説明

先進的病原体検出およびスクリーニング

個々のリアルタイムPCR反応で、抽出サンプル(例えば大便または環境(土壌、水)性単離物)中の2つまたは3つ以上の病原体(ジアルジア属および/またはクリプトスポリジウム属を含む)を同定する、迅速で二元的目的をもつPCRに依拠する方法が提供される。本方法は、臨床検査、獣医検査および環境検査の分野で特に有用である。本方法は、通常のELISAまたはIFA系検出方法よりも感度が高い。本PCR系核酸検出方法で使用される内部コントロール(IC)もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、35 U.S.C.§119(e)により米国仮特許出願61/182,362(2009年5月29日出願)(前記出願の内容は参照によりその全体が本明細書に含まれる)に関して優先権を主張する。
【0002】
政府の関与
合衆国政府は、NIH 1R41 AI069598-01および/または2R42 AI069598-02にしたがい本出現に関して権利を有することができる。
【0003】
本開示はPCRの方法に関し、本方法は、個々のアッセイにおいて、任意の組合せの病原体、具体的にはジアルジア属(Giardia)およびクリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)の検出を可能にする。
【背景技術】
【0004】
ジアルジアは、世界中に広がる下痢症の主要原因である原生動物性寄生体である。ジアルジアのもっとも一般的な種は、G.ランブリア(G. lamblia)であり、これは北アメリカではもっとも一般的な病原性寄生動物である(Meyer and Jarrol (1980) Am. J. Epidemiol. 3: 1-12)。ジアルジアは2つの生活期を有する。栄養型期は宿主動物の小腸に定住し、鞭毛を用いて動き回る。吸盤は小腸壁への栄養型の付着を可能にし、一方、粘液性分泌物を栄養物として取り入れる。第二の生活期、嚢子はより強い外側層を有し、したがって宿主から宿主へと伝播するときに栄養型よりも高い宿主体外における生存能力を有する。伝播は、典型的にはジアルジア汚染上水道を介するか(Meyer and Jarrol、上掲書)、またはヒトからヒトへと伝播する(Black et al. (1977) Pediatrics 60: 486-491)。
G.ランブリアの栄養型の細胞骨格は、ジアルジンとして知られている29−38kDaのタンパク質群を含む(Peattie et al. (1989) J. Cell Biol. 109: 2323-2335)。いくつかのジアルジンについて核酸配列が判明している。前記にはアルファ-1-ジアルジンおよびアルファ-2-ジアルジンが含まれ、それらは核酸レベルで81%同一であり、77%同一のアミノ酸配列を有する(Alonso and Peattie (1992) Mol. Biochem. Parasitol. 50: 95-104)。アルファ-1-ジアルジンは、G.ランブリア栄養型の膜および盤で確認されている(Wenman et al. (1993) Parasitol. Res. 79: 587-592)。
【0005】
ジアルジア感染は、伝統的には大便中の虫卵および寄生体(O&P)の顕微鏡検出によって診断され、そのような検出は骨の折れる工程である。さらに最近開発されたジアルジア診断方法は、抗ジアルジア抗体の血清学的試験を含む。しかしながら、血清中の抗ジアルジア抗体の存在と進行中のジアルジア感染との間にはわずかな相関性しか見出されなかった。他の診断方法は、大便サンプルにおけるジアルジア抗原の検出を必要とする。例えば、Greenらは、全栄養型または破壊栄養型および嚢子をウサギに接種することによって生成したアフィニティー精製抗血清の使用を考察した(Green et al. (1985) Lancet 2: 691-693)。他のグループは、65kDa抗原(ジアルジア症患者の大便中に排出される)と結合する単一特異的抗体の使用を記載している(Rosoff and Stibbs (1986) J. Clin. Microbiol. 24: 1079-1083;U.S. Pat. No. 5,503,983;Stibbs (1989) J. Clin. Microbiol. 27: 2582-2588;Rosoff et al. (1989) J. Clin. Microbiol. 27: 1997-2002)。2つの種のジアルジア嚢子の壁の構成成分と結合するモノクローナル抗体をLujanらが考察している(Lujan et al. (1995) J. Biol. Chem. 270: 29307-29313)。G.ランブリアのELISAアッセイは例えば以下で考察されている:Nash et al. (1987) J. Clin. Microbiol. 25: 1169-1171;Stibbs et al. (1988) J. Clin. Microbiol. 26: 1665-1669;およびUngar et al. (1984) J. Infect. Dis. 149: 90-97。
以前に記載されたジアルジア感染検出用アッセイにはしばしば欠点が見られる。例えば、Ungarらのアッセイでは陽性サンプルの8%が検出されないと報告され、肉眼精査によって判定できない(Greenら、上掲書)。
【0006】
ジアルジア・ランブリアは、ヒトで疾患を引き起こすことが判明しているジアルジア属のただ1つの種である。ジアルジア・デュオデナリス(Giardia duodenalis)またはジアルジア・インテスティナリス(Giardia intestinalis)とも称されるこの種の分類系統学についてはいくつかの矛盾点がなお存在する(Lu et al. 1998 Molecular comparison of Giardia lamblia isolates. Int. J. Parasitol. 28: 1341-1345)。今日までに記載されたジアルジア属の他の代表的なものは、両性動物のジアルジア・アジリス(G. agilis)並びにげっ歯類、鳥類および爬虫類のジアルジア・ムリス(G. muris)(Meyer 1994 Giardia as an organism. P 3-13. In: RCA. Thompson, J. A. Reynoldsen, A. J. Lymbery (eds.) Giardia: From molecules to disease. CAB International, Wallingford, Oxon, UK)、サギのジアルジア・アルデア(G. ardea)(Erlandsen et al. 1990 Axenic culture and characterization of Giardia ardea from the great blue heron (Ardea herodias), J. Prasitol. 76: 717-724)、並びにジャコウラットおよびハタネズミのジアルジア・ミクロチ(G. microti)(van Keulen et al. 1998)である。ジアルジア小サブユニットrRNAの配列は、ハタネズミおよびジャコウラットには固有の種ジアルジア・ミクロチが寄生していることを示している(J. Parasitol. 84: 294-300)。モノクローナル抗体(mab)は、水サンプル中のジアルジア嚢子の検出にもっとも重要で広く利用されているツールである。市場で入手できる抗体の大半が、ヒトに感染しない種を含む全てのジアルジア種を検出し特異性の欠如を示している。陽性抗体反応は嚢子の生存能力(感染性)に関して何らの結論も下し得ないので、生存能力染色(DAPI, PI)を抗体と一緒に用いる必要がある。
【0007】
クロストスポリジウムは、接合子嚢についての糞便塗抹の光学顕微鏡試験によって、またはクロストスポリジウム特異的オリゴヌクレオチドプライマーによる糞便サンプルのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析によって検出される。例えば米国特許5,770,368 号(De Leon et al.)は、生存能力および感染性を有するクリプトスポリジウムの被嚢化型を検出する方法を開示する。前記方法は、接合子嚢を単離する工程、熱ショックタンパク質(HSP)遺伝子の転写を誘導する工程、および前記誘導された転写物をRT-PCRにより検出する工程を含む。或いは、クリプトスポリジウムを感受性細胞で培養し、さらに感染細胞由来のHSP DNAをPCRにより増幅するか、またはHSP転写を誘導してこの誘導転写物をRT-PCRにより検出して感染性を決定する。
