説明

光コネクタ清掃工具、光コネクタの清掃方法

【課題】表面実装型光コネクタの接合面中央部の清掃をむら無く容易に実現する技術の提供。
【解決手段】清掃テープ11にその長手方向の一部をテープ送り機構が組み込まれたケース20から表出させた表出部11cが確保され、表出部11cがケース20に支持されたテープ受け弾性部材32の細長板状のテープ受け板32aに沿って延在配置され、前記テープ受け弾性部材32は、前記テープ受け板32aの幅方向両側から一対の側板部32cが延出し、各側板部32cの先端から互いに対向する相手側の側板部32cとは反対の外面側に張り出し前記ケース20に支持された張り出し板部32dを有する光コネクタ清掃工具、それを用いた光コネクタの清掃方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタの接合面を、清掃テープの送り移動によって拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具、この光コネクタ清掃工具を用いた光コネクタの清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタは、突き合わせ接合用の先端面(接合面。以下、接合端面)に汚れや異物が付着していると、着脱時の損傷や伝送損失の増大などの原因になるため、突き合わせ接続に先だって、接合端面を清掃する必要がある。
これに鑑みて、近年では、光コネクタの接合端面の清掃に好適に使用できる清掃工具(光コネクタ清掃工具)が提供されている。光コネクタ清掃工具としては、例えば、ケースに長孔状に形成した開口窓に表出させた清掃テープに、前記開口窓に挿入した光コネクタの接合端面を擦って清掃する構成のものが提案されている(以下、第1従来工具。例えば特許文献1)。
【0003】
また、光コネクタ清掃工具としては、清掃テープを送り移動するテープ送り機構が組み込まれた工具本体を有し、該工具本体から突出するヘッド部先端に巻き掛けた清掃テープを、前記ヘッド部先端によって光コネクタの接合端面に押圧した状態で送り移動して、前記接合端面を拭き取り清掃する方式のものもある(以下、第2従来工具。例えば特許文献2)。
また、光コネクタ清掃工具としては、糸状の清掃体を、回転駆動可能な回転シャフト先端のヘッド部に巻き掛けた構成のものもある(以下、第3従来工具。例えば特許文献3)。この光コネクタ清掃工具は、前記ヘッド部を光コネクタの接合端面に押圧したまま、前記ヘッド部及び回転シャフトの軸回り回転と糸状清掃体の送り移動とによって前記接合端面を清掃する。
第2、第3従来工具は、作業者が手指で把持可能な工具本体から突出する筒状突出部の先端に前記ヘッド部を有する。前記筒状突出部は、光コネクタアダプタに挿入することで、光コネクタアダプタに該筒状突出部とは反対の側から挿入嵌合された光コネクタの接合端面に前記ヘッド部が対面するように、光コネクタアダプタによって光コネクタに対して位置決めできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4163083号公報
【特許文献2】特許第4579330号公報
【特許文献3】特開2001−246343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光コネクタとしては、例えばSC形光コネクタ、MT形光コネクタ、MPO形光コネクタのように、光ファイバの先端面を接合端面に露出させて前記光ファイバ先端部に組み立てられるものが一般的である。光ファイバの先端面を接合端面に露出させて組み立てられる光コネクタを、以下、ファイバ先端露出形光コネクタとも言う。
ここで、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)は、JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ、あるいは、IEC(国際電気標準化会議) 60874−14:1993、又はIEC 60874−19:1995に準拠する光コネクタを指す。MT形光コネクタ(MT:Mechanically Transferable)は、JIS C 5981に制定されるF12形光コネクタ、あるいはIEC 60874−16:1994に準拠する光コネクタを指す。MPO形光コネクタ(MPO:Multi-fiber Push On)は、JIS C5982に制定されるF13形光コネクタ。あるいはIEC 61754−7に準拠する光コネクタを指す。
【0006】
また、近年、例えば光素子(受光素子又は発光素子)をハウジングに組み込んで回路基板上に実装したモジュールに取り付けて前記光素子に対して光ファイバを光結合する光コネクタとして、前記モジュールのハウジング上面に接合させる接合面を形成したボディに、光ファイバの先端部が前記接合面に沿う向きで内挿固定される構成の光コネクタが実用化されている。この光コネクタを、以下、表面実装型光コネクタとも言う。
【0007】
この表面実装型光コネクタとしては、アクリル樹脂等の、屈折率が空気よりも大きい透明プラスチック製の板状のボディを用い、該ボディに内挿固定した光ファイバ先端の入射光又は出射光を反射してボディ片面の接合面に概ね直交する屈曲した光路を形成する凹所をボディに設けたものが提案されている。前記凹所は、その内面の一部が、前記入射光又は出射光を反射する反射面とされている。この表面実装型光コネクタを、以下、屈曲光路透過型光コネクタとも言う。
前記屈曲光路透過型光コネクタは、前記光素子に位置決めして前記接合面をハウジング上面に接合し前記モジュールに取り付けることで、前記凹所の反射面を介して形成される光路を以て光素子と光ファイバとを光結合できる。なお、前記モジュールの光素子は、前記モジュールのハウジングに形成された透光窓を介して、ハウジング上面側に対する受発光が可能になっている。
【0008】
前記屈曲光路透過型光コネクタは、ボディに内挿固定された光ファイバ先端の入射光又は出射光の光路が、接合面の中央部を通る構成となっている。そして、屈曲光路透過型光コネクタは、接合面中央部の汚れや異物の付着が伝送損失の増大に与える影響が大きいため、前記モジュールのハウジング上面への接合面の接合に先だって、特に接合面中央部の清掃を確実に行う必要がある。しかしながら、これまで、屈曲光路透過型光コネクタの接合面中央部の清掃をむら無く容易に実現できる光コネクタ清掃工具が無いのが実情である。
【0009】
前記屈曲光路透過型光コネクタは、その接合面のサイズが、ファイバ先端露出形光コネクタの接合端面に比べて格段に大きい板状になっている。例えば、既述の第1従来工具は、ケースの開口窓に挿入した光コネクタの接合端面全体を清掃テープに擦って清掃する構成である。この工具を用いて屈曲光路透過型光コネクタの接合面全体を清掃テープに押圧し清掃する場合、ケースの開口窓に挿入したコネクタを作業者が手指で清掃テープに均等に押し付けることは実際には難しく、コネクタの接合面中央部の清掃むらが生じやすい。
【0010】
第2、第3従来工具は、作業者が手指で工具本体を把持して操作し、ヘッド部を屈曲光路透過型光コネクタの接合面中央部に位置合わせして押圧することで、清掃テープを屈曲光路透過型光コネクタの接合面中央部に押し付け可能である。しかしながら、この工具は、ヘッド部先端の接合面中央部に対する押圧向きの安定化が難しく、接合面中央部をむら無く清掃することは容易でない。
【0011】
このような事情に鑑みて、屈曲光路透過型光コネクタの接合面中央部の清掃は、作業者が綿棒を用いて手作業で行って行っているのが実情である。しかしながら、綿棒を用いた手作業での清掃は、作業者の技量に依存するため、良好な清掃状態を安定に得ることが難しい、作業性が低いといった問題があった。
【0012】
本発明は、前記課題に鑑みて、表面実装型光コネクタの接合面中央部の清掃をむら無く容易に実現できる光コネクタ清掃工具、光コネクタの清掃方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光コネクタの接合面を清掃するための清掃テープの供給及び巻き取りを行うテープ送り機構がケースに組み込まれ、前記清掃テープにその長手方向の一部を前記ケースから表出させた表出部が確保され、前記表出部が前記ケースに支持されたテープ受け弾性部材の細長板状のテープ受け板に沿って延在配置され、前記テープ受け弾性部材は、前記テープ受け板の幅方向両側から一対の側板部が延出し、各側板部の先端から互いに対向する相手側の側板部とは反対の外面側に張り出す張り出し板部を有し、前記張り出し板部が前記ケースに支持されていることを特徴とする光コネクタ清掃工具を提供する。
第2の発明は、前記光コネクタは、前記接合面が形成されたボディに光ファイバの先端部が前記接合面に沿う方向に内挿固定されていることを特徴とする第1の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第3の発明は、前記光コネクタは、前記光ファイバの入射光又は出射光の光路を前記光ファイバ先端の光軸に対して曲げて前記接合面に延在形成された溝部を通るように形成する光軸変更部が前記ボディに設けられ、前記テープ受け弾性部材の前記テープ受け板に、前記光コネクタの前記接合面に形成された溝部に挿入されて前記溝部の溝底面に前記清掃テープを押圧するための突条部が、前記清掃テープの送り方向に沿って突設されていることを特徴とする第2の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第4の発明は、前記テープ送り機構を前記ケースに組み込んでなる工具本体と、該工具本体に突設されたテープガイド部材の先端部に前記清掃テープが巻き掛けられ、前記清掃テープに、前記テープガイド部材先端部と前記工具本体のケースとの間に露出する表出部を確保した清掃ヘッド部とを具備し、前記テープガイド部材に前記テープ受け弾性部材が設けられていることを特徴とする第1〜3のいずれか1つの発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第5の発明は、前記テープガイド部材は、その先端部に巻き掛けられた前記清掃テープの前記テープガイド部材先端部と前記工具本体との間に延在する一対の清掃ヘッド側延在部の一方を覆う背面カバー部を有し、前記清掃テープの一対の清掃ヘッド側延在部の他方の少なくとも一部が前記表出部とされていることを特徴とする第4の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第6の発明は、前記テープガイド部材に、前記清掃テープの前記表出部に前記接合面を接触させた前記光コネクタの側面を当接させるコネクタ当接部を有し、前記テープ送り機構は、前記コネクタ当接部が、該コネクタ当接部を介して前記工具本体とは反対の側に配置された前記テープ受け弾性部材よりも前記清掃テープの送り方向下流側となる向きで前記清掃テープを送り移動することを特徴とする第4又は5の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第7の発明は、前記清掃ヘッド部に挿脱可能に外挿される筒状の清掃補助具をさらに有し、前記清掃補助具は、前記清掃テープの前記表出部を前記清掃ヘッド部に外挿した該清掃補助具から表出させるテープ表出用窓孔と、該テープ表出用窓孔に表出する前記清掃テープに前記接合面を当接させた前記光コネクタを、前記ケースあるいは第6の発明の前記コネクタ当接部との間に保持する保持用当接壁部とを有することを特徴とする第4〜6のいずれか1つの発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第8の発明は、前記清掃補助具は、前記テープ表出用窓孔を開閉する開閉蓋を有することを特徴とする第7の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第9の発明は、第1〜8のいずれか1つの発明の光コネクタ清掃工具を用いて光コネクタの接合面を清掃する方法であって、前記光コネクタは、前記接合面が形成されたボディに光ファイバの先端部が前記接合面に沿う方向に内挿固定され、前記光ファイバの入射光又は出射光の光路を前記光ファイバ先端の光軸に対して接合面側に曲げる光軸変更部が前記ボディに設けられたものであり、この光コネクタに前記接合面を表出させる脱着可能なカバー部材を組み付けてなるカバー付き光コネクタを組み立て、このカバー付き光コネクタの前記光コネクタの接合面を前記清掃テープの表出部に押し付けることを特徴とする光コネクタの清掃方法を提供する。
