説明

光および音波を検出するための方法、システムおよび装置

【課題】確実に閃光アーク事象を検出し、望ましくない回路保護装置の有害トリップを低減する閃光アーク検出システムを提供する。
【解決手段】センサは、第1の光源から光線114を受け取り、音波116が入射したとき光118を反射するように構成されている音響検出器106を有するセンサヘッド102を備える。センサはまた、少なくとも1つの光ファイバ104と、少なくとも1つのセンサヘッドおよび少なくとも1つの光ファイバ104内の少なくとも1つの蛍光材料とを備える。少なくとも1つの蛍光材料は、センサ外部の第2の光源から光120を受け取り、第2の光源から受け取った光に応答して可視光204を放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する実施形態は、全体に検出システムに関し、より具体的には光および音波を検出するための方法、システムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の電力回路および開閉装置は、一般に、空気、ガスまたは固体誘電体など絶縁体によって分離された導体を有する。しかし、導体が互いに非常に接近して配置された場合、または導体間の電圧が導体間の絶縁体の絶縁特性を超えた場合、アークが発生する。導体間の絶縁体はイオン化される可能性があり、それにより絶縁体が導電性になり、アークが形成され得る。
【0003】
閃光アークは、二相導体間、相導体と中性導体との間、または相導体とアース点との間の故障による急速なエネルギーの放出よって引き起こされる。閃光アーク温度は20,000℃に達し、またはそれを超えることがあり、それにより導体および隣接する機器を気化させることがある。さらに、閃光アークは、導体および隣接する機器を損傷するのに十分な、熱、強烈な光線、圧力波、および/または音波の形態の著しいエネルギーを放出することがある。しかし、閃光アークを生成する故障の電流レベルは、一般に短絡の電流レベルよりも低いので、回路遮断器がアーク故障状態に対処するように特に設計されていない場合、回路遮断器は一般的にトリップせず、または遅延トリップを示さないことになる。個人の保護服および装備の使用を義務付けることにより、閃光アーク問題を規制する政府機関および基準があるが、閃光アークを除去する規定によって確立された装置はない。
【0004】
ヒューズおよび回路遮断器などの標準的回路保護装置は、一般に閃光アークを低減するのに十分迅速には反応しない。十分に迅速な反応を示す1つの既知の回路保護装置は、電気「クロウバー(crowbar)」であり、それは、意図的に電気的「短絡」を生成することにより、機械的および/または電気機械的工程を利用して、電気エネルギーを閃光アーク点から迂回させる。そのような意図的短絡故障は、このときヒューズまたは回路遮断器をトリップさせることにより除去される。しかし、クロウバーを使用することによって生成される意図的短絡故障により、著しい水準の電流が隣接する電気機器を通って流れる可能性があり、それにより、やはり装置に損傷を与える可能性がある。
【0005】
光センサが、閃光アーク中に放出される光があることを検出するために使用されることがある。しかし、そのようなセンサはしばしば低い光量に感度があり、それらがアークではない閃光をも検出し、回路保護装置の「有害トリップ(nuisance trip)」を引き起す。例えば、典型的な閃光アーク事象は、閃光アーク事象から3から4フィートの距離で100,000ルクス程度の光束を有する光を生成することができるが、一方、既知の光センサは一般に700ルクスまたはそれ未満で飽和する。トリップ中に回路遮断器から放出される光、空間照明による光、または直射日光による光は、光センサが誤って閃光アーク事象を検出する原因になることがある。少なくともいくつかの既知の閃光アーク検出システムは、回路遮断器の中断中に放出される光が、例えば光センサを十分に飽和させないように配置された特定の放出パターン、または光センサを使用する。しかし、回路遮断器中断中に放出される光の量を減少させることにより、回路遮断器の性能に悪影響を与えることがある。したがって、確実に閃光アーク事象を検出し、望ましくない回路保護装置の有害トリップを低減する閃光アーク検出システムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0328824号明細書
