説明

光ダクト用白色フィルム

【課題】照明に適した可視光を効率的かつ均一に搬送し、軽量で、しかもシックハウス症候群を発生させる危険のある有機溶剤を使用しない、光ダクトシステムの導光部に用いる光ダクト用白色フィルムを提供する。
【解決手段】平均反射率が96.0%以上の白色フィルムからなり、光ダクトに用いることを特徴とする光ダクト用白色フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ダクトシステムの導光部を構成する反射材として用いられる、光ダクト用白色フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ダクトシステムは、屋外の光を屋内に導き、屋内に照射するシステムである。一般に、光ダクトシステムは、採光部、導光部および放光部から構成される。屋外の自然光は、採光部でダクト内に取り込まれ、導光部によって屋内に搬送され、放光部から拡散光として屋内に照射される。
【0003】
オフィス用の建物が消費するエネルギーの1/3〜1/4は照明用であると言われる。日中、屋外では豊富な自然光があるにもかかわらず、オフィス用の建物内では電力による照明をフル点灯している場合がほとんどである。自然光を建物内で有効に利用することができれば、日中の消費電力を大幅に削減することができ、省エネルギーとともに、電力負荷の平準化に大きく寄与することができる。
【0004】
これまでも建物内で自然光を利用するために、窓やトップライトを利用することが行われている。しかし、奥行きの深い近年のオフィスビルでは、窓面からの採光が有効であるのは、窓面からせいぜい2、3メートル程度の僅かな領域であり、これ以外の領域は電力による照明に頼らざるを得なかった。
【0005】
光ダクトシステムは、建物の外壁や屋上から、日中の屋外の自然光を建物内に取り込み、内面を高反射率の反射材から構成されたダクトによって、ダクト内で光を反射させて屋内の必要な箇所に光を搬送して照明用に用いるので、窓やトップライトでは光を利用することが困難であった領域においても、効率よく自然光を利用することができる。
従来、光ダクトシステムの導光部には、高反射率のミラーが用いられ、例えば、アルミ材からなる高反射率ミラーが用いられてきた。
【0006】
【特許文献1】特開2007−115417号公報
【特許文献2】特開2007−167734号公報
【特許文献3】特開2005−268156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、導光部にミラーを用いた場合、鏡面反射が強く、拡散反射が少ないため、太陽光を均一に屋内に搬送し、均一に拡散させることが困難である。また、紫外線も搬送されるため、屋内の内装が紫外線によって変色、劣化する問題がある。さらに、ミラーとしては軽いアルミ材を用いた場合においても、ミラーを支持するための頑丈な支持体が必要となり、光ダクトシステムとしての重量が重くなってしまい、特に軽量化が求めれられる高層建築や、一般の戸建住宅では採用しずらいことになる。
【0008】
また、導光部に白色塗料で塗装した金属やプラスチックの板を用いた場合、塗料に溶剤として含まれる有機溶媒によって、シックハウス症候群を発症させる危険があり、居住用の建物はもとより、オフィス用の建物でも、望ましくない。
【0009】
本発明は、照明に適した可視光を効率的かつ均一に搬送し、軽量で、しかもシックハウス症候群を発生させる危険のある有機溶剤を使用しない、光ダクトシステムの導光部に用いる光ダクト用白色フィルムを提供することを課題とする。
さらに本発明は、上記課題に加えて、屋内の劣化をもたらす紫外線を搬送しない光ダクト用白色フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、波長400〜700nmの平均反射率96.0%以上の白色フィルムからなり光ダクトに用いることを特徴とする光ダクト用白色フィルムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、照明に適した可視光を効率的かつ均一に搬送しながらも、軽量で、有機溶剤を使用しない、光ダクトシステムの導光部に用いる光ダクト用白色フィルムを提供することができる。さらに、本発明によれば、上記の効果を示しながら、紫外線を搬送することのない、光ダクト用白色フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
[白色フィルム]
白色フィルムは、熱可塑性樹脂に白色化剤を配合してフィルムとすることで得ることができる。白色化剤としては、白色顔料やボイド形成物質を用いることができる。白色顔料を用いる場合、熱可塑性樹脂に配合するだけで白色フィルムを得ることができる。この白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛を用いることができる。
ボイド形成物質を用いる場合、熱可塑性樹脂にボイド形成物質を配合して、延伸することでボイドを多数含有するフィルムとする。このフィルム中に多数存在するボイドとフィルムの構成樹脂との界面で光が乱反射し、フィルムは白色を呈し、白色フィルムとなる。
【0013】
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンを用いることができる。なかでも機械的強度が高い点からポリエステルが好ましい。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートを例示することができる。なかでも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0014】
ポリエステルは、適度な延伸性を得るために共重合ポリエステルを用いることが好ましい。共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分あたり、好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは3〜17モル%、さらに好ましくは3〜15モル%である。この範囲で共重合成分を共重合することで、無機粒子や有機粒子、ポリエステルと非相溶な樹脂を多量に添加しても良好な製膜性でフィルムを得ることができる。
