説明

充電制御装置

【課題】複数の分岐回路から並行して給電される場合においても過負荷電流による主開閉器のトリップを防ぐ。
【解決手段】制御部10は、電流計測部11で計測される各リモコンリレーRRij毎の電流値に基づき、各分岐回路(分岐開閉器30i)に流れる電流値が上限値を超過しないようにリモコンリレー駆動部12を介して各リモコンリレーRRijを遠隔制御する。さらに、各分岐開閉器30i毎の電流値が上限値を超過しないように制御部10がリモコンリレーRRijを遠隔制御することにより、複数の分岐回路(分岐開閉器211,212,213)から並行して給電される場合においても過負荷電流による主開閉器20のトリップを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などの車両に搭載されている蓄電池の充電を制御する充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電池とモータを搭載した電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの車両が普及しつつある。そして、集合住宅や事業所などにおいては多数の車両が同時に充電されるため、他の負荷機器と合わせた消費電力が規定値を超えて分電盤の主幹ブレーカがトリップしてしまう虞がある。
【0003】
これに対して特許文献1に記載されている従来例では、各車両と外部電源とが結合されたときの蓄電装置の蓄電状態を検出し、複数台の車両の各々について、予想消費電力量並びに使用開始時刻を検出するとともに、検出された蓄電状態と予想消費電力量とに基づいて必要な充電電力量を算出し、必要充電量と使用開始時刻から各車両の充電時間と充電電力量についての充電スケジュールを決定し、充電スケジュールに基づいて車両に搭載された蓄電装置を充電する制御を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−136109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1記載の従来例では、分電盤で分岐される分岐回路の1つに充電制御装置が接続されている。しかしながら、既存の集合住宅に新たに電気自動車用の充電設備が導入される場合、通常、充電設備専用の分岐回路を確保することが難しいため、複数の分岐回路から並行して充電設備に給電する必要がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の従来例では、分電盤の複数の分岐回路から並行して給電されることは考慮されておらず、このような場合においては過負荷電流による主幹ブレーカ(主開閉器)のトリップを防ぐことが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、複数の分岐回路から並行して給電される場合においても過負荷電流による主開閉器のトリップを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充電制御装置は、分電盤で分岐された複数の分岐回路を含む複数の充電経路を各別に開閉する複数のスイッチ要素と、前記スイッチ要素を経由して車両に供給される電流を各別に計測する複数の電流計測手段と、前記分岐回路と前記スイッチ要素の対応関係を記憶した記憶手段と、前記電流計測手段で計測される電流値が所定の上限値を超過しないように前記スイッチ要素を開閉する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
この充電制御装置において、複数の前記分岐回路に流れる電流を各別に計測する複数の分岐電流計測手段を備え、前記制御手段は、前記分岐電流計測手段で計測される電流値が所定の分岐電流上限値を超過しないように前記スイッチ要素を開閉することが好ましい。
【0010】
この充電制御装置において、1次側が前記分岐回路に接続され、2次側が複数の前記スイッチ要素に接続される複数の分岐開閉器を備えることが好ましい。
【0011】
この充電制御装置において、前記分電盤への入力電力を計測する入力電力計測手段を備え、前記記憶手段は、前記入力電力の上限値と、複数の前記分岐回路に対する優先順位とを記憶しており、前記制御手段は、前記入力電力計測手段の計測値と前記上限値との差分から同時に充電可能な車両台数を求め、前記優先順位が高い方の充電経路に挿入されている前記スイッチ要素から順番に閉成することが好ましい。
【0012】
この充電制御装置において、前記分電盤への入力電力を計測する入力電力計測手段を備え、前記記憶手段は、前記入力電力の上限値と、複数の前記スイッチ要素に対する優先順位とを記憶しており、前記制御手段は、前記入力電力計測手段の計測値と前記上限値との差分から同時に充電可能な車両台数を求め、前記優先順位が高い方の前記スイッチ要素から順番に閉成することが好ましい。
【0013】
この充電制御装置において、前記記憶手段に記憶される前記優先順位を動的に変更する優先順位変更手段を備えることが好ましい。
【0014】