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、第1の光源から光を受け取り、音波が入射したとき光を反射するように構成されている音響検出器を有するセンサヘッドを備えるセンサが提供される。センサはまた、少なくとも1つの光ファイバと、少なくとも1つのセンサヘッドおよび少なくとも1つの光ファイバ内の少なくとも1つの蛍光材料とを備える。少なくとも1つの蛍光材料は、センサ外部の第2の光源から光を受け取り、第2の光源から受け取った光に応答して可視光を放出するように構成されている。
【0008】
別の実施形態では、センサを含む検出システムが提供される。センサは、第1の光源から光を受け取り、音波が入射したとき光を反射するように構成されている音響検出器を有するセンサヘッドを備える。センサはまた、少なくとも1つの光ファイバと、少なくとも1つのセンサヘッドおよび少なくとも1つの光ファイバ内の少なくとも1つの蛍光材料とを備える。少なくとも1つの蛍光材料は、センサ外部の第2の光源から光を受け取り、第2の光源から受け取った光に応答して可視光を放出するように構成されている。検出システムはまた、音響検出器によって、反射された光を表す第1の測定値を受け取り、少なくとも1つの蛍光材料から放出された可視光を表す第2の測定値を受け取り、受け取った反射光および可視光に基づいて、閃光アークの発生を決定するようにプログラムされたプロセッサを有する信号処理装置を備える。
【0009】
別の実施形態では、少なくとも1つのセンサを使用して閃光アークを検出する方法が提供され、その方法には少なくとも1つのセンサ内に配置された音響検出器によって少なくとも1つの音波を受け取るステップと、少なくとも1つの音波によって生じた振動により、音響検出器によって光を反射するステップとを含む。その方法はまた、少なくとも1つのセンサ外部の光源からの光を受け取るステップと、外部光源から受け取った光を可視光に変換するステップと、反射光および可視光に基づいて、閃光アークの発生を検出するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】閃光アークを検出する際に使用する例示的センサの横断面図である。
【図2】閃光アークを検出する際に使用する別の例示的センサの横断面図である。
【図3】閃光アークを検出する際に使用する例示的検出システムのブロック図である。
【図4】例示的電力システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、閃光アークを検出するために使用され得る例示的センサ100の横断面図である。例示的実施形態では、センサ100はセンサヘッド102および少なくとも1つの光ファイバ104を含む。センサヘッド102は、振動板106などの音響検出器106を含み、振動板106は、ファイバコア110およびファイバシース112を有する光ファイバ104の下流端部108近傍に配置される。光線114は、光ファイバ104を通って、すなわちファイバコア110を通って下流に伝送され、振動板106の方に向かう。例えば閃光アークによって生成された音波116および/または圧力波により、振動板106が振動し、光線114の反射118(以下に「反射光118」と称する)がファイバコア110を通って上流に伝送される。振動板106が振動することによって、反射光118の強度、位相、偏光および/または周波数など、反射光118の1つまたは複数の特性が、光線114の特性とは異なるものになる。
【0012】
本明細書で使用されると、「下流(downstream)」という用語は光ファイバ104の下流端108に向かう方向、および実質的に光ファイバ114に平行の方向を指す。本明細書で使用されると、「上流(upstream)」という用語は光ファイバ104の下流端108から離れる方向、および実質的に光ファイバ104に平行の方向を指す。さらに本明細書で使用されると、「閃光アーク(arc flash)」は2つの電気導体間の故障によるエネルギーの急速な放出を指す。急速なエネルギーの放出により、音波116および光120が、センサ100の外部環境で、例えば故障の近傍で生成される。
【0013】
別の実施形態では、センサ100は2つ以上の光ファイバ104を含む。そのような実施形態では、1つの光ファイバ104が光線114を振動板106に伝送し、別の光ファイバ104が、本明細書に十分に説明するように、処理および/または分析のために反射光118を上流に伝送する。
【0014】
