光ケーブル用アダプタ取付パネル
【課題】光ケーブル用アダプタをガタつかせることなく保持することができる構造簡単なアダプタ取付パネルを提供する。
【解決手段】パネル本体2の第2面22側には、装着孔10を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板30が設けられている。一対の挟持板30は、光アダプタL1が装着孔10に挿入される前の初期状態において、自由端部の間の離間距離が光アダプタL1における対応する一対の第1側壁L11間の距離よりも小さいため、光アダプタL1が装着孔10に挿通される際、一対の挟持板30が押し広げられる。これにより、一対の挟持板30が光アダプタL1の一対の第1側壁L11のうちパネル本体20の第2面22側に位置する部分を挟持した際、一対の挟持板30には光アダプタL1を保持する方向に付勢力が発生する。
【解決手段】パネル本体2の第2面22側には、装着孔10を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板30が設けられている。一対の挟持板30は、光アダプタL1が装着孔10に挿入される前の初期状態において、自由端部の間の離間距離が光アダプタL1における対応する一対の第1側壁L11間の距離よりも小さいため、光アダプタL1が装着孔10に挿通される際、一対の挟持板30が押し広げられる。これにより、一対の挟持板30が光アダプタL1の一対の第1側壁L11のうちパネル本体20の第2面22側に位置する部分を挟持した際、一対の挟持板30には光アダプタL1を保持する方向に付勢力が発生する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側の間に外方へ延在するフランジが設けられ、且つ、一端側及び他端側に光学的に接続される第1及び第2光ケーブルのコネクタがそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられた光ケーブル用アダプタを保持するために利用されるアダプタ取付パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一端側にコネクタが設けられた第1及び第2光ケーブルを光学的に接続する光ケーブル用アダプタ(以下、光アダプタと称する)は、従来から広く利用されている。
前記光アダプタは、互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側の間に外方へ延在するフランジが設けられ、且つ、一端側及び他端側に前記第1及び第2光ケーブルのコネクタがそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられている。
【0003】
また、前記光アダプタを保持するためのアダプタ取付パネルであって、前記光アダプタが挿入される装着孔が設けられたアダプタ取付パネルも従来から広く利用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
前記特許文献1には、前記光アダプタをガタつかない状態で前記アダプタ取付パネルの前記装着孔に装着するために、前記光アダプタに装着されるアダプタ取付用金具が開示されている。
図11に、従来のアダプタ取付用金具を用いてアダプタ取付パネルに光アダプタを装着する場合の斜視組み付け図を示す。
【0004】
詳しくは、前記アダプタ取付用金具P4は、図11に示すように、連結板部P5と、前記連結板部P5の両端から略直交する方向に屈曲され且つ光アダプタ(LC型光アダプタ)L1への装着時に前記光アダプタL1の一対の側壁(第1側壁)L11にそれぞれ対向する一対の側板部P6とを一体的に備えている。
【0005】
前記一対の側板部P6のそれぞれは、基端部が対応する前記光アダプタL1の側壁L11に当接され且つ基端部から前記光アダプタL1の軸線方向一方側へ延びる先端部が自由端部とされた弾性係止爪P8であって、基端部から先端部へ行くに従って対応する前記第1側壁から離間された弾性係止爪P8と、前記弾性係止爪P8より前記連結板部P5に近接する側に位置し、基端部が対応する前記側壁L11に当接され且つ基端部から前記光アダプタL1の軸線方向一方側へ延びる先端部が自由端部とされた第1側板片P10であって、基端部から先端部へ行くに従って対応する前記側壁L11から離間された第1側板片P10と、前記弾性係止爪P8を挟んで前記第1側板片P10とは反対側に位置し、基端部が対応する前記側壁L11に当接され且つ基端部から前記アダプタL1の軸線方向一方側へ延びる先端部が自由端部とされた第2側板部P11であって、基端部から先端部へ行くに従って対応する前記側壁L11から離間された第2側板部P11とを有している。
【0006】
前記第1側板片P10及び前記第2側板片P11はともに、先端部が前記弾性係止爪P8の先端部より前記光アダプタL1の軸線方向一方側へ延在されている。
さらに、前記第2側板片P11の先端部には、前記第1側板片P10に近接する方向で且つ対応する前記側壁L11に近接する方向へ折り曲げられた弾性係合部P13が設けられている。
【0007】
かかる構成の前記アダプタ取付用金具P4が装着された前記光アダプタL1をアダプタ取付パネル100の厚み方向一方側の第1面側から前記アダプタ取付パネル100に設けられた装着孔110に挿入すると、前記光アダプタL1のフランジL14が前記第1面に当接する時点で、前記弾性係止爪P8は、前記装着孔110を貫通して前記自由端部が前記取付パネル100の前記第1面とは反対側の第2面に当接又は近接対向されるようになっており、これにより、前記光アダプタL1が前記装着孔110から抜け出ることが防止される。
【0008】
また、前記フランジL14が前記第1面に当接する際に、前記第1側板片P10の自由端部は、前記装着孔110の内周面に当接され、且つ、前記第2側板片P11の自由端部は、前記弾性係合部P8が前記光アダプタL1の側壁L11に当接された状態で前記装着孔110の内周面に当接されるようになっており、これにより、前記光アダプタL1が前記装着孔110に対してガタつくことを防止している。
【0009】
このように、従来のアダプタ取付用金具P4においては、前記弾性係止爪P8によって前記光アダプタL1が前記装着孔110から意に反して脱離することを防止しつつ、前記第1側板片P10及び第2側板片P11の弾性力によって前記光アダプタL1が前記装着孔110内においてガタつくことを防止しているが、前記第1側板片P10及び第2側板片P11の先端部しか前記取付パネル100の装着孔110の内周面に係合していないため、十分な保持弾性力を得るのが難しいという問題があった。
また、前記アダプタ取付用金具P4の構造が複雑であるため、製造コストが高騰化するとともに、前記光アダプタL1のそれぞれに前記アダプタ取付用金具P4を装着しなければならないため、作業コストの高騰化も招くという問題があった。
【特許文献1】特開2007−187891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、光ケーブル用アダプタをガタつかせることなく保持することができる構造簡単なアダプタ取付パネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明に係るアダプタ取付パネルは、互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側の間に外方へ延在するフランジが設けられ、且つ、一端側及び他端側に光学的に接続される第1及び第2光ケーブルのコネクタがそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられた光ケーブル用アダプタを保持するために利用されるアダプタ取付パネルであって、前記アダプタの一端側又は他端側が挿通可能で且つ前記フランジが挿通不可の大きさを有する装着孔が設けられた平板状のパネル本体を備え、前記アダプタが前記パネル本体の厚み方向一方側の第1面側から前記装着孔に挿入されることで前記アダプタの一部が前記第1面とは反対の第2面側に位置する際に前記一対の第1側壁のうち前記パネル本体の第2面側に位置する部分を挟持するように、前記第2面には前記装着孔を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板が設けられ、前記一対の挟持板は、基端部が前記パネル本体の前記第2面に一体的に連結され且つ基端部から自由端部へ行くに従って他方の挟持板に近接するように傾斜されており、前記一対の挟持板は、前記アダプタが前記装着孔に挿入される前の初期状態において、前記自由端部の間の離間距離が前記アダプタにおける対応する一対の第1側壁間の距離よりも小さいことを特徴とするものである。
【0012】
上記構成のアダプタ取付パネルによれば、平板状のパネル本体に設けられた装着孔にパネル本体の第1面側から前記アダプタの一端側又は他端側を挿入する。
ここで、前記パネル本体の第2面側には、前記装着孔を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板が設けられている。前記一対の挟持板は、前記アダプタが前記装着孔に挿入される前の初期状態において、前記自由端部の間の離間距離が前記アダプタにおける対応する一対の第1側壁間の距離よりも小さいため、前記アダプタが前記装着孔に挿通される際、前記一対の挟持板が押し広げられる。
これにより、前記一対の挟持板が前記アダプタの一対の第1側壁のうちパネル本体の第2面側に位置する部分を挟持した際、前記一対の挟持板には前記アダプタを保持する方向に付勢力が発生する。従って、前記アダプタのパネル本体への装着状態が保持される。
【0013】