この充電制御装置において、複数の前記充電経路のうちで前記制御手段によって前記スイッチ要素が閉成されている前記充電経路を表示する表示手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の充電制御装置は、複数の分岐回路から並行して給電される場合においても過負荷電流による主開閉器のトリップを防ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明に係る充電制御装置を含む充電システムのシステム構成図、(b)は本発明に係る充電制御装置の実施形態1を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る充電制御装置の実施形態2を含む充電システムのシステム構成図である。
【図3】本発明に係る充電制御装置の実施形態3を含む充電システムのシステム構成図である。
【図4】本発明に係る充電制御装置の実施形態4を含む充電システムのシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
本実施形態の充電制御装置1を含む充電システムのシステム構成を図1(a)に示す。この充電システムは、集合住宅や事業所などの建物において、複数台の車両(電気自動車やプラグインハイブリッド自動車など)にそれぞれ搭載されている蓄電池(図示せず)を充電するためのものである。
【0018】
建物においては、商用の交流電力系統(以下、電力系統と略す。)から交流電力が供給される電灯線4が分電盤2の主開閉器20の1次側に接続され、主開閉器20の2次側に複数の分岐開閉器21i(i=1,2,…,n)が分岐接続されている。なお、以下では主開閉器20並びに分岐開閉器21iを備える分電盤2を主分電盤2と呼ぶ。
【0019】
さらに、主分電盤2の下流側に副分電盤3が設けられ、副分電盤3に充電制御装置1が設置されている。副分電盤3は、主分電盤2の相異なる複数(図示例では3つ)の分岐開閉器21iの2次側にそれぞれ1次側が接続された複数(図示例では3つ)の分岐開閉器30i(i=1,2,3)を備える。ここで、各分岐開閉器30iの2次側には、スイッチ要素に相当するリモコンリレーRRij(j=1,2,3,4)を介して複数の充電コンセント(図示せず)がそれぞれ分岐接続されている。充電コンセントとは、車両に充電するための充電ケーブルが接続される専用のコンセントである。ただし、スイッチ要素はリモコンリレーに限定されるものではなく、遠隔制御によって電路の開閉が可能な別種の開閉器(例えば、リモコンブレーカなど)であっても構わない。
【0020】
充電制御装置1は、図1(b)に示すように制御部10、電流計測部11、リモコンリレー駆動部12、記憶部13、電流センサCTij、リモコンリレーRRijなどを備えている。電流センサCTijは、各リモコンリレーRRijの負荷側(充電コンセント側)にそれぞれ設けられている。電流計測部11は、電流センサCTijを用いてリモコンリレーRRijを介して充電コンセント(車両)に供給される電流(充電電流)の大きさ(電流値)を各別に計測し、アナログ値からディジタル値(電流値データ)に変換して制御部10に出力する。なお、制御部10では電流計測部11から受け取った各リモコンリレーRRij毎の電流値を時系列で記憶部13に記憶させる。記憶部13はフラッシュメモリなどの電気的に書換可能な不揮発性の半導体メモリからなり、電流計測部11の電流値データの他にも、副分電盤3の各分岐回路(分岐開閉器30i)とリモコンリレーRRijとの対応関係(接続関係)や副分電盤3の各分岐回路毎の電流値の上限値などを記憶している。なお、副分電盤3の各分岐回路毎の電流値の上限値は、副分電盤3の各分岐回路(分岐開閉器30i)が2次側に接続されている主分電盤2の分岐開閉器21iの定格電流値又は定格電流値の80%の値などに設定される。
【0021】
制御部10は、リモコンリレー駆動部12を介して各リモコンリレーRRijを遠隔制御することにより、各充電コンセントへの充電経路を各別に開閉して各車両の充電を入・切する。リモコンリレー駆動部12は、制御部10からの指令に応じて各リモコンリレーRRijに制御信号を出力することにより、各リモコンリレーRRijを開成及び閉成する。なお、制御部10は、CPU(中央演算処理装置)やメモリなどのハードウェアと、種々の処理を行うためのソフトウェア(プログラム)とで構成されている。
【0022】
制御部10の制御動作について、さらに詳しく説明する。制御部10は、電流計測部11で計測される各リモコンリレーRRij毎の電流値に基づき、各分岐回路(分岐開閉器30i)に流れる電流値が上限値を超過しないようにリモコンリレー駆動部12を介して各リモコンリレーRRijを遠隔制御する。例えば、副分電盤3の3つの分岐回路(分岐開閉器301,302,303)の電流値の上限値が40アンペアに設定されており、1台の車両を充電する際の電流値が15アンペアと仮定すると、1つの分岐回路毎に2台の車両までなら同時に充電することが可能である。故に、制御部10は、1つの分岐回路に分岐接続されている4つのリモコンリレーRRijを同時に2つまでしか閉成させないので、1つの分岐回路に分岐接続されている3つ以上のリモコンリレーRRijが同時に閉成して分岐開閉器30iがトリップすることを回避できる。さらに、各分岐開閉器30i毎の電流値が上限値を超過しないように制御部10がリモコンリレーRRijを遠隔制御することにより、複数の分岐回路(分岐開閉器211,212,213)から並行して給電される場合においても過負荷電流による主開閉器20のトリップを防ぐことができる。
