説明

充電用ロッカー

【課題】 電動補助自転車等の電動車両に付属する電池パックの充電に適した充電設備を提供する。
【解決手段】 格納部1内に電源6を設けた充電ロッカーを駐輪場等に設置する。電源6には充電器8が接続され、利用者は電動補助自転車Bから取り外した電池パック7を充電器8にセットして、空き時間を利用して充電する。充電中は開閉扉3を閉じ鍵4で施錠することにより、充電パック7と充電器8の盗難を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の蓄電池に充電する充電器を備えたロッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、坂道や長距離走行時等の脚力負担を軽減するため、電動モータによる動力を利用して運転者の走行を補助(アシスト)する電動補助自転車が普及している。このような自転車は、電動モータの電源として、繰り返しの充電が可能な電池パック(ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン等による単電池(セル)を複数個接続して構成されている)が用いられており、例えば、自転車のサドル下方のフレーム上に着脱可能に取り付けられている。
【0003】
前記電動補助自転車の利用者は、前述した電池パックの畜電力の残量(電池残存量をLEDの点灯により表示するものが一般的である)に応じて、電池パックを自転車から取り外して屋内等に持ち込み、利用者が所有する充電器を介して適宜、これに充電するのが通常である。
【0004】
また、近年の電動補助自転車の普及拡大に応じて、充電装置を設置した公共の駐輪場や、電動補助自転車を有料で貸し出す賃貸(レンタル)事業(特許文献1参照)も増加しつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−210230
【0006】
上記電動補助自転車のレンタル事業においては、レンタル店舗で充電された電動補助自転車を利用者に貸し出し、利用者は自転車の利用後、貸し出しを受けたレンタル店舗に自転車を返却するか、或いは、利用者の利便性を考慮して、貸し出したレンタル店舗と異なるレンタル店舗(経営主体が同一)に自転車を返却する等の利用がなされている。
【0007】
レンタル店舗では、自転車に識別番号を付すことにより、貸し出した自転車が確実に返却されたことを確認し、また、自転車に取り付けられた電池パックにも識別番号を付すことにより、電池パックの充電回数を管理して、充電回数の限界値を把握することが行なわれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
然るに、上記レンタル事業者は、自転車を管理・保管する区域内で複数台の自転車を保有し、管理区域内で各自転車の電池パックを充電しているので、電池パックの盗難を防止するためには、管理区域への侵入を防止する必要があり、監視区域が必然的に広くなる。
【0009】
また、電動補助自転車のレンタル事業者に限らず、個人所有の電動補助自転車の電池パックを法人や集合住宅の駐輪場で充電する場合、電池パックの盗難を防止するために駐輪場全域を監視区域とすることは、管理コスト及び負担が増大するため好ましくない。
【0010】
一方、法人や集合住宅の駐輪場で充電せず、電動補助自転車の所有者が当該自転車から電池パックを取り外し、法人の事務所内や集合住宅の各家庭に持ち込み、屋内電源を利用して充電すれば防犯上有効であるが、蓄電池は比較的重量もあり、これを運搬することは煩わしさに耐えない。
【0011】
そこで、本発明は、電動補助自転車等、電動車両の電池パックを充電するに当たり、広い管理区域を管理することなく電池パックの盗難防止を実現し、かつ、自転車の所有者が電池パックを取り外して運搬し、屋内電源を利用して充電するといった負担を負うことなく、自転車を利用しない時間帯を有効に利用して、電池パックを充電することのできる装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、鍵付きの開閉扉を有する格納部に電源を備えて、電動補助自転車等の電動車両の充電池を充電するための充電器を前記電源に接続して配置可能に構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した充電ロッカーの格納部内が外部から確認可能となるように開閉扉を構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2の何れかに記載した充電ロッカーの格納部内に、各メーカーの電動車両に取り付けられた充電池の充電器を予め設置して構成したことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項3の何れかに記載した充電ロッカーに、充電池への通電状態を外部から確認する表示灯を備えて構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、ロッカーの各々の格納部を鍵付きの開閉扉で管理することにより、電動車両の蓄電池の盗難を防止することができるので、広い駐輪場全体を管理する必要はなく、管理コスト及び負担を飛躍的に軽減することができる。
【0017】
また、請求項1記載の発明によれば、電動車両の所有者は、仕事中や在宅中等の空き時間を利用して蓄電池の充電を行うことができ、また、充電に際して、蓄電池を自転車から取り外し屋内に持ち込む負担を解消することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、開閉扉を開放することなく蓄電池の充電状態を外部から確認することができ、利便性が向上が図れる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、充電ロッカーの管理者が予め格納部内に電動車両の各メーカーに対応した充電器を設置することにより、電動車両の所有者が自ら保有する充電器を格納部内に設置する手間を解消することができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、蓄電池の充電状態を表示灯の点灯状態を目視することにより確認できるので、覗窓を除いて蓄電池の充電状態を確認する必要はなく、充電池の充電状態をより一層把握し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の充電ロッカーを示す斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る充電ロッカーを示す斜視図である。