このように、パネル本体に互いに対して離接する方向に弾性変形可能な一対の挟持板を設けることにより、別途アダプタ取付用金具を光ケーブル用アダプタに取り付けることなくアダプタ取付パネルに光ケーブル用アダプタをガタつかせることなく保持させることができる。また、一対の挟持板は、従来のアダプタ取付用金具より構造容易とすることができ、製造コストも低廉化させることができる。
【0014】
好ましくは、前記アダプタを前記第1面側から前記装着孔内に挿入して前記フランジが前記第1面に当接する際に、前記一対の挟持板の前記自由端部が前記アダプタの前記第1側壁に形成された段付き凹部に係入するように構成される。
【0015】
この場合、光ケーブル用アダプタが装着孔に挿通された際、前記アダプタの一端側及び他端側の間に設けられたフランジがパネル本体の第1面に当接した位置で、一対の挟持板の自由端部が前記アダプタの第1側壁に形成された段付き凹部に係入される。
これにより、前記一対の挟持板の付勢力により前記アダプタの取付パネルに対する第1側壁方向の移動が規制された上で、前記アダプタの段付き凹部に係入した前記一対の挟持板の自由端部と前記アダプタのフランジとにより前記アダプタの取付パネルに対する挿通方向の移動が規制されるとともに、前記一対の挟持板の自由端部と当該挟持板が係入される前記アダプタの段付き凹部とにより前期アダプタの取付パネルに対する第2側壁方向の移動が規制される。
従って、アダプタ取付パネルへ光ケーブル用アダプタを保持させた際に、アダプタの抜けを防止することができるとともに、ガタつきをより低減させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るアダプタ取付パネルによれば、パネル本体に互いに対して離接する方向に弾性変形可能な一対の挟持板を設けることにより、別途アダプタ取付用金具を光ケーブル用アダプタに取り付けることなくアダプタ取付パネルに光ケーブル用アダプタをガタつかせることなく保持させることができる。また、一対の挟持板は、従来のアダプタ取付用金具より構造容易とすることができ、製造コストも低廉化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るアダプタ取付パネルの好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
まず、本発明のアダプタ取付パネルに装着する光ケーブル用アダプタ(以下、光アダプタと称する)の構成について説明する。本実施形態においては、LC型光アダプタの構成を例にとって説明する。前記光ケーブル用アダプタは、互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側に光学的に接続される第1光ケーブル及び第2光ケーブルのコネクタ(以下、光コネクタと称する)がそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられている。
【0019】
図7はLC型光アダプタの斜視図であり、図8は図7の軸線方向断面斜視図である。
LC型光アダプタL1は、図7及び図8に示すように、少なくとも一端側にLC型光コネクタL2が設けられた第1光ケーブルL3が脱着可能に連結されるように構成されている。
本実施形態において、前記LC型光アダプタL1は、光コネクタL2を介して第1光ケーブルL3が連結される第1アダプタハウジングL1aと、同様に光コネクタを介して第2光ケーブル(図示しないが第1光ケーブルL3と同様)が連結される第2アダプタハウジングL1bとを有しており、前記第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1bは互いに同一形状とされている。
即ち、LC型光アダプタL1の一端側を形成する第1アダプタハウジングL1aは、LC型光コネクタL2が設けられた第1光ケーブルL3が脱着可能に連結され、LC型光アダプタL1の他端側を形成する第2アダプタハウジングL1bは、LC型光コネクタが設けられた第2光ケーブル(前記第1光ケーブルL3と同様の構成)が脱着可能に連結される。
【0020】
前記第1アダプタハウジングL1aは、図7及び図8に示すように、垂直配置された左右一対の第1側壁L11と、前記第1側壁L11の上下端辺から左右一対の第1側壁L11同士を連結するように水平に延在した上下一対の第2側壁(上壁L12及び底壁L13と、前記第2アダプタハウジングL1bに連結する端部に外方へ延在するフランジL14と、前記フランジL14内部に設けられ、第1及び第2光ケーブルの挿通方向に沿うように設けられた中空のボス部L15とを有している。また、前記LC型光アダプタL1の前記フランジL14とは反対側の端部には、開口端L18が設けられ、各壁により当該各壁の内方に光コネクタL2を収容可能なコネクタ装着孔L17が形成されている。以上の構成は、前記第2アダプタハウジングL1bについても同様である。
【0021】
そして、前記LC型光アダプタL1は、前記第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1bのフランジL14同士が当接した状態で接合されており、前記ボス部L15の中空部内に前記両ハウジングL1a,L1bが接合した状態で前記第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1b内にわたって挿入される中空のスリーブL16を有している。
なお、図7及び図8の構成においては、第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1bの開口端L18にそれぞれ2つずつコネクタ装着孔L17が設けられているが、これに限られず、前記開口端L18に1つずつ設けることとしてもよい。
また、本実施形態のLC型光アダプタL1は、1つの開口端L18に2つのコネクタ装着孔L17を有する構成(2芯)としているが、これに限られず、4芯、8芯、12芯、24芯等、2以上のコネクタ装着孔L17を有する光アダプタにも本発明は適用可能である。
【0022】
前記LC型光アダプタL1の開口端L18は、上角部が面取り形状とされている。詳しくは、前記上壁L12は、開口端L18側に位置する開口端辺(一端側端辺)L121と、前記開口端辺L121の両端部から前記フランジL14へ向かって延びる一対の側方端辺L122とを含む。また、前記底壁L13は、開口端L18側に位置する開口端辺(一端側端辺)L131と、前記開口端辺L131の両端部から前記フランジL14へ向かって延びる一対の側方端辺L132とを含む。
前記一対の側壁L11は、前記上壁L12の側方端辺L122及び前記底壁L13の側方端辺L132によってそれぞれ画される上方端辺L111及び下方端辺L112と、前記上方端辺L111及び前記下方端辺L112の一端側端部同士を連結する開口端辺(一端側端辺)L113とを含む。
そして、前記上壁L12の開口端辺L121は、前記底壁L13の開口端辺L131よりも他端側に位置している。前記一対の側壁L11(及び2つのコネクタ装着孔L17を区画する中央壁L19)の開口端辺L113(及び中央壁L19の開口端辺L191)は、前記上壁L12との連結部を含む上方領域L114(及び中央壁L19の上方領域L192)が側面視において面取り形状とされている。
【0023】
本実施形態においては、前記上方領域L114,L192は、上方及び一端側へ開く凹状とされている。
即ち、前記LC型光アダプタL1は、上壁L12の一端側端辺L121及び一対の側壁L11又は中央壁L19の一端側端辺L113,L192によって画される一端側上角部が面取り形状とされており、これにより、LC型光コネクタL2の脱着作業の容易化を図っている。
【0024】
このようなLC型光アダプタL1のコネクタ装着孔L17にケーブル素線が被覆されて構成される第1光ケーブルL3を接続可能とするLC型光コネクタL2は、前記第1光ケーブルL3の連結端部側において露出されたケーブル素線に外挿されるフェルールL21と、前記フェルールL21を囲繞するLC型光コネクタ本体L22と、基端部が前記LC型光コネクタ本体L22の上面に上下方向弾性変形可能に固着され且つ先端部が前記基端部から前記第1光ケーブルL3の基端側且つ上方側へ延びる係合片L23と、前記係合片L23から側方へ突出された係合突起L24とを有している。
なお、図7及び図8の構成においては、第1及び第2アダプタハウジングL1aに2つ設けられたコネクタ装着孔L17に対し、2つの光ケーブルを同時に接続させ得るLC型光コネクタL2とされているが、これに限られず、2つある前記コネクタ装着孔L17に対し1つずつ光ケーブルをそれぞれ個別に挿通可能なLC型光コネクタを用いることとしてもよい。
【0025】
一方、前記LC型光アダプタL1の前記コネクタ装着孔L17は、前記LC型光コネクタ本体L22を受け入れる第1空間L171と、前記係合片L23の前記基端部を含む一部を受け入れる第2空間L172とを有し、前記第2空間L172は、前記LC型光コネクタL2を外方から前記第1空間L171内へ挿入するに従って前記係合片L23が下方へ弾性変形するように前記係合突起L24を案内し且つ前記フェルールL21が前記スリーブL16内に突入される連結位置まで前記LC型光コネクタL2が挿入されると前記係合突起L24との係合が解除されるガイド面L173と、前記ガイド面L173の内端側から上方へ延びる係合面L174であって、前記LC型光コネクタL2が前記連結位置に位置する際に前記ガイド面L173及び前記係合突起L24の係合が解除されて前記係合片L23が保有弾性によって上方へ移動することで前記係合突起L24と係合して該LC型光コネクタL2の抜け止めを行う係合面L174とを有している。
【0026】
