説明

光ディスク書き込み判断システムおよび判断方法

【課題】規格内の正常なデータ記録を実現するための光ディスク書き込み判断システムおよび判断方法を提供する
【解決手段】光ディスク上に瑕疵を有する異常を検出する手段104、物理アドレスのアドレス番号が連続的に読めない異常を検出する手段107、物理アドレスと論理アドレスの位相差が閾値範囲を超えている異常を検出する手段107、ウォブルによる物理アドレスと光ディスクに書き込んだ物理アドレスとの位相差が閾値範囲を超えている異常を検出する手段107、フォーカシング誤差が閾値範囲を超えている異常を検出する手段104、トラッキング誤差が閾値範囲を超えている異常を検出する手段104、光ディスクの回転の異常を検出する手段104、のいずれかの手段を有し、いずれかの手段が異常を検出したときは光ディスクへの書き込みをしない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク書き込み判断システムおよび判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置は、CDからDVD、そしてブルーレイディスク(Blu−ray Disc)へと技術的進歩を遂げ、高記録密度化、高転送速度化が進められており、これに伴い光ディスクへのデータ書き込みの高精度化が要求されている。
【0003】
光ディスクへのデータ書込みは、データ読み出し時に支障がないように規格内におけるデータ記録を行う必要がある。
【0004】
規格内でデータ記録をするための技術としては、ウォブル信号に基づく物理アドレスと論理アドレスの位相差を記録開始位置のシフト量を考慮して補正し、該位相差が大きい状態での書き込みを阻止するというものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−80420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、物理アドレスと論理アドレスの位相差のみを監視しても規格内のデータ記録を実現することができるとは限らない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、規格内の正常なデータ記録を実現するための光ディスク書き込み判断システムおよび判断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、以下の手段を提案する。
【0008】
請求項1に係る発明は、光ディスク書き込み判断システムであって、光ディスクへの書き込み可否を判断するシステムであって、光ディスク上に瑕疵を有する異常を検出する第1異常検出手段と、ウォブルによる物理アドレスのアドレス番号が連続的に読めない異常を検出する第2異常検出手段と、ウォブルによる物理アドレスと論理アドレスの位相差があらかじめ定めた第一閾値範囲を超えている異常を検出する第3異常検出手段と、ウォブルによる物理アドレスと前記光ディスクに書き込んだ物理アドレスとの位相差があらかじめ定めた第二閾値範囲を超えている異常を検出する第4異常検出手段と、フォーカシング誤差があらかじめ定めた第三閾値範囲を超えている異常を検出する第5異常検出手段と、トラッキング誤差があらかじめ定めた第四閾値範囲を超えている異常を検出する第6異常検出手段と、光ディスクの回転の異常を検出する第7異常検出手段と、からなる群から選択した少なくともいずれか一つの異常検出手段を有し、選択した異常検出手段のいずれかが異常を検出したときは光ディスクへの書き込みをしないことを特徴とする。
【0009】
請求項6に係る発明は、光ディスク書き込み判断方法であって、光ディスクへの書き込み可否を判断する方法であって、光ディスク上に瑕疵を有する異常を検出する第1異常検出段階と、ウォブルによる物理アドレスのアドレス番号が連続的に読めない異常を検出する第2異常検出段階と、ウォブルによる物理アドレスと論理アドレスの位相差があらかじめ定めた第一閾値範囲を超えている異常を検出する第3異常検出段階と、ウォブルによる物理アドレスと前記光ディスクに書き込んだ物理アドレスとの位相差があらかじめ定めた第二閾値範囲を超えている異常を検出する第4異常検出段階と、フォーカシング誤差があらかじめ定めた第三閾値範囲を超えている異常を検出する第5異常検出段階と、トラッキング誤差があらかじめ定めた第四閾値範囲を超えている異常を検出する第6異常検出段階と、光ディスクの回転の異常を検出する第7異常検出段階と、からなる群から選択した少なくともいずれか一つの異常検出手段を有し、選択した異常検出段階のいずれかにおいて異常を検出したときは光ディスクへの書き込みをしないことを特徴とする。
