説明

充電制御装置、充電制御方法、及びプログラム

【課題】充電時の携帯端末の発熱の軽減と電池の負担を軽減した充電制御装置、充電制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】充電器からの充電電流が入力される入力端子と、電池への充電電流が出力される出力端子と、入力端子から出力端子へ充電電流が供給される前に入力端子から強制的に電流を引き込み、充電器の充電電流供給能力を判定し、判定結果に基づいて充電動作を最適化する最適化回路を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置、充電制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機等の携帯端末の充電器として純正充電器以外の非純正充電器の販売数が増加しているが、非純正充電器の充電供給能力は明確な規格がなく、供給能力の高いもから低いものまで存在する。
仮に非純正充電器の供給能力が高い場合には、充電動作中の充電器の発熱や電池(二次電池)の発熱が懸念され、電池への充電動作を行う前に純正充電器か非純正充電器かの判定が可能な充電回路の提供が必要とされている。
【0003】
図5は、本発明に関連する充電制御装置の構成図である。
同図に示す充電制御装置は、外部充電器と接続される外部コネクタ電源端子(3-1)と、外部コネクタGND(グランド)端子(3-2)と、電池が接続される電池電源端子(3-3)と、電池GND端子(3-4)と、電池接続の有無を検出する電池接続検出端子(3-5)と、充電器の逆接続により異常電流を回避する逆流防止ダイオード(3-6)と、充電器からの供給電流により電位差を発生させる充電電流検出抵抗(3-7)と、充電電流検出抵抗(3-7)で発生した電位差により充電器からの供給電流を検出する充電電流検出回路(3-8)と、装置電源供給回路(3-13)に一定の電圧を供給するために電圧を検出する定電圧検出回路(3-12)と、充電電流及び定電圧制御のための充電電流電圧制御用のFET(電界効果トランジスタ:3-10)と、充電回路全体を制御する充電制御回路(3-9)とを備えたものである。
【0004】
この充電制御装置の動作について、図6を参照して説明する。
図6は、図5に示した充電制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
充電制御回路(3-9)は、外部電源である充電器が接続されると(ステップ4-1)、充電動作を行い(ステップ4-2)、充電が完了したか否かを判定する(ステップ4-3)。
充電制御回路(3-9)は、充電が完了したと判定した場合(ステップ4-3/Yes)、充電が完了し(ステップ4-4)、充電が完了していないと判定した場合(ステップ4-3/No)、ステップ4-2に戻って充電を継続する。
【0005】
このような充電回路に関係する技術が特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1に記載の発明は、充電装置に関する発明であり、具体的には、直流電源を供給する電源装置と、充電装置以外の装置に流出する電源装置の電源電流Aを検知する電源電流検知手段と、充電電流を検知する充電電流検知手段と、充電電圧を検知する充電電圧検知手段と、充電装置に流入する電源電流Bを演算する入力電流演算手段とを有する充電装置において、電源電流検知手段で検出した充電装置以外の装置に流出する電源電流Aと充電装置に流入する電源電流Bの演算値の合計値が予め定めた規定電流値を下回る様に充電電流を制御する充電電流制限手段を備えたものである。
【0006】
特許文献1に記載の充電装置によれば、同一電源装置から充電装置と前記充電装置以外の装置に電力を供給する装置において、充電装置以外の装置の消費電流の変動に対応して、電源装置の残りの電流容量を効率的に使用して二次電池を短時間で充電でき、また電力ロスを低減した省エネルギーな充電装置を経済的に提供することができ、また電源装置が過負荷になることを防止でき、更に電源装置の電源出力の電圧低下や電圧変動を低減することができるとしている。
【0007】
特許文献2に記載の発明は、充電制御回路及び充電制御機能付きの電子機器に関する発明であり、具体的には、所定の充電能力を有した直流電源に接続され、直流電源に基づいて定電流及び/又は定電圧を二次電池に供給するように充電制御する回路において、直流電源と二次電池との間で直列に接続されると共に、直流電源から二次電池への充電電流を調整する充電回路と、充電回路の両端の電圧に基づいて直列電圧降下分を検出する電圧検出回路と、少なくとも、電圧検出回路によって検出された直列電圧降下分に基づいて充電回路の内部抵抗分を可変する制御回路と、を備えるものである。
【0008】
特許文献2に記載の充電制御回路によれば、規格外の直流電源が接続された場合も充電回路で消費される固定損失を低く抑えることができ、充電回路における発熱を抑えることができる。充電回路を保護することができるとしている。
