説明

充電システム,給電装置,充電電流発生装置

【課題】外出先等で商用電源コンセントの位置等に制約されることなく携帯端末を充電しながら長時間の使用を可能とする充電システムを提供する。
【解決手段】充電システム1では、机D上の給電エリアSA内に設定された複数の発生ポイントSPのそれぞれに一次コイル11が配置され、給電装置10は、一次コイル11介して、給電エリアSA内に誘導磁界を発生させる。給電エリアSAに載置された充電パッド20、又は非接触充電対応携帯端末40に組み込まれた充電モジュールは、一次コイル11による誘導磁界と結合して、携帯端末30,40の充電に用いる一定値の充電電流を発生させる。つまり、給電エリアSAに載置された充電パッド20に携帯端末30を接続するか、給電エリアSAに非接触充電対応携帯端末40を載置するだけで、携帯端末30,40の二次電池を充電しながら携帯端末30,40を長時間使用することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を非接触で充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワンセグ放送が2006年4月に放送が開始されて以来、ワンセグ対応の携帯端末(携帯電話やPC等)の普及は目覚ましいものがある。
しかし、携帯端末が持つ多機能の中で、とりわけワンセグ放送視聴時の消費電力が大きいため、電源のないところでの長時間視聴には耐えないという問題があった。
【0003】
ところで、携帯端末の一つである携帯電話の充電には、一般的に、充電用コネクタや充電用スタンドが用いられている。また、充電用スタンドの中には、充電用スタンド側に設けた一次コイルと、端末側に設けた二次コイルとの間で非接触で充電を行うものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
つまり、このような充電用コネクタや充電用スタンドを用いることが可能な場所であれば、二次電池の容量を心配することなく長時間の視聴が可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−168837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、携帯端末の利用者が、外出先でワンセグ放送を長時間視聴しようとした場合、携帯端末と共に充電用コネクタや充電用スタンドを持ち運ぶ必要があり、また、これらを所持していたとしても、充電用コネクタや充電用スタンドの電源コードを接続する商用電源コンセントがなければ使用できず、更に、利用できる商用電源コンセントがあったとしても、充電しながら視聴できる場所が、その商用電源コンセントの周辺に限られてしまい、使い勝手が非常に悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために、外出先等で商用電源コンセントの位置等に制約されることなく携帯端末を充電しながら長時間の使用を可能とする充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の充電システムでは、給電装置が、机上の少なくとも一部を給電エリアとして、該給電エリア内に一次元的または二次元的に配置された発生ポイントのそれぞれにて誘導磁界を発生させる。そして、充電電流発生装置が、給電エリアに載置されると、給電装置が発生させる誘導磁界と結合して、携帯端末の充電に用いる一定値の充電電流を発生させる。
【0009】
なお、充電電流発生装置は、携帯端末に組み込まれていてもよいし、携帯端末とは別体に形成され、携帯端末に充電電流を供給するための端末インタフェースを備えていてもよい。
【0010】
このように構成された充電システムによれば、充電電流発生装置が組み込まれた携帯端末、又は携帯端末が端末インタフェースに接続された充電電流発生装置を、机上の給電エリアに載置するだけで、携帯端末を非接触で充電することができる。
【0011】
従って、飲食店や公共施設等に設置する机に本発明の充電システムを適用すれば、外出先等であっても、その充電システムが適用された机を利用することによって、商用電源コンセントの位置等に制約されることなく、簡単に携帯端末を充電しながら長時間利用することができる。
【0012】
しかも、充電電流発生装置は、一定値の充電電流を発生させるため、過負荷による発熱を防止することができ、安全性にも優れたシステムを提供することができる。
ところで、給電装置は、例えば、発生ポイントの下部にそれぞれ配置された一次コイルと、一次コイルに交番電流を供給する交番電流供給回路とで構成することができ、また、充電電流発生装置は、例えば、一次コイルが発生させた誘導磁界と結合して起電力を発生させる二次コイルと、該二次コイルの出力を整流する整流回路と、整流回路の出力から一定値の充電電流を発生させる定電流回路とで構成することができる。