以上のような構成において、前記LC型光アダプタL1のコネクタ装着孔L17の開口端L18に向けて前記LC型光コネクタL2のLC型光コネクタ本体L22を挿通させることにより両者を接続する。まず、前記LC型光コネクタ本体L22を前記コネクタ装着孔L17の第1空間L171に挿通させることにより、前記LC型光アダプタL1に対する前記LC型光コネクタL2の位置決めが行われる。
【0027】
また、前記コネクタ装着孔L17の第2空間L172内に前記LC型光コネクタL2の係合片L23が挿通され、前記係合片L23に設けられた係合突起L24が前記第2空間L172内のガイド面L173と係合されることにより案内される。前記ガイド面L173は、開口端L18から離間するほど前記LC型光アダプタL1の上壁L12から離間するテーパ面を有しており、前記係合突起L24が案内されることにより、前記係合片L23を軸線中心へ近接する側に弾性変形させる。
さらに奥に挿通され、前記係合突起L24が前記LC型光アダプタL1の係合面L174の位置に来ると、前記ガイド面L173との係合が解除されるため、前記係合片L23の保有弾性により、前記係合突起L24が軸線中心から離間する方向へ移動し、前記係合面L174と係合され、前記LC型光アダプタL1から前記LC型光コネクタL2が抜け出すのを防止する。
なお、前記係合突起L24と前記係合面L174との係合時において、前記フェルールL21の先端部は、スリーブL16内のフランジ側端部を少し越えたあたりに位置される。前記フェルールL21は、前記LC型光コネクタL2に対して軸線方向に移動可能且つ軸線方向先端側に付勢されている。従って、第1光ケーブルと第2光ケーブルとが前記LC型光アダプタL1に接続されると、互いのフェルールL21が先端部同士を押し付けあう状態で当接される。これにより、接続時における光の伝達ロスを可及的に少なくすることができる。また、係合時においても前記係合片L23の保有弾性により前記係合突起L24が前記コネクタ装着孔L17の上壁L12側内面を押圧することにより、意図的に前記フェルールL21の位置が前記スリーブL16内で底壁L13方向に偏心した状態で付勢されるため、第1光ケーブルと第2光ケーブルとが同じように偏心した位置で接続される。従って、互いのフェルールL21の軸中心を軸ぶれさせることなくより同一位置に配置させることができる。
【0028】
ところで、前記LC型光アダプタL1から前記LC型光コネクタL2を引き抜く場合には、前記係合片L23を軸線中心方向に押下することにより、前記係合突起L24と前記係合面L174との係合が解除されるため、この状態のまま、前記LC型光コネクタL2を前記LC型光アダプタL1から引き抜くことができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、前記第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1bを同一形状としたが、当然ながら本発明はかかる形態に限定されるものではない。
【0030】
本実施形態においては、上記で説明したLC型光アダプタL1の一端側(第1アダプタハウジングL1a側)にシャッタアッセンブリが装着された構成を有している。
図9及び図10は図7のLC型光アダプタにシャッタアッセンブリが装着された際の斜視図である。図9は、シャッタ部材が閉塞位置にある状態を示し、図10は、シャッタ部材が開放位置にある状態を示す。
【0031】
本実施形態のシャッタアッセンブリは、図9及び図10に示すように、前記LC型光アダプタL1の前記一対の第1側壁L11及び前記一対の第2側壁(上壁L12及び底壁L13)の外周面にそれぞれ当接する一対の第1側面部41及び一対の第2側面部(上面部42及び底面部43)を有し、前記光アダプタL1を囲繞するように該光アダプタL1の一端側に脱着可能に装着されるシャッタハウジング40と、前記一対の側面部41、前記上面部42及び前記底面部43の一端側端辺411,421,431によって画される前記シャッタハウジング40の一端側開口401を開閉し得るように前記底面部43の一端側端辺431に枢支軸44を介して揺動可能に連結されたシャッタ部材50と、前記シャッタハウジング40の前記一端側開口401を閉塞する方向に前記シャッタ部材50を付勢するコイルスプリング60とを備えている。そして、前記シャッタハウジング40が前記光アダプタL1に装着された状態において前記シャッタ部材50が前記シャッタハウジング40の前記一端側開口401を閉塞することにより、前記光アダプタL1の前記コネクタ装着孔L17の開口端L18が閉塞されるものである。
【0032】
上記構成のシャッタアッセンブリによれば、図9及び図10に示すように、前記光アダプタL1の前記第1アダプタハウジングL1a側の前記一対の第1側壁L11及び前記一対の第2側壁(上壁L12及び底壁L13)の外周面に前記シャッタハウジング40の一対の第1側面部41及び一対の第2側面部(上面部42及び底面部43)がそれぞれ当接された状態で装着される。本実施形態においては、前記一対の第1側壁L11には、一対の段付き凹部L115(図13参照)が設けられるとともに、前記一対の側面部41には、当該側面部41の内方且つ前記シャッタハウジング40の前記一端開口401に向かって延びた一対の係合片412が設けられ、前記一対の係合片412が前記一対の段付き凹部L115に係合されることにより、シャッタアッセンブリのシャッタハウジング40が光アダプタL1の一端側に当該光アダプタL1を囲繞するように装着され且つ抜けが防止される。
【0033】
また、前記シャッタハウジング40の底面部43の一端側端辺431にシャッタ部材50が枢支軸44を介して揺動可能に連結されており、シャッタ部材50が枢支軸44回りに揺動することにより前記シャッタハウジング40の一端側開口401が開閉される。前記シャッタ部材50は、コイルスプリング60によりシャッタハウジング40の前記一端側開口401を閉塞する方向に付勢されている。前記シャッタハウジング40が光アダプタL1に装着された状態においてシャッタ部材50を前記コイルスプリング60の付勢力に抗して開放位置に位置させることにより、光コネクタL2を光アダプタL1のコネクタ装着孔L17に接続することができる。一方、接続された光コネクタL2を引き抜くと、コイルスプリング60の保有弾性により、前記シャッタ部材50が前記シャッタハウジング40の前記一端側開口401を閉塞する閉塞位置に自動復帰する。前記シャッタハウジング40の前記一端側開口401が閉塞されることにより、前記光アダプタL1の前記コネクタ装着孔L17の開口端L18が閉塞される。
【0034】
以上のように、LC型光アダプタL1を囲繞するように脱着可能なシャッタハウジング40に揺動可能なシャッタ部材50を設ける構成としたため、LC型光アダプタL1にシャッタハウジング40を装着することにより、LC型光アダプタL1に容易にシャッタ部材50を設けることができる。従って、シャッタ部材を備えていない既存の光アダプタに対しても本シャッタアッセンブリを装着させることにより、シャッタ部材50を容易に設けることができる。
【0035】
上記のようなLC型光アダプタL1を機器に取り付け保持させるために、アダプタ取付パネルが利用される。
図1に、本発明に係る一実施形態におけるアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着した際の斜視図を示す。また、図2から図4に、図1に示すアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着する前の初期状態における上面図、側面図及び斜視図を示す。
本実施形態のアダプタ取付パネル1は、図1から図4に示すように、前記LC型光アダプタL1の他端側(第2アダプタハウジングL1b側)が挿通可能で且つ前記フランジL14が挿通不可の大きさを有する装着孔10が設けられた平板状のパネル本体20を備え、前記LC型光アダプタL1が前記パネル本体20の厚み方向一方側の第1面21側から前記装着孔10に挿入されることで前記LC型光アダプタL1の一部が前記第1面21とは反対の第2面22側に位置する際に前記一対の第1側壁L11のうち前記パネル本体20の第2面22側に位置する部分を挟持するように、前記第2面22には前記装着孔10を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板30が設けられている。
【0036】
前記一対の挟持板30は、基端部が前記パネル本体20の前記第2面22に一体的に連結され且つ基端部から自由端部へ行くに従って他方の挟持板30に近接するように傾斜されており、前記一対の挟持板30は、前記LC型光アダプタL1が前記装着孔10に挿入される前の初期状態において、前記自由端部の間の離間距離XPが前記LC型光アダプタL1における対応する一対の第1側壁L11間の距離XL1よりも小さいように構成されている。
本実施形態において、前記アダプタ取付パネル1(前記パネル本体20及び前記一対の挟持板30)は、樹脂等により一体成型されている。なお、前記パネル本体20と前記一対の挟持板30とを別部品として製作し、組み付けることも可能である。
【0037】
上記構成のアダプタ取付パネル1によれば、平板状のパネル本体20に設けられた装着孔10にパネル本体20の第1面21側から前記LC型光アダプタL1の第2アダプタハウジングL1b側を前記LC型光アダプタL1の第1側面L11が前記パネル本体20に対して略垂直となるように挿入する。