例示的実施形態では、振動板106は薄膜でできた、細長い位置に配置された不透明材料を含む。振動板106は、音波116および/または他の適切な圧力波が入射したとき、振動する。作動中に振動板106を保護するために、振動板106は保護用スリーブ122、および音波116が振動板106に到達することを可能にする保護用スクリーン124内に囲まれている。
【0015】
ファイバホルダ126が光ファイバ104の周りに配置され、光ファイバ104に結合されている。ファイバホルダ126は、閃光アークから生じる光をファイバコア110内に放散するように構成された半透明領域128を含む。例示的実施形態では、半透明領域128は蛍光材料で被覆され、および/または蛍光材料が領域128内にある。したがって、例示的実施形態では、半透明領域128の蛍光材料は、領域128に入る紫外線120などの光120を入射光120とは異なるスペクトルまたは波長の可視光に変換することができる。具体的には、蛍光材料は半透明領域128に入る紫外線120を吸収し、1つまたは複数の可視波長の光(以下「可視光(visible light)」)をファイバコア110に向かって、またはファイバコア110内部に放出する。
【0016】
一実施形態では、1つまたは複数の開口130が半透明領域128内に画定されて、閃光アークからの光検出を高める。一実施形態では、開口130は直径約0.5mmから約2mmである。別法として、開口130は、センサ100が本明細書に記載するように機能することができる任意の適切な直径を有することができる。閃光アークによって生成された光120は開口130を通ってファイバコア110の方に向かって送られる。別の実施形態では、保護用スクリーン124および振動板106が、ある量の光がファイバコア110に向けて送られることを可能にする。
【0017】
作動中、ファイバコア110は光線114を振動板106の方に向けて送る。閃光アークが発生した場合、振動板106は、閃光アークから生成される音波116の強度および周波数に基づいて振動する。振動に基づいて、固有のパターンの光が振動板106から反射される。光ファイバ104の下流端と振動板106との間の距離は、振動板106から反射された光が著しい伝送損失なしにファイバコア110によって受け取られるように最適化される。さらに、閃光アークによって生成された光120が半透明領域128によって吸収され、領域128の蛍光材料によって可視光に変換される。半透明領域128は可視光をファイバコア110の方へ放出する。振動板106によって反射された光および半透明領域128の蛍光材料から放出された可視光は処理および/または分析されて、本明細書に十分説明するように、閃光アークの発生を検出する。音波116および光120を感知する、そのような統合された手法は、誤認警報を最小限にし、初期の閃光アークを検出することを可能にする。
【0018】
図2は、閃光アークを検出するために使用され得る例示的センサ200の横断面図である。別段指定しない限り、センサ200はセンサ100(図1に示す)に類似し、類似の構成要素は図1に使用した同じ参照符号で図2に符号を付けている。例示的実施形態では、センサ200は第1の光ファイバ104および第2の光ファイバ202を含む。第1の光ファイバ104は光線114を振動板106に伝送し、閃光アークによって生成された音波116を検出する際に使用するために、振動板106によって反射された光118を伝送する。第2の光ファイバ202は振動板106の上流でファイバホルダ126に結合されている。さらに、第2の光ファイバ202は蛍光材料で被覆され、および/または蛍光材料がファイバ202内にある。したがって、第2の光ファイバ202は、閃光アークによって生成された紫外線120などの光120を吸収し、可視光204を放出する。可視光204および振動板106によって反射された光118は処理および/または分析されて、本明細書で十分に説明するように、閃光アークが発生したかどうかを決定する。別法として、センサ200は第2の光ファイバ202を含まず、第1の光ファイバ104が上記に記載のような蛍光材料を含む。
【0019】
例示的実施形態では、半透明領域128は蛍光材料を含まず、領域128よりもむしろ第2の光ファイバ202が閃光アークによって生成された光に応答して可視光204を放出するようになる。別法として、第2の光ファイバ202および半透明領域128の両方が1つまたは複数の蛍光材料を含み、ファイバ202および領域128が閃光アークによって生成された光120に応答して可視光204を放出するようになる。第2の光ファイバ202および半透明領域128から放出された可視光204は、本明細書で十分に説明するように、処理および/または分析される。