PCRは、個々のサンプル中の病原体の核酸の検出についてもっとも感度が高く迅速な方法であると一般的に考えられている。PCRは当技術分野では周知であり、米国特許4,683,195号(Mullis et al.)、米国特許4,683,202号(Mullis)、米国特許5,298,392号(Atlas et al.)および米国特許5,437,990号(Burg et al.)に記載されている。PCR工程では、標的病原体の各々についてオリゴヌクレオチドプライマー対が提供され、この場合、各プライマー対は、標的核酸配列の5’末端にフランキングする配列と相補的な第一のヌクレオチド配列、および標的核酸配列の3’末端にフランキングする配列と相補的な第二のヌクレオチド配列を含む。各オリゴヌクレオチドプライマー対のヌクレオチド配列は、検出されるべき個々の病原体に特異的であり、他の病原体と交差反応しない。
【0008】
臨床検査室で使用される多数の非互換性リアルタイムPCR用プラットフォームが存在する。いくつかのプラットフォーム、例えばロシュ(Roche)のCOBASおよびHIV RNA増幅マシーンは、閉鎖式プラットフォーム(サンプルイン-リザルトアウト装置)である。意図的にこれらの装置には融通性がなく、他の目的(例えばジアルジアまたはクリプトスポリジウムのde novoアッセイ)に改変することは容易ではない。
ライトサイクラー2.0(LightCycler 2.0)は臨床検査室で使用される主要な解放式プラットフォームマシーンである。利便性を高めるために慎重に選択した装置と適合するようにアッセイを進化させることは理論に適っている。したがって、ライトサイクラーに加えて、セフェイドスマートサイクラー(Cepheido SmartCycler;Applied Biosystems ABI7300/7500)および他の装置に対して、臨床検査室で受け入れられるようにアッセイを適合させることができるはずである。他の候補はコルベットロトジーン(Corbett Roto-gene)およびバイオラドアイサイクラー(BioRad iCycler)である。
臨床検査室で用いられるPCRアッセイは、過剰なPCR阻害が発生していないことを確認するために増幅させる内部コントロールDNA鋳型を含まねばならない。このことは、大便によるアッセイについてはこの標本の複雑さゆえに重大である。
【0009】
ジアルジアおよびクリプトスポリジウムのために従来用いられている臨床診断および水質検査は時間を要し実施が困難であり、感度および特異性も所望の域に達しない。臨床診断検査室ではELISAおよび/またはIFA顕微鏡確認を用いてクリプトスポリジウムおよびジアルジアを診断する。残念ながら、ELISAはDNA系診断ほど鋭敏でも特異的でもない。さらにまた、ELISA系検査は実施に4時間以上を要することがある。IFA顕微鏡法は費用がかさみ、多大な専門家による時間を必要とし、さらに不十分な検出限界(低感度)が存在する。
水質検査では、ほとんどの検査室がIFAと併用される高体積ろ過を用いる。これらの検査費用は極めて高く、さらにまた顕微鏡検査の解釈について高度な技量を有する職員が必要である。
重要な感染性因子を検出する従来の方法は十分な感度または特異性をもたないので、より鋭敏でさらにより特異的な2つ以上の病因性または連関病原体の検出を可能にする方法が希求されている。病原体に対してより鋭敏でより特異的な検査は、適切な治療のより早期の開始を可能にし、この場合、疾患の期間または重篤度においてより多くの効果を期待し得る。
【発明の概要】
【0010】
本開示は前述の要件を満たし、PCRを用いて生物の検出を可能にし、正確性の顕著な増加および時間の顕著な短縮、並びに本明細書の考察から明白な他の利点をもたらす。概略的および全体的な意味で、本開示は、生物学的標本を含むサンプル中の多数の病原体および/または他の汚染因子を検出する固有の方法を提供する。いくつかの特徴では、本方法は、感度が高く特異的なジアルジアおよびクリプトスポリジウムの検出を提供する。したがって、本方法は、動物(ヒトおよび非ヒト)の病変診断および環境(水および土壌)のモニタリングを含む多くの適用で重要である。本発明の方法はまた、以下を含む任意の他の状況(ただしこれらに限定されない)で標的生物をモニターまたは検出するために用いることができる:獣医検査、医学検査、大気の特性、生物戦防衛(テロおよび大量破壊兵器を含む)、有害廃棄物処理、バイオレメディエーション、環境の再生、回復および浄化など。
いくつかの実施態様にしたがえば、生物学的サンプルは、病原性生物(例えばジアルジア、クリプトスポリジウム、サルモネラ(Salmonela)、シゲラ(Shigella)、カンピロバクター(Campylobacter)、カンジダ(Candida)、大腸菌(E. coli)、エルジニア(Yersinia)、アエロモナス(Aeromonas)、ミクロスポリジア(Microsporidia)、または他の病原微生物)を含み得る任意の標本またはサンプルであり得る。生物学的サンプルには上水道、下水処理地域、農場地域の土壌サンプル、放牧地域、廃棄物処理地域から得られるサンプル;および/または消費、洗浄、または任意の他の家庭用もしくは産業用使用などのために動物または人間によって用いられる実質的に任意の水供給源から入手されるサンプルが含まれ得る。さらにまた、生物学的サンプルは、人間または動物の排泄物(例えば大便)、医療廃棄物(絆創膏および包帯)、体液(尿、血漿、粘液など)などを含むことができる。いくつかの実施態様では、本方法は、生物学的標本(例えば飲用水および/または飲用水を入手する水源(例えば流水、川または湖))のスクリーニングおよび/または検査を提供する。
【0011】
いくつかの特徴では、同じまたは類似の病原体を測定する通常方法よりも完了までに50%未満の時間しか必要としない病原体検出方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法はまた従来から利用可能な方法よりも費用効率が顕著に高い。例示すれば、本方法は、類似の目的のために用いられる従来から利用可能な検出方法(例えば顕微鏡観察による方法)より費用が約35%安い。
別の特徴では、サンプル中の2つまたは3つ以上の微生物を遺伝学的に検出できる方法が提供される。例示すれば、そのような2つまたは3つ以上の微生物はジアルジアおよびクリプトスポリジウムを含むことができる。他の利点ではとりわけ、本方法は標本当たり1000未満の病原体を検出できる(一方、通常の方法の感度は標本当たり10,000−50,000病原体である)。
本開示はまた、完了までに2時間未満しか必要とし得ない検出プロトコルを提供する。いくつかの具体的な実施態様では、本発明は水質検査を提供する。このタイプの検査は典型的には比較的高体積のろ過を必要とする。本方法はリアルタイムPCR検出(微生物特異的(例えばクリプトスポリジウムおよび/またはジアルジア特異的)DNA配列を検出する)に依拠するので、比較的高体積のろ過を必要としない。他の水質検査方法とは対照的に、本方法は視覚的決定または抗体結合に依存しない。
【0012】
本方法の商業的利用には、人間の大便標本の臨床診断、動物の糞便標本の獣医診断、娯楽用または飲用水サンプルの水質検査、および土壌または他のサンプルタイプの環境検査が含まれる。
本開示は、ジアルジアおよびクリプトスポリジウムの個々の検出を可能にするリアルタイムPCRアッセイを提供する。本開示は、抗体を使用することなく(例えばELISAおよびIFA方法論の場合のように)、2つまたは3つ以上の感染性因子(例えばジアルジアおよびクリプトスポリジウム)の任意の組み合わせを検出できるという点で従来技術を越える利点を有する。
したがって、本開示のある特徴では、核酸に依拠する方法を用いて、サンプル中の2つまたは3つ以上の顕微鏡的病原体の存在を検出できる。本方法は、サンプルから核酸(DNAを含む)を単離して単離物を提供する工程、前記単離物の一部を反応容器に入れる工程、PCR反応混合物を反応容器に入れる工程、プライマー核酸配列およびプローブ核酸配列を反応容器に入れる工程、内部コントロール核酸配列および内部コントロールプローブ核酸配列を反応容器に入れる工程、プライマー核酸配列を用いて単離物および内部コントロール核酸配列中の核酸配列を増幅させる工程、および反応容器中の増幅された標的核酸配列と結合したプローブ核酸配列を検出する工程を含む。プライマー配列は1つの種の標的配列を増幅する構造を有し、プローブ配列は標的配列と結合する構造を有する。内部コントロールは、プライマー配列の中から少なくとも2つのプライマーと結合する構造を有する。内部コントロールプローブ配列は、内部コントロール配列中の固有の標的配列と結合する構造を有する。当該種の標的核酸配列は、固有の内部コントロール標的配列よりも優先的に増幅される。標的核酸配列と結合したプローブ核酸配列の存在は当該種が存在することの指標である。サンプル中に当該種が存在しない場合は内部コントロールが増幅され、固有の標的核酸配列と結合した内部コントロールプローブ配列の存在はPCR阻害が存在しないことの指標である。