【0023】
なお、記憶部13に記憶させる代わりに、分岐開閉器30iやリモコンリレーRRijに搭載されるディップスイッチの値を制御部10が読み込み、その値から各分岐回路とリモコンリレーRRijとの対応関係や電流値の上限値が設定されてもよい。
【0024】
(実施形態2)
本実施形態の充電制御装置1を含む充電システムのシステム構成図を図2に示す。ただし、本実施形態の充電制御装置1の構成は基本的に実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0025】
本実施形態は、副分電盤3に接続されている主分電盤2の3つの分岐開閉器211〜213の1次側に電流センサCTk(k=1,2,3)が設けられ、各電流センサCTkの計測値(分岐電流値)が上限値を超過しないように、制御部10がリモコンリレーRRijを遠隔制御する点に特徴がある。
【0026】
実施形態1においては、主分電盤2の複数の分岐回路(分岐開閉器21i)が副分電盤3に接続されるものと副分電盤3以外の共用部負荷に接続されるものとに区別されている。このため、充電制御装置1の制御部10はリモコンリレーRRijに流れる電流値が上限値を超えないようにリモコンリレーRRijを遠隔制御すればよかった。
【0027】
これに対して本実施形態における充電システムは、図2に示すように主分電盤2の複数の分岐回路(分岐開閉器21i)が副分電盤3と共用部負荷の両方に接続され、1つの分岐回路から副分電盤3と共用部負荷に同時に給電される可能性がある。そのため、実施形態1のように、制御部10が副分電盤3の分岐回路(リモコンリレーRRij)に流れる電流値のみに基づいてリモコンリレーRRijを遠隔制御していると、共用部負荷の消費電力の増加によって主分電盤2の主開閉器20や分岐開閉器21iがトリップする虞がある。
【0028】
そこで本実施形態では、図2に示すように副分電盤3に接続されている3つの分岐開閉器211〜213の1次側に電流センサCT1,CT2,CT3が設けられている。そして、制御部10が、各分岐開閉器211〜213の電流値(分岐電流値)が分岐電流上限値を超過しないようにリモコンリレーRRijを遠隔制御することにより、主分電盤2の主開閉器20や分岐開閉器21iのトリップを防止している。ただし、電灯線4が単相3線であり、車両への給電が単相200ボルト、共用部負荷への給電が単相100ボルトである場合、電流だけでなく電圧及び電力を計測することが望ましいが、本実施形態では説明を簡単にするために電流のみを計測することとする。
【0029】
制御部10は、電流計測部11で計測される主分電盤2の各分岐開閉器211〜213毎の分岐電流値が上限値を超過しないようにリモコンリレー駆動部12を介して各リモコンリレーRRijを遠隔制御する。例えば、主分電盤2の3つの分岐開閉器211〜213の分岐電流値の上限値(分岐上限値)が60アンペアに設定されており、1台の車両を充電する際の電流値が15アンペアと仮定する。この分岐上限値は、副分電盤3の各分岐開閉器30i毎の上限値並びに主分電盤2の各分岐開閉器211〜213と副分電盤3の各分岐開閉器301〜303の対応関係(接続関係)とともに記憶部13に記憶される。
【0030】
而して、分岐開閉器21iに接続されている共用部負荷の消費電流が0〜30アンペアのときは1つの分岐開閉器21i毎に2台の車両まで同時に充電でき、共用部負荷の消費電流が31〜45アンペアのときは1台の車両のみ充電できる。そして、共用部負荷の消費電流が46アンペア以上のときは、その分岐開閉器21iから車両への充電はできない。故に、分岐電流値(共用部負荷の消費電流と車両の充電電流の合計値)が上限値(60アンペア)を超過しないように制御部10がリモコンリレーRRijを遠隔制御すれば、共用部負荷の消費電力の増加によって主分電盤2の主開閉器20や分岐開閉器21iがトリップすることを回避できる。
【0031】
なお、記憶部13に記憶させる代わりに、分岐開閉器21iに搭載されるディップスイッチの値を制御部10が読み込み、その値から主分電盤2の各分岐回路と副分電盤3の各分岐回路との対応関係や分岐電流値の上限値が設定されてもよい。
【0032】
(実施形態3)
本実施形態の充電制御装置1を含む充電システムのシステム構成図を図3に示す。ただし、本実施形態の充電制御装置1の構成は基本的に実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0033】