【0020】
図3は、開閉装置および/または任意の他の電気回路あるいは電力システム(いずれも図示せず)内部の閃光アークを検出するために使用され得る例示的検出システム300のブロック図である。例示的実施形態では、検出システム300は、信号処理装置302およびセンサヘッド102に結合された光ファイバ104を含むセンサ100を有する。検出システム300をセンサ100に関連して説明するが、検出システム300はセンサ100ではなくセンサ200を含むことができ、またはセンサ100に加えてセンサ200を含むことができる。
【0021】
信号処理装置302は、アイソレータ306およびファイバスプリッタ308によって光ファイバ104に結合された光源304を含む。一実施形態では、光源304は光放出ダイオードを含む。別の実施形態では、光源304はほぼ赤外線波長に近い波長で光を放出するレーザダイオードを含む。例示的実施形態では、アイソレータ306は、反射光118および/または可視光204が光源304に入ることを防止する。
【0022】
例示的実施形態では、信号処理装置302は、光線114を下流へ光源304からセンサヘッド102まで向けて送り、反射光118および可視光204を上流へ、信号処理装置302内部の第1の光フィルタ310および第2の光フィルタ312まで向けて送るファイバスプリッタ308を含む。一実施形態では、ファイバ結合器314はファイバスプリッタ308に結合されている。そのような実施形態では、ファイバ結合器314が反射光118および可視光204を第1の光フィルタ310および第2の光フィルタ312に向けて送る。
【0023】
第1の光フィルタ310および第2の光フィルタ312は、所定の波長の光が第1の光検出器316および第2の光検出器318に伝送されることを可能にし、残りの波長の光をフィルタにより除去し、または遮断する。一実施形態では、第1の光フィルタ310および第2の光フィルタ312は、それぞれ帯域通過フィルタを含む。別法として、第1の光フィルタ310および/または第2の光フィルタ312は、信号処理装置302が本明細書で説明するように機能することができるようにする任意の他のフィルタを含むことができる。例示的実施形態では、第1の光フィルタ310が、反射光118の期待の範囲の波長より上、またはそれ未満である波長をフィルタにより除去する。したがって、可視光204は第1の光フィルタ310によって除去され、反射光118はフィルタ310から出力される。第2の光フィルタ312が、可視光204の期待の範囲の波長より上、またはそれ未満である波長をフィルタにより除去する。したがって、反射光118が第2の光フィルタ312によって除去され、可視光204がフィルタ312から出力される。
【0024】
第1の光検出器316は第1の光フィルタ310からの反射光118を受け取り、第2の光検出器318は第2の光フィルタ312からの可視光204を受け取る。第1の光検出器316および第2の光検出器318は、入射光の強度および波長に基づいて、比例電圧信号または代表的な電圧信号を生成する。
【0025】
例示的実施形態では、信号処理装置302は第1の光検出器316および第2の光検出器318からの電圧信号を受け取るプロセッサ320を含む。本明細書で十分に説明するように、プロセッサ320は電圧信号を分析し、プロセッサ320が、閃光アークが発生したと決定した場合、アーク故障信号322を生成する。
【0026】
プロセッサ320には、1つまたは複数のシステム、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能な論理回路(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および本明細書に記載する機能を実行することができる任意の他の回路が含まれる。上記の例は例示に過ぎず、したがって「プロセッサ」という用語の定義および/または意味を制限する意図はまったくない。
【0027】