【0009】
特許文献3に記載の発明は、充電電流制御システム及び充電電流制御方法に関する発明であり、具体的には、少なくとも電子機器に内蔵されている2次電池に対し外部のACアダプタからの供給電流により充電を行わせる充電電流制御システムであって、供給電流からの充電電流を2次電池へ供給して充電を行わせる充電手段と、供給電流からの負荷電流を機器内部の各負荷回路へ供給する電源供給手段と、充電電流と負荷電流との合計値を常に監視し、充電電流の値を最適化して、充電手段に対し急速充電を行わせるように制御する制御手段とを備えるものである。
【0010】
特許文献3に記載の充電電流制御システムによれば、充電手段によってACアダプタからの供給電流から得られる充電電流を2次電池へ供給して充電が行われ、さらに電源供給手段によって機器内部の各負荷回路へACアダプタからの供給電流から得られる負荷電流が供給されるとき、制御手段により、充電電流と負荷電流との合計値を常に監視し、充電電流の値を最適化して、充電手段に対し急速充電を行わせるように制御することができ、充電と同時に機器が使用されても、2次電池に対する充電時間を短くすることができるとしている。
【0011】
特許文献4に記載の発明は、充電制御回路に関する発明であり、具体的には、端末装置内の二次電池を、コネクタを介して接続された外部の充電器により充電する充電制御回路において、充電器から出力される充電電圧を検出すると共に、二次電池へ供給する充電電流を可変制御する充電回路と、充電電流を検出する電流検出回路と、二次電池の電池電圧を検出する電池電圧算出部と、充電回路で検出された充電器からの充電電圧が端末装置の充電規格の範囲内であるか否か判定し、充電電圧が充電規格の範囲内でないときは充電動作を停止し、充電規格の範囲内であるときには電流検出回路で検出される充電電流が、端末装置の充電規格の充電電流上限値以下である範囲内で、電池電圧算出部で算出される二次電池の電池電圧を検出しながら、充電回路により充電電流を可変制御する充電制御部とを有するものである。
【0012】
特許文献4に記載の充電制御回路によれば、充電器から端末装置に印加される充電電圧値を算出する機能を設け、充電器が端末装置に接続された際に充電器の印加電圧が許容された電圧範囲にあるかどうかの判定を行い、充電器の電圧値が許容範囲外であった場合は不適切な充電器が接続されたものと判定して充電制御動作を停止するようにしたため、不適切な充電器の接読による不具合動作を防止することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−32681号公報
【特許文献2】特開2002−199604号公報
【特許文献3】特開2006−42460号公報
【特許文献4】特開2006−109618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の発明は、同一の電源装置から充電装置以外の装置に電力を供給することを目的としているため、汎用性に富むものの電力ロスや装置の大型化が懸念される。
また、特許文献2に記載の発明は、規格外の大きな充電能力を有した直流電源が接続されても充電回路の加熱を防止することを目的としているため、直流電源接続時に過大な電流が流れるおそれがある。
また、特許文献3に記載の発明は、充電と同時に機器が使用された場合に急速充電を行うため、充電器に負担がかかる。
また、特許文献4に記載の発明は、充電電圧が規格外のときには充電を停止するので不便な場合がある。
また、図5に示した充電制御装置も同様の問題がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、充電時の携帯端末の発熱の軽減と電池の負担を軽減した充電制御装置、充電制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の充電制御装置は、充電器からの充電電流が入力される入力端子と、電池への充電電流が出力される出力端子と、前記入力端子から前記出力端子へ前記充電電流が供給される前に前記入力端子から強制的に電流を引き込み、前記充電器の充電電流供給能力を判定し、判定結果に基づいて充電動作を最適化する最適化回路を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の充電制御方法は、充電器が接続され電池への充電動作を開始する前に該充電器から強制的に電流を引き込み、前記充電器の充電電流供給能力を判定し、判定結果に基づいて充電動作を最適化することを特徴とする。
【0018】
