説明

光ディスク管理装置及び光ディスク管理方法

【課題】光ディスクの劣化を適切に管理することを可能とした可能な光ディスク管理装置及び光ディスク管理方法を提供する。
【解決手段】光ディスク管理装置100は、光ディスクの記録品質を測定してディスク管理情報及び測定履歴情報を生成し、更に、これらディスク管理情報及び測定履歴情報に基づいて、次回の記録品質の測定時期として決定する。その決定した測定時期が到来した場合には、光ディスク管理装置100は、再度、光ディスクの記録品質を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトディスク(CD)やデジタルバーサタイルディスク(DVD)等の光ディスクを管理する光ディスク管理装置及び該光ディスク管理装置における光ディスク管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録可能な光ディスクにデータを書き込み、その後、長期にわたって利用者の要求に応じて当該光ディスクに書き込まれたデータを読み取るという利用形態が採用される場合、光ディスクの劣化が問題となる。従来、光ディスクの読取装置及び書込装置とチェンジャの機構とを備えたチェンジャシステムにおいて、チェンジャ内に入庫された光ディスクの劣化の管理、具体的には、光ディスクに書き込まれたデータを正確に読み取ることができるか否かの管理を行うことは非常に困難であった。
【0003】
そこで、光ディスクの劣化を検査する技術が提案されている。たとえば、特許文献1に記載された技術では、光ディスクの種類毎に予め耐用期間(寿命)が設定されており、チェンジャに入庫後、耐用期間を経過したものについては、当該光ディスク内に書き込まれたデータが別の光ディスクに書き込まれて複製がなされる。
【特許文献1】特開2002−245767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された技術では、ある程度は光ディスクの劣化を管理することはできる。しかし、耐用年数を光ディスクの種類のみで一概に決定することは必ずしも適切ではなく、耐用期間と見込んだ期間より前に読み取りができなくなったり、逆に、劣化していないにもかかわらず耐用期間が経過したために不要な複製作業を行って資源を浪費する等の別の問題を誘発する。すなわち、実際の耐用期間は、複数の要素によって決定されるものであり、時間だけで一概に決めることはできない。このため、特許文献1に記載された技術では、耐用期間をどのように設定すればよいのかという問題が依然として存在する。
【0005】
本発明の目的は、上述した問題を解決するものであり、光ディスクの劣化を適切に管理することを可能とした可能な光ディスク管理装置及び光ディスク管理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、搭載される光ディスクを管理する光ディスク管理装置は、光ディスクの記録品質を測定する記録品質測定手段と、前記記録品質測定手段により測定された光ディスクの記録品質に基づいて、次に光ディスクの記録品質を測定すべき時期を決定する測定時期決定手段と、前記記録品質測定手段により測定された光ディスクの記録品質と、前記測定時期決定手段により決定された記録品質の測定時期とを記憶する記憶手段とを有し、前記記録品質測定手段が、前記記憶手段に記憶された記録品質の測定時期が到来した場合に、再度、前記光ディスクの記録品質を測定することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、光ディスクの記録品質を測定し、その測定された記録品質にて示される光ディスクの劣化の度合いに応じて、次の記録品質の測定時期が決定されるため、記録品質の変化に応じたタイミングでの記録品質の測定が可能となり、光ディスクの劣化を適切に管理することができる。
【0008】
また、本発明の光ディスク管理装置は、前記記録品質測定手段により測定された光ディスクの記録品質にて示される劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達する前の所定範囲内にある場合に、該光ディスクに記録されたデータを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られたデータを他の光ディスクに書き込む書込手段とを有するようにしてもよい。
【0009】
この構成によれば、光ディスクの劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達する前に、当該光ディスクに書き込まれたデータを読み取って他の光ディスクに書き込むことにより、当該ディスクが読み取り不能となる前に光ディスクを複製することが可能となる。
【0010】
また、本発明の光ディスク管理装置は、前記測定時期決定手段が、前記記憶手段に記憶された光ディスクの記録品質の時間遷移に基づいて、次に光ディスクの記録品質を測定すべき時期を決定するようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、光ディスクの記録品質の時間遷移に基づいて、光ディスクの劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達すると見込まれるタイミングを的確に把握し、そのタイミング以前のタイミングを次の記録品質の測定時期として決定することが可能となる。