例示的実施形態では、プロセッサ320は記憶装置(図示せず)に結合され、または記憶装置を含む。記憶装置には、制限するのではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、フラッシュドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、および/またはプロセッサ320が、指示および/またはデータを記憶し、回復しおよび/または実行することを可能にする任意の適切なメモリなどのコンピュータ読み取り可能媒体が含まれる。プロセッサ320は、メモリデバイスから、プロセッサ320が本明細書に記載するステップおよび機能を実施することができる命令を受け取る。
【0028】
保護装置324はプロセッサ320に結合されて、検出した閃光アークを低減する。一実施形態では、保護装置324は、アーク故障信号322などの信号を受信すると、「トリップする」または活動化するように構成されたリレーを含む。保護装置324が活動化すると、電流は、検出されたアーク故障近傍の導体(図示せず)を通って流れることが防止される。
【0029】
作動中、音波116および光120は閃光アー326クから放出され、センサ100によって検出される。より具体的には、光120は半透明領域128、第1の光ファイバ104および/または第2の光ファイバ202の蛍光材料によって吸収され、領域128、ファイバ104および/またはファイバ202から放出された可視光204は信号処理装置302に伝送される。さらに、光源304は光線114を振動板106(図1に示す)に伝送する。音波116によって、振動板106が振動し、光線114が反射光118として振動板106によって反射される。例示的実施形態では、反射光118は信号処理装置302に伝送される。
【0030】
反射光118および/または可視光204は少なくとも1つの光ファイバ104を通って信号処理装置302に伝送される。例示的実施形態では、反射光118は第1の光ファイバ104を通って信号処理装置302に伝送され、可視光204は第2の光ファイバ202を通って信号処理装置302に伝送される。別法として、反射光118および/または可視光204は、任意の適切な数の光ファイバ104を通って信号処理装置302に伝送されることができる。
【0031】
反射光118および可視光204が信号処理装置302によって受け取られると、ファイバ結合器314が反射光118を第1の光フィルタ310に向けて送り、可視光204を第2の光フィルタ312に向けて送る。フィルタを通った反射光118は第1の光フィルタ310から出力され、第1の光検出器316によって検出され、および/または測定される。測定または検出された反射光118(以下に「反射光測定値(reflected light measurement)」と称する)を表す第1の電圧信号は、第1の光検出器316からプロセッサ320に伝送される。さらに、フィルタを通った可視光204は第2の光フィルタ312から出力され、第2の光検出器318によって検出および/または測定される。測定または検出された可視光204(以下に「可視光測定値(visible light measurement)」と称する)を表す第2の電圧信号は、第2の光検出器318からプロセッサ320に伝送される。
【0032】
プロセッサ320は第1の光検出器316および第2の光検出器318からの信号を分析し、閃光アーク326を検出すると、アーク故障信号322を生成する。より具体的には、プロセッサ320は反射光測定値を所定の第1の閾値、または反射光閾値と比較して、検出された音波116が閃光アークによって生成されたのかどうかを決定する。プロセッサ320は可視光測定値を所定の第2の閾値、または可視光閾値と比較して、検出された光120が閃光アークによって生成されたのかどうかを決定する。さらに、プロセッサ320は可視光測定値が受け取られた時間と反射光測定値が受け取られた時間の間の差異(以下に「タイミングギャップ(timing gap)」と称する)を決定する。プロセッサ320は可視光測定値と反射光測定値の間のタイミングギャップを所定のタイミング範囲またはタイミングウィンドウと比較して、受け取った信号が閃光アークによって生成されたかどうかを決定する。例示的実施形態では、タイミングウィンドウとは、閃光アークが発生することを示す可視光測定値が受け取られた後で、反射光測定値が受け取られると予想される(例えば、歴史的データ、実験データまたは他の適切なデータに基づいて)所定の時限である。一実施形態では、タイミングウィンドウは約500マイクロ秒と約2ミリ秒の間である。別法として、タイミングウィンドウは、検出システム300が本明細書に記載するように機能することができる任意の適切な時限であってよい。
【0033】
