光コネクタ清掃工具
【課題】清掃対象物が突出している構造の光コネクタにおいて、清掃の際に対象物に過大な力が加えられるのを防ぎ、その破損を防止できる光コネクタ清掃工具の提供。
【解決手段】延出部20の先端部に装着されるガイド部材102を備えた清掃工具。ガイド部材102は、筒状のガイド体107を備えている。ガイド体107は、弾性的に曲げ変形可能に形成されている。延出部20の先端部に装着したガイド部材102の挿通孔116に清掃対象物61を挿入して、清掃体2を清掃対象物61の接合端面61aに押し当てる操作により拭き取り清掃をする。
【解決手段】延出部20の先端部に装着されるガイド部材102を備えた清掃工具。ガイド部材102は、筒状のガイド体107を備えている。ガイド体107は、弾性的に曲げ変形可能に形成されている。延出部20の先端部に装着したガイド部材102の挿通孔116に清掃対象物61を挿入して、清掃体2を清掃対象物61の接合端面61aに押し当てる操作により拭き取り清掃をする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタの接合端面を、清掃体の送り移動によって清掃する光コネクタ清掃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタを接続する際には、接合端面に汚れや異物が付着していると、着脱時の損傷や伝送損失の増大などの原因になるため、突き合わせ接続に先だって、接合端面を清掃する必要がある。
光コネクタの接合端面の清掃には、接合端面に清掃体を接触させて清掃する光コネクタ清掃工具が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−90576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェルールなどの清掃対象物が突出している構造の光コネクタでは、清掃工具のヘッド部材を、筒状のガイド部材により清掃対象物の接合端面に導いて清掃作業を行う。
しかしながら、この種の光コネクタでは、清掃工具の傾動によってガイド部材が傾き、清掃対象物に曲げ方向の大きな力が加えられるおそれがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、清掃対象物が突出している構造の光コネクタにおいて、清掃の際に対象物に過大な力が加えられるのを防ぎ、その破損を防止できる光コネクタ清掃工具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1にかかる発明は、光コネクタ内の突出する清掃対象物の接合端面を、清掃体により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、前記清掃体の供給および巻き取りを行う送り機構が組み込まれた工具本体と、前記工具本体から延出する延出部と、前記延出部の先端部に装着されるガイド部材とを備え、前記延出部が、延出筒体と、前記清掃体を前記接合端面に押し当てる先端延出部を有し、前記ガイド部材が、前記延出筒体の先端部に装着される装着部と、前記装着部から前記延出方向に延びる筒状のガイド体を備え、前記ガイド体に、先端側から前記清掃対象物が挿入可能であり、且つ後端側から前記先端延出部が挿入可能である挿通孔が形成され、前記ガイド体は、弾性的に曲げ変形可能に形成され、前記延出部の先端部に装着した前記ガイド部材の前記挿通孔に前記清掃対象物を挿入して、前記清掃体を前記清掃対象物の接合端面に押し当てる操作により拭き取り清掃をする光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項2にかかる発明は、請求項1において、前記ガイド体が、前記延出方向に徐々に肉薄になりつつ延びる縮径筒部と、その先端から前記延出方向に延出する略一定肉厚の先端筒部とを備え、前記先端筒部の肉厚が、前記縮径筒部の最小肉厚と同じまたはこれより小さい光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項3にかかる発明は、請求項2において、前記縮径筒部の外周面に、前記延出方向に対し交差する方向に沿う1または複数の溝部が形成されている光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のうちいずれか1項において、前記ガイド部材が、樹脂材料からなる一体成形品である光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項5にかかる発明は、請求項1〜4のうちいずれか1項において、前記ガイド部材が、ポリエステルエラストマーからなる光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項6にかかる発明は、請求項1〜5のうちいずれか1項において、先端延出部が、弾性的に曲げ変形可能に形成されている光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のうちいずれか1項において、前記延出筒体が、筒体基部と、前記筒体基部に対し付勢手段により延出方向に付勢された先端筒部とを有し、前記先端延出部が、前記先端筒部の先端から突出可能であり、前記先端筒部が、前記筒体基部に対し前記延出方向に移動することで前記先端延出部の突出量を調整可能である光コネクタ清掃工具である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ガイド部材のガイド体が曲げ変形可能であるため、清掃作業の際に、作業者の操作により清掃工具が傾いた場合でも、清掃対象物に加えられる曲げ方向の力が小さくなり、清掃対象物の破損を防止できる。
また、傾いた状態でもガイド体を清掃対象物に嵌め込む操作が可能であるため、清掃作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の光コネクタ清掃工具の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】清掃工具のガイド部材を示す斜視図である。
【図3】清掃工具のガイド部材を示す断面図である。
【図4】清掃工具の分解斜視図である。
【図5】延出筒体を示す斜視図である。
【図6】延出筒体を示す分解斜視図である。
【図7】支持体を示す斜視図である。
【図8】ヘッド部材を示す斜視図である。
【図9】ヘッド部材を示す平面図である。
【図10】ヘッド部材を示す側面図である。
【図11】ヘッド部材を示す断面図である。
【図12】ヘッド部材の先端部分を示す断面図である。
【図13】回転機構の回転シャフトを示す斜視図である。
【図14】回転シャフトおよびその先端に取り付けられたヘッド部材を示す一部断面状態の平面図である。
【図15】回転シャフトおよびその先端に取り付けられたヘッド部材を示す一部断面状態の側面図である。
【図16】送り機構を示す分解斜視図である。
【図17】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図18】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図19】光コネクタ清掃工具の使用方法を示す工程図である。
【図20】前図に続く工程図である。
【図21】前図に続く工程図である。
【図22】清掃工具の要部を拡大した斜視図である。
【図23】清掃工具の要部を拡大した斜視図である。
【図24】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図25】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図26】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図27】回転シャフトの動作を示す説明図である。
【図28】回転シャフトの動作を示す説明図である。
【図29】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図30】本発明の清掃工具を適用可能な光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図31】ガイド部材の他の例を示す斜視図である。
【図32】ガイド部材のさらに他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施した光コネクタ清掃工具(以下、単に「清掃工具」ともいう)を、図面を参照して説明する。
まず、清掃工具1が適用される光コネクタ60を説明する。
図30に示すように、光コネクタ60は、基板64の一方面64aに、1または複数のフェルール61(清掃対象物)が突出して形成された構造を有する。
図24および図26に示すように、フェルール61の接合端面61aの中央部には、光ファイバ穴61b(微細孔)が開口している。光ファイバ穴61bには、光ファイバ63が挿通しており、光ファイバ63の先端は接合端面61aに露出している。
光ファイバ63は、例えば光ファイバ心線の先端部の被覆樹脂を除去した光ファイバ裸線であり、光ファイバ63は、これにより他の光コネクタと突き合わせ接続可能に成端されている。
【0009】
次に、清掃工具1の構造を説明する。
図1は、本発明の光コネクタ清掃工具の第1の実施形態である清掃工具1の斜視図である。図2は、清掃工具1のガイド部材102を示す斜視図である。図3は、ガイド部材102を示す断面図である。図4は、清掃工具1の分解斜視図である。図5は、延出筒体21を示す斜視図である。図6は、延出筒体21を示す分解斜視図である。図7は、支持体51を示す斜視図である。図8は、ヘッド部材23を示す斜視図である。図9は、ヘッド部材23を示す平面図である。図10は、ヘッド部材23を示す側面図である。図11は、ヘッド部材23を示す断面図である。図12は、ヘッド部材23の先端部分を示す斜視図である。図13は、回転機構5の回転シャフト52を示す斜視図である。図14は、回転シャフト52およびその先端に取り付けられたヘッド部材23を示す一部断面状態の平面図である。図15は、回転シャフト52およびその先端に取り付けられたヘッド部材23を示す一部断面状態の側面図である。図16は、送り機構3を示す分解斜視図である。
