説明

光ディスク保存容器

【課題】記録用ディスクを含む光ディスクをバルク容器に収納したまま保存でき、且つ、変形による経年劣化を防止することのできる保存容器を提供する。
【解決手段】複数枚の光ディスク5を軸部2bに挿着して収納するバルク容器2を収容する筐体3と、前記筐体3内に設けられ、前記軸部2bの水平を調整及び保持するための水平保持部材6,7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク保存容器に関し、より詳細には、電子記録用光ディスクの経年変形による劣化を防ぐことが可能な光ディスク保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン及びデジタル機器の普及に伴い、CD(Compact Disk)、DVD(Degital Versatile Disk)及びBD(Blu−ray Disk)等の光ディスクが急速に普及してきている。又、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ及びデジタルレコーダー等の普及に伴い、静止画及び動画等のデジタルメディアが一般化しており、更にパソコンの普及及び高性能化に伴って取り扱われる電子データもまた大容量化している。これら電子データ等の保存ややり取りを行うため、当該光ディスクの記録用ディスクである、CD−R、DVD−R、DVD+R及びBD−R等もまた、急速に普及してきている。
【0003】
従来、これら記録用ディスクは1枚ごとにプラスティック製のケースに収納され販売さていたが、その普及に伴い、記録用ディスクを安価に提供することが求められている。このため、バルク容器を用いて一度に多くの枚数のディスクを販売することにより、コストを抑え、安価に提供する販売方法が取られてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら記録用ディスクを含む光ディスクは経年劣化による変形を防止する観点等から垂直に立てられた状態で保管されることが理想である。従来、これら記録用ディスクを含む光ディスクは1枚ごとにプラスティック製のケースに収納されているため垂直に立てられた状態で保管されることが通例であった。
【0005】
しかしながら、記録用ディスクはバルク容器での販売の普及に伴い、バルク容器で保管されるケースが増えてきている。バルク容器では記録用ディスクは水平に重ねられた状態で保管されることとなる。そのため、記録用ディスクはその自重で変形し読み取り不良を起こし、経年劣化が進行しやすくなるという問題が生じている。又、バルク容器に収納された記録用ディスクを垂直に立てられた状態で保管しようとすると、一般的にバルク容器は円錐台形のため困難であり、且つ、これらバルク容器を積み重ねて保管することが不可能である。
【0006】
特に、事業所等において電子化された管理文書を記録用ディスクで保管する際には10年乃至30年程度の長期保管が要求される(例えば、日本工業規格JISZ6017参照)。そのため、記録用ディスクの経年劣化による変形の影響はより深刻である。
【0007】
これら記録用ディスクはそれ自身が円盤形状であるためそれ自身を立てて保存することができず、又、紫外線及び湿気等の影響を受け易いため、必然的に何かしらのケース内で保存されることとなる。従って、記録用ディスクをバルク容器から出して他のケースに移して垂直に立てた状態で保管すれば良いが、バルク容器での保管と比較して、当該ケースにより容積が嵩むため、必然として保管場所としての空間の負担が増加する。
【0008】
そこで、本発明は、これら記録用ディスクを含む光ディスクをバルク容器に収納したまま保存でき、且つ、変形による経年劣化を防止することのできる保存容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数枚の光ディスクを軸部に挿着して収納するバルク容器を収容する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記軸部の水平を調整及び保持するための水平保持部材とを有することを特徴とする光ディスク保存容器である。
【0010】
又、本発明は、前記水平保持部材は移動可能なスペーサーからなることを特徴とする光ディスク保存容器である。
【0011】
又、本発明は、前記筐体には前記バルク容器の前記軸部の水平を調整するための水平確認用目盛が形成されていることを特徴とするディスク保存容器である。
【0012】
又、本発明は、前記筐体には連結用インロー部及び積層用インロー部が形成されていることを特徴とする光ディスク保存容器である。
【0013】
又、本発明は、前記連結用インロー部にはラッチが形成されていることを特徴とする光ディスク保存容器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光ディスク保存容器は、光ディスクが収納されるバルク容器を収容する筐体を有し、その水平を調整及び保持するための水平保持部材を有することにより、当該光ディスクを当該バルク容器に収納したまま垂直状に立てて保存ができるため、保管場所としての空間を節約でき、且つ、変形による経年劣化を防止することができる。
【0015】