本発明のプログラムは、充電器からの充電電流が入力される入力端子と、電池への充電電流が出力される出力端子と、前記入力端子から前記出力端子へ前記充電電流が供給される前に前記入力端子から強制的に電流を引き込み、前記充電器の充電電流供給能力を判定し、判定結果に基づいて充電動作を最適化する最適化回路を備え、スイッチ回路が、前記入力端子と前記出力端子との間をオンオフさせる手順と、引き込み回路が、前記入力端子から充電電流を引き込む手順と、判定回路が、前記引込回路により得られる前記充電器の充電電流供給能力を判定する手順と、前記スイッチ回路をオフしてから前記判定回路による判定結果により充電動作を最適化した後で前記スイッチ回路をオンさせる手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、充電時の携帯端末の発熱の軽減と電池の負担を軽減した充電制御装置、充電制御方法、及びプログラムの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る充電制御装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る充電制御装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図3】(a)は、図1に示した充電制御装置の純正充電器の動作を説明するためのタイミングチャートの一例であり、(b)は、図1に示した充電制御装置の非純正充電器の動作を説明するためのタイミングチャートの一例である。
【図4】本発明に係る充電制御装置の他の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】本発明に関連する充電制御装置の構成図である。
【図6】図5に示した充電制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る充電制御装置の一実施の形態を示すブロック図である。
図1に示すように、充電制御装置は、外部充電器と接続される外部コネクタ電源端子(1-1)と、外部コネクタGND(グランド)端子(1-2)と、電池が接続される電池電源端子(1-3)と、電池GND端子(1-4)と、電池接続の有無を検出する電池接続検出端子(1-5)と、充電器の逆接続により異常電流を回避する逆流防止ダイオード(1-6)と、充電器からの供給電流により電位差を発生させる充電電流検出抵抗(1-7)と、充電電流検出抵抗(1-7)で発生した電位差により充電器からの供給電流を検出する充電電流検出回路(1-8)と、装置電源供給(1-13)に一定の電圧を供給するために電圧を検出する定電圧検出回路(1-12)と、充電開始前に充電器の供給能力を測定するために一時的に電流を引き込む電流引込回路(1-14)と、充電電流及び定電圧制御のための充電電流電圧制御用のFET(電界効果トランジスタ:1-10)と、充電回路全体を制御する充電制御回路(1-9)とを備える。
【0022】
電池接続検出端子(1-5)に接続される電池の内部でGNDにプルダウンされ、充電制御回路(1-9)は、電池接続検出端子(1-5)が“Hレベル(一定の電圧より大きい)”であれば電池未接続、“Lレベル(一定の電圧以下)”であれば電池接続と検出する。例えば、電池内部の温度検出用として電池の“+”と“−”以外の端子として温度検出用の端子があり、その端子はサーミスタによりプルダウンされていることが挙げられる。
【0023】
装置電源供給(1-13)は、装置を起動するための電源入力のラインであり、例えば、装置電源回路(CPU、メモリ等に電源を供給するための回路)の入力に接続される。
FET(1-10)は、充電電流電圧制御用FET制御端子(1-11)の電圧により、充電電流を制御する。通常充電より充電電流を下げて充電を行う場合には、充電電流電圧制御用FET制御端子(1-11)の電圧を通常充電時よりも高い電圧で制御させる。
【0024】
<動作の説明>
本発明に係る充電制御装置の動作について図1、図2、図3(a)、(b)を基に説明する。
図2は、本発明に係る充電制御装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
図3(a)は、図1に示した充電制御装置の純正充電器の動作を説明するためのタイミングチャートの一例であり、図3(b)は、図1に示した充電制御装置の非純正充電器の動作を説明するためのタイミングチャートの一例である。
【0025】
外部コネクタ電源端子(1-1)、及び外部コネクタGND端子(1-2)に図示しない充電器が接続されると(ステップ2-1)、充電制御回路(1-9)は、電流引込回路(1-14)をONさせて強制的に充電器側から電流を引き込み、充電電流検出抵抗(1-7)に発生する電位差により充電電流供給能力を測定する(ステップ2-2)。
【0026】
充電制御回路(1-9)は、電電流検出抵抗(1-7)で発生した電位差を充電電流検出回路(1-8)により許容電流以下か否かを判定する(ステップ2-3)。
充電制御回路(1-9)は、判定結果が許容電流以下であれば(ステップ2-3/Yes)、充電電流電圧制御用FETのゲートに所定の制御電圧を印加してドレイン−ソース間を導通させて、充電制御回路(1-9)は通常充電を行い(ステップ2-6)、充電が完了したか否かを判定し(ステップ2-7)、充電が完了していると判定した場合は充電を完了する(ステップ2-8)。