【0010】
図1に示すように、清掃工具1は、工具本体10と、工具本体10から延出する延出部20と、延出部20の先端部に装着されるガイド部材102とを有する。
以下の説明において、図1に示す延出部20の先端方向(延出方向)を前方といい、その反対方向を後方ということがある。
【0011】
図2および図3に示すように、ガイド部材102は、延出部20の先端筒部16の先端部に装着される本体部103と、本体部103に連結体105によって連結された蓋104とを有する。
ガイド部材102は、樹脂材料、例えばポリエステルエラストマーから構成することが好ましい。ポリエステルエラストマーとしては、結晶性ポリエステルからなるハードセグメントと、非晶性のポリエステルまたはポリエーテルからなるソフトセグメントを有するブロック共重合体が好ましく、具体的には「ハイトレル」(商品名、東レ・デュポン社製)、「ペルプレン」(商品名、東洋紡績社製)などが用いられる。
ガイド部材102を構成する樹脂材料としては、ポリオキシメチレン(POM、ポリアセタール)、ポリプロピレン、ポリアミドなども使用できる。
【0012】
本体部103は、延出部20の先端筒部16の先端部に着脱自在に装着される装着部106と、装着部106の前端から延出する筒状のガイド体107とを備えている。
装着部106は、円形の前壁部110と、その周縁から後方に延出する円筒状の筒部111からなる。筒部111は、後端側から先端筒部16の先端部が挿入可能となるように形成されている(図24を参照)。
筒部111の内径は、先端筒部16の外径とほぼ同じか、これよりやや小さくするのが好ましい。
筒部111には、後端111aから先端方向に向かって一定幅のスリット112が形成されている。筒部111は、スリット112が押し広げられる方向の変形によって内部空間が拡張され、先端筒部16の挿入が容易となる。
【0013】
ガイド体107は、可撓性を有する筒状体であって、前壁部110の前面から前方に延出する円筒状の基筒部113と、基筒部113の先端から外径が徐々に小さくなりつつ前方に延出する断面略円形の縮径筒部114と、縮径筒部114の先端から前方に延出する先端筒部115とを有する。
ガイド体107には、ヘッド部材23およびフェルール61が挿入可能な一定内径の挿通孔116が形成されている。
【0014】
挿通孔116は、ガイド体107を軸方向(前後方向)に貫通して形成され、装着部106の内部空間と連通している。挿通孔116には、先端側からフェルール61が挿入可能であり、後方からヘッド部材23の先端延出部28が挿入可能である。
挿通孔116の内径は、フェルール61の接合端面61aの清掃が確実に行われるように、ヘッド部材23およびフェルール61を、軸位置をあわせて位置決めできるように設定される。
具体的には、挿通孔116の内径は、ヘッド部材23の先端延出部28、およびフェルール61の外径と同じ、またはこれらよりやや大きいことが好ましい。挿通孔116の内径は、長さ方向に一定とすることができる。
【0015】
基筒部113は、略一定外径の円筒状に形成されている。基筒部113は、長さ方向(前後方向)に略一定の肉厚であることが好ましい。
比較的肉厚である基筒部113によって、ガイド体107の過度の変形を抑制し、ヘッド部材23とフェルール61の位置あわせを容易にすることができる。
【0016】
縮径筒部114は、前方に向け徐々に外径が小さくなるよう形成されているため、前方に向けて徐々に肉薄になっている。このため、可撓性は前方に行くに従って大きくなっている。図示例では、縮径筒部114の最大肉厚(基端部分における肉厚)は、基筒部113の肉厚と同じである。
縮径筒部114の外周面には、曲げ性を高めるため、1または複数の溝部117が形成されている。溝部117は、縮径筒部114の軸方向(前後方向)に対し交差する方向(図示例では軸方向に垂直)に形成することができる。溝部117の形成方向は、軸方向に垂直に限らず、軸方向に対し0°以上90°未満の角度で傾斜する方向でもよい。
縮径筒部114は、溝部117が形成された位置では肉薄となるため可撓性が高められる。
【0017】
図示例では、互いに回転対称となる位置に形成された2つの溝部117からなる組117Aが、前後に間隔をおいて3組形成されている。これらの組117Aは、前後に隣なり合う組117Aに対し周方向位置を90°違えて形成されており、この構成により、縮径筒部114は多方向の曲げに対応できる。
ひとつの溝部117の周方向(軸周り方向)の角度は、例えば60〜120°である。
【0018】
先端筒部115は、略一定外径の円筒状に形成されている。先端筒部115は、長さ方向(前後方向)に略一定の肉厚であることが好ましい。
先端筒部115は、先端筒部115の肉厚は、縮径筒部114の最小肉厚と同じまたはこれより小さいことが好ましい。
図示例の先端筒部115は、縮径筒部114の前端における外径とほぼ同じ外径とされている。先端筒部115の長さは、挿入されるフェルール61の長さに応じて定めることができる。
【0019】
図3に示すように、ガイド体107は、可撓性を有し、弾性的に曲げ変形可能とされている。曲げ方向は限定されず、全方向に曲げ変形可能であることが好ましい。
ガイド体107は、基筒部113、縮径筒部114および先端筒部115のいずれも曲げ変形可能とすることができるが、特に、先端筒部115と縮径筒部114において曲げ変形しやすく構成するのが好ましい。
【0020】
蓋104は、円板状の端板119と、端板119の一方面から延出する円筒状の筒部120とを有する有蓋筒状とされ、ガイド体107に被せることで、ガイド体107を保護できる。
蓋104は、端板119に接続された可撓性の連結体105を介して本体部103の装着部106に連結されているため、紛失を防止できる。
ガイド部材102は、本体部103の装着部106の後端に接続された保持紐部121を介してケース体11に連結されている。保持紐部121は、周方向に突出する係止突起122aを有する固定部122においてケース体11の係止穴(図示略)に挿入され、この係止穴の周縁部に係止する。
【0021】
ガイド部材102は、前記樹脂材料(ポリエステルエラストマー等)からなる一体成形品とすることができる。一体成形品とすることによって、製造工程数の削減や低コスト化が可能となる。
【0022】
図1および図4に示すように、工具本体10は、清掃体2の供給および巻き取りを行う送り機構3と、ヘッド部材23を回転させる回転機構5とがケース体11内に設けられている。
ケース体11は、断面略矩形の筒状に形成され、4枚の側板部11aのうちひとつの後部には、位置決め凸部57が挿入される位置決め開口部12が形成されている。
位置決め開口部12は、前後方向に沿うスリット状に形成されている。位置決め開口部12の前部および後部の側縁には、位置決め凸部57が嵌合する第1および第2嵌合凹部13、14が形成されている。
ケース体11の前端には、延出部20が挿通する挿通口11cが形成されている。
【0023】
図4に示すように、回転機構5は、ケース体11に対し位置決めされた支持体51と、軸回りに回転可能な回転シャフト52を備えている。
図7に示すように、支持体51は、前後方向に沿う長板状の基板53と、基板53の前端部の内面53aから突出して形成された挿入凸部54と、基板53の両側縁部から内面53a側に突出して形成された側板55と、基板53の後端縁部から内面53a側に延出して形成された後端板58とを備えている。
一方の側板55には鋸歯状のギア受け部56が形成されている。
ギア受け部56は、一方の側板部55に他方の側板55に向けて突出して形成された複数の受け歯部56aからなる。受け歯部56aは、支持体51の長さ方向(前後方向)に配列されている。
後端板58の前面58aには保持凸部59が形成されている。
【0024】
挿入凸部54は、略円筒状に形成され、その突出高さおよび外径は、回転筒部82のカム溝85に嵌合可能となるように設定されている。
基板53の後部には板状の弾性片65が形成され、弾性片65の後端部の上面(外面)には位置決め凸部57が上方(外方)に突出して形成されている(図4、図7参照)。
【0025】
図4、図13〜図15に示すように、回転シャフト52は、回転筒部82と、回転筒部82の前端から前方に延出するガイド筒部81とを備えている。
回転シャフト52内には、清掃体2が挿通する挿通孔83が、ガイド筒部81の前端から回転筒部82の後端にわたって形成されている。
ガイド筒部81は略円筒状に形成され、前端部において挿通孔83にヘッド部材23の挿入部91を挿入できる。ガイド筒部81の前端部の内面には、内面が平坦に形成された回転止部84が形成されている。
【0026】
図13に示すように、回転筒部82は略円筒状に形成され、その外面には、支持体51の挿入凸部54が挿入されるカム溝85が形成されている。
カム溝85は、前後方向にわたって、少なくとも一部が回転筒部82の軸方向に対し傾斜して形成されている。このため、後述するように、回転シャフト52が前後方向に移動すると、回転筒部82がカム溝85に沿って移動することによって、回転シャフト52は軸回りに回転する。図示例では、カム溝85は螺旋状に形成されている。
【0027】
図8〜図12に示すように、ヘッド部材23は、ガイド筒部81の挿通孔83に挿入可能な挿入部91と、挿入部91の前端に形成されたフランジ部92と、フランジ部92の前面から前方に延出する略円筒状の先端延出部28とを備えている。