第10の発明は、前記光コネクタ清掃工具は、前記清掃テープの表出部の幅方向両側にそのテープ長手方向に沿って延在する一対のカバー付き光コネクタ位置決め壁を有し、前記テープ受け弾性部材が、前記一対のカバー付き光コネクタ位置決め壁間に、該カバー付き光コネクタ位置決め壁の延在方向に前記テープ受け板の長手方向を揃えて設けられ、前記前記カバー部材には、前記テープ受け弾性部材とその両側のカバー付き光コネクタ位置決め壁との間に確保された隙間に挿入可能な一対の位置決め突部が突設され、前記カバー部材の前記一対の位置決め突部を前記隙間に挿入して、前記光コネクタの接合面を前記清掃テープの表出部に押し付けることを特徴とする第9の発明の光コネクタの清掃方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光コネクタの接合面を、清掃テープの表出部に押し付けたとき、テープ受け弾性部材の弾性によって、清掃テープの接合面に対する押圧力を適切に確保できる。このため、表面実装型光コネクタの接合面中央部の清掃をむら無く容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1実施形態の光コネクタ清掃工具を示す全体斜視図である。
【図2】図1の光コネクタ清掃工具を示す側面図である。
【図3】図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部付近を示す側面図である。
【図4】図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部付近のその上側から見た構造を示す斜視図である。
【図5】図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部付近のその下側から見た構造を示す斜視図である。
【図6】図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部付近の構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は清掃テープを省略して示した斜視図である。
【図7】(a)、(b)は図1の光コネクタ清掃工具のテープガイド部材を示す斜視図である。
【図8】図1の光コネクタ清掃工具のテープ受け弾性部材を示す斜視図である。
【図9】図1の光コネクタ清掃工具のテープ受け弾性部材を示す正面図である。
【図10】図1の光コネクタ清掃工具を用いて清掃する光コネクタ(光軸変更部付き光コネクタ)の一例を示す斜視図である。
【図11】図10の光コネクタを示す図であって、(a)は背面側から見た図(平面図)、(b)は側面図、(c)は接合面側から見た図(下面図)である。
【図12】図10の光コネクタ外側に装着するカバー部材の一例を示す図であって、(a)は背面側から見た斜視図、(b)は背面側とは反対のカバー開口側から見た斜視図である。
【図13】図10の光コネクタに図12のカバー部材を装着して組み立てたカバー付き光コネクタを示す図であって、(a)は背面側から見た図(平面図)、(b)は側面図、(c)は接合面側から見た図(下面図)である。
【図14】(a)は図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部上に図13のカバー付き光コネクタを載置する作業を説明する図、(b)は光コネクタの接合面から窪む溝部と前記清掃ヘッド部のテープ受け弾性部材の突条部との関係を説明する拡大図である。
【図15】図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部上に図13のカバー付き光コネクタを載置した状態を説明する図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図16】図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部と、該清掃ヘッド部に外挿した清掃補助具の補助具本体との関係を説明する図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図17】図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部に、清掃補助具の補助具本体を外挿した状態を示す斜視図である。
【図18】図1の光コネクタ清掃工具の清掃ヘッド部に外挿する清掃補助具を構成する補助具本体及び蓋部材を示す斜視図である。
【図19】図18の清掃補助具の補助具本体の、その後端側から見た構造を示す斜視図である。
【図20】清掃補助具の変形例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2に示すように、この実施形態の光コネクタ清掃工具10(以下、単に清掃工具とも言う)は、扁平なケース20に、清掃テープ11を巻回した供給リール23、及び該供給リール23の清掃テープ11を巻き取るための巻き取りリール24を組み込んだ工具本体12を有する。前記ケース20は、扁平容器状のリール収容部21を有する。供給リール23及び巻き取りリール24は、前記リール収容部21に、該リール収容部21の厚み方向の回転軸線を以て軸回り回転可能として組み込まれている。
【0017】
前記ケース20は、前記リール収容部21から突出する筒状突出部22を有する。
図4、図6(a)、(b)に示すように、この光コネクタ清掃工具10は、前記筒状突出部22先端から突出するテープガイド部材31にテープ受け弾性部材32(後述)を一体化してなるテープ受けユニット30を含む。
以下、光コネクタ清掃工具10について、前記テープ受けユニット30側を前、工具本体12の前記テープ受けユニット30とは反対側の端部が位置する側を後として説明する。また、光コネクタ清掃工具10について、図2における上側を上、下側を下として説明する。但し、光コネクタ清掃工具10は、必ずしも、図2における上側を上、下側を下として使用する必要は無く、使用時の向きには限定は無い。
【0018】
図4、図7(a)、(b)に示すように、テープガイド部材31は、ケース20の筒状突出部22の前側に配置されるガイド部材本体31aの後端のガイド後壁部31bから後側へ延出する取付部31cを有し、この取付部31cを筒状突出部22先端部(前端部)内側に固定して工具本体12(具体的にはケース20)に取り付けられている。
図1に示すように、図示例の光コネクタ清掃工具10のケース20は、その厚み方向両側のケース半体20a、20bを固定手段を用いて互いに固定して一体化した半割り構造になっている。図1、図4、図5の符号20cはケース半体20a、20bの合わせ目である。固定手段としては、例えば、一対のケース半体20a、20bを互いに締結固定する止めねじ、一対のケース半体20a、20bの一方に突設され他方に係合する係合爪等を採用できる。前記テープガイド部材31は、一対のケース半体20a、20bを一体化する際に、各ケース半体20a、20bにおける前記筒状突出部22を構成する部分(突出部形成片部)の間に取付部31cを挟み込むことで固定される。
【0019】
図7(a)、(b)に示すように、図示例のテープガイド部材31の取付部31cは、ガイド部材本体31aのガイド後壁部31bから後側へ延出する幹部31dの後端部に、該幹部31dの延在方向に垂直に突出する固定用突片31eを有する構成となっている。そして、テープガイド部材31は、取付部31c後端部の固定用突片31eを、ケース半体20a、20bの突出部形成片部内面に形成された位置決め凹所に挿入して、ケース20に対する位置ずれを規制して、ケース20に取り付けられている。
【0020】
図示例のテープガイド部材31はプラスチック製の一体成形品である。
但し、テープガイド部材31としては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成のものであっても良い。
【0021】
図4、図5、図7(a)、(b)に示すように、テープガイド部材31のガイド部材本体31aは、ガイド後壁部31bと、ガイド後壁部31bの両側から前側へ延出する一対のガイド側壁部31fと、一対のガイド側壁部31fの前端同士を橋絡するガイド前壁部31gと、一対のガイド側壁部31fの下端部同士を橋絡するガイド底壁部31hとを有する。ガイド前壁部31gはテープガイド部材31前端部(先端部)を構成する。
一対のガイド側壁部31fは、上下方向及び前後方向に垂直の幅方向に間隔をあけて、互いに平行に前後方向に延在形成されている。また、一対のガイド側壁部31fは、ガイド底壁部31hに対して垂直に形成されている。テープ受けユニット30において、一対のガイド側壁部31fの間隔方向に一致する方向が幅方向である。
【0022】
ガイド前壁部31gには、清掃テープ11を通すためのテープ挿通孔31iが上下方向に形成されている。前記テープ挿通孔31iは、ガイド前壁部31g上面に開口している。また、図3、図7(b)に示すように、ガイド前壁部31gにおける前記テープ挿通孔31iの後側に位置する部分(以下、巻き掛け用壁部31j)は、ガイド底壁部31hよりも上方に位置し、ガイド底壁部31hから離隔されている。巻き掛け用壁部31jとガイド底壁部31hとの間には、清掃テープ11を通すためのクリアランスc1が確保されている。
【0023】
図3、図4等に示すように、この光コネクタ清掃工具10は、清掃テープ11の供給リール23と巻き取りリール24との間に位置する部分を、テープガイド部材31前端部(先端部)の前記テープ挿通孔31iに通し、巻き掛け用壁部31jに巻き掛けている。この光コネクタ清掃工具10は、清掃テープ11を、ガイド部材本体31aの巻き掛け用壁部31jに巻き掛けた清掃ヘッド部33を有する。清掃ヘッド部33は、ガイド部材本体31aと、該ガイド部材本体31aに設けられたテープ受け弾性部材32と、清掃テープ11の長手方向において巻き掛け用壁部31j前側からガイド部材本体31a後端の範囲に延在配置された部分とで構成されている。
【0024】
清掃テープ11としては、特に限定されるものではなく、例えば公知の適当な不織布又は織布をテープ状に加工したものを採用できる。不織布、織布としては、例えば、ポリエステルやナイロンなどの極細の繊維からなるもの等を例示できる。
前記清掃テープ11は、清掃テープ11の供給リール23と巻き取りリール24との間に、ケース20のリール収容部21から、該リール収容部21の内側空間に連通する筒状突出部22内側(内側空間)に引き込み、テープガイド部材31前端部の巻き掛け用壁部31jに巻き掛けた部分である中間引き出し部11aを有する。
【0025】
光コネクタ清掃工具10のケース20のリール収容部21は、作業者が片手の手指で把持できる。リール収容部21は、作業者が手指で把持する把持部としても機能する。
この光コネクタ清掃工具10は、巻き取りリール24が供給リール23の前側に配置された構成になっている。リール収容部21は、前後方向に延在する細長形状に形成されており、作業者が片手の手指で把持しやすくなっている。
【0026】
