説明

光ディスク再生装置、光ディスク再生システム、光ディスク再生装置の起動時再生方法、及び、光ディスク起動時再生プログラム

【課題】光ディスクの再生中断状態での起動中に光ディスクが交換されても、誤動作を防止することを可能とする。
【解決手段】再生中断時に再生中断位置と共に光ディスク5の判別情報を記憶しておき、再生中断後の再度の起動完了時に、光ディスク5から新たな識別情報を取得して中断後判別情報を作成し、該中断後判別情報と前記判別情報とを比較して起動前後の光ディスク5が同一であるか否かを判定し、同一と判定したときのみ再生中断位置から再生するようにしたことから、光ディスク再生装置10の起動が完了する前に、光ディスク読取装置20の起動が完了して光ディスク5が交換されても、光ディスク再生装置10が単独でその交換を認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクのラストアドレス再生機能を有する光ディスク再生装置、光ディスク再生システム、光ディスク再生装置の起動時再生方法、光ディスク起動時再生プログラム、等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のCD(Compact Disk)、DVD(Digital Video Disk又はDigital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc)等の光ディスクを再生する装置は、特許文献1等に示すラストアドレス再生機能を有している。ラストアドレス再生機能は、主電源のOFF時等に再生中断位置をメモリに記憶しておき、次に再生を再開する前に、この記憶したラストアドレスをメモリから読み出して、当該再生中断位置から再生を再開していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−313876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ディスク再生装置は、光ディスクから情報を読み出すドライブと、該ドライブで読み取った情報を解析再生するデコーダと、を有している。そして、ドライブは、光ディスクの物理情報やサーボ調整値などを記憶しておき、次回起動時に、当該記憶した情報や値を使って、起動時の光ディスクのセットアップの高速化が図られてきた。
【0005】
ところが、近年では圧縮技術などの進展によりデコード処理が複雑化する傾向にあるため、デコーダの処理が急激に増大している。そのため、デコーダには、パーソナル・コンピュータ(PC)に搭載するオペレーティングシステム(OS)と同等のOSを搭載する場合が多くなっている。その結果、デコーダは電源を投入してから動作可能となるまでの起動時間がPCと同様に遅くなる傾向にあった。
【0006】
すると、デコーダとドライブを同時に起動させた場合、まず最初にドライブの起動が完了し、その後しばらくしてから、デコーダの起動が完了することになる。このような場合、上述したラストアドレスを記憶した光ディスク再生装置の次回起動時に、デコーダが起動する前にドライブの起動が完了すると、デコーダが起動中であるにもかかわらず、デコーダの起動中にドライブの光ディスクが他の光ディスクに交換可能となってしまう。しかしながら、起動が完了したデコーダは、ラストアドレス再生に対応した光ディスクが交換されていることを検出できないため、他の光ディスクに対してラストアドレス再生を行ってしまうという問題が生じていた。
【0007】
また、ドライブに光ディスクが交換されたことを記憶しておき、デコーダの起動が完了したときにデコーダに交換されたことを通知することも考えられるが、これに対応するにはドライブ及びデコーダの双方の変更を行わなければならず、コストアップに繋がってしまう。よって、デコーダの機能追加のみでラストアドレス再生を正確に行えるようにすることが望まれている。このように本発明が解決しようとする課題は、上記した問題が一例として挙げられる。
【0008】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、光ディスクの再生中断状態での起動中に光ディスクが交換されても、誤動作を防止することができる光ディスク再生装置、光ディスク再生システム、光ディスク再生装置の起動時再生方法、光ディスク起動時再生プログラム、等を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の光ディスク再生装置は、光ディスク読取装置が光ディスクから読み取った情報を再生する再生手段と、再生中断時の前記再生手段の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段と、を有し、前記光ディスク読取装置の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置において、前記再生手段が再生した前記光ディスクを識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から取得する識別情報取得手段と、前記再生中断時の前記光ディスクを示す判別情報を、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づいて作成する判別情報作成手段と、前記判別情報作成手段が作成した判別情報を記憶する判別情報記憶手段と、前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する中断後識別情報取得手段と、前記中断後識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する中断後判別情報作成手段と、前記判別情報記憶手段が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスクが同一であるか否かを判定する判定手段と、を有し、前記再生手段が、前記判定手段によって同一であると判定されたときは、前記再生中断位置記憶手段が記憶している再生中断位置から前記情報を再生し、また、前記判定手段によって同一ではないと判定されたときは、前記光ディスクの最初から再生する手段であることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載の光ディスク再生システムは、請求項1〜3の何れか1項に記載の光ディスク再生装置と、前記光ディスクから読み取った情報を前記光ディスク再生装置に出力する前記光ディスク読取装置と、を有することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項6記載の光ディスク再生装置の起動時再生方法は、光ディスク読取装置が光ディスクから読み取った情報を再生する再生手段と、再生中断時の前