説明

充電装置

【課題】システム全体の製造コストの増加を抑えつつ、商用電力系統から車両への電力供給や車両から商用電力系統への電力供給が可能な充電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】商用電力系統9に接続される系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6と、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6と複数の充電ケーブル2との間にそれぞれ設けられる複数の双方向DC/ACコンバータ5と、車両10から供給される電力を商用電力系統9へ供給する場合、双方向DC/ACコンバータ5を駆動させることにより、車両10から供給される電力を直流電力に変換させるとともに、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6を駆動させることにより、双方向DC/ACコンバータ5により変換された直流電力を交流電力に変換させて商用電力系統9へ供給する制御回路8とを備えて充電装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両へ電力を供給する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、既存の充電装置及び車両を示す図である。
図5に示す充電装置51は、複数の充電ケーブル52(52−1〜52−n)と、複数のスイッチ53(53−1〜53−n)と、複数のCPLT通信回路54(54−1〜54−n)と、各スイッチ53のそれぞれのオン、オフや各CPLT通信回路54のそれぞれの動作を制御する制御回路55とを備える。
【0003】
例えば、スイッチ53−1がオンすると、充電ケーブル52−1内の電力線(実線)と商用電力系統56とが互いに接続される。また、スイッチ53−1がオフすると、充電ケーブル52−1内の電力線と商用電力系統56とが遮断される。
【0004】
また、図5に示す複数の車両57(57−1〜57−n)は、それぞれ、バッテリ58と、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ59と、CPLT通信回路60と、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ59の駆動やCPLT通信回路60の動作を制御する制御回路61とを備える。
【0005】
系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ59は、充電ケーブル52内の電力線を介して充電装置51から供給される交流電力を直流電力に変換し、その変換後の直流電力によりバッテリ58を充電する。また、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ59は、バッテリ58の直流電力を交流電力に変換し、その変換後の交流電力を充電ケーブル52内の電力線を介して充電装置51へ供給する。そして、その充電装置51へ供給された交流電力はスイッチ53を介して商用電力系統56へ供給される。なお、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ59は、商用電力系統56の交流電圧の最大値Vo、周波数fo、及び位相θoを取得するための機能、それら商用電力系統56の交流電圧の最大値Vo、周波数fo、及び位相θoに基づいて、車両57から充電装置51を介して商用電力系統56へ出力される交流電圧の波形が商用電力系統56の交流電圧の波形Vo×sin(2π×fo×t(秒)+θo)と同じになるように、バッテリ58の直流電力を交流電力に変換させる機能、及び車両57から充電装置51を介して商用電力系統56へ出力される交流電圧が商用電力系統56の交流電圧と同じではなくなったときに車両57から充電装置51への電力供給を停止させる機能などを備えているものとする。
【0006】
また、例えば、充電ケーブル52−1が車両57−1に接続されると、車両57−1側のCPLT通信回路60と充電装置51側のCPLT通信回路54−1とが充電ケーブル52−1内の信号線(点線)を介して互いに接続され、CPLT信号が送受信される。CPLT信号は、例えば、充電ケーブル52が車両57に接続されたか否か、バッテリ58の充電準備が完了したか否か、及び充電装置51から車両57へ供給可能な電流などを示す。
【0007】
例えば、充電装置51側の制御回路55は、バッテリ58の充電準備が完了した旨の信号がCPLT通信回路54から送られてくると、スイッチ53をオンし、商用電力系統56の交流電力を充電ケーブル52を介して車両57に供給する。このとき、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ59は、充電装置51から供給される交流電力を直流電力に変換し、その変換後の直流電力によりバッテリ58を充電する。
【0008】
また、例えば、制御回路55は、充電ケーブル52が車両57に接続された旨の信号がCPLT通信回路54から送られてきた後、車両57から充電ケーブル52内の電力線を介して充電装置51に交流電力が供給されていることを検出すると、スイッチ53をオンし、車両57から供給される交流電力を商用電力系統56へ供給する。
【0009】
このように、充電装置51などの充電設備から車両57への電力供給だけでなく、車両57から充電設備への電力供給も可能な技術が存在する(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0010】
しかしながら、車両57から供給される交流電力を商用電力系統56へ供給する場合は、上述したように、商用電力系統56へ交流電力を供給するために必要な系統連系機能を各車両57にそれぞれ備える必要があり、各車両57の製造コストを増加させてしまう。そのため、充電装置51や車両57を含むシステム全体の製造コストを増加させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−282383号公報