また、光コネクタ清掃工具10は、巻き取りリール24に同軸に固定されたリング状のダイヤル部25の外周部の一部が、リール収容部21前端部のダイヤル用開口部26からリール収容部21外側に突出された構成となっている。したがって、この光コネクタ清掃工具10は、例えば、作業者が、リール収容部21を把持した手の指でダイヤル部25を回転させ、これにより清掃テープ11を巻き取りリール24に巻き取ることができる。図示例の光コネクタ清掃工具10は、ダイヤル部25を図1、図2において時計回りに回転させることで、清掃テープ11を巻き取りリール24に巻き取ることができる。また、この光コネクタ清掃工具10は、ダイヤル部25を図1、図2において時計回りに回転させたとき、清掃テープ11に作用する引っ張り力によって供給リール23が巻き取りリール24に従動回転し、清掃テープ11が供給リール23側から巻き取りリール24に向かって送り移動される。
【0027】
なお、前記ダイヤル用開口部26は、具体的には、リール収容部21前端部の上部に形成されている。
また、ケース20の筒状突出部22は、リール収容部21前端部の前記ダイヤル用開口部26を避けた位置(図示例ではリール収容部21前端部の下部)から突出している。
また、リール収容部21には、巻き取りリール24のテープ巻き取り方向への回転(図1、図2において時計回りの回転)を許容し、反対方向の回転を規制する不図示の逆転防止機構が設けられている。この逆転防止機構としては、例えばラチェット機構を利用したもの等を採用できる。リール収容部21には、前記逆転防止機構と、巻き取りリール24と、供給リール23とを有してなるテープ送り機構27が組み込まれている。
【0028】
図3、図7(a)、(b)等に示すように、テープガイド部材31の一対のガイド側壁部31fの上端は、ガイド前壁部31g(より具体的には巻き掛け用壁部31j)上面と面一になっている。テープガイド部材31は、ガイド側壁部31fの上端が、ガイド前壁部31g(より具体的には巻き掛け用壁部31j)上面よりも下方に位置する構成も採用可能である。ガイド後壁部31bは、ガイド側壁部31f及びガイド前壁部31gよりも上方に突出して形成されている。
【0029】
図3、図7(b)に示すように、テープガイド部材31のガイド後壁部31bの上端部には、清掃テープ11を通すテープガイド孔31k(図7(b)参照)が、前後方向に貫通されている。このテープガイド孔31kは、その断面形状がテープ受けユニット30幅方向に延在する細長のスリット状に形成されている。このテープガイド孔31kは、ガイド側壁部31f及びガイド前壁部31gよりも僅かに上方に形成されている。このテープガイド孔31kには、清掃テープ11の中間引き出し部11aのうち、巻き掛け用壁部31j前側に配置された部分(以下、巻き掛け前端部11b)よりもテープ送り方向下流側、すなわち巻き掛け前端部11bよりも巻き取りリール24側に位置する部分が挿通される。
【0030】
清掃テープ11の中間引き出し部11aのうち、巻き掛け前端部11bからテープ送り方向上流側、すなわち供給リール23側の部分は、巻き掛け用壁部31jとガイド底壁部31hとの間のクリアランスc1に引き通され、さらに該クリアランスc1から後方へ延在されている。
なお、テープガイド部材31のガイド後壁部31bは、ガイド底壁部31h後端から後側にずれた位置に設けられ、かつ、その下端がガイド底壁部31hよりも上方に位置しており、清掃テープ11の挿通、送り移動の障害にならない。
また、テープガイド部材31の取付部31cは、巻き掛け用壁部31jと供給リール23との間、及び巻き掛け用壁部31jと巻き取りリール24との間に張設される清掃テープ11を避けるように、その形状が調整されるため、清掃テープ11の送り移動の障害にならない。
【0031】
清掃テープ11は、その長手方向の大部分が、ケース20とテープガイド部材31とによって覆われている。
但し、この光コネクタ清掃工具10は、清掃テープ11のうち、巻き掛け用壁部31jとガイド後壁部31bとの間に延在する部分が、ケース20及びテープガイド部材31によって覆われずに表出された表出部11cとされている。
図4、図15(b)等に示すように、この表出部11cは、ガイド部材本体31aを平面視したとき、一対のガイド側壁部31fの間に位置し、巻き掛け用壁部31jとガイド後壁部31bとの間に延在している。
【0032】
前記清掃テープ11の中間引き出し部11aは、前記巻き掛け用壁部31jと前記工具本体12との間に延在する一対の清掃ヘッド側延在部11d、11eを含む。
前記表出部11cは、一対の清掃ヘッド側延在部の一方(符号11eの清掃ヘッド側延在部)に確保されている。
前記ガイド底壁部31hは、一対の清掃ヘッド側延在部の他方を覆う背面カバー部として機能する。前記表出部11cは、ガイド部材本体31aにおいて前記ガイド底壁部31hとは反対の清掃側に位置する。
【0033】
この光コネクタ清掃工具10は、ケース20及びテープガイド部材31によって、清掃テープ11の前記表出部11cを除くほぼ全体を覆うので、表出部11c以外の清掃テープ11への異物の付着を極めて少なく抑えることができる。
なお、図示例のテープガイド部材31のテープ挿通孔31iはガイド前壁部31gを上下に貫通して、ガイド底壁部31hに開口する貫通孔となっている。但し、テープガイド部材は、図示例の構成に限定されず、ガイド底壁部31hにテープ挿通孔の開口部が存在しない構成も採用可能である。ガイド底壁部31hにテープ挿通孔の開口部が存在しない場合は、ガイド底壁部31h上側にて、該ガイド底壁部31hとその上方の巻き掛け用壁部31jとの間に確保されたクリアランスc1が前記テープ挿通孔に連通する構成とする。
【0034】
前記表出部11cは、テープ受けユニット30のテープ受け弾性部材32上に延在配置されている。
図示例のテープ受けユニット30は、テープガイド部材31のガイド部材本体31aに該ガイド部材本体31aとは別体のテープ受け弾性部材32を組み付けて一体化した構成になっている。図6(b)に示すように、テープ受け弾性部材32は、テープガイド部材31のガイド部材本体31aの一対のガイド側壁部31fと、ガイド前壁部31gと、ガイド後壁部31bと、ガイド底壁部31hとで囲まれる内側に設けられている。
【0035】
図8、図9に示すように、テープ受け弾性部材32は、細長板状のテープ受け板32aの幅方向両側から、L字板状の弾性脚部32bが突出された断面ハット形の弾性部材である。弾性脚部32bは、前記テープ受け板32aの長手方向全長にわたって該テープ受け板32aに垂直に形成された側板部32cと、この側板部32cのテープ受け板32aとは反対の突端(先端)から側板部32cに垂直に張り出す張り出し板部32dとを有する。前記張り出し板部32dは、各側板部32cの突端から互いに対向する相手側の側板部32cとは反対の外面側に張り出している。弾性脚部32bは、断面L字状で、前記テープ受け板32aの長手方向全長にわたって延在形成されている。
【0036】
そして、このテープ受け弾性部材32は、図6(a)、(b)に示すように、各弾性脚部32bの張り出し板部32d先端に突設された取付用突部32gを、テープガイド部材31のガイド部材本体31aの一対のガイド側壁部31fにそれぞれ形成された取り付け孔31mに嵌め込んで、テープガイド部材31のガイド部材本体31aに一体的に取り付けられている。
また、テープ受け弾性部材32は、テープ受け板32aが上、張り出し板部32dが下の向きで、テープ受け板32aの長手方向を表出部11cの延在方向(図示例では工具前後方向)に揃えて、前記ガイド部材本体31aに一体的に取り付けられている。
【0037】
なお、テープ受けユニット30としては、テープガイド部材31に該テープガイド部材31とは別体のテープ受け弾性部材32を組み付けた構成に限定されず、テープガイド部材にテープ受け弾性部材が一体成形された構成としても良い。テープガイド部材にテープ受け弾性部材を一体成形する場合、テープ受け弾性部材は取付用突部32gを省略した構成とすることができる。
【0038】
図6(a)等に示すように、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aの上面32h(テープ受け面)は、テープガイド部材31のガイド側壁部31f及び巻き掛け用壁部31jに比べて若干上側に位置する。清掃テープ11の表出部11cは、このテープ受け板32a上(上面32h上)に該テープ受け板32a長手方向に沿って延在配置されている。
この構成であれば、清掃テープ11の表出部11cに接触させた光コネクタが清掃テープ11のテープ幅からはみ出る場合であっても、光コネクタがガイド部材本体31aのガイド側壁部31fに当接せず、光コネクタを清掃テープ11に確実に押し付けて清掃できる。
【0039】
図示例の光コネクタ清掃工具10において、清掃テープ11のテープ幅(図6(a)左右方向の寸法)は、テープ受け板32aの幅方向(図6(a)左右方向)寸法に比べて若干大きい。清掃テープ11の表出部11cは、そのテープ幅方向中央部がテープ受け板32aの幅方向中央部に揃うようにしてテープ受け板32a上に延在配置されている。このため、テープ受け板32aは、その上面32h全体が前記表出部11cによって覆われている。
【0040】
この光コネクタ清掃工具10は、光コネクタの接合面を清掃テープ11の表出部11cに押し当てた状態で、ダイヤル部25を回転操作して清掃テープ11を送り移動することで、光コネクタの接合面を効率良く清掃できる。
図10、図11(a)〜(c)は、前記光コネクタ清掃工具10を用いて接合面の清掃を行う適用対象の光コネクタの一例を示す。
【0041】
図10、図11(a)〜(c)に例示した光コネクタ50は、光ファイバ先端部を内挿固定するボディとして、アクリル樹脂等の、屈折率が空気よりも大きい透明プラスチック製の板状のボディ51を用いたものである。
図示例の光コネクタ50の前記ボディ51には、光ファイバ61の先端部が、ボディ51片面の接合面52に沿う向きで内挿固定されている。また、前記ボディ51には、前記光ファイバ61先端の入射光又は出射光を反射して前記接合面52に交差する屈曲した光路H(図11(b)参照)を形成する凹所53が形成されている。前記凹所53は、前記光ファイバ61先端の光軸(具体的には、後述の裸光ファイバ61b先端の光軸)上に位置する。
【0042】
前記凹所53の前記光ファイバ61側には、前記光ファイバ61先端に接近するにしたがいボディ51の接合面52からの距離が増大するように、前記接合面52及び光ファイバ61先端の光軸に対して傾斜する内面53aが形成されている。この凹所53は、前記内面53aが、ボディ51と該凹所53内側の空気との屈折率差によって、光ファイバ61先端の入射光又は出射光を反射する反射面(光軸変更部)として機能する。以下、前記内面53aを反射面とも言う。
【0043】
図10、図11(a)〜(c)に例示した光コネクタ50には、前記反射面53aによって、前記接合面52に直交する仮想垂直線に沿う向きで接合面52中央部と交差する屈曲した光路Hが形成される。
前記光ファイバ61先端から出射された出射光は、前記光路Hを以て光コネクタ50のボディ51内を進行して、接合面52中央部から出射される。光コネクタ50の接合面52側から前記光ファイバ61に入射される入射光は、前記光路Hを以てボディ51内を進行して、光ファイバ61にその先端から入射する。
【0044】
図10、図11(a)〜(c)に例示した光コネクタ50は、光ファイバ61として光ファイバテープ心線61Aを用い、該光ファイバテープ心線61Aの先端部をボディ51に内挿固定した構成になっている。光ファイバテープ心線61Aの先端には裸光ファイバ61bが口出しされている。光ファイバテープ心線61Aは、複数本の裸光ファイバ61bが被覆材によって一括被覆されたテープ状の被覆部61aの先端部と、該被覆部61a先端から突出する裸光ファイバ61bとをボディ51に挿入して、ボディ51に固定されている。
【0045】
前記ボディ51は、概ね長方形の接合面52を有する長方形板状に形成されている。光ファイバテープ心線61Aの被覆部61aの先端部は、ボディ51の長手方向片端から中央部に向かって延在形成された孔(不図示)に内挿固定されている。また、光ファイバテープ心線61Aの被覆部61a先端から突出する複数本の裸光ファイバ61bは、ボディ51に形成された不図示の位置決め溝あるいは位置決め孔によって接合面52に沿う向きで互いに平行に高精度に位置決めされている。