例示的実施形態では、反射光測定値が反射光閾値に等しいまたは反射光閾値を超えるならば、可視光測定値は可視光閾値に等しいまたは可視光閾値を超え、および/またはタイミングギャップがタイミングウィンドウの範囲内であるならば、プロセッサ320は、閃光アークが発生したこと示すアーク故障信号322を生成する。保護装置324はアーク故障信号322に基づいて活動化され、閃光アークを低減するために電力を中断するように構成されている。一実施形態では、アーク故障信号322は遠隔システム(図示せず)に伝送されて警報を生成するが、その目的は、誤りを報告するため、閃光アーク326の関連するデータを記憶するため、使用者に表示するため、および/または任意の所望の目的のためである。
【0034】
別の実施形態では、ファイバ結合器314および/またはファイバスプリッタ308は省略することができる。そのような実施形態では、光線114、反射光118および/または可視光204は個別の光ファイバ104を通って伝達され得る。別の実施形態では、ファイバ結合器314および/またはファイバスプリッタ308は、光線114を振動板106に伝送し、反射光118および可視光204を第1の光フィルタ310および第2の光フィルタ312に伝送する単一のファイバ結合器314に取り換えることができる。
【0035】
図4は、例示的電力システム400のブロック図である。例示的実施形態では、電力システム400は、検出システム300、複数の検出ゾーン402および各検出ゾーン402内に配置された少なくとも1つの回路保護装置404を含む。
【0036】
例示的実施形態では、回路保護装置404は、少なくとも1つの導体406またはバスによって一体に結合されている。別法として、1つまたは複数の回路保護装置404が、他の回路保護装置404からの個別の導体406またはバスに結合されることができる。例示的実施形態では、回路保護装置404は、プロセッサ320からのアーク故障信号322などの制御信号を受け取ると、導体406の出力端部410から入力端部408を電気的に結合し、または切り離す少なくとも1つの回路遮断器を含む。別法として、回路保護装置404は、電力システム400が本明細書に記載するように機能することを可能にするリレーまたは任意の他の保護装置を含む。
【0037】
例示的実施形態では、検出システム300は、少なくとも1つの検出ゾーン402内部、および少なくとも1つの回路保護装置404近傍に配置された少なくとも1つの光ファイバ104を含む。さらに、光ファイバ104は図1から3に関連して本明細書で十分に説明するように、少なくとも1つの蛍光材料を含む。例示的実施形態では、光ファイバ104が検出ゾーン402内で生成される1つまたは複数の閃光アークを検出するように、光ファイバ104は各検出ゾーン402内に配置される。
【0038】
例示的実施形態では、光ファイバ104は各検出ゾーン402内に異なる色の蛍光材料を含み、閃光アークによって生成された光を吸収した後、光ファイバ104が各検出ゾーン402内に異なる色の可視光204を放出するようになる。本明細書で使用されると、「色(color)」という用語は、所定の範囲の波長または可視光のスペクトルを指す。別法として、検出システム300は各検出ゾーン402ごとに個別の光ファイバ104を含むことができ、各光ファイバ104には異なる色の蛍光材料が含まれる。
【0039】
閃光アークが検出ゾーン402内に発生した場合、検出ゾーン402に関連する光ファイバ104が閃光アークからの光を吸収する。検出ゾーン402内の光ファイバ104の蛍光材料は、蛍光材料に付随する色で可視光204を放出し(図2参照)、可視光204を信号処理装置302に伝送する(図3参照)。信号処理装置302は、図3を参照して上記に記載のように、可視光204から閃光アークの発生を決定し、検出する。さらに、信号処理装置302は受け取った可視光204の色(すなわち波長および/または周波数)を分析する。より具体的には、例示的実施形態では、信号処理装置302は各検出ゾーン402に対して個別の光フィルタ310および個別の光検出器316を含む。各光フィルタ310は、フィルタ310が蛍光材料に付随する可視光204の色だけが光検出器316を通過することを可能にするように、各検出ゾーン402ごとに使用される蛍光材料の色に調整されている。各検出ゾーン402に付随する光検出器316は可視光測定値(受け取った光の色が表すデータを含む)をプロセッサ320に伝送する。
【0040】