先端延出部28の先端面は、清掃体2を接合端面61aに押し当てる押圧面24となる。
【0028】
図9および図10に示すように、先端延出部28は可撓性を有し、弾性的に曲げ変形可能である。曲げ方向は限定されず、全方向に曲げ変形可能であることが好ましい。
先端延出部28の外径は、ガイド部材102の挿通孔116に挿入可能となるよう設定される。この外径は例えば1.0〜1.4mmとすることができる。
先端延出部28の長さは、押圧面24上の清掃体2がフェルール61の接合端面61aに達するように設定される。
【0029】
押圧面24には、清掃体2が挿通する開口部であるガイド口部25A、25B(ガイド部)が形成されている。
一方のガイド口部25Aは、送り機構3からの清掃体2を押圧面24に導くものであり、他方のガイド口部25Bは、押圧面24を通過した清掃体2を送り機構3に導くものである。ガイド口部25A、25Bによって、清掃体2が押圧面24から外れるのを防ぐことができる。
【0030】
先端延出部28の側面には、清掃体2の送り移動をガイドするガイド溝26A、26Bを形成するのが好ましい。ガイド溝26A、26Bはフランジ部92および挿入部91の側面にも形成されている。
挿入部91には、ガイド筒部81に形成された回転止部84に即した形状の平坦部93が形成されており、平坦部93が回転止部84に沿って配置されるためヘッド部材23はガイド筒部81に対して回転しない。図示例では平坦部93は挿入部91の一方および他方の面に形成されている。
【0031】
挿入部91の一方の平坦部93の後部には開口部93aが形成され、その後縁には前方に延出する弾性片93bが形成され、弾性片93bの先端には、平坦部93に対し突出する係合爪93cが形成されている。
図15に示すように、係合爪93cは、ガイド筒部81に形成された係合開口部81a(係合凹部)の前縁に係止可能であり、係合爪93cが係合開口部81aの前縁に係止することでヘッド部材23の前方移動が規制され、ヘッド部材23の脱落を防止できる。
【0032】
図17に示すように、ヘッド部材23は、先端延出部28の先端部が先端筒部16の先端壁部16bの挿通口部16cに挿通可能であり、通常状態で、先端延出部28の先端部を含む部分が先端壁部16bから突出することが好ましい。
なお、本発明では、通常状態で先端延出部28が先端壁部16bから突出しない構成も可能である。
【0033】
ヘッド部材23は、ポリオキシメチレン(POM、ポリアセタール)、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなる一体成形品とすることができる。
特に、靱性に優れた材料であるポリオキシメチレンを用いると、先端延出部28の耐久性を高めることができる。
【0034】
図4、図14〜図16に示すように、ヘッド部材23には、供給リール30から引き出された清掃体2が巻き回されている。
図示例では、清掃体2は、工具本体10内の供給リール30から回転シャフト52の挿通孔83内を通り、ヘッド部材23のガイド溝26A、ガイド口部25Aを通って押圧面24に至り、ガイド口部25B、ガイド溝26Bを経て巻取リール31に達している。
【0035】
清掃体2は、特に限定されるものではなく、公知の適当な清浄布(不織布や織布)を糸状(または紐状)、テープ状などに加工したものを採用することができる。例えば、ポリエステルやナイロンなどの極細の繊維で構成されたものが例示できる。
【0036】
図14および図15における符号94は、ガイド筒部81の前端とフランジ部92との間に設けられた付勢手段(例えばコイルスプリング)である。付勢手段94は、ヘッド部材23を接合端面61aに押し当てたときにヘッド部材23を前方に付勢する。
【0037】
図16に示すように、送り機構3は、清掃体2を巻装した供給リール30と、使用後の清掃体2を巻き取って回収する巻取リール31と、これらが回転可能に装着される支持部35と、巻取リール31に装着されるギア38と、支持部35に形成された保持筒部39と、保持筒部39に装着された付勢手段40(例えばコイルスプリング)と、押さえ部34とを備えている。
【0038】
支持部35は、基板41と、基板41の内面41aに設けられて供給リール30が回転可能に装着される供給リール支持軸32と、巻取リール31が回転可能に装着される巻取リール支持軸33と、基板41の長さ方向中間部に形成された仕切板42と、基板41の後端部に形成された後端板43と、基板41の側縁部に形成された側板44とを備えている。
【0039】
基板41には、リール30、31の径方向に対し垂直に延出する2つの延出板45、45が形成され、延出板45、45の先端には、それぞれリール30、31に向けて突出する係止爪45a、45aが形成されている。延出板45は弾性的に曲げ変形可能であり、係止爪45aはリール30、31に対し接近および離間する方向に移動可能である。
基板41の前端には、先端筒部16および外筒体18が嵌合する切欠41bが形成されている。
【0040】
押さえ部34は、リール30、31およびギア38の脱落を防ぐためのもので、前後方向に延出する長板状の本体部34aの前端および後端に、リール支持軸32、33に嵌合可能な嵌合部34b、34cが形成されている。
【0041】
仕切板42には、清掃体2が通過する通過凹部42aが形成されている。
供給リール30および巻取リール31は、清掃体2が巻き付けられる胴部47と、胴部47の一端に設けられた第1端板48と、胴部47の他端に設けられた第2端板49とを備えている。
第1端板48の外面には、周方向に沿って配列された複数の係止凹部(図示略)が形成されており、延出板45の係止爪45aが前記係止凹部に係合することにより、リール30、31の逆方向回転が阻止される。第2端板49の外面には、周方向に沿って配列された複数の係止凸部49aが形成されている。
リール30、31は、胴部47に支持軸32、33を挿通させることによって支持部35に装着される。
【0042】
ギア38は、円板状の基板87と、基板87の一方の面に形成された歯車部88とを有する。基板87の他方の面には、巻取リール31の係止凸部49aに係止する係止突起87aが形成されている。
歯車部88は、周方向に沿って配列された複数の歯部88aを有し、これら歯部88aは、支持体51のギア受け部56の受け歯部56aに噛み合うように形成されている。
ギア38は、巻取リール31の第2端板49に重ねて設置される。基板87の係止突起87aは第2端板49の係止凸部49aに係止するため、ギア38の回転に従って巻取リール31も回転する。
係止突起87aは、ギア38が巻き取り方向とは逆の方向に回転する場合には、係止凸部49aには係止しないように形成されている。
【0043】
図4〜図6に示すように、延出部20は、延出筒体21と、延出筒体21に挿通するヘッド部材23とを備えている。
延出筒体21は、筒体基部15と、その先端側に設けられた先端筒部16と、先端筒部16を前方に付勢する付勢手段17と、外筒体18とを備えている。
筒体基部15は、保持枠部97と、保持枠部97の前端から前方に延出する円筒状の接続筒部96とを備えている。
保持枠部97は、断面矩形の筒状に形成され、その内部に回転シャフト52の回転筒部82を収容できる。
保持枠部97を構成する4つの側板99のうちひとつである側板99aには、前後方向に沿って、支持体51の挿入凸部54が挿入されるスリット100が形成されている。
【0044】
接続筒部96は、回転シャフト52のガイド筒部81が挿通可能な略円筒状とされている。
接続筒部96の外面には、外筒体18に形成された係止開口部18aに嵌合する嵌合爪96aが形成されている。
接続筒部96の内面には、付勢手段17の後端が当接する段部96bが形成されている(図17参照)。
【0045】
図17に示すように、先端筒部16は、筒状壁部16aと、その前端に設けられた先端壁部16bを備えている。
先端壁部16bには、ヘッド部材23の先端延出部28が挿通する挿通口部16cが形成されている。
先端筒部16の後端部には、付勢手段17に挿入される後端筒部16dが後方に突出して形成され、これによって付勢手段17に対し位置決めされている(図6参照)。
先端筒部16は、延出方向(先端方向)およびその反対方向に移動可能である。
【0046】
図5に矢印で示すように、先端筒部16は、付勢手段17および外筒体18に対し軸回り方向に回動自在とすることができる。
付勢手段17は、コイルスプリングなどのバネ部材が好適である。付勢手段17の後部は接続筒部96に挿入され、後端部が段部96bに当接可能であり、前端部は先端筒部16の後端部に当接可能である(図17、図18参照)。
【0047】
外筒体18は略円筒状に形成され、接続筒部96および先端筒部16が挿通可能とされている。
図17に示すように、外筒体18の前端部には、内方に突出する凸部であるストッパ部18bが形成されている。ストッパ部18bは、先端筒部16の段部16eに当接し、先端筒部16の前方移動を規制できる。図示例のストッパ部18bは環状に形成された凸部である。
【0048】
図5および図6に示すように、筒体基部15は、保持枠部97と、保持枠部97の前端から前方に延出する円筒状の接続筒部96とを備えている。
接続筒部96の外面には、外筒体18に形成された係止開口部18aに嵌合する嵌合爪96aが形成されている。
【0049】
図1に示すように、延出部20は、ケース体11に対して、前後方向(伸縮方向)に移動可能である。
この図では、延出部20は比較的に後方に位置しているが、延出部20を前方に位置させることもできる。
なお、図示はしないが、延出部20は、光コネクタアダプタのコネクタ収容穴に挿入可能に構成し、このコネクタ収容穴内のフェルールの接続端面などを清掃可能とすることができる。
【0050】
次に、清掃工具1を用いて清掃作業を行う方法の一例を説明する。