【特許文献2】特開2007−330083号公報
【特許文献3】特開2002−315193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、システム全体の製造コストの増加を抑えつつ、商用電力系統から車両への電力供給や車両から商用電力系統への電力供給が可能な充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の充電装置は、複数の充電ケーブルと、商用電力系統に接続される系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータと、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータと前記複数の充電ケーブルとの間にそれぞれ設けられる複数の双方向DC/ACコンバータと、制御回路とを備える。
【0014】
前記制御回路は、車両へ電力を供給する場合、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記商用電力系統の交流電力を直流電力に変換させるとともに、前記双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータにより変換された直流電力を交流電力に変換させて前記充電ケーブルを介して前記車両へ供給し、前記車両から供給される電力を前記商用電力系統へ供給する場合、前記双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記車両から前記充電ケーブルを介して供給される交流電力を直流電力に変換させるとともに、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記双方向DC/ACコンバータにより変換された直流電力を交流電力に変換させて前記商用電力系統へ供給する。
【0015】
これにより、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータを各車両にそれぞれ備える必要がないため、充電装置や各車両を含むシステム全体の製造コストを抑えつつ、商用電力系統から車両への電力供給や車両から商用電力系統への電力供給ができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の充電装置によれば、システム全体の製造コストを抑えつつ、商用電力系統から車両への電力供給や車両から商用電力系統への電力供給ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の充電装置及び車両を示す図である。
【図2】CPLT信号の一例を示す図である。
【図3】本実施形態の系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータの回路例を示す図である。
【図4】充電装置側の制御回路の動作を示すフローチャートである。
【図5】既存の充電装置及び車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態の充電装置及び車両を示す図である。
図1に示す充電装置1は、複数の充電ケーブル2(2−1〜2−n)と、複数のスイッチ3(3−1〜3−n)と、複数のCPLT通信回路4(4−1〜4−n)(接続判断手段、許可判断手段)と、複数の双方向DC/ACコンバータ5(5−1〜5−n)と、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6と、バッテリ7と、各スイッチ3のそれぞれのオン、オフ、各CPLT通信回路4のそれぞれの動作、各双方向DC/ACコンバータ5のそれぞれの駆動、及び系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の駆動を制御する制御回路8とを備える。なお、制御回路8は、例えば、プロセッサ及びメモリを備え、プロセッサがメモリに格納される電力供給制御プログラムを実行することにより商用電力系統9から車両10への電力供給や車両10から商用電力系統9への電力供給に係わる制御を行う。
【0019】
系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6は、商用電力系統9に接続されている。
各双方向DC/ACコンバータ5は、それぞれ、バッテリ7に接続されている。また、双方向DC/ACコンバータ5−1が系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6とスイッチ3−1を介した充電ケーブル2−1との間に設けられ、双方向DC/ACコンバータ5−2が系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6とスイッチ3−2を介した充電ケーブル2−2との間に設けられ、・・・、双方向DC/ACコンバータ5−nが系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6とスイッチ3−nを介した充電ケーブル2−nとの間に設けられている。
【0020】
例えば、スイッチ3−1がオンすると、充電ケーブル2−1内の電力線(実線)と双方向DC/ACコンバータ5−1とが互いに接続され、スイッチ3−2がオンすると、充電ケーブル2−2内の電力線と双方向DC/ACコンバータ5−2とが互いに接続され、・・・、スイッチ3−nがオンすると、充電ケーブル2−n内の電力線と双方向DC/ACコンバータ5−nとが互いに接続される。また、スイッチ3−1がオフすると、充電ケーブル2−1内の電力線と双方向DC/ACコンバータ5−1とが遮断され、スイッチ3−2がオフすると、充電ケーブル2−2内の電力線と双方向DC/ACコンバータ5−2とが遮断され、スイッチ3−nがオフすると、充電ケーブル2−n内の電力線と双方向DC/ACコンバータ5−nとが遮断される。
【0021】