【0010】
これらの発明によれば、光ディスク装置の異常を多方面から監視し、該異常があるときは、光ディスクへの記録を開始しないことで、規格内の正常なデータ記録を実現することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された光ディスク書き込み判断システムであって、トラッキング誤差が光ピックアップの位置ズレによる誤差と光ピックアップのチルトによる誤差とを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載された光ディスク書き込み判断方法であって、トラッキング誤差が光ピックアップの位置ズレによる誤差と光ピックアップのチルトによる誤差とを含むことを特徴とする。
【0013】
これらの発明によれば、一般的なサーボ系の制御信号をモニタするため、サーボ系の異常を簡易に監視することができ、規格内の正常なデータ記録を簡易に実現することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載された光ディスク書き込み判断システムであって、光ディスクの回転の異常には、回転の速度があらかじめ定めた閾値範囲を超えている異常と回転の速度が制御不能となった異常とを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項6または7に記載された光ディスク書き込み判断システムであって、光ディスクの回転の異常には、回転の速度があらかじめ定めた閾値範囲を超えている異常と回転の速度が制御不能となった異常とを含むことを特徴とする。
【0016】
これらの発明によれば、一般的な回転系の異常をモニタするため、回転系の異常を簡易に監視することができ、規格内の正常なデータ記録を簡易に実現することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載された光ディスク書き込み判断システムであって、あらかじめ定めた隣接トラックの範囲内で書き込みをする場合は、第7異常検出手段は前記選択しないことを特徴とする。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項6または7に記載された光ディスク書き込み判断方法であって、あらかじめ定めた隣接トラックの範囲内で書き込みをする場合は、第7異常検出段階は前記選択しないことを特徴とする。
【0019】
これらの発明によれば、光ディスクへの書き込み範囲に応じて異常監視範囲を最低限とするため、異常を簡易に監視することができ、規格内の正常なデータ記録を簡易に実現することができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載された光ディスク書き込み判断システムであって、前記選択した異常検出手段のいずれかが異常を検出したことをハードウェアで判断することを特徴とする。
【0021】
請求項10に係る発明は、請求項6〜9のいずれかに記載された光ディスク書き込み判断方法であって、前記選択した異常検出手段のいずれかが異常を検出したことをハードウェアで判断することを特徴とする。
【0022】
これらの発明によれば、異常監視信号による異常監視をハードウェアで行うことで、タイミングフリーで、高速かつ安全に記録開始条件を判断できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る光ディスク書き込み判断システムおよび判断方法によれば、光ディスクへの記録開始の条件を多方面から定めることで、規格内の正常なデータ記録を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る光ディスク書き込み判断システムおよび判断方法について、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
本実施形態が適用される光ディスク装置は、主に、記録可能なブルーレイディスク(BD−RE、BD−Rなど)に対する再生、記録、または消去を行う装置である。しかし、たとえば、コンパクトディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RWなど)、デジタル多目的ディスク(DVD−ROM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD−RAMなど)にも適用可能である。以下、記録可能なブルーレイディスク(以下、「BD」と称する)を例に挙げて説明するが、上述したように、本実施形態が適用される対象はBDに限定されない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク書き込み判断システムを示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る光ディスク記録速度選択システム10は、光ピックアップ102、フィードモータ106、アナログフロントエンド103、DSP(Digital Signal Processor)104、エンコーダ/デコーダ107、ドライバIC105、スピンドルモータ111、MPU(Micro Processor Unit)109、および、メモリ110を有してなる。
