説明

充電機能付き駐車装置

【課題】パレット移動時に電気自動車と給電ケーブルを接続した状態に維持でき、給電ケーブルと電気自動車との接続箇所に張力が発生しないようにすることができる充電機能付き駐車装置を提供する。
【解決手段】電気自動車が積載可能なパレット3a、3b、3cと、電気自動車がパレットに積載されている時に、該電気自動車に充電を行う充電装置20とを備える充電機能付き駐車装置。充電装置20は、静止側の電源と、該電源と電気的に接続されている給電ケーブル25と、給電ケーブル25の先端に設けられた給電用接続部29とを有し、給電用接続部29は、電気自動車の充電用接続部に接続可能である。給電用接続部29が、パレットに積載された電気自動車の充電用接続部に接続されている時に、パレットが移動しても追従できる長さを給電ケーブルが有している。充電装置は、パレットに設置されたロック機構31を備え、該ロック機構は、給電ケーブルを挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車対象の電気自動車をパレット上に積載している時に、電気自動車に充電することができる充電機能付き駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パレットは、入・出庫位置と駐車位置との間で移動させられる。パレットが、入庫位置にある時には、このパレットに自動車が自走して乗り込むことができる。入庫位置のパレットに自動車が乗り込むことで、当該自動車が駐車装置へ入庫する。入庫したパレット上の自動車は、パレットの昇降や横行により駐車位置まで移動させられる。この自動車が出庫する時には、当該パレットがパレットの昇降や横行により駐車位置から出庫位置まで移動させられる。このように出庫位置へパレットが移動すると、当該パレットから自動車が自走して乗り出することができる。なお、本願において、入・出庫位置は、入庫位置または出庫位置を意味する。また、入庫位置と出庫位置は、同じ位置であってもよいし、互いに異なる位置であってもよい。
【0003】
上述のような駐車装置は、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−115674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気自動車が駐車装置に駐車している間に、電気自動車に充電することが考えられる。すなわち、蓄電池が搭載されており、この蓄電池に蓄えられた電気エネルギを利用して走行する電気自動車が上述のパレットに積載されている間に、電気自動車(当該蓄電池)に充電できれば有益である。そのために、パレット上の電気自動車側に設けた充電用接続部(コネクタ)に、給電ケーブルの先端に設けた給電用接続部(コネクタ)を接続し、この状態で、充電を行うことが考えられる。入庫位置において給電用接続部を充電用接続部に接続しておけば、その後、パレットが入庫位置から駐車位置へ移動する間、パレットが駐車位置にある間、および、パレットが駐車位置から出庫位置へ移動する間において、電気自動車に充電を継続して行うことができる。
【0006】
しかし、パレット移動時に給電ケーブルに張力が作用する問題がある。給電ケーブルを、例えば、静止構造体に設けた所定電源から延びるように配置することが考えられる。一方、パレットは、上述のように入・出庫位置と駐車位置との間で移動する。従って、給電ケーブルの長さを設定しておく必要がある。しかし、給電ケーブルを延ばした状態にしておくとパレットが移動した際、ケーブルを損傷させる恐れがあるため、ケーブルに張力を与え、静止構造体に設置したドラムに余分なケーブルを巻き取らせる必要がある。一方、張力を与えたことにより該当パレット上にある電気自動車の充電用接続部と、給電ケーブルの給電用接続部との接続箇所に張力が作用し、これら接続部やこれに付随する部分が損傷してしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、パレット移動時においても、電気自動車と給電ケーブルを接続した状態に維持できるとともに、パレットの移動などにより給電ケーブルと電気自動車との接続箇所に張力が発生しないようにすることができる充電機能付き駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によると、電気自動車が積載可能であり、かつ移動可能なパレットと、
電気自動車がパレットに積載されている時に、該電気自動車に充電を行う充電装置と、を備える充電機能付き駐車装置であって、
前記充電装置は、静止側の電源と、該電源と電気的に接続されている給電ケーブルと、該給電ケーブルにおける前記電源と反対側先端に設けられた給電用接続部と、を有し、該給電用接続部は、電気自動車の充電用接続部に接続可能であり、