また、充電ケーブル2−1内の信号線(点線)はCPLT通信回路4−1に接続され、充電ケーブル2−2内の信号線はCPLT通信回路4−2に接続され、・・・、充電ケーブル2−n内の信号線はCPLT通信回路4−nに接続されている。
【0022】
また、図1に示す複数の車両10(10−1〜10−n)は、それぞれ、例えば、ハイブリッド車や電気自動車などであって、バッテリ11と、双方向DC/ACコンバータ12と、CPLT通信回路13と、双方向DC/ACコンバータ12の駆動やCPLT通信回路13の動作を制御する制御回路14とを備える。
【0023】
双方向DC/ACコンバータ12は、充電ケーブル2内の電力線を介して充電装置1から供給される交流電力を直流電力に変換し、その変換後の直流電力によりバッテリ11を充電する。また、双方向DC/ACコンバータ12は、バッテリ11の直流電力を交流電力に変換し、その変換後の交流電力を充電ケーブル2内の電力線を介して充電装置1へ供給する。
【0024】
また、例えば、充電ケーブル2−1が車両10−1に接続されると、車両10−1側のCPLT通信回路13と充電装置1側のCPLT通信回路4−1とが充電ケーブル2−1内の信号線を介して互いに接続され、CPLT信号が送受信される。CPLT信号は、例えば、充電ケーブル2が車両10に接続されたか否か、バッテリ11の充電準備が完了したか否か、及び充電装置1から車両10へ供給可能な電流などを示す。
【0025】
図2は、CPLT信号の一例を示す図である。
まず、ユーザにより充電ケーブル2が車両10に接続されると(時間t1)、CPLT信号のレベル(充電ケーブル2内の通信線の電圧)がV1(例えば、+12[V])からV2(例えば、+9[V])に変化する。すると、充電装置1側のCPLT通信回路4は、充電ケーブル2が車両10に接続されたと判断する。
【0026】
次に、充電装置1側のCPLT通信回路4は、CPLT信号のレベルがV1からV2になると、−V1(例えば、−12[V])〜V2の大きさの振幅で、かつ、商用電力系統9の定格電流や充電ケーブル2の種類などにより定まるDuty比のパルス波になるようにCPLT信号を発振させる。車両10側のCPLT通信回路13は、このときのCPLT信号のDuty比に基づいて充電の準備を行う。
【0027】
次に、車両10側のCPLT通信回路13は、CPLT信号のDuty比に基づく充電準備が完了すると(時間t2)、CPLT信号が充電許可を示すように、すなわち、CPLT信号の振幅の大きさを−V1〜V3(例えば、+6[V])に変化させる。すると、車両10への電力供給開始指示が充電装置1側のCPLT通信回路4から制御回路8に送られ、充電装置1から車両10へ充電ケーブル2内の電力線を介して電力が供給され、バッテリ11の充電が開始される。
【0028】
そして、バッテリ11の充電が完了し充電ケーブル2が車両10から取り外されると(時間t3)、CPLT信号のレベルがV1に戻る。
なお、本実施形態では、CPLT信号により、充電許可を示す旨を車両10から充電装置1に送る構成であるが、無線通信により、充電許可を示す旨を車両10から充電装置1に送るように構成してもよい。このように構成する場合、充電装置1及び車両10にそれぞれ許可判断手段としての通信装置を備える。
【0029】
図3は、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の回路例を示す図である。なお、双方向DC/ACコンバータ5、12は、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6と同じ回路構成とする。
【0030】
図3に示す系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6は、MOSFET(MetalOxide Semiconductor FIELD Effect Transistor)21〜24を有するフルブリッジインバータ回路25〜27と、トランス28と、コンデンサ29〜31と、インダクタ32〜34と、制御回路35とを備える。なお、フルブリッジインバータ回路25〜27を構成する4つのスイッチング素子としては、MOSFETに限定されず、例えば、ダイオードが並列接続されるバイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などを採用してもよい。また、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の端子36、37は商用電力系統9に接続され、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の端子38、39は双方向DC/ACコンバータ5の端子38、39及びバッテリ7に接続されるものとする。また、双方向DC/ACコンバータ5の端子36、37はスイッチ3に接続されているものとする。また、双方向DC/ACコンバータ12の端子36、37は充電ケーブル2と車両10との接続時のその充電ケーブル2内の電力線に接続され、双方向DC/ACコンバータ12の端子38、39はバッテリ11に接続されているものとする。
【0031】
ここで、商用電力系統9から車両10へ電力が供給される場合(以下、DC/ACモードという)の系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6及び双方向DC/ACコンバータ5、12のそれぞれの動作制御について説明する。
【0032】
まず、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の動作制御について説明する。