【0013】
内部コントロールは配列番号:9を含むことができ、内部コントロールプローブ配列は配列番号:10および配列番号:11を含むことができる。本方法はさらに、単離物の一部分を第二の反応容器に入れる工程、PCR反応混合物を第二の反応容器に入れる工程、第二のプライマー核酸配列および第二のプローブ核酸配列を第二の反応容器に入れる工程、内部コントロール核酸配列および内部コントロールプローブ核酸配列を第二の反応容器に入れる工程、プライマー核酸配列を用いて単離物および内部コントロール核酸配列中の核酸配列を増幅させる工程、および第二の反応容器中の増幅された標的核酸配列と結合したプローブ核酸配列を検出する工程を含む。第二のプライマー配列は第二の種の標的配列を増幅する構造を有し、第二のプローブ配列は第二の種の標的配列と結合する構造を有する。内部コントロールは、第一のプライマー配列および第二のプライマー配列から選択される少なくとも2つのプライマーと結合する構造を有する。第二の種の第二の標的核酸配列は、固有の内部コントロール標的配列よりも優先的に増幅される。標的核酸配列と結合した第二のプローブ核酸配列の存在は第二の種が存在することの指標である。サンプル中に第二の種が存在しない場合は内部コントロールが増幅され、固有の標的核酸配列と結合した内部コントロールプローブ配列の存在はPCR阻害が存在しないことの指標である。第一の種はジアルジアであってもよく、第二の種はクリプトスポリジウムであってもよい。プライマー核酸配列は配列番号:1、配列番号:2、配列番号:5および配列番号:6を含むことができる。ジアルジアのためのプローブ核酸配列は配列番号:7および配列番号:8であってもよく、クリプトスポリジウムのためのプローブ核酸配列は配列番号:3および配列番号:4であってもよい。サンプルは大便サンプルまたは水サンプルであってもよい。
【0014】
本開示の別の特徴にしたがえば、2つまたは3つ以上の生物学的汚染因子についてサンプルをスクリーニングするためにキットを用いることができる。前記キットは、第一のプライマー対、第一のプローブ対、第二のプライマー対、第二のプローブ対、内部コントロールおよび内部コントロールプローブ対を含む。第一のプライマー対は、第一の種の第一の標的配列を増幅する構造を有し、さらに第一のプローブ対は第一の標的配列を検出する構造を有する。第二のプライマー対は、第二の種の第二の標的配列を増幅する構造を有し、さらに第二のプローブ対は第二の標的配列を検出する構造を有する。内部コントロールは、第一の末端領域、IC本体および第二の末端領域を含む。第一の末端領域は、第一のプライマー対のフォワードプライマーと相補的な配列および第二のプライマー対のフォワードプライマーと相補的な配列を含む。第二の末端領域は、第一のプライマー対のリバースプライマーと相補的な配列および第二のプライマー対のリバースプライマーと相補的な配列を含む。内部コントロールプローブ対は内部コントロールを検出する構造を有する。
内部コントロールは配列番号:9を含むことができ、内部コントロールプローブ配列は配列番号:10および配列番号:11を含むことができる。第一の種はクリプトスポリジウムであってもよく、第二の種はジアルジアであってもよい。第一のプライマー対配列は配列番号:1および配列番号:2を含むことができる。第二のプライマー対配列は、配列番号:5および配列番号:6を含むことができる。第一のプローブ対配列は、配列番号:3および配列番号:4を含むことができる。第二のプローブ対配列は、配列番号:7および配列番号:8を含むことができる。
【0015】
キットの構成要素は凍結乾燥することができ、1つまたは2つ以上のマスターミックスとして提供できる。第一のマスターミックスは、第一のプライマー対、第一のプローブ対、内部コントロールおよび内部コントロールプローブ対を含むことができる。第二のマスターミックスは、第二のプライマー対、第二のプローブ対、内部コントロールおよび内部コントロールプローブ対を含むことができる。より具体的には、第一のマスターミックスは、約1xから約5xの範囲のTfi緩衝液、約3mMから約10mMの範囲のMgCl2、約0.1Mから約0.5Mの範囲のトレハロース、約0.1mMから約0.5mMの範囲のdATP、約0.1mMから約0.5mMの範囲のdTTP、約0.1mMから約0.5mMの範囲のdCTP、約0.1mMから約0.5mMの範囲のdGTP、約0.2μMから約0.7μMの範囲のクリプトスポリジウムフォワードプライマー、約0.2μMから約0.7μMの範囲のクリプトスポリジウムリバースプライマー、約0.02μMから約0.4μMの範囲のクリプトスポリジウムドナープローブ、約0.1μMから約0.3μMの範囲のクリプトスポリジウムアクセプタープローブ、約0.1μMから約0.5μMの範囲のICドナープローブ、約0.1μMから約0.5μMの範囲のICアクセプタープローブ、約0.05U/μLから約0.3U/μLの範囲のTFiDNAポリメラーゼ;および約0.3fg/μLから約0.7fg/μLの範囲のICを含むことができる。第二のマスターミックスは、約1xから約5xの範囲のTfi緩衝液、約3mMから約10mMの範囲のMgCl2、約0.1Mから約0.5Mの範囲のトレハロース、約0.1mMから約0.5mMの範囲のdATP、約0.1mMから約0.5mMの範囲のdTTP、約0.1mMから約0.5mMの範囲のdCTP、約0.1mMから約0.5mMの範囲のdGTP、約0.2μMから約1.0μMの範囲のジアルジアフォワードプライマー、約0.2μMから約1.0μMの範囲のジアルジアリバースプライマー、約0.1μMから約0.5μMの範囲のジアルジアドナープローブ、約0.1μMから約0.5μMの範囲のジアルジアアクセプタープローブ、約0.1μMから約0.5μMの範囲のICドナープローブ、約0.1μMから約0.5μMの範囲のICアクセプタープローブ、約0.05U/μLから約0.3U/μLの範囲のTFiDNAポリメラーゼ;および約0.3fg/μLから約0.7fg/μLの範囲のIC DNAを含むことができる。
【0016】
本開示のさらに別の特徴では、組成物は、プライマー対、プローブ対、内部コントロールおよび内部コントロールプローブ対を含む。前記プライマー対は1つの種の標的配列を増幅する構造を有し、さらに前記プローブ対は標的配列を検出する構造を有する。前記内部コントロールは、第一の末端領域、IC本体および第二の末端領域を含む。前記第一の末端領域は、プライマー対のフォワードプライマーと相補的な配列を含み、さらに第二の末端領域は、プライマー対のリバースプライマーと相補的な配列を含む。内部コントロールプローブ対は内部コントロールを検出する構造を有する。プライマー対は、配列番号:1および配列番号:2、または配列番号:5および配列番号:6であり得る。内部コントロールは配列番号:9を含むことができる。
本発明のさらに別の特徴、利点および実施態様は、以下の詳細な説明、図面および特許請求の範囲により明示されまたはそれらから明白となり得る。さらにまた、本発明の上述の要旨および以下の詳細な説明は例示であり、特許請求の範囲のように本発明の範囲を限定する意図はなく更なる説明を提供しようとするものであることは理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本発明は、本明細書に記載した特定の方法論、プロトコルおよび試薬などに限定されないことは理解されよう(なぜならば、これらは当業者の理解にしたがって変動し得るからである)。さらに、本明細書で用いられる専門用語は具体的な実施態様を説明する目的のためにのみ用いられ、本発明の範囲の限定を意図するものでないこともまた理解されよう。さらにまた、本明細書および特許請求の範囲で用いられるように、単数形の“a”、“an”および“the”は、文脈が明らかにそうでないことを示していないかぎり、対応する複数形を含むことは特筆されるべきである。例えば、“a capsule”との表示は、1つまたは2つ以上のcapsuleおよび当業者に公知のその等価物を指す。