前記給電用接続部が、前記パレットに積載された電気自動車の充電用接続部に接続されている時に、前記パレットが移動しても該移動に追従できる長さを前記給電ケーブルが有しており、
さらに、前記充電装置は、前記パレットに設置されたロック機構を備え、該ロック機構は、前記給電ケーブルを挟持することで、該挟持箇所から前記給電用接続部までの給電ケーブル部分に、該挟持箇所よりも前記電源側で発生した前記給電ケーブルの張力が作用することを阻止する、ことを特徴とする充電機能付き駐車装置が提供される。
【0009】
前記パレットは、入・出庫位置と駐車位置との間で昇降させられ、
駐車装置の静止側の構造体には、前記給電ケーブルが巻かれたドラムが設置されており、
前記パレットの昇降に伴って、前記ドラムから給電ケーブルが巻き取られ又は巻き出されるようになっていてよい。
【0010】
水平移動するフレームを備え、
前記パレットは、前記フレームに吊るされて昇降可能であり、かつ、前記フレームと共に水平移動可能であり、
前記フレームには、前記給電ケーブルが巻かれたドラムが設置されており、
前記パレットの昇降に伴って、前記ドラムから給電ケーブルが巻き取られ又は巻き出されるようになっていてよい。
【0011】
好ましくは、前記パレットには、前記ドラムのほぼ真下の位置において、前記給電ケーブルが掛けられる滑車が設置されており、
前記給電ケーブルは、前記ドラムから、前記滑車および前記ロック機構をこの順で経由して前記給電用接続部まで延びている。
【0012】
前記ロック機構を、給電ケーブルを挟持するロック状態と、給電ケーブルを挟持しない非ロック状態との間で切り替え可能にする操作部を備えるのがよい。
【0013】
また、好ましくは、前記パレットの前記充電装置側にガイドフレームを設置することにより、前記電気自動車が前記充電装置とは反対側へ寄って積載される。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明によると、給電ケーブルは、前記パレットが移動しても該移動に追従できる長さを有しているので、パレット移動時においても、電気自動車と給電ケーブルを接続した状態に維持できる。しかも、パレットにロック機構を設置し、該ロック機構は、前記給電ケーブルを挟持するので、パレット移動時などに、前記挟持箇所から前記給電用接続部までの給電ケーブル部分に、該挟持箇所よりも前記電源側で発生した前記給電ケーブルの張力(パレット移動による張力など)が作用することを阻止できる。
本発明の実施形態による効果は、以下で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用可能な駐車装置の全体構成例を示す。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図、または、図1のC−C矢視図である。
【図4】図1のD−D矢視図である。
【図5】(A)は、2階または3階のフレームに設けられたスプロケットおよびチェーンを示す斜視図であり、(B)は、4階の構造体に設けられたスプロケットおよびチェーンを示す斜視図である。
【図6】図2のVI−VI矢視図である。
【図7】(A)は、図3のVII−VII矢視図であり、(B)は、(A)の状態からパレットを下降させた状態を示す。
【図8】(A)は、図4のVIII−VIII矢視図であり、(B)は、(A)の状態からパレットを下降させた状態を示す。
【図9】(A)は、図6、図7(A)または図8(A)の部分拡大図であり、(B)は、(A)の状態からロック機構を非ロック状態にした場合を示し、(C)は、(B)のC−C矢視図である。
【図10】(A)は、図3または図4のX−X矢視図であり、(B)は、(A)のB−B矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0017】
以下において、最初に、本発明が適用可能な駐車装置の全体構成例を説明し、その後に、当該駐車装置に充電機能を備えつけた場合の構成を説明する。
【0018】
(駐車装置の全体構成)
図1は、本発明が適用可能な駐車装置10の全体構成例を示す。図1において、パレット3a、3b、3cが配置可能な駐車位置(即ち、駐車スペース)が上下に4段設けられている。
図2は、図1のA−A矢視図であり、1階のパレット3aとその付近の構造を示す。図3は、図1のB−B矢視図、または、図1のC−C矢視図であり、2階または3階のパレット3bとその付近の構造を示す。図4は、図1のD−D矢視図であり、4階のパレット3cとその付近の構造を示す。なお、図3、図4において、パレット3a、3b、3cを1点鎖線で示し、図2〜図4において、自動車1を2点鎖線で示す。