制御回路35は、コンデンサ31にかかる電圧Va及びコンデンサ30にかかる電圧Vbに基づいて、商用電力系統9の交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路27のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、電圧Vb及びコンデンサ29にかかる電圧Vcに基づいて、フルブリッジインバータ回路27により変換された直流電力が交流電力に変換されるように、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21〜24のオン、オフと同期させつつ、フルブリッジインバータ回路26から出力されトランス28を介してフルブリッジインバータ回路25に入力される交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。そして、フルブリッジインバータ回路25により整流された電力は、コンデンサ29により平滑されて双方向DC/ACコンバータ5へ出力される。
【0033】
次に、双方向DC/ACコンバータ5の動作制御について説明する。
制御回路35は、電圧Vb、Vcに基づいて、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6から出力される電力が交流電力に変換されるように、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21〜24のオン、オフと同期させつつ、フルブリッジインバータ回路25から出力されトランス28を介してフルブリッジインバータ回路26に入力される交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、電圧Va及びVcに基づいて、フルブリッジインバータ回路26により整流されコンデンサ30により平滑される電力が交流電力に変換されてコンデンサ31に所望な交流電圧がかかるように、フルブリッジインバータ回路27のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。そして、フルブリッジインバータ回路27により変換された交流電力は、インダクタ33、34及びコンデンサ31を介して車両10へ供給される。
【0034】
次に、双方向DC/ACコンバータ12の動作制御について説明する。
制御回路35は、電圧Va、Vbに基づいて、充電装置1から供給される交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路27のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、電圧Vb、Vcに基づいて、フルブリッジインバータ回路27により整流されコンデンサ30により平滑される電力が交流電力に変換されるように、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21〜24のオン、オフと同期させつつ、フルブリッジインバータ回路26から出力されトランス28を介してフルブリッジインバータ回路25に入力される交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。そして、フルブリッジインバータ回路25により整流された電力は、コンデンサ29により平滑されてバッテリ11へ供給されバッテリ11が充電される。
【0035】
次に、車両10から商用電力系統9へ電力が供給される場合(以下、AC/DCモードという)の系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6及び双方向DC/ACコンバータ5、12のそれぞれの動作制御について説明する。
【0036】
まず、双方向DC/ACコンバータ12の動作制御について説明する。
制御回路35は、電圧Vb、Vcに基づいて、バッテリ11の直流電力が交流電力に変換されるように、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21〜24のオン、オフと同期させつつ、フルブリッジインバータ回路25から出力されトランス28を介してフルブリッジインバータ回路26に入力される交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、電圧Va及びVbに基づいて、フルブリッジインバータ回路26から出力されコンデンサ30により平滑される電力が交流電力に変換されるように、フルブリッジインバータ回路27のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。そして、フルブリッジインバータ回路27により変換された交流電力は、インダクタ33、34及びコンデンサ31を介して充電装置1へ供給される。
【0037】
次に、双方向DC/ACコンバータ5の動作制御について説明する。
制御回路35は、電圧Va、Vbに基づいて、車両10から供給される交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路27のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、電圧Vb、Vcに基づいて、フルブリッジインバータ回路27から出力されコンデンサ30により平滑される電力が交流電力に変換されるように、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21〜24のオン、オフと同期させつつ、フルブリッジインバータ回路26から出力されトランス28を介してフルブリッジインバータ回路25に入力される交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。そして、フルブリッジインバータ回路25により整流された電力は、コンデンサ29により平滑されて系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6へ出力される。
【0038】
次に、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の動作制御について説明する。