記再生手段の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段と、を有し、前記光ディスク読取装置の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置の起動時再生方法において、前記再生手段が再生した前記光ディスクを識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から取得する過程と、前記再生中断時の前記光ディスクを示す判別情報を、前記取得した前記識別情報に基づいて作成する過程と、前記作成した判別情報を判別情報記憶手段に記憶する過程と、前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する過程と、前記取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する過程と、前記判別情報記憶手段が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスクが同一であるか否かを判定する過程と、前記光ディスクが同一であると判定されたときに、前記再生中断位置記憶手段が記憶している再生中断位置から前記再生手段が情報を再生する過程と、前記光ディスクが同一ではないと判定されたときに、前記光ディスクの最初から前記再生手段が情報を再生する過程と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項7記載の光ディスク起動時再生プログラムは、光ディスク読取装置が光ディスクから読み取った情報を再生する再生手段と、再生中断時の前記再生手段の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段と、を有し、前記光ディスク読取装置の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置のコンピュータを、前記再生手段が再生した前記光ディスクを識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から取得する識別情報取得手段と、前記再生中断時の前記光ディスクを示す判別情報を、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づいて作成する判別情報作成手段と、前記判別情報作成手段が作成した判別情報を判別情報記憶手段に記憶する手段と、前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する中断後識別情報取得手段と、前記中断後識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する中断後判別情報作成手段と、前記判別情報記憶手段が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスクが同一であるか否かを判定する判定手段と、前記再生手段が、前記判定手段によって同一であると判定されたときは、前記再生中断位置記憶手段が記憶している再生中断位置から前記情報を再生し、また、前記判定手段によって同一ではないと判定されたときは、前記光ディスクの最初から再生する手段として機能させるための光ディスク起動時再生プログラムとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る光ディスク再生装置と光ディスク再生システムの基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明を適用したオーディオシステムの概略構成を示す構成図である。
【図3】図2に示されたドライブの概略構成の一例を示す構成図である。
【図4】デコーダとドライブのソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図5】識別情報と判別情報の一例を説明するための図である。
【図6】図2に示されたマイコンが実行する再生制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る光ディスク再生装置、光ディスク再生システム、光ディスク再生装置の起動時再生方法、光ディスク起動時再生プログラムの一実施の形態を、図1の基本構成図を参照して以下に説明する。
【0015】
図1において、光ディスク再生装置10によれば、 光ディスク読取装置20が光ディスク5から読み取った情報を再生する再生手段P1と、再生中断時の前記再生手段P1の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段D1と、を有し、前記光ディスク5読取装置20の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置10において、前記再生手段P1が再生した前記光ディスク5を識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置20が読み取った情報の中から取得する識別情報取得手段P2と、前記再生中断時の前記光ディスク5を示す判別情報を、前記識別情報取得手段P2が取得した前記識別情報に基づいて作成する判別情報作成手段P3と、前記判別情報作成手段P3が作成した判別情報を記憶する判別情報記憶手段D2と、前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置20が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する中断後識別情報取得手段P4と、前記中断後識別情報取得手段P4が取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する中断後判別情報作成手段P5と、前記判別情報記憶手段D2が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスク5が同一であるか否かを判定する判定手段P6と、を有し、前記再生手段P1が、前記判定手段P6によって同一であると判定されたときは、前記再生中断位置記憶手段D1が記憶している再生中断位置から前記情報を再生し、また、前記判定手段P6によって同一ではないと判定されたときは、前記光ディスク5の最初から再生する手段となっている。
【0016】