この水平保持部材は、例えば、移動可能なスペーサーを用いることができる。移動可能なスペーサー用いることで様々な形状のバルク容器に対応することが可能となる。
【0016】
又、前記筐体には、水平確認用目盛が形成されていることにより容易に前記バルク容器の前記軸部の水平度を確認することができる。
【0017】
更に、前記筐体には連結用インロー部及び積層用インロー部が形成されていることにより、複数の当該筐体を二次元的、又は、三次元的に組み合わせることができるため、より保管場所としての空間を節約できる。尚、連結用インロー部にラッチを形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明における実施の形態の正面図である。
【図2】本発明における実施の形態の側面図である。
【図3】本発明における実施の形態の平面図である。
【図4】本発明における実施の形態におけるスペーサーの拡大図であり、(A−1)は第1のスペーサーの平面図を、(A−2)は第1のスペーサーの側面図を、(B−1)は第2のスペーサーの平面図を、(B−2)は第2のスペーサーの側面図を、各々表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明における実施の形態を図1乃至4に示す。尚、本発明において、図1に基づき筐体3の左右方向、上下方向及び前後方向を定義する。光ディスク保存容器1は、バルク容器2を収納するための筐体3を有する。筐体3は、平面視方形状に形成され、その前後方向で対向する2枚の側壁3A、その左右方向で対向する2枚の側壁3B及びその底面を閉鎖する底板3Cにより構成される。又、筐体3の上面はバルク容器2を収容するために開放されている。
【0020】
バルク容器2は一般的に頂壁2a側に向って次第に細くなる略円錐台形の透明な蓋部2Aと、蓋部2Aが被着される底部2Bとを備えている。底部2Bの中心には光ディスク5の中心に空けられた貫通穴に通される軸部2bが垂設されている。バルク容器2はその軸部2bが水平となるように略90°傾けられた状態で、その軸部2bが筐体3の前後方向に向くように、且つ、その底部2Bが第2のスペーサー7側に来るように筐体3に収容される。尚、第2のスペーサー7の詳細については後述する。
【0021】
筐体3の対向する2枚の側壁3A,3Aにはバルク容器2の取り出しを容易とするための切欠4が形成されている。本実施の形態において切欠4はU字状に形成され、両側壁3A,3Aの上辺の中点より該側壁3A,3Aの略中心まで伸びている。尚、切欠4は筐体3の側壁3Bに形成することもできる。
【0022】
筐体3には、バルク容器2の傾きを調整及び保持し、その軸部2bを水平に保持するための水平保持部材が設けられる。当該水平保持部材は、各メーカーで異なる傾斜を有するバルク容器2の蓋部2Aに対応することができるものである必要がある。例えば、当該水平保持部材として、蓋部2Aの傾斜に合わせて調整可能なスペーサーや低反撥素材で構成されたクッション等を用いることができる。
【0023】
本実施の形態において、当該水平保持部材は2つのスペーサー6,7であり、該スペーサー6,7は筐体3の底板3Cに置かれている。又、図4に示すように2つのスペーサー6,7は共にV字状の部材であり、各々その2辺の長さが等しく、且つ、全体に亘って略均一の厚さに形成される。又、第1のスペーサー6の厚さT及び第2のスペーサー7の厚さTは略等しく、そして、第1のスペーサー6の幅W及び第2のスペーサー7の幅Wも等しくなるよう形成されている。即ち、L≒L、L≒L、T≒T、W≒Wある。尚、2つのスペーサー6,7の大きさ、形状等は適宜変更することができる。
【0024】
又、第1のスペーサー6及び第2のスペーサー7は、バルク容器2が筐体3に収納された際に、バルク容器2の軸部2bの真下に来るように、且つ、2つのスペーサー6,7が筐体3の前後方向に並ぶように設けられる。
【0025】
第1のスペーサー6は可動式となっており、バルク容器2の軸部2bが略水平となるように蓋部2aの傾斜に合わせ調整されるものである。又、筐体3には、該筐体3の外部よりバルク容器2の軸部2bの水平度を確認するために、水平確認用目盛9が設けられている。当該目盛9は、筐体3の側壁3Aの略中心、即ち、正しい水平度の際に、対向する2枚の側壁3Aに形成された切欠4からバルク容器2の軸部2bの頂部が確認される箇所に、例えば、U字の切欠4の底部側に設けられている。
【0026】
通常、バルク容器の蓋部2Aは透明であるため、頂部2a側から軸部2bを外部より視認でき、底部2B側からは底部2B及び軸部2bの嵌合部(図示せず)もまた視認できるため、前記2枚の側壁3Aの両側から水平確認用目盛9で軸部2bの位置を確認することにより、軸部2bの水平を容易に調整できるようになっている。
【0027】
つまり、軸部2bが通された光ディスク5は、水平保持部材たる2つのスペーサー6,7によって垂直状に立てられ保持されることとなる。尚、第2のスペーサー7を可動式とすることもできる。
【0028】
第1のスペーサー6の可動手段としては、例えば、筐体3の底板3C等に第1のスペーサー6と連動する摺動機構を設け、筐体3の前後方向に可動とする方法、第1のスペーサー6と連動する高さ調整部材を設け上下方向に可動とする方法、又は、第1のスペーサー6を可撓性とし、その頂角を変えることにより、筐体3の上下方向に可動とする方法等がある。