本実施形態が実施形態2と異なる点は、副分電盤3の分岐回路に分岐開閉器30iが挿入されておらず、主分電盤2の分岐開閉器211〜213の2次側に複数(図示例では4つ)のリモコンリレーRRijが直接分岐接続されている点にある。したがって、充電制御装置1の記憶部13には、主分電盤2の各分岐開閉器211〜213と副分電盤3の各分岐開閉器301〜303の対応関係(接続関係)の代わりに、主分電盤2の各分岐開閉器211〜213と副分電盤3の各リモコンリレーRRijの対応関係(接続関係)が記憶されている。
【0034】
而して、分岐電流値(共用部負荷の消費電流と車両の充電電流の合計値)が上限値を超過しないように制御部10がリモコンリレーRRijを遠隔制御することにより、共用部負荷の消費電力の増加によって主分電盤2の主開閉器20や分岐開閉器21iがトリップすることを回避できる。
【0035】
なお、記憶部13に記憶させる代わりに、分岐開閉器21iに搭載されるディップスイッチの値を制御部10が読み込み、その値から主分電盤2の各分岐回路と副分電盤3の各リモコンリレーRRijとの対応関係や分岐電流値の上限値が設定されてもよい。
【0036】
(実施形態4)
本実施形態の充電制御装置1を含む充電システムのシステム構成図を図4に示す。ただし、本実施形態の充電制御装置1の構成は基本的に実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して適宜図示並びに説明を省略する。
【0037】
実施形態1〜3においては、共用部負荷の消費電力の増加によって主分電盤2の主開閉器20や分岐開閉器21iがトリップすることを回避できるものの、電力会社との契約電力を増やさなければならない可能性が高い。
【0038】
そこで本実施形態では、主分電盤2への入力電力を計測する入力電力計測手段を備え、入力電力の上限値(例えば、電力会社との契約電力)と、複数の分岐回路(分岐開閉器21i)に対する優先順位とを記憶部13に記憶している。そして、制御部10は、入力電力計測手段の計測値と上限値との差分から同時に充電可能な車両台数を求め、優先順位が高い方の充電経路に挿入されているスイッチ要素(リモコンリレーRRij)から順番に閉成するようにしている。これにより、主分電盤2への入力電力が電力会社との契約電力を超過することが回避できる。ただし、実施形態1〜3と同様に、本実施形態においても電力の計測値の代わりに電流の計測値を用いており、入力電力計測手段は、電灯線4に流れる電流を計測する電流センサCT0、あるいは、各分岐開閉器211〜21nに流れる電流を計測する電流センサCT1〜CTnで実現される。つまり、電流センサCT0で主分電盤2への入力電力(入力電流)を直接計測してもよいし、n個の電流センサCT1〜CTnで計測される分岐電流の総和から主分電盤2への入力電力(入力電流)を算出しても構わない。
【0039】
ここで、電力会社との契約電力が30kVAと仮定すると、電源電圧が200ボルトであれば電流の上限値は150アンペアとなる。また、主分電盤2の分岐上限値が60アンペア、副分電盤3の3つの分岐回路(分岐開閉器301,302,303)の電流値の上限値が40アンペアに設定され、1台の車両を充電する際の電流値が15アンペアと仮定する。さらに、副分電盤3に接続されている複数(図示例では3つ)の分岐開閉器211〜213に対して1,2,3の優先順位が設定されているものとする。
【0040】
例えば、主分電盤2への入力電流が100アンペアであったとすると、制御部10は、電流の上限値(150アンペア)と入力電流の計測値(100アンペア)の差(50アンペア)を求め、この差(余裕分)を優先順位の高い(数値の小さい)分岐開閉器211〜213から順番に割り当てる。優先順位が1位の分岐開閉器211に接続されている共用部負荷の消費電流が40アンペアの場合、分岐上限値の60アンペアと40アンペアの差が20アンペアであるから、車両1台の充電が可能である。また優先順位が2位の分岐開閉器212に接続されている共用部負荷の消費電流が20アンペアの場合、分岐上限値の60アンペアと20アンペアの差が40アンペアであるから、同時に2台の車両の充電が可能である。そして、合計3台の車両が同時に充電されると45アンペアが消費されるから、50アンペアと45アンペアの差(5アンペア)が余裕分となる。故に、制御部10は、リモコンリレー駆動部12を介して分岐開閉器211の下流側に接続されている4つのリモコンリレーRR1jのうちの1つと、分岐開閉器212の下流側に接続されている4つのリモコンリレーRR2jのうちの2つを閉成して合計3台の車両を充電させる。ただし、車両の充電が終了する前に、充電開始から一定時間が経過した時点で制御部10が次の優先順位の分岐開閉器213に接続されているリモコンリレーRR3jを閉成してもよい。
【0041】
上述のように本実施形態によれば、電力会社との契約電力を増やさずに過負荷電流による主開閉器20や分岐開閉器21i,30iのトリップを防ぐことができる。
【0042】
ここで、主分電盤2の分岐開閉器21iに対して優先順位が設定される代わりに、副分電盤3の各リモコンリレーRRijに対して優先順位が設定され、優先順位の高いリモコンリレーRRijから順番に閉成されても構わない。この場合、優先順位の高いリモコンリレーRRijが利用可能な駐車場所ほど、月極の駐車料金が高く設定されるようにしてもよい。
【0043】