また、光ディスク再生装置10の起動時再生方法は、光ディスク読取装置20が光ディスク5から読み取った情報を再生する再生手段P1と、再生中断時の前記再生手段P1の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段D1と、を有し、前記光ディスク読取装置20の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置10の起動時再生方法において、前記再生手段P1が再生した前記光ディスク5を識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置20が読み取った情報の中から取得する過程と、前記再生中断時の前記光ディスク5を示す判別情報を、前記取得した前記識別情報に基づいて作成する過程と、前記作成した判別情報を判別情報記憶手段D2に記憶する過程と、前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置20が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する過程と、前記取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する過程と、前記判別情報記憶手段D2が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスク5が同一であるか否かを判定する過程と、前記光ディスク5が同一であると判定されたときに、前記再生中断位置記憶手段D1が記憶している再生中断位置から前記再生手段P1が情報を再生する過程と、前記光ディスク5が同一ではないと判定されたときに、前記光ディスク5の最初から前記再生手段P1が情報を再生する過程と、を有している。
【0017】
さらに、光ディスク起動時再生プログラムは、光ディスク読取装置20が光ディスク5から読み取った情報を再生する再生手段P1と、再生中断時の前記再生手段P1の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段D1と、を有し、前記光ディスク読取装置20の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置10のコンピュータを、前記再生手段P1が再生した前記光ディスク5を識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置20が読み取った情報の中から取得する識別情報取得手段P2と、前記再生中断時の前記光ディスク5を示す判別情報を、前記識別情報取得手段P2が取得した前記識別情報に基づいて作成する判別情報作成手段P3と、前記判別情報作成手段P3が作成した判別情報を判別情報記憶手段D2に記憶する手段と、前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置20が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する中断後識別情報取得手段P4と、前記中断後識別情報取得手段P4が取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する中断後判別情報作成手段P5と、前記判別情報記憶手段D2が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスク5が同一であるか否かを判定する判定手段P6と、前記再生手段P1が、前記判定手段P6によって同一であると判定されたときは、前記再生中断位置記憶手段D1が記憶している再生中断位置から前記情報を再生し、また、前記判定手段P6によって同一ではないと判定されたときは、前記光ディスク5の最初から再生する手段として機能させるための光ディスク起動時再生プログラムとなっている。
【0018】
このような光ディスク再生装置10によれば、光ディスク読取装置20が光ディスク5から読み取った情報は再生手段P1によって再生されるとともに、該再生した光ディスク5を識別するための識別情報が、光ディスク読取装置20によって読み取った情報の中から識別情報取得手段P2によって取得される。そして、当該再生が中断されると、その再生中断位置が再生中断位置記憶手段D1に記憶されるとともに、再生中断時の光ディスク5を示す判別情報が判別情報作成手段P3によって前記識別情報に基づいて作成されて判別情報記憶手段D2に記憶された後、光ディスク再生装置10は電源断状態、待機状態、等になる。その後、電源投入等によって光ディスク再生装置10及び光ディスク読取装置20が起動されると、光ディスク読取装置20の起動が完了した後に、光ディスク再生装置10は起動が完了する。そして、光ディスク再生装置10は、起動が完了した後に光ディスク読取装置20によって読み取られた情報の中から識別情報が中断後識別情報取得手段P4によって取得されると、該識別情報に基づいた中断後判別情報が中断後判別情報作成手段P5によって作成される。そして、判定手段P6によって該中断後判別情報と判別情報記憶手段D2が記憶している判別情報とが比較されて、起動前後の光ディスク5が同一であるか否かが判定される。そして、判定手段P6によって同一であると判定されたときは、再生中断位置記憶手段D1が記憶している再生中断位置から光ディスク5の情報が再生手段P1によって再生される。また、判定手段P6によって同一ではないと判定されたときは、起動中に交換された光ディスク5が再生手段P1によって最初から再生される。
【0019】
よって、再生中断時に再生中断位置と共に光ディスク5の判別情報を記憶しておき、再生中断後の起動完了時に、光ディスク5から新たな識別情報を取得して中断後判別情報を作成し、該中断後判別情報と前記判別情報とを比較して起動前後の光ディスク5が同一であるか否かを判定し、同一と判定したときのみ再生中断位置から再生するようにしたことから、光ディスク再生装置10の起動が完了する前に、光ディスク読取装置20の起動が完了して光ディスク5が交換されても、光ディスク再生装置10が単独でその交換を認識することができるため、光ディスク再生装置10の誤動作を防止することができる。また、光ディスク読取装置20は光ディスク5の交換を検出する必要がないので、光ディスク再生装置10のみに機能を追加するだけで容易に対応することができるため、既存の光ディスク読取装置20をそのまま用いることができる。よって、光ディスク再生装置10の起動中でも光ディスク5の交換ができるため、光ディスク再生装置10の高機能化を図ることができ且つ利用者の操作制限を緩和して利便性の向上に貢献することができる。特に、システム構成が大規模な例えばブルーレイディスク等の光ディスクの光ディスク再生装置10として好適である。
【0020】
また、上述した光ディスク再生装置10において、前記判別情報作成手段P3及び前記中断後判別情報作成手段P5が、前記識別情報を固定長の文字列又は疑似乱数に変換して前記判別情報及び前記中断後判別情報を生成する手段となっている。
【0021】
