説明

充電装置

【課題】充電ガンを簡単な操作で筐体に収納できる充電装置を提供する。
【解決手段】筐体13と、当該筐体から引き出されたケーブル12aの先端に設けられた充電ガン12と、前記筐体に設けられ前記充電ガンを収納する凹状ガンポケット17と、を有する充電装置1Aにおいて、前記凹状ガンポケットは、前記充電ガンを収納した際に、前記充電ガンの上面に当接して脱落を規制する第1規制部171と、前記充電ガンの下面に当接して脱落を規制する第2規制部172と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されたバッテリを充電する場合に適用して好ましい充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
充電ガンを充電装置の筐体に収納する構造として、筐体前面に形成した凹状収納部に、充電ガンの先端の筒状部分を保持する第1保持部と、充電ガンの基端の筒状部分を保持する第2保持部とを形成し、充電ガンを凹状収納部にセットしたのちカバーを被せることで充電ガンをロックする充電装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−283947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の充電装置では、充電ガンを凹状収納部にセットする際に、第1保持部と第2保持部のそれぞれに充電ガンの先端と基端とを合わせるようにしなければならず、操作が煩わしいという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、充電ガンを簡単な操作で筐体に収納できる充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、充電装置の筐体に形成した凹状ガンポケットに、充電ガンを収納した際に、充電ガンの上面に当接して脱落を規制する第1規制部と、充電ガンの下面に当接して脱落を規制する第2規制部とを設けることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、充電ガンを凹状ガンポケットに収納すると、充電ガンは自重によって凹状ガンポケット内でやや回転しながら脱落しようとするが、上面が第1規制部によって規制されると同時に、下面が第2規制部によって規制される。これにより、細かい位置合わせをすることなく、充電ガンを簡単な操作でガンポケットに収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態を適用した充電システムを示す電気回路図である。
【図2】図1の充電システムを構成する機器とその電力の流れを示すブロック図である。
【図3】図2の充電装置を構成する電力変換機器のコアフレームへの装着構造を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る充電装置を示す全体斜視図である。
【図5】図4のガンポケットを拡大して示す斜視図である。
【図6】図5のVI-VI線に沿う断面図である。
【図7】図5のガンポケットの他の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《充電システム1の概要》
最初に本発明に係る充電装置の一利用形態である充電システムについて図1を参照して説明する。本例の充電システム1は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載された二次電池6を充電する場合に適用されるものであって、三相交流電源2から供給される三相交流電力を電力変換回路3により単相交流電力に直接変換し、これをトランス4により適宜の電圧に昇圧又は降圧させたのち、整流器5により直流電力に変換して二次電池6を充電するシステムである。なお、7は平滑回路、11は三相交流電源2を入切する電源ブレーカ、12は充電ガンである。
【0010】
本例の充電システム1において、三相交流電源2から三相交流電力が供給される出力線(R相,S相,T相で示す)の各相には、ノイズ対策として高調波を減衰させるフィルタ回路8が設けられている。本例のフィルタ回路8は、各相R,S,Tに接続された3つのフィルタリアクトル81と、各相R,S,Tの間に接続された6つのフィルタコンデンサ82L,82Rとを備える。フィルタコンデンサ82L,82Rは、たとえば6つのフィルタコンデンサ821〜836で構成される。
【0011】
本例の充電システム1において、フィルタ回路8を経由して三相交流電力が電力変換回路3に供給され、単相交流電力に変換される。本例の電力変換回路3は、R相,S相,T相に対応してマトリックス状に配列された6つの双方向スイッチング素子31(311〜316)を備え、マトリックスコンバータとも称される。以下、一つの双方向スイッチング素子を総称する場合は符号31を用いて説明する一方、図1に示すように6つの双方向スイッチング素子のうちの特定の素子を示す場合は311〜316を用いて説明する。