特段の規定がなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語および学術用語は、本発明が属する分野の業者のある者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本発明の実施態様並びにその特徴および利点の詳細は、非制限的な実施態様を参照してより完全に説明され、および/または添付の図面で例証され、さらに下記の説明で詳述される。図面に示す特徴は必ずしも正確な縮尺で描かれていないこと、およびある実施態様の特徴は、当業者が認識し得る他の実施態様にも(例え本明細書に明瞭に示されていないとしても)利用し得ることは特筆されるべきである。
【0018】
本明細書に列挙されたいずれの数値も、低い方の任意の値と高い方の任意の値との間が少なくとも2単位分離されていることを条件として、低い方の値から高い方の値の間で1単位ずつ増加する存在する全ての値を含む。例として、成分の濃度またはプロセスの変数の値(例えばサイズ、温度、時間など)が、例えば1から90、具体的には20から80、より具体的には30から70と記載されている場合、例えば15から85,22から68、43から51、30から32などが本明細書に明白に含まれることが意図される。1未満の値については、1単位は適切な場合には0.0001、0.001または0.1と考えられる。これらは特に意図されるものほんの一例であり、示されたもっとも小さい値ともっとも大きな値との間に存在する全ての可能な数値の組合せが、本明細書に類似の態様で明白に記載されているとみなされるべきである。
さらにまた、下記に“定義”の項を提供するが、ここでは本発明に関連する用語を具体的に規定する。具体的な方法、装置および材料が記載されているが、ただし本明細書に記載されたものと類似するかまたは等価の任意の方法および材料も本発明の実施または試験に用いることができる。本明細書に引用した全ての引用文献が参照により本明細書にその全体が含まれる。
【0019】
定義
本明細書で用いられる、核酸(DNAを含む)の“増幅”という用語は、核酸配列の混合物中で特定の核酸配列の濃度を増加させるためにPCRを使用することを意味する。増幅される具体的な核酸配列は“標的”配列として本明細書に記載されている。
特に核酸配列に言及して本明細書で用いられる“任意の結合”という用語は、オリゴヌクレオチド結合特性に干渉することなくオリゴヌクレオチドの3’鎖の伸長を阻止する任意の結合または原子の立体構造を意味する。
特に核酸配列に言及して本明細書で用いられる“任意の連結”という用語は、任意の適切な連結を用い得ることを意味する。例えば、発蛍光団をオリゴヌクレオチドと結合させるために、多数の種々の連結を利用できる(チオール結合およびアミン結合を含むが、ただしこれらに限定されない)。
本明細書で用いられる“生物学的サンプル”および“サンプル”という用語は、生物を含むことができる物質の任意の標本またはサンプルを意味する。非制限的な例には、水サンプル、土壌サンプル、大気サンプル、大便サンプル、血液サンプル、尿サンプルなどが含まれる。
本明細書で用いられる“クリプトスポリジウム”という用語は、ヒトで疾患を引き起こすことが判明しているクリプトスポリジウム属の任意の種を意味し、前記にはC.パルブム(C. parvum)、C.フェリス(C. felis)、C.ミュリス(C. muris)、C.メレアグリジス(C. meleagridis)、C.スイス(C. suis)、C.キャニス(C. canis)および/またはC.ホミニス(C.hominis)が含まれる。
本明細書で種の名称が後に続かずに単独で用いられる、“ジアルジア”という用語は、ヒトで疾患を引き起こすことが判明しているジアルジア属の任意の種を意味する。前記にはG.ランブリア、G.デュオデナリスおよび/またはG.インテスティナリスが含まれ得る。
【0020】
本明細書で用いられる“発蛍光団”という用語は核酸に結合される官能基を意味し、前記は、特定の波長のエネルギーを吸収し、異なる(ただし等しく特異的である)波長でエネルギーを再放出する。
本明細書で用いられる“内部コントロール”配列という用語は、PCR反応が核酸配列の検出に機能していることを示すために用いることができる核酸配列を指す。
“病原体”、“生物”または“種”という用語は、本明細書では互換的に用いられ、オリゴヌクレオチドによって特異的に同定され得る任意の1つの種または近縁種グループを指す。これらの種は未知であっても公知であってもよく、ウイルスを含むことができる。
本明細書で用いられる“PCR”という用語は、当分野で公知のポリメラーゼ連鎖反応を意味する。前記用語にはPCRの全ての形態(例えばリアルタイムPCRおよび定量的PCR)が含まれる。
“陽性コントロール標的DNA”という用語は、プローブまたはプローブ対と相補的であることが判明している配列を含む核酸を意味する。陽性コントロール標的DNAは、プローブがその標的と正確に結合していることを決定するために陽性コントロールとして用いることができる。
本明細書で用いられる“プライマー対”という用語は、標的配列とフランキングする配列と相補的であるオリゴヌクレオチドプライマー対を意味する。前記プライマー対はフォワードプライマーおよびリバースプライマーから成る。フォワードプライマーは、標的配列の上流(すなわち5’)配列と相補的である核酸配列を有する。リバースプライマーは、標的配列の下流(すなわち3’)配列と相補的である核酸配列を有する。
“プローブ”および“プローブ対”という用語は、特定の標的配列と相補的であり、発蛍光団と共有結合した1つまたは2つのオリゴヌクレオチド配列を指す。プローブ対は2つのオリゴヌクレオチド、すなわち“ドナープローブ”および“アクセプタープローブ”を含む。両プローブが標的配列と結合すると、ドナープローブの発蛍光団はアクセプタープローブの発蛍光団にフェルスター共鳴エネルギー伝達(FRET)によりエネルギーを伝達することができる。
本明細書で用いられる“反応容器”という用語は、PCRの実施のためおよび特定の核酸配列の検出のために用いられる容器を意味する。
本明細書で用いられる“解明しようとする種”という用語は、標本中に存在すると思われる1つまたは2つ以上の種を意味し、本開示の方法、手順および材料は、そのような種が実際に存在するか否かを決定するために用いられる。
本明細書で用いられる“標的”という用語は、PCRによって増幅される核酸の配列を意味する。
【0021】
説明
本開示の特徴にしたがえば、サンプル中の1つまたは2つ以上の種の存在を検出できる。具体的には、本開示は2つの病原体の検出に適しているが、さらに多くのまたは異なる生物タイプも本発明の範囲を逸脱することなく標的とすることができる。例えば、本発明は、単一サンプル中にクリプトスポリジウムおよびジアルジアが存在するか否かを検査することを可能にする。
サンプルを収集したら、サンプルからDNAを単離および抽出することができる。前記単離DNAを小分けし、反応容器(例えばPCRチューブ)に適切なPCR試薬とともに加えることができる。各反応容器はまた、プライマー対、オリゴヌクレオチドプローブ対、内部コントロール(IC)構築物、および内部コントロールのためのプローブ対を受け入れることができる。前記プライマーおよびプローブは、試験しようとするただ1つの種に特異的であり得る。PCR試薬、プライマー、プローブおよびICは混合物または即時使用形として、例えば溶液または凍結乾燥混合物として提供できる。内部コントロールはまた種特異的プライマーによって増幅できるが、前記はそれ自身固有のプローブを用いて検出される。多数の種についてプライマー対およびプローブ対が入手可能である場合、ただ1つのサンプルに由来する単離物を、問題の多数の種の存在について検査することができる。
【0022】
本発明のある特徴では、解明しようとする各生物についてマスターミックスを調製することができる。例えば、クリプトスポリジウムを標的とするマスターミックスは以下のプライマーを含むことができる:
クリプトスポリジウムフォワードプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GCC TAC CGT GGC AAT GA-3′(配列番号:1);
クリプトスポリジウムリバースプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA AAA GTC CTG TAT TGT TAT TTC TTG TC-3′(配列番号:2)。
例示的なクリプトスポリジウムマスターミックスはまた以下のプローブを含むことができる:
クリプトスポリジウムドナープローブ:5′-CGG CTA CCA CAT CTA AGG AAG GC-任意の連結-(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-3′(配列番号:3);
クリプトスポリジウムアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団- CAG GCG CGC AAA TTA CCC AAT CCT A-任意の結合-3′(配列番号:4)。
さらに別の例として、ジアルジアを標的とするマスターミックスは以下のプライマーを含むことができる:
ジアルジアフォワードプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GGA CGG CTC AGG ACA AC-3′(配列番号:5);
ジアルジアリバースプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GGA GTC GAA CCC TGA TTC T-3′(配列番号:6)。
ジアルジアを標的とするマスターミックスはまた以下のプローブを含むことができる:
ジアルジアドナープローブ:5′-CCT TGC GCG CAC GTC TTG -任意の連結-(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-3′(配列番号:7);
ジアルジアアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団-CCG GTT GCC AGC GGT GT -任意の結合-3′(配列番号:8)。
【0023】
本発明のさらに別の特徴では、内部コントロール(IC)構築物は、PCRマスターミックスの部分としてまたは別個の成分として提供できる。ICはPCR効率およびPCR阻害のモニタリングを可能にする。PCR阻害は、大便サンプルから単離されるDNAに関しては特に重大である(大便サンプルは阻害性化合物、例えば粘液糖タンパク質およびプロテアーゼを含む可能性がある)。内部コントロールは二本鎖DNA構築物であってもよい。ICは、“センス”鎖の5’末端から始まって末端領域1、IC本体および末端領域2を含むことができる。これらの領域は互いに直接隣接してもよいが、領域間にスペーサー配列が存在してもよい。末端領域1、末端領域2またはその両方は特定の適用について適切な場合には省くことができる。本発明のある特徴では、末端領域1は、調べようとする種のためのフォワードプライマーと相補的である配列を含むことができる。末端領域2は、同じ種のためのリバースプライマーと相補的である配列を含むことができる。また別の特徴では、各末端領域は、多数のフォワードプライマーまたはリバースプライマーを含むことができる。例えば、2つの種について調べようとする場合、各末端領域は各々の種について1つのプライマー結合部位を含むことができる。さらに多くの種について調べることが可能であり、したがって本発明の範囲を逸脱することなくさらに多くのプライマー結合部位を含むことが可能である。
【0024】
例えば、調べる種がジアルジアおよびクリプトスポリジウムである場合、末端領域1はジアルジアのフォワードプライマーのための結合部位およびクリプトスポリジウムのフォワードプライマーのための結合部位を含むことができる。同様に、末端領域2は、ジアルジアのリバースプライマーのための結合部位およびクリプトスポリジウムのリバースプライマーのための結合部位を含むことができる。内部コントロールを増幅するために種特異的プライマーに依拠することによって、ICはそれ自身の増幅用プライマーを要求する必要がない。ただ1つの構築物およびただ1つのプローブセットを各標的種のためのマスターミックスに加えることができ、それによって費用および複雑さを軽減することができる。より重要なことには、各反応容器中のオリゴヌクレオチドの数を削減することはPCR有効性を改善し、人為産物の機会、差別的増幅および他の誤謬を減少させることができる。本発明の方法およびアッセイは各反応容器に合計6つのオリゴヌクレオチド(例えば2つのジアルジアプライマー、2つのジアルジアプローブおよび2つのICプローブ)を含むことができる。さらに別の例として、6つのオリゴヌクレオチドは、2つのクリプトスポリジウムプライマー、2つのクリプトスポリジウムプローブおよび2つのICプローブを含むことができる。オリゴヌクレオチドは、アミン結合、チオール結合などを用いて発蛍光団と結合させることができる。オリゴヌクレオチドは、3’鎖の伸長を阻止するために官能基または結合(例えばリン酸結合、C-3スペーサー結合など)を有することができる。
【0025】
本発明のさらに別の特徴にしたがえば、ICは、解明しようとする種に由来する可能性があるいずれの鋳型とも過剰に競合しないように相対的に低レベルで存在することができる。このような状況下では、種の標的配列は、もし存在するとしたら、ICよりも優先的に増幅され得る。換言すれば、当該種のみが増幅および検出され、ICは増幅または検出され得ない。しかしながら、標的種が存在しない場合、IC鋳型は種のためのプライマーによって増幅され、内部コントロールはそれ自身のプローブによって検出され得る。内部コントロールも標的配列も検出されない場合には、PCR反応に関して問題(もっともありそうなことはサンプルの成分によるPCRの阻害)が存在する可能性がある。
内部コントロールとして人工配列に依拠することにより、本発明は、病原体スクリーニングおよび検出のための他のPCRアッセイに固有の問題が排除される。具体的には、これらのアッセイは、それらの内部コントロール用に典型的にはサンプルに存在するヒト(または他の種)の遺伝子を増幅させる。前記遺伝子は高コピー数で存在する可能性があるか(前記はPCR増幅の失敗となり得る)、または選択したコントロール遺伝子由来のシグナルが解明しようとする種由来のシグナルよりも過剰となる可能性がある。少量の人工内部コントロールDNAを使用し、種の標的配列またはICを差別的に増幅させることによって、本発明はこれらのタイプの誤謬を軽減または除去する。
【0026】
本発明のいくつかの特徴では、IC本体は150から450塩基対(bp)の長さを有する。これらの特徴のいくつかでは、IC本体は274bpの長さを有する。ある具体的な特徴では、IC本体は以下の配列を有する:
5′- GCC TAC CGT GGC AAT GAA GGA CGG CTC AGG ACA ACT TCT GAC TTT TGT CGT GCT GTG CGA CAC GTA AAT TTA GTC CCC CAA TAA ATA ACA GGC CGC TGT TGA GCA CAA GCA GCT AGC GCC GTT TTA GCC ACA TGT ACC CAG TAT ATA TGT CAC GAG AGG ATA GGC GAA CGG ATG CTG ACG AGG CAA CAA AAG CAC AGG TAC TCG AGG GAA GGT TGG AAT GGT CAG GCC GAC AAG AAA TAA CAA TAC AGG ACT TTA AGA ATC AGG GTT CGA CTC C-3′(配列番号:9)。
本発明のある特徴にしたがえば、IC構築物のためのプローブは以下の配列を有する:
内部コントロールドナープローブ:5′-CGG ATG CTG ACG AGG CAA CA -(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-任意の連結-3′(配列番号:10);
内部コントロールアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団-GCA CAG GTA CTC GAG GGA AGG-任意の結合-3′(配列番号:11)。
【0027】
本発明のいくつかの特徴では、種々のアクセプタープローブの発蛍光団は、ICプローブが種特異的プローブとは異なる波長で放射するように選択できる。以下の説明は例示目的であり、当業者に公知である任意の変型が本開示および特許請求の範囲を逸脱することなく実施され得る。例えば、種のアクセプタープローブを中央値範囲の赤色発蛍光団(例えば680nmで放射するAlex蛍光680)に適合させることができ、一方、ICアクセプタープローブは高発光性赤色発蛍光団(例えば705nmでエネルギーを放射するLC705)と結合させることができる。
一般的には、ドナープローブをその3’末端で発蛍光団と結合させ、それによってPCR時にプローブがプライマーのように作用するのを防ぐことができる。さらにまた、アクセプタープローブは通常ドナーの3’側に置かれ、更なる鎖の伸長を阻止する。しかしながら、アクセプタープローブはその3’末端が自由であってもよい。本発明のいくつかの特徴では、アクセプタープローブはその3’末端が封鎖され、PCR時に前記がプライマーとして作用するのを防ぐことができる。3'鎖の伸長を阻止する官能基または結合にはリン酸結合、C-3結合などが含まれる。