【0019】
1階には、パレット3aが配置可能な駐車位置が左右に4つ設けられているが、自動車1が乗り込み可能なパレット3aは、左右に3つ設けられている。従って、空いた駐車位置を利用して、1階の各パレット3aは、左右方向に移動可能である。この移動は、パレット3aに設けられた駆動輪11によって行われる。すなわち、各駆動輪11は、下面が駐車装置10における静止側の構造体5の上面に接しており、当該駆動輪11が回転させられることで、パレット3aを左右方向に移動させる。例えば、図2において、実線で描いたパレット3aを、破線でパレット3aを描いた位置まで移動させる。
【0020】
2階と3階には、パレット3bが配置可能な駐車位置が左右に4つ設けられているが、自動車1が積載可能なパレット3bは、左右に3つ設けられている。2階の各パレット3bは、1階と2階との間で昇降可能である。3階の各パレット3bは、1階と3階との間で昇降可能である。2階と3階の各パレット3bは、1階に位置している時に、該パレット3bに自動車1が乗り込み、その後、出庫までの間、2階または3階へ上昇して待機している。2階および3階の各パレット3bは、それぞれ、2階および3階に設けられたフレーム15に昇降可能にチェーン17、18で吊るされている。
【0021】
各フレーム15には、パレット3bを昇降させる昇降装置19が設けられる。昇降装置19は、パレット3bを、チェーン17、18で吊るして昇降させる装置である、昇降装置19は、図3に示すように、フレーム15に設けられ回転駆動させられる駆動シャフト21と、駆動シャフト21により駆動させられるスプロケット23a、23b、23c、23d、23eおよびチェーン17、18とを有する。
【0022】
図5(A)は、フレーム15の左側(即ち、図3の左側)に設けられたスプロケット23a、23b、23c、23d、23eおよびチェーン17、18を示す斜視図である。
【0023】
チェーン17は、パレット3bの前側に一端が固定され、パレット3bとの当該固定部から鉛直方向上方に延びてきてスプロケット23aに掛けられた後、水平方向後側に延びてスプロケット23bに掛けられ、その後、さらに、水平方向前側に延びてスプロケット23cに掛けられ、その後、スプロケット23aとスプロケット23bの間に延びているチェーン17における連結箇所17aに他端が連結させられる。
【0024】
一方、チェーン18は、パレット3bの後側に一端が固定され、パレット3bとの当該固定部から鉛直方向上方に延びてきてスプロケット23dに掛けられた後、水平方向後側に延びてスプロケット23eに掛けられ、その後、さらに、スプロケット23bとスプロケット23cの間に延びているチェーン17における連結箇所17bに他端が連結させられる。スプロケット23b、23eは、駆動シャフト21に固定されており、スプロケット23a、23c、23dは、フレーム15に回転自在に支持されている。
【0025】
このような構成で、駆動シャフト21が回転駆動されると、スプロケット23a、23b、23c、23d、23eが回転することで、チェーン17、18がスプロケット23a、23dからパレット3b側へ下方に繰り出されてパレット3bが下降する。駆動シャフト21を逆方向に回転駆動すると、パレット3b側からチェーン17、18がスプロケット23a、23dへ引き寄せられてパレット3bが上昇する。
【0026】
フレーム15の右側に設けられたスプロケット23a、23b、23c、23d、23eおよびチェーン17、18の構成も、図5(A)と同じであるが、フレーム15の左側に設けられたスプロケット23a、23b、23c、23d、23eおよびチェーン17、18と配置が左右対称である。
【0027】
2階の各フレーム15は、左右方向の空いた駐車位置を利用して、左右方向に移動できる。この移動は、2階において、フレーム15に設けられた駆動輪13によって行われる。すなわち、各駆動輪13は、下面が駐車装置10における静止側の構造体7の上面に接しており、当該駆動輪13が回転させられることで、フレーム15を左右方向に移動させる。同様に、3階の各フレーム15は、左右方向の空いた駐車位置を利用して、左右方向に移動できる。この移動は、3階において、フレーム15に設けられた駆動輪13によって行われる。
【0028】
2階のフレーム15にチェーン17、18で吊るされたパレット3bが2階にある時に、当該フレーム15が左右方向に移動することで、当該パレット3bが当該チェーン17、18で引っ張られて、フレーム15と共に左右方向に移動する。同様に、3階のフレーム15にチェーン17、18で吊るされたパレット3bが3階にある時に、当該フレーム15が左右方向に移動することで、当該パレット3bが当該チェーン17、18で引っ張られて、フレーム15と共に左右方向に移動する。