【0012】
本例の双方向スイッチング素子31のそれぞれは、半導体スイッチング素子であるIGBTを還流ダイオードと組み合わせて逆並列に接続したIGBTモジュールで構成されている。なお、一つの双方向スイッチング素子31の構成は、図示するものに限定されず、これ以外にもたとえば逆阻止型IGBTの2素子を逆並列に接続した構成であってもよい。
【0013】
双方向スイッチング素子31のそれぞれには、当該双方向スイッチング素子31のON/OFF動作にともない発生するサージ電圧から当該双方向スイッチング素子31を保護するために、双方向スイッチング素子31の入力側及び出力側に1つのスナバコンデンサ327(同図の右下の回路図参照)と3つのダイオードを組み合わせたスナバ回路32(321〜326)が設けられている。以下、一つのスナバ回路を総称する場合は符号32を用い、図1に示すように6つのスナバ回路のうち特定のスナバ回路を示す場合は321〜326を用いる。
【0014】
本例の充電システム1は、電力変換回路3の双方向スイッチング素子31のそれぞれをON/OFF制御するためにマトリックスコンバータ制御回路9を備える。マトリックスコンバータ制御回路9は、三相交流電源2から供給される電圧値、現在出力中の直流電流値及び目標電流指令値を入力し、これらに基づいて双方向スイッチング素子31のそれぞれのゲート信号を制御し、トランス4へ出力する単相交流電力を調整することで、目標と一致する直流電力を得る。
【0015】
トランス4は、電力変換回路3で変換された単相交流電力の電圧を所定値に昇圧又は降圧する。整流器5はたとえば4つの整流ダイオード51〜54を備え、調圧された単相交流電力を直流電力に変換する。また、平滑回路7はコイル71とコンデンサ72とを備え、整流された直流電流に含まれる脈流をより直流に近い状態に平滑化する。充電ガン12は、平滑回路7で平滑化された直流電力を充電すべき自動車の充電インレット(不図示)に接続し、ここから電力を供給する。
【0016】
以上のように構成された本例の充電システム1により、図2に示すように、三相交流電源2から供給される三相交流電力は、電源ブレーカ11及びフィルタリアクトル81を介して電力変換回路3に供給され、マトリックスコンバータ制御回路9が電力変換回路3を制御することにより単相交流電力に直接変換され、さらにトランス4によって適宜の電圧に調圧されたのち整流器5によって直流電力に変換される。そして、平滑回路7によって平滑化された直流電力は充電ガン12を介して二次電池6に供給され、これにより二次電池6が充電される。なお、上述した充電システム1は一例であり、本発明に係る充電装置は図示する構成の充電システム1にのみ限定されることはない。
【0017】
《充電装置の部品配置》
次に、図2の電源ブレーカ11から充電ガン12までの機器を含む充電装置1Aの配置構成について、図3を参照して説明する。なお、図1,2と同じ部品には同一の符号を付すことで互いの対応関係を示すものとする。
【0018】
本例の充電装置1Aは筐体13の内部に、図2に示す電源ブレーカ11、フィルタリアクトル81、電力変換回路3、マトリックスコンバータ制御回路9、トランス4、整流器5及び平滑回路7を実装し、筐体13から先端に充電ガン12が装着されたケーブル12aを引き出して構成されている。これら筐体13内に実装される機器類を電力変換機器とも称する。
【0019】
筐体13は、底部141が当該充電装置1Aの設置箇所に固定され、上述した電力変換機器を実装するコアフレーム14(141,142の総称)と、このコアフレーム14をその両面から挟み込むように当該コアフレーム14に装着されるアウタハウジング15(15a,15bの総称)と、を備える。なお、コアフレーム14の両面とは、図示する例では正面及び背面をいい、充電装置1Aを設置した際に使用者がアクセスする面を正面、その反対側(裏側)を背面とする。
【0020】
コアフレーム14は、充電装置1Aの設置個所にアンカーボルトなどの固定手段によって固定される底部を構成するベースプレート141と、水平断面がコ字状に折り曲げられたコアフレーム本体142とを含み、コアフレーム本体142はベースプレート141に固定されている。これによりコアフレーム本体142が設置個所に直立して強固に固定されることになる。
【0021】
アウタハウジング15は、図3に示すように、コアフレーム14に対して正面側から装着される第1アウタハウジング15aと、コアフレーム14に対して背面側から装着される第2アウタハウジング15bとを含む。図4に筐体13の外観図を示すが、本例の第1アウタハウジング15aは、水平断面が緩やかな曲線を含むコ字状となるように折り曲げられた側板と、天板とを含み、側板と天板は溶接等で固定されている。そして、図4に示すように正面の側板には、充電操作を行う際に使用者がアクセスするための操作パネル151と、不使用時の充電ガン12を収納するためのガンポケット17が設けられている。ガンポケット17の詳細は後述する。