図17および図22に示す通常状態では、付勢手段17が接続筒部96の段部96bに反力をとって先端筒部16を前方に付勢するため、先端筒部16は比較的前方に位置している。この先端筒部16の位置を前方位置という。このため、先端延出部28は先端部分を含むごく短い部分のみが露出している。
この状態では、外筒体18のストッパ部18bが先端筒部16の段部16eに当接し、先端筒部16の前方移動が規制されている。
【0051】
図19に示すように、ガイド部材102の装着部106を先端筒部16の先端に装着する。
図20および図24に示すように、ケース体11を把持して、ガイド部材102のガイド体107の挿通孔116に先端側からフェルール61を挿入させる。
図24に示すように、ガイド体107は、先端筒部115の先端が光コネクタ60の基板64の一方面64aに突き当たるまで進入させる。
【0052】
図21および図25に示すように、ケース体11を前方に移動させると、先端筒部16が一方面64aからの反力を受け、相対的に後方に移動する。この先端筒部16の位置を後方位置という。
図18および図23に示すように、この後方位置にあっては、先端延出部28は先端筒部16から長く突出する。
図25および図26に示すように、先端延出部28は挿通孔116内を進行し、押圧面24上の清掃体2は、フェルール61の接合端面61aの適切な位置(ここでは、光ファイバ穴61bとその周辺)に当接する。
【0053】
図27および図28に示すように、延出筒体21がケース体11に対して相対的に後方に移動するため、延出筒体21に押されて回転シャフト52が支持体51に対して相対的に後方に移動する。このため、回転筒部82はカム溝85に沿って周方向に移動し、回転シャフト52は軸回りに回転する。
図26に示すように、回転シャフト52の回転によって、ヘッド部材23が軸回りに回転するため、清掃体2は接合端面61aに当接した状態のままヘッド部材23の軸回りに回転し、接合端面61aが拭き取り清掃される。
【0054】
図4、図7および図16に示すように、支持体51が送り機構3に対し相対的に移動するため、ギア受け部56によって、ギア38の歯車部88に回転方向の力が与えられる。ギア38の回転によって、巻取リール31も回転するため、清掃体2が巻き取られる。
これに伴って、清掃体2が供給リール30から引き出され、ヘッド部材23の押圧面24を通って送り移動される。
清掃体2の送り移動によって、接合端面61aに付着しているゴミや埃、油分などの汚れが確実に拭き取られる。
【0055】
延出部20を光コネクタ60から引き抜く際には、延出部20は、付勢手段40の弾性力によってケース体11に対して相対的に前方(すなわち伸長方向)に移動する。この際、付勢手段17の弾性力により先端筒部16は前方位置に戻る(図17参照)。
【0056】
図29に示すように、前記清掃作業の際には、作業者の操作により清掃工具1が傾くことがある。図示例では、先端筒部16が右下がり方向に傾いている。
先端筒部16が傾くとガイド部材102も同方向に傾くためフェルール61に曲げ方向の力が加えられるが、清掃工具1では、ガイド体107が弾性的に曲げ変形可能であるため、ガイド体107が曲げ変形することによって、フェルール61に加えられる曲げ方向の力が小さくなり、フェルール61の破損を防止できる。
図示例では、主に縮径筒部114に曲げ変形が生じている。詳細には、フェルール61と先端延出部28との間に相当する部分の縮径筒部114に大きな曲げが生じている。また、基筒部113および先端延出部28にもわずかに曲げが生じている。
清掃作業終了後、ガイド部材102をフェルール61から引き抜くと、ガイド部材102は、弾性的な復元力により曲げが解消される。また、先端延出部28も弾性的な復元力により曲げが解消される。
【0057】
清掃工具1は、ガイド部材102のガイド体107をフェルール61に嵌め込む操作も容易となる。
すなわち、ガイド体107が可撓性を有するため、傾いた状態で使用してもガイド体107が傾きに応じて曲げ変形するため、フェルール61に曲げ方向の大きな力を加えずに嵌め込み操作が可能となる。
また、清掃工具1では、ヘッド部材23の先端延出部28も可撓性を有するため、ガイド体107の曲げ変形に応じて変形可能であり、清掃作業に支障が生じることはない。
【0058】
ガイド部材は、図2および図3に示すものに限定されない。以下にガイド部材の変形例を示す。なお、以下の説明において、既述の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図31に示すガイド部材122は、縮径筒部114に形成された溝部123が、図2に示す溝部117とは異なり、周方向の一部ではなく全周にわたって形成されている。
この例のガイド部材122は、全周にわたる溝部123が形成されているので、縮径筒部114を曲がりやすくすることができる。
【0059】
図32に示すガイド部材132は、ガイド体127が、前壁部110の前面から前方に延出するコイルスプリングからなる基筒部124と、基筒部124の先端から前方に延出する樹脂製の先端筒部125とを有する。
基筒部124を構成するコイルスプリングは、曲げ方向の変形は可能であるが圧縮変形がほとんど起こらないものが好ましい。
先端筒部125は、既述のガイド部材102における先端筒部115と同様の材料を使用できる。
この例のガイド部材132は、基筒部124がコイルスプリングからなるので、局所的な変形が起こりにくく、かつ十分な曲げ性を有する。よって、ヘッド部材23とフェルール61の位置あわせを容易にすることができる。
【0060】
また、ガイド体は、複数の異なる材料で構成することもできる。例えば、基筒部および縮径筒部に、先端筒部の構成材料よりも剛性の高い樹脂材料を使用することによって、基筒部および縮径筒部の変形が過剰になるのを防止し、ヘッド部材23とフェルール61の位置あわせを容易にすることができる。
【0061】
なお、図示例では、延出部20の延出筒体21が筒体基部15と先端筒部16とを有し、先端筒部16の前後方向の移動により先端延出部28の突出量が変化する構成としたが、これに限らず、延出筒体21が一体に形成され、その先端から先端延出部28が突出する構成も可能である。また、延出筒体21の先端に、延出筒体21から突出する先端延出部28が一体に形成された構成も可能である。
また、ガイド部材102のガイド体107は、縮径筒部114と先端筒部115のみからなる構成であってもよい。
【0062】
図示例では、光コネクタ60を対象としたが、本発明の清掃工具の対象はこれに限定されず、光コネクタアダプタ、光コネクタレセプタクル(詳細には、レセプタクルハウジング)等も対象とすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1・・・光コネクタ清掃工具、2・・・清掃体、3・・・送り機構、10・・・工具本体、11・・・ケース体、15・・・筒体基部、16・・・先端筒部、17・・・付勢手段、20・・・延出部、21・・・延出筒体、23・・・ヘッド部材、24・・・押圧面、28・・・先端延出部、60・・・光コネクタ、61・・・フェルール(清掃対象物)、61a・・・接合端面、106・・・装着部、102・・・ガイド部材、107・・・ガイド体、114・・・縮径筒部、115・・・先端筒部、116・・・挿通孔、117、123・・・溝部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタの接合端面を、清掃体の送り移動によって清掃する光コネクタ清掃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタを接続する際には、接合端面に汚れや異物が付着していると、着脱時の損傷や伝送損失の増大などの原因になるため、突き合わせ接続に先だって、接合端面を清掃する必要がある。
光コネクタの接合端面の清掃には、接合端面に清掃体を接触させて清掃する光コネクタ清掃工具が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−90576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェルールなどの清掃対象物が突出している構造の光コネクタでは、清掃工具のヘッド部材を、筒状のガイド部材により清掃対象物の接合端面に導いて清掃作業を行う。
しかしながら、この種の光コネクタでは、清掃工具の傾動によってガイド部材が傾き、清掃対象物に曲げ方向の大きな力が加えられるおそれがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、清掃対象物が突出している構造の光コネクタにおいて、清掃の際に対象物に過大な力が加えられるのを防ぎ、その破損を防止できる光コネクタ清掃工具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1にかかる発明は、光コネクタ内の突出する清掃対象物の接合端面を、清掃体により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、前記清掃体の供給および巻き取りを行う送り機構が組み込まれた工具本体と、前記工具本体から延出する延出部と、前記延出部の先端部に装着されるガイド部材とを備え、前記延出部が、延出筒体と、前記清掃体を前記接合端面に押し当てる先端延出部を有し、前記ガイド部材が、前記延出筒体の先端部に装着される装着部と、前記装着部から前記延出方向に延びる筒状のガイド体を備え、前記ガイド体に、先端側から前記清掃対象物が挿入可能であり、且つ後端側から前記先端延出部が挿入可能である挿通孔が形成され、前記ガイド体は、弾性的に曲げ変形可能に形成され、前記延出部の先端部に装着した前記ガイド部材の前記挿通孔に前記清掃対象物を挿入して、前記清掃体を前記清掃対象物の接合端面に押し当てる操作により拭き取り清掃をする光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項2にかかる発明は、請求項1において、前記ガイド体が、前記延出方向に徐々に肉薄になりつつ延びる縮径筒部と、その先端から前記延出方向に延出する略一定肉厚の先端筒部とを備え、前記先端筒部の肉厚が、前記縮径筒部の最小肉厚と同じまたはこれより小さい光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項3にかかる発明は、請求項2において、前記縮径筒部の外周面に、前記延出方向に対し交差する方向に沿う1または複数の溝部が形成されている光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のうちいずれか1項において、前記ガイド部材が、樹脂材料からなる一体成形品である光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項5にかかる発明は、請求項1〜4のうちいずれか1項において、前記ガイド部材が、ポリエステルエラストマーからなる光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項6にかかる発明は、請求項1〜5のうちいずれか1項において、先端延出部が、弾性的に曲げ変形可能に形成されている光コネクタ清掃工具である。
