説明

充電装置

【課題】クレードルが省略され、製造コストの低廉化及び利便性の向上が達成可能な充電装置を提供する。
【解決手段】商用電源から充電用の直流電力を作り出す電源装置(2)を具備する。この電源装置は、電源装置から引き出された出力ケーブル(24,40)を備えており、出力ケーブルには、携帯型電子機器に直接に接続されるコネクタ(42)と、携帯型電子機器(60)に内蔵された二次電池(62)の充電を制御する充電制御部(28)とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器に内蔵された二次電池を充電する充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯型電子機器、例えばデジタルカメラではCCDやCMOS等の光に反応する半導体素子が用いられており、映像は、電気信号に変換され、記憶媒体にデジタルデータとして記憶される。また、このカメラには二次電池からの電力が供給され、この電池は充電装置で適宜充電される。
【0003】
詳しくは、充電装置はACアダプタとクレードルとから構成され、クレードルはカメラを載置可能な大きさに形成されている。また、このクレードルには充電制御回路が内蔵されており、カメラをクレードルに載置すると、電力が充電制御回路を介してカメラ内の二次電池に供給される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−244633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、充電装置がACアダプタの他、クレードルをも必要としており、充電装置の製造コストが高くなるという問題がある。また、このクレードルが嵩張り、充電装置の持ち運びにも不便であるとの問題もある。
このように、上記従来の技術では、充電装置の簡素化、より詳しくは、充電制御回路を内蔵したクレードルを省略する点については格別な配慮がなされていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、クレードルを省略することができる充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1の発明は、商用電源から充電用の直流電力を作り出す電源装置を具備し、電源装置は、電源装置から引き出された出力ケーブルを備え、出力ケーブルには、携帯型電子機器に直接に接続されるコネクタと、携帯型電子機器に内蔵された二次電池の充電を制御する充電制御部とが備えられている。
【0008】
第1の発明によれば、電源装置が出力ケーブルを有し、このケーブルが携帯型電子機器に直接に接続される。そして、このケーブルには充電制御部が備えられており、充電制御部が電子機器に内蔵された二次電池の充電を制御する。よって、クレードルが不要になり、充電装置が電源装置のみの1つの構成で済む。この結果、充電装置の製造コストが抑えられるし、持ち運びにも便利になる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の構成において、出力ケーブルには、コネクタの近傍位置にノイズ吸収部が備えられ、充電制御部は、ノイズ吸収部に内蔵されていることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、充電制御部がノイズ吸収部に内蔵されているので、既存の電源装置とほぼ同じ外観を備えつつ、クレードルが不要になる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の構成において、充電制御部は、電源装置側に接続される入力部と、携帯型電子機器側に接続される出力部と、入力部と出力部との間に設けられ、電源装置からの電気エネルギーを整流する充電制御回路とを含み、入力部と充電制御回路との間、或いは充電制御回路と出力部との間のうち少なくともいずれか一方には、高周波ノイズを吸収するフィルタが配設されていることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、充電制御回路の入出力側の少なくともいずれか一方にはフィルタが配設されており、このフィルタが高周波ノイズを吸収していることから、充電装置の軽量化が図られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クレードルが省略され、製造コストの低廉化と、利便性の向上とが達成可能な充電装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には本実施例の充電器(充電装置)1が示され、図2には充電器1の模式図が示されている。この充電器1は静止画をデジタルデータとして記録するデジタルカメラ60の充電に用いられる。