【0012】
また、本発明の光ディスク管理装置は、前記記録品質測定手段が、前記光ディスクに記録されたデータの読み取り時のエラー訂正数、読み取り信号の振幅波形の対称性及びジッタ、読み取りに要した総時間、格納庫からの前記光ディスクの取り出し回数の少なくともいずれかを前記記録品質として測定するようにしてもよい。
【0013】
本発明に係る、光ディスク管理装置に搭載される光ディスクを管理する光ディスク管理方法は、光ディスクの記録品質を測定する記録品質測定ステップと、前記記録品質測定ステップにより測定された光ディスクの記録品質に基づいて、次に光ディスクの記録品質を測定すべき時期を決定する測定時期決定手段と、前記記録品質測定ステップにより測定された光ディスクの記録品質と、前記測定時期決定ステップにより決定された記録品質の測定時期とを記憶手段に記憶させる記憶ステップとを有し、前記記録品質測定ステップは、前記記憶手段に記憶された記録品質の測定時期が到来した場合に、再度、前記光ディスクの記録品質を測定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の光ディスク管理方法は、前記記録品質測定ステップにより測定された光ディスクの記録品質にて示される劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達する前の所定範囲内にある場合に、該光ディスクに記録されたデータを読み取る読取ステップと、前記読取ステップにより読み取られたデータを他の光ディスクに書き込む書込ステップとを有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光ディスクの記録品質の変化に応じたタイミングでの記録品質の測定が可能となり、光ディスクの劣化を適切に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク管理装置の構成を示す図である。図1に示す光ディスク管理装置100は、制御部102、メモリ104、インタフェース(I/F)部106、外部通信路108、ディスクチェンジャ110、外部ディスクトレイ112、データディスク庫114、光ディスク廃棄部116、廃棄ディスク庫118、予備ディスク庫120、光ディスク読取・書込部122及び124により構成される。
【0017】
制御部102は、CPU(Central Processing Unit)であり、記録品質測定手段及び測定時期決定手段に対応する。この制御部102は、I/F部106及び外部通信路108を介して接続される図示しない外部機器の指示に応じて、I/F部106、ディスクチェンジャ110、光ディスク廃棄部116、光ディスク読取・書込部122及び124を制御する。メモリ104は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等であり、記憶手段に対応する。このメモリ104は、データディスク庫114内の各光ディスクにどのようなデータが記録されているかを示すデータ管理情報と、データディスク庫114内の各光ディスクの記録品質を管理するためのディスク管理情報及び測定履歴情報とを記憶する。
【0018】
I/F部106は、光ディスク管理装置100と図示しない外部機器との間で通信を行うためのものであり、外部通信路108が接続さている。外部通信路108は、一般にUSB(Universal Serial Bus)、1394、シリアルATA(AT Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、RS−232C(Recommended Standard 232 version C)、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の規格であるが、独自の方式、仕様のものであってもよい。外部機器は、特に限定されるものではないが、一般的にはホストコンピュータ等であり、光ディスク管理装置100からの情報を受信して任意に加工し、利用者に提供するものが想定される。
【0019】
ディスクチェンジャ110は、光ディスクを載置する図示しない移動体を有する。このディスクチェンジャ110は、制御部102の制御に応じて当該移動体を、外部ディスクトレイ112、データディスク庫114、光ディスク廃棄部116、廃棄ディスク庫118、予備ディスク庫120、光ディスク読取・書込部122及び124の間で機械的に動作させることにより、移動体に載置された光ディスクを各部へ運搬する。
【0020】
外部ディスクトレイ112は、光ディスク管理装置100以外の外部機器によってデータが書き込まれた光ディスクが搭載される。外部ディスクトレイ112に搭載された光ディスクは、ディスクチェンジャ110内の移動体に載置され、データディスク庫114へ格納される。データディスク庫114は、格納庫に対応し、データの書き込まれた光ディスクがディスクチェンジャ110によって運搬されると、当該光ディスクを格納する。