このような光ディスク再生装置10によれば、識別情報を固定長の文字列又は疑似乱数に変換して判別情報及び中断後判別情報を作成するようにしたことから、識別情報のデータサイズを大きくしても、該識別情報に基づいて作成する判別情報及び中断後判別情報のデータサイズを小さくすることができるため、識別情報の一意性を向上させることができる。また、相異なる判別情報と中断後判別情報が偶然に一致する可能性を低減させることができるため、起動前後の光ディスク5の判別精度を向上することができる。さらに、判別情報及び中断後判別情報のデータ量を小さくすることができるため、判別情報記憶手段D2として用いる記録媒体の容量の大容量化を防止することができる。
【0022】
さらに、上述した光ディスク再生装置10において、前記識別情報が、前記光ディスク5の固有データと実データを有している。
【0023】
このような光ディスク再生装置10によれば、識別情報が光ディスク5の固有データと実データを有するように構成したことから、光ディスク5の固有データは規格で定義されていないため、固有データだけでは偶然一致してしまう可能性があるが、固有データに実データを追加することで、識別情報の一意性を確保することができる。よって、該識別情報に基づいて作成する判別情報及び中断後判別情報の判別精度をより一層向上させることができる。
【0024】
次に、光ディスク再生システム1は、上述した光ディスク再生装置10と、前記光ディスク5から読み取った情報を前記光ディスク再生装置10に出力する前記光ディスク読取装置20と、を有している。
【0025】
このような光ディスク再生システム1によれば、光ディスク再生装置10の起動が完了する前に、光ディスク読取装置20の起動が完了して光ディスク5が交換されても、光ディスク再生装置10が単独でその交換を認識することができるため、光ディスク再生装置10の誤動作を防止することができる。また、光ディスク読取装置20は光ディスク5の交換を検出する必要がないので、光ディスク再生装置10のみに機能を追加するだけで容易に対応することができるため、既存の光ディスク読取装置20をそのまま用いることができる。よって、光ディスク再生装置10の起動中でも光ディスク5の交換ができるため、光ディスク再生装置10の高機能化を図ることができ且つ利用者の操作制限を緩和して利便性の向上に貢献することができる。さらに、光ディスク再生装置10と光ディスク読取装置20を組み合わせることができるため、システム構成に自由度を持たせることができる。
【0026】
また、上述した光ディスク再生システム1によれば、前記光ディスク読取装置20が、前記光ディスク5から読み取った固有情報を記憶する固有情報記憶手段D21と、前記固有情報に基づいて前記光ディスク5のセットアップを行うセットアップ手段P21と、を有し、前記判別情報作成手段P3及び前記中断後判別情報作成手段P5が、前記固有情報を有する前記識別情報を取得する手段となっている。
【0027】
このような光ディスク再生システム1によれば、光ディスク読取装置20の固有情報記憶手段D21には光ディスク5から読み取った固有情報が記憶され、該固有情報に基づいた光ディスク5のセットアップがセットアップ手段P5によって行われる。そして、光ディスク再生装置10の判別情報作成手段P3及び中断後判別情報作成手段P5は当該固有情報に新たな情報を加えた識別情報を取得する。よって、光ディスク読取装置20がセットアップに用いていた固有情報に新たな情報を加えた識別情報を取得するようにしたことから、固有情報だけでは偶然一致してしまう可能性を排除することができるため、識別情報の一意性を確保することができる。
【実施例】
【0028】
次に、上述した光ディスク再生装置、光ディスク再生システムをオーディオシステムに適用する場合の実施例を、図2乃至図6の図面を参照して以下に説明する。なお、上述した図1に示す基本構成のところで説明したものと同一あるいは相当する部分には同一符号を付して説明する。
【0029】
図2において、オーディオシステム1は、図1に示す請求項中の光ディスク再生システムに相当し、光ディスク再生機器、パーソナル・コンピュータ(パソコン)、映像/音楽再生機器等のデコーダ10と、該製品10と通信可能に接続される外付の周辺機器又は内蔵のドライブ20と、を有して構成している。そして、デコーダ10及びドライブ20は、オーディオシステム1の電源スイッチの電源ON操作に応じた電力供給、リセット信号の発生等に応じて同時に起動される。
【0030】
光ディスク5としては、例えば上述したCD−DA、CD−ROM、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、MD、BD、MO、などが例示できる。なお、以下の説明では、光ディスク5がBDである場合を前提に説明するが、光ディスク5は上述した複数種類の記録媒体の中から任意の記録媒体とすることができる。
【0031】
デコーダ10は、図1に示す請求項中の光ディスク再生装置に相当し、マイクロコンピュータ(マイコン)11と、メモリ12と、通信部13と、を有して構成している。そして、マイコン11は、図示しないが、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)、CPUのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM、各種のデータを格納するとともにCPUの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM等を有して構成している。
【0032】
マイコン11には、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置14が電気的に接続されている。そして、デコーダ10と表示装置14が一体となって光ディスク再生機器、パーソナル・コンピュータ(パソコン)、映像/音楽再生機器等の製品となっている。そして、マイコン11は、内蔵するROM、メモリ12、等に記憶されたアプリケーション・プログラムを実行することで、通信部13を介してドライブ20との間で各種情報の送受信を行い、ドライブ20から受信した情報を再生する。
【0033】
前記ROMは、上述した図1に示す請求項中の再生手段P1、識別情報取得手段P2、判別情報作成手段P3、中断後識別情報取得手段P4、中断後判別情報作成手段P5、判定手段P6、等の各種手段としてマイコン11のCPU(コンピュータ)を機能させるための光ディスク起動時再生プログラム等を記憶している。
【0034】
メモリ12は、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能な記録媒体であり、マイコン11の処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能なメモリ(EEPROM,フラッシュメモリ,FRAM等)が用いられる。メモリ12は、例えば、再生中断時のラストアドレス12a、後述する判別情報12b、識別情報、等の各種情報を記憶する。