【0022】
本例の第2アウタハウジング15bは、たとえば平板に形成され、図3に示すファン16が装着される通孔や、電力変換回路3及び整流器5に装着されるヒートシンク10を筐体外へ露出させるための通孔など複数の通孔が開設されている。そして、第1アウタハウジング15aと第2アウタハウジング15bは、たとえば互いの接合部をボルトやビス等を用いて固定することでコアフレーム14に装着される。なお、本例では第1アウタハウジング15aを断面コ字状に形成し、第2アウタハウジング15bを平板に形成したが、本発明に係るアウタハウジング15はこうした形状に限定されることなく、両方15a,15bともに断面コ字状などに形成してもよい。
【0023】
図3に示すように、筐体13の内部には、第1アウタハウジング15a、第2アウタハウジング15b及び水平断面がコ字状断面とされたコアフレーム本体142により仕切られた2つの空間A,Bが存在する。すなわち、コアフレーム本体142で囲まれた空間Aと、その背面の空間Bの2つの空間である。本例では、電力変換機器をコアフレーム本体142に実装するにあたりコ字状断面で囲まれた空間Aに発熱を伴う機器を実装する。すなわち、図2,3に示す電力変換機器のうち発熱を伴う機器は電力変換回路3、整流器5及びトランス4であるので、これらを空間A側に実装する。同時に、図3に示す第1アウタハウジング15aに開設された通孔にファン16を設け、冷却空気を吸い込んで空間Aに導入する。
【0024】
一方、図2の残りの機器は空間A,Bの残りのスペースに実装することができるが、本例では、電力変換機器をコアフレーム本体142に実装するにあたりできる限り図2に示す電力の流れに沿って機器をレイアウトする。すなわち、電源ブレーカ11、フィルタリアクトル81、電力変換回路3、マトリックスコンバータ制御回路9、トランス4、整流器5及び平滑回路7をこの順序で配置できれば、配線間のインダクタンスやノイズによる各相の不均衡が抑制され、電力変換効率が向上する。
【0025】
このため、本例では図3に示すようにレイアウトしている。つまり、図3に示すように商用電源などの三相交流電源2はコアフレーム14のベースプレート141から引き込み、空間Aの最上部に実装した電源ブレーカ11に接続する。そして、電源ブレーカ11からの配線をコアフレーム本体142に開設した通孔を挿通して空間Bの最上部に実装したフィルタリアクトル81に接続する。フィルタリアクトル81からの配線は、同じくコアフレーム本体142に開設した通孔を挿通して空間Aの次段に実装した電力変換回路3に接続する。電力変換回路3の裏面の空間Bにはマトリックスコンバータ制御回路9が実装され、当該マトリックスコンバータ制御回路9からの制御配線は、コアフレーム本体142に開設した通孔を挿通して電力変換回路3に接続する。
【0026】
本来であれば、空間Aの電力変換回路の次段にはトランス4を実装するのが好ましいが、トランス4は重量物であるため、本例では充電装置1Aの安定性を考慮して空間Aの最下部に実装している。したがって、電力変換回路3からの配線は、空間Aの最下部に実装したトランス4に接続され、当該トランス4からの配線は、空間Aの電力変換回路3の次段に実装された整流器5に接続する。そして、整流器5からの配線は、コアフレーム本体142に開設した通孔を挿通して空間Bの最下部に実装した平滑回路7に接続する。なお、充電ガン12が装着されたケーブル12aは、第1アウタハウジング15aの適宜箇所から外部へ引き出される。
【0027】
このように本例では、充電装置1Aの筐体13を、底部のベースプレート141が設置箇所に固定されるとともに電力変換機器が実装されるコアフレーム本体142と、当該コアフレーム本体142を両面から挟み込むように着脱可能に装着されるアウタハウジング15a,15bとから構成したので、第1アウタハウジング15aをコアフレーム本体142から取り外すことで、空間Bに実装したフィルタリアクトル81、マトリックスコンバータ制御回路9又は平滑回路7を保守点検することができる。また、第2アウタハウジング15bをコアフレーム本体142から取り外せば、空間Aに実装した電源ブレーカ11、電力変換回路3、整流器5又はトランス4を保守点検することができる。このように、本例の充電装置1Aは保守作業性に優れていると同時に、アウタハウジング15のデザイン性の自由度が向上し、さらに充電装置自体をコンパクトにできる。
【0028】
また本例では、コアフレーム本体142を水平断面がコ字状となるように形成し、その両面に電力変換機器を実装したので、集積率が向上するとともに機器間を接続する配線長を短くすることができる。
【0029】