【0021】
光ディスク廃棄部116は、劣化して不要になった光ディスクがディスクチェンジャ110によって運搬されると、当該光ディスクを読取不能にする。読取不能とする処理は、特に限定されるものではないが、例えば、光ディスク廃棄部116は、光ディスクのデータ記録層を物理的に破壊したり、光ディスクへの書き込み時に使用される出力と同等以上のレーザパワーを用いて光化学的に光ディスクのデータ記録層を破壊する。廃棄ディスク庫118は、光ディスク廃棄部116によって読取不能にされた光ディスクがディスクチェンジャ110によって運搬されると、当該光ディスクを格納する。なお、廃棄ディスク庫118への光ディスクの出し入れは、ディスクチェンジャ110の他、人手によってもなされる。
【0022】
予備ディスク庫120は、データディスク庫114に格納された光ディスクが劣化して不要になった場合に、その光ディスクの代わりとなる新たな未記録の光ディスクを格納する。なお、予備ディスク庫120への光ディスクの出し入れは、ディスクチェンジャ110の他、人手によってもなされる。
【0023】
光ディスク読取・書込部122及び124は、記録品質測定手段、読取手段及び書込手段に対応する。これら光ディスク読取・書込部122及び124は、制御部102の制御に応じて、ディスクチェンジャ110によって運搬される光ディスクに記録されたデータを読み取ったり、ディスクチェンジャ110によって運搬される光ディスクにデータを書き込む。
【0024】
また、光ディスク読取・書込部122及び124は、制御部102の制御に応じて、ディスクチェンジャ110によって運搬される光ディスクの状態(劣化の度合い)を示す指標である記録品質を測定する。なお、本実施形態では、動作安定上の理由で光ディスク読取・書込部122及び124の双方が書き込み機能を有しているが、いずれか一方のみであってもよい。
【0025】
次に、上述した光ディスク管理装置100は、光ディスクの記録品質を測定してディスク管理情報及び測定履歴情報を生成し、更に、これらディスク管理情報及び測定履歴情報に基づいて、次の記録品質の測定時期を決定する。そして、その測定時期が到来した場合には、光ディスク管理装置100は、再度、光ディスクの記録品質を測定する。また、光ディスク管理装置100は、測定した記録品質にて示される劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達する前の所定範囲内にある場合には、測定対象(処理対象)の光ディスクに記録されたデータを読み取り、他の光ディスクに書き込むことによって複製を行う。以下、この動作の詳細を説明する。
【0026】
図2は、光ディスク管理装置100の第1の動作を示すフローチャートである。制御部102は、I/F部106及び外部通信路108を介して接続される外部機器によって、外部ディスクトレイ112に載置された、データが記録された光ディスクをデータディスク庫114へ格納させる指示がなされたか否かを判定する(S101)。
【0027】
光ディスクをデータディスク庫114へ格納させる指示がなされた場合、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、外部ディスクトレイ112に載置された光ディスクを、光ディスク読取・書込部122又は124へ運搬する指示を行う。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、外部ディスクトレイ112に載置された光ディスクを光ディスク読取・書込部122又は124の一方へ運搬する。
【0028】
更に、制御部102は、光ディスクが運搬された光ディスク読取・書込部122又は124の一方に対して、記録品質の測定を指示する。光ディスク読取・書込部122又は124の一方は、この指示に応じて、運搬された光ディスクの記録品質を測定する(S102)。具体的には、光ディスク読取・書込部122又は124の一方は、光ディスクに記録されたデータを読み取り、その読み取り時に発生したエラー訂正の数を示すエラーレート(光ディスクがCDであればC1/C2エラー、光ディスクがDVDであればPI/POエラー)を測定する。また、光ディスク読取・書込部122又は124の一方は、光ディスクに記録されたデータを読み取る際の読み取り信号(RF信号)の振幅波形の対象性βや、RF信号の時間的なぶれを示すジッタを測定する。測定された記録品質は制御部102へ送られる。
【0029】
次に、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、光ディスク読取・書込部122又は124の一方によって記録品質が測定された光ディスクを、データディスク庫114へ運搬する指示を出す。ここで、メモリ104には、データディスク庫114内の図示しないトレイの使用状況の情報が記憶されており、制御部102は、この使用状況の情報に基づいて、空いているトレイのいずれかを光ディスクが格納されるべきトレイとして特定し、そのトレイの番号をディスクチェンジャ110に対して指定する。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、光ディスク読取・書込部122又は124の一方によって記録品質が測定された光ディスクを、データディスク庫114内の指定されたトレイへ運搬する。データディスク庫114は、この運搬された光ディスクを格納する(S103)。
