説明

光ディスクの再生方法

【課題】情報の再生を行う光ディスクにおいて、面ぶれの大きいスリムディスクに対して安定して再生動作を行うことが出来る光ディスク装置および光ディスクの再生処理方法を提供する。
【解決手段】光ディスクが所定の回転数になるまでの経過時間によるディスクサイズの判別結果と、光ディスクから読み取った信号によるディスクサイズの判別結果が異なる場合、装着された光ディスクがスリムディスクであると判定し、面ぶれの影響を抑えるために、ステップ207で光ディスクの回転数を所定の回転数以上に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに再生を行う光ディスク再生装置および光ディスクの判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、普及しているBlu−ray Disc(BD)、DVD、CDなどの光ディスクには直径が12cmのディスク(以下では12cmディスクと称す)と直径が8cmのディスク(以下では8cmディスクと称す)が存在している。光ディスク装置では、処理の切り換えを行うために、挿入された光ディスクが12cmディスクか8cmディスクかを判別する処理を行っている。以下では、この判別処理を12cm/8cmディスク判別と呼ぶ。
光ディスク装置の12cm/8cmディスク判別方法として、従来は、12cmディスクと8cmディスクの慣性モーメントの違いを利用して、光ディスクを回転するディスクモータに同一電圧を印加して、ディスクモータが一定回転数になるまでの経過時間を測定し、その時間の大小によって判定を行う方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−249004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の方法では、近年普及が進んでいるスリムディスクまたはエコディスク(以降ではこれらをスリムディスクと総称する)に対して正しく判別を行うことが出来ないという課題がある。図8の例に示すように、スリムディスク(図8(b))とは、ディスクのデータ領域の基材の厚みが1.2mmのDVDディスク(図8(a))に対して、データ領域の基材の厚みが0.6mmしかないディスクのことである。スリムディスクは、基材が薄いことによって重量が軽いため、同一の電圧を印加したディスクモータが一定回転数になるまでの時間が短く、12cmのディスクであるにも関わらず、8cmディスクと誤って判別するという課題がある。
【0005】
また、スリムディスクは、基材が薄いことにより、ディスクの周方向の高さばらつきである面ぶれが発生しやすいディスクであるため、再生時に安定してサーボをかけることが難しく、挿入されたディスクがスリムディスクかどうかを判別する必要がある。しかし、スリムディスクは、従来のDVDディスクと異なり、ディスク上にスリムディスクであることを示す情報が存在せず、ディスク識別情報にはDVD−ROMと記載されているため、スリムディスクであることを特定するための判別方法が求められている。
本発明は、前記課題を解決するもので、スリムディスクが挿入された場合にも、安定して再生動作を行うことが出来る光ディスク装置および光ディスクの再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光ディスク再生方法は、ドライブに装着されたディスクに対して、回転数と時間との関係を示す特性に基づいて、8cmディスクか12cmディスクかを判別する第1のディスク判別ステップと、ディスクからの読み取った信号に基づいて、8cmディスクか12cmディスクかを判別する第2のディスク判別ステップとを備え、前記第1のディスク判別ステップで8cmディスクと判定され、前記第2のディスク判別ステップで12cmディスクと判定された場合に、12cmのスリムディスクであると判定するステップとを備える。
【0007】
本発明の光ディスク再生方法は、ドライブに装着されたディスクに対して、回転数と時間との関係を示す特性に基づいて、8cmディスクか12cmディスクかを判別する第1のディスク判別ステップと、ディスクからの読み取った信号に基づいて、8cmディスクか12cmディスクかを判別する第2のディスク判別ステップとを備え、前記第1のディスク判別ステップで8cmディスクと判別され、前記第2のディスク判別ステップで12cmディスクと判別された場合に、ディスク滑りが発生したと判定するステップとを備える。
【0008】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第2のディスク判別ステップとして、12cmディスクの外周領域の半径位置に光ピックアップを移動するステップと、フォーカスエラー信号によって、ディスクの表面または情報面を検出できた場合は12cmディスクと判定するステップとを備える。