本発明の請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のうちいずれか1項において、前記延出筒体が、筒体基部と、前記筒体基部に対し付勢手段により延出方向に付勢された先端筒部とを有し、前記先端延出部が、前記先端筒部の先端から突出可能であり、前記先端筒部が、前記筒体基部に対し前記延出方向に移動することで前記先端延出部の突出量を調整可能である光コネクタ清掃工具である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ガイド部材のガイド体が曲げ変形可能であるため、清掃作業の際に、作業者の操作により清掃工具が傾いた場合でも、清掃対象物に加えられる曲げ方向の力が小さくなり、清掃対象物の破損を防止できる。
また、傾いた状態でもガイド体を清掃対象物に嵌め込む操作が可能であるため、清掃作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の光コネクタ清掃工具の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】清掃工具のガイド部材を示す斜視図である。
【図3】清掃工具のガイド部材を示す断面図である。
【図4】清掃工具の分解斜視図である。
【図5】延出筒体を示す斜視図である。
【図6】延出筒体を示す分解斜視図である。
【図7】支持体を示す斜視図である。
【図8】ヘッド部材を示す斜視図である。
【図9】ヘッド部材を示す平面図である。
【図10】ヘッド部材を示す側面図である。
【図11】ヘッド部材を示す断面図である。
【図12】ヘッド部材の先端部分を示す断面図である。
【図13】回転機構の回転シャフトを示す斜視図である。
【図14】回転シャフトおよびその先端に取り付けられたヘッド部材を示す一部断面状態の平面図である。
【図15】回転シャフトおよびその先端に取り付けられたヘッド部材を示す一部断面状態の側面図である。
【図16】送り機構を示す分解斜視図である。
【図17】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図18】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図19】光コネクタ清掃工具の使用方法を示す工程図である。
【図20】前図に続く工程図である。
【図21】前図に続く工程図である。
【図22】清掃工具の要部を拡大した斜視図である。
【図23】清掃工具の要部を拡大した斜視図である。
【図24】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図25】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図26】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図27】回転シャフトの動作を示す説明図である。
【図28】回転シャフトの動作を示す説明図である。
【図29】ヘッド部材の動作を示す説明図である。
【図30】本発明の清掃工具を適用可能な光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図31】ガイド部材の他の例を示す斜視図である。
【図32】ガイド部材のさらに他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施した光コネクタ清掃工具(以下、単に「清掃工具」ともいう)を、図面を参照して説明する。
まず、清掃工具1が適用される光コネクタ60を説明する。
図30に示すように、光コネクタ60は、基板64の一方面64aに、1または複数のフェルール61(清掃対象物)が突出して形成された構造を有する。
図24および図26に示すように、フェルール61の接合端面61aの中央部には、光ファイバ穴61b(微細孔)が開口している。光ファイバ穴61bには、光ファイバ63が挿通しており、光ファイバ63の先端は接合端面61aに露出している。
光ファイバ63は、例えば光ファイバ心線の先端部の被覆樹脂を除去した光ファイバ裸線であり、光ファイバ63は、これにより他の光コネクタと突き合わせ接続可能に成端されている。
【0009】
次に、清掃工具1の構造を説明する。
図1は、本発明の光コネクタ清掃工具の第1の実施形態である清掃工具1の斜視図である。図2は、清掃工具1のガイド部材102を示す斜視図である。図3は、ガイド部材102を示す断面図である。図4は、清掃工具1の分解斜視図である。図5は、延出筒体21を示す斜視図である。図6は、延出筒体21を示す分解斜視図である。図7は、支持体51を示す斜視図である。図8は、ヘッド部材23を示す斜視図である。図9は、ヘッド部材23を示す平面図である。図10は、ヘッド部材23を示す側面図である。図11は、ヘッド部材23を示す断面図である。図12は、ヘッド部材23の先端部分を示す斜視図である。図13は、回転機構5の回転シャフト52を示す斜視図である。図14は、回転シャフト52およびその先端に取り付けられたヘッド部材23を示す一部断面状態の平面図である。図15は、回転シャフト52およびその先端に取り付けられたヘッド部材23を示す一部断面状態の側面図である。図16は、送り機構3を示す分解斜視図である。
【0010】
図1に示すように、清掃工具1は、工具本体10と、工具本体10から延出する延出部20と、延出部20の先端部に装着されるガイド部材102とを有する。
以下の説明において、図1に示す延出部20の先端方向(延出方向)を前方といい、その反対方向を後方ということがある。
【0011】
図2および図3に示すように、ガイド部材102は、延出部20の先端筒部16の先端部に装着される本体部103と、本体部103に連結体105によって連結された蓋104とを有する。
ガイド部材102は、樹脂材料、例えばポリエステルエラストマーから構成することが好ましい。ポリエステルエラストマーとしては、結晶性ポリエステルからなるハードセグメントと、非晶性のポリエステルまたはポリエーテルからなるソフトセグメントを有するブロック共重合体が好ましく、具体的には「ハイトレル」(商品名、東レ・デュポン社製)、「ペルプレン」(商品名、東洋紡績社製)などが用いられる。
ガイド部材102を構成する樹脂材料としては、ポリオキシメチレン(POM、ポリアセタール)、ポリプロピレン、ポリアミドなども使用できる。
【0012】
本体部103は、延出部20の先端筒部16の先端部に着脱自在に装着される装着部106と、装着部106の前端から延出する筒状のガイド体107とを備えている。
装着部106は、円形の前壁部110と、その周縁から後方に延出する円筒状の筒部111からなる。筒部111は、後端側から先端筒部16の先端部が挿入可能となるように形成されている(図24を参照)。
筒部111の内径は、先端筒部16の外径とほぼ同じか、これよりやや小さくするのが好ましい。
筒部111には、後端111aから先端方向に向かって一定幅のスリット112が形成されている。筒部111は、スリット112が押し広げられる方向の変形によって内部空間が拡張され、先端筒部16の挿入が容易となる。
【0013】
ガイド体107は、可撓性を有する筒状体であって、前壁部110の前面から前方に延出する円筒状の基筒部113と、基筒部113の先端から外径が徐々に小さくなりつつ前方に延出する断面略円形の縮径筒部114と、縮径筒部114の先端から前方に延出する先端筒部115とを有する。
ガイド体107には、ヘッド部材23およびフェルール61が挿入可能な一定内径の挿通孔116が形成されている。
【0014】
挿通孔116は、ガイド体107を軸方向(前後方向)に貫通して形成され、装着部106の内部空間と連通している。挿通孔116には、先端側からフェルール61が挿入可能であり、後方からヘッド部材23の先端延出部28が挿入可能である。
挿通孔116の内径は、フェルール61の接合端面61aの清掃が確実に行われるように、ヘッド部材23およびフェルール61を、軸位置をあわせて位置決めできるように設定される。
具体的には、挿通孔116の内径は、ヘッド部材23の先端延出部28、およびフェルール61の外径と同じ、またはこれらよりやや大きいことが好ましい。挿通孔116の内径は、長さ方向に一定とすることができる。
【0015】
基筒部113は、略一定外径の円筒状に形成されている。基筒部113は、長さ方向(前後方向)に略一定の肉厚であることが好ましい。
