説明

光ディスク、情報再生装置および情報再生方法

【課題】 光ディスク等の情報記録媒体に記録されたグラフィックデータに含まれるデータを格納するためのメモリの記憶容量を大幅に削減することができる光ディスク等の情報記録媒体を提供する。
【解決手段】 ユーザーが所定の情報を選択するための画像に含まれ、ユーザーの操作に応じて複数の状態に変化するボタンに関するデータであるグラフィックデータが記録された光ディスクの前記グラフィックデータに前記ボタンの画像に対応する画像データ、および、前記ボタンに付される色であって、前記ボタンの状態を示す色に対応する色データを含む。そして、前記色データを前記ボタンの各状態に対応して設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、情報再生装置および情報再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク等の情報記録媒体は、主映像と重畳して出力表示可能なグラフィックユニットを記録することができ、グラフィックユニットはハイライト情報、選択されるボタンのボタン形状を浮彫にするマスクデータ及び全てのボタン形状を表現するグラフィックデータを含み、ハイライト情報はカラーパレット情報、ボタン情報、隣接ボタン情報及びボタンコマンドを含む(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−343254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の情報記録媒体においては、選択メニューの構築に必要なグラフィックデータを通常用、選択用及び確定用の各々に対して設ける。したがって、例えば、通常用、選択用及び確定用の各々に対して設けるグラフィックデータが画像データ等のようなデータ量が大きいデータである場合には、当該グラフィックデータを格納するためのメモリの記憶容量を大きくする必要がある。そうすると、当該記録媒体を再生する再生装置等の回路規模が大きくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであって、グラフィックデータに含まれるデータを格納するためのメモリの記憶容量を大幅に削減することができる光ディスク等の情報記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光ディスクは、ユーザーが所定の情報を選択するための画像に含まれ、ユーザの操作に応じて複数の状態に変化するボタンに関するデータであるグラフィックデータが記録された光ディスクであって、前記グラフィックデータは、前記ボタンの画像に対応する画像データ、および、前記ボタンに付される色であって、前記ボタンの状態を示す色に対応する色データを含み、前記色データは、前記ボタンの各状態に対応して設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る光ディスクによれば、当該光ディスクに記録されたデータを再生する情報再生装置に設けられ、グラフィックデータに含まれるデータを格納するためのメモリの記憶容量を大幅に削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における情報再生装置100の構成を示すブロック図である。図1において、1は所定のデータ(例えば、当該情報再生装置100の制御に必要な制御データ、映像および音声のデータ等)が記録された光ディスク、2は光ディスク1に記録されたデータを読み出すドライブ、3は読み出されたデータを処理するデータ処理部である。また、4はドライブ2によって読み出されたデータをビデオデータ、オーディオデータ、グラフィックデータに分離するデマルチプレクサ、5はオーディオデータを復調(以下、デコードともいう)するオーディオデコーダ部、6はビデオデータをデコードするビデオデコーダ部、7はグラフィックデータをデコードするグラフィックデコーダ部、8はビデオデータをデコードして得られる映像と、グラフィックデータをデコードして得られる画像とを重畳するビデオ重畳部である。
【0009】
図1において、ドライブ2は、光ディスク1に記録されたデータを読み出して、デマルチプレクサ4に出力する。なお、前記ドライブ2から出力されるデータは、光ディスク1に記録された映像(以下、ビデオともいう)に対応する前記ビデオデータ、当該ビデオデータに対応する音声の情報である前記オーディオデータ、および前記ビデオデータに対応する映像に重畳される画像(以下、グラフィックという)のデータである前記グラフィックデータがパケット化され、多重化されたデータである。
【0010】
デマルチプレクサ4は、入力されたデータをビデオデータ、オーディオデータおよびグラフィックデータに分離する。そして、オーディオデータをオーディオデコーダ部5に、ビデオデータをビデオデコーダ部6に、グラフィックデータをグラフィックデコーダ部7にそれぞれ出力する。なお、デマルチプレクサ4は、パケット化された各データの先頭に記述された識別子に従って前記分離を行なう。
【0011】
オーディオデコーダ部5は、入力されたオーディオデータをデコードして図示しない音声出力手段に出力する。また、ビデオデコード部6は、入力されたビデオデータをデコードしてビデオ重畳部8に出力する。また、グラフィックデコーダ部7は、入力されたグラフィックデータをデコードしてビデオ重畳部8に出力する。
【0012】
ビデオ重畳部8は、ビデオデコード部6においてビデオデータをデコードして得られるビデオと、グラフィックデコーダ部7においてグラフィックデータをデコードして得られるグラフィックとを重畳して図示しない表示手段に出力する。
【0013】
図2は、グラフィックデコーダ部7の構成を示すブロック図である。9は圧縮されたピクチャーデータをデコードするグラフィックデコーダ、10はデコードされたピクチャーデータが蓄積されるグラフィックバッファ、11は色パレットデータが蓄積されるパレットバッファ、12はグラフィックの表示を制御するためのデータであるグラフィック制御データが蓄積される制御データバッファ、13はデマルチプレクサ4から出力されたグラフィックデータをピクチャーデータ、色パレットデータ、グラフィック制御情報に分離するグラフィックパーサー、14は制御データバッファ内の制御データに従ってグラフィックの表示を制御するグラフィックコントローラ14である。なお、前記ピクチャーデータは、グラフィックを構成するピクチャーのデータである。また、前記色パレットデータは当該ピクチャーに付される色を決定するためのデータである。
【0014】
図2において、グラフィックパーサー13は、デマルチプレクサ4から入力されたグラフィックデータをピクチャーデータ、グラフィック制御データおよび色パレットデータに分離する。そして、ピクチャーデータをピクチャーデコーダ9に、グラフィック制御データを制御バッファデータ12に、色パレットデータをパレットバッファ11にそれぞれ出力する。
【0015】