【0009】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第2のディスク判別ステップとして、ディスクの識別情報を取得し、前記識別情報に含まれるディスクサイズ情報に基づいて12cmディスクかどうかを判別するステップを備える。
【0010】
本発明の光ディスク再生方法は、ディスクから読み取った信号に基づいて、面ぶれが大きいディスクであることを判定する第3のディスク判別ステップを備え、面ぶれが大きいディスクと判定された場合は、12cmのスリムディスクであると判定し、面ぶれが大きいディスクではないと判定された場合は、ディスク滑りが発生したと判定するステップを備える。
【0011】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第3のディスク判別ステップとして、12cmディスクの外周領域の半径位置に光ピックアップを移動するステップと、フォーカスON状態で少なくとも1周分のフォーカス駆動電流を測定し、変動が大きいならば面ぶれ大であると判定するステップとを備える。
【0012】
本発明の光ディスク再生方法は、前記フォーカス駆動電流の測定を低回転と高回転のそれぞれで実施し、低回転の測定結果と高回転の測定結果の差が大きい場合に面ぶれが大きいディスクであると判定するステップを備える。
【0013】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第3のディスク判別ステップで12cmのスリムディスクと判定された場合に、面ぶれの影響を抑えるために一定以上の回転数に制限するステップを備える。
【0014】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第3のディスク判別ステップで12cmのスリムディスクと判定された場合に、面ぶれの影響を抑えるためにエラー発生時のリカバリ処理を内周領域で実施するステップを備える。
本発明の光ディスク再生方法は、前記第3のディスク判別ステップでディスク滑りが発生したと判定された場合に、ディスクターンテーブルのクリーニングを促すメッセージを出力するステップを備える。
【0015】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによって12cmのスリムディスクと判定された場合に、面ぶれの影響を抑えるために一定以上の回転数に制限するステップを備える。
【0016】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによって12cmのスリムディスクと判定された場合に、面ぶれの影響を抑えるためにエラー発生時のリカバリ処理を内周領域で実施するステップを備える。
【0017】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによってディスク滑りが発生したと判定された場合に、ディスクターンテーブルのクリーニングを促すメッセージを出力するステップを備える。
【0018】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによってディスク滑りが発生したと判定された場合に、次回以降のディスク停止からのディスク回転の加速度を小さくするステップを備える。
【0019】
本発明の光ディスク再生方法は、前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによってディスク滑りが発生したと判定された場合に、次回以降のディスク停止からのディスク回転時にクランプ力を強くするステップを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光ディスクが所定の回転数になるまでの時間によるディスクサイズの判別と、光ディスクから読み取った信号によるディスクサイズの判別が異なることを利用して、装着されている光ディスクがスリムディスクかどうかを判定することが可能となるため、面ぶれの大きいスリムディスクに対して安定した再生動作を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1における、光ディスク装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施例1における、スリムディスクの判別処理を示すフローチャート
【図3】本発明の実施例1における、回転数と経過時間によるディスクサイズの判別処理を示すフローチャート
【図4】本発明の実施例1における、ディスクからの信号によるディスクサイズの判別処理を示すフローチャート
【図5】本発明の実施例1における、回転数と経過時間によるディスクサイズの判別結果とディスクからの信号によるディスクサイズの判別結果の比較によるスリムディスク判別処理を示すフローチャート
【図6】本発明の実施例1における、面ぶれディスクを示す概念図