【0013】
図1に示されるように、充電器1はACアダプタ(電源装置)2を有し、アダプタ2は、商用電源に接続可能に構成されたプラグ20と、このプラグ20に接続されるアダプタ本体22とを有し、充電用の直流電力を作り出している。本実施例のプラグ20は、アダプタ本体22に回動可能に支持されており、本体22の中央部分に形成された凹部23内に収納可能に構成されている。なお、これらプラグ20とアダプタ本体22とはACケーブルで接続されていても良い。
【0014】
また、アダプタ2は出力ケーブルを有している。具体的には、このケーブルは電源用の2極ケーブル24及び電源・充電用の5極ケーブル40から構成されており、2極ケーブル24の一端はアダプタ本体22に接続され、ケーブル24は本体22から引き出されている。一方、このケーブル24の他端はノイズ吸収部26に接続される。
【0015】
本実施例のノイズ吸収部26は略直方体のケース27で構成される。詳しくは、本実施例のケース27は2つの枡形状で形成されており、ケース27内は、枡形状の開口端同士を当接し、この当接部分を超音波で溶着することにより遮蔽されている。また、このケース27の外周の適宜位置にはLED50が取り付けられている。
【0016】
これに対し、ケース27には充電制御部28が内蔵されており、この充電制御部28が二次電池62の充電を制御する。詳しくは、充電制御部28は、その大きさが約15mm×約22mmのプリント配線板にて構成され、この配線板の両面には各種の電子部品が実装されている。そして、充電制御部28は、図2に示されるように、入力部30と、充電制御回路34と、出力部38とを有している。
【0017】
この入力部30は上記2極ケーブル24の他端に接続され、2つの入力側フィルタ32を介して充電制御回路34に接続されている。このフィルタ32はチップ型のフィルタであり、充電制御部28に組み込まれている。そして、このフィルタ32では、高周波ノイズ、本実施例ではカメラ60のCPUの発振を吸収し、熱を放出している。
【0018】
充電制御回路34では、アダプタ2からの電気エネルギーを整流し、二次電池62の充電を制御する。また、この制御回路34では充電開始時点からの経過期間が判別され、この期間に応じてLED50を発光させている。
【0019】
一方、出力部38は5つの出力側フィルタ36を介して充電制御回路34に接続されている。このフィルタ36もまたチップ型のフィルタであり、上記高周波ノイズを吸収して熱を放出する。そして、この出力部38は5極ケーブル40の一端に接続されており、ケーブル40はノイズ吸収部26から引き出され、このケーブル40の他端はコネクタ42に接続されている。
【0020】
このコネクタ42は給電用端子を有しており、この端子がカメラ60の受電用端子に接続可能に構成されている。
ここで、再び図1に戻り、上述したノイズ吸収部26はアダプタ本体22よりもコネクタ42の近傍位置に配置されている。
【0021】
上述の如く構成された充電器1では、二次電池62の充電の際には、プラグ20が商用電源のコンセントに接続される一方、コネクタ42がカメラ60に直接に接続される。
これにより、アダプタ2ではAC電力がDC電力に変換され、充電制御回路34では二次電池62の充電動作を開始する。なお、この時点ではLED50は赤色にて発光している。次いで、充電制御回路34では充電開始時点からの経過期間が判別され、所定の期間が経過したと判定された場合には、LED50が緑色に発光し、充電動作を終了する。
【0022】
以上のように、本発明は、ACアダプタのみで携帯型電子機器に内蔵された二次電池を充電する点に着目したものである。
【0023】
そして、本実施例によれば、充電器1はACアダプタ2の出力ケーブル24,40の途中に充電制御回路34を備えている。換言すれば、アダプタ2がケーブル24,40を有し、ケーブル40がデジタルカメラ60に直接に接続されている。また、ケーブル24とケーブル40との間には充電制御部28が備えられており、この制御部28がカメラ60に内蔵された二次電池62の充電を制御している。
【0024】
これにより、従来の如くACアダプタ及びクレードルの2つの構成に比してアダプタ2のみの1つの構成で済み、充電器1の簡素化が図られる。そして、クレードルが不要になる結果、充電器1の製造コストが抑えられるし、嵩張らないことから、ユーザーによる持ち運びにも便利になる。
【0025】
しかも、二次電池62の充電がアダプタ2のみで可能となることにより、現時点では充電制御回路を内蔵した携帯型電子機器、例えば携帯電話であっても、将来的にはこの携帯電話から充電制御回路を省略可能となる。この点を鑑みれば、上記アダプタ2の構成は携帯型電子機器の小型・軽量化にも寄与する。