【0029】
4階には、パレット3cが配置可能な駐車位置が左右に4つ設けられており、自動車1が乗り込み可能なパレット3cは、左右に4つ設けられている。各パレット3cは、昇降装置19により1階と4階との間で昇降させられる。当該昇降装置19は、パレット3cを、チェーン17、18で吊るして昇降させる装置である。この昇降装置19は、図4、図5(B)に示すように、静止側の構造体9に設けられ回転駆動させられる駆動シャフト21と、駆動シャフト21により駆動させられるスプロケット23a、23b、23d、23eおよびチェーン17、18とを有する。
【0030】
図5(B)は、図4の左側に設けられたスプロケット23a、23b、23d、23eおよびチェーン17、18を示す斜視図である。
【0031】
図5(B)のチェーン17は、パレット3bの前側に一端が固定され、パレット3bとの当該固定部から鉛直方向上方に延びてきてスプロケット23aに掛けられた後、水平方向後側に延びてスプロケット23bに掛けられ、その後、鉛直下方に延びてそのまま垂れ下がっていてよい。
【0032】
一方、図5(B)のチェーン18は、パレット3bの後側に一端が固定され、パレット3bとの当該固定部から鉛直方向上方に延びてきてスプロケット23dに掛けられた後、水平方向後側に延びてスプロケット23eに掛けられ、その後、鉛直下方に延びてそのまま垂れ下がっていてよい。図5(B)のスプロケット23b、23eは、駆動シャフト21に固定されており、図5(B)のスプロケット23a、23dは、フレーム15に回転自在に支持されている。
【0033】
このような図5(B)の構成で、駆動シャフト21が回転駆動されると、スプロケット23a、23b、23d、23eが回転することで、チェーン17、18がスプロケット23a、23dからパレット3b側へ下方に繰り出されてパレット3bが下降する。駆動シャフト21を逆方向に回転駆動すると、パレット3b側からチェーン17、18がスプロケット23a、23dへ引き寄せられてパレット3bが上昇する。
【0034】
図4の右側に設けられたスプロケット23a、23b、23d、23eおよびチェーン17、18の構成も、図5(B)と同じであるが、図4の左側に設けられたスプロケット23a、23b、23d、23eおよびチェーン17、18と配置が左右対称である。
【0035】
1階の駐車位置に自動車1を駐車する場合には、1階の空の(即ち、自動車1が積載されていない。以下同様)パレット3aに自走して自動車1が乗り込む。なお、1階の空のパレット3aがいずれの駐車スペースに位置していても、当該パレット3aに自走して自動車1が乗り込むことができる。1階のパレット3aに積載されている自動車1を出庫させる場合には、当該パレット3aから自動車1が自走して乗り出す。なお、当該パレット3aが1階のいずれの駐車スペースに位置していても、当該パレット3aから自動車1が自走して乗り出すことができる。
【0036】
2階の駐車位置に自動車1を駐車する場合には、まず、空のパレット3bを2階から1階へ下降させる。この時、当該パレット3bの真下にパレット3aが位置している場合には、1階の当該パレット3aを、パレット3bの下降に干渉しないように隣の駐車位置まで左右方向に移動させる。パレット3bを1階に下降させたら、当該パレット3bに自走して自動車1が乗り込む。その後、自動車1が積載されたパレット3bを2階の駐車位置へ上昇させる。2階のパレット3bに積載されている自動車1を出庫させる場合には、当該パレット3bを2階から1階へ下降させる。この時、当該パレット3bの真下にパレット3aが位置している場合には、1階の当該パレット3aを、上記と同様に、隣の駐車位置まで左右方向に移動させる。パレット3bを1階に下降させたら、当該パレット3bから自動車1が自走して乗り出す。その後、空になったパレット3bを2階の駐車位置へ上昇させる。
【0037】
3階の駐車位置に自動車1を駐車する場合、および、3階のパレット3bから自動車1を出庫させる場合は、2階の駐車位置に自動車1を駐車する場合、および、2階のパレット3bから自動車1を出庫させる場合と同じである。ただし、3階から1階へパレット3bを下降させる時に、当該パレット3bの真下に、1階のパレット3aおよび2階のパレット3bが位置する場合には、これらパレット3a、3bを、3階のパレット3bの下降に干渉しないように隣の駐車位置まで左右方向に移動させる。同様に、1階から3階へパレット3bを上昇させる時も、当該上昇にパレット3a、3bが干渉しないようにしておく。
【0038】