ここで、前記パネル本体20の第2面22側には、前記装着孔10を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板30が設けられている。前記一対の挟持板30は、前記LC型アダプタL1が前記装着孔10に挿入される前の初期状態(図2から図4に示す)において、前記自由端部の間の離間距離XPが前記LC型光アダプタL1における対応する一対の第1側壁L11間の距離XL1よりも小さいため、前記LC型光アダプタL1が前記装着孔10に挿通される際、前記一対の挟持板30が押し広げられる。
これにより、前記一対の挟持板30が前記LC型光アダプタL1の一対の第1側壁L11のうちパネル本体20の第2面22側に位置する部分を挟持した際、前記一対の挟持板30には前記LC型光アダプタL1を保持する方向に付勢力が発生する。従って、LC型光アダプタL1のパネル本体20への装着状態が保持される。
【0038】
ここで、本実施形態においては、さらに、前記LC型アダプタL1には、第2アダプタハウジングL1bにおける一対の前記第1側壁L11にも一対の段付き凹部L115が形成されており、前記LC型光アダプタL1を前記第1面21側から前記装着孔10内に挿入して前記フランジL14が前記第1面21に当接する際に、前記一対の挟持板30の前記自由端部が前記一対の段付き凹部L115に係入するように構成される。
より詳しくは、前記段付き凹部L115は、図2に示すように、底面が前記第1側壁L11と平行に形成される一方、前記一対の挟持板30の前記自由端部には、前記LC型光アダプタL1が前記装着孔10に挿入される前の初期状態において、前記パネル本体20に略垂直な当接面31を有し、前記一対の挟持板30の対向する当接面30間の距離(即ち、前記離間距離XP)が、前記LC型光アダプタL1における前記段付き凹部L115の底面間距離XL2と略同じであるように構成されている。
【0039】
従って、LC型光アダプタL1が装着孔10に挿通された際、前記LC型光アダプタL1のフランジL14がパネル本体20の第1面21に当接した位置で、一対の挟持板30の自由端部が前記LC型光アダプタL1の第1側壁L11に形成された段付き凹部L115に係入される。
このとき、前記段付き凹部L115の底面と前記一対の挟持板30の当接面31とは、略平行な状態で当接する。即ち、前記段付き凹部L115の底面と前記当接面31とは、面接触する。なお、前記初期状態における前記一対の挟持板30の前記離間距離XPが、前記LC型光アダプタL1における前記底面間距離XL2より短く且つ前記段付き凹部115の底面と前記一対の挟持板30とが略平行な状態で当接するように構成してもよい。
【0040】
本実施形態において、前記一対の挟持板30の当接面31は、上下方向長さ(前記第1側壁L11に平行且つ挿通方向に直交する長さ)ZPが前記LC型光アダプタL1における前記段付き凹部L115の上下方向長さZLと略同じ長さを有している。さらに、前記初期状態における前記一対の挟持板30の自由端部から前記パネル本体20の第2面22までの距離YPは、前記LC型光アダプタL1における前記段付き凹部L115の前記第2アダプタハウジングL1b側の開口端L18側端辺と前記パネル本体20の第1面21に当接する前記フランジL14の当接面との距離(挿通方向距離)YLと略同じ長さを有している。
【0041】
これにより、前記一対の挟持板30の付勢力により前記LC型光アダプタL1のアダプタ取付パネル1に対する第1側壁L11方向(ここでは、左右方向)の移動が規制された上で、前記LC型光アダプタL1の段付き凹部L115に係入した前記一対の挟持板30の自由端部(当接面31)と前記LC型光アダプタL1のフランジL14とにより前記LC型光アダプタL1のアダプタ取付パネル1に対する挿通方向の移動が規制される(抜けが防止される)とともに、前記一対の挟持板30の自由端部(当接面31)と当該挟持板30が係入される前記LC型光アダプタL1の段付き凹部L115とにより前記LC型光アダプタL1のアダプタ取付パネル1に対する第2側壁(上壁L12及び底壁L13)方向(上下方向)の移動が規制される。
【0042】
このように、パネル本体20に互いに対して離接する方向に弾性変形可能な一対の挟持板30を設けることにより、別途アダプタ取付用金具をLC型光アダプタL1に取り付けることなくアダプタ取付パネル1にLC型光アダプタL1をガタつかせることなく保持させることができる。また、一対の挟持板30は、従来のアダプタ取付用金具より構造容易とすることができ、製造コストも低廉化させることができる。
また、一対の挟持板30の自由端部をLC型アダプタL1の段付き凹部L115に係入させることにより、取付パネル20へLC型光アダプタL1を保持させた際に、当該LC型光アダプタL1の抜けを有効に防止することができるとともに、上下左右へのガタつきをより低減させることができる。
【0043】
本実施形態において、前記アダプタ取付パネル1は、複数の装着孔10を有している。前記複数の装着孔10は、左右方向に複数個の装着孔10を有する装着孔列を有し、当該装着孔列が上下に複数列(ここでは2列)設けられている。
図5及び図6に、本実施形態のアダプタ取付パネルの装着孔の全てにLC型光アダプタが装着された場合の前方及び後方斜視図を示す。
本実施形態において、前記アダプタ取付パネル1の装着孔10に取り付けられる前記LC型光アダプタL1は、装着される装着孔10の上側列と下側列とで前記LC型光アダプタL1の上下が異なるように装着される。より具体的には、前記装着孔10の上側列及び下側列に装着される前記LC型光アダプタL1は、前記シャッタアッセンブリにおける前記シャッタ部材50の枢支軸44が互いに近接するような向きで装着されている。
これにより、何れの装着孔10に装着されたLC型光アダプタL1においてもシャッタ部材50の回動及び光コネクタL2の装着作業をより容易に行うことができる。
【0044】
このようにして、複数の装着孔10にLC型光アダプタL1が装着された状態で、前記パネル本体20の両端部に設けられた取付孔23により、ねじ部材等を介して前記アダプタ取付パネル1が機器へ取り付けられる。
【0045】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、上記実施形態においては、前記一対の挟持板30が装着孔10の左右両辺に設けられている構成を例示したが、これに限られず、前記一対の挟持板30を上下両辺に設ける構成としてもよい。
また、装着孔10の数や配列は、本実施形態の構成に限られず、種々採用可能である。
さらに、上記実施形態においては、装着孔10に装着される光ファイバ用アダプタとして側面視における一端側端辺の形状が上角部において面取り形状とされたLC型光アダプタL1に適用した例について説明したが、これに限られず、例えば、側面視における一端側端辺の形状が略垂直方向に沿った直線状とされたSC型光アダプタに適用する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明に係る一実施形態におけるアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着した際の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着する前の初期状態における上面図である。
【図3】図3は、図1に示すアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着する前の初期状態における側面図である。
【図4】図4は、図1に示すアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着する前の初期状態における斜視図である。
【図5】図5は、前記光ケーブル用コネクタにおけるフェルール及び可撓性チューブの部分断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る光ケーブル用コネクタの斜視図である。
【図7】図7は、LC型光アダプタの斜視図である。
【図8】図8は、図7の軸線方向断面斜視図である。
【図9】図9は、図7のLC型光アダプタにシャッタアッセンブリが装着された際のシャッタ部材が閉塞位置にある状態における斜視図である。
【図10】図10は、図7のLC型光アダプタにシャッタアッセンブリが装着された際のシャッタ部材が開放位置にある状態における斜視図である。
【図11】図11は、従来のアダプタ取付用金具を用いてアダプタ取付パネルに光アダプタを装着する場合の斜視組み付け図である。
【符号の説明】
【0047】
1 アダプタ取付パネル
10 装着孔
20 パネル本体
21 パネル本体の第1面
22 パネル本体の第2面
30 挟持板
31 当接面(挟持板の自由端部)
L1 LC型光アダプタ(光ケーブル用アダプタ)
L2 光コネクタ
L11 第1側壁
L12 上壁(第2側壁)
L13 底壁(第2側壁)
L14 フランジ
L115 段付き凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側の間に外方へ延在するフランジが設けられ、且つ、一端側及び他端側に光学的に接続される第1及び第2光ケーブルのコネクタがそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられた光ケーブル用アダプタを保持するために利用されるアダプタ取付パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一端側にコネクタが設けられた第1及び第2光ケーブルを光学的に接続する光ケーブル用アダプタ(以下、光アダプタと称する)は、従来から広く利用されている。
前記光アダプタは、互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側の間に外方へ延在するフランジが設けられ、且つ、一端側及び他端側に前記第1及び第2光ケーブルのコネクタがそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられている。
