説明

光アイソレータ、半透過反射式液晶表示装置

【課題】半透過反射式液晶表示をする上で光損失の低下を防ぐことが可能な光アイソレータを提供する。
【解決手段】無偏光成分からなる照明光が入射される第1の入射端面31aと、第1の入射端面31aの背面に形成され、特定方向の直線偏光成分の光が入射される第2の入射端面31bとを有するガラス基板31と、ガラス基板31内に配列される偏光子32とを備え、偏光子32は、金属性の細線の両端を連結させた環状構造体41と、環状構造体41から第2の入射端面31bに向けて延長されてその先端部43が特定方向と略平行に折り曲げられた1本以上の金属細線42とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外光を利用する反射表示と内蔵バックライトからの照射光を利用する透過表示とを選択実行可能な半透過反射式液晶表示をする上で適用される光アイソレータ並びにこれを用いた半透過反射式液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を初めとしたモバイル通信端末や携帯型ゲーム機のディスプレイとして、液晶表示装置が多く採用されている。特にこのような携帯電話等のディスプレイとしては、低消費電力であることが求められため、外光を利用する反射表示と内蔵バックライトからの照射光を利用する透過表示を選択実行可能な半透過反射式液晶表示装置が有利である。
【0003】
この半透過反射式液晶表示装置は、自然光等の外光が充分に得られる環境下ではその外光を利用した反射表示を行い、十分な明るさの外光が得られない環境下ではバックライトからの照明光による透過表示を行う。
【0004】
この半透過反射型液晶表示装置の従来例(例えば、特許文献1参照)について図面を用いて説明する。図5は、従来の半透過反射型液晶表示装置の断面図である。図5に示すように、液晶素子130と、液晶素子130の前側に設けられた散乱層115、液晶ポリマー位相差板112、第1の偏光板111と、液晶素子130の後側に設けられた、1/4波長位相差板114、第2の偏光板117、バックライト116により構成される。
【0005】
液晶素子130は、アルミニウムからなる厚さ0.15μmの半透過反射層107と、透明電極であるITO厚さ2μmの保護膜108と、透明電極であるITO(Indium Tin Oxide, インジウムスズ酸化物)からなる厚さ0.2μmの第1の電極103とを形成した厚さ0.5mmのガラス板からなる第1の基板101と、ITOからなる厚さ0.2μmの第2の電極104が形成されている厚さ0.5mmのガラス板からなる第2の基板102と、第1の基板101と第2の基板102を貼り合わせるシール材105と、第1の基板101と第2の基板102とに挟持されているネマチック液晶からなる液晶層106とで形成してある。
【0006】
この内在反射方式の半透過反射型液晶表示装置は、液晶ポリマー位相差板112のツイスト角と、液晶層106の複屈折性を表すΔnとセルギャップdとの積であるΔnd値、並びに配置角度を最適化している。そして、この液晶素子130のツイスト角と液晶ポリマー位相差板のツイスト角に差を設け、かつ液晶素子のΔnd値と液晶ポリマーのΔnd値に差を設けることにより、液晶ポリマー位相差板112と液晶層106を合成した複屈折性が、緑色の光の波長の約1/4波長相当になるように設定してある。
【0007】
反射表示において、電圧無印加状態のオフ状態では、入射光は半透過反射層107において円偏光となり、再度、液晶層106と液晶ポリマー位相差板112を透過して、入射光と直交した直線偏光となり、黒表示が得られる。電圧を印加したオン状態で、液晶素子のΔnd値が減少し、液晶ポリマー位相差板112と液晶層106を合成した複屈折性がほぼゼロになるため、第1の偏光板111を透過した入射光は、直線偏光のまま、半透過反射層107に到達し、そのまま入射光と平行な直線偏光で、第1の偏光板111に戻ってくるため、白表示となり、良好なコントラストの反射表示が可能である。
【0008】
また、透過表示においては、バックライト116から出た光は、第2の偏光板117と1/4波長位相差板114により円偏光となる。この円偏光の回転方向が、第1の偏光板111から入射し、液晶ポリマー位相差板112と液晶素子130を透過した円偏光と逆回転になるように配置してあるので、電圧を印加していないオフ状態では、液晶ポリマー位相差板112を透過した光は第1の偏光板111の透過軸に直交した直線偏光に戻り、透過光は第1の偏光板111に吸収され、黒表示となる。電圧を印加したオン状態では、液晶ポリマー位相差板112と液晶層106を合成した複屈折性がほぼセロになるため、1/4波長位相差板114 から出た円偏光のままで第1の偏光板111へ到達し、白表示となる。