ここで、グラフィックデータについて説明する。図3は、グラフィックデータの構成を説明するための説明図である。図3において、15はグラフィック表示を制御するためのグラフィック制御データ、16はグラフィックの色情報となる色パレットデータ、17は圧縮されたピクチャーデータである。図3に示すように、グラフィックデータはグラフィック制御データ15、色パレットデータ16およびピクチャーデータ17から構成されるデータである。なお、グラフィックデータを構成する各データの詳細については後述する。
【0016】
ピクチャーデコーダ9は、入力されたピクチャーデータ17をデコードしてグラフィックバッファ10に出力する。そして、グラフィックバッファ10は、前記ピクチャーデコーダ9においてピクチャーデータ17をデコードして得られるピクチャーを格納する。なお、前記ピクチャーは、前記グラフィックを構成する画像である。例えば、当該グラフィックが動画である場合には、当該動画を構成する1つの画像がピクチャーである。
【0017】
制御データバッファ12は、半導体メモリ等の記憶手段によって構成され、入力されたグラフィック制御データ15を格納する。なお、当該制御データバッファ12に格納されたグラフィック制御データ15は、後述するグラフィックコントローラによって読み出され、前記グラフィックを表示手段の表示部(以下、画面ともいう)に表示する際の制御データとして使用される。
【0018】
パレットバッファ11は、半導体メモリ等の記憶手段によって構成され、入力された色パレットデータ16を格納する。なお、当該パレットバッファ12に格納された色パレットデータ16は、前記グラフィックコントローラによって読み出され、グラフィックに付される色を決定する色情報として使用される。より具体的に説明すると、パレットバッファ12に記憶された色パレットデータ16はグラフィックコントローラ14において解釈される。そして、グラフィックコントローラ14は、解釈した色パレットデータ16に含まれる各色の情報をパレットバッファ12に展開する。これにより、色パレットがパレットバッファ12に記憶される。
【0019】
グラフィックコントローラ14は、前記制御データバッファ12に格納されたグラフィック制御データ15を読み出す。次に、当該グラフィック制御データ15に基づいて、グラフィックバッファ10に格納されたピクチャーを取得し、当該ピクチャーに対応する色をパレットバッファ11から取得して、所定のグラフィックを生成する。そして、生成したグラフィックを前記ビデオ重畳部8に出力する。
【0020】
そうすると、上述のように、ビデオ重畳部8において、ビデオデコーダ6の出力とグラフィックとが重畳され、前記表示手段に出力される。その結果、表示手段の表示部においては、ビデオデータに対応するビデオと、前記グラフィックスとが合成された画像(以下、合成画像ともいう)が表示される。
【0021】
図4は、合成画像の一例を説明するための説明図である。図4に示すように、前記画面には、ビデオデコーダ部6において得られたビデオ18と、グラフィックデコーダ部7において得られたグラフィック(ボタン1 191、ボタン2 192およびボタン3 193)とが重ね合わされた画像が表示される。
【0022】
なお、図4において図示したボタン1 191、ボタン2 192およびボタン3 193は、前記光ディスク1に記録された所定のデータを選択するためのボタンである。例えば、前記光ディスクに複数のビデオが記録されており、当該ボタン191〜193によってビデオの選択を行なう場合には、各ビデオに対応付けてボタン191〜193が設けられる。すなわち、ボタン1 191によって前記複数のビデオのうちの第1のビデオが選択され、ボタン2 192によって第2のビデオが選択され、ボタン3 193によって第3のビデオが選択されるように当該ボタン191〜193が設けられる。
【0023】
図5は、実施の形態1におけるグラフィックであるボタンの状態を説明するための説明図である。図5に示すように、当該ボタンには、ユーザーにビデオの選択等をより容易に行なわせるために複数の状態が設けられる。例えば、図5に示した場合においては、ボタンが単に表示されている状態である非選択状態20、画面上にボタンを選択するために表示されるカーソル(図示せず)が当該ボタン上に位置していることを示す選択状態21、および選択状態にあるボタンを決定したこと(すなわち、ユーザーが当該ボタンに対応するビデオを選択したこと)を示す決定状態22の3つの状態が設けられる。
【0024】
ここで、前記グラフィックデータを構成するピクチャーデータ17、色パレットデータ16およびグラフィック制御データ15の内容について説明する。
【0025】
図6は、ピクチャーデータ17の従来のシンタックスを説明するための説明図である。なお、図6に示したピクチャーデータ17のシンタックスは、グラフィックデコーダ9においてデコードされる前のものである。図6において、“num_of_picture“はピクチャーデータ17に含まれるピクチャーの総数を示す。なお、上述のように、実施の形態1においては、グラフィックを構成する1つの画像がピクチャーである。
【0026】
前記“num_of_picture“以下の行(すなわち”for”以下の行)に記載の処理は、“num_of_picture“の数だけ繰り返される。”picture_id“は、ピクチャデータ17に含まれる各々のピクチャー固有のID(identification)番号であり、このID番号によって各々のピクチャーを識別する。”picture_hight“は、ピクチャーの縦方向(図4におけるY方向)のサイズを示す。また、”picture_width“はピクチャーの横方向(図4におけるX方向)のサイズを示す。なお、縦のサイズはピクチャーの最大高さであり、横のサイズは当該ピクチャーの最大幅である。したがって、実施の形態1においては、1つのピクチャーを”picture_width“および”picture_hight“で規定される長方形として扱う。なお、図7は、”picture_width“および”picture_hight“を説明するための説明図であり、当該図7において、hは”picture_hight“を示し、wは”picture_width“を示す。
【0027】
”picture_size“は、当該”picture_size“の次の行から記述される”picture_data()”のデータサイズを示す。また、”picture_data()”は圧縮された圧縮ピクチャーデータである。前記グラフィックデコーダ9は、前記”num_of_picture”の数だけ前記”for”以下の行の処理を繰り返すことによって、当該ピクチャデータ17に含まれる全てのピクチャーをデコードする。そして、デコードしたピクチャー(実際には、デコードされた”picture_data()”内のデータ)を、順次、グラフィックバッファ10に蓄積する。
【0028】