【0003】
また、前記光アダプタを保持するためのアダプタ取付パネルであって、前記光アダプタが挿入される装着孔が設けられたアダプタ取付パネルも従来から広く利用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
前記特許文献1には、前記光アダプタをガタつかない状態で前記アダプタ取付パネルの前記装着孔に装着するために、前記光アダプタに装着されるアダプタ取付用金具が開示されている。
図11に、従来のアダプタ取付用金具を用いてアダプタ取付パネルに光アダプタを装着する場合の斜視組み付け図を示す。
【0004】
詳しくは、前記アダプタ取付用金具P4は、図11に示すように、連結板部P5と、前記連結板部P5の両端から略直交する方向に屈曲され且つ光アダプタ(LC型光アダプタ)L1への装着時に前記光アダプタL1の一対の側壁(第1側壁)L11にそれぞれ対向する一対の側板部P6とを一体的に備えている。
【0005】
前記一対の側板部P6のそれぞれは、基端部が対応する前記光アダプタL1の側壁L11に当接され且つ基端部から前記光アダプタL1の軸線方向一方側へ延びる先端部が自由端部とされた弾性係止爪P8であって、基端部から先端部へ行くに従って対応する前記第1側壁から離間された弾性係止爪P8と、前記弾性係止爪P8より前記連結板部P5に近接する側に位置し、基端部が対応する前記側壁L11に当接され且つ基端部から前記光アダプタL1の軸線方向一方側へ延びる先端部が自由端部とされた第1側板片P10であって、基端部から先端部へ行くに従って対応する前記側壁L11から離間された第1側板片P10と、前記弾性係止爪P8を挟んで前記第1側板片P10とは反対側に位置し、基端部が対応する前記側壁L11に当接され且つ基端部から前記アダプタL1の軸線方向一方側へ延びる先端部が自由端部とされた第2側板部P11であって、基端部から先端部へ行くに従って対応する前記側壁L11から離間された第2側板部P11とを有している。
【0006】
前記第1側板片P10及び前記第2側板片P11はともに、先端部が前記弾性係止爪P8の先端部より前記光アダプタL1の軸線方向一方側へ延在されている。
さらに、前記第2側板片P11の先端部には、前記第1側板片P10に近接する方向で且つ対応する前記側壁L11に近接する方向へ折り曲げられた弾性係合部P13が設けられている。
【0007】
かかる構成の前記アダプタ取付用金具P4が装着された前記光アダプタL1をアダプタ取付パネル100の厚み方向一方側の第1面側から前記アダプタ取付パネル100に設けられた装着孔110に挿入すると、前記光アダプタL1のフランジL14が前記第1面に当接する時点で、前記弾性係止爪P8は、前記装着孔110を貫通して前記自由端部が前記取付パネル100の前記第1面とは反対側の第2面に当接又は近接対向されるようになっており、これにより、前記光アダプタL1が前記装着孔110から抜け出ることが防止される。
【0008】
また、前記フランジL14が前記第1面に当接する際に、前記第1側板片P10の自由端部は、前記装着孔110の内周面に当接され、且つ、前記第2側板片P11の自由端部は、前記弾性係合部P8が前記光アダプタL1の側壁L11に当接された状態で前記装着孔110の内周面に当接されるようになっており、これにより、前記光アダプタL1が前記装着孔110に対してガタつくことを防止している。
【0009】
このように、従来のアダプタ取付用金具P4においては、前記弾性係止爪P8によって前記光アダプタL1が前記装着孔110から意に反して脱離することを防止しつつ、前記第1側板片P10及び第2側板片P11の弾性力によって前記光アダプタL1が前記装着孔110内においてガタつくことを防止しているが、前記第1側板片P10及び第2側板片P11の先端部しか前記取付パネル100の装着孔110の内周面に係合していないため、十分な保持弾性力を得るのが難しいという問題があった。
また、前記アダプタ取付用金具P4の構造が複雑であるため、製造コストが高騰化するとともに、前記光アダプタL1のそれぞれに前記アダプタ取付用金具P4を装着しなければならないため、作業コストの高騰化も招くという問題があった。
【特許文献1】特開2007−187891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、光ケーブル用アダプタをガタつかせることなく保持することができる構造簡単なアダプタ取付パネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明に係るアダプタ取付パネルは、互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側の間に外方へ延在するフランジが設けられ、且つ、一端側及び他端側に光学的に接続される第1及び第2光ケーブルのコネクタがそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられた光ケーブル用アダプタを保持するために利用されるアダプタ取付パネルであって、前記アダプタの一端側又は他端側が挿通可能で且つ前記フランジが挿通不可の大きさを有する装着孔が設けられた平板状のパネル本体を備え、前記アダプタが前記パネル本体の厚み方向一方側の第1面側から前記装着孔に挿入されることで前記アダプタの一部が前記第1面とは反対の第2面側に位置する際に前記一対の第1側壁のうち前記パネル本体の第2面側に位置する部分を挟持するように、前記第2面には前記装着孔を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板が設けられ、前記一対の挟持板は、基端部が前記パネル本体の前記第2面に一体的に連結され且つ基端部から自由端部へ行くに従って他方の挟持板に近接するように傾斜されており、前記一対の挟持板は、前記アダプタが前記装着孔に挿入される前の初期状態において、前記自由端部の間の離間距離が前記アダプタにおける対応する一対の第1側壁間の距離よりも小さいことを特徴とするものである。
【0012】
上記構成のアダプタ取付パネルによれば、平板状のパネル本体に設けられた装着孔にパネル本体の第1面側から前記アダプタの一端側又は他端側を挿入する。
ここで、前記パネル本体の第2面側には、前記装着孔を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板が設けられている。前記一対の挟持板は、前記アダプタが前記装着孔に挿入される前の初期状態において、前記自由端部の間の離間距離が前記アダプタにおける対応する一対の第1側壁間の距離よりも小さいため、前記アダプタが前記装着孔に挿通される際、前記一対の挟持板が押し広げられる。
これにより、前記一対の挟持板が前記アダプタの一対の第1側壁のうちパネル本体の第2面側に位置する部分を挟持した際、前記一対の挟持板には前記アダプタを保持する方向に付勢力が発生する。従って、前記アダプタのパネル本体への装着状態が保持される。
【0013】
このように、パネル本体に互いに対して離接する方向に弾性変形可能な一対の挟持板を設けることにより、別途アダプタ取付用金具を光ケーブル用アダプタに取り付けることなくアダプタ取付パネルに光ケーブル用アダプタをガタつかせることなく保持させることができる。また、一対の挟持板は、従来のアダプタ取付用金具より構造容易とすることができ、製造コストも低廉化させることができる。
【0014】
好ましくは、前記アダプタを前記第1面側から前記装着孔内に挿入して前記フランジが前記第1面に当接する際に、前記一対の挟持板の前記自由端部が前記アダプタの前記第1側壁に形成された段付き凹部に係入するように構成される。
【0015】
この場合、光ケーブル用アダプタが装着孔に挿通された際、前記アダプタの一端側及び他端側の間に設けられたフランジがパネル本体の第1面に当接した位置で、一対の挟持板の自由端部が前記アダプタの第1側壁に形成された段付き凹部に係入される。
これにより、前記一対の挟持板の付勢力により前記アダプタの取付パネルに対する第1側壁方向の移動が規制された上で、前記アダプタの段付き凹部に係入した前記一対の挟持板の自由端部と前記アダプタのフランジとにより前記アダプタの取付パネルに対する挿通方向の移動が規制されるとともに、前記一対の挟持板の自由端部と当該挟持板が係入される前記アダプタの段付き凹部とにより前期アダプタの取付パネルに対する第2側壁方向の移動が規制される。
従って、アダプタ取付パネルへ光ケーブル用アダプタを保持させた際に、アダプタの抜けを防止することができるとともに、ガタつきをより低減させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るアダプタ取付パネルによれば、パネル本体に互いに対して離接する方向に弾性変形可能な一対の挟持板を設けることにより、別途アダプタ取付用金具を光ケーブル用アダプタに取り付けることなくアダプタ取付パネルに光ケーブル用アダプタをガタつかせることなく保持させることができる。また、一対の挟持板は、従来のアダプタ取付用金具より構造容易とすることができ、製造コストも低廉化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るアダプタ取付パネルの好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