【0015】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンを例示することができる。なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンが樹脂自体が高透明であるため、光の吸収を抑えて反射率を向上させることができて好ましい。
【0016】
[ボイド形成物質]
ボイド形成物質としては、例えば、無機粒子、有機粒子を用いることができ、また、白色フィルムを構成する熱可塑性樹脂と非相溶な樹脂、すなわち非相溶樹脂を用いることができる。
【0017】
[無機粒子]
粒子としては、耐候性の点から、無機粒子が好ましく、白色無機粒子が特に好ましい。例えば、硫酸バリウム、二酸化珪素、炭酸カルシウムを用いることができる。
ボイド形成物質の無機粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜10.0μm、さらに好ましくは0.2〜8.0μm、特に好ましくは0.3〜6.0μmのものである。この範囲の粒径のものを用いることで、分散性が良好で、粒子の凝集が起こり難く、同時に滑らかな表面を備え、適度な光沢を備える白色フィルムを得ることができる。
【0018】
白色フィルムの熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合、白色フィルムのボイド形成物質の含有量は、白色フィルムのポリエステルとボイド形成物質の合計100重量%あたり、好ましくは31〜60重量%、さらに好ましくは35〜55重量%、特に好ましくは40〜50重量%である。この範囲でボイド形成物質を含有することで、高い反射率を備え光ダクトに用いたときに明るい照明光を得ることができ、生産や、折り曲げ加工、設置の際に破れづらい光ダクト用白色フィルムを得ることができる。
【0019】
ボイド形成物質の無機粒子および有機粒子としては、粒度分布が、小粒径側から積算した90%体積粒径(D90)として、15.0μm以下、さらに13.0μm以下、特に12.0μm以下である粒子を用いることが好ましい。この粒子を用いることで、フィルターの詰まりが発生せず、凝集物となってフィルムに表面欠点として現れることがなく、高い生産性で、表面欠点のない白色フィルムを得ることができる。
なお、無機粒子は、板状、球状いずれの粒子形状でもよい。また無機粒子には、分散性を向上させるための表面処理を行ってもよい。
【0020】
[有機粒子]
ボイド形成物質として有機粒子を用いる場合、フィルムの熱可塑性樹脂とは非相溶な樹脂からなる有機粒子を用いる。例えば、フィルムの熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合、ボイド形成物質としてはポリエステルとは非相溶な樹脂の粒子を用いる。この有機粒子として、融点が高く、熱安定性を有することから、ポリテトラフルオロエチレンが特に好ましい。
【0021】
有機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.2〜8.0μm、特に好ましくは0.3〜6.0μmのものである。平均粒径がこの範囲であることによって、分散性が良好で、粒子の凝集が起こりづらく、フィルム表面が滑らかで、適度な光沢を備える白色フィルムを得ることができる。
【0022】
白色フィルムの熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合、有機粒子の白色フィルム中での含有量は、白色フィルムのポリエステルと有機粒子の合計100重量%あたり、好ましくは1〜60重量%、さらに好ましくは3〜55重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。この範囲で用いることによって、高い反射率を備え、光ダクトに用いたときに明るい照明光を得ることができ、フィルムの生産や、折り曲げ加工の際に破れづらい光ダクト用白色フィルムを得ることができる。
【0023】
[非相溶樹脂]
非相溶樹脂は、フィルムの熱可塑性樹脂の種類によって異なる。そこで、ここではフィルムの熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合を例に説明する。
ポリエステルと非相溶な樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンを用いることができる。なかでも、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンが樹脂自体が高透明であり、光の吸収を最小限に抑えて高い反射率を得ることができるので好ましい。
【0024】
非相溶樹脂を用いる場合、配合量はポリエステルと非相溶樹脂との合計量100重量%あたり、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは4〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%である。この範囲で用いることで、高い反射率のフィルムを安定して製膜 することができ、高い生産性でフィルムを生産することができる。
【0025】
次に、フィルムの熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用いる場合を説明する。ポリオレフィンと非相溶な樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートを例示することができる。配合量は、ポリオレフィンと非相溶樹脂との合計量100重量%あたり、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは4〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%である。この範囲で用いることで、高い反射率のフィルムを安定して製膜 することができ、高い生産性でフィルムを生産することができる。
【0026】
[反射率および光学濃度]
本発明における白色フィルムは、波長400〜700nmの平均反射率が、96.0%以上、さらに好ましくは96.5%以上、特に好ましくは97.0%以上のフィルムである。平均反射率がこの範囲であることで、高い効率で光を搬送することができ、十分な明るさを得ることができる。