制御回路35は、電圧Vb、Vcに基づいて、双方向DC/ACコンバータ5から出力される電力が交流電力に変換されるように、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、フルブリッジインバータ回路25のMOSFET21〜24のオン、オフと同期させつつ、フルブリッジインバータ回路25から出力されトランス28を介してフルブリッジインバータ回路26に入力される交流電力が整流されるように、フルブリッジインバータ回路26のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。また、制御回路35は、電圧Va及びVbに基づいて、フルブリッジインバータ回路26から出力されコンデンサ30により平滑される電力が交流電力に変換されるように、フルブリッジインバータ回路27のMOSFET21、24とMOSFET22、23とを交互にオン、オフさせる。そして、フルブリッジインバータ回路27により変換された交流電力は、インダクタ33、34及びコンデンサ31を介して商用電力系統9へ供給される。このとき、制御回路35は、コンデンサ31にかかる交流電圧の最大値、周波数、及び位相が商用電力系統9の交流電圧の最大値Vo、周波数fo、及び位相θoと同じになるように、フルブリッジインバータ回路25〜27のMOSFET21〜24のデューティを制御する。なお、コンデンサ31にかかる交流電圧の最大値は、商用電力系統9の交流電圧の最大値Voよりも大きくてもよい。これにより、充電ケーブル2−1にかかる交流電圧の波形V1×sin(2π×f1×t+θ1)、充電ケーブル2−2にかかる交流電圧の波形V2×sin(2π×f2×t+θ2)、・・・、充電ケーブル2−nにかかる交流電圧の波形Vn×sin(2π×f2×t+θn)がそれぞれ互いに揃っていなかったり、商用電力系統9の交流電圧の波形Vo×sin(2π×fo×t+θo)と異なっていたりしても、車両10−1〜10−nからそれぞれ供給される電力を充電装置1を介して商用電力系統9へ供給することができる。
【0039】
図4は、充電装置1側の制御回路8の動作を示すフローチャートである。
まず、制御回路8は、充電ケーブル2が車両10に接続されたことを示すCPLT信号を受信した旨が複数のCPLT通信回路4のうちの何れかのCPLT通信回路4から送られてくると(S1がYes)、そのCPLT通信回路4から充電許可を示すCPLT信号を受信した旨が送られてきたか否かを判断する(S2)。
【0040】
充電許可を示すCPLT信号を受信した旨が送られてきたと判断すると(S2がYes)、制御回路8は、スイッチ3をオンさせるとともに、DC/ACモードにて商用電力系統9から車両10へ電力が供給されるように、双方向DC/ACコンバータ5及び系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の駆動を開始させる(S3)。
【0041】
次に、制御回路8は、充電許可を示すCPLT信号を受信した旨を送ったCPLT通信回路4に対応する双方向DC/ACコンバータ5の入出力電圧(入力直流電圧及び出力交流電圧)及び充電装置1から車両10へ流れる交流電流(充電電流)のうちの少なくとも1つが所望な値であるか否かを判断する(S4)。例えば、制御回路8は、双方向DC/ACコンバータ5から出力される電圧Va及びVcや充電ケーブル2内の電力線に流れる電流を検出する電流センサの検出値が所望な値であるか否かを判断する。
【0042】
双方向DC/ACコンバータ5の入出力電圧及び充電装置1から車両10へ流れる交流電流のうちの少なくとも1つが所望な値でないと判断した場合(S4がNo)、制御回路8は、スイッチ3をオフさせるとともに、双方向DC/ACコンバータ5及び系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の駆動を停止させる(S5)。これにより、車両10への電力供給が停止される。
【0043】
一方、双方向DC/ACコンバータ5の入出力電圧及び充電装置1から車両10へ流れる交流電流のうちの少なくとも1つが所望な値であると判断した場合(S4がYes)、制御回路8は、充電が終了したこと又は充電ケーブル2が車両10から外れたことを示すCPLT信号を受信した旨がCPLT通信回路4から送られてきたか否かを判断する(S6)。
【0044】
充電が終了したこと又は充電ケーブル2が車両10から外れたことを示すCPLT信号を受信した旨が送られてきていないと判断した場合(S6がNo)、制御回路8は、S4に戻り、双方向DC/ACコンバータ5の入出力電圧及び充電装置1から車両10へ流れる交流の電流のうちの少なくとも1つが所望な値であるか否かを判断する。
【0045】
一方、充電が終了したこと又は充電ケーブル2が車両10から外れたことを示すCPLT信号を受信した旨が送られてきたと判断した場合(S6がYes)、制御回路8は、S5に進み、スイッチ3をオフさせるとともに、双方向DC/ACコンバータ5及び系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の駆動を停止させる。
【0046】
また、制御回路8は、充電許可を示すCPLT信号を受信した旨が送られてきていないと判断すると(S2がNo)、充電ケーブル2内の電力線に交流電圧がかかっているか否かを判断する(S7)。
【0047】
充電ケーブル2内の電力線に交流電圧がかかっていると判断した場合(S7がYes)、制御回路8は、スイッチ3をオンさせるとともに、AC/DCモードにて車両10から供給される電力が商用電力系統9へ供給されるように、双方向DC/ACコンバータ5及び系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の駆動を開始させる(S8)。
【0048】
次に、制御回路8は、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の入出力電圧(入力直流電圧及び出力交流電圧)及び車両10から充電装置1へ流れる交流電流(放電電流)のうちの少なくとも1つが所望な値であるか否かを判断する(S9)。例えば、制御回路8は、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6から出力される電圧Va及びVcや充電ケーブル2内の電力線に流れる電流を検出する電流センサの検出値が所望な値であるか否かを判断する。
【0049】