光ファイバテープ心線61Aは、テープ状の被覆部61aの両面及び被覆部61a先端から突出する裸光ファイバ61bがボディ51の接合面52に沿う向きで、ボディ51に固定されている。
【0046】
前記光路Hは、前記反射面53aによって、複数本の裸光ファイバ61bのそれぞれについて形成される。前記光路Hは、具体的には、前記裸光ファイバ61bについて、その先端面から入射又は出射する光(裸光ファイバ61bにその先端面から入射する入射光、又は裸光ファイバ61b先端面から出射する出射光)の光路である。
【0047】
各裸光ファイバ61b先端(光ファイバ61先端)は、前記凹所53の反射面53aから離隔して配置されている。裸光ファイバ61b先端面と反射面53aとの間にはボディ51の一部が存在する。ボディ51の裸光ファイバ61b先端面に対面する面は、裸光ファイバ61b先端の光軸に概ね垂直に形成されている。裸光ファイバ61bは、ボディ51に対して、その先端面を接近配置あるいは突き当てて光結合されている。
【0048】
光コネクタ50について、ボディ51の接合面52におけるその長手方向に垂直の方向を、以下、幅方向とも言う。光ファイバテープ心線61A先端に口出しされている複数本の裸光ファイバ61bは、ボディ51内においてボディ51幅方向に横並びに配列されている。
ボディ51の凹所53は、前記反射面53aによって、光ファイバテープ心線61Aの複数本の裸光ファイバ61bについて前記光路Hを互いに平行に形成するべく、ボディ51の接合面52とは反対の背面56から窪んで、ボディ51幅方向に延在する溝状に形成されている。
【0049】
図11(c)に示すように、前記反射面53aによって、光ファイバテープ心線61Aの複数本の裸光ファイバ61bについてそれぞれ形成される光路Hは、ボディ51の接合面52において、その長手方向中央部にてボディ幅方向に一列に配列される。
前記接合面52の長手方向中央部の光路Hが配列されている領域を、以下、入出射領域57とも言う。
図11(b)、(c)に示すように、ボディ51の接合面52の長手方向中央部には、ボディ幅方向に延在する溝部54が形成されている。前記反射面53aによって、光ファイバテープ心線61Aの複数本の裸光ファイバ61bについてそれぞれ形成される光路Hは、具体的には、前記溝部54の溝底面54aを通るように形成される。図示例の光コネクタ50は、前記溝部54の溝底面54aが前記入出射領域57となっている。
なお、図示例の光コネクタ50の前記溝部54の溝底面54aは、前記接合面52に沿う平坦面に形成されている。
【0050】
図8、図9、図11(b)、(c)に示すように、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32a上には、光コネクタ50の溝部54に挿入して、前記溝部54の溝底面54aに清掃テープ11を押圧するための突条部32fが突設されている。この突条部32fは、テープ受け板32aの上面32hにおけるその長手方向に垂直の幅方向の中央部に、テープ受け板32a長手方向に沿って延在形成されている。
この突条部32fは、光コネクタ50の接合面52を清掃テープ11の表出部11cに押し付ける際に、光コネクタ50の溝部54に、清掃テープ11の幅方向中央部とともに挿入可能である。したがって、突条部32fは、清掃テープ11を、光コネクタ50の溝部54の溝底面54aに清掃テープ11を押し付けることができる。
【0051】
前記突条部32fは、光コネクタ50の接合面52が、清掃テープ11における、テープ受け板32aの突条部32fを介して両側の上面32h上に位置する部分に押圧されたときに、光コネクタ50の溝部54の溝底面54aに清掃テープ11の幅方向中央部を押し付けるように、テープ受け板上面32hからの突出寸法が設定される。
図示例のテープ受け弾性部材32の突条部32fの突端面32i(上端面)は、テープ受け板32aの突条部32fを介して両側の上面32h上の清掃テープ11に接合面52を押圧した光コネクタ50の前記溝底面54aに沿う平坦面に形成されている。
また、図示例のテープ受け弾性部材32の突条部32fは、光コネクタ50の溝部54に挿入されたときに、溝部54内面全体に清掃テープ11を押圧できるように、寸法が調整されている。
【0052】
光コネクタ50の接合面52を前記光コネクタ清掃工具10を用いて清掃するには、光コネクタ50の溝部54にテープ受け弾性部材32の突条部32fを収容して、接合面52及び溝部54の溝底面54aを清掃テープ11の表出部11cに押し当て、この状態で、ダイヤル部25を回転操作して清掃テープ11を送り移動する。
光コネクタ50は、その長手方向が清掃テープ11の表出部11cにおけるテープ幅方向に揃う向きとして、接合面52を前記表出部11cに押し当てる。
【0053】
図14(a)に示すように、図示例の光コネクタ50の接合面52の長手方向寸法は、清掃テープ11のテープ幅よりも大きい。光コネクタ50の接合面52のうち、その長手方向中央をテープ受け弾性部材32のテープ受け板32aの幅方向中央に位置合わせしたときに、前記清掃テープ11の表出部11cを介して前記テープ受け板32aに対面する領域を、以下、テープ押し付け領域とも言う。光コネクタ50の溝部54は、テープ押し付け領域における、接合面52長手方向に沿う方向の中央部に、接合面52の幅方向全体にわたって形成されている。光コネクタ50は、具体的には、溝部54の溝底面54aとともに前記接合面52の前記テープ押し付け領域を清掃テープ11の表出部11cに押し当てる。
【0054】
光コネクタ50において、ボディ51の接合面52の長手方向中央部の前記テープ押し付け領域及び溝部54の溝底面54aを、以下、清掃対象領域とも言う。
この光コネクタ清掃工具10は、光コネクタ50の溝部54にテープ受け弾性部材32の突条部32fを収容することで、光コネクタ50の清掃対象領域(接合面52のテープ押し付け領域及び溝部54の溝底面54a)に、清掃テープ11の表出部11cを押し当てることができる。そして、光コネクタ清掃工具10は、清掃テープ11の表出部11cを光コネクタ50の清掃対象領域に押し当てた状態で、清掃テープ11を送り移動することで、前記清掃対象領域を効率良く清掃できる。
【0055】
光コネクタ50の清掃対象領域のうち、入出射領域57(図示例では溝部54の溝底面54a)は、光路Hの位置に汚れや異物が付着していると伝送損失に与える影響(伝送損失の増大)が大きい。このため、入出射領域57は、清掃による汚れや異物の除去の必要性が高い。
前記光コネクタ清掃工具10は、光コネクタ50の溝部54にテープ受け弾性部材32の突条部32fを挿入して、溝部54の溝底面54aに清掃テープ11の表出部11cを押し当てることが可能であり、前記溝底面54aの清掃を確実に効率良く行える。
【0056】
光コネクタ50は、その長手方向が表出部11cにおけるテープ幅方向に揃う向きで表出部11cに接合面52を押し当てたとき、清掃テープ11のテープ幅方向両端から突出する。
既述のように、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aの上面32hは、テープガイド部材31のガイド側壁部31f及び巻き掛け用壁部31jに比べて若干上側に位置する。このため、光コネクタ50は、表出部11cのテープ幅方向の端部からの突出寸法が大きくても、該突出部分がテープガイド部材31のガイド側壁部31fと当接せず、接合面52を表出部11cに確実に押し当てることができる。
また、光コネクタ50は、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aに向かって押圧したときに、テープガイド部材31の巻き掛け用壁部31jへの押圧を回避できるため、清掃テープ11の表出部11cにおけるテープ受け弾性部材32のテープ受け板32a上に位置する部分に確実に押し付けることができる。
【0057】
なお、図示例の光コネクタ50は、その長手方向寸法が、テープガイド部材31の一対のガイド側壁部31fの離隔距離よりも小さい。
また、図示例では、光コネクタ50にその接合面52を表出させるカバー部材59を取り付けて組み立てたカバー付き光コネクタ50A(後述)を用いる構成を例示している。カバー付き光コネクタ50Aは、前記光コネクタ50の長手方向に沿う細長形状に形成されている。図示例のカバー付き光コネクタ50Aの長手方向寸法は、テープガイド部材31の一対のガイド側壁部31fの離隔距離よりも小さい。
【0058】
光コネクタ50は、その背面56の中央部(接合面52の中央部に対応する)を、作業者が手指等で押圧することで、清掃テープ11の表出部11cに押し付ける(押し当てる)ことができる。
光コネクタ50は接合面全体ではなく、清掃対象領域のみを清掃テープ11の表出部11cに押し付けて清掃する。このため、光コネクタ50は、例えば接合面全体を前記表出部11cに押し付ける場合に比べて、押し当て力を、清掃の必要性が高い清掃対象領域に集中的に作用させることができる。また、前記接合面全体ではなく、清掃対象領域のみを清掃テープ11に押圧する(押し当てる)構成は、接合面全体を前記表出部11cに押し付ける場合に比べて、清掃テープ11に対する押圧力(押し当て力)の偏在も容易に抑えることができるため、清掃対象領域の清掃むらが生じにくく、清掃対象領域をむらなく清掃できる。
【0059】
図14(a)に示すように、前記光コネクタ清掃工具10は、光コネクタ50の清掃対象領域を清掃テープ11の表出部11cに押し当てたとき、押し当て力によって、テープ受け弾性部材32の一対の弾性脚部32bが弾性変形する。その結果、光コネクタ清掃工具10は、光コネクタ50の清掃対象領域に対して清掃テープ11を適切な押し付け力を以て押し付けることができる。
弾性脚部32bは、テープガイド部材31両側のガイド側壁部31fによって支持されて、その全体が、ガイド底壁部31hの上方に位置している。弾性脚部32bは、清掃テープ11の表出部11cに対する光コネクタ50の押し当て力によって弾性変形することで、側板部32cと張り出し板部32dとの境界に位置する屈曲部32eが、テープガイド部材31のガイド部材本体31aに対して相対的に下方へ変位する。
【0060】
また、テープ受け弾性部材32の一対の弾性脚部32bは、清掃テープ11の表出部11cに対する光コネクタ50の押し当て力によって、個々に弾性変形される。
このため、テープ受け弾性部材32は、前記表出部11cのテープ幅方向中央を介して両側で、該表出部11cに対する光コネクタ50の押し当て力が均等でない場合に、一対の弾性脚部32bが個々に弾性変形する結果、表出部11cに対する光コネクタ50の押し当て力を均等化できる。
【0061】
テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aの長さ寸法は、光コネクタ50の接合面52の幅方向寸法よりも長い。前記光コネクタ50は、その清掃対象領域の幅方向全体を、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32a上(清掃テープ11を介してテープ受け板32a上となる位置)に配置できる。光コネクタ50は、接合面52幅方向における溝底面54a全長をテープ受け板32a上に配置できる。
したがって、テープ受け弾性部材32は、光コネクタ50の清掃対象領域全体にわたって、表出部11cに対する光コネクタ50の押し当て力の均等化を図ることができる。
また、光コネクタ50の接合面52の長手方向全長ではなく幅方向の全長をテープ受け板32a上に配置する構成は、接合面52の長手方向全長をテープ受け板32a上に配置する場合に比べて、表出部11cに対する光コネクタ50の押し当て力の均等化の点で有利である。また、この構成は、入出射領域57以外の接合面52に付着していた汚れや異物を清掃テープ11の送り移動によって入出射領域57に移動してしまうといった不都合を容易に回避できる。