充電制御回路(1-9)は、充電が完了していないと判定した場合(ステップ2-7/N)、ステップ2-6に戻る。
充電制御回路(1-9)は、判定結果が許容電流以下でないと判定した場合(ステップ2-3/No)、充電電流電圧制御用FETのゲートに通常充電時より高い制御電圧を印加してドレイン−ソース間に流れる電流を制御し、充電電流をセーブした状態で充電し(ステップ2-4)、充電が完了したか否かを判定する(ステップ2-5)。
充電制御回路(1-9)は、充電が完了したと判定した場合(ステップ2-5/Yes)、充電が完了し(ステップ2-8)、充電が完了していないと判定した場合(ステップ2-5/No)、ステップ2-4に戻る。
【0027】
図3(a)に本発明に係る充電制御装置の充電動作を示す。
図3(a)は、充電電流供給能力が許容電流以内の純正充電器の動作を示し、図3(b)は、充電電流供給能力が許容電流を超えた非純正充電器の動作を示す。
図3(a)、(b)において、横軸は時間を示し、縦軸は電流を示す。また、時間軸の下側に記載されている矩形の箱は充電器の動作状況を示す説明書きである。
図3(a)に示すように、純正充電器を接続した場合には、引き込み回路がONしてからOFFするまでの間に充電器の能力判定が行われ、充電電流が許容電流以下なので、通常の充電が開始される。
これに対して図3(b)に示すように、非純正充電器を接続した場合には、引き込み回路がONしてからOFFするまでの間に充電器の能力判定が行われるが、充電電流が許容電流を超えているため、充電能力が純正充電器より大きいと判定し、充電電流をセーブした充電が開始される。非純正充電器等の許容電流を超える充電器の場合には、充電時に充電電流を下げることで発熱を低減することが可能となる。
【0028】
<プログラム及び記憶媒体>
以上で説明した本発明にかかる充電制御装置は、コンピュータで処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えば、マイクロプロセッサのような汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0029】
充電器からの充電電流が入力される入力端子と、電池への充電電流が出力される出力端子と、入力端子から出力端子へ充電電流が供給される前に入力端子から強制的に電流を引き込み、充電器の充電電流供給能力を判定し、判定結果に基づいて充電動作を最適化する最適化回路を備え、
コンピュータに、
スイッチ回路が、入力端子と出力端子との間をオンオフさせる手順と、
引き込み回路が、入力端子から充電電流を引き込む手順と、
判定回路が、引込回路により得られる充電器の充電電流供給能力を判定する手順と、
スイッチ回路をオフしてから判定回路による判定結果により充電動作を最適化した後でスイッチ回路をオンさせる手順と、を実行させるプログラムが挙げられる。
【0030】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる充電制御装置を実現することができる。
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0031】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0032】
<他の実施の形態>
本発明に係る充電制御装置の他の実施の形態を、図を基に説明する。
図4は、本発明に係る充電制御装置の他の実施の形態を示すブロック図である。
図4に示した充電制御装置は、図1に示した充電制御装置の充電制御回路(1-9)にCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)を接続し、CPU(6-16)に表示部(6-16)を接続したものである。
図4に示した部材(6-1)〜(6-14)は、図1に示し部材(1-1)〜(1-14)と同様のため、説明を省略する。
【0033】
図1に示した実施の形態では、充電器の充電電流供給能力で、充電回路内部で充電電流を下げて充電動作を開始するが、図4に示した充電制御装置は、充電制御回路(6-9)より携帯電話機の制御用CPU(6-15)へ非純正充電器であることを通知する点で相違する。このことにより、表示部(6-16)に非純正充電器の旨をユーザーへ通知することも可能となる。
【0034】
また、図1に示した実施の形態は、非純正充電器の場合の動作として充電電流を下げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、充電動作の停止をしてもよい。
【0035】
<効果の説明>