4階の駐車位置に自動車1を駐車する場合、および、4階のパレット3cから自動車1を出庫させる場合は、2階の駐車位置に自動車1を駐車する場合、および、2階のパレット3bから自動車1を出庫させる場合と同じである。ただし、4階から1階へパレット3cを下降させる時に、当該パレット3cの真下に、1階、2階および3階のパレット3a、3bが位置する場合には、これらパレット3a、3bを、パレット3cの下降に干渉しないように隣の駐車位置まで左右方向に移動させる。同様に、1階から4階へパレット3bを上昇させる時も、当該上昇にパレット3a、3bが干渉しないようにしておく。
【0039】
1階の各パレット3aにとっては、当該パレット3aが位置できる1階の駐車位置が、自動車1が当該パレット3aに自走して乗り込み可能な入庫位置にもなるとともに、自動車1が当該パレット3aから自走して乗り出し可能な出庫位置にもなる。
2階、3階または4階の各パレット3b、3cにとっては、当該パレットが下降できる1階の位置が、自動車1が当該パレットに自走して乗り込み可能な入庫位置になるとともに、自動車1が当該パレットから自走して乗り出し可能な出庫位置にもなる。
【0040】
(充電機能を備えた場合の構成)
本発明の実施形態によると、充電機能付き駐車装置10は、電気自動車1がパレット3a、3bまたは3cに積載されている時に、該電気自動車1に充電を行う充電装置20を備える。
図6は、図2のVI−VI矢視図である。図7(A)は、図3のVII−VII矢視図であり、図7(B)は、図7(A)の状態からパレット3bを下降させた状態を示す。図8(A)は、図4のVIII−VIII矢視図であり、図8(B)は、図8(A)の状態からパレット3bを下降させた状態を示す。なお、図7(A)、図8(A)では、フレーム15、構造体9、スプロケット23a、23b、23c、23d、23e、チェーン17、18を破線で示している。
【0041】
充電装置20は、各パレット3a、3b、3c毎に設けられる。充電装置20は、図6〜図8に示すように、静止側の構造体に設けられた所定の電源(図示せず)と、該電源と電気的に接続されている給電ケーブル25と、給電ケーブル25における当該電源と反対側先端に設けられた給電用接続部(例えば、コネクタ)29と、を有する。該給電用接続部29は、電気自動車1の充電用接続部(例えば、コネクタ)に接続可能である。給電用接続部29が、電気自動車1の充電用接続部に接続されることで、当該電気自動車1の蓄電池に充電がなされる。
給電用接続部29が、パレット3a、3b、3cに積載された電気自動車1の充電用接続部に接続されている時に、パレット3a、3b、3cが移動しても該移動に追従できる長さを給電ケーブル25が有している。
【0042】
充電装置20は、さらに、図6〜図8に示すように、パレット3a、3b、3cに設置されたロック機構31を備える。該ロック機構31は、給電ケーブル25を挟持(拘束)することで、パレット移動時に、当該挟持箇所(即ち、ロック機構31が挟持したケーブル25部分)から給電用接続部29までの給電ケーブル25部分に張力が作用することを阻止する。
【0043】
充電機能付き駐車装置10は、ロック機構31を、給電ケーブル25を挟持(拘束)するロック状態と、給電ケーブル25を挟持しない非ロック状態との間で切り替え可能にする操作部33を備える。
【0044】
図9(A)は、図6、図7(A)または図8(A)の部分拡大図であり、ロック機構31のロック状態を示す。図9(B)は、図9(A)の状態からロック機構31を非ロック状態にした場合を示す。図6〜図9の例では、ロック機構31は、カム31aとこれに対向する対向部材31bであり、操作部33は、レバーであり、図9(B)の状態から図9(A)の状態にレバー33を倒すと、カム31aが偏心軸C1周りに回転することで、ロック機構31がロック状態となり、カム31aの外周面が、対向部材31bとの間で給電ケーブル25を挟持する。このロック状態から、図9(B)のように、レバー33を元のように立てると、カム31aの外周面と対向部材31bとの間の隙間が大きくなることで、ロック機構31が非ロック状態となり、カム31aの外周面が、対向部材31bとの間で給電ケーブル25を挟持しなくなる。これにより、人が給電ケーブル25を引っ張ると、ケーブル25がロック機構31を通過して、後述のドラム35から所望の長さだけ給電ケーブル25を巻き出すことができる。
【0045】
図9(C)は、図9(B)のC−C矢視図である。図9(C)に示すように、給電ケーブル25がカム31aと対向部材31bとの間に維持されるように、給電ケーブル25を水平方向両側から挟む部材31cがロック機構31に設けられている。図9(C)の例では、部材31cは、対向部材31bに固定され、カム31aは、偏心軸C1周りに回転自在に部材31cに支持されている。