本発明における白色フィルムは、フィルムの光学濃度が、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上、特に好ましくは1.0以上のフィルムである。この光学濃度を備えることで、光ダクトに用いたときに、光ダクト内で光が漏れず、高い効率で光を搬送することができて好ましい。
【0027】
[光沢度]
本発明における白色フィルムは、少なくとも片面の光沢度が、好ましくは5〜100%、さらに好ましくは5〜90%、特好ましくは5〜80%である。この範囲の光沢度の白色フィルムを光ダクトの導光部として用いることで、効率よく、拡散反射によって光を搬送することができ、明るさの斑が生じない。
【0028】
[フィルム厚み]
本発明における白色フィルムの厚みは、好ましくは25〜350μm、さらに好ましくは40〜300μm、特に好ましくは50〜250μmである。この範囲の厚みであることで、十分な反射率を得ることができる。なお、350μmを超えて厚くしても、さらなる反射率の上昇は望めないため、不経済である。
【0029】
[面積当たりの重さ]
本発明における白色フィルムは、反射面の面積あたりの重さが、好ましくは50〜500g/m、さらに好ましくは100〜400g/m、特に好ましくは120〜350g/mである。この範囲の重さであることによって、地震発生時の高い安全性を得ることができる。他方、金属反射板のように重いものを使用すると、地震発生時に落下すると危険であり、設置箇所を補強する必要があり、施工コストが高くなる。
【0030】
[製造方法]
以下、本発明の光ダクト用白色フィルムを製造する方法の一例として、A層/B層の積層白色フィルムの製造方法を説明する。まず、フィードブロックを用いた同時多層押出法により、ダイから溶融したポリマーをキャスティングドラム上に押し出して積層未延伸シートとする。すなわち、A層を形成するポリマーの溶融物とB層を形成するポリマーの溶融物とを、フィードブロックを用い、A層/B層となるように積層してダイに展開して押出す。このときフィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。ダイより押出された未延伸シートは、キャスティングドラム上で冷却固化され、未延伸フィルムとなる。
【0031】
この未延伸フィルムを、例えばロール加熱、赤外線加熱で加熱し、縦方向に延伸して、縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度は、例えばガラス転移点(Tg)以上の温度、好ましくはTg〜160℃高い温度とする。延伸倍率は、縦方向、縦方向と直交する方向(以下「横方向」と呼ぶ)ともに、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。この範囲とすることによって、得られるフィルムの厚み斑が少なく、フィルムの製膜中も破断が少ない。
【0032】
延伸によって、フィルムの熱可塑性樹脂と、フィルムに含まれる無機粒子もしくは有機粒子または非相溶樹脂との界面で剥離が生じて微細なボイドがフィルム中に形成され、白色で反射率の高いフィルムを得ることができる。
【0033】
縦延伸後のフィルムは続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して、二軸配向フィルムとすることができる。これらの処理は、フィルムを走行させながら行うとよい。横延伸は、ガラス転移点(Tg)より高い温度から始め、Tgより(5〜160)℃高い温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えば、テンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、例えば2.5〜4.5倍、好ましくは2.8〜3.9倍である。この範囲であることによって、得られるフィルムの厚み斑が少なく、製膜中も破断が少ない。
【0034】
横延伸後のフィルムは両端を把持したまま(Tm−20〜Tm−130)℃で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。これより高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。また、熱処理温度が(Tm−130)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがある。また、熱固定後フィルム温度を常温に戻す過程で熱収縮量を調整するために、(Tm−20〜Tm−130)℃で、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
【0035】
上記の製造方法は、逐次2軸延伸法を採用する場合について記述したが、ボイドをフィルム内部に発生させるためには、1軸延伸法を採用してもよく、同時2軸延伸法を採用してもよい。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)平均反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%としたときの反射率を波長400〜700nmにわたって測定し、得られたチャートから2nm間隔で反射率を読み取り、波長400〜700nmでの平均反射率を算出した。一方の面と他方の面で反射率が異なる場合は反射率の高い方の面を反射面として、反射率を測定した。
【0037】
(2)光学濃度
マクベス社製光学濃度計TR927(透過)を用いて測定した。光源として、OSRAM社製ランプ12V/50Wを用いた。
【0038】
(3)フィルムの光沢度
ミノルタ製「Multi−Gloss 268」を用いてJIS K7105に準じ、入射角および受光角を60°として測定した。
【0039】
(4)光ダクトの作成
実施例の白色フィルムまたは比較例の白色フィルムもしくは反射板を用いて、30cm×100cm、長さ5mの筒状の光ダクトを作成した。このとき、反射面が光ダクトの内面に配置されるようにした。光ダクトの一方の端を採光部として、採光部から4mの位置の光ダクトの下側を構成する壁面について30cm×30cmの大きさの正方形の形状を切り抜くことで、放光部を設けた。このとき、放光部の正方形の中心が採光部から4mの位置になるようにした。