【特許文献1】特開2003−172925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来における半透過反射型液晶表示装置では、半透過反射層107の光損失が大きく、光効率が低下してしまうという問題点があった。即ち、従来においては、この半透過反射層107としていわゆるハーフミラー類似の光学素子で構成していることから、内蔵バックライトからの照射光が半透過反射層107を透過する上で透過効率が大きく減少してしまい、また外光を反射させる上での反射効率が大きく減少してしまう。即ち従来では、仮に半透過反射層107の透過率を50%と設定した場合には、その反射率も50%となるため、どうしても光損失の低下を免れることができなかったが、透過表示、反射表示をそれぞれ行う上で透過率、反射率の合計を100%以上とすることができれば、これら光損失を防ぐことが可能となるものと考えられる。
【0010】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、外光を利用する反射表示と内蔵バックライトからの照射光を利用する透過表示とを選択実行可能な半透過反射式液晶表示をする上で光損失の低下を防ぐことが可能な光アイソレータ並びにこれを用いた半透過反射式液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明を適用した光アイソレータは、上述した課題を解決するために、無偏光成分からなる照明光が入射される第1の入射端面と、上記第1の入射端面の背面に形成され、特定方向の直線偏光成分の光が入射される第2の入射端面とを有するガラス基板と、上記ガラス基板内に配列される偏光子とを備え、上記偏光子は、金属性の細線の両端を連結させた環状構造体と、上記環状構造体から第2の入射端面に向けて延長されてその先端部が上記特定方向と略平行に折り曲げられた1本以上の金属細線とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明を適用した半透過反射式液晶表示装置は、上述した課題を解決するために、液晶素子とバックライトを備え、上記液晶素子に対して前側から入射する外光を利用する反射表示と、上記液晶素子の後側に配置されたバックライトからの照明光を利用する透過表示とを選択実行可能な半透過反射式液晶表示装置において、互いに対向配置された透明基板間に液晶層を封入した液晶素子と、上記液晶素子の前側に設置された第1の偏光板と、上記液晶素子の後側に設置され、上記第1の偏光板の透過軸の方向に対して直交方向に透過軸を有する第2の偏光板と、上記第2の偏光板と、上記バックライトの間に設置された光アイソレータとを備え、上記光アイソレータは、無偏光成分からなる上記照明光が入射される第1の入射端面と、上記第1の入射端面の背面に形成され、上記第2の偏光板における透過軸と略平行方向の直線偏光成分の光が入射される第2の入射端面とを有するガラス基板と、上記ガラス基板内に配列される偏光子とを備え、上記偏光子は、金属性の細線の両端を連結させた環状構造体と、上記環状構造体から第2の入射端面に向けて延長されてその先端部が上記特定方向と略平行に折り曲げられた1本以上の金属細線とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述した構成からなる本発明では、透過表示を行う上でバックライトからの照明光のうち、各偏光成分の光を効率よくA方向の直線偏光成分に変換することができ、また反射表示を行う上で、第2の偏光板からの光を高効率に反射させることが可能となる。このため、この光透過反射手段としてこの光アイソレータを用いることにより、光損失を抑えることができ、透過表示、反射表示をそれぞれ行う上で透過率、反射率の合計を100%以上とすることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、携帯電話を初めとしたモバイル通信端末や携帯型ゲーム機のディスプレイに適用される半透過反射式液晶表示装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本発明は、例えば図1に示すような構成の半透過反射式液晶表示装置1に適用される。
【0016】