【0028】
まず、本実施形態に係る光ディスク記録速度選択システム10の再生動作について説明する。なお、一般的な光ディスク装置の再生動作と共通する部分については説明を省略する。
【0029】
光ピックアップ102は、回転しているBD101の記録面にレーザ光を照射し、その反射光を検出することでウォブル信号およびRF信号を読み出す。すなわち、光ピックアップ102は、レーザダイオードから射出させたレーザ光を、光ピックアップ102の構成要素であるコリメータレンズ、ビームスプリッタ、収差補正レンズ群を介し対物レンズからBD101のデータ記録面に照射する。そして、照射したレーザ光の反射光を、再び、光ピックアップ102の構成要素である対物レンズ、収差補正レンズ群、ビームスプリッタ、集光レンズを介し、受光素子で検知する。反射光にはウォブル信号とRF信号が含まれる。ここで、ウォブル信号とはBD101製造時にトラックをウォブリングさせることにより記録された物理アドレス情報を有する信号をいい、RF信号とは、たとえば相変化によりBDに記録されたデータ信号をいう。
【0030】
反射光が照射された光ピックアップ102内の受光素子は4分割受光面を有し、領域ごとにその受光量を電気信号に変換しアナログフロントエンド103に送信する。
【0031】
アナログフロントエンド103は、光ピックアップ102から受信した4つの電気信号を増幅した後、RF信号、フォーカスエラー信号、および、トラッキングエラー信号を抽出し、DSP104に送信する。
【0032】
DSP104は、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号をそれぞれA/D変換する。また、DSP104は、ディジタル化したRF信号をデコーダ107(図1では、図の単純化のためデコーダとエンコーダを同一ブロックとして記載している)へ送信し、ディジタル化したフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号はドライバIC105へ送信する。
【0033】
さらに、DSP104は、後述するように、サーボ系、ディフェクト、回転系に関する異常検出を行い、異常検出信号をMPU109に送信する。MPU109はMPU109内のレジスタに異常検出信号を記憶する。
【0034】
デコーダ107は、ディジタル化されたRF信号を複合化し、ホストコンピュータ120に送信する。
【0035】
次に、本実施形態に係る光ディスク記録速度選択システム10の記録動作について説明する。なお、一般的な光ディスク装置の記録動作と共通する部分については説明を省略する。
【0036】
エンコーダ107は、ホストコンピュータ120からのユーザデータを符号化し、DSP104を介してアナログフロントエンド103に送信する。
【0037】
また、エンコーダ107は、後述するように、アドレスに関する異常検出を行い、異常検出信号をMPU109に送信する。MPU109はMPU109内のレジスタに異常検出信号を記憶する。
【0038】
アナログフロントエンド103は、光ピックアップ102内のレーザダイオードを駆動し、ホストコンピュータ120からのユーザデータに対応したレーザ光を射出させる。レーザダイオードから射出させたレーザ光は、光ピックアップ102内のコリメータレンズ、ビームスプリッタ、収差補正レンズ群を介し対物レンズからBD101の記録面に照射される。これにより、BD101は、たとえば、レーザ光による相変化によりユーザデータを記録する。
【0039】
MPU109は、基本的な演算処理を行うとともに、メモリ110、DSP104、エンコーダ/デコーダ107、ドライバIC105を制御する。また、メモリ110、DSP104、エンコーダ/デコーダ107からデータを受信する。
【0040】