【0029】
又、筐体3には、複数の筐体3を前後左右に連結し、上下に積層するための機構が設けられる。本実施の形態において、各側壁3A,3Bには、その左端及び右端から連結用インロー部3aが、その上端から連結用インロー部3bが、下端からは積層用インロー部3cが、夫々延在している。
【0030】
連結用インロー部3a,3bには各々2箇所にラッチ8a,8bが形成される。従って、連結用インロー部3aに形成されたラッチ8a同士、連結用インロー部3bに形成されたラッチ8b同士を互いに組み合わせることにより、複数の筐体3をその左右方向及び前後方向に連結することができる。尚、ラッチ8a,8bの数、場所等は適宜変更することができる。
【0031】
又、積層用インロー部3cは、複数の筐体3を上下方向に積み重ねられた際に、筐体3の側壁3A,3Bの内側に嵌合することができるようになっており、複数の筐体3をその上下方向に安定して積み重ねることができるようにするものである。
【0032】
即ち、本実施の形態における光ディスク保存容器1は連結用インロー部3a,3bに形成されたラッチ8a,8b並びに積層用インロー部3cにより二次元的又は三次元的に組み上げることが可能である。
【0033】
尚、光ディスク保存容器1を二次元的又は三次元的に組み上げる方法は、本実施の形態に限定されるものでなく、例えば、インロー部3a,3b,3c又は側壁3A,3Bの端部夫々に等に窪みを形成し、その窪みに連結部材を嵌め込むことにより組み上げてもよい。
【0034】
上述のように、本実施の形態は、バルク容器2の軸部2aを水平保持部材であるスペーサー6,7により水平に調整及び保持することにより、バルク容器2の軸部2bに通された光ディスクをバルク容器2に収納したまま垂直状に立てられた状態で保存することが可能であり、変形による経年劣化を防止することができる。
【0035】
又、筐体3に連結用インロー部3a,3b及び積層用インロー部3cを形成することにより、光ディスク保存容器1を二次元的、又は、三次元的に組み上げることが可能である。従って、光ディスク5の保管場所としての空間を節約できる。
【0036】
尚、本実施の形態は、CD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW、BD−R及びBD−RW等の様々な記録用光ディスクの保管に適用することが可能である。又、CD−ROM、DVD−ROM、BD−ROM及びHD DVD−ROM等の読み取り専用の光ディスクの保管にも当然に適用可能である。
【0037】
又、収容された記録用光ディスク5の枚数に応じて、異なる大きさ(高さ)のバルク容器2で記録用光ディスク5は市販されているため、筐体3の側壁3Bの幅を蛇腹又はスライド等の機構により可変とし、バルク容器2の大きさに応じて筐体3の大きさを変化できるようにしてもよい。
【0038】
更に、最上部となる筐体3の上部はその外部に対して開放されているが、当該筐体3内を遮光等するために蓋体を被せることもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 光ディスク保存容器 2 バルク容器
2A 蓋部 2B 底部
2a 頂壁 2b 軸部
3 筐体 3A,3B 側壁
3C 底板 3a,3b 連結用インロー部
3c 積層用インロー部 4 切欠
5 光ディスク 6 第1のスペーサー
7 第2のスペーサー 8a,8b ラッチ
9 水平確認用目盛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の光ディスクを軸部に挿着して収納するバルク容器を収容する筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記軸部の水平を調整及び保持するための水平保持部材とを有することを特徴とする光ディスク保存容器。
【請求項2】
前記水平保持部材は移動可能なスペーサーからなることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク保存容器。
【請求項3】
前記筐体には前記バルク容器の前記軸部の水平を調整するための水平確認用目盛が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク保存容器。
【請求項4】
前記筐体には連結用インロー部及び積層用インロー部が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の光ディスク保存容器。
【請求項5】
前記連結用インロー部にはラッチが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光ディスク保存容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−25447(P2012−25447A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166634(P2010−166634)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(508277852)株式会社 ニチマイ (2)
【Fターム(参考)】