【0062】
図11(b)、(c)に示すように、前記光コネクタ50は、接合面52の長手方向に互いに離隔する2カ所に突設されたガイドピン55を有する。このガイドピン55は、例えば、光コネクタ50の接合面を光素子(受光素子又は発光素子)を収容したハウジングのコネクタ受け面に接合する際に、前記ハウジングのコネクタ受け面に開口するガイドピン穴に挿入嵌合して、光コネクタ50をハウジングの透光窓を介して光素子と光結合する位置に高精度に位置決めする。光コネクタ50は、前記ガイドピン55をハウジングのガイドピン穴に挿入、嵌合することで、入出射領域57を、ハウジングの透光窓を介して光素子と光結合可能な位置に高精度に位置決めできる。
【0063】
一対のガイドピン55間の離隔距離は、テープ受け板32aの幅寸法に比べて若干大きく、かつ清掃テープ11のテープ幅よりも若干短い。図14(a)に示すように、前記光コネクタ50の一対のガイドピン55は、光コネクタ50の溝部54にテープ受け弾性部材32の突条部32fを挿入して前記接合面52を清掃テープ11の表出部11cに押し当てたときに、テープ受け弾性部材32の幅方向両側の側板部32cと、テープ受け弾性部材32を介して両側のガイド側壁部31fとの間の隙間に挿入される。ガイドピン55は、表出部11cに対する光コネクタ50の押し当ての障害にはならない。
【0064】
また、一対のガイドピン55は、表出部11cのテープ幅方向両端部を下方へ屈曲させる。表出部11cのテープ幅方向両端部は、テープ受け弾性部材32の側板部32cとガイドピン55との間に挟み込まれる。これにより、光コネクタ50の接合面52のテープ押し付け領域全体に、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aによって清掃テープ11の表出部11cを確実に押し当てることができる。そして、この状態で、光コネクタ清掃工具10のダイヤル部25の回転操作によって清掃テープ11を送り移動することで、光コネクタ50の接合面52の清掃対象領域全体を確実に清掃できる。また、ガイドピン55の清掃テープ11と接する部分も清掃できる。
なお、光コネクタ50としては、ガイドピン55を省略した構成も採用可能である。
【0065】
前記光コネクタ清掃工具10を用いて光コネクタ50の清掃対象領域を清掃する方法(光コネクタの清掃方法)としては、光コネクタ50を、テープガイド部材31のガイド後壁部31bの前面に直接当接させて表出部11cに押し当て、清掃テープ11を送り移動しても良いが、これに限定されない。
図4、図5、図14(a)、図15(a)、(b)は、光コネクタ50にカバー部材59を取り付け(装着し)て組み立てたカバー付き光コネクタ50Aを用いる清掃方法(光コネクタの清掃方法)を例示する。なお、図3、図15(a)において、清掃テープ11の表出部11cは、そのテープ幅方向中央部の断面(テープ長手方向に沿う縦断面)を図示している。
【0066】
図11(a)〜(c)、図12(a)、(b)に示すように、前記カバー部材59は、光コネクタ50のボディ51の背面56を覆うカバー天板部59aの片面側に、前記ボディ51の長方形状の前記背面56の外周の4辺に対応する4面の外壁面(後面58a、側面58b、58c、先端面58d)のうちの光ファイバ61が延出されている後面58aを除く3面を覆うコ字状側壁部592を立設した構成のカバー部材本体591を有する。そして、このカバー部材59は、カバー部材本体591の内側に嵌合した光コネクタ50を収容して、前記光コネクタ50の接合面52を表出させた状態で光コネクタ50外側に装着される。
【0067】
前記コ字状側壁部592は、光コネクタ50の背面56の一対の長辺に沿って延在する一対の側面58b、58cを覆う一対のカバー側板部59b、59cと、前記光コネクタ50の前記後面58aとは反対の先端面58dを覆うカバー端板部59dとによって、カバー天板部59aの片面側にコ字状に形成されている。カバー側板部59b、59cは、長方形板状のカバー天板部59aの平面視一対の長辺に沿ってカバー天板部59aに対して垂直に立設され、互いに平行に延在形成されている。カバー端板部59dは、カバー天板部59aの平面視一対の短辺の片方に沿ってカバー天板部59aに対して垂直に立設され、一対のカバー側板部59b、59cの延在方向片端間を塞ぐように、カバー側板部59b、59cに垂直に形成されている。
【0068】
また、このカバー部材59は、前記カバー端板部59dのカバー天板部59aとは反対の突端に突設された第1位置決め突部59eを有する。この第1位置決め突部59eは、前記カバー端板部59dの突端から、カバー天板部59aとは反対の側へ突出された突片である。
また、カバー部材59は、カバー端板部59d側の先端部とは反対の基端部に、一対のカバー側板部59b、59cのカバー天板部59aとは反対の突端部間を橋絡する橋絡片である第2位置決め突部59fを有する。第2位置決め突部59fは、一対のカバー側板部59b、59cの基端部(カバー端板部59dとは反対側の端部)間を橋絡している。第2位置決め突部59fは、一対のカバー側板部59b、59cに対して、カバー天板部59aとは反対のカバー開口側に突出して形成されている。
【0069】
光コネクタ50は、カバー部材59のカバー部材本体591の一対のカバー側板部59b、59cの基端部側から、カバー天板部59aに沿わせるようにして、カバー端板部59dに向かって押し込んで行くことで、カバー部材本体591内側に収容できる。光コネクタ50は、その先端面58dをカバー部材59のカバー端板部59dに当接させる。カバー部材59の第2位置決め突部59fは、カバー側板部59b、59cに対してその突端からカバー天板部59aとは反対の側に位置するため、カバー部材本体591内側への光コネクタ50の収容作業の障害にならない。
【0070】
図13(b)、図14(a)等に示すように、カバー付き光コネクタ50Aにおいて、光コネクタ50は、そのボディ背面56をカバー天板部59aに当接させ、ボディ51両側の側面58b、58cをカバー側板部59b、59cの互いに対面する内面側に当接させ、先端面58dをカバー部材59のカバー端板部59dに当接させてカバー部材59内側に嵌め込まれる。
カバー付き光コネクタ50Aは、光コネクタ50の接合面52側が、カバー側板部59b、59c及びカバー端板部59dの突端から若干突出し、溝部54全体がカバー部材59外側に配置される構成になっている。溝部54の溝底面54aは、カバー側板部59b、59c及びカバー端板部59dの突端からカバー天板部59aとは反対のカバー部材59外側に配置される。また、光コネクタ50は、ボディ51長手方向中央部が、カバー部材59のカバー側板部59b、59cの延在方向中央部、該延在方向における第1、第2位置決め突部59e、59f間の位置に配置される。
【0071】
カバー付き光コネクタ50Aは、カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fを、テープガイド部材31のガイド部材本体31aの幅方向両側のガイド側壁部31fの間に嵌め込み可能になっている。カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fは、ガイド部材本体31aの一対のガイド側壁部31fと、該一対のガイド側壁部31f間に位置するテープ受け弾性部材32両側の側板部32cとの間に確保された隙間に挿入される。
【0072】
第1、第2位置決め突部59e、59fの互いに対面する内面とは反対の外面間の距離は、一対のガイド側壁部31fの互いに対面する内面間の距離に比べて若干小さい。そして、カバー付き光コネクタ50Aは、光コネクタ50の接合面52を清掃テープ11の表出部11cに押し付けつつ、ガイド部材本体31aの一対のガイド側壁部31f間の距離と第1、第2位置決め突部59e、59fの外面間の距離とのギャップの範囲で、清掃ヘッド部33に対してその幅方向に変位させることで、光コネクタ50の溝部54に、テープ受け弾性部材32の突条部32fを容易に収容できる。カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fは、光コネクタ50を、その溝部54にテープ受け弾性部材32の突条部32fを収容可能な位置に概略位置決めして、溝部54への突条部32fの収容を容易にする機能を果たす。
【0073】
なお、第1、第2位置決め突部59e、59fの外面間の距離と、一対のガイド側壁部31fの互いに対面する内面間の距離とのギャップは、カバー付き光コネクタ50Aを、清掃工具10のテープ受け弾性部材32の突条部32fに対して清掃ヘッド部33幅方向に微動させることができる程度の微小な大きさとする。
また、第1、第2位置決め突部59e、59fの外面間の距離と、一対のガイド側壁部31fの互いに対面する内面間の距離とのギャップは、カバー付き光コネクタ50Aが清掃ヘッド部33に対してその幅方向に位置ずれしても、溝部54の溝幅による光コネクタ50の突条部32fに対する変位、及び/又はテープ受け弾性部材32の弾性変形によって、光コネクタ50の溝部54に収容したテープ受け弾性部材32の突条部32fが前記溝部54から離脱しない範囲の大きさになっている。カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fは、光コネクタ50の溝部54に収容したテープ受け弾性部材32の突条部32fが前記溝部54から離脱しないように、カバー付き光コネクタ50Aが清掃ヘッド部33に対してその幅方向に大きく位置ずれすることを防ぐ位置ずれ防止片として機能する。
但し、本発明に係る実施形態の清掃工具としては、第1、第2位置決め突部59e、59fの外面間の距離と、一対のガイド側壁部31fの互いに対面する内面間の距離とのギャップを、テープ受け弾性部材32の突条部32fが前記溝部54から離脱しない大きさよりも大きくした構成も採り得る。
【0074】
カバー付き光コネクタ50Aは、カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fが、一対のガイド側壁部31fの互いに対面する内面間に嵌め込まれる構成としても良い。この場合、カバー付き光コネクタ50Aは、カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fを一対のガイド側壁部31fの互いに対面する内面間に嵌め込むだけで、光コネクタ50の溝部54を、テープ受け弾性部材32の突条部32fを収容可能な位置に位置決めできる構成とする。
【0075】
既述のように、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aの上面32hは、テープガイド部材31のガイド側壁部31f及び巻き掛け用壁部31jに比べて若干上側に位置する。このため、カバー付き光コネクタ50Aは、表出部11cのテープ幅方向両端から突出した部分がテープガイド部材31のガイド側壁部31fとの当接せず、光コネクタ50の接合面52を表出部11cに確実に押し当てることができる。
【0076】
図15(a)、(b)に示すように、カバー付き光コネクタ50Aは、カバー部材59の一対のカバー側板部59b、59cの一方をテープガイド部材31のガイド後壁部31b前面に当接させて、光コネクタ50の接合面52を清掃テープ11の表出部11c上に配置する。ガイド後壁部31bは、カバー部材59の側面(具体的には一対のカバー側板部59b、59cの一方の相手側のカバー側板部に対向する内面とは反対側の外面)を当接させるコネクタ当接部として機能する。清掃テープ11は、ダイヤル部25の回転操作によって、ガイド後壁部31bが、該ガイド後壁部31bを介して前記工具本体12とは反対の側に配置された前記テープ受け弾性部材32よりも該清掃テープ11の送り方向下流側となる向きで送り移動される。
【0077】