MPU109がDSP104、エンコーダ/デコーダ107から受信するデータには後述する異常監視信号が含まれる。MPU109は、ファームウェアにしたがってレジスタに記録した異常監視信号を確認し、異常と判断したときは光ディスクへの書き込みをしないという判断をする。すなわち、DSP104、エンコーダ/デコーダ107、ドライバIC105、を制御することで光ディスクへのデータの書き込みを行わない。
【0041】
メモリ110はMPU109の外部記憶装置であり、不揮発性であることが望ましく、たとえばフラッシュメモリであってもよい。メモリ110には、ファームウェアを記憶させる。また、たとえば、後述する異常検出のための閾値範囲および異常監視信号の選択信号を記憶させてもよい。
【0042】
ドライバIC105は、フィードモータ106、スピンドルモータ111、および、光ピックアップ内のアクチュエータ(図示せず)を駆動する。すなわち、ドライバIC105は、DSP104から受信したフォーカスエラー信号をもとに光ピックアップ102内のアクチュエータを駆動して対物レンズを変位させ、フォーカスのずれ量を修正するための焦点合わせ(フォーカシング)を行う。また、ドライバIC105は、DSP104から受信したトラッキングエラー信号をもとにフィードモータ106を駆動し、レーザ光がトラックを追従するように対物レンズのトラックに対する垂直方向の位置を修正する。
【0043】
図2は、本実施形態の一の例に係る光ディスク書き込み判断システムの一部であって書き込み可否を判断するための構成要素を示す説明図である。異常監視信号について、図2を参照して説明する。
【0044】
図2に示すように、本実施形態は、DSP104からサーボ系、ディフェクト、回転系に関する異常監視結果を示す信号であるフォーカスオン監視信号、トラックオン監視信号、トラックシフト監視信号、ディフェクト監視信号、回転系ロック監視信号を出力させる。また、エンコーダ107からアドレスに関する異常検出結果を示す信号であるアドレスビット同期監視信号、アドレスワード同期監視信号、アドレスロック監視信号、アドレスエラー監視信号、アドレス位相差監視信号を出力させる。ここで、図2において、位相比較器202はエンコーダ107外の要素として示しているが、エンコーダ107内の要素であってもよい。
【0045】
異常監視信号は、MPU120に送信され、MPUは、図3に示すフローチャートに従って光ディスクへのデータの書き込みの可否を判断する。
【0046】
図3は、図2のシステムを使用した場合の、本実施形態に係る光ディスク書き込み判断方法のフローチャートを示す図である。以下、図3を参照して、ステップ番号を明示しステップ番号ごとに本実施形態を説明する。
【0047】
[S300]
読み出したウォブルによる物理アドレスが正常かどうか判断する。
【0048】
ウォブルによる物理アドレスが正常に読めるかどうかは、ディフェクト監視信号とアドレスエラー監視信号とにより判断する。
【0049】
ディフェクト監視信号とは、光ディスクの瑕疵すなわち記録面上のキズや異物(たとえば、指紋)に起因して光ディスクに対する情報の読み出しまたは書き込みができないといったディフェクトに起因する異常を監視し、異常がない場合に出力される信号をいう。ディフェクトの検出はさまざまな方法で行われており、いずれの検出方法でディフェクトを検出してもよい。たとえば、指定したトラックに対してレーザ反射光量のエンベロープの変化を分析し、該エンベロープに落ち込みを検出することでディフェクトを検出してもよい。
【0050】
アドレスエラー監視信号とは、ウォブルによる物理アドレスのアドレス番号が正常かつ連続的に読めない異常を監視し、異常がない場合に出力される信号をいう。
【0051】
たとえば、ディフェクト監視信号がHiであるときはディフェクトが無いと判断し、Loであるときはディフェクトが有ると判断する。また、たとえば、アドレスエラー監視信号がHiであるときはアドレスエラーが無いと判断し、Loであるときはアドレスエラーが有ると判断する。
【0052】
異常監視信号はMPU109のレジスタに記憶させておき、MPU109で動作しているファームウェアは、図3のフローチャートの順に監視信号を参照していくことができる。なお、監視信号は時間の経過に伴う異常検出により変わりうるが、DSP104およびエンコーダ107からは常に最新の監視信号がMPU109に送信され、MPU109はレジスタに最新の監視信号の情報を記憶させる。
【0053】
読み出したウォブルによる物理アドレスが正常であると判断したときは、ステップS302に移行し、光ピックアップが目標位置をオーバーしているかどうか判断する。読み出したウォブルによる物理アドレスが異常であると判断したときは、ステップS301に移行し、再度本ステップにより異常検出の判断をする。
【0054】
[S301]
リトライオーバになったかどうか判断する。