【0030】
次に、制御部102は、データディスク庫114に格納された光ディスクについて、記録品質管理情報に対応するディスク管理情報及び測定履歴情報を生成する(S104)。生成されたディスク管理情報及び測定履歴情報はメモリ104に記憶される。
【0031】
図3は、ディスク管理情報の一例を示す図である。図3に示すディスク管理情報は、データディスク庫114に格納された光ディスクごとに生成され、ディスク番号(No.)、ディスクID、ディスク入庫日付、最終測定日付、測定履歴情報ID及び次回測定日付とにより構成される。
【0032】
ディスク管理情報は以下のようにして生成される。すなわち、制御部102は、S103において、光ディスクの格納先として指定したデータディスク庫114内のトレイの番号を、ディスクNo.として設定する。また、制御部102は、S102において、記録品質測定の際に光ディスク読取・書込部122又は124の一方によって光ディスクから読み取られたディスクIDを取得し、設定する。また、制御部102は、S103において、光ディスクがデータディスク庫114に格納された日付を、ディスク入庫日付として設定する。また、制御部102は、S102において、記録品質が測定された日付を、最終測定日付として設定する。また、制御部102は、光ディスクに対応する測定履歴情報を一意に特定するIDを測定履歴情報IDとして設定する。更に、制御部102は、次回測定日付を所定の日付(例えば1ヵ月後の日付)に設定する。
【0033】
図4は、測定履歴情報IDによって特定される測定履歴情報の一例を示す図である。図4に示す測定履歴情報は、測定された記録品質の履歴を示すものであり、測定日付、エラーレート1、エラーレート2、振幅波形対象性、ジッタにより構成される。
【0034】
測定履歴情報は以下のようにして生成される。すなわち、制御部102は、S102において、記録品質が測定された日付を、測定日付として設定する。また、制御部102は、S102における記録品質測定によって得られたエラーレート、振幅波形対象性及びジッタを設定する。
【0035】
再び、図2に戻って説明する。一方、S101において、外部機器によって、外部ディスクトレイ112に載置された新たな光ディスクをデータディスク庫114へ格納させる指示がなされていないと判定した場合、次に、制御部102は、外部機器によって、書き込み対象のデータが送られ、予備ディスク庫120に格納された新たな光ディスクに当該データを書き込む指示がなされたか否かを判定する(S105)。
【0036】
光ディスクにデータを書き込む指示がなされた場合、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、予備ディスク庫120に載置された光ディスクを、光ディスク読取・書込部122又は124へ運搬する指示を行う。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、予備ディスク庫120に載置された光ディスクを光ディスク読取・書込部122又は124の一方へ運搬する。更に、制御部102は、光ディスクが運搬された光ディスク読取・書込部122又は124の一方に対して、データを出力するとともに、当該データの書き込みを指示する。光ディスク読取・書込部122又は124の一方は、この指示に応じて、運搬された光ディスクにデータを書き込む(S106)。
【0037】
その後は、上述と同様、S102乃至104の処理が行われる。すなわち、制御部102は、記録品質の測定を指示する。光ディスク読取・書込部122又は124の一方は、この指示に応じて、運搬された光ディスクの記録品質を測定する(S102)。
【0038】
次に、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、光ディスク読取・書込部122又は124の一方によって記録品質が測定された光ディスクを、データディスク庫114へ運搬する指示を出す。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、光ディスク読取・書込部122又は124の一方によって記録品質が測定された光ディスクを、データディスク庫114内の指定されたトレイへ運搬する。データディスク庫114は、この運搬された光ディスクを格納する(S103)。
【0039】
更に、制御部102は、データディスク庫114に格納された光ディスクについて、記録品質管理情報に対応するディスク管理情報及び測定履歴情報を生成する(S104)。生成されたディスク管理情報及び測定履歴情報はメモリ104に記憶される。
【0040】
図5は、光ディスク管理装置100の第2の動作を示すフローチャートである。この動作は、所定の周期、例えば1日に一度所定のタイミング(深夜等)に行われる。制御部102は、ディスク管理情報を読み取る(S201)。次に、制御部102は、読み取ったディスク管理情報に基づいて、データディスク庫114に格納された光ディスクから処理対象となる光ディスクを選択する(S202)。例えば、ディスク管理情報が図3に示すものである場合には、制御部102は、ディスクNo.001の光ディスクからディスクNo.100の光ディスクまで順次処理対象の光ディスクとして選択する。