本発明により、接続された充電器の供給能力を充電動作開始前に判定することで、許容電流以下の供給能力の場合には通常充電動作を行い、許容電流を超える充電器が接続された場合に、充電電流を下げて充電動作を行う、充電を停止するなどの手段を選択することが可能になり、充電時の携帯電話機の発熱の軽減と電池への安全性の確保が可能となる。
【0036】
<本発明と各特許文献1〜4との相違点>
本発明と各特許文献1〜4との大きく異なる箇所は電池(2次電池)への充電を行う前に、充電器の供給能力を測定する点である。
本発明は電池への充電動作前に充電器の供給能力を測定することで、供給能力が高い(充電回路の規格外)場合には充電電流をセーブさせ、電池への負担と充電回路の発熱を軽減させることを目的としている。
【0037】
特許文献1、3に記載の発明は、電池への充電電流と装置で使用している消費電流を算出し、充電電流を変更することで電池への充電時間を短くさせることを目的としている。これらの特許文献1、3に記載の発明では発熱量は増加していく方向に動作することも考えられる。
【0038】
特許文献2に記載の発明は、充電器の供給能力は測定せずに、充電動作中にあらかじめ充電回路で決められた充電電流に調整するものである。この特許文献2に記載の発明では充電動作中に調整させるため、瞬時的には充電電流が流れることが予想され、電池への負担が懸念される。
【0039】
特許文献4に記載の発明は、充電器の電圧が規格外か否かを判断して充電を停止させる。この特許文献4に記載の発明では充電器の電流能力を測定することはないため、充電器の電圧が規格内で且つ電流供給能力が高い充電器が接続された場合では発熱の懸念があると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、携帯電話機の充電回路に利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1−1 外部コネクタ電源端子
1−2 外部コネクタGND端子
1−3 電池電源端子
1−4 電池GND端子
1−5 電池接続検出端子
1−6 逆流防止ダイオード
1−7 充電電流検出抵抗
1−8 充電電流検出回路
1−9 充電制御回路
1−10 充電電流電圧制御用FET
1−11 充電電流電圧制御用FET制御端子
1−12 電圧検出回路
1−13 装置電源供給
1−14 電流引込回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器からの充電電流が入力される入力端子と、電池への充電電流が出力される出力端子と、前記入力端子から前記出力端子へ前記充電電流が供給される前に前記入力端子から強制的に電流を引き込み、前記充電器の充電電流供給能力を判定し、判定結果に基づいて充電動作を最適化する最適化回路を備えたことを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
前記最適化回路は、
前記入力端子と前記出力端子との間をオンオフさせるスイッチ回路と、
前記入力端子から充電電流を引き込む引込回路と、
前記引込回路により得られる前記充電器の充電電流供給能力を判定する判定回路と、
前記スイッチ回路をオフしてから前記判定回路による判定結果により充電動作を最適化した後で前記スイッチ回路をオンさせる制御回路と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記充電器からの充電電流が許容値以内であればそのまま通常充電を行い、充電電流が許容値を超えた場合には充電電流を許容値よりも更に充電電流を低下させて充電を行うことを特徴とする請求項2記載の充電制御装置。
【請求項4】
充電器が接続され電池への充電動作を開始する前に該充電器から強制的に電流を引き込み、前記充電器の充電電流供給能力を判定し、判定結果に基づいて充電動作を最適化することを特徴とする充電制御方法。
【請求項5】
充電器からの充電電流が入力される入力端子と、電池への充電電流が出力される出力端子と、前記入力端子から前記出力端子へ前記充電電流が供給される前に前記入力端子から強制的に電流を引き込み、前記充電器の充電電流供給能力を判定し、判定結果に基づいて充電動作を最適化する最適化回路を備え、
コンピュータに、
スイッチ回路が、前記入力端子と前記出力端子との間をオンオフさせる手順と、
引き込み回路が、前記入力端子から充電電流を引き込む手順と、
判定回路が、前記引込回路により得られる前記充電器の充電電流供給能力を判定する手順と、
前記スイッチ回路をオフしてから前記判定回路による判定結果により充電動作を最適化した後で前記スイッチ回路をオンさせる手順と、を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−206940(P2010−206940A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49510(P2009−49510)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】