【0028】
当業者には理解されるところであるが、本発明は、標的DNAの検出にフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を利用することができる。FRET移動は、ドナープローブの3’末端に結合させた低発光性発蛍光団と対応するアクセプタープローブの5’末端に結合させた第二の高発光性発蛍光団との間で発生し得る。例えば、低発光性発蛍光団は400−500nmの波長をもつ光を放出し、高発光性発蛍光団は580−710nmの波長をもつ光を放出できる。発蛍光団並びにドナーおよびアクセプタープローブの他の組合せも意図され、本発明の範囲内に包含される。例示すれば、ドナープローブおよびとアクセプタープローブの役割を逆にしてもよい。この例では、オリゴヌクレオチドの配列は同じであるが、アクセプターがその3’末端に発蛍光団を有し、ドナーの上流(すなわち5’)側で結合し、ドナーは5'末端に発蛍光団を有する。いくつかの特徴では、ドナープローブは緑色の発蛍光団を含み、アクセプタープローブは赤色の発蛍光団を含むことができる。適切な緑色発蛍光団の例には、FAM、FITC、Alexa蛍光488などが含まれる(ただしこれらに限定されない)。適切な赤色発蛍光団の例には、LC705、テキサスレッド、Alexa蛍光680などが含まれる(ただしこれらに限定されない)。赤色発蛍光団による発光は、ライトサイクラー2.0のチャネル3で、他の一般的なPCRプラットフォーム(例えばABI 7300/7500、コブレットロトジーン(Corbett Roto gene)、フィンザイム(Finnzyme)qPCRプラットフォーム、バイオラドアイサイクラー(BioRad iCycler)など)と同様に検出できる。
【0029】
本発明のまた別の特徴にしたがえば、ICはDNA抽出技術の有効性のモニターに用いることができる。DNA抽出不良は、不完全な細胞溶解、DNA分解または精製マトリックスへの非効率的な結合のために生じ得る。例えば、IC構築物の二本鎖DNAを一般的プラスミドに挿入し、クローニング用大腸菌を形質転換することができる。続いてこの形質転換大腸菌クローンを用いて、DNA抽出前に大便標本に加えることができる。DNAをサンプルから抽出および単離したら、この単離物を試験して単離物中のICの有無および量を決定することができる。試験は例えば定量的PCRを用いて実施できる。
本発明を例示的特徴に関して説明してきたが、本発明は添付の特許請求の範囲内で改変しながら実施できることは当業者には理解されよう。上記に提供したこれらの例は単なる例示であり、本発明の可能な設計、特徴、応用または改変の全てを包括的に網羅しようとするものではない。
具体的な実施例
以下の具体的な実施例は本発明の好ましい特徴を表示するが、しかしながら、それらは単なる例示目的のために提供される。以下の例示的な実施例は、特許請求の範囲内で個々の応用のために改変できることは当業者には理解されよう。
【実施例1】
【0030】
実施例1:病原体検出用製品
本実施例は、本製品が種々のモジュール(用いられる検査および/またはPCRプラットフォームの最終的使用により左右される具体的なモジュール)の様式で提供されるので、当該製品を説明することを目的とする。例えば、いくつかの実施態様では、2つのモジュールを含むことができる。これらのモジュールには以下が含まれ得る:(1)DNA抽出試薬および消耗品;および/または(2)PCR検出試薬およびプロトコル。
各タイプの出発材料に対して最適な抽出物を提供するために、DNA抽出試薬は出発材料に応じて変動するであろう。PCR検出試薬およびプロトコルもまた、アッセイに用いられる出発材料および/またはPCRプラットフォームに応じて変動し、少なくとも例えば4つの主要なPCRプラットフォームのために最適な試薬およびプロトコルが提供されるであろう。
最終製品には以下が組み込まれ得る:(1)特に最終的使用のためにカスタマイズされた試薬による感受性の高いDNA抽出方法論、および/または(2)例えばロシュライトサイクラー、セフェイドスマートサイクラー、ABI 7300/7500、コルベットロトジーン、フィンザイムqPCRプラットフォーム、バイオラドアイサイクラーなどで用いることができる、内部コントロールおよび陽性コントロール標的DNAを含む感受性が高く最適化されたPCR試薬。
【実施例2】
【0031】
実施例2:クリプトスポリジウム/ジアルジアリアルタイムPCRプロトコル(ライトサイクラー(ロシュ))
本実施例は、2つまたは3つ以上の環境的病原体(例えばクリプトスポリジウムおよびジアルジア)に感染しているかまたは前記を含むと思われる標本の解析に用いることができるプロトコルを明らかにするために提供される。以下は、問題のサンプルの診断検査の実施に用いることができるステップバイステップ方法を提示する。
1.ライトサイクラーをセットアップする
a.サーモサイクラーを作動させる;
b.コンピューターを作動させ、ライトサイクラーソフトを開く;
c.前記ソフトの標準的メニューオプションにしたがい、実験ファイルをロードするかまたは作成する。
2.PCR反応をセットアップする
a.常時、試薬を低温に保ち、さらに光を遮断する;
b.クリプトスポリジウム特異的マスターミックス(製造時に以下の成分を用いて調製され、続いて凍結乾燥される)の正確な番号を入手する:
【0032】

クリプトスポリジウムフォワードプライマーは配列番号:1によって規定される配列を有することができる、クリプトスポリジウムリバースプライマーは配列番号:2によって規定される配列を有することができる。クリプトスポリジウムドナープローブは配列番号:3によって規定される配列を有することができる。クリプトスポリジウムアクセプタープローブは、配列番号:4によって規定される配列を有することができる。IC DNAは配列番号:9によって規定される配列を有することができる。ICドナープローブは、配列番号:10によって規定される配列を有することができ、さらにICアクセプタープローブは、配列番号:11によって規定される配列を有することができる。
c.ジアルジア特異的マスターミックス(製造時に以下の成分を用いて調製され、続いて凍結乾燥される)の正確な番号を入手する:
【0033】

ジアルジアフォワードプライマーは配列番号:5によって規定される配列を有することができる、ジアルジアリバースプライマーは配列番号:6によって規定される配列を有することができる。ジアルジアドナープローブは配列番号:7によって規定される配列を有することができ、さらにジアルジアアクセプタープローブは、配列番号:8によって規定される配列を有することができる。IC DNAは配列番号:9によって規定される配列を有することができる。ICドナープローブは、配列番号:10によって規定される配列を有することができ、さらにICアクセプタープローブは、配列番号:11によって規定される配列を有することができる。
d.以下の成分からなる、再構成緩衝液試験管を入手する:

e.クリプトスポリジウム特異的およびジアルジア特異的マスターミックスを製品の説明書に規定された体積の再構成緩衝液で再構成する。よく混合し、簡単に遠心する。
f.適切なマスターミックスの17μLをピペットで各ガラスキャピラリーに移す。
g.分子生物学的等級のH2O 3μLを各陰性コントロールキャピラリーに加え、蓋をする。
h.3μLの陽性コントロール標的DNAを各陽性コントロールキャピラリーに加え、蓋をする。
i.適切なサンプルDNAの3μLを各解放キャピラリーに加え、蓋をする。
j.キャピラリーをライトサイクラーの回転コンベヤーにロードし、製品説明書で推奨された手順を用いてキャピラリーを遠心する。
k.回転コンベヤーをライトサイクラーにロードし蓋を閉じる。
3.PCR反応を実施する
a.以下のパラメーターをライトサイクラーコントロールソフトに入力する:
【0034】

b.適切なサンプル情報をライトサイクラーコントロールソフトに入力する。
c.操作条件をセーブする。
d.“実施”をクリックしてPCR増幅を開始する。
4.データを解析する
a.操作完了時にデータ解析モジュールが自動的に開く。
b.製品説明書に規定された適切な色補正ファイルを開く。
c.ここでライトサイクラーコントロールソフトを用いて適切な定量曲線および融解曲線データを見ることができ、印刷することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、サンプル中の少なくとも2つの顕微鏡的病原体の存在を決定する、核酸に依拠する方法:
サンプルから核酸を単離して単離物を提供する工程であって、前記核酸がDNAを含む、前記工程;
前記単離物の一部を第一の反応容器に入れる工程;
PCR反応混合物を前記第一の反応容器に入れる工程;
第一のプライマー核酸配列および第一のプローブ核酸配列を前記第一の反応容器に入れる工程であって、前記第一のプライマー配列が第一の種の標的配列を増幅する構造を有し、前記第一のプローブ配列が前記第一の種の前記標的配列と結合する構造を有する、前記工程;
内部コントロール核酸配列および内部コントロールプローブ核酸配列を前記第一の反応容器に入れる工程であって、前記内部コントロールが、前記第一のプライマー配列から選択される少なくとも2つのプライマーと結合する構造を有し、前記内部コントロールプローブ配列が、前記内部コントロール配列内の固有の標的配列と結合する構造を有する、前記工程;
前記プライマー核酸配列を用いて前記単離物および前記内部コントロール核酸配列中の核酸配列を増幅させる工程;および
前記第一の反応容器中の増幅された標的核酸配列と結合したプローブ核酸配列を検出する工程であって、標的核酸配列と結合した第一のプローブ核酸配列の存在は第一の種が存在することの指標であり、固有の標的核酸配列と結合した内部コントロールプローブ配列の存在はPCR阻害が存在しないことの指標である、前記工程。
【請求項2】
内部コントロールが以下の配列を含む、請求項1に記載の方法:
5′- GCC TAC CGT GGC AAT GAA GGA CGG CTC AGG ACA ACT TCT GAC TTT TGT CGT GCT GTG CGA CAC GTA AAT TTA GTC CCC CAA TAA ATA ACA GGC CGC TGT TGA GCA CAA GCA GCT AGC GCC GTT TTA GCC ACA TGT ACC CAG TAT ATA TGT CAC GAG AGG ATA GGC GAA CGG ATG CTG ACG AGG CAA CAA AAG CAC AGG TAC TCG AGG GAA GGT TGG AAT GGT CAG GCC GAC AAG AAA TAA CAA TAC AGG ACT TTA AGA ATC AGG GTT CGA CTC C-3′(配列番号:9)。
【請求項3】
内部コントロールプローブ配列が以下である、請求項1に記載の方法:
ICドナープローブ:5′-CGG ATG CTG ACG AGG CAA CA-任意の連結-(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-3′(配列番号:10);および
ICアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団-GCA CAG GTA CTC GAG GGA AGG-任意の結合-3′(配列番号:11)。
【請求項4】
さらに以下の工程を含む、請求項1に記載の方法:
単離物の一部分を第二の反応容器に入れる工程;
PCR反応混合物を第二の反応容器に入れる工程;
第二のプライマー核酸配列および第二のプローブ核酸配列を第二の反応容器に入れる工程であって、前記第二のプライマー配列が第二の種の標的配列を増幅する構造を有し、前記第二のプローブ配列が第二の種の標的配列と結合する構造を有する、前記工程;
内部コントロール核酸配列および内部コントロールプローブ核酸配列を第二の反応容器に入れる工程であって、前記内部コントロールが、前記第一のプライマー配列および前記第二のプライマー配列から選択される少なくとも2つのプライマーと結合する構造を有し、前記内部コントロールプローブ配列が、前記内部コントロール配列中の固有の標的配列と結合する構造を有する、前記工程;
前記プライマー核酸配列を用いて前記単離物および前記内部コントロール核酸配列中の核酸配列を増幅させる工程;および
前記第二の反応容器中の増幅された標的核酸配列と結合したプローブ核酸配列を検出する工程であって、ここで標的核酸配列と結合した第二のプローブ核酸配列の存在は第二の種が存在することの指標であり、固有の標的核酸配列と結合した内部コントロールプローブ配列の存在はPCR阻害が存在しないことの指標である、前記工程。
【請求項5】
第一の種がジアルジア(Giardia)であり、さらに第二の種がクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プライマー核酸配列が以下である、請求項5に記載の方法:
ジアルジアフォワードプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GGA CGG CTC AGG ACA AC-3′(配列番号:5);
ジアルジアリバースプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GGA GTC GAA CCC TGA TTC T-3′(配列番号:6);
クリプトスポリジウムフォワードプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GCC TAC CGT GGC AAT GA-3′(配列番号:1);および
クリプトスポリジウムリバースプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA AAA GTC CTG TAT TGT TAT TTC TTG TC-3′(配列番号:2)。
【請求項7】
ジアルジアのためのプローブ核酸配列が以下であり:
ジアルジアドナープローブ:5′-CCT TGC GCG CAC GTC TTG -任意の連結-(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-3′(配列番号:7);
ジアルジアアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団-CCG GTT GCC AGC GGT GT -任意の結合-3′(配列番号:8);
さらにクリプトスポリジウムのためのプローブ核酸配列が以下である、請求項5に記載の方法:
クリプトスポリジウムドナープローブ:5′-CGG CTA CCA CAT CTA AGG AAG GC-任意の連結-(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-3′(配列番号:3);
クリプトスポリジウムアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団- CAG GCG CGC AAA TTA CCC AAT CCT A-任意の結合-3′(配列番号:4)。
【請求項8】
サンプルが水サンプルまたは大便サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
以下を含む、少なくとも2つの生物学的汚染因子についてサンプルをスクリーニングするキット:
第一の種の第一の標的配列を増幅する構造を有する第一のプライマー対:
第一の標的配列を検出する構造を有する第一のプローブ対;
第二の種の第二の標的配列を増幅する構造を有する第二のプライマー対;
第二の標的配列を検出する構造を有する第二のプローブ対;
第一の末端領域、IC本体および第二の末端領域を含む内部コントロールであって、前記第一の末端領域が、前記第一のプライマー対のフォワードプライマーと相補的な配列および前記第二のプライマー対のフォワードプライマーと相補的な配列を含み、前記第二の末端領域が、前記第一のプライマー対のリバースプライマーと相補的な配列および前記第二のプライマー対のリバースプライマーと相補的な配列を含む、前記内部コントロール;および
前記内部コントロールを検出する構造を有する内部コントロールプローブ対。
【請求項10】
内部コントロールが以下の配列を含む、請求項9に記載のキット:
5'- GCC TAC CGT GGC AAT GAA GGA CGG CTC AGG ACA ACT TCT GAC TTT TGT CGT GCT GTG CGA CAC GTA AAT TTA GTC CCC CAA TAA ATA ACA GGC CGC TGT TGA GCA CAA GCA GCT AGC GCC GTT TTA GCC ACA TGT ACC CAG TAT ATA TGT CAC GAG AGG ATA GGC GAA CGG ATG CTG ACG AGG CAA CAA AAG CAC AGG TAC TCG AGG GAA GGT TGG AAT GGT CAG GCC GAC AAG AAA TAA CAA TAC AGG ACT TTA AGA ATC AGG GTT CGA CTC C-3'(配列番号:6)。