次に、図8は、色パレットデータ16の従来のシンタックスを説明するための説明図である。なお、図8に示した色パレットデータ16のシンタックスは、グラフィックパーサー13において分離された後における色パレットデータ16のシンタックスである。図8において、“num_of_color”は1つの色パレットに含まれる色の総数を示す。前記“num_of_color“以下の行(すなわち”for”以下の行)に記載の処理は、“num_of_color“の数だけ繰り返される。“color_id”は、前記パレットに含まれる各色固有のID番号である。“red_data”、“green_data”、“blue_data”は、“color_id”で規定される色を指定するための、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色に対応するデータである。また、“trans_data”は、前記ビデオデータに対応する画像が当該グラフィックを透過する割合(透過率)を示すデータである。
【0029】
図9は、前記色パレットデータ16のシンタックスによって規定される色パレットを模式的に示した模式図である。なお、図9においては、色パレットに含まれる各データを8ビット(1バイト)のデータで示してある。図9に示すように、色パレットは、当該色パレットに含まれる各色に対して前記ID番号(1〜n)が付される。そして、各ID番号に対応付けてR、G、B各色のデータが格納される。したがって、例えば、図9において”color_id”が「1」の色についてはR=5、G=5、B=5、T=0のデータが格納される。
【0030】
図10は、グラフィックデコーダ9におけるデコードの結果得られるピクチャーに対応するグラフィックを説明するための説明図である。なお、図10においては、説明を簡単にするために、当該グラフィックが4(ピクセル)×4(ピクセル)の16ピクセルで構成される場合について説明する。また、図10における各マスは1ピクセルを示す。また、図10(a)において各ピクセルに付された数字は、当該ピクセルの色に対応する”color_id”である。
【0031】
図10(a)に示すように、当該グラフィックにおいては最上段の1行目における全てのピクセル(以下、グラフィックにおける第1行目の全てのピクセルを総称して第1のピクセルともいう)の”color_id”が「1」である。また、2行目の全てのピクセル(以下、グラフィックにおける第2行目の全てのピクセルを総称して第2のピクセルともいう)の”color_id”が「50」あり、3行目の全てのピクセル(以下、グラフィックにおける第3行目の全てのピクセルを総称して第3のピクセルともいう)における”color_id”が「100」である。さらに、4行目における全てのピクセル(以下、グラフィックにおける第4行目の全てのピクセルを総称して第4のピクセルともいう)の”color_id”が「150」である。例えば、当該図10(a)に示した各ピクセルにおける”color_id”が前記図9に示した色パレットの”color_id”であるとすると、当該図9の色パレット外に矢印で示した各色が当該ピクセルに付される。そうすると、当該グラフィックは、図10(b)に示すような一行毎に色が異なる長方形となる。
【0032】
上述のように、ピクチャーデータ17および色パレットデータ16に基づいて、グラフィックが生成されるが、当該グラフィックの生成は、グラフィックコントローラ14が制御データバッファ12に格納されたグラフィック制御データ15に基づいて行なう。以下、前記グラフィックの生成について説明する。
【0033】
図11は、グラフィック制御データ15の従来のシンタックスを説明するための説明図である。当該グラフィック制御データ15には、図4に示したような表示を実現するために必要な制御情報(例えば、前記画面におけるグラフィックの位置に関する位置情報等)が含まれる。
【0034】
図11において、“start_PTS”は、グラフィックの表示を開始する時刻を示す。“end_PTS”は、当該グラフィックの表示を終了させる時刻を示す。なお、グラフィックコントローラ14は、これらPTSを使用して前記ビデオデコーダ部6において得られるビデオとの同期を図る。また、“start_PTS”および“end_PTS”によって当該グラフィックを表示する時間が決定される。なお、当該グラフィックがMPEG(Moving Picture Expert Group)2によって圧縮された場合、前記PTSは“Presentation Time”に対応する。
【0035】
“num_of_button”は、前記画面に表示するボタンの総数を示す。したがって、例えば、前記図4に示した合成画像においては3つのボタン(ボタン1〜3)が表示されるため、“num_of_button”の値は3となる。前記“num_of_button“以下の行(すなわち”for”以下の行)に記載の処理は、“num_of_button“の数だけ繰り返される。すなわち、図4に示した場合においては、当該処理が3回行なわれる。
【0036】
“button_id”は、それぞれのボタンに割り当て当てられたID番号を示す。“x_position”、“y_position”は、前記表示部における各ボタンの左上角の位置を示す。なお、“x_position”、“y_position”は、前記画面上の任意の点を原点とし、当該原点からの相対的な位置を示すように設定する。
【0037】
“left_button_id”、“right_button_id”、“up_button_id”、“down_button_id”は、1つのボタンが選択状態にある際に、ユーザーが図示しない操作手段に設ける選択キーを押下した場合に、当該1つのボタンの次に選択状態となるボタンの“button_id”が記述される。なお、前記選択手段は、当該情報再生装置100に付属のリモコン等である。また、前記選択キーは、前記画面上において前記ボタンを選択するために表示されるカーソルを上、下、左または右に移動させるためのキーである。
【0038】
例えば、図4に示した合成画像の場合に、ボタン1 191の“button_id”が「1」、ボタン2 192の“button_id”が「2」、ボタン3 193の“button_id”が「3」に設定されているとする。また、当該合成画像において、ボタン2(“button_id”=2)が選択されているとする。さらに、“left_button_id”=1、“right_button_id”=3と設定されているとする。この場合において、ユーザーが前記選択キーによって前記カーソルを左に移動させるように操作すると、当該カーソルはボタン1に移動する。また、ユーザーが前記選択キーによって前記カーソルを右に移動させるように操作すると、当該カーソルはボタン3に移動する。
【0039】
“duration_time”は、グラフィックをアニメーション表示をする場合に、当該アニメーションを構成する各ピクチャー間のフレーム数を示す。具体的に説明すると、グラフィックを構成するピクチャーと、ビデオを構成するフレームとは同期して表示される。例えば、グラフィックをアニメーション表示する際、連続して再生されるフレーム1つ1つにピクチャーを同期させて表示した場合、アニメーションの動作は速くなる。一方、所定のフレーム数おきに当該ピクチャーを同期させて表示した場合、アニメーションの動作は遅くなる。よって、“duration_time”は、グラフィックの表示態様にあわせて任意の値を設定する。