この半透過反射式液晶表示装置1は、液晶素子2とバックライト3を備え、液晶素子2に対して前側から入射する外光を利用する反射表示と、液晶素子の後側に配置されたバックライト3からの照明光を利用する透過表示とを選択実行可能とされている。この半透過反射式液晶表示装置1は、互いに対向配置された透明基板11間に液晶層12を封入した液晶素子2と、液晶素子2の前側に設置された第1の偏光板14と、液晶素子2の後側に設置された第2の偏光板15と、第2の偏光板15とバックライト3の間に設置された光アイソレータ17とを備えている。
【0017】
液晶素子2は、ガラス等で構成された2枚の透明な透明基板11を互いに対向配置させ、その間隙に、例えば、ツイステッドネマチック(TN)液晶を封入した液晶層12を設けた構成となっている。透明基板11は、それぞれTFT基板11aと、対向電極基板11bからなる。TFT基板11aには、マトリクス状に配置された信号線21と、走査線22と、この信号線21 、走査線22の交点に配置されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ23と、画素電極24とが形成されている。
【0018】
薄膜トランジスタ23は、走査線22により順次選択されると共に、信号線21から供給される映像信号を、対応する画素電極24に書き込む。一方、対向電極基板11bの内表面には、対向電極26及びカラーフィルタ27が形成されている。
【0019】
この半透過反射式液晶表示装置1は、このような構成の液晶素子2を2枚の偏光板14、15で挟み、バックライト3により後側から白色光としての照明光を照射した状態で、或いは前側から入射する外光を照射した状態でアクティブマトリクス方式で駆動することによって、所望の映像を表示させることができる。
【0020】
第1の偏光板14は、透過軸がB方向とされており、第2の偏光板15は、透過軸がA方向とされている。ちなみに、このA方向とB方向は互いに直交する関係にある。
【0021】
光アイソレータ17は、ガラス基板31と、ガラス基板31内に配列される偏光子32とを備えている。ガラス基板31は、第1の入射端面31aと、この第1の入射端面31aの背面に形成された第2の入射端面31bとが、互いに表裏対向するように形成されている。第1の入射端面31aはバックライト3側に位置するように、また第2の入射端面31bは、液晶素子2側に位置するように配設される。
【0022】
偏光子32は、金属細線で構成されている。この偏光子32は、ナノレベルでの微視的観察では、図2に示すように金属性の細線の両端を連結させた環状構造体41と、環状構造体41から延長された金属細線42を有している。この偏光子32を構成する金属の材質は、例えば、金、銀、アルミニウムまたは銅等である。因みに、ガラス板31内には、この偏光子32が縦横方向へ周期的に又はある程度ランダムに配列されている。各偏光子32の間隔は、入射される光の波長λ以上とされている。
【0023】
環状構造体41は、外郭が長方形状からなり、中央に穴49が設けられている。これによって表面電流として効率よく光を電流に変換する。この環状構造体41は、辺41a〜41dで構成されている。互いに隣接する各辺41a〜41dの挟角は約90°とされている。またこの例では、辺41aと41cが互いに平行でしかも対向するように設けられており、また辺41bと41dが互いに平行でしかも対向するように設けられている。そして、この例では、辺41aと41cの2本が第2の偏光板15における透過軸の方向Aと略平行となるように延長されている。
【0024】
但し、この環状構造体41は環状で構成されていれば、いかなる形状で構成されていてもよく、円形であってもよいし多角形状で構成されていてもよい。また形状が不規則なものであっても環状で構成されていればよい。
【0025】
金属細線42は、一端42aが環状構造体41に接続されており、その先端部43に至るまで、第2の入射端面32bへ向けて延長されている。その先端部43は、互いに近接する方向に折り曲げられた第1細線43aと、この第1細線43aから第2の偏光板15における透過軸の方向Aと略平行に折り曲げられた第2細線43bとを有している。この第1細線43aと、第2細線43bは同一平面を構成する。そして、この第1細線43aは、透過軸の方向Aと略直交する方向に延長されている。またこの2本の第1細線43aは、内側に向けて互いに近接するように延長されている。また、第2細線43bは、透過軸の方向Aと略平行方向に延長されている。また、第2細線43bは、外側に向けて延長されており、2本の金属細線42はこれにより互いに離間する方向へと延長されることになる。なお、この2本の金属細線42は、互いに近接することはあっても、互いに接触しないように構成することが望ましい。その理由として、光に変換するために効率よく電界を空気中または伝搬媒質中に生じさせるためである。また2本の金属細線42の先端に形成されたそれぞれの第2細線43bは、図2に示すように上記方向Aに向けて互いにほぼ一直線上に配向していることが望ましい。これは、後述するA方向の直線偏光成分をより高効率に作り出すためである。