系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の入出力電圧及び車両10から充電装置1へ流れる交流電流のうちの少なくとも1つが所望な値でないと判断した場合(S9がNo)、制御回路8は、スイッチ3をオフさせるとともに、双方向DC/ACコンバータ5及び系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の駆動を停止させる(S10)。これにより、商用電力系統9への電力供給が停止される。
【0050】
一方、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の入出力電圧及び車両10から充電装置1へ流れる交流電流のうちの少なくとも1つが所望な値であると判断した場合(S9がYes)、制御回路8は、車両10から充電装置1への電力供給が停止されたか否か(放電終了したか否か)、又は、充電ケーブル2が車両10から外れたことを示すCPLT信号を受信した旨がCPLT通信回路4から送られてきたか否かを判断する(S11)。なお、制御回路8は、充電ケーブル2内の電力線に流れる電流を検出する電流センサの検出値に基づいて、車両10から充電装置1への電力供給が停止したか否かを判断してもよい。
【0051】
車両10から充電装置1への電力供給が停止していないと判断した場合、又は、充電ケーブル2が車両10から外れたことを示すCPLT信号を受信した旨が送られてきていないと判断した場合(S11がNo)、制御回路8は、S9に戻り、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の入出力電圧及び車両10から充電装置1へ流れる交流電流のうちの少なくとも1つが所望な値であるか否かを判断する。
【0052】
一方、車両10から充電装置1への電力供給が停止したと判断した場合、又は、充電ケーブル2が車両10から外れたことを示すCPLT信号をCPLT通信回路4から受信した旨が送られてきたと判断した場合(S11がYes)、制御回路8は、S10に進み、スイッチ3をオフさせるとともに、双方向DC/ACコンバータ5及び系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の駆動を停止させる。
【0053】
また、制御回路8は、充電ケーブル2内の電力線に交流電圧がかかっていないと判断した場合(S7がNo)、充電ケーブル2が車両10から外されたことを示すCPLT信号を受信した旨がCPLT通信回路4から送られてきたか否かを判断する(S12)。
【0054】
充電ケーブル2が車両10から外されたことを示すCPLT信号を受信した旨が送られてきたと判断した場合(S12がYes)、制御回路8は、スイッチ3のオン、オフ制御や双方向DC/ACコンバータ5及び系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6の駆動制御を終了する。
【0055】
一方、充電ケーブル2が車両10から外されたことを示すCPLT信号を受信した旨が送られていないと判断した場合(S12がNo)、制御回路8は、S2に戻り、充電許可を示すCPLT信号を受信した旨が送られてきたか否かを判断する。
【0056】
このように、本実施形態の充電装置1は、車両10から供給される電力を直流電力に変換する双方向DC/ACコンバータ5やその変換後の直流電力を交流電力に変換して商用電力系統9へ供給する系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6を備えているため、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータを各車両10にそれぞれ備える必要がない。これにより、充電装置1及び車両10を含むシステム全体の製造コストを抑えつつ、商用電力系統9から車両10への電力供給や車両10から商用電力系統9への電力供給が可能となる。
【0057】
なお、上記実施形態では、車両10から充電装置1へ供給される電力がそのまま商用電力系統9に供給される構成であるが、車両10から充電装置1へ供給される電力により一旦充電装置1のバッテリ7を充電し、その後、バッテリ7の電力を商用電力系統9へ供給するように構成してもよい。
【0058】
例えば、制御回路8は、双方向DC/ACコンバータ5を駆動させることにより、車両10から供給される交流電力を直流電力に変換させて、その直流電力によりバッテリ7を充電する。その後、制御回路8は、系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ6を駆動させることにより、バッテリ7の直流電力を交流電力に変換させて商用電力系統9へ供給する。
【0059】
また、上記実施形態では、車両10から充電装置1へ供給される電力が商用電力系統9やバッテリ7へ供給される構成であるが、ある車両10から充電装置1へ供給される電力を他の車両10へ供給するように構成してもよい。
【0060】
例えば、制御回路8は、双方向DC/ACコンバータ5−1を駆動させることにより、車両10−1から供給される交流電力を直流電力に変換させるとともに、双方向DC/ACコンバータ5−2を駆動させることにより、双方向DC/ACコンバータ5−1から出力される直流電力を交流電力に変換させて車両10−2へ供給する。
【0061】
また、ある車両10から充電装置1へ供給される電力により充電装置1のバッテリ7を充電し、その後、バッテリ7の電力を他の車両10へ供給するように構成してもよい。
例えば、制御回路8は、双方向DC/ACコンバータ5−1を駆動させることにより、車両10−1から供給される交流電力を直流電力に変換させて、その直流電力によりバッテリ7を充電する。その後、制御回路8は、双方向DC/ACコンバータ5−2を駆動させることにより、バッテリ7の直流電力を交流電力に変換させて車両10−2へ供給する。
【0062】
また、上記実施形態では、バッテリ7が充電装置1内に設けられる構成であるが、バッテリ7を充電装置1の外部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 充電装置