【0040】
“normal_state”、“select_state”、“active_state”は、非選択状態、選択状態、および決定状態の各々の状態に対応するグラフィックを表示するための情報が記述される。前記図5において説明したように、当該グラフィックの状態には、非選択状態、選択状態および決定常態の3つの状態があり、各状態に応じてグラフィックが変化する。よって、1つのグラフィックに対して各状態のピクチャーを用意する。具体的に説明すると、図4に示した場合においては、3つのボタン(ボタン1〜ボタン3)の各々に対して、非選択状態のピクチャー、選択状態のピクチャーおよび決定状態のピクチャーを設ける。
【0041】
“animation_flag”は、グラフィックをアニメーション表示するか否かを示すフラグである。すなわち、“animation_flag”が「1」のとき、当該グラフィックはアニメーション表示される。この場合、”first_picture_id“は、アニメーション表示を表示する際に最初(すなわち、1枚目)に表示するピクチャーの”picture_id“を示す。また、”end_picture_id“はアニメーション表示の際に最後に表示するピクチャーの”picture_id“を示す。例えば”first_picture_id“=5、”end_picture_id“=10となっている場合には、”picture_id“=5のピクチャーから”picture_id“=10のピクチャーまでの6枚のピクチャーが連続して表示されることで、当該グラフィックがアニメーションとして表示される。
【0042】
一方、“animation_flag”が「0」のとき、グラフィックは静止画として表示される。このときの、”first_picture_id“、”end_picture_id“には同じ”picture_id“が記述される。以上に説明した“animation_flag”、”first_picture_id“および”end_picture_id“は、“normal_state”、“select_state”、“active_state”のそれぞれに記述される。したがって、例えば、非選択状態を静止画表示し、その他の状態を動画表示するようにすることもできる。なお、“active_state”にのみ記述される“command”には、当該ボタンが決定状態となった後の次の動作を実行するためのコマンドが記述される。
【0043】
以上に説明した、グラフィック制御データ15に基づいて、グラフィクコントローラ14は、現在表示すべきピクチャーをグラフィクバッファ10から選択して取得し、パレットバッファ11の色パレットから取得した色を当該グラフィックにおける各ピクセルに付してグラフィックを生成する。
【0044】
ここで、当該情報再生装置100において、従来のピクチャーデータ17、色パレットデータ16およびグラフィック制御データ15を使用した場合におけるグラフィックバッファ10の記憶容量について説明する。
【0045】
図12は、グラフィックバッファ10の記憶容量を説明するための説明図である。図12は、400ピクセル×200ピクセルのサイズのボタン1〜3がグラフィックとして表示された状態を示す。そして、当該ボタンは、非選択状態および選択状態の場合にアニメーションとして表示され、決定状態の場合に静止画として表示される。また、各ボタンは非選択状態と選択状態とで異なる色で表示される。そして、当該アニメーションを表示するに際して30枚のピクチャーを使用する。また、決定状態の場合に表示する前記静止画は、前記30枚のピクチャーとは別個に設ける1枚の画像である。
【0046】
上述のような場合において、1ピクセルの表示に必要なデータ量が1バイトである場合、1枚のピクチャーの表示に必要なデータ量は80KB(キロバイト)(400(ピクセル)×200(ピクセル)=80000(×は乗算記号、以下同じ。))である。そして、各状態の表示には、非選択状態に90枚(ボタン1〜3の各々について30枚)、選択状態に90枚、決定状態に3枚のピクチャーがそれぞれ必要である。すなわち、3つのボタン(ボタン1〜3)を表示するためには、合計で183枚のピクチャーが必要である。そうすると、図12のグラフィックを表示するために必要なピクチャーのデータサイズは、80(KB)×183(枚)≒14.6MB(メガバイト)である。したがって、上述した従来のピクチャーデータ17、色パレットデータ16およびグラフィック制御データ15を使用した場合、当該グラフィックバッファ10の記憶容量を14.6MB以上にしなければならない。
【0047】
しかしながら、一般的に、図12において説明したようなボタンを表示する場合、状態(非選択状態、選択状態および決定常態)の変化に応じて各ボタンの色は変化するものの、当該ボタンの絵柄が全く別の絵柄に変化することは少ない。すなわち、各状態それぞれに対してピクチャーを設けなくとも、各状態に対して色パレットを用意することで図12に示したグラフィックを表示することができる。そこで、実施の形態1においては、光ディスク1に記録される色パレットデータ16およびグラフィック制御データ15を以下に説明するようなシンタックスとし、当該情報再生装置100においては当該シンタックスに基づいてグラフィックの表示を行なう。
【0048】
図13は、実施の形態1における色パレットデータ16のシンタックスを説明するための説明図である。なお、以下の説明において、前記図8において説明したシンタックスの記述については同一の記述とし、説明を省略する。図13のシンタックスにおいて2行目に記述された“num_of_palet”は、色パレットデータ16に含まれる色パレットの総数が記述される。したがって、例えば、前記図12に示したグラフィックの場合には、各状態に対して1つずつ色パレットを設けるため、“number_of_palet”は「3」となる。そして、4行目に記述の“palet_id”は各パレットを識別するために使用される各パレット固有のID番号である。そして、当該“palet_id”から“trans_data”までの処理が“number_of_palet”に記述される数だけ繰り返される。
【0049】
図14は、実施の形態1におけるグラフィック制御データ15のシンタックスを説明するための説明図である。なお、以下の説明において、前記図11において説明したシンタックスの記述については同一の記述とし、説明を省略する。図14のシンタックスにおいて、各状態(noromal_state,select_state,active_state)の1行目に記述された“button_palet_id”は、各状態に対して設ける色パレットのID番号(すなわち、図13における“palet_id”)が記述される。図14のように、当該グラフィック制御データ15のシンタックスを記述することによって、各状態に対して独立した色パレットを定義することができる。
【0050】