【0040】
(5)明るさと明るさ斑
放光部の真下1mの位置での30cm×30cmの正方形の領域を、照度計(東京光電製 Lux−meter ANA−315)を用いて、ランダムに10点について、照度を測定した。照度の平均値を明るさとし、照度の最大値と照度の最小値との差を明るさ斑とした。単位はlxである。
【0041】
(6)フィルムの見かけ比重
フィルムを100×100mm角に切り取り、ダイアルゲージを取り付けたものにて、10点の厚みを測定し、平均厚みd(μm)を算出した。また、このフィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10−4gの単位まで読み取った。平均厚みdと重さwから
見掛け比重を算出した。なお、見かけ比重=w/d×100である。
【0042】
(7)フィルムの延伸性
フィルムの製膜時に下記基準で延伸性を評価した。
○:1時間以上安定に製膜できる
×:1時間経過する前に破断が発生し、安定な製膜ができない。
【0043】
(8)フィルムの各層厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、平均厚みを求めた。
【0044】
(9)樹脂のガラス転移点(Tg)、融点(Tm)
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20m/分で測定を行った。
【0045】
(10)粒子の平均粒径
島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定した。測定前のエチレングリコールへの分散は、硫酸バリウム粒子粉体を5重量%スラリー濃度相当になるよう計量して、ミキサー(たとえばNational MXV253型料理用ミキサー)で10分間攪拌し、常温まで冷却したのち、フローセル方式供給装置に供給した。そして、該供給装置中で、脱泡のために30秒間超音波処理(超音波処理の強度は超音波処理装置のつまみをMAX値を示す位置から60%の位置)してから測定に供した。粒度分布測定結果より50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒径とした。
【0046】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル18重量部(ポリエステルの酸成分に対して12モル%)、エチレングリコール98重量部、ジエチレングリコール1.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。このポリエステル樹脂を層A、Bに用い、硫酸バリウムのマスターバッチを作製し、表1に示す添加量に調整した。
【0047】
これらの原料を用い、それぞれ270℃に加熱された2台の押出機に供給し、層Aポリマー、層Bポリマーを層Aと層BがA/Bとなるような2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを記載された温度にて加熱し長手方向(縦方向)に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き125℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に延伸した。その後テンター内で表の温度で熱固定を行い、表2に示す条件にて縦方向の弛緩、横方向の幅入れを行い、室温まで冷やして、総厚み188μmの二軸延伸フィルムである、光ダクト用白色フィルムを得た。
この光ダクト用白色フィルムを用いて、光ダクトを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
[実施例2〜10]
表1の実施例2〜10の欄に示す条件で製膜して、総厚み188μmの光ダクト用白色フィルムを得た。得られた光ダクト用白色フィルムを用いて光ダクトを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。いずれも明るさおよび明るさの斑において優れていた。
【0051】
[実施例11、12]
表1の実施例11および12の欄に示す条件で製膜して、総厚み188μmの光ダクト用白色フィルムを得た。得られた光ダクト用白色フィルムを用いて光ダクトを作成し、評価を行った。結果を表2に示す。いずれも明るさおよび明るさの斑において優れていた。
【0052】
[比較例1、2]
表に記載の条件でフィルムを製膜し、総厚み188μmのフィルムを作成した。得られたフィルムを用いて光ダクトを作成して、評価を行った。結果を表2に示す。
【0053】
[比較例3〜5]
表に示す反射板を用いて光ダクトを作成して、評価を行った。結果を表2に示す。
比較例はいずれも、明るさに劣るか、明るさの斑の大きな光ダクトであった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の光ダクト用白色フィルムは、光ダクトシステムの導光部に用いる反射材として好適に用いることができる。
本発明の光ダクト用白色フィルムは、反射面として用いる側を内側にして、例えば一辺が50cm程度の四角い筒状に折り曲げてダクトの形状にすることで、光ダクトの導光部とすることができる。さらに、ダクトの一方の端に採光部を設置し、ダクトの壁面に放光部を適宜設置することで光ダクトを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例と比較例において、評価のために作成した光ダクトである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長400〜700nmの平均反射率96.0%以上の白色フィルムからなり光ダクトに用いることを特徴とする光ダクト用白色フィルム。
【請求項2】
白色フィルムの光沢度が5〜100%である請求項1記載の光ダクト用白色フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2009−155427(P2009−155427A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334126(P2007−334126)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】