また本例では、コアフレーム本体142を水平断面がコ字状となるように形成し、コ字状断面で囲まれた空間Aに、発熱を伴う電力変換回路3、トランス4及び整流器5を実装し、ファン16によって空間Aに冷却空気を導入するように構成した。空間Aは、コ字状断面で囲まれているので、そのままでも通気性に優れ熱気がこもるのを抑制できるが、本例ではさらにファン16を設けているので、図3に示すように空間Aの最上部から導入された空気は、拡散することなくコアフレーム本体142のコ字状断面で囲まれた空間Aを下部に向かって流下する。これにより、発熱を伴う機器を冷却することができる。また特に発熱する電力変換回路3及び整流器5にはヒートシンク10を設け、このヒートシンク10を第2アウタハウジング15bの通孔を介して外部へ露出させているので、さらに冷却性を高めることができる。
【0030】
また本例では、図3に示すように電源ブレーカ11、電力変換回路3、整流器5及びトランス4をこの順序で配置したので、電力変換機器間の配線長が極力均等になり、図2に示す充電装置1Aの理論回路と図3に示す実回路との各電力の流れがほぼ等しくなる。その結果、電力変換効率を高めることができる。
【0031】
《ガンポケットの構造》
次に、ガンポケット17の構造について説明する。電気自動車等を充電装置1Aの近くに駐車して充電操作を開始する場合、充電操作者は充電ガン12をガンポケット17から取り外し、電気自動車等に設けられた充電インレットに充電ガン12を装着する。また、充電操作が終了したら充電ガン12を充電インレットから取り外し、充電ガン12をガンポケット17に収納する。本例のガンポケット17は、図4に示すように筐体13の正面であって第1アウタハウジング15aの高さ方向の中央に設けられている。ガンポケット17の設定位置は特に限定されないが、操作者が挿抜操作を行い易いように地上1m前後の高さ(人間の腰の高さ)に設定することが望ましい。
【0032】
ガンポケット17は、第1アウタハウジング15aに開設した開口部に樹脂製部品を取り付けることで構成することができる。図5にガンポケット17の正面斜視図を示し、図6にその縦断面図を示す。本例のガンポケット17は、筐体13の正面側から見て凹状に形成されている。以下において、ガンポケット17を構成する凹状壁面の各範囲を、図6に示すとおり天井面17A、奥面17B及び床面17Cと称する。なお、図6には互いに対向する2つの側面が省略されている。
【0033】
凹状に形成されたガンポケット17は、凹状壁面の天井面17Aに第1規制部171が形成され、凹状壁面の床面17Cに第2規制部172が形成され、凹状壁面の奥面17Bに当接部173が形成されてなる。第1規制部171は、充電ガン12をガンポケット17に収納した際に、図6の一点鎖線で示すように、充電ガン12の先端の上面に当接して充電ガン12の脱落を規制する。また、第2規制部172は、充電ガン12をガンポケット17に収納した際に、図6の一点鎖線で示すように、充電ガン12のレバー121の下面に当接して充電ガン12の脱落を規制する。また、当接部173は、充電ガン12をガンポケット17に挿入する際に充電ガン12の先端に当接し、ガンポケット17における充電ガン12の概略収納位置を操作者に認識させる機能を司る。
【0034】
本例の第1規制部171は、凹状壁面の天井面17Aで構成されているが、充電ガン12をガンポケット17に挿入して離したときにその上面に当接して充電ガン12の回転を規制する、すなわち充電ガン12の脱落を防止する形状であれば、本例の形状に限定されない。充電ガン12の上面の形状に応じて適宜変更することができる。
【0035】
本例の第2規制部172は、凹状壁面の床面17Cと、当該床面17Cから鉛直方向に起立した突起部174とにより構成され、図5に示すように床面17Cの中央の窪んだ部分(以下、凹部17C1)に形成されているが、充電ガン12をガンポケット17に挿入して離したときにレバー121の下面に当接して充電ガン12の回転とずれ落ちを規制する、すなわち充電ガン12の脱落を防止する形状であれば、本例の形状に限定されない。充電ガン12の下面の形状に応じて適宜変更することができ、たとえば突起部174に代えて床面17Cに形成した溝であってもよい。
【0036】
さらに本例では突起部174の先端に、ガンポケット17の外側に向かって傾斜して延在する舌部175を備える。この舌部175は、図6の実線→二点鎖線で示すように、レバー121が回転する際に当該レバー121の下面が突起部174に引っ掛からずに、円滑に第2規制部172に収まるようにするために設けている。
【0037】
本例の当接部173は、凹状壁面の奥面17Bで構成されているが、充電ガン12をガンポケット17に挿入したときにその先端に当接して充電ガン12の概略位置を決め得る形状であれば、本例の形状に限定されない。充電ガン12の先端の形状及びガンポケット17の高さ等に応じて適宜変更することができる。本例の当接面173は、ガンポケット17を人間の腰の高さに設けている関係上、鉛直方向に対して傾斜して形成している。
【0038】