図15は、実施の形態1のように、色パレットデータ16およびグラフィック制御データ15のシンタックスを記述した場合において表示されるグラフィックを説明するための説明図である。なお、図15の説明においては、説明を簡単にするために、4(ピクセル)×4(ピクセル)の16ピクセルで構成されるボタンが静止画(すなわち、“animation_flag”は「0」)として表示される場合について説明する。
【0051】
図15に示すように、実施の形態1においては、非選択状態および選択状態で使用するピクチャーは同一のピクチャー(図14の場合、当該ピクチャーの“picture_id”はともに「1」)である。そして、非選択状態における色パレットと、選択状態における色パレットとを異なる色パレットとする。
【0052】
例えば、図15に示すように、当該ピクチャーにおける各ピクセルの色が以下のように設定されているとする。すなわち、第1のピクセルの色が“color_id”=1で定義され、第2のピクセルの色が“color_id”=50で定義されるとする。また、第3のピクセルの色が“color_id”=100で定義され、第4のピクセルの色が“color_id”=150で定義されるとする。さらに、非選択状態に対して設定した色パレットの“palet_id”が「1」であり、選択状態に対して設定した色パレットの“palet_id”が「2」であるとする。そして、図15に示すように、“palet_id”が「1」の色パレットの“color_id”=1、50、100、150で定義される色と、“palet_id”が「2」の色パレットの“color_id”=1、50、100、150で定義される色とを異なる色とする。例えば、図15においては、“palet_id”が「1」の色パレットの“color_id”=1で定義される色がR=5,G=5,B=5,T=0であるのに対し、“palet_id”が「2」の色パレットの“color_id”=1で定義される色はR=10,G=10,B=10,T=0である。
【0053】
そうすると、図15のグラフィック制御データを使用した場合においては、非選択状態と選択状態とで同一のピクチャーを使用しているにも拘わらず、各状態において使用する色パレットが異なっているために、各状態におけるグラフィックの色を異なる色で表示することができる。
【0054】
上述のような表示は、当該グラフィックをアニメーションとして表示する場合(すなわち、“animation_flag”が「1」)にも行なうことができる。すなわち、グラフィックを
アニメーション表示する場合においても同様に、“palet_id”の異なる色パレットを状態毎に設定することで、同一のピクチャーを使用しても異なる色のグラフィックを表示することができる。すなわち、各状態(noromal_state,select_state,active_state)に対応する“first_picture_id”および“end_picture_id”を同一の“picture_id”としても各状態を異なる色で表示することができる。
【0055】
そうすると、図12のようにボタン1〜3を30枚のピクチャーを用いてアニメーション表示する場合には、各ボタンについて31枚(非選択状態および選択状態で使用するピクチャー30枚+決定状態において使用するピクチャー1枚)のピクチャーを設ければよい。すなわち、3つのボタンを表示する場合においては合計で93枚のピクチャーを設ければよい。
【0056】
そうすると、図12のようなグラフィックの表示を行なう場合、実施の形態1における色パレットデータ16およびグラフィック制御データ15を使用すると、当該グラフィックの表示に必要なピクチャーバッファ10の記憶容量は、80(KB)×93(枚)≒7.4MBとなる。すなわち、ボタンの各状態に対してピクチャーを設け、全てのボタンについて同一の色パレットを使用する場合と比較して、当該記憶容量を約半分にすることができる。
【0057】
一方、実施の形態1の場合においては色パレットを複数設けるためにパレットバッファ11の記憶容量を増加させる必要がある。しかしながら、図9において説明したように、色パレットに含まれる色を256色とした場合、当該色パレット1つあたりのデータサイズは1KB(R,G,B,Tの各々が1Bであるため1色が4Bであり、256色であるから256×4≒1000)である。よって、色パレットを1つ増やしても、パレットバッファ11の記憶容量の増加量は1KBである。すなわち、色パレットの数の増加にともなうパレットバッファ11の記憶容量の増加量は、ピクチャーバッファ10の記憶容量の減少量に対して非常に小さい。よって、結果として、グラフィックデコーダ部7全体の記憶容量を大幅に削減することができる。したがって、当該情報再生装置100全体の回路規模を大幅に削減することが可能となる。
【0058】
以上の説明のように、実施の形態1における光ディスク1によれば、グラフィックの状態が変化する場合においても、当該情報再生装置100において同一のピクチャーを使用してグラフィックを表示することができる。上述のように、従来は、グラフィックの各状態に対してピクチャーを設けていた。すなわち、グラフィックの各状態で色が変化するのみで絵柄が変化しない場合においても、ピクチャーバッファ10に同一のピクチャーを複数枚格納する必要があった。しかしながら、実施の形態1の場合においては、ピクチャーバッファ10に同一のピクチャーを複数枚格納する必要がない。
【0059】
よって、従来のようにグラフィックを表示する場合に比べて、当該ピクチャーを格納するためのメモリのサイズを大幅に削減することができる。したがって、当該情報再生装置100の回路規模をより小規模とすることができるとともに、情報再生装置100を低コストで製造することが可能となる。
【0060】
逆に、従来の情報再生装置におけるピクチャーバッファ10と同一の記憶容量とした場合には、より多くのピクチャーを使用して、ユーザーにとってより利便性の高いグラフィックの表示をすることが可能となる。
【0061】
なお、以下に、ピクチャーデータ17のデコード、およびグラフィックコントローラ14における色パレットデータ16に対する処理について説明する。また、グラフィック制御データ15に基づくグラフィックコントローラ14の処理について説明する。
【0062】
図16は、ピクチャーデータ17のデコード手順を説明するためのフローチャートである。ピクチャーデコーダ9においては以下のようにピクチャーデータ17のデコードを行なう。まず、ピクチャーデータ17に含まれるピクチャーの総数を検出する(S61)。次に、ピクチャーデータ17に含まれるピクチャーのデータをデコードする。(S62)。また、デコードした結果得られるピクチャーをピクチャーバッファ10に格納する(S63)。そして、上述したS62およびS63の処理をS61において検出したピクチャーの数の回数行なったか否かを判断する(S64)。当該判断の結果、S62およびS63の処理をS61において検出したピクチャーの数の回数行なっていない場合(S64:No)には、S62に戻って処理を繰り返す。一方、S62およびS63の処理をS61において検出したピクチャーの数の回数行なった場合(S64:Yes)には処理を終了する。
【0063】