【請求項11】
内部コントロールプローブ対配列が以下である、請求項9に記載のキット:
ICドナープローブ:5′-CGG ATG CTG ACG AGG CAA CA-任意の連結-(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-3′(配列番号:10);および
ICアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団-GCA CAG GTA CTC GAG GGA AGG-任意の結合-3′(配列番号:11)。
【請求項12】
第一の種がクリプトスポリジウムであり、第二の種がジアルジアである、請求項9に記載のキット。
【請求項13】
第一のプライマー対配列が以下であり:
クリプトスポリジウムフォワードプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GCC TAC CGT GGC AAT GA-3′(配列番号:1);
クリプトスポリジウムリバースプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA AAA GTC CTG TAT TGT TAT TTC TTG TC-3′(配列番号:2);
さらに第二のプライマー対配列が以下である、請求項12に記載のキット:
ジアルジアフォワードプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GGA CGG CTC AGG ACA AC-3′(配列番号:5);および
ジアルジアリバースプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GGA GTC GAA CCC TGA TTC T-3′(配列番号:6)。
【請求項14】
第一のプローブ対配列が以下であり:
クリプトスポリジウムドナープローブ:5′-CGG CTA CCA CAT CTA AGG AAG GC-任意の連結-(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-3′(配列番号:3);
クリプトスポリジウムアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団- CAG GCG CGC AAA TTA CCC AAT CCT A-任意の結合-3′(配列番号:4);
さらに第二のプローブ対配列が以下である、請求項12に記載のキット:
ジアルジアドナープローブ:5′-CCT TGC GCG CAC GTC TTG -任意の連結-(緑色)範囲の任意の低発光性発蛍光団-3′(配列番号:7);および
ジアルジアアクセプタープローブ:5′-(赤色)範囲の任意の高発光性発蛍光団-CCG GTT GCC AGC GGT GT -任意の結合-3′(配列番号:8)。
【請求項15】
組成物が凍結乾燥され、さらに第一のマスターミックスおよび第二のマスターミックスとして提供され、前記第一のマスターミックスが、第一のプライマー対、第一のプローブ対、内部コントロールおよび内部コントロールプローブ対を含み、さらに前記第二のマスターミックスが、第二のプライマー対、第二のプローブ対、内部コントロールおよび内部コントロールプローブ対を含む、請求項9に記載のキット。
【請求項16】
第一のマスターミックスが以下を含む、請求項15に記載のキット:
約1xから約5xの範囲のTfi緩衝液;
約3mMから約10mMの範囲のMgCl2
約0.1Mから約0.5Mの範囲のトレハロース;
約0.1mMから約0.5mMの範囲のdATP;
約0.1mMから約0.5mMの範囲のdTTP;
約0.1mMから約0.5mMの範囲のdCTP;
約0.1mMから約0.5mMの範囲のdGTP;
約0.2μMから約0.7μMの範囲のクリプトスポリジウムフォワードプライマー;
約0.2μMから約0.7μMの範囲のクリプトスポリジウムリバースプライマー;
約0.02μMから約0.4μMの範囲のクリプトスポリジウムドナープローブ;
約0.1μMから約0.3μMの範囲のクリプトスポリジウムアクセプタープローブ;
約0.1μMから約0.5μMの範囲のICドナープローブ;
約0.1μMから約0.5μMの範囲のICアクセプタープローブ;
約0.05U/μLから約0.3U/μLの範囲のTFiDNAポリメラーゼ;および
約0.3fg/μLから約0.7fg/μLの範囲のIC。
【請求項17】
第二のマスターミックスが以下を含む、請求項15に記載のキット:
約1xから約5xの範囲のTfi緩衝液;
約3mMから約10mMの範囲のMgCl2
約0.1Mから約0.5Mの範囲のトレハロース;
約0.1mMから約0.5mMの範囲のdATP;
約0.1mMから約0.5mMの範囲のdTTP;
約0.1mMから約0.5mMの範囲のdCTP;
約0.1mMから約0.5mMの範囲のdGTP;
約0.2μMから約1.0μMの範囲のジアルジアフォワードプライマー;
約0.2μMから約1.0μMの範囲のジアルジアリバースプライマー;
約0.1μMから約0.5μMの範囲のジアルジアドナープローブ;
約0.1μMから約0.5μMの範囲のジアルジアアクセプタープローブ;
約0.1μMから約0.5μMの範囲のICドナープローブ;
約0.1μMから約0.5μMの範囲のICアクセプタープローブ;
約0.05U/μLから約0.3U/μLの範囲のTFiDNAポリメラーゼ;および
約0.3fg/μLから約0.7fg/μLの範囲のIC DNA。
【請求項18】
以下を含む組成物:
1つの種の標的配列を増幅する構造を有するプライマー対;
前記標的配列を検出する構造を有するプローブ対;
第一の末端領域、IC本体および第二の末端領域を含む内部コントロールであって、前記第一の末端領域が、前記プライマー対のフォワードプライマーと相補的な配列を含み、前記第二の末端領域が、前記プライマー対のリバースプライマーと相補的な配列を含む、前記内部コントロール;および
前記内部コントロールを検出する構造を有する内部コントロールプローブ対。
【請求項19】
プライマー対が以下のプライマー対から選択される、請求項18に記載の組成物:
クリプトスポリジウムフォワードプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GCC TAC CGT GGC AAT GA-3′(配列番号:1);および
クリプトスポリジウムリバースプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA AAA GTC CTG TAT TGT TAT TTC TTG TC-3′(配列番号:2);並びに
ジアルジアフォワードプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GGA CGG CTC AGG ACA AC-3′(配列番号:5);および
ジアルジアリバースプライマー:5′-AAT AAA TCA TAA GGA GTC GAA CCC TGA TTC T-3′(配列番号:6)。
【請求項20】
内部コントロールが以下の配列を含む、請求項18に記載の組成物:
5'- GCC TAC CGT GGC AAT GAA GGA CGG CTC AGG ACA ACT TCT GAC TTT TGT CGT GCT GTG CGA CAC GTA AAT TTA GTC CCC CAA TAA ATA ACA GGC CGC TGT TGA GCA CAA GCA GCT AGC GCC GTT TTA GCC ACA TGT ACC CAG TAT ATA TGT CAC GAG AGG ATA GGC GAA CGG ATG CTG ACG AGG CAA CAA AAG CAC AGG TAC TCG AGG GAA GGT TGG AAT GGT CAG GCC GAC AAG AAA TAA CAA TAC AGG ACT TTA AGA ATC AGG GTT CGA CTC C-3'(配列番号:6)。

【公表番号】特表2012−528571(P2012−528571A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513362(P2012−513362)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/036959
【国際公開番号】WO2010/138973
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511289367)
【Fターム(参考)】