【図3】前記第2実施例に係る充電ロッカーを実現するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図1を用いて説明する。図1は本発明の充電ロッカーの斜視図である。本発明に係る充電ロッカーAは、会社や集合住宅等の駐輪場に設置されるものであり、複数(図1では8室)の格納部1を備えて構成されている。
【0023】
各格納部1は、取手2を備えた開閉扉3によって開閉可能となっており、開閉扉3は鍵4によって施錠可能に構成されている。また、開閉扉3には、外部から格納部1内を確認するための覗窓5が設けられている。
【0024】
格納部1内の各々には、電源6が用意されており、ロッカーAの利用者が自由に電源6を利用することができる。
【0025】
次に、前記充電ロッカーAの利用方法について説明する。電動補助自転車Bの所有者は、充電ロッカーAの開閉扉3を開放し、電動補助自転車Bの電池パック7を充電するための充電器8を格納部1内に設置する。
【0026】
そして、充電器8の給電コード9を格納部8内に備えられた電源6に接続したら、電動補助自転車Bから電池パック7を取り外し、格納部1内に設置した充電器8上にセットして電池パック7の充電を開始する。
【0027】
この状態で、開閉扉3を閉じ鍵4で施錠することにより、電池パック7及び充電器8の盗難を確実に防止する。自転車の所有者は電池パック7の充電中は、例えば、職場で仕事をしたり、集合住宅にある自らの住居で日常生活を送ることができる。つまり、空き時間を有効に活用して自転車Bの電池パック7を充電することができる。
【0028】
なお、電池パック7の充電状態は、充電ロッカーAの開閉扉3に設けた覗窓5を利用して、外部から電池パック7又は充電器8に具備されるLED表示灯の点灯状態によって確認することができる。
【0029】
充電が完了した後は、再び、鍵4を開錠して開閉扉3を開放し、充電器8から電池パック7を取り外し、自らの自転車Bに装着することで補助動力を得た自転車Bの走行が可能となる。
【0030】
なお、格納部1内に設置した充電器8は、利用者が継続的に充電ロッカーAを使用するのであれば、充電器8を設置したまま開閉扉3を閉じて施錠すれば良く、また、継続的に使用する意思がないのであれば、充電器8を電源6から取り外し、格納部1から取り出した後、開閉扉3を閉じれば良い。
【0031】
また、前記充電ロッカーAは役所等の公共施設、或いはスーパー等の商業施設に設置することも考えられる。この場合、利用者の利便性を向上するため、充電ロッカーAの設置者側で各メーカーの電池パック7に対応した充電器8を格納部1内に予め設置しておくことが望ましい。
【0032】
これらの施設は訪問者も多く、充電ロッカーAを特定の者に継続的に貸し出すことは稀であり、また、充電ロッカーAの利用者数も多いことが予想されるからである。この場合、充電器8は格納部1内に恒常的に備えられるが、盗難を防止するため、充電器8の給電コード9は格納部1内の電源6から抜けない構造とすることが望ましい。
【0033】
図2は、本発明の第2実施例に係る充電ロッカーA’の斜視図である。充電ロッカーA’は、開閉扉3に覗窓5を備える代わりに電池パック7の充電状態を表示する表示灯(例えば、電球やLED等)10を外部から確認可能な位置(例えば、鍵4の下部)に配置して構成したことを特徴とする。
【0034】
これを実現するための回路を図3に示す。電源6に接続される電池パック7と直列に表示灯(図4では電球)を接続する。電池パック7には、充電時に閉路し、満充電時に開路するスイッチ11が備えられている。
【0035】
電池パック7の充電時は、スイッチ11が閉路することによって表示灯10が点灯する。この点灯状態を外部から目視することにより、電池パック7の充電状態を確認する。また、電池パック7が満充電となり、スイッチ11が開路すると表示灯10が消灯するので、充電が完了したことも確実に確認することができる。
【0036】
以上説明したように、本発明の充電ロッカーAは、電動補助自転車Bの所有者が電池パック7を充電するに際して、電池パック7を屋内に持ち運び充電するといった煩わしさを解消し、仕事中や夜間或いは役所での各種手続や商業施設での買物等の時間を有効活用して、気軽に電池パック7の充電を行うことができる利点を有する。
【0037】
また、電池パック7や充電器8の盗難防止は、開閉扉3を施錠することによって実現可能なため、充電ロッカーAの設置者が広い区域を管理・監視する必要はなく、管理コスト及び負担を飛躍的に軽減することができる。
【0038】
また、充電ロッカーAの設置者側で各メーカーの電池パック7に対応した充電器8を予め用意しておくことにより、利用者は自らの充電器8を持ち運ぶ手間及び労力から開放され、充電ロッカーAの利便性を高めることができる。
【0039】
なお、上記実施例では電動補助自転車を例示して説明したが、本発明はこれに限定することなく、例えば、電動車椅子等、電動車両から取り外して充電するタイプの電池パック(蓄電池)の充電に利用可能であることは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
小型の充電器によって充電可能な蓄電池の充電に利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 格納部
2 取手
3 開閉扉
4 鍵
5 覗窓
6 電源
7 電池パック
8 充電器
9 給電コード
10 表示灯
11 スイッチ
A,A’ 充電ロッカー
B 電動補助自転車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵付きの開閉扉を有する格納部に電源を備え、電動車両の充電池を充電する充電器を前記電源に接続して配置可能に構成したことを特徴とする充電用ロッカー。
【請求項2】
前記開閉扉は格納部内を外部から確認可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の充電用ロッカー。
【請求項3】
前記格納部は、各メーカー毎の充電池を充電する充電器を予め設置して構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の充電用ロッカー。
【請求項4】
前記充電池への通電状態を外部から確認する表示灯を取り付けて構成したことを特徴とする請求項1又は請求項3の何れかに記載の充電用ロッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−66315(P2013−66315A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203938(P2011−203938)
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【Fターム(参考)】