【0041】
次に、制御部102は、選択した光ディスクに対応するディスク管理情報内の次回測定日付を参照して、当該次回測定日付が到来したか否かを判定する(S203)。次回測定日付が到来した場合、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、処理対象の光ディスクに対応するディスクNo.を指定して、当該光ディスクを、光ディスク読取・書込部122又は124の一方へ運搬する指示を行う。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、データディスク庫114に格納された光ディスクを光ディスク読取・書込部122又は124の一方へ運搬する。更に、制御部102は、光ディスクが運搬された光ディスク読取・書込部122又は124の一方に対して、記録品質の測定を指示する。光ディスク読取・書込部122又は124の一方は、この指示に応じて、運搬された光ディスクに記録されたデータを読み取り、その読み取り時に発生したエラー訂正の数を示すエラーレート、振幅波形対象性及びジッタを記録品質として測定する。測定された記録品質は制御部102へ送られる。制御部102は、メモリ104内に記憶されている測定履歴情報のうち、処理対象ディスクのディスク管理情報内の測定履歴情報IDに対応するものを特定し、入力した記録品質をその特定した測定履歴情報へ書き込んで追加する(S204)。
【0042】
次に、制御部102は、入力した記録品質にて示される劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な範囲(許容域)の限界に達する前の所定範囲内にあるか否かを判定する(S205)。なお、許容域は、全ての光ディスクについて共通でもよく、ディスクIDと対応付けてメモリ104に保持させるようにするとこで、個々の光ディスク毎に設定されてもよい。
【0043】
図6は、記録品質であるエラーレートの時間遷移の第1の例を示す図である。図6に示すように、エラーレートは時間経過とともに徐々に増加し、いずれ読み取り可能な範囲(許容域)を超える。なお、記録品質である振幅波形対象性及びジッタも同様の傾向を示す。このため、処理対象の光ディスクの記録品質であるエラーレート、振幅波形対象性及びジッタが許容域を超える前に、当該処理対象の光ディスクに記録されたデータを他の光ディスクに書き込んで複製を行う必要がある。
【0044】
メモリ104には、この許容域の限界(上限)の情報が予め記憶されている。S205において、制御部102は、処理対象の光ディスクの記録品質であるエラーレート等で示される劣化の度合いが、この許容域の上限に達する前の所定範囲内の下限に対応する閾値を超えたか否かを判定する。
【0045】
処理対象の光ディスクの記録品質であるエラーレート等で示される劣化の度合いが閾値を超えた場合とは、近々に当該処理対象の光ディスクの劣化の度合いが許容域の上限を超えて読み取り不能となるということである。このため、光ディスクの複製が行われる。すなわち、制御部102は、光ディスク読取・書込部122又は124の一方に対して、データの読み取りを指示する。光ディスク読取・書込部122又は124の一方は、この指示に応じて、処理対象の光ディスクに記録されたデータを読み取る(S206)。このデータには、処理対象の光ディスクのディスクIDが含まれている。読み取られたデータは制御部102へ送られる。
【0046】
次に、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、予備ディスク庫120に格納された予備の光ディスクを、光ディスク読取・書込部122又は124の他方へ運搬する指示を行う。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、予備ディスク庫120に格納された予備の光ディスクを光ディスク読取・書込部122又は124の他方へ運搬する。更に、制御部102は、予備の光ディスクが運搬された光ディスク読取・書込部122又は124の他方に対して、S206において読み取られたデータを出力し、当該データの書き込みを指示する。光ディスク読取・書込部122又は124の他方は、この指示に応じて、運搬された予備の光ディスクにデータを書き込む(S207)。これにより、処理対象の光ディスクに記録されたデータが予備の光ディスクに書き込まれ、複製が行われる。
【0047】
