説明

光コネクタ

【課題】光ファイバをハーネスに組み込んだ際に、受ける張力に対して破断から保護する。
【解決手段】芯線3aを有する光ファイバ3と抗張力繊維4とを備えた光ファイバコード5を取り付ける場合において、光ファイバコード5の外被5aの端部から抗張力繊維4を外側に折り返して、外被5aと共に固定金具2の後部によりかしめ止めして固定し、固定金具2の前部の固定部を合成樹脂製のフェルール1にそれぞれ固定し、光ファイバ3のそれぞれの芯線3aをフェルール1の先端の所定位置に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車に車載し、光ファイバ同士を連結するための光コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1、2には、車載用の光ファイバが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−144921号公報
【特許文献2】特開2008−58913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ハーネスとして自動車に組み込まれた際に、張力を加えた状態で配策されてしまうと、光ファイバが継続的にその張力を受けることになり、光ファイバの信頼性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、光ファイバをハーネスに組み込んだ際に、受ける張力による破断から保護するために、抗張力繊維を含んだ光ファイバコードを用いた光コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するための本発明に係る光コネクタは、芯線を有する光ファイバと抗張力繊維とを備えた光ファイバコードを取り付ける光コネクタであって、前記光ファイバコードの外被の端部から前記抗張力繊維を外側に折り返して、前記外被と共に固定金具の後部によりかしめ止めして固定し、前記固定金具の前部を合成樹脂製のフェルールに固定し、前記芯線を前記フェルールの先端の所定位置に固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る光コネクタによれば、抗張力繊維を用いた光ファイバコードを使用しているために、張力に対する耐抗力が増加し信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は分解斜視図であり、2個のフェルール1と、固定金具2と、2本の光ファイバ3と抗張力繊維4を備えた光ファイバコード5とから成っている。
【0009】
フェルール1は合成樹脂から成り、光ファイバ3ごとに別個の構造とされている。図2に示すように、フェルール1の先端中央部に光ファイバ挿通孔1aが設けられ、後部には固定金具2を収容する金具収容部1bが設けられている。光ファイバ挿通孔1aは光ファイバ3を挿通するためのものであり、その先端には更にテーパ部を介して、光ファイバ3の芯線3aを外方まで挿通する芯線挿通孔1cが形成されている。
【0010】
また、ファイバ挿通孔1aの入口部には、後述する固定金具2の補強片の先端を固定する凹部1dが設けられている。更に、後部の金具収容部1bの上下部には、固定金具2の係止部を係止するための係止孔1e、1fが設けられている。
【0011】
なお、フェルール1は精細な成型が必要なため、材料を選定することが好ましく、例えば寸法安定性に優れたポニフェニレンサルファイド(PPS)などが好適である。
【0012】
固定金具2は1枚の導電金属板を打抜き成形したものであり、前部には略円筒型の2個の固定部2a、2bが並設されており、後部には光ファイバコード5を固定するための断面U字状のかしめ部2cが形成されている。また、固定部2a、2bのそれぞれの上部及び下部には、フェルール1からの抜け出し防止用の爪状の係止部2d、2eが設けられている。更に、固定部2a、2bの先端上部からは、条片状の補強片2fが前方下方に向けて突出されている。
【0013】
光ファイバコード5は2本の光ファイバ3と共に、抗張力繊維4が外被5aにより覆われており、抗張力繊維4は光ファイバ3に沿って通線されている。光ファイバ3はそれぞれ1本ずつの例えば直径0.23mmの芯線3aを有し、芯線3aが耐熱被覆層3bにより覆われている。芯線3aは例えばポリマークラッド型を含む石英系ガラスファイバが用いられている。
【0014】
組立に際しては、図1に示すように光ファイバコード5の光ファイバ3、抗張力繊維4を所定長に露出させるように、外被5aを切り取る。更に、抗張力繊維4を外被5aに沿って折り返し、図2に示すように外被5aと共に固定金具2のかしめ部2cによりかしめて固定する。これにより、光ファイバコード5を引っ張った際には、その張力は抗張力繊維4にかかるため、光ファイバ3自体には張力がかからずに、光ファイバ3を安定して固定することができる。
【0015】
なお必要に応じて、光ファイバの保護とかしめ強度向上のために、外被5aの内側又は外側にパイプ状の金属を挿入後に抗張力繊維4を折り返して、固定金具2のかしめ部2cによりかしめてもよい。
【0016】
2本の光ファイバ3はそれぞれ固定金具2の2つの固定部2a、2b内に別個に導かれ、図2に示すように固定金具2の前部からそれぞれ突出する。そして、光ファイバ3の耐熱被覆層3bを剥いて、芯線3aを露出させる。このようにした光ファイバ3、固定金具2を2つのフェルール1内にそれぞれ挿入する。
【0017】
この挿入過程において、光ファイバ3はファイバ挿通孔1a内に入り込み、芯線3aは芯線挿通孔1c内に入り込む。また、固定金具2の係止部2d、2eはフェルール1の係止孔1e、1fに挿入されて係止され、フェルール1からの固定金具2の抜け出しが防止される。更に、補強片2fの先端は光ファイバ3に沿って、フェルール1の凹部1d内に入り込み、光ファイバ3をフェルール1内で押さえ込んで補正する。つまり、図3に示すように、芯線3aを各フェルール1の芯線挿通孔1cに挿通し、更に芯線3aの先端を各フェルール1の先端部から突出させる。
【0018】
このとき、芯線3aの直径は上述のように細径であり、芯線挿通孔1cへの挿通には困難が伴うが、フェルール1のファイバ挿通孔1aの先端にテーパ部を設けることにより、ガイド孔の役割を果たすことができる。各フェルール1の先端部から突出した芯線3aは、カッタなどによりフェルール1の先端面と面一に切断する。
【0019】
このように固定金具2を用いて抗張力繊維4を光ファイバコード5の外被5aに固定すると共に、ワンタッチ方式で光ファイバ芯線3aをフェルール1に容易に取り付けることができ、部品点数の削減とコネクタ取付工数の低減を達成することができる。
【0020】
なお、実施例においては、光ファイバコード5は2本ずつの光ファイバ3を備えているが、1本ずつの光ファイバ3であれば、固定金具2の固定部は1個とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】分解斜視図である。
【図2】固定金具に光ファイバコードを取り付けた状態の断面図である。
【図3】組立状態の縦断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 フェルール
2 固定金具
2a、2b 固定部
3 光ファイバ
3a 芯線
3b 耐熱被覆層
4 抗張力繊維
5 光ファイバコード
5a 外被

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線を有する光ファイバと抗張力繊維とを備えた光ファイバコードを取り付ける光コネクタであって、前記光ファイバコードの外被の端部から前記抗張力繊維を外側に折り返して、前記外被と共に固定金具の後部によりかしめ止めして固定し、前記固定金具の前部を合成樹脂製のフェルールに固定し、前記芯線を前記フェルールの先端の所定位置に固定したことを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記光ファイバの芯線はポリマークラッド型を含む石英系ガラスファイバであることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記光ファイバコードは2本の光ファイバを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記固定金具の前部は2本の光ファイバをそれぞれ別個に囲む固定部としたことを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記フェルールは前記固定金具のそれぞれに固定する別個の構造としたことを特徴とする請求項4に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記固定金具の前記フェルールへの固定はワンタッチ方式としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1つの請求項に記載の光コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−20162(P2010−20162A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181586(P2008−181586)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】