【0046】
充電装置20の上述の構成は、1階、2階、3階および4階のパレット3a、3b、3cの間で同じだが、以下で述べる充電装置20の構成は、パレット3a、3b、3cの階によって異なる。
【0047】
1階においては、パレット3aに設けられる充電装置20の給電ケーブル25は、給電ケーブル25aと給電ケーブル25bとからなる。図6に示すように、各パレット3aには、給電ケーブル25(給電ケーブル25a)が巻かれたドラム35が設置されている。1階の各パレット3aは、互いに隣接する2つの駐車位置の間でのみ左右に移動可能であるので、図2に示すように、当該移動に追従できる長さを有する給電ケーブル25(給電ケーブル25b)が静止側の電源32から延びてパレット3a上のドラム35に固定されている。当該給電ケーブル25bは、パレット3a上のドラム35に巻かれている給電ケーブル25a(例えば、ドラム35に最初に巻かれる給電ケーブル25aの端部)に電気的に接続されている。
【0048】
なお、1階のパレット3aに設置したドラム35を省略してもよく、この場合、1階の当該パレット3aの前記移動に追従できる長さを有する給電ケーブル25(給電ケーブル25b)が静止側の電源32から延びてパレット3a上のロック機構31を経由して、その先端部に設けた給電用接続部29まで延びていてよい。他の構成は、上述した構成または後述する構成と同じであってよい。
【0049】
2階または3階においては、図7に示すように、フレーム15には、給電ケーブル25が巻かれたドラム35が設置されている。パレット3bの昇降に伴って、ドラム35から給電ケーブル25が巻き取られ又は巻き出されるようになっている図示しない静止側の電源からドラム35まで図示しない接続用ケーブルがフレーム15の移動に追従できる長さで延びており、ドラム35に巻かれている給電ケーブル25(例えば、ドラム35に最初に巻かれる給電ケーブル25の端部)は、当該接続用ケーブルに電気的に接続されている。
【0050】
4階においては、図8に示すように、静止側の構造体9には、給電ケーブル25が巻かれたドラム35が設置されている。パレット3cの昇降に伴って、ドラム35から給電ケーブル25が巻き取られ又は巻き出されるようになっている。電源からドラム35まで電線(例えばケーブル)が延びており、ドラム35に巻かれている給電ケーブル25(例えば、ドラム35に最初に巻かれる給電ケーブル25の端部)は、当該電線に電気的に接続されている。
【0051】
2階、3階または4階のパレット3b、3cには、対応するドラム35のほぼ真下の位置において、給電ケーブル25が掛けられる滑車37が設置されている。給電ケーブル25は、ドラム35から、滑車37およびロック機構31をこの順で経由して給電用接続部29まで延びている。この滑車37により、パレット3b、3cの昇降に伴うドラム35への給電ケーブル25の巻き取りおよびドラム35からの電ケーブル25の巻き出しを円滑にすることができる。
【0052】
1階〜4階の各ドラム35(即ち、1階のパレット3aに設けたドラム35、2階または3階のフレーム15に設けたドラム35、および構造体9に設けたドラム35)には、給電ケーブル25を巻き取る方向に回転するように巻き取り力(例えば、バネによる弾性力や、モータによる回転駆動力など)が常に作用している。従って、特に、パレット3b、3cが1階から2階、1階から3階、または、1階から4階へ上昇する時に、上昇に伴って、前記巻き取り力により、ドラム35が回転して給電ケーブル25を自動的に巻き取るので、給電ケーブル25のたるみを防止できる。一方、パレット3b、3cが下降する時には、ロック機構31に挟持・固定された給電ケーブル25部分が、前記巻き取り力に抗して、ドラム35側の給電ケーブル25を引っ張ってドラム35を回転させ、これにより、パレット3b、3cの下降に伴って給電ケーブル25がドラム35から巻き出されるようになっている。
【0053】
上述した本発明の給電装置20によると、給電ケーブル25は、パレット3a、3b、3cが移動しても該移動に追従できる長さを有しているので、パレット移動時においても、電気自動車1と給電ケーブル25を接続した状態に維持できる。
【0054】
しかも、パレット3a、3b、3cにロック機構31を設置し、該ロック機構31は、給電ケーブル25を挟持するので、パレット移動時に、当該挟持箇所から電気自動車1との接続部分までの給電ケーブル25部分に張力が作用することを阻止できる。