【0026】
なお、この偏光子32の構成は、上述した構成に限定されるものではない。例えば図3(a)に示すように、偏光子32は、環状構造体41と、金属細線42とを備え、この金属細線42は、一端42aが環状構造体41に接続されており、その先端部43は、第2細線43bのみで構成するようにしてもよい。即ち第1細線43aに相当する構成を省略したものである。このとき図3(b)に示すように、金属細線42は、互いに近接するように傾斜させつつ第2の入射端面32bへ向けて延長されていてもよい。
【0027】
図4(a)は、この偏光子32の構成を更に簡略化させた構成図を示している。環状構造体41を円形で構成し、更に環状構造体41から細線42を第2の入射端面32bへ向けて延長させた上でその先端部43を第2細線43bのみで構成した例である。このとき、この第2の細線43は、外側に向けて延長されている場合のみならず、内側に向けても延長されていてもよい。
【0028】
また、金属細線の数も2本に限定されることなく1本以上で構成されていればよい。しかしながら、この金属細線2を2本で構成することにより、いわゆるコンデンサとてプラス、マイナスの電荷を帯びさせることが可能となり、直線偏光の光を効果的に出射させることが可能となる。
【0029】
なお、この偏光子32は、あくまで第2の偏光板15における透過軸の方向Aを基準としてその形状が組み立てられることになる。しかし、実際には上述した形状からなる偏光子32を有する光アイソレータ17をそれぞれ独立して製造し、実際に半透過反射式液晶表示装置1にこれを実装する際に第2の偏光板15における透過軸の方向Aに対して上述した配置関係となるように光アイソレータ17の配設角度等を調整することになる。
【0030】
次に本発明を適用した半透過反射式液晶表示装置1の動作について説明をする。先ず、透過表示動作について説明する。バックライト3から出射された照明光は、先ず光アイソレータ17における第1の入射端面31aへと入射される。ちなみに、この照明光は、あらゆる方向の直線偏光や円偏光が混合されたもので特定の偏光成分のみで構成されていない、いわゆる無偏光成分で構成される。そして、この無偏光成分の照明光が第1の入射端面31aに入射されると先ず環状構造体41によりこれを受けることになる。このとき偏光子32はいわゆるコイルとして機能することになる。
【0031】
例えば、辺41a、41cは、偏光方向A(光の電場方向はAであり、光の磁場方向がBとなる)の光に対して、コイルとして機能し、磁場成分が電流へと変換されることになる。辺41b、41dは、偏光方向B(光の電場方向はBであり、光の磁場方向がAとなる)の光に対して、コイルとして機能し、磁場成分が電流へと変換されることになる。即ち、第2の金属細線22は、その長軸方向に垂直な磁場方向Aの光から電流を取り出す。辺41a〜41dは、その長軸方向に垂直な磁場方向Aの光から電流を取り出す。円偏光の光も同様にこれら辺41a〜41dを介して取り出すことが可能となる。円偏光の光は波の位相が45度ずれた直線偏光であるとみなせるので、上記のメカニズムによりたとえ円偏光であっても電流を取り出すことが可能となる。
【0032】
そして環状構造体41により取り出された電流に基づいて、金属細線42に沿って電流が流れることになる。その結果、金属細線42における折り曲げられた先端部43において新たに電界が作り出されることになる。この先端部43における第2細線43bは、A方向に配向していることから、当該A方向の電界が作り出されることになる。この電界によって光が出射されることになり、この出射される光の偏光方向は、A方向である。即ち、入射された無偏光の光が、特定方向(A方向)と略平行な直線偏光成分の光に変換されてこれを出射させることが可能となる。
【0033】