【0035】
通信部13は、例えば、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)、USB(Universal Serial Bus)、等の規格によりドライブ20との間で相互通信を行う各種通信装置が用いられる。本実施例では、通信部13がATAPI規格で通信を行うことを前提に説明する。そして、通信部13は、マイコン11からの例えば取得要求等の各種情報をドライブ20に送信すると共に、ドライブ20からの各種情報を受信してシステムマイコン11に出力する。
【0036】
次に、ドライブ20は、CD、DVD、BD等の各種光ディスク5への記録及び読み取りが可能な構成となっている。ドライブ20は、図3に示すように、マイコン(マイクロコンピュータ)21と、ディスクモータ22と、光ピックアップ23と、RFアンプ24と、サーボ信号処理部25と、ドライバ26と、音声/映像信号処理部27と、メモリ28と、通信部29と、を有して構成している。
【0037】
マイコン21は、上述したデコーダ10のマイコン11と同様に、CPU、ROM、RAM等を有して構成している。マイコン21は、光ディスク5の挿入や排出、記録/再生や停止などの各動作におけるドライブ20全体の制御を行う。
【0038】
ディスクモータ22は、光学ドライブ20にセットされた光ディスク5を回転させるためのモータであり、例えばスピンドルモータなどで構成されている。
【0039】
光ピックアップ23は、光ディスク5に照射する光を発生させる図示しないレーザ発振器としてのCD用の波長のレーザダイオード、DVD用の波長のレーザダイオード、BD用の波長のレーザダイオードや光ディスク5上に光を照射するためのレンズ、フォーカスやトラッキングを合わせるためのアクチュエータおよび光ディスク5から反射された光を受ける受光器等を備え、前記受光器の出力からフォーカスエラー信号および戻り光総和信号を生成し出力する。
【0040】
RFアンプ24は、光ピックアップ23から出力される信号を所定の値に増幅し、サーボ信号処理部25へ出力する。
【0041】
サーボ信号処理部25は、公知であるマイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等が用いられる。サーボ信号処理部25は、RFアンプ24から入力される信号に基づいて光ディスク5の判別や光ピックアップ23のフォーカスおよびトラッキングの制御などを制御プログラムにより行い、光ディスク5に記録された情報を正確に読めるようにする。さらに、光ディスク5に記録された音楽や映像などの情報を含む信号をアナログ/デジタル変換して音声/映像信号処理部27へ出力する。
【0042】
ドライバ26は、サーボ信号処理部25から入力された信号を増幅し、ディスクモータ22および光ピックアップ23へ出力する。
【0043】
音声/映像信号処理部27は、サーボ信号処理部25から入力された信号を音声または映像信号に復調しエラー訂正などを行った後DAコンバータ(図示せず)へ出力する。また、ADコンバータ(図示せず)から入力された音声または映像信号を光ディスク5へ記録する形式に符号化しサーボ信号処理部25へ出力する。
【0044】
なお、前記DAコンバータは、音声/映像信号処理部27から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換し映像出力端子および音声出力端子から出力する。また、前記ADコンバータは、映像入力端子および音声入力端子から入力された映像および音声信号をデジタル信号に変換して音声/映像信号処理部27へ出力する。
【0045】
メモリ28は、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能であり、マイコン21の処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能なメモリ(EEPROM)等が用いられる。そして、メモリ28は、光ディスク5から読み取った固有情報51を記憶している。該固有情報51は、光ディスク5の物理情報、サーボ調整値等のコントロールデータを有している。該固有情報は、光ディスク5のセットアップ処理に用いられ、セットアップの高速化に貢献している。
【0046】
メモリ28は、図1に示す請求項中の固有情報記憶手段として機能しており、固有情報等の各種情報を記憶している。そして、固有情報51は、光ディスク5がBDの場合、PIC(Permanent Information & Control data)ということになる。また、光ディスク5がCDの場合はTOC(Table Of Contents),CDテキスト(CD−TEXT)の管理データ、また、DVDの場合は「Manufacturer’s information」、「Physical format information」、「Physical format information in the Lead-in」、「BCA(Burst Cutting Area)」等のデータというように、光ディスク5の種類に応じて異なるデータ構造となる。
【0047】
また、マイコン21は、セットアップ処理プログラムを実行することで、図1に示す請求項中のセットアップ手段として機能し、装着された光ディスク5に最適な再生条件とするためのゲイン調整以外の各種調整を行い、光ディスク5の最適な再生条件が設定されることになる。
【0048】
通信部29は、各種通信装置、インタフェース等が用いられる。本実施形態では、通信部29がATAPI(AT Attachment Packet Interface)のデータ転送方式の規格で製品10との間で相互通信を行う。通信部29は、マイコン21から入力された各種情報を製品10に送信すると共に、製品10から受信した取得要求等の各種情報をマイコン21に出力する。
【0049】
次に、上述した構成のデコーダ10及びドライブ20のソフトウェア構成の一例を、図4の図面を参照して以下に説明する。
【0050】
図4において、デコーダ10は、アプリケーション10a、光ディスク再生用ミドルウェア10b、ATAPI通信10c等の各種ソフトウェアから共通して利用される基本的な機能を提供し、複数のソフトウェアを連携させて、デコーダ10全体を管理するオペレーティング・システム(OS)10dを有している。該OS10dとしては、例えばLinuxなどを任意に用いたり、独自の管理ソフトウェアを用いることもできる。
【0051】
ドライブ20は、ATAPI通信20a、光ディスク制御20b等の各種ソフトウェアが処理をリアルタイムに実行するためのリアルタイムOS20cを有している。リアルタイムOS20cは、公知であるITRONなどを用いることができる。
【0052】