また、優先順位が固定である必要は無く、制御部10が、所定のルール(例えば、出庫時間の早い車両の順番など)に従って、各リモコンリレーRRijの優先順位を動的に変更すれば、利用者の要求に応じた適切な充電が行える。この場合、制御部10が優先順位変更手段に相当する。
【0044】
ところで、各リモコンリレーRRijの下流側に充電コンセント(図示せず)が接続され、充電コンセントに差込接続される充電ケーブル(図示せず)を介して車両に充電電流が供給される。つまり、所定の駐車場所に駐車された車両が充電ケーブルを介して充電コンセントに接続され、充電コンセントが接続されているリモコンリレーRRijが閉成されることで充電ケーブルを介して車両の充電が可能となる。この場合、複数の充電経路(充電コンセント)のうちで制御部10によってリモコンリレーRRijが閉成されている充電経路(充電コンセント)を表示する表示手段を充電制御装置1に備えることが望ましい。なお、充電コンセントについては従来周知であるから詳細な構成の図示並びに説明は省略する。
【0045】
表示手段は、例えば、充電コンセントに具備されている通電表示用の発光ダイオードであってもよいし、駐車場内に設置される液晶パネルなどでもよい。前者の場合、制御部10によってリモコンリレーRRijが閉成されて充電コンセントに通電されると通電表示用の発光ダイオードが発光することで充電可能であることが表示される。また、後者の場合、制御部10が現在の充電可能な車両の台数を求め、その台数を液晶パネルに表示させてもよい。
【0046】
而して、充電可能なリモコンリレーRRij(充電コンセント)を表示手段に表示させることにより、車両を充電しようとする利用者にとっての利便性を向上することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 充電制御装置
2 主分電盤
3 副分電盤
10 制御部(制御手段)
11 電流計測部(電流計測手段)
12 リモコンリレー駆動部(制御手段)
13 記憶部(記憶手段)
21i 分岐開閉器
301〜303 分岐開閉器
CTij 電流センサ(電流計測手段)
RRij リモコンリレー(スイッチ要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤で分岐された複数の分岐回路を含む複数の充電経路を各別に開閉する複数のスイッチ要素と、前記スイッチ要素を経由して車両に供給される電流を各別に計測する複数の電流計測手段と、前記分岐回路と前記スイッチ要素の対応関係を記憶した記憶手段と、前記電流計測手段で計測される電流値が所定の上限値を超過しないように前記スイッチ要素を開閉する制御手段とを備えることを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
複数の前記分岐回路に流れる電流を各別に計測する複数の分岐電流計測手段を備え、前記制御手段は、前記分岐電流計測手段で計測される電流値が所定の分岐電流上限値を超過しないように前記スイッチ要素を開閉することを特徴とする請求項1記載の充電制御装置。
【請求項3】
1次側が前記分岐回路に接続され、2次側が複数の前記スイッチ要素に接続される複数の分岐開閉器を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記分電盤への入力電力を計測する入力電力計測手段を備え、前記記憶手段は、前記入力電力の上限値と、複数の前記分岐回路に対する優先順位とを記憶しており、前記制御手段は、前記入力電力計測手段の計測値と前記上限値との差分から同時に充電可能な車両台数を求め、前記優先順位が高い方の充電経路に挿入されている前記スイッチ要素から順番に閉成することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記分電盤への入力電力を計測する入力電力計測手段を備え、前記記憶手段は、前記入力電力の上限値と、複数の前記スイッチ要素に対する優先順位とを記憶しており、前記制御手段は、前記入力電力計測手段の計測値と前記上限値との差分から同時に充電可能な車両台数を求め、前記優先順位が高い方の前記スイッチ要素から順番に閉成することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記記憶手段に記憶される前記優先順位を動的に変更する優先順位変更手段を備えることを特徴とする請求項5記載の充電制御装置。
【請求項7】
複数の前記充電経路のうちで前記制御手段によって前記スイッチ要素が閉成されている前記充電経路を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の充電制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110919(P2013−110919A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255959(P2011−255959)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】