まず、本発明のアダプタ取付パネルに装着する光ケーブル用アダプタ(以下、光アダプタと称する)の構成について説明する。本実施形態においては、LC型光アダプタの構成を例にとって説明する。前記光ケーブル用アダプタは、互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側に光学的に接続される第1光ケーブル及び第2光ケーブルのコネクタ(以下、光コネクタと称する)がそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられている。
【0019】
図7はLC型光アダプタの斜視図であり、図8は図7の軸線方向断面斜視図である。
LC型光アダプタL1は、図7及び図8に示すように、少なくとも一端側にLC型光コネクタL2が設けられた第1光ケーブルL3が脱着可能に連結されるように構成されている。
本実施形態において、前記LC型光アダプタL1は、光コネクタL2を介して第1光ケーブルL3が連結される第1アダプタハウジングL1aと、同様に光コネクタを介して第2光ケーブル(図示しないが第1光ケーブルL3と同様)が連結される第2アダプタハウジングL1bとを有しており、前記第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1bは互いに同一形状とされている。
即ち、LC型光アダプタL1の一端側を形成する第1アダプタハウジングL1aは、LC型光コネクタL2が設けられた第1光ケーブルL3が脱着可能に連結され、LC型光アダプタL1の他端側を形成する第2アダプタハウジングL1bは、LC型光コネクタが設けられた第2光ケーブル(前記第1光ケーブルL3と同様の構成)が脱着可能に連結される。
【0020】
前記第1アダプタハウジングL1aは、図7及び図8に示すように、垂直配置された左右一対の第1側壁L11と、前記第1側壁L11の上下端辺から左右一対の第1側壁L11同士を連結するように水平に延在した上下一対の第2側壁(上壁L12及び底壁L13と、前記第2アダプタハウジングL1bに連結する端部に外方へ延在するフランジL14と、前記フランジL14内部に設けられ、第1及び第2光ケーブルの挿通方向に沿うように設けられた中空のボス部L15とを有している。また、前記LC型光アダプタL1の前記フランジL14とは反対側の端部には、開口端L18が設けられ、各壁により当該各壁の内方に光コネクタL2を収容可能なコネクタ装着孔L17が形成されている。以上の構成は、前記第2アダプタハウジングL1bについても同様である。
【0021】
そして、前記LC型光アダプタL1は、前記第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1bのフランジL14同士が当接した状態で接合されており、前記ボス部L15の中空部内に前記両ハウジングL1a,L1bが接合した状態で前記第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1b内にわたって挿入される中空のスリーブL16を有している。
なお、図7及び図8の構成においては、第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1bの開口端L18にそれぞれ2つずつコネクタ装着孔L17が設けられているが、これに限られず、前記開口端L18に1つずつ設けることとしてもよい。
また、本実施形態のLC型光アダプタL1は、1つの開口端L18に2つのコネクタ装着孔L17を有する構成(2芯)としているが、これに限られず、4芯、8芯、12芯、24芯等、2以上のコネクタ装着孔L17を有する光アダプタにも本発明は適用可能である。
【0022】
前記LC型光アダプタL1の開口端L18は、上角部が面取り形状とされている。詳しくは、前記上壁L12は、開口端L18側に位置する開口端辺(一端側端辺)L121と、前記開口端辺L121の両端部から前記フランジL14へ向かって延びる一対の側方端辺L122とを含む。また、前記底壁L13は、開口端L18側に位置する開口端辺(一端側端辺)L131と、前記開口端辺L131の両端部から前記フランジL14へ向かって延びる一対の側方端辺L132とを含む。
前記一対の側壁L11は、前記上壁L12の側方端辺L122及び前記底壁L13の側方端辺L132によってそれぞれ画される上方端辺L111及び下方端辺L112と、前記上方端辺L111及び前記下方端辺L112の一端側端部同士を連結する開口端辺(一端側端辺)L113とを含む。
そして、前記上壁L12の開口端辺L121は、前記底壁L13の開口端辺L131よりも他端側に位置している。前記一対の側壁L11(及び2つのコネクタ装着孔L17を区画する中央壁L19)の開口端辺L113(及び中央壁L19の開口端辺L191)は、前記上壁L12との連結部を含む上方領域L114(及び中央壁L19の上方領域L192)が側面視において面取り形状とされている。
【0023】
本実施形態においては、前記上方領域L114,L192は、上方及び一端側へ開く凹状とされている。
即ち、前記LC型光アダプタL1は、上壁L12の一端側端辺L121及び一対の側壁L11又は中央壁L19の一端側端辺L113,L192によって画される一端側上角部が面取り形状とされており、これにより、LC型光コネクタL2の脱着作業の容易化を図っている。
【0024】
このようなLC型光アダプタL1のコネクタ装着孔L17にケーブル素線が被覆されて構成される第1光ケーブルL3を接続可能とするLC型光コネクタL2は、前記第1光ケーブルL3の連結端部側において露出されたケーブル素線に外挿されるフェルールL21と、前記フェルールL21を囲繞するLC型光コネクタ本体L22と、基端部が前記LC型光コネクタ本体L22の上面に上下方向弾性変形可能に固着され且つ先端部が前記基端部から前記第1光ケーブルL3の基端側且つ上方側へ延びる係合片L23と、前記係合片L23から側方へ突出された係合突起L24とを有している。
なお、図7及び図8の構成においては、第1及び第2アダプタハウジングL1aに2つ設けられたコネクタ装着孔L17に対し、2つの光ケーブルを同時に接続させ得るLC型光コネクタL2とされているが、これに限られず、2つある前記コネクタ装着孔L17に対し1つずつ光ケーブルをそれぞれ個別に挿通可能なLC型光コネクタを用いることとしてもよい。
【0025】
一方、前記LC型光アダプタL1の前記コネクタ装着孔L17は、前記LC型光コネクタ本体L22を受け入れる第1空間L171と、前記係合片L23の前記基端部を含む一部を受け入れる第2空間L172とを有し、前記第2空間L172は、前記LC型光コネクタL2を外方から前記第1空間L171内へ挿入するに従って前記係合片L23が下方へ弾性変形するように前記係合突起L24を案内し且つ前記フェルールL21が前記スリーブL16内に突入される連結位置まで前記LC型光コネクタL2が挿入されると前記係合突起L24との係合が解除されるガイド面L173と、前記ガイド面L173の内端側から上方へ延びる係合面L174であって、前記LC型光コネクタL2が前記連結位置に位置する際に前記ガイド面L173及び前記係合突起L24の係合が解除されて前記係合片L23が保有弾性によって上方へ移動することで前記係合突起L24と係合して該LC型光コネクタL2の抜け止めを行う係合面L174とを有している。
【0026】
以上のような構成において、前記LC型光アダプタL1のコネクタ装着孔L17の開口端L18に向けて前記LC型光コネクタL2のLC型光コネクタ本体L22を挿通させることにより両者を接続する。まず、前記LC型光コネクタ本体L22を前記コネクタ装着孔L17の第1空間L171に挿通させることにより、前記LC型光アダプタL1に対する前記LC型光コネクタL2の位置決めが行われる。
【0027】
また、前記コネクタ装着孔L17の第2空間L172内に前記LC型光コネクタL2の係合片L23が挿通され、前記係合片L23に設けられた係合突起L24が前記第2空間L172内のガイド面L173と係合されることにより案内される。前記ガイド面L173は、開口端L18から離間するほど前記LC型光アダプタL1の上壁L12から離間するテーパ面を有しており、前記係合突起L24が案内されることにより、前記係合片L23を軸線中心へ近接する側に弾性変形させる。
さらに奥に挿通され、前記係合突起L24が前記LC型光アダプタL1の係合面L174の位置に来ると、前記ガイド面L173との係合が解除されるため、前記係合片L23の保有弾性により、前記係合突起L24が軸線中心から離間する方向へ移動し、前記係合面L174と係合され、前記LC型光アダプタL1から前記LC型光コネクタL2が抜け出すのを防止する。
なお、前記係合突起L24と前記係合面L174との係合時において、前記フェルールL21の先端部は、スリーブL16内のフランジ側端部を少し越えたあたりに位置される。前記フェルールL21は、前記LC型光コネクタL2に対して軸線方向に移動可能且つ軸線方向先端側に付勢されている。従って、第1光ケーブルと第2光ケーブルとが前記LC型光アダプタL1に接続されると、互いのフェルールL21が先端部同士を押し付けあう状態で当接される。これにより、接続時における光の伝達ロスを可及的に少なくすることができる。また、係合時においても前記係合片L23の保有弾性により前記係合突起L24が前記コネクタ装着孔L17の上壁L12側内面を押圧することにより、意図的に前記フェルールL21の位置が前記スリーブL16内で底壁L13方向に偏心した状態で付勢されるため、第1光ケーブルと第2光ケーブルとが同じように偏心した位置で接続される。従って、互いのフェルールL21の軸中心を軸ぶれさせることなくより同一位置に配置させることができる。
【0028】
ところで、前記LC型光アダプタL1から前記LC型光コネクタL2を引き抜く場合には、前記係合片L23を軸線中心方向に押下することにより、前記係合突起L24と前記係合面L174との係合が解除されるため、この状態のまま、前記LC型光コネクタL2を前記LC型光アダプタL1から引き抜くことができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、前記第1及び第2アダプタハウジングL1a,L1bを同一形状としたが、当然ながら本発明はかかる形態に限定されるものではない。