【0013】
そして、充電電流発生装置が携帯端末と別体に構成されている場合、定電流回路が発生させる充電電流は、充電対象となることが想定される多様な携帯端末の中で、許容充電電流が最小であるものよりも小さな電流値となるように設定されていることが望ましい。
【0014】
この場合、充電対象となることが想定される全ての携帯端末を、その携帯端末の電源定格や仕様に依らず安全に充電することができる。
また、充電電流発生装置において、二次コイルは、例えば、当該充電電流発生装置が机上に載置された時に、少なくとも一つの発生ポイントの誘導磁界と結合する形状及び大きさに形成されていることが望ましい。
【0015】
但し、この場合、例えば、図5(a)に示すように、二次コイル102が、偶然二つの発生ポイントの各一次コイル101と逆相且つほぼ同じ強度で結合する可能性があり、この状態では、二次コイル102に対して電力が殆ど供給されないという問題がある。
【0016】
そこで、二次コイルを、充電電流発生装置が机上に載置された時に少なくとも一つの発生ポイントの誘導磁界と結合する形状及び大きさに形成された大コイルと、該大コイルの内側に配置される小コイルとで構成し、整流回路は、大コイル及び小コイルの出力をそれぞれ整流して合波するように構成してもよい。
【0017】
また、充電電流発生装置が机上に載置された時に少なくとも一つの発生ポイントが重なる形状及び大きさを有する領域を受電領域として、二次コイルを、受電領域を重複なく覆うように配置された複数の小コイルで構成し、整流回路は、各小コイルの出力をそれぞれ整流して合波するように構成してもよい。
【0018】
このように二次コイルを複数のコイルによって構成することにより、載置した状態によらず確実な充電を可能とすることができる。
一方、給電装置において、一次コイルは、交番電流の波長より短い間隙を持つ磁気コアに巻回され、磁気コアの間隙が発生ポイントと対向するように配置されていることが望ましい。
【0019】
これは、磁気記録に用いる磁気ヘッド等と同様の構成であり、磁気コアの間隙に発生する誘導磁界は、周辺に拡散することなく間隙の直上及びそのごく近傍に集中する。
従って、このような磁気コアを用いることにより、充電を受けられるエリアを一次コイルの直上の狭い範囲に限定することができ、更には、近隣への雑音放射を抑制することもできる。
【0020】
また、給電装置は、一次コイルに供給される電流が予め設定された上限値以下となるように制限する電流制限回路を備えていてもよい。
この場合、給電装置は、電流制限回路によって過負荷から保護されるため、安全性を確保できると共に、給電エリアを介して携帯端末の充電以外の目的の盗電が行われたとしても、供給される電流が制限されるため、被害を最小限に抑えることができると共に、大きな電力が得られるまでに時間を要するため、盗電自体も抑制することができる。
【0021】
また、本発明の受電システムにおいて、二次コイルのインダクタンスをL2 、二次コイル側の負荷抵抗をr2 、交番電流の角周波数をωとして、L2 ,r2 ,ωは、ω・L2 >N・r2 (少なくとも、N≧5)を満たすように設定されていることが望ましい。
【0022】
この場合、一次コイルを流れる一次電流が、二次コイル側での負荷変動の影響を受けにくくなり、無負荷の状態であっても安全に動作させることができる。なお、Nは大きいほど安全になる。
【0023】
具体的には、上記、L2 ,r2 ,ω以外に、一次コイルのインダクタンスをL1 ,一次コイル側の抵抗をr1 、一次コイルを駆動する電源の電圧をV1 、一次コイルに流れる一次電流をI1 、二次コイルに流れる二次電流をI2 、一次コイルと二次コイルとの結合係数をk(この場合k2 <<1)とすると(図5(b)参照)、次の(1)(2)式が成立する。
【0024】
但し、インピーダンスZ1 ,Z2 ,Zm は(3)〜(5)式で表され、相互インダクタンスMは(6)式で表されるものとする。
【0025】
【数1】

(2)式を二次電流I2 で解いたI2 の式を(1)式に代入してI2 を消去し、一次側から見たインピーダンスZ(=V1 /I1 )を求めると(7)式が得られる。
【0026】
【数2】

2 <<ω・L2 であるとすると、(7)式は(8)式のように変形することができ、これにより、一次側から見たインピーダンスZ、ひいては一次電流I1 が負荷r2 に影響され難くなること、即ち、安全なシステムとすることができることがわかる。
【0027】
【数3】

なお、負荷r2 は、通常、数kΩ程度であるため、交番電流の周波数として、例えばHF帯(30MHz)を用いると、インダクタンスL2 は、20μH程度のものを用いる必要がある。