例示的実施形態では、プロセッサ320は、探索表またはメモリ装置(図示せず)内部の別のデータ構造内に記憶されたデータを参照して、閃光アークから受け取った光の色を検出ゾーン402に関連付けて、閃光アークが発生した位置(すなわち検出ゾーン402)を決定する。プロセッサ320は閃光アークが発生した決定済みの位置(すなわち決定された検出ゾーン402)に付随する所定の可視光閾値を選択する。例示的実施形態では、各検出ゾーン402に対する可視光閾値は、互いの検出ゾーン402の可視光閾値とは異なる。プロセッサ320は光検出器316から受け取った可視光測定値を検出ゾーン402に付随する可視光閾値に比較して、上記に記載の類似の方法で、受け取った光が閃光アークを示すかどうかを決定する。検出システム300はアーク故障信号322を回路保護装置404、または検出された閃光アークに関連する検出ゾーン402内部の装置404に伝送して、閃光アークを低減する。したがって、複数の検出ゾーン402および回路保護装置404は検出システム300によって効率的に監視されて、閃光アークの発生、時間および位置を決定する。
【0041】
本明細書に記載するシステムおよび方法の技術的効果には、(a)少なくとも1つのセンサ内に配置された振動板によって、少なくとも1つの音波を受け取るステップと、(b)少なくとも1つの音波によって生じた振動により、振動板によって光を反射するステップと、(c)少なくとも1つのセンサ外部の光源から光を受け取るステップと、(d)外部光源から受け取った光を可視光に変換するステップと、(e)反射光および可視光に基づいて閃光アークの発生を検出するステップとの少なくとも1つが含まれる。
【0042】
光および音波を検出する際に使用する方法、システムおよび装置の例示的実施形態が、上記に詳しく説明されている。方法、システムおよび装置は、本明細書に記載する具体的な実施形態に限定されず、むしろ、方法の作用および/またはシステムの構成要素および/または装置が、本明細書に記載する他の作用および/または構成要素から独立して、別々に利用されてもよい。さらに記載した作用および/または構成要素もまた、他のシステム、方法および/または装置において規定され、またはそれらと併せて使用されてもよく、本明細書に記載するようなシステム、方法および装置のみと共に実施することに限定されない。
【0043】
本発明は、例示的電力システム環境に関連して説明するが、本発明の実施形態は、多くの他の一般の目的または特別な目的のシステム環境または構成で作動可能である。本明細書で説明したシステム環境は、本発明の任意の態様の使用または機能の範囲に関して、なんら制限を提示すると意図するものではない。さらに、本明細書で説明するシステム環境は、例示的な作動環境で説明した任意の1つの構成要素または構成要素の組合せに関連して、任意の独立性または必要性を有すると解釈されるべきである。
【0044】
本書は、最良の形態を含めて本発明を開示するために、また任意の装置またはシステムを作成および使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、当業者が本発明を実行することを可能にするために、例を使用している。本発明の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって規定され、当業者に思い付く他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言とは異ならない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言とは実質的に差のない均等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0045】
100 センサ
102 センサヘッド
104 光ファイバ
106 音響検出器
108 下流端部
110 ファイバコア
112 ファイバシース
114 光線
116 音波
118 反射光
120 光
122 保護用スリーブ
124 保護用スクリーン
126 ファイバホルダ
128 半透明領域
130 開口
200 センサ
202 第2の光ファイバ
204 可視光
300 検出システム
302 信号処理装置
304 光源
306 アイソレータ
308 ファイバスプリッタ
310 第1の光フィルタ
312 第2の光フィルタ
314 ファイバ結合器
316 第1の光検出器
318 第2の光検出器
320 プロセッサ
322 アーク故障信号
324 保護装置