【図7】本発明の実施例1における、図6で示した面ぶれディスクに対するスリムディスク判別処理を示すフローチャート
【図8】DVDディスクとスリムディスクの違いを示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1による光ディスク装置100の構成を示すブロック図である。
【0023】
光ディスク装置100は、Blu−ray Discなどの任意の光ディスク101を載せるターンテーブル111と、スピンドルモータの回転軸に固定されたターンテーブル111を回転させるディスクモータ102と、装着された光ディスク101をターンテーブル111に固定するディスク固定装置(クランパ)110と、光ディスク101にレーザを照射するヘッド103と、ヘッド103を光ディスク101の半径方向に移送するトラバースモータなどの移送手段109と、ヘッド103から読み取られた信号の2値化やクロックの生成を行う信号処理手段104と、ヘッド103から出力されるレーザのパワーやパルス幅の設定を行うレーザ制御手段105と、ディスクモータ102の回転数やヘッド103の動作の制御を行うサーボ手段106と、レーザ制御手段105へのレーザパワーの設定やサーボ手段106への制御コマンドの発行を行い、光ディスク装置100全体の動作の制御や、信号処理手段104から読み取った信号を解釈し光ディスク101上のデータの取得を行うシステム制御手段107とを備えている。
システム制御手段107は、光ディスク101の回転数や光ディスク101から読み取った信号によって、光ディスク101がスリムディスクかどうかを判別するスリムディスク判別手段108を内部に含む。なお、本実施例では、スリムディスク判別手段108はシステム制御手段107に内蔵されて光ディスク装置100内に存在しているが、独立した手段として光ディスク装置100内に存在しても良いし、他の手段の中に内蔵されていても良い。
【0024】
さらに、それぞれの手段は、回路構成でも良いし、機能ブロックを構成しているプログラムのステップとして存在していても良い。システム制御手段107およびスリムディスク判別手段108からレーザ制御手段105やサーボ手段106への処理実行の指示は、本実施例ではコマンド発行によって行うものとする。
【0025】
以下では、スリムディスク判別手段108でスリムディスクの判別を行う手順について、フローチャートを用いて詳細に説明する。図2は、光ディスク装置100に挿入された光ディスクの判別処理を行う手順を示すフローチャートである。
(ステップ201での判別処理)
ステップ201では、光ディスク101が装着されたことを検知すると、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106に制御コマンドを発行して、ディスクモータ102によって光ディスク101を回転させ、スリムディスク判別手段108によって、図示されていないタイマーから経過時間を測定することで、装着されているディスクが12cmディスクか8cmディスクかを判別する。
本ステップの具体的な内容は、図3を用いて詳細に説明する。図3は、光ディスク装置100で回転数と経過時間による判別処理を行う手順を示すフローチャートである。
ステップ301では、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106にコマンドを発行し、ディスクモータ102の回転数を1000rpmに設定する。
ステップ302では、スリムディスク判別手段108でサーボ手段106によってディスクモータ102から得られる回転数が1000rpmになるまでの時間を、図示していないタイマーで測定する。
【0026】
ステップ303では、ステップ302で測定した時間が100msec未満かどうかをスリムディスク判別手段108で判定し、100msec未満ならばステップ304に進んで8cmディスクと判定し、100msec以上ならばステップ305に進んで12cmディスクと判定する。なお、ステップ301で設定するディスクモータ102の回転数、ステップ303で判定に用いる時間は、8cmディスクと12cmディスクを判別可能な任意の値でよい。
【0027】
次に図1のステップ202に戻ると、ステップ202で、装着されている光ディスク101が12cmディスクと判定された場合は、判別処理を終了する。8cmディスクと判定された場合は、ステップ203に進む。
(ステップ203での判別処理)
ステップ203では、ヘッド103で光ディスク101から読み取った信号に基づいて、スリムディスク判別手段108によって、装着されているディスクが12cmディスクか8cmディスクかを判別する。
【0028】
本ステップの具体的な内容は、図4を用いて詳細に説明する。図4は、光ディスク装置100でディスクからの信号による判別処理を行う手順を示すフローチャートである。