【0028】
次に、第二の発明は、請求項1に記載の充電システムを構成する給電装置であって、前記発生ポイントの下部にそれぞれ配置された一次コイルと、前記一次コイルに交番電流を供給する交番電流供給回路とを備えることを特徴とする。
【0029】
また、第三の発明は、請求項1に記載の充電システムを構成する充電電流発生装置であって、前記誘導磁界と結合して起電力を発生させる二次コイルと、該二次コイルの出力を整流する整流回路と、前記整流回路の出力から一定値の充電電流を発生させる定電流回路と、前記充電電流を携帯端末に供給するための端末インタフェースとを備えることを特徴とする。
【0030】
これら給電装置や充電電流発生装置は、請求項1の充電システムを構成する際に、好適に用いることができる。
なお、第二の発明の給電装置に対しては、請求項6〜8に記載の構成を、また、第三の発明の充電電流発生装置については、上述の請求項3〜5,11に記載の構成を適用してもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態の充電システムの構成の概略を示す説明図。
【図2】一次コイルの構造及び配置を示す説明図。
【図3】充電パッドの構成を示すブロック図及び二次コイルの構造を示す模式図。
【図4】充電モジュールを組み込んだ携帯端末の構成を示すブロック図及び二次コイルの他の構造を示す模式図。
【図5】二次コイルの形状及び大きさと一次コイルの配置との関係によって生じる問題点、及び一次コイル及び二次コイルのパラメータを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の充電システム1の構成の概略を示す説明図である。
【0033】
なお、充電システム1は、図1(a)に示すように、飲食店や公共施設等で使用される机D等に適用され、机D上に設定された給電エリアSAにて、携帯端末の充電を可能とするものである。
【0034】
図1(b)に示すように、充電システム1は、給電エリアSAにて誘導磁界を発生させる給電装置10と、給電エリアSAに載置されると誘導磁界と結合して携帯電話等の既存の携帯端末30を充電するための充電電流を発生させる充電電流発生装置としての充電パッド20(20a,20b)と、充電パッド20と同等の機能を有する充電モジュール40a(後述する)が内蔵されたパーソナルコンピュータ(PC)等の非接触充電対応携帯端末40とで構成されている。
【0035】
[給電装置]
給電装置10は、各給電エリアSAの下部(机Dの裏側)に、それぞれ複数個ずつ配置される一次コイル11と、一次コイル11に対する給電を行うために給電エリアSA毎に設けられた複数の給電線12と、高周波(本実施形態ではHF帯)の給電信号を発生させる給電部本体14と、給電部本体14が発生させた給電信号を電力分配し、各給電線12を介して各一次コイル11に供給する分配器13とを備えている。
【0036】
なお、給電部本体14は、高周波信号を発生させる高周波発振器15と、高周波発振器15の出力を増幅する電力増幅器16と、電力増幅器16の電流出力の上限を制限する電流制限回路17とを備え、電流制限回路17の出力を給電信号として分配器13に供給するように構成されている。
【0037】
このうち、一次コイル11は、図2(a)に示すように、間隙を有するC字型の磁気コア11aにコイル11bを巻回することで構成されている。なお、磁気コア11aの間隙は、給電信号の波長よりはるかに短く(波長の1/1000以下)なるように設定されており、本実施形態では数mmに設定されている。
【0038】
この一次コイル11の構造は、磁気記録に用いる磁気ヘッド等と同様であり、磁気コア11aの間隙に発生する誘導磁界は、周辺に拡散することなく間隙の直上及びそのごく近傍に集中する。
【0039】
そして、図2(b)に示すように、一次コイル11は、給電エリアSA内に格子点状に設定された複数の発生ポイントSPの下方(机Dの裏側)に、磁気コア11aの間隙が机Dを挟んで発生ポイントSPと対向するように配置されている。
【0040】
つまり、一次コイル11が発生させる誘導磁界は、給電エリアSA内でも、これら発生ポイントSPの直上付近でのみ十分な強度が得られるようにされている。
[充電パッド]
充電パッド20は、図3(a)に示すように、給電装置10の一次コイル11が発生させた誘導磁界に結合して起電力を発生させる二次コイル21と、二次コイル21の出力を整流,平滑化する整流回路22と、整流回路22の出力に基づいて、予め設定された一定電流(本実施形態では、1mA程度)を発生させる定電流回路23と、定電流回路23の出力を充電電流として既存の携帯端末30に供給するための端末インタフェース(I/F)24とを備えている。
【0041】