本例のガンポケット17には、図5に示すように充電ガン12をガンポケット17に施錠するためのロック機構18が設けられている。本例のロック機構18は、上述した第2規制部172が形成された床面17Cの凹部17C1の左右の一方に固定された固定部材181と、左右の他方に固定された回動部材182とを備える。固定部材181の先端には孔183が形成され、回動部材182の先端にも孔184が形成されている。そして、回動部材182は基端の固定部分を回転中心にして回動自在とされ、無負荷の場合には回動部材182の自重によって図5に示すように垂下する状態となり、凹部17C1の開口部から退避することになる。
【0039】
上述したとおり、第2規制部172は充電ガン12のレバー121を受容して回転及びズレ落ちを規制するが、当該レバー121は床面17Cの凹部17C1に受容されるので、その左右の一方側から回動部材182を水平位置に回転させ、回動部材182が凹部17C1の開口部を架設するように、2つの孔183,184を重ね合わせ、ここにピンや鍵を差し込むことで充電ガン12がガンポケット17に施錠されることになる。
【0040】
なお、図6に示すように、充電ガン12をガンポケット17に挿入して把持する力を緩めると、充電ガン12の自重によって回転支点RCを中心に充電ガン12はやや回転することになるが、ロック機構18はこの回転支点RCより鉛直方向下側に設けられている。ロック機構18を回転支点RCより下側に設けてレバー121を施錠するだけで、ガンポケット17から充電ガン12を抜き出すことができなくなる。したがって、レバー121の部分のみを係止する小型のロック機構18で足りることなる。
【0041】
図7は、図5及び図6に示すガンポケット17の他の実施形態を示す縦断面図であり、図6に相当する断面図である。本例の充電ガン12は、電気自動車等の充電インレットに装着する際に着脱機構を操作する操作部が図6に示すようなレバー121ではないタイプの充電ガン12である。レバー121がない充電ガン12に対しても、図6に示す実施形態と同様に、本例の凹状ガンポケット17は、凹状壁面の天井面17Aに第1規制部171を形成し、凹状壁面の床面17Cに第2規制部172を形成し、凹状壁面の奥面17Bに当接部173を形成してなる。
【0042】
ただし、具体的な第2規制部172としては、図7に示すように、レバー121を受容するのに代えて、凹状壁面の床面17Cに充電ガン12の下面に当接する突起部174を設けている。
【0043】
次に作用を説明する。
充電操作が終了して充電ガン12をガンポケット17に収納する場合、操作者は、充電ガン12のハンドル122を把持した状態で充電ガン12の先端をガンポケット17に挿入する。ガンポケット17の奥面17Bには当接部173が形成されているので、充電ガン12の先端面が当該当接面173に当接することで、操作者は充電ガン12の奥行き方向の適正位置を把握することができる。
【0044】
充電ガン12の先端面が当接部173に当接したら、操作者はハンドル122の把持力を徐々に緩める。これにより、図6及び図7の矢印にて示すように、充電ガン12はその自重によって回転支点RCを中心にしてやや回転するが、充電ガン12の先端の上面が第1規制部171である天井面17Aに当接するとともに、充電ガン12のレバー121の下面が第2規制部172に受容される。図7の他例においては充電ガン12の中腹の下面が第2規制部172である突起部174の先端に当接する。
【0045】
これにより、充電ガン12のそれ以上の回転が規制されるとともに、充電ガン12の基端側に接続されたケーブル12aの重量が常に充電ガン12を矢印方向に回転させようと作用するので、充電ガン12がガンポケット17から脱落することなく装着することができる。
【0046】
そして、必要に応じてロック機構18の回動部材182を水平位置に回転させ、固定部材181の孔183と、回動部材182の孔184とを重ね合わせ、これらの孔183,184にピンや南京錠を差し込むことで、充電ガン12の取り外しが行えなくなる。
【0047】
一方、充電ガン12をガンポケット17に施錠した状態から充電操作を開始する場合、操作者は、最初にロック機構18の孔183,184に挿通されたピンや南京錠を取り外す。これにより、回動部材182はその自重によって凹部17C1の開口部から退避するように自動的に垂下するので、操作者は充電ガン12のハンドル122を把持し、当該ハンドル122を上方向(図6及び図7の示す矢印とは反対方向)にやや回転させる。
【0048】
ハンドル122を握って充電ガン12を上方向にやや回転させることにより、それまでの係止が解除され、すなわち充電ガン12の先端の上面と第1規制部171である天井面17Aとの係止と、充電ガン12のレバー121の下面と第2規制部172との係止とが解かれるので、そのまま充電ガン12を手前に引き出すことができる。
【0049】
以上の実施の形態によれば、以下の効果を有する。