326 閃光アーク
400 電力システム
402 検出ゾーン
404 回路保護装置
406 導体
408 入力端部
410 出力端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源(304)から光を受け取り(114)、音波(116)が入射したとき光を反射する(118)ように構成されている音響検出器(106)を有するセンサヘッド(102)と、
少なくとも1つの光ファイバ(104)と、
少なくとも1つの前記センサヘッドおよび前記少なくとも1つの光ファイバ内の少なくとも1つの蛍光材料であって、前記センサ外部の第2の光源(326)から光を受け取り(120)、前記第2の光源から受け取った光に応答して可視光(204)を放出するように構成されている少なくとも1つの蛍光材料と
を備えるセンサ(100)。
【請求項2】
前記センサヘッド(102)が前記音響検出器(106)近傍に半透明領域(128)を備える、請求項1記載のセンサ(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの蛍光材料が前記半透明領域(128)内にある、請求項2記載のセンサ(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光ファイバ(104)が、前記第1の光源(304)からの光(114)および前記音響検出器によって反射された光(118)を伝送するための第1の光ファイバと、前記少なくとも1つの蛍光材料から放出された前記可視光(204)を伝送するための第2の光ファイバ(202)とを備える、請求項1記載のセンサ(100)。
【請求項5】
前記音響検出器(106)が、音波(116)が入射したとき振動する振動板であり、前記振動により、前記第1の光源(304)からの光(114)が前記振動板によって反射される、請求項1記載のセンサ(100)。
【請求項6】
第1の光源(304)から光を受け取り(114)、音波(116)が入射したとき光を反射する(118)ように構成されている音響検出器(106)を有するセンサヘッド(102)、
少なくとも1つの光ファイバ(104)、および
少なくとも1つの前記センサヘッドおよび前記少なくとも1つの光ファイバ内の少なくとも1つの蛍光材料であって、前記センサ外部の第2の光源(326)から光を受け取り(120)、前記第2の光源から受け取った光に応答して可視光(204)を放出するように構成されている少なくとも1つの蛍光材料
を備えるセンサ(100)と、
前記音響検出器によって前記反射された光を表す第1の測定値を受け取り、前記少なくとも1つの蛍光材料から放出された前記可視光を表す第2の測定値を受け取り、受け取った前記反射光および前記可視光に基づいて、閃光アークの発生を決定するようにプログラムされたプロセッサ(320)を有する信号処理装置(302)と
を備える、検出システム(300)。
【請求項7】
前記プロセッサ(320)が前記第1の測定値を反射光閾値と比較し、前記第2の測定値を可視光閾値と比較するようにさらにプログラムされている、請求項6記載の検出システム(300)。
【請求項8】
前記プロセッサ(320)が、前記プロセッサが前記第1の測定値を受け取る時間と前記プロセッサが前記第2の測定値を受け取る時間との間の差異を表すタイミングギャップを計算するようにさらにプログラムされている、請求項7記載の検出システム(300)。
【請求項9】
前記プロセッサ(320)が、
前記反射光閾値以上の前記第1の測定値、
前記可視光閾値以上の前記第2の測定値、および
所定のタイミングウィンドウ内のタイミングギャップ
の少なくとも1つを決定したとき閃光アーク(326)の発生を決定するようにプログラムされている、請求項8記載の検出システム(300)。
【請求項10】
前記プロセッサ(320)が、前記閃光アークが発生したと決定したとき前記閃光アーク(326)を低減する保護装置(404)を活動化するようにさらにプログラムされている、請求項9記載の検出システム(300)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−242383(P2012−242383A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−109002(P2012−109002)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】