比較的肉厚である基筒部113によって、ガイド体107の過度の変形を抑制し、ヘッド部材23とフェルール61の位置あわせを容易にすることができる。
【0016】
縮径筒部114は、前方に向け徐々に外径が小さくなるよう形成されているため、前方に向けて徐々に肉薄になっている。このため、可撓性は前方に行くに従って大きくなっている。図示例では、縮径筒部114の最大肉厚(基端部分における肉厚)は、基筒部113の肉厚と同じである。
縮径筒部114の外周面には、曲げ性を高めるため、1または複数の溝部117が形成されている。溝部117は、縮径筒部114の軸方向(前後方向)に対し交差する方向(図示例では軸方向に垂直)に形成することができる。溝部117の形成方向は、軸方向に垂直に限らず、軸方向に対し0°以上90°未満の角度で傾斜する方向でもよい。
縮径筒部114は、溝部117が形成された位置では肉薄となるため可撓性が高められる。
【0017】
図示例では、互いに回転対称となる位置に形成された2つの溝部117からなる組117Aが、前後に間隔をおいて3組形成されている。これらの組117Aは、前後に隣なり合う組117Aに対し周方向位置を90°違えて形成されており、この構成により、縮径筒部114は多方向の曲げに対応できる。
ひとつの溝部117の周方向(軸周り方向)の角度は、例えば60〜120°である。
【0018】
先端筒部115は、略一定外径の円筒状に形成されている。先端筒部115は、長さ方向(前後方向)に略一定の肉厚であることが好ましい。
先端筒部115は、先端筒部115の肉厚は、縮径筒部114の最小肉厚と同じまたはこれより小さいことが好ましい。
図示例の先端筒部115は、縮径筒部114の前端における外径とほぼ同じ外径とされている。先端筒部115の長さは、挿入されるフェルール61の長さに応じて定めることができる。
【0019】
図3に示すように、ガイド体107は、可撓性を有し、弾性的に曲げ変形可能とされている。曲げ方向は限定されず、全方向に曲げ変形可能であることが好ましい。
ガイド体107は、基筒部113、縮径筒部114および先端筒部115のいずれも曲げ変形可能とすることができるが、特に、先端筒部115と縮径筒部114において曲げ変形しやすく構成するのが好ましい。
【0020】
蓋104は、円板状の端板119と、端板119の一方面から延出する円筒状の筒部120とを有する有蓋筒状とされ、ガイド体107に被せることで、ガイド体107を保護できる。
蓋104は、端板119に接続された可撓性の連結体105を介して本体部103の装着部106に連結されているため、紛失を防止できる。
ガイド部材102は、本体部103の装着部106の後端に接続された保持紐部121を介してケース体11に連結されている。保持紐部121は、周方向に突出する係止突起122aを有する固定部122においてケース体11の係止穴(図示略)に挿入され、この係止穴の周縁部に係止する。
【0021】
ガイド部材102は、前記樹脂材料(ポリエステルエラストマー等)からなる一体成形品とすることができる。一体成形品とすることによって、製造工程数の削減や低コスト化が可能となる。
【0022】
図1および図4に示すように、工具本体10は、清掃体2の供給および巻き取りを行う送り機構3と、ヘッド部材23を回転させる回転機構5とがケース体11内に設けられている。
ケース体11は、断面略矩形の筒状に形成され、4枚の側板部11aのうちひとつの後部には、位置決め凸部57が挿入される位置決め開口部12が形成されている。
位置決め開口部12は、前後方向に沿うスリット状に形成されている。位置決め開口部12の前部および後部の側縁には、位置決め凸部57が嵌合する第1および第2嵌合凹部13、14が形成されている。
ケース体11の前端には、延出部20が挿通する挿通口11cが形成されている。
【0023】
図4に示すように、回転機構5は、ケース体11に対し位置決めされた支持体51と、軸回りに回転可能な回転シャフト52を備えている。
図7に示すように、支持体51は、前後方向に沿う長板状の基板53と、基板53の前端部の内面53aから突出して形成された挿入凸部54と、基板53の両側縁部から内面53a側に突出して形成された側板55と、基板53の後端縁部から内面53a側に延出して形成された後端板58とを備えている。
一方の側板55には鋸歯状のギア受け部56が形成されている。
ギア受け部56は、一方の側板部55に他方の側板55に向けて突出して形成された複数の受け歯部56aからなる。受け歯部56aは、支持体51の長さ方向(前後方向)に配列されている。
後端板58の前面58aには保持凸部59が形成されている。
【0024】
挿入凸部54は、略円筒状に形成され、その突出高さおよび外径は、回転筒部82のカム溝85に嵌合可能となるように設定されている。
基板53の後部には板状の弾性片65が形成され、弾性片65の後端部の上面(外面)には位置決め凸部57が上方(外方)に突出して形成されている(図4、図7参照)。
【0025】
図4、図13〜図15に示すように、回転シャフト52は、回転筒部82と、回転筒部82の前端から前方に延出するガイド筒部81とを備えている。
回転シャフト52内には、清掃体2が挿通する挿通孔83が、ガイド筒部81の前端から回転筒部82の後端にわたって形成されている。
ガイド筒部81は略円筒状に形成され、前端部において挿通孔83にヘッド部材23の挿入部91を挿入できる。ガイド筒部81の前端部の内面には、内面が平坦に形成された回転止部84が形成されている。
【0026】
図13に示すように、回転筒部82は略円筒状に形成され、その外面には、支持体51の挿入凸部54が挿入されるカム溝85が形成されている。
カム溝85は、前後方向にわたって、少なくとも一部が回転筒部82の軸方向に対し傾斜して形成されている。このため、後述するように、回転シャフト52が前後方向に移動すると、回転筒部82がカム溝85に沿って移動することによって、回転シャフト52は軸回りに回転する。図示例では、カム溝85は螺旋状に形成されている。
【0027】
図8〜図12に示すように、ヘッド部材23は、ガイド筒部81の挿通孔83に挿入可能な挿入部91と、挿入部91の前端に形成されたフランジ部92と、フランジ部92の前面から前方に延出する略円筒状の先端延出部28とを備えている。
先端延出部28の先端面は、清掃体2を接合端面61aに押し当てる押圧面24となる。
【0028】
図9および図10に示すように、先端延出部28は可撓性を有し、弾性的に曲げ変形可能である。曲げ方向は限定されず、全方向に曲げ変形可能であることが好ましい。
先端延出部28の外径は、ガイド部材102の挿通孔116に挿入可能となるよう設定される。この外径は例えば1.0〜1.4mmとすることができる。
先端延出部28の長さは、押圧面24上の清掃体2がフェルール61の接合端面61aに達するように設定される。
【0029】
押圧面24には、清掃体2が挿通する開口部であるガイド口部25A、25B(ガイド部)が形成されている。
一方のガイド口部25Aは、送り機構3からの清掃体2を押圧面24に導くものであり、他方のガイド口部25Bは、押圧面24を通過した清掃体2を送り機構3に導くものである。ガイド口部25A、25Bによって、清掃体2が押圧面24から外れるのを防ぐことができる。
【0030】
先端延出部28の側面には、清掃体2の送り移動をガイドするガイド溝26A、26Bを形成するのが好ましい。ガイド溝26A、26Bはフランジ部92および挿入部91の側面にも形成されている。
挿入部91には、ガイド筒部81に形成された回転止部84に即した形状の平坦部93が形成されており、平坦部93が回転止部84に沿って配置されるためヘッド部材23はガイド筒部81に対して回転しない。図示例では平坦部93は挿入部91の一方および他方の面に形成されている。
【0031】
挿入部91の一方の平坦部93の後部には開口部93aが形成され、その後縁には前方に延出する弾性片93bが形成され、弾性片93bの先端には、平坦部93に対し突出する係合爪93cが形成されている。
図15に示すように、係合爪93cは、ガイド筒部81に形成された係合開口部81a(係合凹部)の前縁に係止可能であり、係合爪93cが係合開口部81aの前縁に係止することでヘッド部材23の前方移動が規制され、ヘッド部材23の脱落を防止できる。
【0032】
図17に示すように、ヘッド部材23は、先端延出部28の先端部が先端筒部16の先端壁部16bの挿通口部16cに挿通可能であり、通常状態で、先端延出部28の先端部を含む部分が先端壁部16bから突出することが好ましい。
なお、本発明では、通常状態で先端延出部28が先端壁部16bから突出しない構成も可能である。
【0033】
ヘッド部材23は、ポリオキシメチレン(POM、ポリアセタール)、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなる一体成形品とすることができる。
特に、靱性に優れた材料であるポリオキシメチレンを用いると、先端延出部28の耐久性を高めることができる。
【0034】
図4、図14〜図16に示すように、ヘッド部材23には、供給リール30から引き出された清掃体2が巻き回されている。
図示例では、清掃体2は、工具本体10内の供給リール30から回転シャフト52の挿通孔83内を通り、ヘッド部材23のガイド溝26A、ガイド口部25Aを通って押圧面24に至り、ガイド口部25B、ガイド溝26Bを経て巻取リール31に達している。
【0035】
清掃体2は、特に限定されるものではなく、公知の適当な清浄布(不織布や織布)を糸状(または紐状)、テープ状などに加工したものを採用することができる。例えば、ポリエステルやナイロンなどの極細の繊維で構成されたものが例示できる。
【0036】