具体的には、次の通りである。人が、電気自動車1を運転して、1階にあるパレット3a、3bまたは3cに当該電気自動車1を乗り込ませ、電気自動車1から降り、ロック機構31を非ロック状態にする。次いで、人が、前記巻き取り力に抗して、給電ケーブル25を引っ張ってドラム35から巻き出し、給電用接続部29を、電気自動車1の充電用接続部まで持っていって該充電用接続部に接続することができる。特に、充電用接続部が、電気自動車1の前方部または後方部に設けられていても、当該前方部または後方部に給電用接続部29を持っていくのに必要な長さだけ、給電ケーブル25をドラム35から巻き出すことができる。その後、ロック機構31をロック状態にして給電ケーブル25を挟持すれば、ドラム35を設置しない場合のパレット3aまたはパレット3b、3cの移動により給電ケーブル25に張力が生じても、この張力は、ロック機構31から給電用接続部29までの給電ケーブル25の部分には作用しないので、給電用接続部29が引っ張られることが無くなる。
ドラム35を設置したパレット3aに関して、当該パレット3aに設置したロック機構31は、パレット3aに設置したドラム35の上述した巻き取り力による張力が、給電用接続部29に作用することを防止する。
【0055】
(パレットのガイド機能)
図10(A)は、図3または図4のX−X矢視図である。図10(B)は、図10(A)のB−B矢視図である。図10(A)が、図4のX−X矢視図である場合には、スプロケット23cが省略される。
パレット3a、3b、3cの左右両側には、それぞれ、自動車1のタイヤ1aをガイドするガイドフレーム39aが設けられている、ドラム35や給電用接続部29などの充電装置20(給電ケーブル25、給電用接続部29、ロック機構31など)は、パレット3a、3b、3cの左右一方側の端部に配置されている。そのため、自動車1が、パレット3a、3b、3cの左右中央よりも、充電装置20と左右反対側へ積載されるようにガイドフレーム39aが構成される。各パレット3a、3b、3cにおける左側端部46aおよび右側端部46bは、自動車1の左右のタイヤ1aが積載される各タイヤ積載面45から上方に立ち上がっており、ガイドフレーム39aは、左側端部46aに隣接して設けられ、タイヤ積載面45から上方に立ち上がっている。また、ガイドフレーム39aの前方側端部48(図10(B)の下側端部)の左右方向の幅は、後方側に移行するにつれ大きくなっている。従って、自動車1が各パレット3a、3b、3cに乗り込む時に、前方側端部48の側面51により、自動車1を、パレット3a、3b、3cの左右中央よりも、充電装置20と左右反対側へ案内する。その結果、パレット3a、3b、3cに積載された電気自動車1の充電用接続部に給電用接続部29を接続した状態で、パレット3a、3b、3cが上昇しても、給電用接続部29がフレーム15や静止側の構造体9に衝突することを防止できる。なお、図において、符号39cは、パレット3b、3cの中央部に設けられた立ち上り部である。図10において、左側端部46aおよび右側端部46bは、左右方向の幅が同じである。
【0056】
(その他の構成)
なお、図6〜図9の構成例では、操作部33の高さが人の手の高さ程度になるように、操作部33およびロック機構31は、ポール41の頂上に設置されている。これにより、人が立った状態で操作部33を操作できる。ただし、本発明によると、操作部33およびロック機構31は、ポール41上に設置しなくてもよい。
また、図9や図10(A)のように、給電用接続部29は、人の手で把持できる把持部29aと、電気自動車1の充電用接続部(コネクタ)に接続されるコネクタ部29bとを有する。また、給電用接続部29を使用しない時に、給電用接続部29(コネクタ部29b)をパレット3a、3bまたは3cに設置した保持部材43の開口43aに差し込んだ状態で、保持部材43に給電用接続部29を保持させておいてよい。
【0057】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、以下のように、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0058】
上述の実施形態では、人がレバー33を操作することで、ロック機構31を、ロック状態と非ロック状態との間で切り替えたが、本発明によると、人が他の操作手段(例えば、操作ボタン)を操作することで、ロック機構31を、ロック状態と非ロック状態との間で切り替えてもよい。この場合、駆動モータなどの、人によらない駆動装置により、ロック機構31を、ロック状態と非ロック状態との間で自動的に切り替える構成としてよい。
【0059】
上述の実施形態では、ロック機構31は、カム31aと対向部材31bとで構成したが、本発明によると、ロック機構31は、給電ケーブル25を挟持できる他の手段で構成されてもよい。
【0060】