【0055】
読み出したウォブルによる物理アドレスが異常であると判断したときは、MPU109は、あらかじめ設定した時間内でレジスタ内の監視信号を繰り返し参照する。リトライオーバになったときは、読み出したウォブルによる物理アドレスが異常であるとの最終的な判断をし、ステップS309に移行して、記録開始イベントをマスクし光ディスクへのデータの書き込みを行わない。
【0056】
[S302]
光ピックアップの位置がデータを書き込む目標位置をオーバーしているかどうか判断する。
【0057】
光ピックアップの位置は、ウォブルによる物理アドレス信号により検出可能であり、本ステップは該検出した物理アドレスのアドレス番号の方がファームウェア上の目標位置のアドレス番号より大きいかどうかを判断する。
【0058】
光ピックアップの位置がデータを書き込む目標位置をオーバーしていないと判断したときは、ステップS303に移行し、さらに、光ピックアップの位置が目標位置より数ブロック手前かどうかを判断する。光ピックアップの位置がデータを書き込む目標位置をオーバーしていると判断したときは、ステップS309に移行し、記録開始イベントをマスクし光ディスクへのデータの書き込みを行わない。
【0059】
[S303]
光ピックアップの位置がデータを書き込む目標位置の数ブロック手前かどうか判断する。
【0060】
すなわち、ウォブルによる物理アドレス信号で検出した光ピックアップ位置が、ファームウェア上の目標位置より数ブロック手前かどうかを判断する。
【0061】
光ピックアップの位置がデータを書き込む目標位置の数ブロック手前ではないと判断したときは、ステップS300に戻り、再度、読み出したウォブルによる物理アドレスが正常かどうか判断する。光ピックアップの位置がデータを書き込む目標位置の数ブロック手前であると判断したときは、ステップS304に移行し、ウォブルによる物理アドレスとファームウェア上の論理アドレスが位相ロックしているかどうか確認する。
【0062】
[S304]
ウォブルによる物理アドレスとファームウェア上の論理アドレスが位相ロックしているかどうか判断する。
【0063】
ウォブルによる物理アドレスとファームウェア上の論理アドレスが位相ロックしているかどうかは、アドレスビット同期監視信号と、アドレスワード同期監視信号と、アドレスロック監視信号とにより判断する。
【0064】
アドレスビット同期監視信号出力とは、ウォブルによる物理アドレスビットと論理アドレスビットの位相差が閾値範囲内となっているときに出力される信号をいう。すなわち、ウォブルによる物理アドレスビットと論理アドレスビットが位相ロックしているときに出力される信号をいう。
【0065】
アドレスワード同期信号出力とは、ウォブルによる物理アドレスワードと論理アドレスワードの位相差が閾値範囲内となっているときに出力される信号をいう。すなわち、ウォブルによる物理アドレスワードと論理アドレスワードが位相ロックしているときに出力される信号をいう。
【0066】
アドレスロック信号出力とは、ウォブルによる物理アドレスビットと論理アドレスビットの位相差が閾値範囲内となっており、かつ、物理アドレスワードと論理アドレスワードの位相差が閾値範囲内となっているときに出力される信号をいう。
【0067】
上記3つの監視信号がすべて正常である場合は、ウォブルによる物理アドレスとファームウェア上の論理アドレスが位相ロックしていると判断する。
【0068】
ウォブルによる物理アドレスとファームウェア上の論理アドレスが位相ロックしていると判断したときは、ステップS305に移行し、ウォブルによる物理アドレスと光ディスクに書き込んだ物理アドレスの位相差が閾値範囲内かどうか判断する。ウォブルによる物理アドレスとファームウェア上の論理アドレスが位相ロックしていないと判断したときは、ステップS309に移行し、記録開始イベントをマスクし光ディスクへのデータの書き込みを行わない。
【0069】
[S305]
ウォブルによる物理アドレスと光ディスクに書き込んだ物理アドレスの位相差が閾値範囲内かどうか判断する。
【0070】
ウォブルによる物理アドレスと光ディスクに書き込んだ物理アドレスの位相差が閾値範囲内かどうかは、アドレス位相差監視信号により判断する。
【0071】
アドレス位相差監視信号とは、ウォブルによる物理アドレスと光ディスクに書き込んだ物理アドレスとの位相差が閾値範囲内となっているときに出力される信号をいう。ここで、閾値範囲は数ブロック程度であることが望ましい。
【0072】