【0030】
本実施形態においては、上記で説明したLC型光アダプタL1の一端側(第1アダプタハウジングL1a側)にシャッタアッセンブリが装着された構成を有している。
図9及び図10は図7のLC型光アダプタにシャッタアッセンブリが装着された際の斜視図である。図9は、シャッタ部材が閉塞位置にある状態を示し、図10は、シャッタ部材が開放位置にある状態を示す。
【0031】
本実施形態のシャッタアッセンブリは、図9及び図10に示すように、前記LC型光アダプタL1の前記一対の第1側壁L11及び前記一対の第2側壁(上壁L12及び底壁L13)の外周面にそれぞれ当接する一対の第1側面部41及び一対の第2側面部(上面部42及び底面部43)を有し、前記光アダプタL1を囲繞するように該光アダプタL1の一端側に脱着可能に装着されるシャッタハウジング40と、前記一対の側面部41、前記上面部42及び前記底面部43の一端側端辺411,421,431によって画される前記シャッタハウジング40の一端側開口401を開閉し得るように前記底面部43の一端側端辺431に枢支軸44を介して揺動可能に連結されたシャッタ部材50と、前記シャッタハウジング40の前記一端側開口401を閉塞する方向に前記シャッタ部材50を付勢するコイルスプリング60とを備えている。そして、前記シャッタハウジング40が前記光アダプタL1に装着された状態において前記シャッタ部材50が前記シャッタハウジング40の前記一端側開口401を閉塞することにより、前記光アダプタL1の前記コネクタ装着孔L17の開口端L18が閉塞されるものである。
【0032】
上記構成のシャッタアッセンブリによれば、図9及び図10に示すように、前記光アダプタL1の前記第1アダプタハウジングL1a側の前記一対の第1側壁L11及び前記一対の第2側壁(上壁L12及び底壁L13)の外周面に前記シャッタハウジング40の一対の第1側面部41及び一対の第2側面部(上面部42及び底面部43)がそれぞれ当接された状態で装着される。本実施形態においては、前記一対の第1側壁L11には、一対の段付き凹部L115(図13参照)が設けられるとともに、前記一対の側面部41には、当該側面部41の内方且つ前記シャッタハウジング40の前記一端開口401に向かって延びた一対の係合片412が設けられ、前記一対の係合片412が前記一対の段付き凹部L115に係合されることにより、シャッタアッセンブリのシャッタハウジング40が光アダプタL1の一端側に当該光アダプタL1を囲繞するように装着され且つ抜けが防止される。
【0033】
また、前記シャッタハウジング40の底面部43の一端側端辺431にシャッタ部材50が枢支軸44を介して揺動可能に連結されており、シャッタ部材50が枢支軸44回りに揺動することにより前記シャッタハウジング40の一端側開口401が開閉される。前記シャッタ部材50は、コイルスプリング60によりシャッタハウジング40の前記一端側開口401を閉塞する方向に付勢されている。前記シャッタハウジング40が光アダプタL1に装着された状態においてシャッタ部材50を前記コイルスプリング60の付勢力に抗して開放位置に位置させることにより、光コネクタL2を光アダプタL1のコネクタ装着孔L17に接続することができる。一方、接続された光コネクタL2を引き抜くと、コイルスプリング60の保有弾性により、前記シャッタ部材50が前記シャッタハウジング40の前記一端側開口401を閉塞する閉塞位置に自動復帰する。前記シャッタハウジング40の前記一端側開口401が閉塞されることにより、前記光アダプタL1の前記コネクタ装着孔L17の開口端L18が閉塞される。
【0034】
以上のように、LC型光アダプタL1を囲繞するように脱着可能なシャッタハウジング40に揺動可能なシャッタ部材50を設ける構成としたため、LC型光アダプタL1にシャッタハウジング40を装着することにより、LC型光アダプタL1に容易にシャッタ部材50を設けることができる。従って、シャッタ部材を備えていない既存の光アダプタに対しても本シャッタアッセンブリを装着させることにより、シャッタ部材50を容易に設けることができる。
【0035】
上記のようなLC型光アダプタL1を機器に取り付け保持させるために、アダプタ取付パネルが利用される。
図1に、本発明に係る一実施形態におけるアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着した際の斜視図を示す。また、図2から図4に、図1に示すアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着する前の初期状態における上面図、側面図及び斜視図を示す。
本実施形態のアダプタ取付パネル1は、図1から図4に示すように、前記LC型光アダプタL1の他端側(第2アダプタハウジングL1b側)が挿通可能で且つ前記フランジL14が挿通不可の大きさを有する装着孔10が設けられた平板状のパネル本体20を備え、前記LC型光アダプタL1が前記パネル本体20の厚み方向一方側の第1面21側から前記装着孔10に挿入されることで前記LC型光アダプタL1の一部が前記第1面21とは反対の第2面22側に位置する際に前記一対の第1側壁L11のうち前記パネル本体20の第2面22側に位置する部分を挟持するように、前記第2面22には前記装着孔10を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板30が設けられている。
【0036】
前記一対の挟持板30は、基端部が前記パネル本体20の前記第2面22に一体的に連結され且つ基端部から自由端部へ行くに従って他方の挟持板30に近接するように傾斜されており、前記一対の挟持板30は、前記LC型光アダプタL1が前記装着孔10に挿入される前の初期状態において、前記自由端部の間の離間距離XPが前記LC型光アダプタL1における対応する一対の第1側壁L11間の距離XL1よりも小さいように構成されている。
本実施形態において、前記アダプタ取付パネル1(前記パネル本体20及び前記一対の挟持板30)は、樹脂等により一体成型されている。なお、前記パネル本体20と前記一対の挟持板30とを別部品として製作し、組み付けることも可能である。
【0037】
上記構成のアダプタ取付パネル1によれば、平板状のパネル本体20に設けられた装着孔10にパネル本体20の第1面21側から前記LC型光アダプタL1の第2アダプタハウジングL1b側を前記LC型光アダプタL1の第1側面L11が前記パネル本体20に対して略垂直となるように挿入する。
ここで、前記パネル本体20の第2面22側には、前記装着孔10を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板30が設けられている。前記一対の挟持板30は、前記LC型アダプタL1が前記装着孔10に挿入される前の初期状態(図2から図4に示す)において、前記自由端部の間の離間距離XPが前記LC型光アダプタL1における対応する一対の第1側壁L11間の距離XL1よりも小さいため、前記LC型光アダプタL1が前記装着孔10に挿通される際、前記一対の挟持板30が押し広げられる。
これにより、前記一対の挟持板30が前記LC型光アダプタL1の一対の第1側壁L11のうちパネル本体20の第2面22側に位置する部分を挟持した際、前記一対の挟持板30には前記LC型光アダプタL1を保持する方向に付勢力が発生する。従って、LC型光アダプタL1のパネル本体20への装着状態が保持される。
【0038】
ここで、本実施形態においては、さらに、前記LC型アダプタL1には、第2アダプタハウジングL1bにおける一対の前記第1側壁L11にも一対の段付き凹部L115が形成されており、前記LC型光アダプタL1を前記第1面21側から前記装着孔10内に挿入して前記フランジL14が前記第1面21に当接する際に、前記一対の挟持板30の前記自由端部が前記一対の段付き凹部L115に係入するように構成される。
より詳しくは、前記段付き凹部L115は、図2に示すように、底面が前記第1側壁L11と平行に形成される一方、前記一対の挟持板30の前記自由端部には、前記LC型光アダプタL1が前記装着孔10に挿入される前の初期状態において、前記パネル本体20に略垂直な当接面31を有し、前記一対の挟持板30の対向する当接面30間の距離(即ち、前記離間距離XP)が、前記LC型光アダプタL1における前記段付き凹部L115の底面間距離XL2と略同じであるように構成されている。
【0039】
従って、LC型光アダプタL1が装着孔10に挿通された際、前記LC型光アダプタL1のフランジL14がパネル本体20の第1面21に当接した位置で、一対の挟持板30の自由端部が前記LC型光アダプタL1の第1側壁L11に形成された段付き凹部L115に係入される。
このとき、前記段付き凹部L115の底面と前記一対の挟持板30の当接面31とは、略平行な状態で当接する。即ち、前記段付き凹部L115の底面と前記当接面31とは、面接触する。なお、前記初期状態における前記一対の挟持板30の前記離間距離XPが、前記LC型光アダプタL1における前記底面間距離XL2より短く且つ前記段付き凹部115の底面と前記一対の挟持板30とが略平行な状態で当接するように構成してもよい。
【0040】