このようにデコーダ10とドライブ20の各々に、OS10dとリアルタイムOS20cを搭載することで、デコード処理の複雑化、機能の多様化、等に対応している。しかしながら、各OSを搭載することで、パソコンなどと同様に、電源を投入してから起動完了して動作が可能になるまでの時間が従来よりも遅くなっている。そして、本実施例では、デコーダ10が起動完了までに約20秒かかるのに対し、ドライブ20はそれよりも速い1秒未満で起動が完了する。また、デコーダ10の起動完了までの時間は、デコーダ10の機能が増加するほど遅くなるものである。よって、デコーダ10とドライブ20が同時に起動されると、ドライブ20が先に起動完了し、その後、デコーダ10の起動が完了する。
【0053】
次に、上述したデコーダ10が作成する判定情報の一例を、図5の図面を参照して以下に説明する。
【0054】
デコーダ10は、上述した固有情報51(固有データに相当)とユーザ情報52(実データに相当)を識別情報としてドライブ20から取得し、これらの情報とハッシュ関数を用いて例えば256ビット程度などのハッシュ値を算出し、該ハッシュ値を有する判定情報を作成する。なお、ユーザ情報52は、光ディスク5の先頭から所定セクタ分の全てのデータなど、任意のデータとして設定することができる。そして、ユーザ情報52の所定セクタ数を大きくすれば、一意性を向上させることができる。また、本実施例では、ハッシュ関数を用いて判定情報を作成する場合について説明するが、これに代えて、例えば、各種アルゴリズムによって圧縮して判定情報を作成する、ハッシュテーブルを用いてエントリして判定情報を作成する、など種々異なる実施例をすることができる。
【0055】
また、固有情報51はベンダー定義であり、光ディスク5の種類によって定義されている訳ではないので、偶然一致してしまう可能性があるが、前記識別情報のように、固有情報51とユーザ情報52とを有する構成とすることで、識別情報の一意性を向上させることができる。
【0056】
次に、上述したデコーダ10のマイコン11が前記起動時再生プログラムを実行して行う再生制御処理の一例を、図6に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0057】
マイコン11は、図6に示すステップS11において、メモリ12にラストアドレス12aが記憶されているか否かを判定する。この判定は、ラストアドレス12aが設定されているか設定されていないか(NULLか)に基づいて判定する。そして、マイコン11は、ラストアドレス12aが記憶されていないと判定した場合(S11でN)、ステップS12において、ディスク再生処理を実行することで、光ディスク再生用ミドルウェア10bを用いてドライブ20に光ディスク5の先頭からの再生を要求し、光ディスク再生用ミドルウェア10bがドライブ20からの音楽や映像など入力信号をある一定の規則に基づいて変換し、出力信号を生成して表示装置14に出力し、その後ステップS13の処理に進む。
【0058】
マイコン11は、ステップS13において、ドライブ20から通信部13を介して受信した情報から、図5に示す固有情報51とユーザ情報52を有する識別情報を取得してメモリ12等に記憶し、その後ステップS14に進む。マイコン11は、ステップS14において、該識別情報とハッシュ関数からハッシュ値を算出し、該ハッシュ値を有する判別情報を作成してメモリ12に記憶し、その後ステップS20の処理に進む。
【0059】
また、マイコン11は、前記ステップS11でラストアドレス12aが設定されていると判定した場合(S11でY)、ステップS15において、ラストアドレス再生処理を実行することで、光ディスク再生用ミドルウェア10bを用いてドライブ20に光ディスク5のラストアドレスからの再生を要求し、光ディスク再生用ミドルウェア10bがドライブ20からの音楽や映像など入力信号をある一定の規則に基づいて変換し、出力信号を生成して表示装置14に出力し、その後ステップS16の処理に進む。
【0060】
マイコン11は、ステップS16において、ドライブ20から通信部13を介して受信した情報から、固有情報51とユーザ情報52を有する識別情報を取得してメモリ12等に記憶し、その後ステップS17に進む。なお、前回の識別情報を用いる場合は、このステップS16の処理は削除される。そして、マイコン11は、ステップS17において、ステップS14と同様に、該識別情報とハッシュ関数からハッシュ値を算出し、該ハッシュ値を有する起動後判別情報を作成してメモリ12に記憶し、その後ステップS18の処理に進む。
【0061】
マイコン11は、ステップS18において、メモリ12等の判別情報と起動後判別情報とが一致するか否かを比較する。マイコン11は、一致すると判定した場合(S18でY)、装着されている光ディスク5がラストアドレス再生を中断した光ディスク5であると判断し、その後ステップS20の処理に進む。一方、マイコン11は、一致しないと判定した場合(S18でN)、デコーダ10の起動中に光ディスク5が交換されたと判断し、ステップS19において、ドライブ20に対してラストアドレス再生の停止を要求し、光ディスク5の先頭からの再生を要求し、その後ステップS20の処理に進む。
【0062】
マイコン11は、ステップS20の処理において、利用者による終了操作による電源断、等の発生に応じた、再生停止要求を受けたか否かを判定する。マイコン11は、再生停止要求を受けていないと判定した場合(S20でN)、この判定処理を繰り返すことで、再生停止要求の発生を待つ。一方、マイコン11は、再生停止要求を受けたと判定した場合(S20でY)、ステップS21の処理に進む。
【0063】
マイコン11は、光ディスク5が装着された状態での電源断であるか否かを判定する。マイコン11は、光ディスク5が装着された状態での電源断ではないと判定した場合(S21でN)、その後処理を終了する。一方、マイコン11は、光ディスク5が装着された状態での電源断であると判定した場合(S21でY)、ステップS22の処理に進む。
【0064】
マイコン11は、ステップS22において、電源断発生時の光ディスク5のラストアドレス12aを取得してメモリ12に記憶し、該ラストアドレス12aに上述した判別情報12bを関連付けてメモリ12に記憶し、その後処理を終了する。
【0065】
以上説明した図5に示す再生制御処理をマイコン11が実行することで、上述した図1に示す請求項中の請求項中の再生手段P1、識別情報取得手段P2、判別情報作成手段P3、中断後識別情報取得手段P4、中断後判別情報作成手段P5、判定手段P6としてマイコン11が機能することになる。そして、図6に示すフローチャート中のステップS12,S15が再生手段P1、ステップS13が識別情報取得手段P2、ステップS14,S23が判別情報作成手段P3、ステップS16が中断後識別情報取得手段P4、ステップS17が中断後判別情報作成手段P5、ステップS18が判定手段P6にそれぞれ相当している。