ステップ401では、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106にコマンドを発行し、移送手段109によってヘッド103を光ディスク101の半径50mmの位置に移動する。なお、本ステップでヘッド103を移動する位置は、半径50mmの位置に限らず、8cmディスクでディスクの表面または情報面が存在せず、12cmでディスクの表面または情報面が存在するどの位置であっても良い。
【0029】
ステップ402では、スリムディスク判別手段108でサーボ手段106にコマンドを発行し、ヘッド103を用いてフォーカスエラー信号によってディスクの表面または情報面の検出を行う。
【0030】
ステップ403では、ステップ402でディスクの表面または情報面を検出した場合には、ステップ405に進んで12cmディスクと判定し、ディスクの表面または情報面を検出できなかった場合には、ステップ404に進んで8cmディスクと判定する。
以上の手順によって、装着された光ディスクに対して、8cmディスクではディスクを検出できないが、12cmディスクならばディスクを検出できる半径位置で、ディスクの表面または情報面が検出できるかどうかによって、装着されたディスクが8cmディスクか12cmディスクかを判別することが出来る。
【0031】
次に図1のステップ204に戻ると、ステップ204で、装着されている光ディスク101が8cmディスクと判定された場合は、判別処理を終了する。12cmディスクと判定された場合は、ステップ205に進む。
【0032】
ここで、ステップ204で12cmディスクと判定された場合は、搭載されたディスクはスリムディスクと決定することでステップ205、ステップ206を省略して回転数の下限を設定するステップ207に進むように改変してもよい。この改変例では、搭載されたディスクはスリムディスクでない場合も含み得るが、再生動作において問題はなく、ステップ207による回転数の下限の設定により安定した再生動作が実現できる。
【0033】
また、ステップ204で12cmディスクと判定された場合に、ディスク滑りが発生したと決定することでステップ205、ステップ206を省略してディスク滑りに関する情報を表示するステップ208に進むように改変してもよい。スリムディスクは8cmディスクより重いため、慣性モーメントを考慮すると、特定の回転数になるまでの時間が、8cmディスクより遅く、12cmディスクより早いことが分かっている。そのため、この改変例でスリムディスクが装着された場合にも、図3のステップ303で8cmディスクが特定の回転数になるまでの時間とスリムディスクが特定の回転数になるまでの時間の間に判定閾値を設定することでディスク滑りが発生したことを正しく判定できる。この改変例は、スリムディスクが装着された場合でも面ぶれディスクに対する対応を行うことなく安定した再生動作を行うことが出来るシステム、例えば再生時の回転数が常に2000rpm以上のシステム、などでは特に有効である。
【0034】
(ステップ205での判別処理)
ステップ205では、サーボ手段106や信号処理手段104から得られた情報に基づいて、スリムディスク判別手段108によって、装着されているディスクがスリムディスクかどうかを判定する。
【0035】
本ステップの具体的な内容は、図5を用いて詳細に説明する。図5は、光ディスク装置100でサーボ手段106や信号処理手段104から得られた情報に基づいてスリムディスクかどうかの判別処理を行う手順を示すフローチャートである。図5では、ディスクが回転している状態からの処理を説明しているため、ディスクが回転していない場合は、サーボ手段106に対してディスクモータ102を回転させる指示を行った後、ステップ501を実行する。
【0036】
ステップ501では、光ディスク101のディスク識別情報をヘッド103から得られた信号を信号処理手段104で処理することで取得する。ディスク識別情報とは、ディスクのControl Data領域に記録されている情報で、ディスク種別やディスク容量、ディスクサイズ(8cmディスクか12cmディスクかを示す情報)などの情報を指す。
【0037】
ステップ502では、ステップ501で得られた情報から、装着されているディスクがDVD−ROMかどうかを判定し、DVD−ROM以外ならばステップ508に進んでスリムディスク以外と判定し、DVD−ROMならばステップ503に進み処理を継続する。
【0038】
ステップ503では、ステップ401と同様に、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106にコマンドを発行し、移送手段109によってヘッド103を光ディスク101の半径50mmの位置に移動する。なお、本ステップでヘッド103を移動する位置は、半径50mmの位置に限らず、ディスクの面ぶれを検出できる任意の位置であっても良い。また、ヘッド103の移動を行う際に、フォーカス制御をOFFする必要がある場合は、フォーカス制御をOFFした後、ステップ503を実行する。