【0026】
また、充電制御部28がノイズ吸収部26に内蔵されているので、既存のACアダプタの構成、すなわち、このアダプタから引き出された2極ケーブルの途中にフェライトコアを有する構成とほぼ同じ外観を備えつつ、クレードルが不要になる。
【0027】
さらに、充電制御回路34の入出力側にはそれぞれフィルタ32,36が配設されており、これらフィルタ32,36が高周波ノイズをそれぞれ吸収していることから、従来の如くフェライトコア内にケーブルを通す構成に比して充電器の軽量化が可能となる。
【0028】
さらにまた、フィルタ32,36がチップ型のフィルタで構成されている。よって、ノイズ吸収部26の大きさがより一層小さくなり、充電器のさらなる小型・軽量化に寄与する。また、コネクタ42付近に充電制御部28(ケース27)を設置すると、5極ケーブル40の長さが短くて済むため、二次電池62の充電期間が短くできるし、長い5極ケーブルを用いる場合に比して充電器の製造コストも抑えられる。
【0029】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
【0030】
例えば、上記実施例では、充電制御部28がノイズ吸収部26に内蔵され、このノイズ吸収部26がコネクタ42の近傍位置に配置されている。しかし、本発明の充電器は必ずしもこの形態に限定されるものではなく、充電制御部が出力ケーブルに備えられている限り、コネクタを含む出力ケーブルのいずれかの位置に配置されていれば良く、この場合にも上記と同様にクレードルの省略が可能になるとの効果を奏する。
【0031】
また、上記実施例では充電制御回路34の入力側及び出力側にフィルタ32,36が配設されているが、フィルタは入力側或いは出力側のうちいずれか一方に配設されていれば良い。さらに、上記実施例では出力ケーブルに5極ケーブル40を用いているが、充電に利用可能な2極以上の複数極ケーブル、例えば4極ケーブルを用いても良い。
【0032】
さらに、上記実施例では携帯型電子機器としてデジタルカメラに具現化した例が示されている。しかしながら、本発明の充電装置は充電制御回路を内蔵しない携帯電話やPDA(Personal Digital
Assistance)等にも適用でき、その内蔵された二次電池を充電可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施例の充電装置の外観斜視図である。
【図2】図1の充電装置の模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 充電器(充電装置)
2 ACアダプタ(電源装置)
24 2極ケーブル(出力ケーブル)
26 ノイズ吸収部
28 充電制御部
30 入力部
32 入力側フィルタ(フィルタ)
34 充電制御回路
36 出力側フィルタ(フィルタ)
38 出力部
40 5極ケーブル(出力ケーブル)
42 コネクタ
60 デジタルカメラ(携帯型電子機器)
62 二次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から充電用の直流電力を作り出す電源装置を具備し、
該電源装置は、該電源装置から引き出された出力ケーブルを備え、
該出力ケーブルには、
携帯型電子機器に直接に接続されるコネクタと、
前記携帯型電子機器に内蔵された二次電池の充電を制御する充電制御部と
が備えられていることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充電装置であって、
前記出力ケーブルには、前記コネクタの近傍位置にノイズ吸収部が備えられ、
前記充電制御部は、前記ノイズ吸収部に内蔵されている
ことを特徴とする充電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の充電装置であって、
前記充電制御部は、
前記電源装置側に接続される入力部と、
前記携帯型電子機器側に接続される出力部と、
前記入力部と前記出力部との間に設けられ、前記電源装置からの電気エネルギーを整流する充電制御回路とを含み、
前記入力部と前記充電制御回路との間、或いは該充電制御回路と前記出力部との間のうち少なくともいずれか一方には、高周波ノイズを吸収するフィルタが配設されている
ことを特徴とする充電装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−167519(P2008−167519A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351273(P2006−351273)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】