図14および図15における符号94は、ガイド筒部81の前端とフランジ部92との間に設けられた付勢手段(例えばコイルスプリング)である。付勢手段94は、ヘッド部材23を接合端面61aに押し当てたときにヘッド部材23を前方に付勢する。
【0037】
図16に示すように、送り機構3は、清掃体2を巻装した供給リール30と、使用後の清掃体2を巻き取って回収する巻取リール31と、これらが回転可能に装着される支持部35と、巻取リール31に装着されるギア38と、支持部35に形成された保持筒部39と、保持筒部39に装着された付勢手段40(例えばコイルスプリング)と、押さえ部34とを備えている。
【0038】
支持部35は、基板41と、基板41の内面41aに設けられて供給リール30が回転可能に装着される供給リール支持軸32と、巻取リール31が回転可能に装着される巻取リール支持軸33と、基板41の長さ方向中間部に形成された仕切板42と、基板41の後端部に形成された後端板43と、基板41の側縁部に形成された側板44とを備えている。
【0039】
基板41には、リール30、31の径方向に対し垂直に延出する2つの延出板45、45が形成され、延出板45、45の先端には、それぞれリール30、31に向けて突出する係止爪45a、45aが形成されている。延出板45は弾性的に曲げ変形可能であり、係止爪45aはリール30、31に対し接近および離間する方向に移動可能である。
基板41の前端には、先端筒部16および外筒体18が嵌合する切欠41bが形成されている。
【0040】
押さえ部34は、リール30、31およびギア38の脱落を防ぐためのもので、前後方向に延出する長板状の本体部34aの前端および後端に、リール支持軸32、33に嵌合可能な嵌合部34b、34cが形成されている。
【0041】
仕切板42には、清掃体2が通過する通過凹部42aが形成されている。
供給リール30および巻取リール31は、清掃体2が巻き付けられる胴部47と、胴部47の一端に設けられた第1端板48と、胴部47の他端に設けられた第2端板49とを備えている。
第1端板48の外面には、周方向に沿って配列された複数の係止凹部(図示略)が形成されており、延出板45の係止爪45aが前記係止凹部に係合することにより、リール30、31の逆方向回転が阻止される。第2端板49の外面には、周方向に沿って配列された複数の係止凸部49aが形成されている。
リール30、31は、胴部47に支持軸32、33を挿通させることによって支持部35に装着される。
【0042】
ギア38は、円板状の基板87と、基板87の一方の面に形成された歯車部88とを有する。基板87の他方の面には、巻取リール31の係止凸部49aに係止する係止突起87aが形成されている。
歯車部88は、周方向に沿って配列された複数の歯部88aを有し、これら歯部88aは、支持体51のギア受け部56の受け歯部56aに噛み合うように形成されている。
ギア38は、巻取リール31の第2端板49に重ねて設置される。基板87の係止突起87aは第2端板49の係止凸部49aに係止するため、ギア38の回転に従って巻取リール31も回転する。
係止突起87aは、ギア38が巻き取り方向とは逆の方向に回転する場合には、係止凸部49aには係止しないように形成されている。
【0043】
図4〜図6に示すように、延出部20は、延出筒体21と、延出筒体21に挿通するヘッド部材23とを備えている。
延出筒体21は、筒体基部15と、その先端側に設けられた先端筒部16と、先端筒部16を前方に付勢する付勢手段17と、外筒体18とを備えている。
筒体基部15は、保持枠部97と、保持枠部97の前端から前方に延出する円筒状の接続筒部96とを備えている。
保持枠部97は、断面矩形の筒状に形成され、その内部に回転シャフト52の回転筒部82を収容できる。
保持枠部97を構成する4つの側板99のうちひとつである側板99aには、前後方向に沿って、支持体51の挿入凸部54が挿入されるスリット100が形成されている。
【0044】
接続筒部96は、回転シャフト52のガイド筒部81が挿通可能な略円筒状とされている。
接続筒部96の外面には、外筒体18に形成された係止開口部18aに嵌合する嵌合爪96aが形成されている。
接続筒部96の内面には、付勢手段17の後端が当接する段部96bが形成されている(図17参照)。
【0045】
図17に示すように、先端筒部16は、筒状壁部16aと、その前端に設けられた先端壁部16bを備えている。
先端壁部16bには、ヘッド部材23の先端延出部28が挿通する挿通口部16cが形成されている。
先端筒部16の後端部には、付勢手段17に挿入される後端筒部16dが後方に突出して形成され、これによって付勢手段17に対し位置決めされている(図6参照)。
先端筒部16は、延出方向(先端方向)およびその反対方向に移動可能である。
【0046】
図5に矢印で示すように、先端筒部16は、付勢手段17および外筒体18に対し軸回り方向に回動自在とすることができる。
付勢手段17は、コイルスプリングなどのバネ部材が好適である。付勢手段17の後部は接続筒部96に挿入され、後端部が段部96bに当接可能であり、前端部は先端筒部16の後端部に当接可能である(図17、図18参照)。
【0047】
外筒体18は略円筒状に形成され、接続筒部96および先端筒部16が挿通可能とされている。
図17に示すように、外筒体18の前端部には、内方に突出する凸部であるストッパ部18bが形成されている。ストッパ部18bは、先端筒部16の段部16eに当接し、先端筒部16の前方移動を規制できる。図示例のストッパ部18bは環状に形成された凸部である。
【0048】
図5および図6に示すように、筒体基部15は、保持枠部97と、保持枠部97の前端から前方に延出する円筒状の接続筒部96とを備えている。
接続筒部96の外面には、外筒体18に形成された係止開口部18aに嵌合する嵌合爪96aが形成されている。
【0049】
図1に示すように、延出部20は、ケース体11に対して、前後方向(伸縮方向)に移動可能である。
この図では、延出部20は比較的に後方に位置しているが、延出部20を前方に位置させることもできる。
なお、図示はしないが、延出部20は、光コネクタアダプタのコネクタ収容穴に挿入可能に構成し、このコネクタ収容穴内のフェルールの接続端面などを清掃可能とすることができる。
【0050】
次に、清掃工具1を用いて清掃作業を行う方法の一例を説明する。
図17および図22に示す通常状態では、付勢手段17が接続筒部96の段部96bに反力をとって先端筒部16を前方に付勢するため、先端筒部16は比較的前方に位置している。この先端筒部16の位置を前方位置という。このため、先端延出部28は先端部分を含むごく短い部分のみが露出している。
この状態では、外筒体18のストッパ部18bが先端筒部16の段部16eに当接し、先端筒部16の前方移動が規制されている。
【0051】
図19に示すように、ガイド部材102の装着部106を先端筒部16の先端に装着する。
図20および図24に示すように、ケース体11を把持して、ガイド部材102のガイド体107の挿通孔116に先端側からフェルール61を挿入させる。
図24に示すように、ガイド体107は、先端筒部115の先端が光コネクタ60の基板64の一方面64aに突き当たるまで進入させる。
【0052】
図21および図25に示すように、ケース体11を前方に移動させると、先端筒部16が一方面64aからの反力を受け、相対的に後方に移動する。この先端筒部16の位置を後方位置という。
図18および図23に示すように、この後方位置にあっては、先端延出部28は先端筒部16から長く突出する。
図25および図26に示すように、先端延出部28は挿通孔116内を進行し、押圧面24上の清掃体2は、フェルール61の接合端面61aの適切な位置(ここでは、光ファイバ穴61bとその周辺)に当接する。
【0053】
図27および図28に示すように、延出筒体21がケース体11に対して相対的に後方に移動するため、延出筒体21に押されて回転シャフト52が支持体51に対して相対的に後方に移動する。このため、回転筒部82はカム溝85に沿って周方向に移動し、回転シャフト52は軸回りに回転する。
図26に示すように、回転シャフト52の回転によって、ヘッド部材23が軸回りに回転するため、清掃体2は接合端面61aに当接した状態のままヘッド部材23の軸回りに回転し、接合端面61aが拭き取り清掃される。
【0054】
図4、図7および図16に示すように、支持体51が送り機構3に対し相対的に移動するため、ギア受け部56によって、ギア38の歯車部88に回転方向の力が与えられる。ギア38の回転によって、巻取リール31も回転するため、清掃体2が巻き取られる。
これに伴って、清掃体2が供給リール30から引き出され、ヘッド部材23の押圧面24を通って送り移動される。
清掃体2の送り移動によって、接合端面61aに付着しているゴミや埃、油分などの汚れが確実に拭き取られる。
【0055】
延出部20を光コネクタ60から引き抜く際には、延出部20は、付勢手段40の弾性力によってケース体11に対して相対的に前方(すなわち伸長方向)に移動する。この際、付勢手段17の弾性力により先端筒部16は前方位置に戻る(図17参照)。
【0056】
図29に示すように、前記清掃作業の際には、作業者の操作により清掃工具1が傾くことがある。図示例では、先端筒部16が右下がり方向に傾いている。
先端筒部16が傾くとガイド部材102も同方向に傾くためフェルール61に曲げ方向の力が加えられるが、清掃工具1では、ガイド体107が弾性的に曲げ変形可能であるため、ガイド体107が曲げ変形することによって、フェルール61に加えられる曲げ方向の力が小さくなり、フェルール61の破損を防止できる。
図示例では、主に縮径筒部114に曲げ変形が生じている。詳細には、フェルール61と先端延出部28との間に相当する部分の縮径筒部114に大きな曲げが生じている。また、基筒部113および先端延出部28にもわずかに曲げが生じている。