ステップ504では、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106に対してコマンドを発行し、光ディスク101に対するフォーカス制御を有効にする。
ステップ505では、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106にコマンドを発行して、ディスク1周分のフォーカス駆動電流を取得することで、光ディスク101の面ぶれ量を測定する。
【0039】
ステップ506では、ステップ505で取得したフォーカス駆動電流の変動が例えばディスク最外周で0.3mm相当以上の場合、変動大として面ぶれ大ディスクと判定し、ステップ507でスリムディスクと判定する。面ぶれ大のディスクではないと判定された場合は、ステップ508に進んで、スリムディスク以外のディスクと判定する。なお、変動大と判定する閾値は、コイルの抵抗などによって変化することや、システムによって許容できる面ぶれ量が異なることから、前記の値に限らず、設計者が任意に設定しても良い。また、ステップ505の測定を、例えば、低速(800rpm)と高速(2000rpm)といった複数の回転数で実施し、それぞれの測定結果の差が大きい場合に、ステップ506で面ぶれ大であると判定しても良い。
【0040】
次に図1のステップ206に戻ると、ステップ206で、装着されている光ディスク101がスリムディスクと判定された場合は、ステップ207でシステム制御手段107に対して光ディスク101の下限回転数を例えば1500rpm以上になるように指示し、ディスク回転の遠心力によって面ぶれの発生を抑える。
【0041】
ステップ206で、スリムディスクではないと判定された場合は、ステップ208でディスク滑り(ディスクの空回り)が発生したと判断し、ディスク滑りに関する情報を図示していない表示手段に出力する。ステップ208でディスク滑りが発生したと判断することができる理由は、ステップ202で搭載された光ディスクが8cmディスクであると判断したにも拘らずステップ204で8cmディスクでないと判断し、しかもスリムディスクではないと判定された場合は、状態として排他的に、搭載された光ディスクの動作が異常である状態、つまりディスク滑りしている状態と判断できるからである。そこでステップ208では、例えば、「ディスクのターンテーブルクリーナを使用して下さい」などの表示を光ディスク装置100が接続されているテレビ画面に出力する。ディスクのターンテーブル111とは、光ディスク101を乗せて回転させるテーブルのことで、ディスク回転中にはクランプ領域の下側に接して、ディスクモータ102によって回転しているテーブルである。ターンテーブル111の上に埃などが積もると、ディスク滑りが発生しやすくなる。
【0042】
なお、ディスク滑りに関する情報の出力はディスク滑りが発生した回数を不揮発メモリ112に格納しておき、所定の回数以上発生した場合に表示しても良いし、故障時の解析などでエラー情報の出力指示があった際に出力しても良い。
さらに、ディスク滑りが発生した場合は、今後、ディスク滑りを発生させないために、次回以降のディスク停止状態からのディスク回転の加速度を小さくする、次回以降のディスク回転時のクランプ力を強くするという処理を行っても良い。また、スリムディスクと判別された場合に下限回転数を制限するのではなく、フォーカス制御のゲインを上げる、エラー発生時のリトライを面ぶれの影響の少ない内周領域で行う、外周領域でのフォーカスON処理を行う際に対物レンズを上げる速度を遅くする、ディスクの面ぶれの周期に対応したディスクの角度によってサーボ手段106による制御を切り替えるなどの、面ぶれが発生しているディスクに対して安定したサーボ制御を行うための他の方法を用いても良い。
【0043】
以上の手順によって、装着された光ディスクがスリムディスクであるかどうかを判別し、安定したサーボ制御を行うことが出来る。
(図2のステップ205の判定ステップ(図5)の改変)
本実施例の図2のステップ205の判定(図5)を図7の判定に置き換えても良い。
図7の判定方法は、図6に示すように、スリムディスクはディスクの基材厚が薄いため、自重によって両端が垂れ下がっている状態になる場合に有効である。図6(a)は光ディスクの斜視図、図6(b)、(c)は夫々、図6(a)の点a-b線による断面図、図6(a)の点c-d線による断面図であり、図6(b)、(c)から点cと点dを結ぶ直線を尾根として点aと点bを結ぶ直線方向に垂れ下がっていることがわかる。
【0044】
図7は、図6で示すディスクが面ぶれディスクかどうかを判別する処理を示したフローチャートである。図7では、ディスクが回転していない状態からの処理を説明しているため、ディスクが回転している場合は、サーボ手段106に対してディスクモータ102を停止させる指示を行った後、ステップ701を実行する。
【0045】