次に、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、処理対象の光ディスクを光ディスク廃棄部116へ運搬する指示を行う。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、処理対象の光ディスクを光ディスク読取・書込部122又は124の一方から光ディスク廃棄部116へ運搬する。更に、制御部102は、光ディスク廃棄部116に対して、処理対象の光ディスクの廃棄を指示する。光ディスク廃棄部116は、この指示に応じて、運搬されてきた処理対象の光ディスクを読取不能にする処理(廃棄処理)を行う。その後、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、廃棄処理がなされた処理対象の光ディスクを廃棄ディスク庫118へ運搬する指示を行う。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、廃棄処理がなされた処理対象の光ディスクを光ディスク廃棄部116から廃棄ディスク庫118へ運搬する。廃棄ディスク庫118は、この廃棄処理がなされた処理対象の光ディスクを格納する(S208)。
【0048】
次に、制御部102は、データが書き込まれた予備の光ディスクについて、次回の記録品質の測定日付を決定する(S209)。具体的には、制御部102は、次回測定日付を所定の日付(例えば1ヵ月後の日付)に設定する。
【0049】
次に、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、データディスク庫114内の空いているトレイの番号を指定して、光ディスク読取・書込部122又は124の他方によってデータが書き込まれた予備の光ディスクを、データディスク庫114へ運搬する指示を出す。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、光ディスク読取・書込部122又は124の他方によってデータが書き込まれた予備の光ディスクを、データディスク庫114内の指定されたトレイへ運搬する。データディスク庫114は、この運搬された予備の光ディスクを格納する(S210)。
【0050】
次に、制御部102は、データディスク庫114に格納された予備の光ディスクについて、ディスク管理情報及び測定履歴情報を生成する(S211)。具体的には、制御部102は、S210において、予備の光ディスクの格納先として指定したデータディスク庫114内のトレイの番号を、ディスクNo.として設定する。また、制御部102は、S207において、光ディスク読取・書込部122又は124の他方によって予備の光ディスクに書き込まれたディスクIDを設定する。また、制御部102は、S210において、予備の光ディスクがデータディスク庫114に格納された日付を、ディスク入庫日付として設定する。また、制御部102は、予備の光ディスクに対応する測定履歴情報の測定履歴情報IDを設定する。更に、制御部102は、S209において決定した次回測定日付を設定する。これら予備の光ディスクについてのディスク管理情報及び測定履歴情報はメモリ104に記憶される。また、制御部102は、廃棄された処理対象の光ディスクについてのディスク管理情報及び測定履歴情報をメモリ104から削除する。
【0051】
一方、S205において、記録品質にて示される劣化の度合いが予め定められた許容域の限界に達する前の所定範囲内にないと判定した場合には、制御部102は、処理対象の光ディスクについて、次回の記録品質の測定日付を決定する(S213)。
【0052】
具体的には、制御部102は、処理対象の光ディスクの測定履歴情報をメモリ104から読み取り、当該測定履歴情報と、S204において測定された最新の記録品質とに基づいて、記録品質の時間遷移予測を示す関数Err=F(t)を得る。
【0053】
図7及び図8は、次回の記録品質測定日付の決定手法を説明する図である。図7及び図8は、基本の測定間隔である1ヶ月毎の日付a乃至dのそれぞれにおいて測定された記録品質であるエラーレートがプロットされている。制御部102は、日付dにおける最新のエラーレートの測定の際に、日付a乃至dにおける各エラーレートに基づいて、エラーレートの時間遷移予測を示す関数Err=F(t)を得る。そして、図7の場合には、制御部102は、この関数Err=F(t)と許容域の上限とが交わる日付eを処理対象の光ディスクから読み取り可能な限界に達する時期とみなし、当該日付eよりも手前の日付を次回の記録品質の測定日付とする。この次回の記録品質の測定日付は、エラーレートが許容域の上限に達する前の所定範囲内にあると見込まれるタイミングである。一方、図8の場合には、日付dと、関数Err=F(t)と許容域の上限とが交わる日付eとの間隔が基本間隔である1ヶ月を超えている。この場合には、制御部102は、日付dから1ヵ月後の日付fを次回の記録品質の測定日付とする。
【0054】
次に、制御部102は、ディスクチェンジャ110に対して、データディスク庫114内の空いているトレイの番号を指定して、光ディスク読取・書込部122又は124の一方によって記録品質が測定された処理対象の光ディスクを、データディスク庫114へ運搬する指示を出す。ディスクチェンジャ110は、この指示に応じて、光ディスク読取・書込部122又は124の一方によって記録品質が測定された処理対象の光ディスクを、データディスク庫114内の指定されたトレイへ運搬する。データディスク庫114は、この運搬された予備の光ディスクを格納する(S214)。
【0055】