清掃作業終了後、ガイド部材102をフェルール61から引き抜くと、ガイド部材102は、弾性的な復元力により曲げが解消される。また、先端延出部28も弾性的な復元力により曲げが解消される。
【0057】
清掃工具1は、ガイド部材102のガイド体107をフェルール61に嵌め込む操作も容易となる。
すなわち、ガイド体107が可撓性を有するため、傾いた状態で使用してもガイド体107が傾きに応じて曲げ変形するため、フェルール61に曲げ方向の大きな力を加えずに嵌め込み操作が可能となる。
また、清掃工具1では、ヘッド部材23の先端延出部28も可撓性を有するため、ガイド体107の曲げ変形に応じて変形可能であり、清掃作業に支障が生じることはない。
【0058】
ガイド部材は、図2および図3に示すものに限定されない。以下にガイド部材の変形例を示す。なお、以下の説明において、既述の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図31に示すガイド部材122は、縮径筒部114に形成された溝部123が、図2に示す溝部117とは異なり、周方向の一部ではなく全周にわたって形成されている。
この例のガイド部材122は、全周にわたる溝部123が形成されているので、縮径筒部114を曲がりやすくすることができる。
【0059】
図32に示すガイド部材132は、ガイド体127が、前壁部110の前面から前方に延出するコイルスプリングからなる基筒部124と、基筒部124の先端から前方に延出する樹脂製の先端筒部125とを有する。
基筒部124を構成するコイルスプリングは、曲げ方向の変形は可能であるが圧縮変形がほとんど起こらないものが好ましい。
先端筒部125は、既述のガイド部材102における先端筒部115と同様の材料を使用できる。
この例のガイド部材132は、基筒部124がコイルスプリングからなるので、局所的な変形が起こりにくく、かつ十分な曲げ性を有する。よって、ヘッド部材23とフェルール61の位置あわせを容易にすることができる。
【0060】
また、ガイド体は、複数の異なる材料で構成することもできる。例えば、基筒部および縮径筒部に、先端筒部の構成材料よりも剛性の高い樹脂材料を使用することによって、基筒部および縮径筒部の変形が過剰になるのを防止し、ヘッド部材23とフェルール61の位置あわせを容易にすることができる。
【0061】
なお、図示例では、延出部20の延出筒体21が筒体基部15と先端筒部16とを有し、先端筒部16の前後方向の移動により先端延出部28の突出量が変化する構成としたが、これに限らず、延出筒体21が一体に形成され、その先端から先端延出部28が突出する構成も可能である。また、延出筒体21の先端に、延出筒体21から突出する先端延出部28が一体に形成された構成も可能である。
また、ガイド部材102のガイド体107は、縮径筒部114と先端筒部115のみからなる構成であってもよい。
【0062】
図示例では、光コネクタ60を対象としたが、本発明の清掃工具の対象はこれに限定されず、光コネクタアダプタ、光コネクタレセプタクル(詳細には、レセプタクルハウジング)等も対象とすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1・・・光コネクタ清掃工具、2・・・清掃体、3・・・送り機構、10・・・工具本体、11・・・ケース体、15・・・筒体基部、16・・・先端筒部、17・・・付勢手段、20・・・延出部、21・・・延出筒体、23・・・ヘッド部材、24・・・押圧面、28・・・先端延出部、60・・・光コネクタ、61・・・フェルール(清掃対象物)、61a・・・接合端面、106・・・装着部、102・・・ガイド部材、107・・・ガイド体、114・・・縮径筒部、115・・・先端筒部、116・・・挿通孔、117、123・・・溝部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタ(60)内の突出する清掃対象物(61)の接合端面(61a)を、清掃体(2)により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、
前記清掃体の供給および巻き取りを行う送り機構(3)が組み込まれた工具本体(10)と、前記工具本体から延出する延出部(20)と、前記延出部の先端部に装着されるガイド部材(102)とを備え、
前記延出部が、延出筒体(21)と、前記清掃体を前記接合端面に押し当てる先端延出部(28)を有し、
前記ガイド部材が、前記延出筒体の先端部に装着される装着部(106)と、前記装着部から前記延出方向に延びる筒状のガイド体(107)を備え、
前記ガイド体に、先端側から前記清掃対象物が挿入可能であり、且つ後端側から前記先端延出部が挿入可能である挿通孔(116)が形成され、
前記ガイド体は、弾性的に曲げ変形可能に形成され、
前記延出部の先端部に装着した前記ガイド部材の前記挿通孔に前記清掃対象物を挿入して、前記清掃体を前記清掃対象物の接合端面に押し当てる操作により拭き取り清掃をすることを特徴とする光コネクタ清掃工具(1)。
【請求項2】
前記ガイド体は、前記延出方向に徐々に肉薄になりつつ延びる縮径筒部(114)と、その先端から前記延出方向に延出する略一定肉厚の先端筒部(115)とを備え、
前記先端筒部の肉厚は、前記縮径筒部の最小肉厚と同じまたはこれより小さいことを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項3】
前記縮径筒部の外周面には、前記延出方向に対し交差する方向に沿う1または複数の溝部(117、123)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項4】
前記ガイド部材は、樹脂材料からなる一体成形品であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項5】
前記ガイド部材は、ポリエステルエラストマーからなることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項6】
前記先端延出部は、弾性的に曲げ変形可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項7】
前記延出筒体が、筒体基部(15)と、前記筒体基部に対し付勢手段(17)により延出方向に付勢された先端筒部(16)とを有し、
前記先端延出部が、前記先端筒部の先端から突出可能であり、
前記先端筒部が、前記筒体基部に対し前記延出方向に移動することで前記先端延出部の突出量を調整可能であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項1】
光コネクタ(60)内の突出する清掃対象物(61)の接合端面(61a)を、清掃体(2)により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、
前記清掃体の供給および巻き取りを行う送り機構(3)が組み込まれた工具本体(10)と、前記工具本体から延出する延出部(20)と、前記延出部の先端部に装着されるガイド部材(102)とを備え、
前記延出部が、延出筒体(21)と、前記清掃体を前記接合端面に押し当てる先端延出部(28)を有し、
前記ガイド部材が、前記延出筒体の先端部に装着される装着部(106)と、前記装着部から前記延出方向に延びる筒状のガイド体(107)を備え、
前記ガイド体に、先端側から前記清掃対象物が挿入可能であり、且つ後端側から前記先端延出部が挿入可能である挿通孔(116)が形成され、
前記ガイド体は、弾性的に曲げ変形可能に形成され、
前記延出部の先端部に装着した前記ガイド部材の前記挿通孔に前記清掃対象物を挿入して、前記清掃体を前記清掃対象物の接合端面に押し当てる操作により拭き取り清掃をすることを特徴とする光コネクタ清掃工具(1)。
【請求項2】
前記ガイド体は、前記延出方向に徐々に肉薄になりつつ延びる縮径筒部(114)と、その先端から前記延出方向に延出する略一定肉厚の先端筒部(115)とを備え、
前記先端筒部の肉厚は、前記縮径筒部の最小肉厚と同じまたはこれより小さいことを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項3】
前記縮径筒部の外周面には、前記延出方向に対し交差する方向に沿う1または複数の溝部(117、123)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項4】
前記ガイド部材は、樹脂材料からなる一体成形品であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項5】
前記ガイド部材は、ポリエステルエラストマーからなることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項6】
前記先端延出部は、弾性的に曲げ変形可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項7】
前記延出筒体が、筒体基部(15)と、前記筒体基部に対し付勢手段(17)により延出方向に付勢された先端筒部(16)とを有し、
前記先端延出部が、前記先端筒部の先端から突出可能であり、
前記先端筒部が、前記筒体基部に対し前記延出方向に移動することで前記先端延出部の突出量を調整可能であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−137872(P2011−137872A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295987(P2009−295987)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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