【0066】
次に、上述したオーディオシステム1におけるデコーダ10とドライブ20の動作(作用)の一例を、以下に説明する。
【0067】
オーディオシステム1において、デコーダ10とドライブ20によって光ディスク5の再生を開始すると、ドライブ20が読み取った光ディスク5の固有情報51とユーザ情報52をデコーダ10が識別情報として取得する。そして、デコーダ10は該識別情報とハッシュ関数からハッシュ値を算出し、該ハッシュ値を有する判別情報12bを作成してメモリ12に記憶する。
【0068】
光ディスク5を装着した状態でオーディオシステム1の電源が落とされると、デコーダ10とドライブ20は終了要求を受けて終結処理等を行った後に終了する。このとき、デコーダ10は、ラストアドレス12aをメモリ12に記憶すると共に、該ラストアドレス12aに判別情報12bを関連付けてメモリ12に記憶した後に処理を終了する。
【0069】
その後、光ディスク5を装着した状態でオーディオシステム1の電源が投入されると、デコーダ10とドライブ20の各々は起動する。ドライブ20は、装着されている光ディスク5から読み取った固有情報51をメモリ28に記憶すると共に、光ディスク5のセットアップを行った後に起動を完了して待機状態となる。これに対し、デコーダ10は、アプリケーション10aのロード及び初期処理、光ディスク再生用ミドルウェア10bの初期処理などを行う。
【0070】
このデコーダ10の起動中に、オーディオシステム1はイジェクトキーが操作されると、ドライブ20は光ディスク5をイジェクトし、その後、異なる光ディスク5が装着されると、該光ディスク5に対するセットアップを行う。その後、起動中であったデコーダ10の起動が完了すると、デコーダ10は、メモリ12にラストアドレス12aが記憶されているか否かを判定する。そして、デコーダ10は当該ラストアドレス12aからの再生開始をドライブ20に要求する。
【0071】
デコーダ10は、ドライブ20から光ディスク5の固有情報51とユーザ情報52を識別情報として取得し、該識別情報とハッシュ関数からハッシュ値を算出して起動後判別情報を作成してメモリ12に記憶する。デコーダ10は、該起動後判別情報と起動前、即ち電源断時の判別情報とを比較し、一致していない場合、デコーダ10はドライブ20に対してラストアドレス再生を中止させ、光ディスク5を最初から再生させる。これに対し、デコーダ10は、一致している場合は、ラストアドレス再生を継続させる。
【0072】
以上説明したデコーダ10によれば、再生中断時にラストアドレス12aと共に光ディスク5の判別情報12bを記憶しておき、再生中断後の起動完了時に、光ディスク5から新たな識別情報を取得して中断後判別情報を作成し、該中断後判別情報と前記判別情報12bとを比較して起動前後の光ディスク5が同一であるか否かを判定し、同一と判定したときのみラストアドレス12aから再生するようにしたことから、光ディスク再生装置10の起動が完了する前に、ドライブ20の起動が完了して光ディスク5が交換されても、デコーダ10が単独でその交換を認識することができるため、デコーダ10の誤動作を防止することができる。また、ドライブ20は光ディスク5の交換を検出する必要がないので、デコーダ10のみに機能を追加するだけで容易に対応することができるため、既存のドライブ20をそのまま用いることができる。よって、デコーダ10の起動中でも光ディスク5の交換ができるため、デコーダ10の高機能化を図ることができ且つ利用者の操作制限を緩和して利便性の向上に貢献することができる。特に、システム構成が大規模な例えばブルーレイディスク等の光ディスクのデコーダ10として好適である。
【0073】
また、ハッシュ関数を用いて識別情報を固定長の文字列又は疑似乱数に変換して判別情報12b及び中断後判別情報を作成するようにしたことから、識別情報のデータサイズを大きくしても、該識別情報に基づいて作成する判別情報12b及び中断後判別情報のデータサイズを小さくすることができるため、識別情報の一意性を向上させることができる。また、相異なる判別情報12bと中断後判別情報が偶然に一致する可能性を低減させることができるため、起動前後の光ディスク5の判別精度を向上することができる。さらに、判別情報12b及び中断後判別情報のデータ量を小さくすることができるため、判別情報記憶手段D2であるメモリ12の容量の大容量化を防止することができる。
【0074】
さらに、識別情報が光ディスク5の固有情報51とユーザ情報52を有するように構成したことから、光ディスク5の固有情報51は規格で定義されていないため、固有情報51だけでは偶然一致してしまう可能性があるが、固有情報51にユーザ情報52を追加することで、識別情報の一意性を確保することができる。よって、該識別情報に基づいて作成する判別情報12b及び中断後判別情報の判別精度をより一層向上させることができる。
【0075】
なお、上述した実施例では請求項中の光ディスク再生装置がデコーダ10である場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、上述した表示装置14や光ディスク再生機、録画・再生機等に組み込むなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0076】
また、上述した実施例では、デコーダ10が起動時に、ラストアドレス12aがメモリ12に記憶されていると、ラストアドレス再生を開始し、その後、起動中の光ディスク5の交換を検出したときにラストアドレス再生を停止する場合について説明した。これに代えて、デコーダ10が起動中に光ディスク5が交換されていないと判定した後に、ラストアドレス再生を開始する実施形態とすることもできる。
【0077】
さらに、上述した実施例では、本発明の光ディスク再生システムがオーディオシステム1である場合について説明した。これに代えて、ホーム/カーオーディオ装置、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等の各種光ディスク再生装置によって実現することもできる。
【0078】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 光ディスク再生システム(オーディオシステム)
5 光ディスク
10 光ディスク再生装置(デコーダ)
20 光ディスク読取装置(ドライブ)
D1 再生中断位置記憶手段
D2 判別情報記憶手段
D21 固有情報記憶手段
P1 再生手段
P2 識別情報取得手段
P3 判別情報作成手段
P4 中断後識別情報取得手段
P5 中断後判別情報作成手段
P6 判定手段