次に、制御部102は、データディスク庫114に格納された処理対象の光ディスクについて、ディスク管理情報及び測定履歴情報を更新する(S215)。具体的には、制御部102は、S214において、処理対象の光ディスクの格納先として指定したデータディスク庫114内のトレイの番号を、ディスクNo.として設定する。また、制御部102は、S204において、記録品質が測定された日付を、最終測定日付として設定する。また、制御部102は、S213において決定した次回測定日付を設定する。更に、制御部102は、メモリ104に記憶されている、処理対象の光ディスクの測定履歴情報に、S204において記録品質が測定された日付を、測定日付として設定するとともに、S204における記録品質測定によって得られたエラーレート、振幅波形対象性及びジッタを追加設定する。
【0056】
S211において、予備の光ディスクについてディスク管理情報及び測定履歴情報が生成された後、S215において、処理対象の光ディスクについてディスク管理情報及び測定履歴情報が更新された後、又は、S203において、処理対象の光ディスクについて次回の測定日付が到来していないと判定された後、制御部102は、S201において読み取ったディスク管理情報に基づいて、S202において選択されていない未処理の光ディスクがデータディスク庫114内に存在するか否かを判定する(S212)。未処理の光ディスクが存在しない場合には、一連の動作が終了する。一方、未処理の光ディスクが存在する場合には、制御部102によって、その光ディスクが処理対象として選択され(S202)、次回測定日付が到来したか否かの判定(S203)以降の動作が繰り返される。
【0057】
なお、図5に示す動作が行われている間に、外部機器等からの光ディスクに対するデータの読み取り及び書き込みが指示された場合には、これら図5に示す動作と、光ディスクに対するデータの読み書きのいずれを優先させてもよく、予めどちらを優先させるかを設定するようにしてもよい。あるいは、図5に示す動作が行われている間には、光ディスクに対するデータの読み書きを禁止する設定をするようにしてもよい。
【0058】
このように、本実施形態の光ディスク管理装置100では、光ディスクの記録品質を測定してディスク管理情報及び測定履歴情報を生成し、更に、これらディスク管理情報及び測定履歴情報に基づいて、光ディスクの劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達する前の所定範囲内にあると見込まれるタイミングを次回の記録品質の測定時期として決定する。そして、その決定した測定時期が到来した場合には、光ディスク管理装置100は、再度、光ディスクの記録品質を測定する。従って、記録品質の変化に応じて、光ディスクの劣化を適切に管理することが可能となる。
【0059】
また、光ディスク管理装置100は、測定した記録品質にて示される劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達する前の所定範囲内にある場合には、処理対象の光ディスクに記録されたデータを読み取り、他の光ディスクに書き込むことによって複製を行う。従って処理対象の光ディスクが読み取り不能となる前に光ディスクを複製することが可能となる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、読み取り時のエラーレート等を記録品質としたが、記録品質には様々なものが想定される。例えば、当該光ディスクから読み取りに要した総時間、データディスク庫114から当該光ディスクが取り出された回数等も記録品質として用いることが可能である。ここで、読み取りの総時間とは、当該光ディスクに読取用のレーザビームを照射した時間を意味し、データディスク庫114から取り出された回数は、当該光ディスクがディスクチェンジャ110による機械的なストレスを受けた回数を意味する。従って、これらの指標は、光ディスクの状態(劣化の度合い)を示す指標である記録品質として用いることができる。また、光ディスク管理装置100の内部、特に、データディスク庫114内の温度や湿度を計測するセンサを用いてもよい。一般に高温高湿の環境下では、光ディスクの劣化が促進されるので、温度や湿度の段階毎の劣化加速定数を定め、測定された記録品質の当該劣化加速定数を乗じることによって、より厳密に光ディスクの劣化の度合いを数値化することができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、処理対象の光ディスクに記録されたデータを予備の光ディスクに書き込むことによって複製を行ったが、以下のような複製でもよい。すなわち、例えば、データディスク庫114内にある光ディスクが全てCDであり、光ディスク読取・書込部122及び124がCDとDVDの双方の読み書きか可能であって、かつ、予備ディスク庫120に未記録のDVDが格納されている場合、外部通信路108及びI/F部106を介して外部機器からのディスク置換の指示がなされた場合、制御部102は、複数のCDに記録されたデータを1枚のDVDにまとめるべく、制御を行うようにしてもよい。まとめる際の順序は、ディスク入庫日付の古い順でも良いし、データ読取要求頻度の高い順でもよい。複数のCDに記録されたデータを1枚のBD(Blu-ray Disc)やHDにまとめる場合や、複数のDVDに記録されたデータを1枚のBDやHDにまとめる場合も同様である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上、説明したように、本発明に係る光ディスク管理装置及び光ディスク管理方法は、光ディスクの劣化を適切に管理することが可能であり、光ディスク管理装置及び光ディスク管理方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】光ディスク管理装置の構成を示す図である。