図17は、グラフィックコントローラ14における色パレットデータ16に対する処理を説明するためのフローチャートである。グラフィックコントローラ14は、以下のようにして色パレットデータ16を解釈する。まず、グラフィックコントローラ14は、色パレットデータ16に含まれる色パレットの総数を検出する(S81)。次に、色パレットデータに含まれる色パレットのID番号を検出(S82)し、当該ID番号に対応する色パレットに含まれる色の総数を検出する(S83)。そして、当該色パレットに含まれる各色のR,G,B,Tのデータ検出(S84)し、検出したデータをパレットバッファ11に格納する(S85)。そして、S84およびS85の処理をS83において検出した色の数の回数行なったか否かを判断する(S86)。当該判断の結果、S84およびS85の処理をS83において検出した色の数の回数行なっていない場合(S86:No)には、S84に戻って処理を繰り返す。一方、S84およびS85の処理をS83において検出したピクチャーの数の回数行なった場合(S64:Yes)には、S87の判断を行なう。すなわち、S82〜S86の処理をS81において検出した色パレットの数の回数行なったか否かを判断する(S87)。当該判断の結果、S82〜S86の処理をS81において検出した色パレットの数の回数行なっていない場合(S87:No)には、S82に戻って処理を繰り返す。一方、S82〜S86の処理をS81において検出した色パレットの数の回数行なった場合(S87:Yes)には処理を終了する。そして、グラフィックコントローラ14は、以上の手順によって処理した結果得られる色パレットをパレットバッファ11に記憶させる。
【0064】
図18は、グラフィック制御データ15に基づくグラフィックデコーダの処理を説明するためのフローチャートである。グラフィックコントローラ14は、以下のように、グラフィック制御データ15に基づいてグラフィックの生成を行なう。まず、グラフィックコントローラ14は、start_PTS”、“end_TS”およびボタンの数を検出する(S111)。そして、1つのボタンのID番号を検出する(S112)。次に、検出したID番号に対応する“x_position”、“y_position”、“left_button_id”、“right_button_id”、“up_button_id”、“down_button_id”および“duration_time”を検出する(S113〜S116)。また、各状態に対応する“button_palet_id”、“animation_flag”、”first_picture_id“、および”end_picture_id“を検出する(S117〜S119)。そして、S112〜S119までの処理をS111において検出したボタンの総数の回数行なったか否かを判断する(S120)。当該判断の結果、S112〜S119の処理をS111において検出したボタンの総数の回数行なっていない場合(S120:No)には、S112に戻って処理を繰り返す。一方、S112〜S119の処理をS111において検出したボタンの総数の回数行なった場合(S120:Yes)には処理を終了する。
【0065】
実施の形態2.
実施の形態1においては、グラフィックの各状態に対して色パレットを定義することで、グラフィックバッファ10の記憶容量を削減した。実施の形態2においては、複数の色パレットを使うことなく、グラフィックバッファ10の容量を削減する場合について説明する。
【0066】
実施の形態1においては、256色の色パレットを2つ同時に使用する。一般に、映像信号処理部3において使用する色の増加にともなって、当該映像信号処理部3の回路規模は大きくなる。そこで、実施の形態2においては、以下に説明するようにグラフィック制御データ15を記述する。
【0067】
図19は、実施の形態2におけるグラフィック制御データ15のシンタックスを説明するための説明図である。なお、以下の説明においては、実施の形態1において説明したシンタックスの記述については同一の記述とし、説明を省略する。
【0068】
図19のシンタックスにおいて、各状態(noromal_state,select_state,active_state)の1行目に記述された“color_id_offset”は、設定された色パレットにおける各色のID番号からのオフセット値が記述される。したがって、ピクチャーを構成する各ピクセルには、当該色パレットにおけるID番号(color_id)に、当該オフセット値を加算した値がID番号(color_id)である色が付される。以下、当該”color_id_offset”について具体的に説明する。
【0069】
図20は、”color_id_offset”を説明するための説明図である。なお、以下の説明においては、説明を簡単にするために、4(ピクセル)×4(ピクセル)の16ピクセルで構成されるボタンが静止画(すなわち、“animation_flag”は「0」)として表示される場合について説明する。
【0070】
図20のグラフィックにおいては、非選択状態および選択状態で使用するピクチャーは同一のピクチャー(図20の場合、当該ピクチャーの“picture_id”はともに「1」)である。そして、非選択状態における”color_id_offset”と、選択状態における”color_id_offset”とを異なる値に設定する。
【0071】
例えば、図20に示すように、当該ピクチャーにおける各ピクセルの色が以下のように設定されているとする。すなわち、第1のピクセルの色が“color_id”=1で定義され、第2のピクセルの色が“color_id”=2で定義されるとする。また、第3のピクセルの色が“color_id”=3で定義され、第4のピクセルの色が“color_id”=4で定義されるとする。さらに、非選択状態に対して設定した”color_id_offset”が「0」であり、選択状態に対して設定した”color_id_offset”が「100」であるとする。
【0072】
そうすると、図20の場合においては、非選択状態と選択状態とで同一のピクチャーを使用しているが、各状態に対して設定する”color_id_offset”が異なっているために、各状態におけるグラフィックの色を異なる色で表示することができる。
【0073】
すなわち、図20において、非選択状態のグラフィックにおける第1のピクセルの“color_id”は「1」であり、“color_id_offset”が「0」である。よって、当該第1のピクセルの“color_id”は、1+“color_id_offset”=1となる。したがって、当該第1のピクセルには、色パレットにおいて“color_id”が「1」である色(R=5,G=5,B=5,T=0の色)が付される。
【0074】
同様に、非選択状態のグラフィックにおける第2のピクセルには、色パレットにおいて“color_id”が「2」である色(R=35,G=35,B=35,T=0の色)が付される。また、非選択状態のグラフィックにおける第3のピクセルには、色パレットにおいて“color_id”が「3」である色(R=55,G=55,B=55,T=0の色)が付される。また、非選択状態のグラフィックにおける第4のピクセルには、色パレットにおいて“color_id”が「4」である色(R=77,G=77,B=77,T=0の色)が付される。