なお、定電流回路23が発生させる一定電流は、端末I/F24を介して接続される可能性のある携帯端末30の中で、許容充電電流が最小のものよりも小さな値となるように設定されている。
【0042】
また、端末I/F24は、図1に示した充電パッド20aのように、先端に携帯端末30の充電端子に適合するコネクタが設けられたケーブルあってもよいし、図1に示した充電パッド20bのように、携帯端末30を載置可能に構成され、載置する場所に携帯端末30の充電端子に適合するコネクタが設けられたスタンドであってもよい。
【0043】
つまり、充電パッド20(20a,20b)は、商用電源コンセントに接続するのではなく、二次コイル21により給電装置10から非接触で給電を受ける以外は、既存の携帯電話の充電器と同様に構成されている。
【0044】
そして、図3(b)に示すように、充電パッド20が机Dと接触する面の全体を受電可能エリアRAとして、二次コイル21は、受電可能エリアRAの外縁に沿って配置された大コイルLCと、大コイルLCの約半分の直径を有し、大コイルLC内の片隅に偏在するように配置された小コイルSCとで構成されている。
【0045】
なお、受電可能エリアRA、即ち、大コイルLCが囲う領域は、図2(b)に示すように、給電エリアSA内のどの位置に載置されても、少なくとも一つの発生ポイントSPの誘導磁界と必ず結合できるような形状及び大きさに形成されている。また、小コイルSCが囲う領域は、給電エリアSA内のどの位置に載置されても、複数の発生ポイントの誘導磁界と同時に結合することがないような形状及び大きさに形成されている。
【0046】
つまり、大コイルLCが二つ以上の発生ポイントSPの誘導磁界と、互いの起電力を相殺し合うように結合した場合に、小コイルSCは、いずれか一つの発生ポイントSPに接近した状態となり、この小コイルSCから確実に出力が得られるように設定されている。
【0047】
ここで、図3(b)は(後述する図4(b)でも同様)、二次コイル21を構成する大コイルLC,小コイルSCの位置関係や相対的な大きさを表した模式図であり、実際の大コイルLC及び小コイルSCは、図示された太線に沿って電線を複数回巻回することで構成されている。
【0048】
また、二次コイル21のインダクタンスL2 (大コイルLC,小コイルSCのいずれも)及び、給電装置10の高周波発振器15が発生させる高周波信号(ひいては給電信号)の周波数f1 は、二次コイル21から検波整流回路22側を見た負荷抵抗値をr2 ,ω=2π・f1 ,N=5〜10として、次の(9)式を充たすように設定されている。
【0049】
ω・L2 >N・r2 (9)
そして、整流回路22は、大コイルLC及び小コイルSCの出力をそれぞれ整流して合波したものを平滑化するように構成されている。
【0050】
つまり、給電エリアSA内の任意の位置に載置された充電パッド20の端末I/F24に携帯端末30を接続すれば、一定の充電電流が携帯端末30の充電回路31に供給されることになる。これにより、携帯端末30の二次電池(図示せず)を充電しながら携帯端末30を使用することが可能となる。
【0051】
[非接触充電対応携帯端末]
非接触充電対応携帯端末40は、図4(a)に示すように、上述した充電パッド20の二次コイル21,整流回路22,定電流回路23と同様に構成された充電モジュール40aと、二次電池を充電する充電回路31を含んだ端末本体40bとで構成されている。
【0052】
つまり、非接触充電対応携帯端末40は、給電エリアSA内の任意の位置に載置するだけで、充電モジュール40aから端末本体40bの充電回路31に一定の充電電流が供給されることになる。これにより、非接触充電対応携帯端末40の二次電池(図示せず)を充電しながら当該端末40を使用することが可能となる。
【0053】
[効果]
以上説明したように、充電システム1では、机D上の給電エリアSA内に設定された複数の発生ポイントSPのそれぞれに一次コイル11が配置されており、給電装置10は、一次コイル11介して、給電エリアSA内(特に、発生ポイントSPの直上)に誘導磁界を発生させる。そして、給電エリアSAに載置された充電パッド20、又は非接触充電対応携帯端末40の充電モジュール40aでは、二次コイル21が、一次コイル11による誘導磁界と結合して、携帯端末30の充電に用いる一定値の充電電流を発生させる。
【0054】
従って、充電システム1によれば、給電エリアSA内の任意の位置に載置された充電パッド20の端末I/F24に携帯端末30を接続するだけで、或いは、給電エリアSA内の任意の位置に非接触充電対応携帯端末40を載置するだけで、商用電源コンセントの位置等によって制約されることなく、携帯端末30,40の二次電池を充電しながら携帯端末30,40を長時間に渡って使用することができる。
【0055】