P21 セットアップ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク読取装置が光ディスクから読み取った情報を再生する再生手段と、再生中断時の前記再生手段の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段と、を有し、前記光ディスク読取装置の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置において、
前記再生手段が再生した前記光ディスクを識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から取得する識別情報取得手段と、
前記再生中断時の前記光ディスクを示す判別情報を、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づいて作成する判別情報作成手段と、
前記判別情報作成手段が作成した判別情報を記憶する判別情報記憶手段と、
前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する中断後識別情報取得手段と、
前記中断後識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する中断後判別情報作成手段と、
前記判別情報記憶手段が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスクが同一であるか否かを判定する判定手段と、
を有し、
前記再生手段が、前記判定手段によって同一であると判定されたときは、前記再生中断位置記憶手段が記憶している再生中断位置から前記情報を再生し、また、前記判定手段によって同一ではないと判定されたときは、前記光ディスクの最初から再生する手段であることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
前記判別情報作成手段及び前記中断後判別情報作成手段が、前記識別情報を固定長の文字列又は疑似乱数に変換して前記判別情報及び前記中断後判別情報を生成する手段であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項3】
前記識別情報が、前記光ディスクの固有データと実データを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の光ディスク再生装置と、前記光ディスクから読み取った情報を前記光ディスク再生装置に出力する前記光ディスク読取装置と、を有することを特徴とする光ディスク再生システム。
【請求項5】
前記光ディスク読取装置が、前記光ディスクから読み取った固有情報を記憶する固有情報記憶手段と、前記固有情報に基づいて前記光ディスクのセットアップを行うセットアップ手段と、を有し、
前記判別情報作成手段及び前記中断後判別情報作成手段が、前記固有情報に新たな情報を追加した前記識別情報を取得する手段であることを特徴とする請求項4に記載の光ディスク再生システム。
【請求項6】
光ディスク読取装置が光ディスクから読み取った情報を再生する再生手段と、再生中断時の前記再生手段の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段と、を有し、前記光ディスク読取装置の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置の起動時再生方法において、
前記再生手段が再生した前記光ディスクを識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から取得する過程と、
前記再生中断時の前記光ディスクを示す判別情報を、前記取得した前記識別情報に基づいて作成する過程と、
前記作成した判別情報を判別情報記憶手段に記憶する過程と、
前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する過程と、
前記取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する過程と、
前記判別情報記憶手段が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスクが同一であるか否かを判定する過程と、
前記光ディスクが同一であると判定されたときに、前記再生中断位置記憶手段が記憶している再生中断位置から前記再生手段が情報を再生する過程と、
前記光ディスクが同一ではないと判定されたときに、前記光ディスクの最初から前記再生手段が情報を再生する過程と、
を有することを特徴とする光ディスク再生装置の起動時再生方法。
【請求項7】
光ディスク読取装置が光ディスクから読み取った情報を再生する再生手段と、再生中断時の前記再生手段の再生中断位置を記憶する再生中断位置記憶手段と、を有し、前記光ディスク読取装置の起動が完了するよりも遅く起動が完了する光ディスク再生装置のコンピュータを、
前記再生手段が再生した前記光ディスクを識別するための識別情報を、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から取得する識別情報取得手段と、
前記再生中断時の前記光ディスクを示す判別情報を、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づいて作成する判別情報作成手段と、
前記判別情報作成手段が作成した判別情報を判別情報記憶手段に記憶する手段と、
前記再生中断後の再度の前記起動が完了したときに、前記光ディスク読取装置が読み取った情報の中から前記識別情報を取得する中断後識別情報取得手段と、
前記中断後識別情報取得手段が取得した前記識別情報に基づいて中断後判別情報を作成する中断後判別情報作成手段と、
前記判別情報記憶手段が記憶している前記判別情報と前記中断後判別情報とを比較して、起動前後の前記光ディスクが同一であるか否かを判定する判定手段と、
前記再生手段が、前記判定手段によって同一であると判定されたときは、前記再生中断位置記憶手段が記憶している再生中断位置から前記情報を再生し、また、前記判定手段によって同一ではないと判定されたときは、前記光ディスクの最初から再生する手段として機能させるための光ディスク起動時再生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−231871(P2010−231871A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81479(P2009−81479)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
2.Linux
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】