このA方向と略平行な直線偏光成分の光Pは、そのまま第2の偏光板15を通過する。そして、この光Pは、透明基板11を通過し、液晶層12中に出射する。液晶層12は、電圧が印加されていない場合には、入射された光Pの偏光状態を90°向きを変えて出射させる。その結果、この光Pの偏光方向は、B方向となる。これに対して、電圧が印加されている場合には、第2の偏光板15を通過してきた光Pの偏光状態を変えることなくそのまま出射する。即ち、電圧が印加されている場合に、この液晶層12から出射する光Pの偏光方向は、A方向となる。これらの性質は、TN液晶の性質に依拠するものである。
【0034】
この液晶層12を出射した光Pは、透明基板11を通過し、第1の偏光板14へと到達する。この第1の偏光板14は、その透過軸がA方向に対して垂直であるB方向とされている。このため、光Pの偏光方向がB方向であれば、透過する偏光成分が多くなり、明るい表示となる。これに対して、光Pの偏光方向がA方向であれば、殆どがこの第1の偏光板14により吸収されることになることから、暗い表示となる。
【0035】
次に、反射表示動作について説明する。外部から入射されてくる外光は、第1の偏光板14へと入射され、B方向の成分のみがこの第1の偏光板14を透過する。この第1の偏光板14を透過した光Qは、そのまま透明基板11を通過し、液晶層12中に出射する。液晶層12は、電圧が印加されていない場合には、入射された光Qの偏光状態を90°向きを変えて出射させる。その結果、この光Qの偏光方向は、A方向となる。これに対して、電圧が印加されている場合には、第1の偏光板14を通過してきた光Qの偏光状態を変えることなくそのまま出射する。即ち、電圧が印加されている場合に、この液晶層12から出射する光Qの偏光方向は、そのままB方向となる。
【0036】
この液晶層12を出射した光Qは、透明基板11を通過し、第2の偏光板15へと到達する。この第2の偏光板15は、その透過軸がA方向とされている。このため、光Qの偏光方向がA方向であれば、透過する偏光成分が多くなる。これに対して、光Qの偏光方向がB方向であれば、殆どがこの第2の偏光板15により吸収されることになる。
【0037】
この第2の偏光板15を通過した偏光方向がA方向の光Qは、光アイソレータ17へと入射される。このとき、光Qは、光アイソレータ17における第2の入射端面31bへと入射される。そして、この偏光方向がA方向の光Qが第1の入射端面31bを介して入射されると、図6に示すように先ず金属細線42における折り曲げられた先端部43によりこれを反射させることが可能となる。先端部43における第2細線43bは、A方向に配向していることから、これと平行な偏光方向の光Qをそのまま反射することが可能となる。
【0038】
光アイソレータ17により反射された直線偏光成分の光Qは、そのまま第2の偏光板15を通過する。そして、この光Qは、液晶層12を通過することになるが、このときも上述した透過表示と同様のメカニズムにより、電圧が印加の有無に応じて偏光方向を制御し、第1の偏光板14の透過軸としてのB方向と同一か否かにより、明暗を表示していくことになる。
【0039】
このように、本発明を適用した半透過反射式液晶表示装置1は、上述した構成からなる光アイソレータ17を、光透過反射手段として第2の偏光板15とバックライト3の間に設置している。
【0040】
その結果、本発明では、透過表示を行う上でバックライト3からの照明光のうち、各偏光成分の光を効率よくA方向の直線偏光成分に変換することができ、また反射表示を行う上で、第2の偏光板15からの光を高効率に反射させることが可能となる。このため、この光透過反射手段としてこの光アイソレータ17を用いることにより、光損失を抑えることができ、透過表示、反射表示をそれぞれ行う上で透過率、反射率の合計を100%以上とすることも可能となる。
【0041】
なお、上述した構成からなる光アイソレータ17は、上述した半透過反射式液晶表示装置1に適用される場合のみならず、プライバシーミラーとして適用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を適用した半透過反射式液晶表示装置の構成図である。
【図2】本発明を適用した光アイソレータにおける偏光子の構成図である。
【図3】本発明を適用した光アイソレータにおける偏光子の他の構成図である。
【図4】本発明を適用した光アイソレータにおける偏光子について環状構造体を円形で構成した図である。
【図5】従来技術について説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
1 半透過反射式液晶表示装置
2 液晶素子
3 バックライト
11 透明基板
12 液晶層
14 第1の偏光板