また、充電システム1において、充電パッド20や充電モジュール40aは、定電流回路23によって、充電対象となる可能性のある携帯端末の中で最も小さい許容充電電流よりも小さな値に設定された定電流を充電電流として供給するようにされているため、過負荷による携帯端末30,40の発熱を防止することができ、優れた安全性を得ることができる。
【0056】
また、充電システム1では、給電部本体14が生成する給電信号の角周波数ω(=2πf1 )、二次コイル21のインダクタンスL2 が、ω・L2 >N・r2 を満たすように設定されているため、一次コイル11を流れる一次電流I1 (ひいては給電信号)が、二次コイル21側での負荷r2 の変動の影響を受けにくくなり、無負荷の状態であっても安全に動作させることができる。
【0057】
更に、給電装置10には電流制限回路17が設けられているため、給電装置10は過負荷から保護される共に、給電エリアSAにて携帯端末30,40の充電以外の目的の盗電が行われたとしても、供給される電流が制限されるため、被害を最小限に抑えることができると共に、大きな電力が得られるまでに時間を要するため、盗電自体も抑制することができる。
【0058】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様にて実施可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態では、二次コイル21(ひいては受電可能エリアRA)の形状として円形のものを用いたが、楕円形や矩形等でもよく、任意の形状を用いることができる。
【0060】
また、二次コイル21は、図4(b)に示すように、受電可能エリアRAをn分割(図では4等分)した、各分割領域の外形に沿って形成されたn個の小コイルによって構成されていてもよい。更に、分割領域のは、全て同じ形状である必要はなく、また、受電可能エリアRAの外縁に沿って配置される大コイルと組み合わせてもよい。また更に、二次コイル21は、大コイルだけで構成されていてもよい。
【0061】
また、二次コイル21は、必要なインダクタンス分を、できるだけ少ない巻き数で得るために、磁気コアに巻回した構造のものを用いてもよい。
上記実施形態では、複数の給電エリアSAに対して給電部本体14を一つだけ設けたが給電エリアSA毎に給電部本体14を設ける構成としたり、電流制限回路17を、給電エリアSA毎、或い一次コイル11毎に設ける構成としたりしてもよい。
【0062】
上記実施形態では、発生ポイントSPの配置に適合するように、二次コイル21の形状や大きさを設定するものとして説明したが、逆に、二次コイル21の形状や大きさに適合するように、発生ポイントSPの配置を設定してもよい。この場合、スタンドに載置することで非接触充電を行うように構成された既存の携帯電話を、充電パッド20を用いることなく充電可能となるように、発生ポイントSPの配置を設定することが考えられる。
【0063】
上記実施形態では、楕円形の給電エリアSA内に発生ポイントSPを二次元的(格子点状)に配置したが、給電エリアSAが細長い形状をしている場合は、一次元的に(一列に)配置してもよい。
【0064】
上記実施形態において、充電パッド20aの端末I/F24は、携帯端末の種類に応じたコネクタ付きケーブルを付け替え可能なように構成されていてもよい。また、充電パッド20bの端末I/F24は、スタンドに載置された携帯端末30と非接触充電を行う既存の非接触充電I/Fであってもよい。
【0065】
本実施形態では、一次コイル11として、間隙のある磁気コア11aを有するもの使用したが、これに限らず、距離の自乗に反比例して減衰する誘導磁界を発生させる構造のもの、逆に言えば、距離に反比例して伝搬する放射磁界を発しない構造のものであればよい。
【符号の説明】
【0066】
1…充電システム 10…給電装置 11…一次コイル 11a…磁気コア 11b…コイル 12…給電線 13…分配器 14…給電部本体 15…高周波発振器 16…電力増幅器 17…電流制限回路 20,20a,20b…充電パッド 21…二次コイル 22…整流回路 23…定電流回路 24…端末I/F 30…携帯端末 31…充電回路 40…非接触充電対応携帯端末 40a…充電モジュール 40b…端末本体
D…机 RA…受電可能エリア SA…給電エリア SP…発生ポイント SC…小コイル LC…大コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
机上の少なくとも一部を給電エリアとして、該給電エリア内に一次元的または二次元的に配置された発生ポイントのそれぞれにて誘導磁界を発生させる給電装置と、
前記給電エリアに載置されると、前記給電装置が発生させる誘導磁界と結合して、携帯端末の充電に用いる一定値の充電電流を発生させる充電電流発生装置と、