ウォブルによる物理アドレスと光ディスクに書き込んだ物理アドレスの位相差が閾値範囲内であると判断したときは、ステップS306に移行し、サーボ系が正常かどうか判断する。ウォブルによる物理アドレスと光ディスクに書き込んだ物理アドレスの位相差が閾値範囲内でないと判断したときは、ステップS309に移行し、記録開始イベントをマスクし光ディスクへのデータの書き込みを行わない。
【0073】
[S306]
サーボ系が正常かどうか判断する。
【0074】
サーボ系が正常かどうかは、フォーカスオン監視信号と、トラックオン監視信号と、トラックシフト監視信号と、により判断する。
【0075】
フォーカスオン監視信号とは、ウォブル信号から抽出したフォーカスエラー信号が閾値範囲内となっているときに出力される信号をいう。該閾値範囲は、光ピックアップ102内の光検出器が検出しうる最大値(peak to peak)の1/3であってもよいがこれに限定されない。すなわち、該閾値範囲と書き込みエラーの関係の統計結果から該閾値範囲を決めてもよい。
【0076】
トラックオン監視信号とは、ウォブル信号からトラックエラー信号を抽出し、トラックエラー信号が閾値範囲内となっているときに出力される信号をいう。該閾値範囲は、光ピックアップ102内の光検出器が検出しうる最大値(peak to peak)の1/3であってもよいがこれに限定されない。すなわち、該閾値範囲と書き込みエラーの関係の統計結果から該閾値範囲を決めてもよい。
【0077】
トラックシフト監視信号とは、記録・再生時のディスク内周から外周方向への光ピックアップの移動といった長距離の移動に起因するトラッキングずれを監視し、トラッキングずれがない場合に出力される信号をいう。たとえば、光ピックアップのチルトに起因するトラッキングずれが考えられる。ウォブル信号からトラックエラー信号の低周波成分を抽出して検出する。
【0078】
上記3つの監視信号がすべて正常である場合は、サーボ系が正常であると判断する。
【0079】
サーボ系が正常であると判断したときは、ステップS307に移行し、回転系が正常かどうか判断する。サーボ系が正常でないと判断したときは、ステップS309に移行し、記録開始イベントをマスクし光ディスクへのデータの書き込みを行わない。
【0080】
[S307]
回転系が正常かどうか判断する。
【0081】
回転系が正常かどうかは、回転系ロック監視信号により判断する。
【0082】
回転系ロック監視信号とは、光ディスクを回転させるための回転系の異常を検出し、異常がない場合に出力される信号をいう。回転系の異常としては、たとえば、スピンドルモータの回転がロックされていること、スピンドルモータが制御不能となっていることが考えられる。
【0083】
回転系が正常であると判断したときは、ステップS308に移行し、記録開始イベントがあるまで待機する。回転系が正常でないと判断したときは、ステップS309に移行し、記録開始イベントをマスクし光ディスクへのデータの書き込みを行わない。
【0084】
[S308]
記録開始イベントがあったかどうか判断する。
【0085】
本ステップは、記録開始イベントが無いと判断しても再度同じ判断を継続するため、結局記録開始イベントがあるまで該判断を継続し、フローチャートは終了しない。ただし、図3には示していないが、一定時間待機しても記録開始イベントが発信されない場合は、ステップS300に戻り、物理アドレスが正常かどうかの判断を再開する。
【0086】
以上、本実施形態の一の例に係る光ディスク書き込み判断システムおよびこれを用いた書き込み判断方法について説明したが、本実施形態によれば、ディスクアドレスの全状態、スピンドルモータの安定化状態、サーボの安定化状態を監視し、光ディスクへの記録開始の条件を多方面から定めることで、規格内の正常なデータ記録を安全に実現することができる。
【0087】
図4は、本実施形態の他の例に係る光ディスク書き込み判断システムの一部であって書き込み可否を判断するための構成要素を示す説明図である。図2と異なる点は、異常監視信号による異常監視をファームウェアによらずハードウェアで行っている点である。このように、異常監視信号による異常監視をハードウェアで行うことで、タイミングフリーで、高速かつ安全に記録開始条件を判断できる。以下、図4を参照して本実施形態の他の例について説明するが、図2で説明した内容と重複する部分は省略する。
【0088】
セレクタ400は、MPU109からの選択信号により、AND回路401へ送信する異常監視信号を選択する機能を有する。すなわち、本実施形態においては、上述した異常監視信号のうちいずれかを選択し、選択した異常検出信号に係る異常に基づいて光ディスクへのデータの書き込みの可否を判断することができる。該選択は、ユーザがメモリ110に選択信号を記憶させることにより行うことができる。MPU109はメモリ110の内容を参照し、セレクタ400に選択信号を送信することで異常監視信号のいずれかを選択してもよいがこれに限定されない。該選択は、ユーザがセレクタ400に直接選択信号を入力することで行ってもよい。該選択の範囲は限定されず、たとえば、あらかじめ定めた5〜10の隣接トラックの範囲内で書き込みをする場合は、回転系ロック監視信号を選択しないことも可能である。