【0075】
一方、図16において、選択状態のグラフィックにおける第1のピクセルの“color_id”は「1」であり、“color_id_offset”が「100」である。よって、当該第1のピクセルの実質的な“color_id”は、1+“color_id_offset”=101となる。したがって、当該第1のピクセルには、色パレットにおいて“color_id”が「101」である色(R=10,G=10,B=10,T=0の色)が付される。
【0076】
同様に、選択状態のグラフィックにおける第2ピクセルには、色パレットにおいて“color_id”が「102」である色(R=20,G=20,B=20,T=0の色)が付される。また、選択状態のグラフィックにおける第3のピクセルには、色パレットにおいて“color_id”が「103」である色(R=40,G=40,B=40,T=0の色)が付される。また、選択状態のグラフィックにおける第4のピクセルには、色パレットにおいて“color_id”が「104」である色(R=55,G=55,B=55,T=0の色)が付される。
【0077】
上述のような表示は、当該グラフィックをアニメーションとして表示する場合(すなわち、“animation_flag”が「1」)にも行なうことができる。すなわち、グラフィックを
アニメーション表示する場合においても同様に、各状態に対して異なる“color_id_offset”を設定することで、同一のピクチャーおよび同一の色パレットを使用することができる。具体的には、全ての状態(”noromal_state”,”select_state”,”active_state”)における“first_picture_id”を同一の“picture_id”とすることができる。また、“end_picture_id”も同一の“picture_id”とすることができる。さらに、同一の色パレットを使用して異なる色を表示することができる。
【0078】
以上の説明のように、実施の形態2における光ディスク1によれば、当該情報再生装置100におけるパレットバッファ11の記憶容量を増加させることなく、ピクチャーバッファ10の記憶容量を大幅に削減することができる。したがって、当該情報再生装置100の回路規模をより小規模とすることができる。また、情報再生装置100を低コストで製造することが可能となる。
【0079】
なお、以下に、実施の形態2におけるグラフィック制御データ15に基づくグラフィックコントローラ14の処理について説明する。
【0080】
図21は、実施の形態2におけるグラフィック制御データ15に基づくグラフィックデコーダの処理を説明するためのフローチャートである。グラフィックコントローラ14は、以下のように、グラフィック制御データ15に基づいてグラフィックの生成を行なう。まず、グラフィックコントローラ14は、start_PTS”、“end_TS”およびボタンの総数を検出する(S191)。そして、1つのボタンのID番号を検出する(S192)。次に、検出したID番号に対応する“x_position”、“y_position”、“left_button_id”、“right_button_id”、“up_button_id”、“down_button_id”および“duration_time”を検出する(S193〜S196)。また、各状態に対応する“color_id_offset”、“animation_flag”、”first_picture_id“、および”end_picture_id“を検出する(S197〜S199)。そして、S192〜S199までの処理をS191において検出したボタンの総数の回数行なったか否かを判断する(S200)。当該判断の結果、S192〜S199の処理をS191において検出したボタンの総数の回数行なっていない場合(S200:No)には、S192に戻って処理を繰り返す。一方、S192〜S199の処理をS191において検出したボタンの総数の回数行なった場合(S200:Yes)には処理を終了する。
【0081】
なお、以上の説明においては、色パレットを256色(1バイト)とする場合について説明したが、当該色パレットに設定する色は、256色よりも少なくても良いし、多くてもよい。
【0082】
また、前記図20の説明においては、非選択状態において使用する色の”color_id”および選択状態において使用する色の”color_id”が連続する場合(”color_id”=1〜4および”color_id”=101〜104)について説明したが、各状態において使用する色の”color_id”は連続するものでなくてもよく、任意に設定することができる。例えば、図20の場合において、第1のピクセルの”color_id”を「1」、第2の”color_id”を「10」、第3の”color_id”を「12」、第4のピクセルの”color_id”を「3」のように設定することができる。また、図20においては、各行において各ピクセルに設定された”color_id”が全て同じ場合について説明したが、各行における各ピクセルの”color_id”は任意に設定することができる。
【0083】
また、図20の説明においては、”color_id_offset”を「100」とする場合について説明したが、”color_id_offset”の値についても任意に設定することができる。また、各状態(”noromal_state”,”select_state”,”active_state”)対して異なる”color_id_offset”を設定してもよい。例えば、”noromal_state”の”color_id_offset”を「1」、”select_state”の”color_id_offset”を「80」、”active_state”の”color_id_offset”を「160」のように設定することができる。
【0084】
なお、以上のように、各状態に対して異なる”color_id_offset”を設定した場合は、1つの状態において使用できる色の数が少なくなる。以下、具体的に説明する。例えば、256色の色パレットを略均等に3つの領域に分割(以下、分割された色パレット上の領域を分割領域ともいう)すると、”color_id”=1〜85の領域が第1の分割領域、”color_id”=86〜170の領域が第2の分割領域、”color_id”=171〜256の領域が第3の分割領域となる。そして、第1の領域を非選択状態、第2の分割領域を選択状態、第3の領域を決定状態にそれぞれ割り当てるとすると各状態において使用できる色の数は約85色になってしまう。
【0085】