2 充電ケーブル
3 スイッチ
4 CPLT通信回路
5 双方向DC/ACコンバータ
6 系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ
7 バッテリ
8 制御回路
9 商用電力系統
10 車両
11 バッテリ
12 双方向DC/ACコンバータ
13 CPLT通信回路
14 制御回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の充電ケーブルと、
商用電力系統に接続される系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータと、
前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータと前記複数の充電ケーブルとの間にそれぞれ設けられる複数の双方向DC/ACコンバータと、
車両へ電力を供給する場合、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記商用電力系統の交流電力を直流電力に変換させるとともに、前記双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータにより変換された直流電力を交流電力に変換させて前記充電ケーブルを介して前記車両へ供給し、前記車両から供給される電力を前記商用電力系統へ供給する場合、前記双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記車両から前記充電ケーブルを介して供給される交流電力を直流電力に変換させるとともに、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記双方向DC/ACコンバータにより変換された直流電力を交流電力に変換させて前記商用電力系統へ供給する制御回路と、
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充電装置であって、
前記充電ケーブルが前記車両に接続されたか否かを判断する接続判断手段と、
前記車両から充電許可を示す信号が送られてきたか否かを判断する許可判断手段と、
を備え、
前記制御回路は、前記接続判断手段により前記充電ケーブルが前記車両に接続されたと判断された後、前記許可判断手段により前記車両から前記充電許可を示す信号が送られてきたと判断されると、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ及び前記双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記商用電力系統から供給される電力を前記車両へ供給し、前記接続判断手段により前記充電ケーブルが前記車両に接続されたと判断された後、前記許可判断手段により前記充電許可を示す信号が送られてきていないと判断され、かつ、前記充電ケーブルに交流電圧がかかっていると判断すると、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ及び前記双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記車両から供給される電力を前記商用電力系統に供給する
ことを特徴とする充電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の充電装置であって、
前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータと前記双方向DC/ACコンバータとの間に設けられ、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ又は前記双方向DC/ACコンバータから出力される直流電力により充電されるバッテリを備え、
前記制御回路は、前記車両へ電力を供給する場合、前記双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記バッテリの直流電力を交流電力に変換させて前記充電ケーブルを介して前記車両へ供給し、前記商用電力系統へ電力を供給する場合、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータを駆動させることにより、前記バッテリの直流電力を交流電力に変換させて前記商用電力系統へ供給する
ことを特徴とする充電装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の充電装置であって、
前記制御回路は、前記車両へ電力を供給しているとき、前記双方向DC/ACコンバータの入出力電圧及び前記充電ケーブルに流れる電流のうちの少なくとも1つが所望な値でないと判断すると、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ及び前記双方向DC/ACコンバータの駆動を停止させる
ことを特徴とする充電装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の充電装置であって、
前記制御回路は、前記商用電力系統へ電力を供給しているとき、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータの入出力電圧及び前記充電ケーブルに流れる電流のうちの少なくとも1つが所望な値でないと判断すると、前記系統連系機能付き双方向DC/ACコンバータ及び前記双方向DC/ACコンバータの駆動を停止させる
ことを特徴とする充電装置。


【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−74745(P2013−74745A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212843(P2011−212843)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】