カバー付き光コネクタ50Aの側面をガイド後壁部31b前面に当接させる構成は、清掃テープ11の送り移動時に、光コネクタ50が清掃ヘッド部33に対してその前後方向へ変位してしまうことを防ぐことでき、光コネクタ50の清掃ヘッド部33に対する位置及び向きを安定に保つことができる。このため、この構成であれば、清掃テープ11の送り量に相応して、光コネクタ50の清掃対象領域の清掃を確実かつ安定に行える。
また、この構成であれば、光コネクタ50の清掃ヘッド部33に対する位置及び向きが安定する結果、光コネクタ50を清掃テープ11の表出部11cに押し付ける押し付け力の安定化、偏在抑制も容易であり、清掃対象領域の清掃をむら無く行える。
【0078】
光コネクタ50にカバー部材59を装着して組み立てたカバー付き光コネクタ50Aは、光コネクタ50に比べてサイズが大きい。
このため、カバー付き光コネクタ50Aは、光コネクタ50に比べて、作業者の手指による把持が容易であり、手指による前記表出部11cへの押し当てを容易かつ安定に行うことができ、清掃作業性を向上できる。
【0079】
また、カバー付き光コネクタ50Aを組み立てて、光コネクタ50における、カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59f間に表出する部分を清掃テープ11の表出部11cに押し付ける構成は、接合面52長手方向寸法が清掃テープ11の幅寸法(テープ幅)よりも大きい光コネクタ50の清掃に有利である。接合面52長手方向寸法が清掃テープ11の幅寸法(テープ幅)よりも大きい光コネクタ50であっても、カバー付き光コネクタ50Aを組み立て、カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fを清掃工具10の清掃ヘッド部33の一対のガイド側壁部31f間に挿入し、カバー部材59の一対のカバー側板部59b、59cの一方をテープガイド部材31のガイド後壁部31b前面に当接させることで、清掃テープ11の表出部11cに対する光コネクタ50の向きを安定化させることができる。これにより、光コネクタ50の清掃対象領域の清掃を確実かつ安定に行える。テープガイド部材31の一対のガイド側壁部31fは、カバー付き光コネクタ位置決め壁として機能する。
カバー付き光コネクタ50Aは、カバー側板部59b、59cのカバー端板部59dとは反対側の端面(以下、後端面とも言う)から光コネクタ50のボディ51が突出した構成に組み立てることが可能である。したがって、カバー部材59は、カバー側板部59b、59cの後端面からカバー端板部59dまでの寸法よりも大きい長手寸法を有する光コネクタ50に装着し、該光コネクタ50の接合面52の清掃に用いることができる。
【0080】
図15(a)、(b)に示すように、カバー部材59の一対のカバー側板部59b、59cの互いに対向する内面とは反対側の外面(側面)には、作業者が両側から手指でカバー部材59を把持しやすくする側面突部59gが突設されている。この側面突部59gは、カバー天板部59aの長手方向に沿って延在するカバー側板部59b、59cの延在方向中央部に、カバー天板部59aに垂直の方向に延在する突条状に形成されている。
【0081】
前記側面突部59gは、テープガイド部材31のガイド後壁部31bの幅方向中央部にその前面から窪んで形成された凹溝31nに挿入できる。側面突部59gの、カバー側板部59b、59cの延在方向における寸法(側面突部幅方向)は、前記ガイド後壁部31bの凹溝31nの溝幅31w(幅方向寸法)に比べて小さく形成されている。前記ガイド後壁部31bの凹溝31nの溝幅31wと、側面突部59gの幅方向(側面突部幅方向)の寸法とのギャップは、ガイド部材本体31aの一対のガイド側壁部31f間の距離とカバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fの外面間の距離とのギャップに比べて格段に大きく、清掃ヘッド部33幅方向へのカバー付き光コネクタ50Aの位置調整の障害にはならない。
【0082】
カバー付き光コネクタ50Aは、一対のカバー側板部59b、59cの片方の側面突部59gを前記ガイド後壁部31bの凹溝31nに挿入し、該側面突部59gが突設されているカバー側板部を前記ガイド後壁部31b前面に当接させて、光コネクタ50の接合面52を清掃テープ11の表出部11cに押し当てることができる。
側面突部59gのカバー側壁部からの突出寸法は、前記凹溝31nのガイド後壁部31b前面からの形成深さよりも小さい。カバー側板部の側面突部59gを避けてその両側に位置する部分をガイド後壁部31b前面に当接させたとき、側面突部59gはガイド後壁部31bの凹溝31nの溝底に当接しない。このため、側面突部59gは、ガイド後壁部31b前面に対するカバー側板部の当接の障害にならない。
【0083】
カバー付き光コネクタ50Aは、光コネクタ50の清掃対象領域の清掃完了後に、カバー部材59を取り外して、光素子や光ファイバ等との光結合に用いることができる。
なお、光コネクタ50は、その外側にカバー部材59を装着せず、ボディ51の側面を光コネクタ清掃工具10のテープガイド部材31のガイド後壁部31b前面に直接当接させて表出部11cに押し当て、清掃テープ11の送り移動によって清掃対象領域の清掃を行っても良い。
【0084】
カバー付き光コネクタ50Aは、光コネクタ50の清掃対象領域の幅方向寸法に、カバー部材59の前記ガイド後壁部31b前面に当接させるカバー側板部の厚みを加えた寸法が、テープガイド部材31のガイド後壁部31b前面から突条部32fの突端面32i前端までの長さ(ガイド後壁部31bから前側おける突端面32iの延在長)以下となっているものを用いることが好適である。これにより、清掃対象領域の幅方向全体をテープ受け弾性部材32のテープ受け板32aに押圧でき、その清掃を効率良く行える。
なお、カバー部材59を装着していない光コネクタ50のボディ51側面を前記ガイド後壁部31b前面に当接させ、接合面52を清掃テープ11の表出部11cに押し付けて清掃する場合は、光コネクタ50として、その清掃対象領域の幅方向寸法が、テープガイド部材31のガイド後壁部31b前面から突条部32fの突端面32i前端までの長さ以下となっているものを用いることが好適である。
【0085】
図16(a)、(b)〜図19に示すように、前記光コネクタ清掃工具10は、清掃ヘッド部33に挿脱可能に外挿されるキャップ状の清掃補助具40を具備していても良い。
光コネクタ清掃工具10の清掃ヘッド部33に清掃補助具40(具体的には後述の補助具本体41)を外挿したものを補助具付き清掃工具10Aとも言う。
なお、図16(a)において、清掃テープ11の表出部11cは、そのテープ幅方向中央部の断面(テープ長手方向に沿う縦断面)を図示している。
【0086】
前記清掃補助具40は、前記清掃ヘッド部33に挿脱可能に外挿される角筒状の補助具本体41と、この補助具本体41に形成されたテープ表出用窓孔42を開閉する開閉蓋43とを有する。この清掃補助具40は、前記テープ表出用窓孔42を開放した状態で、補助具本体41を前記清掃ヘッド部33に外挿することで、テープ表出用窓孔42を介して清掃テープ11の表出部11cを補助具本体41から表出させることができる。
【0087】
前記清掃補助具40の補助具本体41は、その軸線方向片端が前端壁部47によって塞がれ、該前端壁部47とは反対側の後端側が開口された片端有底角筒状に形成されている。前記補助具本体41は、前記ケース20の筒状突出部22に外挿して嵌め込まれる角筒状に形成された後端側の後端側筒部44の前端側に、テープ表出用窓孔42が形成された片端有底角筒状のテープガイド収容部45を備える。
前記後端側筒部44は、ケース20の角筒状の筒状突出部22に外挿して装着される角筒状に形成されている。
【0088】
前記テープ表出用窓孔42は、前記テープガイド収容部45の角筒部における4面の壁部のひとつ(収容部底壁部45a)とは反対の上部に形成されている。前記テープガイド収容部45は、収容部底壁部45aとは反対の上部に、前記前端壁部47から後端側(後端側筒部44の側)に向かって延在するカバー壁部48を有する。前記テープ表出用窓孔42は、前記後端側筒部44と、該後端側筒部44から前端側に離隔させて形成された前記カバー壁部48との間に確保されている。
【0089】
補助具本体41は、テープ表出用窓孔42から前端側の部分が片端有底角筒状となっている。補助具本体41のカバー壁部48から後端側(後端側筒部44の側)の部分、すなわち、テープ表出用窓孔42の形成部分は、収容部底壁部45aとその両側に立設された互いに平行な一対の収容部側壁部45bとによって断面コ字形に形成されている。補助具本体41は、収容部底壁部45aがテープガイド部材31のガイド底壁部31hに沿って配置され、一対の収容部側壁部45bがテープガイド部材31の幅方向両側のガイド側壁部31fに沿って配置される。
補助具本体41の一対の収容部側壁部45bの収容部底壁部45aとは反対の突端(上端)は、清掃ヘッド部33上下方向(図16(a)上下方向)において、テープガイド部材31の幅方向両側のガイド側壁部31fの突端(上端)と同じあるいはガイド側壁部31fの突端よりも下方に位置する。
【0090】
図示例の清掃補助具40はプラスチック製の一体成形品である。
前記開閉蓋43は、蓋天板部43aの両側に、該蓋天板部43aに垂直に互いに平行に一対の蓋側板部43bを突設したコ字状に形成されている。開閉蓋43の蓋天板部43aは、補助具本体41のカバー壁部48前端に、曲げ変形容易に形成された薄肉部49を介して、補助具本体41の一対の収容部側壁部45bの間隔方向である補助具幅方向に沿う軸線を以て回転自在に設けられている。
蓋天板部43aは、前記薄肉部49(以下、ヒンジ部とも言う)からヒンジ部49による回転軸線に垂直の方向に延出する細長板状に形成されている。開閉蓋43の一対の蓋側板部43bは、蓋天板部43aの補助具幅方向両側に沿って該蓋天板部43a垂直に突設されている。開閉蓋43は、前記ヒンジ部49を中心とする回転によってテープ表出用窓孔42を開閉できる。
【0091】
開閉蓋43は、一対の蓋側板部43bにそれぞれ形成された係止孔43cに、補助具本体41の収容部側壁部45bの外面側に突設されている係止爪46を入り込ませて、一対の蓋側板部43bを前記係止爪46に係合させることで補助具本体41に係止されて、テープ表出用窓孔42を塞いだ状態を保つことができる。このとき、開閉蓋43は、蓋天板部43aの一部がカバー壁部48の外面側に重ね合わされる。
【0092】
係止爪46によって補助具本体41に係止されテープ表出用窓孔42を塞いだ状態の開閉蓋43は、係止爪46に係合している一対の蓋側板部43bを弾性変形させて係止爪46との係合を解除することで、ヒンジ部49を中心に補助具本体41に対して回転可能となる。これにより開閉蓋43は、テープ表出用窓孔42を開放できる。
開閉蓋43は作業者が手指で蓋側板部43bの弾性変形させることで、補助具本体41の両側の係止爪46に係合している蓋側板部43bを係止爪46から離脱させ、係合を解除できる。
【0093】
清掃補助具40は、開閉蓋43によって補助具本体41のテープ表出用窓孔42を塞ぐことでキャップ状となる。開閉蓋43によって補助具本体41のテープ表出用窓孔42を塞いだ清掃補助具40は、清掃ヘッド部33に外挿した状態において、清掃ヘッド部33の防塵性を確保する保護キャップとして機能する。
【0094】
なお、蓋部材としては、上述の構成に限定されず、例えば、補助具本体41の一対の収容部側壁部45bの一方にヒンジ部を介して回転自在に取り付け、前記ヒンジ部を中心とする回転によってテープ表出用窓孔42を開閉する構成も採用可能である。
また、清掃補助具としては、補助具本体41に脱着可能な、補助具本体41別体の蓋部材を有する構成も採用可能である。
【0095】
補助具付き清掃工具10Aは、清掃ヘッド部33に外挿した補助具本体41のテープ表出用窓孔42を開放した状態において、該テープ表出用窓孔42に表出させた清掃テープ11の表出部11cに、光コネクタ50の接合面52を押し当てて清掃対象領域を清掃することができる。
