−161313)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【出願人】(390037707)オーエスマシナリー株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【出願人】(390037707)オーエスマシナリー株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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