【0089】
なお、セレクタ400は、たとえば、デマルチプレクサで構成することができる。
【0090】
AND回路401は、上述した異常監視信号のうちいずれか一つでも異常を検出したことを示す場合は、異常検出信号をMPU109に送信する機能を有する。すなわち、たとえば各異常監視信号がHiであることで正常を示す場合は、異常監視信号のうち一つでもLo(異常)を示すときはAND回路401の出力はLoとなるため、ファームウェアとは独立に異常監視をすることができる。
【0091】
図5は、図4のシステムを使用した場合の、本実施形態に係る光ディスク書き込み判断方法のフローチャートを示す図である。以下、図5を参照して、ステップ番号を明示しステップ番号ごとに説明する。
【0092】
[S500]
書き込み開始条件をハードウェアで設定する。
【0093】
すなわち、MPU109の外部記憶装置であるメモリ110にユーザが選択信号を記憶させることで、MPU109にセレクタ400に選択信号を送信させ、これにより書き込み開始条件となる異常監視信号を選択することができる。
【0094】
[S501]
記録開始イベントがあったかどうか判断する。
【0095】
すなわち、図4のシステムを使用した場合の本実施形態に係る光ディスク書き込み判断方法においては、ファームウェアを用いないでハードウェアで異常監視をするため、MPU109は異常監視を行わず、ハードウェア(すなわちAND回路401)の出力を参照するだけである。したがって、ファームウェアにおいては、ハードウェアの出力を参照しつつ記録開始イベントを待つだけである。
【0096】
記録開始イベントがない場合は、ステップS502に移行し、リトライオーバになったかどうかを判断する。記録開始イベントがあった場合は、本フローチャートは終了する。
【0097】
[S502]
リトライオーバになったかどうか判断する。
【0098】
記録開始イベントがない場合は、MPU109は、あらかじめ設定した時間内(すなわち、リトライオーバになっていない時間内)であればステップS501に戻り、記録開始イベントの有無を繰り返し確認する。記録開始イベントが発信されないままリトライオーバになった場合は、ファームウェアは、次の処理へ移行する。
【0099】
以上、本実施形態の他の例に係る光ディスク書き込み判断システムおよびこれを用いた書き込み判断方法について説明したが、本実施形態によれば、ディスクアドレスの全状態、スピンドルモータの安定化状態、サーボの安定化状態を監視し、光ディスクへの記録開始の条件を多方面から定めることで、規格内の正常なデータ記録を実現することができる。また、異常監視信号による異常監視をハードウェアで行うことで、タイミングフリーで、高速かつ安全に記録開始条件を判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク書き込み判断システムを示すブロック図である。
【図2】本実施形態の一の例に係る光ディスク書き込み判断システムの一部であって書き込み可否を判断するための構成要素を示す説明図である。
【図3】図2のシステムを使用した場合の、本実施形態に係る光ディスク書き込み判断方法のフローチャートを示す図である。
【図4】本実施形態の他の例に係る光ディスク書き込み判断システムの一部であって書き込み可否を判断するための構成要素を示す説明図である。
【図5】図4のシステムを使用した場合の、本実施形態に係る光ディスク書き込み判断方法のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0101】
10 光ディスク書き込み判断システム、
101 ブルーレイディスク、
102 光ピックアップ、
103 アナログフロントエンド、
104 DSP、
105 ドライバIC、
106 フィードモータ、
107 エンコーダ/デコーダ、
109 MPU、
110 メモリ、
111 スピンドルモータ、
120 ホストコンピュータ、
200 位相比較器、
400 セレクタ、
401 AND回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクへの書き込み可否を判断するシステムであって、
前記光ディスク上に瑕疵を有する異常を検出する第1異常検出手段と、