清掃ヘッド部33に外挿した補助具本体41は、光コネクタ清掃工具10の清掃ヘッド部33に対してスライド移動させて、清掃ヘッド部33の前後方向に外挿位置を調整可能である。テープ表出用窓孔42に表出させた清掃テープ11の表出部11cに光コネクタ50の接合面52を押し当てる際には、例えば、図17に示すように、清掃ヘッド部33前端部のガイド前壁部31g及びその近傍を補助具本体41の有底角筒状部分に収容し、テープ表出用窓孔42に、清掃ヘッド部33前後方向における表出部11cの一部とガイド後壁部31bとを露呈させる。
【0096】
図16(a)、(b)に示すように、補助具付き清掃工具10Aの補助具本体41は、カバー壁部48とテープガイド部材31のガイド後壁部31bとの間の距離が、テープ表出用窓孔42に表出させた清掃テープ11の表出部11cに接合面52を押し当てる光コネクタ50の幅方向寸法と同じ又は僅かに大きく(図16(a)、(b)では、光コネクタ50の幅方向寸法と同じ)なるように、清掃ヘッド部33前後方向の外挿位置を調整できる。これにより、光コネクタ50を、ガイド後壁部31bに当接させて表出部11c上に載置する作業を簡単に行える。
【0097】
補助具本体41のカバー壁部48の後端側(後端側筒部44側)の端部の外面(有底角筒状部分内側の内面とは反対の面)は、後端から前端側に行くにしたがって収容部底壁部45aからの距離が増大する傾斜面48a(コネクタ誘導用傾斜面)となっている。テープ表出用窓孔42上方から下降させて清掃テープ11の表出部11c上に載置する光コネクタ50は、コネクタ誘導用傾斜面48aに沿わせるようにして前記表出部11c上に円滑に配置でき、しかもガイド後壁部31b前面への当接も円滑に行える。このことは、サイズの小さい光コネクタ50の表出部11cへの載置に特に有利である。
【0098】
既述のように、カバー壁部48とガイド後壁部31bとの間の距離を光コネクタ50の幅方向寸法と同じ又は僅かに大きく設定した構成は、表出部11cに押し付けた光コネクタ50の清掃テープ11の送り移動によるガイド後壁部31bに対する位置ずれや傾動の防止、表出部11cからの脱落の防止に有効に寄与する。また、この構成は、清掃テープ11の表出部11cに対する光コネクタ50の位置ずれや傾動の防止の点でも好ましい。
補助具本体41のカバー壁部48は、光コネクタ50を、ガイド後壁部31b(コネクタ当接部)との間に保持する保持用当接壁部として機能する。
【0099】
また、補助具付き清掃工具10Aは、表出部11c上に載置した光コネクタ50を、補助具本体41のカバー壁部48によって押圧力を以てガイド後壁部11bに押し付け、この状態を保ったまま、清掃テープ11の送り移動によって光コネクタ50の清掃対象領域を清掃することも可能である。この場合、光コネクタ50は、補助具本体41のカバー壁部48とガイド後壁部31bとの間に挟み込まれることで、ガイド後壁部31bに対する位置ずれや傾動、表出部11cからの脱落を確実に防止できる。また、このように、光コネクタ50を補助具本体41のカバー壁部48によってガイド後壁部11bに押し付けた状態で清掃テープ11の送り移動によって光コネクタ50の清掃対象領域を清掃することは、清掃テープ11の表出部11cに対する光コネクタ50の位置ずれや傾動の防止の点でも好ましい。光コネクタ50のガイド後壁部31bや表出部11cに対する位置ずれや傾動の防止は、光コネクタ50の清掃対象領域の清掃むらの発生防止に有効である。
【0100】
図16(a)、(b)では、カバー部材59を取り付けていない光コネクタ50を、補助具付き清掃工具10Aの補助具本体41のカバー壁部48とガイド後壁部31bとの間に挿入して、接合面52を清掃テープ11の表出部11cに押し付ける場合を例示している。但し、補助具本体41のカバー壁部48とガイド後壁部31bとの間に挿入して、接合面を清掃テープ11の表出部11cに押し付ける光コネクタとしては、カバー部材59を取り付けていない光コネクタ50に限定されず、既述のカバー付き光コネクタ50Aも採用可能である。
【0101】
なお、カバー付き光コネクタ50Aのカバー部材59としては、両側のカバー側板部59b、59cのそれぞれの外面側に側面突部59gを突設した構成に限定されない。カバー部材59としては、片方のカバー側板部59b、59cの外面のみに側面突部59gを突設した構成、両側のカバー側板部59b、59cのいずれにも側面突部59gを突設していない構成も採用可能である。
補助具本体41のカバー壁部48の後端側の端面48bは、補助具幅方向(補助具本体41の一対の収容部側壁部45bの間隔方向)に沿って真っ直ぐに延在形成されている。補助具本体41のカバー壁部48とガイド後壁部31bとの間に保持したカバー付き光コネクタ50Aの光コネクタ50の接合面52を清掃する場合、カバー部材59は、側面突部59gを突設していないカバー側板部が補助具本体41のカバー壁部48に対面する向きで、補助具本体41のカバー壁部48とガイド後壁部31bとの間に保持することが、保持安定性の確保の点で好ましい。
【0102】
図20は、清掃補助具の変形例を示す。
図20に例示した清掃補助具40Aは、既述の開閉蓋43の一対の蓋側板部43bの片方を省略した構成の開閉蓋43Aを有する。また、この開閉蓋43Aは、蓋天板部43aに、光コネクタ50を清掃テープ11の表出部11cに弾性付勢するためのコネクタ押し付け用弾性部材40a(図示例ではコイルスプリング)を取り付けた構成となっている。
この開閉蓋43Aは、補助具本体41の前記テープ表出用窓孔42を蓋天板部43aが覆う閉位置に配置して補助具本体41に係止(蓋側板部43bを係止)したときに、前記表出部11c上に配置しておいた光コネクタ50をコネクタ押し付け用弾性部材40aによって前記表出部11cに押し付けることができる。この清掃補助具40Aを用いて構成した補助具付き清掃工具は、前記テープ表出用窓孔42を閉じた開閉蓋43Aを補助具本体41に係止させるだけで、開閉蓋43Aのコネクタ押し付け用弾性部材40aの弾性付勢力によって光コネクタ50を清掃テープ11の表出部11cに押し付けることができる。この補助具付き清掃工具は、例えば作業者が手指で光コネクタ50を清掃テープ11の表出部11cに押し付ける(押し当てる)場合に比べて、前記表出部11cに対する光コネクタ50の押し付け力を容易に安定化させることができる。
【0103】
この清掃補助具40Aは、開閉蓋43の補助具本体片側のみに蓋側板部43bを有する構成であるため、開閉蓋43をテープ表出用窓孔42を覆う閉位置に配置したときに、光コネクタ50から延びる光ファイバ61を、補助具幅方向において蓋側板部43bとは反対の側から清掃補助具40A外側に延出させることができる。
なお、コネクタ押し付け用弾性部材40aとしては、コイルスプリングに限定されず、例えば、板ばねや、適宜形状のゴム製部材等も採用可能である。
【0104】
前記光コネクタ清掃工具10によれば、光コネクタ50の長方形状の接合面52の長手方向中央部に接合面52幅方向に沿って細長に延在する清掃対象領域の拭き取り清掃を、効率良く、容易に行うことができる。また、この光コネクタ清掃工具10によれば、清掃対象領域の拭き取り清掃を、清掃対象領域全体にわたってむら無く確実に行うことができる。
【0105】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0106】
本発明に係る実施形態の光コネクタ清掃工具のケースの具体的形状は図示例に限定されず、適宜設計変更可能である。
上述の実施形態に例示した光コネクタ清掃工具は、テープ送り機構として、ケース20外側に突出するダイヤル部25を手指で回転させて、清掃テープ11を送り移動する手動式のものを例示した。但し、本発明に係る実施形態の光コネクタ清掃工具のテープ送り機構としては、例えば電動モータ等の駆動源の駆動力を利用して巻き取りリール24を回転させ、清掃テープを送り移動する構成のものも採用可能である。
【0107】
上述の実施形態のように、光コネクタ50、カバー付き光コネクタ50Aとして、その長手方向寸法が、テープガイド部材31の一対のガイド側壁部31fの離隔距離よりも小さいものを用いる場合、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aの清掃ヘッド部における上下方向の設置位置は、その上面32hがガイド側壁部31fよりも上側となる位置である必要は無く、前記上面32hがガイド側壁部31fよりも下側となる位置であっても良い。
【0108】
また、光コネクタ清掃工具としては、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aの長手方向寸法、及び清掃テープ11の表出部11cの前記テープ受け板32a長手方向に沿う延在方向寸法に、送り移動を停止した状態の清掃テープ11の表出部11cに対して光コネクタの接合面を擦る(摺動させる)ことで接合面を清掃できる充分な長さを確保した構成とすることができる。
この場合、光コネクタ清掃工具を用いた光コネクタの清掃方法としては、例えば、テープガイド部材31のガイド側壁部31fを、光コネクタ50あるいはカバー付き光コネクタ50Aの清掃テープ11の表出部11cの延在方向に沿った移動を案内するための案内部材として利用することも可能である。すなわち、例えば、テープガイド部材31の一対のガイド側壁部31fの間に、該一対のガイド側壁部31f間の離隔距離と同等のボディ長手方向寸法を有する細長板状の光コネクタを挿入し、この光コネクタを、一対のガイド側壁部31fを案内部材として清掃テープの表出部に対してその延在方向に摺動させることができる。
カバー付き光コネクタを用いる場合は、カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fをテープガイド部材31の一対のガイド側壁部31fの間に挿入して、カバー付き光コネクタを表出部11cに沿って清掃テープ11延在方向にスライド移動させ、テープガイド部材31のガイド側壁部31f(カバー付き光コネクタ位置決め壁)をカバー付き光コネクタの移動を案内する案内部材として機能させる。また、例えば、カバー部材としては、ガイド側壁部31fの突端部(上端部)を収容する溝(側壁収容溝)を有し、側壁収容溝に収容したガイド側壁部31fに沿って移動とした構成のものも採用可能である。このカバー部材を光コネクタに装着して組み立てたカバー付き光コネクタは、カバー部材の側壁収容溝に収容したガイド側壁部31fに沿って移動させ、光コネクタの接合面を、清掃テープの表出部に対してその延在方向に摺動させることができる。
【0109】
本発明に係る実施形態の光コネクタ清掃工具としては、清掃ヘッド部を有する構成に限定されない。光コネクタ清掃工具としては、テープ送り機構が組み込まれたケースの外周部に、テープ受け弾性部材32をテープ受け板32aの上面32hがケース外側を向くようように設け、清掃テープの延在方向途中部に、テープ受け板32a長手方向に沿ってその上面32h側に延在配置しケースから表出させた表出部を確保した構成も採用可能である。この光コネクタ清掃工具は、テープガイド部材及び清掃ヘッド部を有してないものである。この光コネクタ清掃工具についても、清掃テープの表出部に押し当てた光コネクタの接合面の清掃対象領域を清掃テープの送り移動によって清掃する構成、テープ受け弾性部材32のテープ受け板32aの長手方向寸法及び清掃テープの表出部の延在方向寸法に、送り移動を停止した状態の清掃テープの表出部に対して光コネクタの接合面を擦る(摺動させる)ことで接合面を清掃できる充分な長さを確保した構成、のいずれも採用可能である。
【0110】