からなることを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記給電装置は、
前記発生ポイントの下部にそれぞれ配置された一次コイルと、
前記一次コイルに交番電流を供給する交番電流供給回路と、
を備え、
前記充電電流発生装置は、
前記一次コイルが発生させた誘導磁界と結合して起電力を発生させる二次コイルと、
該二次コイルの出力を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力から一定値の充電電流を発生させる定電流回路と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記二次コイルは、前記充電電流発生装置が前記机上に載置された時に、少なくとも一つの発生ポイントの誘導磁界と結合する形状及び大きさに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記二次コイルは、前記充電電流発生装置が前記机上に載置された時に、少なくとも一つの発生ポイントの誘導磁界と結合する形状及び大きさに形成された大コイルと、該大コイルの内側に配置される小コイルとからなり、
前記整流回路は、前記大コイル及び小コイルの出力をそれぞれ整流して合波することを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項5】
前記充電電流発生装置が前記机上に載置された時に、少なくとも一つの発生ポイントが重なる形状及び大きさを有する領域を受電領域として、
前記二次コイルは、前記受電領域を重複なく覆うように配置された複数の小コイルからなり、
前記整流回路は、前記小コイルの出力をそれぞれ整流して合波することを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項6】
前記一次コイルは、前記交番電流の波長より短い間隙を持つ磁気コアに巻回され、該磁気コアの間隙が前記発生ポイントと対向するように配置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項7】
前記給電装置は、前記一次コイルに供給される電流が予め設定された上限値以下となるように制限する電流制限回路を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項8】
前記二次コイルのインダクタンスをL2 、前記二次コイル側の負荷抵抗をr2 、前記交番電流の角周波数をωとして、L2 ,r2 ,ωは、ω・L2 >N・r2 (少なくとも、N≧5)を満たすように設定されていることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項9】
前記充電電流発生装置は、携帯端末に組み込まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項10】
前記充電電流発生装置は、当該充電電流発生装置とは別体に形成された携帯端末に前記充電電流を供給するための端末インタフェースを有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項11】
前記定電流回路が発生させる充電電流は、充電対象となることが想定される携帯端末の中で、許容充電電流が最小であるものよりも小さな電流値に設定されていることを特徴とする請求項10に記載の充電システム。
【請求項12】
請求項1に記載の充電システムを構成する給電装置であって、
前記発生ポイントの下部にそれぞれ配置された一次コイルと、
前記一次コイルに交番電流を供給する交番電流供給回路と、
を備えることを特徴とする給電装置。
【請求項13】
請求項1に記載の充電システムを構成する充電電流発生装置であって、
前記誘導磁界と結合して起電力を発生させる二次コイルと、
該二次コイルの出力を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力から一定値の充電電流を発生させる定電流回路と、
前記充電電流を携帯端末に供給するための端末インタフェースと、
を備えることを特徴とする充電電流発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−125155(P2011−125155A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281748(P2009−281748)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(591164613)株式会社エヌエイチケイアイテック (39)
【Fターム(参考)】