ウォブルによる物理アドレスのアドレス番号が連続的に読めない異常を検出する第2異常検出手段と、
ウォブルによる物理アドレスと論理アドレスの位相差があらかじめ定めた第一閾値範囲を超えている異常を検出する第3異常検出手段と、
ウォブルによる物理アドレスと前記光ディスクに書き込んだ物理アドレスとの位相差があらかじめ定めた第二閾値範囲を超えている異常を検出する第4異常検出手段と、
フォーカシング誤差があらかじめ定めた第三閾値範囲を超えている異常を検出する第5異常検出手段と、
トラッキング誤差があらかじめ定めた第四閾値範囲を超えている異常を検出する第6異常検出手段と、
前記光ディスクの回転の異常を検出する第7異常検出手段と、からなる群から選択した少なくともいずれか一つの異常検出手段を有し、
前記選択した異常検出手段のいずれかが異常を検出したときは光ディスクへの書き込みをしないことを特徴とする光ディスク書き込み判断システム。
【請求項2】
前記トラッキング誤差には、光ピックアップの位置ズレによる誤差と前記光ピックアップのチルトによる誤差とを含むことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク書き込み判断システム。
【請求項3】
前記光ディスクの回転の異常には、前記回転の速度があらかじめ定めた第五閾値範囲を超えている異常と、前記回転の速度が制御不能となった異常と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク書き込み判断システム。
【請求項4】
あらかじめ定めた隣接トラックの範囲内で書き込みをする場合は、前記第7異常検出手段は前記選択しないことを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスク書き込み判断システム。
【請求項5】
前記選択した異常検出手段のいずれかが異常を検出したことをハードウェアで判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ディスク書き込み判断システム。
【請求項6】
光ディスクへの書き込み可否を判断する方法であって、
前記光ディスク上に瑕疵を有する異常を検出する第1異常検出段階と、
ウォブルによる物理アドレスのアドレス番号が連続的に読めない異常を検出する第2異常検出段階と、
ウォブルによる物理アドレスと論理アドレスの位相差があらかじめ定めた第一閾値範囲を超えている異常を検出する第3異常検出段階と、
ウォブルによる物理アドレスと前記光ディスクに書き込んだ物理アドレスとの位相差があらかじめ定めた第二閾値範囲を超えている異常を検出する第4異常検出段階と、
フォーカシング誤差があらかじめ定めた第三閾値範囲を超えている異常を検出する第5異常検出段階と、
トラッキング誤差があらかじめ定めた第四閾値範囲を超えている異常を検出する第6異常検出段階と、
前記光ディスクの回転の異常を検出する第7異常検出段階と、からなる群から選択した少なくともいずれか一つの異常検出手段を有し、
前記選択した異常検出段階のいずれかにおいて異常を検出したときは光ディスクへの書き込みをしないことを特徴とする光ディスク書き込み判断方法。
【請求項7】
前記トラッキング誤差には、光ピックアップの位置ズレによる誤差と前記光ピックアプのチルトによる誤差とを含むことを特徴とする請求項6に記載の光ディスク書き込み判断方法。
【請求項8】
前記光ディスクの回転の異常には、前記回転の速度があらかじめ定めた第五閾値範囲を超えている異常と、前記回転の速度が制御不能となった異常と、を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の光ディスク書き込み判断方法。
【請求項9】
あらかじめ定めた隣接トラック範囲内で書き込みをする場合は、前記第7異常検出段階は前記選択しないことを特徴とする請求項6または7に記載の光ディスク書き込み判断方法。
【請求項10】
前記選択した異常検出手段のいずれかが異常を検出したことをハードウェアで判断することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の光ディスク書き込み判断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−152983(P2010−152983A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330407(P2008−330407)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】