15 第2の偏光板
17 光アイソレータ
21 信号線
22 走査線
23 薄膜トランジスタ
24 画素電極
26 対向電極
27 カラーフィルタ
31 ガラス基板
32 偏光子
41 環状構造体
42 金属細線
43 先端部
49 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無偏光成分からなる照明光が入射される第1の入射端面と、上記第1の入射端面の背面に形成され、特定方向の直線偏光成分の光が入射される第2の入射端面とを有するガラス基板と、
上記ガラス基板内に配列される偏光子とを備え、
上記偏光子は、金属性の細線の両端を連結させた環状構造体と、上記環状構造体から第2の入射端面に向けて延長されてその先端部が上記特定方向と略平行に折り曲げられた1本以上の金属細線とを有すること
を特徴とする光アイソレータ。
【請求項2】
上記偏光子は、
上記第1の入射端面を介して入射された照明光の磁場成分を上記環状構造体により電流として取り出し、その取り出された電流に基づいて上記金属細線における折り曲げられた先端部により電界を作り出し、この作り出した電界に基づいて上記特定方向と略平行な直線偏光成分の光を出射させ、
また上記第2の入射端面を介して入射された光を上記金属細線における折り曲げられた先端部を介して反射させること
を特徴とする請求項1記載の光アイソレータ。
【請求項3】
上記環状構造体は、長方形状からなり、
金属細線は、上記環状構造体における上記特定方向と略平行の2辺からそれぞれ延長された2本で構成されてなり、これらの先端部は、互いに近接する方向に折り曲げられ、更に上記特定方向と略平行に折り曲げられてなること
を特徴とする請求項1又は2記載の光アイソレータ。
【請求項4】
液晶素子とバックライトを備え、上記液晶素子に対して前側から入射する外光を利用する反射表示と、上記液晶素子の後側に配置されたバックライトからの照明光を利用する透過表示とを選択実行可能な半透過反射式液晶表示装置において、
互いに対向配置された透明基板間に液晶層を封入した液晶素子と、
上記液晶素子の前側に設置された第1の偏光板と、
上記液晶素子の後側に設置され、上記第1の偏光板の透過軸の方向に対して直交方向に透過軸を有する第2の偏光板と、
上記第2の偏光板と、上記バックライトの間に設置された光アイソレータとを備え、
上記光アイソレータは、無偏光成分からなる上記照明光が入射される第1の入射端面と、上記第1の入射端面の背面に形成され、上記第2の偏光板における透過軸と略平行方向の直線偏光成分の光が入射される第2の入射端面とを有するガラス基板と、上記ガラス基板内に配列される偏光子とを備え、
上記偏光子は、金属性の細線の両端を連結させた環状構造体と、上記環状構造体から第2の入射端面に向けて延長されてその先端部が上記特定方向と略平行に折り曲げられた1本以上の金属細線とを有すること
を特徴とする半透過反射式液晶表示装置。
【請求項5】
上記偏光子は、
上記第1の入射端面を介して入射された照明光の磁場成分を上記環状構造体により電流として取り出し、その取り出された電流に基づいて上記金属細線における折り曲げられた先端部により電界を作り出し、この作り出した電界に基づいて上記第2の偏光板における透過軸と略平行方向の直線偏光成分の光を出射させ、
また上記第2の入射端面を介して入射された光を上記金属細線における折り曲げられた先端部を介して反射すること
を特徴とする請求項4記載の半透過反射式液晶表示装置。
【請求項6】
上記環状構造体は、長方形状からなり、
金属細線は、上記環状構造体における上記第2の偏光板における透過軸と略平行の2辺からそれぞれ延長された2本で構成されてなり、これらの先端部は、互いに近接する方向に折り曲げられ、更に上記第2の偏光板における透過軸と略平行に折り曲げられてなること
を特徴とする請求項4又は5記載の半透過反射式液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−251128(P2009−251128A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96596(P2008−96596)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 低損失オプティカル新機能部材技術開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000173636)財団法人光産業技術振興協会 (19)
【Fターム(参考)】