本発明が適応可能な駐車装置は、図1の構成例に限定されない。すなわち、電気自動車が積載可能であり、かつ移動可能であるパレットに対して、上述の充電装置を設けることができる。この場合、入・出庫と駐車位置との間で昇降または水平移動するパレットについては、その昇降または水平移動の範囲が大きい場合には、駐車装置の静止側の構造体に、給電ケーブル25が巻かれたドラム35を設置し、上述のロック機構31を当該パレットに設置し、当該パレットの昇降に伴って、ドラム35から給電ケーブルが巻き取られ又は巻き出されるようになっているのがよく、さらに、好ましくは、上述と同様の滑車37を当該パレットに設置するのがよい。なお、パレットが水平移動する場合には、ドラム35や滑車37の向きは水平移動の向きに合わせられ、また、パレットが水平直線移動する場合には、滑車37は、パレットが当該水平移動する方向から見た場合、ドラム35と位置がほぼ重複する。
【符号の説明】
【0061】
1 自動車、3a 1階用のパレット、3b 2階または3階用のパレット、
3c 4階用のパレット、5、7、9 静止側の構造体、10 駐車装置、
11、13 駆動輪、15 フレーム、17、18 チェーン、
19 昇降装置、20 充電装置、21 駆動シャフト、
23a、23b、23c、23d、23e スプロケット、
25 給電ケーブル、29 給電用接続部、31 ロック機構、
31a カム、31b 対向部材、33 操作部(レバー)、35 ドラム、
37 滑車



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車が積載可能であり、かつ移動可能なパレットと、
電気自動車がパレットに積載されている時に、該電気自動車に充電を行う充電装置と、を備える充電機能付き駐車装置であって、
前記充電装置は、静止側の電源と、該電源と電気的に接続されている給電ケーブルと、該給電ケーブルにおける前記電源と反対側先端に設けられた給電用接続部と、を有し、該給電用接続部は、電気自動車の充電用接続部に接続可能であり、
前記給電用接続部が、前記パレットに積載された電気自動車の充電用接続部に接続されている時に、前記パレットが移動しても該移動に追従できる長さを前記給電ケーブルが有しており、
さらに、前記充電装置は、前記パレットに設置されたロック機構を備え、該ロック機構は、前記給電ケーブルを挟持することで、該挟持箇所から前記給電用接続部までの給電ケーブル部分に、該挟持箇所よりも前記電源側で発生した前記給電ケーブルの張力が作用することを阻止する、ことを特徴とする充電機能付き駐車装置。
【請求項2】
前記パレットは、入・出庫位置と駐車位置との間で昇降させられ、
駐車装置の静止側の構造体には、前記給電ケーブルが巻かれたドラムが設置されており、
前記パレットの昇降に伴って、前記ドラムから給電ケーブルが巻き取られ又は巻き出されるようになっている、ことを特徴とする請求項1に記載の充電機能付き駐車装置。
【請求項3】
水平移動するフレームを備え、
前記パレットは、前記フレームに吊るされて昇降可能であり、かつ、前記フレームと共に水平移動可能であり、
前記フレームには、前記給電ケーブルが巻かれたドラムが設置されており、
前記パレットの昇降に伴って、前記ドラムから給電ケーブルが巻き取られ又は巻き出されるようになっている、ことを特徴とする請求項1に記載の充電機能付き駐車装置。
【請求項4】
前記パレットには、前記ドラムのほぼ真下の位置において、前記給電ケーブルが掛けられる滑車が設置されており、
前記給電ケーブルは、前記ドラムから、前記滑車および前記ロック機構をこの順で経由して前記給電用接続部まで延びている、ことを特徴とする請求項2または3に記載の充電機能付き駐車装置。
【請求項5】
前記ロック機構を、給電ケーブルを挟持するロック状態と、給電ケーブルを挟持しない非ロック状態との間で切り替え可能にする操作部を備える、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の充電機能付き駐車装置。
【請求項6】
前記パレットの前記充電装置側にガイドフレームを設置することにより、前記電気自動車が前記充電装置とは反対側へ寄って積載される、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の充電機能付き駐車装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−111805(P2011−111805A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269240(P2009−269240)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】