本実施形態において、前記一対の挟持板30の当接面31は、上下方向長さ(前記第1側壁L11に平行且つ挿通方向に直交する長さ)ZPが前記LC型光アダプタL1における前記段付き凹部L115の上下方向長さZLと略同じ長さを有している。さらに、前記初期状態における前記一対の挟持板30の自由端部から前記パネル本体20の第2面22までの距離YPは、前記LC型光アダプタL1における前記段付き凹部L115の前記第2アダプタハウジングL1b側の開口端L18側端辺と前記パネル本体20の第1面21に当接する前記フランジL14の当接面との距離(挿通方向距離)YLと略同じ長さを有している。
【0041】
これにより、前記一対の挟持板30の付勢力により前記LC型光アダプタL1のアダプタ取付パネル1に対する第1側壁L11方向(ここでは、左右方向)の移動が規制された上で、前記LC型光アダプタL1の段付き凹部L115に係入した前記一対の挟持板30の自由端部(当接面31)と前記LC型光アダプタL1のフランジL14とにより前記LC型光アダプタL1のアダプタ取付パネル1に対する挿通方向の移動が規制される(抜けが防止される)とともに、前記一対の挟持板30の自由端部(当接面31)と当該挟持板30が係入される前記LC型光アダプタL1の段付き凹部L115とにより前記LC型光アダプタL1のアダプタ取付パネル1に対する第2側壁(上壁L12及び底壁L13)方向(上下方向)の移動が規制される。
【0042】
このように、パネル本体20に互いに対して離接する方向に弾性変形可能な一対の挟持板30を設けることにより、別途アダプタ取付用金具をLC型光アダプタL1に取り付けることなくアダプタ取付パネル1にLC型光アダプタL1をガタつかせることなく保持させることができる。また、一対の挟持板30は、従来のアダプタ取付用金具より構造容易とすることができ、製造コストも低廉化させることができる。
また、一対の挟持板30の自由端部をLC型アダプタL1の段付き凹部L115に係入させることにより、取付パネル20へLC型光アダプタL1を保持させた際に、当該LC型光アダプタL1の抜けを有効に防止することができるとともに、上下左右へのガタつきをより低減させることができる。
【0043】
本実施形態において、前記アダプタ取付パネル1は、複数の装着孔10を有している。前記複数の装着孔10は、左右方向に複数個の装着孔10を有する装着孔列を有し、当該装着孔列が上下に複数列(ここでは2列)設けられている。
図5及び図6に、本実施形態のアダプタ取付パネルの装着孔の全てにLC型光アダプタが装着された場合の前方及び後方斜視図を示す。
本実施形態において、前記アダプタ取付パネル1の装着孔10に取り付けられる前記LC型光アダプタL1は、装着される装着孔10の上側列と下側列とで前記LC型光アダプタL1の上下が異なるように装着される。より具体的には、前記装着孔10の上側列及び下側列に装着される前記LC型光アダプタL1は、前記シャッタアッセンブリにおける前記シャッタ部材50の枢支軸44が互いに近接するような向きで装着されている。
これにより、何れの装着孔10に装着されたLC型光アダプタL1においてもシャッタ部材50の回動及び光コネクタL2の装着作業をより容易に行うことができる。
【0044】
このようにして、複数の装着孔10にLC型光アダプタL1が装着された状態で、前記パネル本体20の両端部に設けられた取付孔23により、ねじ部材等を介して前記アダプタ取付パネル1が機器へ取り付けられる。
【0045】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、上記実施形態においては、前記一対の挟持板30が装着孔10の左右両辺に設けられている構成を例示したが、これに限られず、前記一対の挟持板30を上下両辺に設ける構成としてもよい。
また、装着孔10の数や配列は、本実施形態の構成に限られず、種々採用可能である。
さらに、上記実施形態においては、装着孔10に装着される光ファイバ用アダプタとして側面視における一端側端辺の形状が上角部において面取り形状とされたLC型光アダプタL1に適用した例について説明したが、これに限られず、例えば、側面視における一端側端辺の形状が略垂直方向に沿った直線状とされたSC型光アダプタに適用する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明に係る一実施形態におけるアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着した際の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着する前の初期状態における上面図である。
【図3】図3は、図1に示すアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着する前の初期状態における側面図である。
【図4】図4は、図1に示すアダプタ取付パネルにLC型光アダプタを装着する前の初期状態における斜視図である。
【図5】図5は、前記光ケーブル用コネクタにおけるフェルール及び可撓性チューブの部分断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る光ケーブル用コネクタの斜視図である。
【図7】図7は、LC型光アダプタの斜視図である。
【図8】図8は、図7の軸線方向断面斜視図である。
【図9】図9は、図7のLC型光アダプタにシャッタアッセンブリが装着された際のシャッタ部材が閉塞位置にある状態における斜視図である。
【図10】図10は、図7のLC型光アダプタにシャッタアッセンブリが装着された際のシャッタ部材が開放位置にある状態における斜視図である。
【図11】図11は、従来のアダプタ取付用金具を用いてアダプタ取付パネルに光アダプタを装着する場合の斜視組み付け図である。
【符号の説明】
【0047】
1 アダプタ取付パネル
10 装着孔
20 パネル本体
21 パネル本体の第1面
22 パネル本体の第2面
30 挟持板
31 当接面(挟持板の自由端部)
L1 LC型光アダプタ(光ケーブル用アダプタ)
L2 光コネクタ
L11 第1側壁
L12 上壁(第2側壁)
L13 底壁(第2側壁)
L14 フランジ
L115 段付き凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側の間に外方へ延在するフランジが設けられ、且つ、一端側及び他端側に光学的に接続される第1及び第2光ケーブルのコネクタがそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられた光ケーブル用アダプタを保持するために利用されるアダプタ取付パネルであって、
前記アダプタの一端側又は他端側が挿通可能で且つ前記フランジが挿通不可の大きさを有する装着孔が設けられた平板状のパネル本体を備え、
前記アダプタが前記パネル本体の厚み方向一方側の第1面側から前記装着孔に挿入されることで前記アダプタの一部が前記第1面とは反対の第2面側に位置する際に前記一対の第1側壁のうち前記パネル本体の第2面側に位置する部分を挟持するように、前記第2面には前記装着孔を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板が設けられ、
前記一対の挟持板は、基端部が前記パネル本体の前記第2面に一体的に連結され且つ基端部から自由端部へ行くに従って他方の挟持板に近接するように傾斜されており、
前記一対の挟持板は、前記アダプタが前記装着孔に挿入される前の初期状態において、前記自由端部の間の離間距離が前記アダプタにおける対応する一対の第1側壁間の距離よりも小さいことを特徴とするアダプタ取付パネル。
【請求項2】
前記アダプタを前記第1面側から前記装着孔内に挿入して前記フランジが前記第1面に当接する際に、前記一対の挟持板の前記自由端部が前記アダプタの前記第1側壁に形成された段付き凹部に係入することを特徴とする請求項1に記載のアダプタ取付パネル。
【請求項1】
互いに対向する一対の第1側壁及び一対の第2側壁を有する断面視略矩形状で一端側及び他端側の間に外方へ延在するフランジが設けられ、且つ、一端側及び他端側に光学的に接続される第1及び第2光ケーブルのコネクタがそれぞれ脱着可能に連結されるコネクタ装着孔が設けられた光ケーブル用アダプタを保持するために利用されるアダプタ取付パネルであって、
前記アダプタの一端側又は他端側が挿通可能で且つ前記フランジが挿通不可の大きさを有する装着孔が設けられた平板状のパネル本体を備え、
前記アダプタが前記パネル本体の厚み方向一方側の第1面側から前記装着孔に挿入されることで前記アダプタの一部が前記第1面とは反対の第2面側に位置する際に前記一対の第1側壁のうち前記パネル本体の第2面側に位置する部分を挟持するように、前記第2面には前記装着孔を挟んで対向し且つ互いに対して接離する方向に弾性変形可能な一対の挟持板が設けられ、
前記一対の挟持板は、基端部が前記パネル本体の前記第2面に一体的に連結され且つ基端部から自由端部へ行くに従って他方の挟持板に近接するように傾斜されており、
前記一対の挟持板は、前記アダプタが前記装着孔に挿入される前の初期状態において、前記自由端部の間の離間距離が前記アダプタにおける対応する一対の第1側壁間の距離よりも小さいことを特徴とするアダプタ取付パネル。
【請求項2】
前記アダプタを前記第1面側から前記装着孔内に挿入して前記フランジが前記第1面に当接する際に、前記一対の挟持板の前記自由端部が前記アダプタの前記第1側壁に形成された段付き凹部に係入することを特徴とする請求項1に記載のアダプタ取付パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−229997(P2009−229997A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77682(P2008−77682)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]