そこで、上述のような場合においては、以下のようにすることで、各状態においてより多くの色を使用することができる。すなわち、当該所定の”color_id”以上の色が、ピクチャーデータをデコードして得られたピクチャーにおいて設定されていた場合には、”color_id_offset”の値を当該ピクチャーにおける”color_id”に加えない。そうすると、当該所定の”color_id”以上の色は、全ての状態において使用可能な色(以下、コモンカラーともいう)となる。例えば、”color_id”=181以上の色をコモンカラーとした場合、当該コモンカラーは75色である。そして、”color_id”=180以下の”color_id”を有する色を、上述のように3つに分割して各状態に割り当てるとする。そうすると、各状態においてのみ使用可能な色は60色である。しかしながら、上記コモンカラーは全ての状態において使用可能な色であるため、各状態においては60+75=135色を使用することが可能となる。なお、所定の”color_id”は、例えば、”common_color_id”等の名称を付して他の所定の”color_id”と別個に扱えばよい。
【0086】
また、以上の説明においては、各状態に対して”color_id_offset”を設定する場合について説明した。しかしながら、”color_id_offset”が「0」である場合においては、”color_id_offset”を設けなくてもよい。すなわち、必ずしも全ての状態に対して”color_id_offset”を設けなくてもよく、いずれか2つの状態または1つの状態に対してのみ”color_id_offset”を設けるようにしてもよい。
【0087】
例えば、”noromal_state”における”color_id_offset”を「0」とし、”select_state”における”color_id_offset”を「100」、”active_state”における”color_id_offset”を「200」とする場合においては、”select_state”および”active_state”には”color_id_offset”を設け、”normal_state”には”color_id_offset”を設けなくてもよい。
【0088】
また、以上の説明においては、情報記録媒体の一例として光ディスク1を使用する場合について説明したが、当該情報記録媒体は光学的なものであっても磁気的なものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】この発明の実施の形態1における情報再生装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】グラフィックデコーダ部の構成を示すブロック図である。
【図3】グラフィックデータの構成を説明するための説明図である。
【図4】合成画像の一例を説明するための説明図である。
【図5】実施の形態1におけるグラフィックであるボタンの状態を説明するための説明図である。
【図6】ピクチャーデータの従来のシンタックスを説明するための説明図である。
【図7】”picture_width“および”picture_hight“を説明するための説明図である。
【図8】色パレットデータの従来のシンタックスを説明するための説明図である。
【図9】色パレットデータのシンタックスによって規定される色パレットを模式的に示した模式図である。
【図10】グラフィックデコーダにおけるデコードの結果得られるピクチャーに対応するグラフィックを説明するための説明図である。
【図11】グラフィック制御データの従来のシンタックスを説明するための説明図である。
【図12】グラフィックバッファの記憶容量を説明するための説明図である。
【図13】実施の形態1における色パレットデータのシンタックスを説明するための説明図である。
【図14】実施の形態1におけるグラフィック制御データのシンタックスを説明するための説明図である。
【図15】実施の形態1のように、色パレットデータおよびグラフィック制御データのシンタックスを記述した場合において表示されるグラフィックを説明するための説明図である。
【図16】ピクチャーデータのデコード手順を説明するためのフローチャートである。
【図17】グラフィックコントローラ14における色パレットデータ16に対する処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施の形態1におけるグラフィック制御データに基づくグラフィックデコーダの処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】グラフィック制御データ15に基づくグラフィックデコーダの処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】”color_id_offset”を説明するための説明図である。
【図21】実施の形態2におけるグラフィック制御データ15に基づくグラフィックデコーダの処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1 光ディスク、2 ドライブ、3 映像信号処理部、4 デマルチプレクサ、5 オーディオデコーダ部、6 ビデオデコーダ部、7 グラフィックデコーダ部、8 ビデオ重畳部、9 グラフィックデコーダ、10 グラフィックバッファ、11 パレットバッファ、12 制御データバッファ、13 グラフィックパーサー、14 グラフィックコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作に応じて複数の状態に変化するボタンに関するデータであるグラフィックデータが記録された光ディスクであって、
前記グラフィックデータは、
前記ボタンの画像に対応する画像データ、
および、前記ボタンに付される色であって、前記ボタンの状態を示す色に対応する色データを含み、
前記色データは、前記ボタンの各状態に対応して設けられることを特徴とする光ディスク。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスクを再生する情報再生装置であって、
前記光ディスクに記録されたデータを読み出すドライブと、
前記ドライブによって読み出されたデータのうちのグラフィックデータに含まれる画像データをデコードする第1のデコード手段と、
前記ドライブによって読み出されたデータのうちの映像データをデコードする第2のデコード手段と、
前記第1のデコード手段の出力と、前記第2のデコード手段の出力とを重畳する手段とを備える情報再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスクを再生する情報再生方法であって、
前記光ディスクに記録されたデータを読み出し、
前記光ディスクから読み出したデータのうちのグラフィックデータに含まれる画像データをデコードし、
前記光ディスクから読み出したデータのうちの映像データをデコードし、
前記デコードした前記画像データと、前記画像データとを重畳することを含む情報再生方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−237745(P2006−237745A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46123(P2005−46123)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】