ステップ701は、ステップ401、ステップ503と同一の処理であり、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106にコマンドを発行し、移送手段109によってヘッド103を光ディスク101の半径50mmの位置に移動する。
【0046】
ステップ702では、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106にディスクモータ102を1/5回転させるコマンドを発行する。なお、ステップ702でのディスクモータ102の回転量は、ディスクが面ぶれしているかどうかを判定するための任意の値でよい。ディスクの1周を偶数個に分割した値では、例えば図6で示すようにディスク半径に対して対称に面ぶれが発生している場合には、正しい判定を行うことが出来ない場合があるため、奇数個(例えば、2以外の素数個)に分割することが望ましい。
【0047】
ステップ703では、スリムディスク判別手段108からサーボ手段106にコマンドを発行してヘッド103内の図示していない対物レンズを上昇させ、フォーカスエラー信号によってディスクの表面または情報面を検出した際のフォーカス駆動電流値を測定する。
ステップ704では、ディスクの1周分以上の測定を行うまで、ステップ702、ステップ703の処理を繰り返す。ここでは5回処理を繰り返す。
【0048】
ステップ705では、ステップ704において1周分のフォーカス駆動電流を取得したと判定した場合、ステップ703での測定結果を比較し、ばらつきの大きさを確認する。ばらつきの大きさは、例えば、最大値と最小値の差がディスクの面ぶれ量が0.3mmに相当するフォーカス駆動電流値以上の場合に、ばらつきが大きいと判定する。
【0049】
ステップ706では、ステップ705のばらつきの大きさの確認結果によって、ばらつきが大きいと判定された場合は、ステップ707に進んでスリムディスクと判定し、ばらつきが大きくないと判定された場合は、ステップ708に進んで、スリムディスク以外と判定する。
【0050】
以上のように、本実施例の方法を用いると、ディスクが軽いことによって回転数と時間による判定を誤り(ステップ202で8cmディスクと判定した場合)、ディスクサイズがディスクからの信号による判定結果と異なる(ステップ204で8cmディスクでないと判定した場合)ことを利用して、スリムディスク判定ステップ205にて装着されたディスクがスリムディスクかどうかを判別することが出来る。
【0051】
また、本実施例にかかる光ディスク装置および光ディスク判別方法を用いることで、光ディスク装置に装着されている光ディスクがスリムディスクかどうかを判定し、面ぶれの大きいスリムディスクに対しても安定した再生動作を行うことが出来る。
【0052】
なお、図4のステップ401から403の処理を行わず、図5のステップ501で取得したディスク識別情報の中に含まれるディスクサイズ、8cmディスクの最大容量を用いて、ディスクサイズが12cmかどうかや、ディスク容量が8cmディスクの最大容量よりも大きいかどうかの判定方法で、図2のステップ203の判定を置き換えても良い。
【0053】
なお、本実施例はスリムディスクだけではなく、通常の光ディスクよりも基材厚が薄いディスクや軽いディスクに対しても適用できる。例えば、BDでは、情報層がディスク表面から0.1mm位置にあるため、カバー層を薄くすることで約0.1mmの基材厚を持ったディスクを作ることも可能であり、本実施例は、この基材厚が約0.1mmのディスクに対しても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかる光ディスク装置および光ディスク判別方法を用いることで、光ディスク装置に装着されている光ディスクがスリムディスクかどうかを判定し、面ぶれの大きいスリムディスクに対しても安定した再生動作を行うことが出来るので、レコーダ、プレーヤやPC等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0055】
101 光ディスク
102 ディスクモータ
103 ヘッド
104 信号処理手段
105 レーザ制御手段
106 サーボ手段
107 システム制御手段
108 スリムディスク判別手段
109 移送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブに装着されたディスクに対して、回転数と時間との関係を示す特性に基づいて、8cmディスクか12cmディスクかを判別する第1のディスク判別ステップと、
ディスクからの読み取った信号に基づいて、8cmディスクか12cmディスクかを判別する第2のディスク判別ステップとを備え、
前記第1のディスク判別ステップで8cmディスクと判定され、前記第2のディスク判別ステップで12cmディスクと判定された場合に、12cmのスリムディスクであると判定するステップとを備えた、光ディスクの再生方法。