【図2】光ディスク管理装置の第1の動作を示すフローチャートである。
【図3】ディスク管理情報の一例を示す図である。
【図4】測定履歴情報の一例を示す図である。
【図5】光ディスク管理装置の第2の動作を示すフローチャートである。
【図6】エラーレートの時間遷移の一例を示す図である。
【図7】次回測定日時の決定手法を説明するための第1の図である。
【図8】次回測定日時の決定手法を説明するための第2の図である。
【符号の説明】
【0064】
100 光ディスク管理装置
102 制御部
104 メモリ
106 I/F部
108 外部通信路
110 ディスクチェンジャ
112 外部ディスクトレイ
114 データディスク庫
116 光ディスク廃棄部
118 廃棄ディスク庫
120 予備ディスク庫
122、124 光ディスク読取・書込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載される光ディスクを管理する光ディスク管理装置であって、
光ディスクの記録品質を測定する記録品質測定手段と、
前記記録品質測定手段により測定された光ディスクの記録品質に基づいて、次に光ディスクの記録品質を測定すべき時期を決定する測定時期決定手段と、
前記記録品質測定手段により測定された光ディスクの記録品質と、前記測定時期決定手段により決定された記録品質の測定時期とを記憶する記憶手段とを有し、
前記記録品質測定手段は、前記記憶手段に記憶された記録品質の測定時期が到来した場合に、再度、前記光ディスクの記録品質を測定することを特徴とする光ディスク管理装置。
【請求項2】
前記記録品質測定手段により測定された光ディスクの記録品質にて示される劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達する前の所定範囲内にある場合に、該光ディスクに記録されたデータを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られたデータを他の光ディスクに書き込む書込手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク管理装置。
【請求項3】
前記測定時期決定手段は、前記記憶手段に記憶された光ディスクの記録品質の時間遷移に基づいて、次に光ディスクの記録品質を測定すべき時期を決定することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の光ディスク管理装置。
【請求項4】
前記記録品質測定手段は、前記光ディスクに記録されたデータの読み取り時のエラー訂正数、読み取り信号の振幅波形の対称性及びジッタ、読み取りに要した総時間、格納庫からの前記光ディスクの取り出し回数の少なくともいずれかを前記記録品質として測定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ディスク管理装置。
【請求項5】
光ディスク管理装置に搭載される光ディスクを管理する光ディスク管理方法であって、
光ディスクの記録品質を測定する記録品質測定ステップと、
前記記録品質測定ステップにより測定された光ディスクの記録品質に基づいて、次に光ディスクの記録品質を測定すべき時期を決定する測定時期決定手段と、
前記記録品質測定ステップにより測定された光ディスクの記録品質と、前記測定時期決定ステップにより決定された記録品質の測定時期とを記憶手段に記憶させる記憶ステップとを有し、
前記記録品質測定ステップは、前記記憶手段に記憶された記録品質の測定時期が到来した場合に、再度、前記光ディスクの記録品質を測定することを特徴とする光ディスク管理方法。
【請求項6】
前記記録品質測定ステップにより測定された光ディスクの記録品質にて示される劣化の度合いが予め定められた読み取り可能な限界に達する前の所定範囲内にある場合に、該光ディスクに記録されたデータを読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにより読み取られたデータを他の光ディスクに書き込む書込ステップとを有することを特徴とする請求項5に記載の光ディスク管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−204580(P2008−204580A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42226(P2007−42226)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】