この構成の場合は、例えば、ケース側部に、該ケースの一部を、清掃テープの表出部の幅方向両側に、その延在方向に沿って、互いに平行に延在させた一対の壁部を設け、該壁部をカバー付き光コネクタ位置決め壁として機能させる構成を採用できる。カバー付き光コネクタ位置決め壁は、カバー付き光コネクタの移動を案内する案内部材として機能させても良い。この場合、テープ受け弾性部材32は、テープ受け板32aの長手方向を一対の壁部の延在方向に揃えて、一対の壁部の間に設ける。また、テープ受け弾性部材32は、その両側の壁部(以下、カバー付き光コネクタ位置決め壁とも言う)に両側の張り出し板部が支持される。また、テープ受け弾性部材32とその両側のカバー付き光コネクタ位置決め壁との間には、カバー付き光コネクタ50Aのカバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fを挿入可能な隙間を確保する。そして、清掃工具は、カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fを一対のカバー付き光コネクタ位置決め壁の間に嵌め込み可能、嵌め込みを行うことで、カバー付き光コネクタ50Aを、その光コネクタ50のボディ51の溝部54に、テープ受け弾性部材32の突条部32fを収容可能な位置あるいはその近傍に位置決め(概略位置決め)するように構成される。カバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fの外面間の距離と一対のカバー付き光コネクタ位置決め壁間の距離とのギャップは、既述の清掃工具10の一対のガイド側壁部31f間の距離とカバー部材59の第1、第2位置決め突部59e、59fの外面間の距離との関係と同様に設定できる。
【0111】
ケース外周部に設けたテープ受け弾性部材32のテープ受け板32aに沿って清掃テープの表出部を確保した構成の清掃工具は、小型化が容易という利点がある。
一方、清掃ヘッド部を有する構成の清掃工具は、光コネクタ50を、該光コネクタ50から光ファイバが工具前後方向に直交する方向に延出する向きで、清掃ヘッド部のテープ表出部(清掃テープの表出部)に押圧できる。このため、この清掃工具は、清掃ヘッド部のテープ表出部に押圧した光コネクタ50から延出する光ファイバが、工具本体を把持した作業者が手指に接触することを容易に避けることができ、良好な清掃作業性を確保できるという利点がある。
【0112】
本発明に係る実施形態の光コネクタ清掃工具としては、テープガイド部材のガイド後壁部にかえて、ケースの清掃テープの表出部に臨む部分を、前記表出部に押し当てる光コネクタの側面を当接させる当接部として機能させる構成も採用可能である。この構成の場合、清掃ヘッド部に外挿した清掃補助具の保持用当接壁部とケースの当接部との間に光コネクタを保持することも可能である。
【0113】
本発明に係る実施形態の光コネクタ清掃工具を用いて接合面を清掃する対象の光コネクタとしては、溝部54を有するものに限定されない。光コネクタとしては、例えば、既述の光コネクタ50の溝部54を省略して、接合面52の長手方向中央部全体、すなわち入出射領域57を含む清掃対象領域全体が平坦面となっている構成のものも採用可能である。
【0114】
また、光コネクタとしては、板状のボディに、その片面の接合面に沿う向きで内挿固定された光ファイバの先端と前記接合面側に配置される光入出部(光素子、光ファイバ等)とを光結合する曲がった光路を形成するための光軸変更部を設けた構成の表面実装型光コネクタ(以下、光軸変更部付き光コネクタとも言う)を広く採用可能である。この光軸変更部付き光コネクタとしては、既述の光コネクタ50のように、屈折率が空気よりも大きい透明プラスチック製の板状のボディを用い、該ボディに内挿固定した光ファイバ先端の入射光又は出射光を、ボディに形成した凹所内面の一部を反射面(光軸変更部)として反射し、前記接合面に直交する仮想垂直線に沿う向きで前記接合面中央部と交差する屈曲した光路を形成する構成のものに限定されない。光軸変更部付き光コネクタとしては、例えば、接合面に開口する凹所の内面に、金属薄膜によって鏡面を形成した反射層を、前記光軸変更部として光ファイバ先端の光軸上に設けた構成のものや、前記光軸変更部として湾曲させた短尺の光ファイバをボディに内蔵した構成のもの等も採用可能である。
【0115】
また、光コネクタ清掃工具を用いて接合面を清掃する対象の光コネクタとしては、光軸変更部付き光コネクタに限定されない。光コネクタとしては、例えばSC形光コネクタ、MT形光コネクタ、MPO形光コネクタのように、光ファイバの先端面を接合面(接合端面)に露出させて前記光ファイバ先端部に組み立てられた光コネクタ(ファイバ先端露出形光コネクタ)であっても良い。
ファイバ先端露出形光コネクタについては、その接合面の中央部の光ファイバ先端面が露出されている領域を入出射領域として扱う。そして、このファイバ先端露出形光コネクタは、光コネクタ清掃工具を用いて、接合面のうち少なくとも前記入出射領域を含む範囲を、清掃テープの表出部に押し当てて清掃する。
但し、本発明に係る実施形態の清掃工具を用いて接合面を清掃する対象の光コネクタとしては、表面実装型光コネクタのように、接合面が形成されたボディに光ファイバの先端部が接合面に沿う方向に内挿固定されている光コネクタが、清掃作業性の確保の点でより好適である。接合面が形成されたボディに光ファイバの先端部が接合面に沿う方向に内挿固定されている構成の光コネクタは、接合面とは反対の背面から手指等で清掃工具の清掃テープの表出部に向かって押圧する際に、手指が光ファイバに干渉せず、清掃テープの表出部に確実に押し付けることができるため、清掃作業性の確保の点で有利である。
【符号の説明】
【0116】
10…光コネクタ清掃工具、10A…補助具付き清掃工具、11…清掃テープ、11c…表出部、12…工具本体、20…ケース、21…リール収容部、22…筒状突出部、30…テープ受けユニット、31…テープガイド部材、31a…ガイド部材本体、31b…コネクタ当接部(ガイド後壁部)、31c…取付部、31f…カバー付き光コネクタ位置決め壁(ガイド側壁部)、31g…ガイド前壁部、31h…背面カバー部(ガイド底壁部)、32…テープ受け弾性部材、32a…テープ受け板、32b…弾性脚部、32c…側板部、32d…張り出し板部、32e…屈曲部、32f…突条部、33…清掃ヘッド部、40、40A…清掃補助具、40a…弾性部材(コネクタ押し付け用弾性部材)、41…補助具本体、42…テープ表出用窓孔、43、43A…開閉蓋、48…保持用当接壁部(カバー壁部)、50…光コネクタ、50A…カバー付き光コネクタ、51…ボディ、53…凹所、53a…反射面、54…溝部、54a…溝底面、57…入出射領域、59…カバー部材、59e…位置決め突部(第1位置決め突部)、59f…位置決め突部(第2位置決め突部)、61…光ファイバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタの接合面を清掃するための清掃テープの供給及び巻き取りを行うテープ送り機構がケースに組み込まれ、
前記清掃テープにその長手方向の一部を前記ケースから表出させた表出部が確保され、前記表出部が前記ケースに支持されたテープ受け弾性部材の細長板状のテープ受け板に沿って延在配置され、前記テープ受け弾性部材は、前記テープ受け板の幅方向両側から一対の側板部が延出し、各側板部の先端から互いに対向する相手側の側板部とは反対の外面側に張り出す張り出し板部を有し、前記張り出し板部が前記ケースに支持されていることを特徴とする光コネクタ清掃工具。
【請求項2】
前記光コネクタは、前記接合面が形成されたボディに光ファイバの先端部が前記接合面に沿う方向に内挿固定されていることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項3】
前記光コネクタは、前記光ファイバの入射光又は出射光の光路を前記光ファイバ先端の光軸に対して曲げて前記接合面に延在形成された溝部を通るように形成する光軸変更部が前記ボディに設けられ、
前記テープ受け弾性部材の前記テープ受け板に、前記光コネクタの前記接合面に形成された溝部に挿入されて前記溝部の溝底面に前記清掃テープを押圧するための突条部が、前記清掃テープの送り方向に沿って突設されていることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項4】
前記テープ送り機構を前記ケースに組み込んでなる工具本体と、
該工具本体に突設されたテープガイド部材の先端部に前記清掃テープが巻き掛けられ、前記清掃テープに、前記テープガイド部材先端部と前記工具本体のケースとの間に露出する表出部を確保した清掃ヘッド部とを具備し、
前記テープガイド部材に前記テープ受け弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項5】
前記テープガイド部材は、その先端部に巻き掛けられた前記清掃テープの前記テープガイド部材先端部と前記工具本体との間に延在する一対の清掃ヘッド側延在部の一方を覆う背面カバー部を有し、前記清掃テープの一対の清掃ヘッド側延在部の他方の少なくとも一部が前記表出部とされていることを特徴とする請求項4に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項6】
前記テープガイド部材に、前記清掃テープの前記表出部に前記接合面を接触させた前記光コネクタの側面を当接させるコネクタ当接部を有し、前記テープ送り機構は、前記コネクタ当接部が、該コネクタ当接部を介して前記工具本体とは反対の側に配置された前記テープ受け弾性部材よりも前記清掃テープの送り方向下流側となる向きで前記清掃テープを送り移動することを特徴とする請求項4又は5に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項7】
前記清掃ヘッド部に挿脱可能に外挿される筒状の清掃補助具をさらに有し、前記清掃補助具は、前記清掃テープの前記表出部を前記清掃ヘッド部に外挿した該清掃補助具から表出させるテープ表出用窓孔と、該テープ表出用窓孔に表出する前記清掃テープに前記接合面を当接させた前記光コネクタを、前記ケースあるいは請求項6に記載の前記コネクタ当接部との間に保持する保持用当接壁部とを有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項8】
前記清掃補助具は、前記テープ表出用窓孔を開閉する開閉蓋を有することを特徴とする請求項7に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具を用いて光コネクタの接合面を清掃する方法であって、前記光コネクタは、前記接合面が形成されたボディに光ファイバの先端部が前記接合面に沿う方向に内挿固定され、前記光ファイバの入射光又は出射光の光路を前記光ファイバ先端の光軸に対して接合面側に曲げる光軸変更部が前記ボディに設けられたものであり、この光コネクタに前記接合面を表出させる脱着可能なカバー部材を組み付けてなるカバー付き光コネクタを組み立て、このカバー付き光コネクタの前記光コネクタの接合面を前記清掃テープの表出部に押し付けることを特徴とする光コネクタの清掃方法。
【請求項10】
前記光コネクタ清掃工具は、前記清掃テープの表出部の幅方向両側にそのテープ長手方向に沿って延在する一対のカバー付き光コネクタ位置決め壁を有し、前記テープ受け弾性部材が、前記一対のカバー付き光コネクタ位置決め壁間に、該カバー付き光コネクタ位置決め壁の延在方向に前記テープ受け板の長手方向を揃えて設けられ、
前記前記カバー部材には、前記テープ受け弾性部材とその両側のカバー付き光コネクタ位置決め壁との間に確保された隙間に挿入可能な一対の位置決め突部が突設され、
前記カバー部材の前記一対の位置決め突部を前記隙間に挿入して、前記光コネクタの接合面を前記清掃テープの表出部に押し付けることを特徴とする請求項9に記載の光コネクタの清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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