1)本例では、凹状ガンポケット17に充電ガン12の上下それぞれの面を規制する2つの規制部171,172を設けたので、充電ガン12の自重によってこれら2つの規制部171,172により充電ガン12を脱落することなく固定することができる。そして、充電ガン12の着脱がきわめて簡単な操作で行うことができる。
【0050】
2)本例では、第2規制部172として鉛直方向に起立した突起部174を含み、充電ガン12のレバー121に係合するので、充電ガン12の回転の規制のみならずガンポケット18からのズレ落ちも抑制することができる。
【0051】
3)本例では、突起部174の先端に傾斜して延在する舌部175を有するので、充電ガン12が回転してレバー121が第2規制部172に受容される際に、レバー121が突起部174に引っ掛かることなく円滑にセットされる。
【0052】
4)本例では、ガンポケット17の奥面17Bに充電ガン12の先端面に対面する当接部173を備えるので、充電ガン12をセットする際に、充電ガン12の先端面を当接部173に突き当てることで、操作者は充電ガン12の奥行き方向の位置を把握することができる。
【0053】
5)本例では、当接部173がガンポケット17の高さに応じて鉛直方向に対して傾斜して形成されているので、充電ガン12の先端面が当接部173に面当たりし、これにより操作者は奥行き方向の位置をより正確に把握することができる。
【0054】
6)本例では、回転規制部を構成する第1規制部171と第2規制部172に加え、充電ガン12の回転支点より鉛直方向下側にロック機構18が設けられているので、小型のロック機構によっても充電ガン12を強固に施錠することができる。
【0055】
7)本例では、ロック機構18が、充電ガン12のレバー121を受容する凹部17C1の開口部に架設されているので、ロック機構18がガンポケット17から突出することがなく、より小型のロック機構18を用いることができる。
【0056】
8)本例では、ロック機構18を構成する回動部材182が開錠時には自重によって凹部17C1の開口部から退避するように垂下するので、開錠後すぐに充電ガン12を引き出すことができる。
【符号の説明】
【0057】
1…充電システム
1A…充電装置
2…三相交流電源
3…電力変換回路
31,311〜316…双方向スイッチング素子
32,321〜326…スナバ回路
327…スナバコンデンサ
4…トランス
5…整流器
6…二次電池
7…平滑回路
8…フィルタ回路
81…フィルタリアクトル
82L,82R,821〜826,831〜836…フィルタコンデンサ
9…マトリックスコンバータ制御回路
10…ヒートシンク
11…電源ブレーカ
12…充電ガン
121…レバー
12a…ケーブル
13…筐体
14…コアフレーム
141…ベースプレート
142…コアフレーム本体
15…アウタハウジング
15a…第1アウタハウジング
15b…第2アウタハウジング
151…操作パネル
16…ファン
17…ガンポケット
17A…天井面
17B…奥面
17C…床面
17C1…凹部
171…第1規制部
172…第2規制部
173…当接部
18…ロック機構
181…固定部材
182…回動部材
183,184…孔
RC…回転支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、当該筐体から引き出されたケーブルの先端に設けられた充電ガンと、前記筐体に設けられ前記充電ガンを収納する凹状ガンポケットと、を有する充電装置において、
前記凹状ガンポケットは、前記充電ガンを収納した際に、前記充電ガンの上面に当接して脱落を規制する第1規制部と、前記充電ガンの下面に当接して脱落を規制する第2規制部と、を備える充電装置。
【請求項2】
前記第2規制部は、前記凹状ガンポケットの内壁面から起立した突起部を含む請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記突起部は、鉛直方向に延在する請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記突起部は、その先端に、前記凹状ガンポケットの外側に向かって傾斜して延在する舌部を有する請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記凹状ガンポケットは、前記充電ガンを収納した際に、前記充電ガンの先端に対面する当接部を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の充電装置。
【請求項6】
前記当接部は、鉛直方向に対して傾斜して形成されている請求項5に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93975(P2013−93975A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234612(P2011−234612)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】