【請求項2】
ドライブに装着されたディスクに対して、回転数と時間との関係を示す特性に基づいて、8cmディスクか12cmディスクかを判別する第1のディスク判別ステップと、
ディスクからの読み取った信号に基づいて、8cmディスクか12cmディスクかを判別する第2のディスク判別ステップとを備え、
前記第1のディスク判別ステップで8cmディスクと判別され、前記第2のディスク判別ステップで12cmディスクと判別された場合に、ディスク滑りが発生したと判定するステップとを備えた、光ディスクの再生方法。
【請求項3】
前記第2のディスク判別ステップは、12cmディスクの外周領域の半径位置に光ピックアップを移動するステップと、フォーカスエラー信号によって、ディスクの表面または情報面を検出できた場合は12cmディスクと判定するステップとを有する請求項1または請求項2記載の光ディスクの再生方法。
【請求項4】
前記第2のディスク判別ステップは、ディスクの識別情報を取得し、前記識別情報に含まれるディスクサイズ情報に基づいて12cmディスクかどうかを判別するステップを有する請求項1または請求項2記載の光ディスクの再生方法。
【請求項5】
ディスクから読み取った信号に基づいて、面ぶれが大きいディスクであることを判定する第3のディスク判別ステップを備え、面ぶれが大きいディスクと判定された場合は、12cmのスリムディスクであると判定し、面ぶれが大きいディスクではないと判定された場合は、ディスク滑りが発生したと判定するステップを有する、請求項1および請求項2記載の光ディスクの再生方法。
【請求項6】
前記第3のディスク判別ステップは、12cmディスクの外周領域の半径位置に光ピックアップを移動するステップと、フォーカスON状態で少なくとも1周分のフォーカス駆動電流を測定し、変動が大きいならば面ぶれ大であると判定するステップとを有する請求項5記載の光ディスクの再生方法。
【請求項7】
前記フォーカス駆動電流の測定を低回転と高回転のそれぞれで実施し、低回転の測定結果と高回転の測定結果の差が大きい場合に面ぶれが大きいディスクであると判定するステップを有する請求項6記載の光ディスクの再生方法。
【請求項8】
前記第3のディスク判別ステップで12cmのスリムディスクと判定された場合に、面ぶれの影響を抑えるために一定以上の回転数に制限するステップを有する、請求項5記載の光ディスクの再生方法。
【請求項9】
前記第3のディスク判別ステップで12cmのスリムディスクと判定された場合に、面ぶれの影響を抑えるためにエラー発生時のリカバリ処理を内周領域で実施するステップを有する、請求項5記載の光ディスクの再生方法。
【請求項10】
前記第3のディスク判別ステップでディスク滑りが発生したと判定された場合に、ディスクターンテーブルのクリーニングを促すメッセージを出力するステップを有する、請求項5記載の光ディスクの再生方法。
【請求項11】
前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによって12cmのスリムディスクと判定された場合に、面ぶれの影響を抑えるために一定以上の回転数に制限するステップを有する、請求項1記載の光ディスクの再生方法。
【請求項12】
前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによって12cmのスリムディスクと判定された場合に、面ぶれの影響を抑えるためにエラー発生時のリカバリ処理を内周領域で実施するステップを有する、請求項1記載の光ディスクの再生方法。
【請求項13】
前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによってディスク滑りが発生したと判定された場合に、ディスクターンテーブルのクリーニングを促すメッセージを出力するステップを有する、請求項2記載の光ディスクの再生方法。
【請求項14】
前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによってディスク滑りが発生したと判定された場合に、次回以降のディスク停止からのディスク回転の加速度を小さくするステップを有する、請求項2記載の光ディスクの再生方法。
【請求項15】
前記第1のディスク判別ステップと前記第2のディスク判別ステップによってディスク滑りが発生したと判定された場合に、次回以降のディスク停止からのディスク回転時にクランプ力を強くするステップを有する、請求項2記載の光ディスクの再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−192330(P2011−192330A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55735(P2010−55735)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】