説明

光ディスク装置、及び光ディスク装置の光ピックアップ駆動方法

【課題】光ディスクの管理データ領域から予め定められた情報を読み出すときの光ピックアップの駆動位置を決める処理の回数を削減する。
【解決手段】光ディスク上の管理データ領域内の予め定められた位置から予め定められた情報を読み出す光ディスク装置の光ピックアップ駆動方法において、光ピックアップを光ディスクの半径方向に駆動し、光ピックアップにより光ディスク上のデータ領域からアドレス情報を読み出す。また、アドレス情報に対応する光ディスク上の第1半径位置を求め、第1半径位置と、管理データ領域内の予め定められた位置に対応する光ディスク上の第2半径位置との間の距離を求める。そして、アドレス情報を読み出したときの光ピックアップの駆動位置を基準として、求めた距離だけ、光ピックアップを光ディスクの半径方向に相対移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク記録媒体から情報を読み出す光ディスク装置に関し、特に光ディスク装置が光ディスク記録媒体の内周領域から情報を読み出すときの光ピックアップ駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置では、たとえば光ディスクがマウントされると、光ピックアップを光ディスクの内周側の初期位置に移動し、光ディスクの内周領域(管理データ領域)に記録されている物理情報を読み出す初期動作を行う。この物理情報には、光ディスクの種類などを示す光ディスク情報や、光ディスクに対する制御情報などを有している。光ディスク装置は、この物理情報に基づいて、光ディスクの再生動作や記録動作を行う。
【0003】
従来、このような初期動作を開始するとき、装置内に固定されたメカスイッチを用いて光ピックアップの初期位置を設定している。たとえば、特許文献1では、機械的な内周検出スイッチにピックアップヘッドが接触する位置をピックアップヘッドの初期位置とすることを開示している。また、特許文献2では、光ピックアップを光ディスクの内周領域に移動させるとき、光ディスクの内周側に設けられた物理的なストッパーに押し当てて、初期位置を決定することを開示している。また、特許文献3では、光磁気ディスクに設けられた初期位置センサにより、ピックアップユニットの初期位置を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−027557号公報
【特許文献2】特開2005−190630号公報
【特許文献3】特開2001−307440号公報
【特許文献4】特開2007−066454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、メカスイッチを用いて光ピックアップの初期位置が設定されると、メカスイッチの取り付け位置のバラツキにより光ピックアップが内周領域に到達できないなど、光ピックアップの駆動エラーが起こることがある。図4は、従来の光ディスク装置においてメカスイッチの取付位置のばらつきにより生じる光ピックアップの駆動エラーの一例を示す図である。
【0006】
図4のように、光ディスク装置が光ディスク200の内周領域201から物理情報を読み出すとき、通常、光ピックアップは、初期位置Aから光ディスク200の半径方向rに予め定められた第1駆動距離R1だけ移動する。そして、データ領域201内の位置Bにてフォーカスサーボ制御やトラッキングサーボ制御を行ったのち、予め定められた第2駆動距離R2だけ移動して、内周領域202内の位置Cから物理情報を読み出す。
【0007】
ここで、メカスイッチの取付位置のばらつきにより、光ピックアップの初期位置が位置Aからxだけずれた位置aとなっていると、位置aから第1駆動距離R1だけ移動した位置bにてフォーカスサーボ制御やトラッキングサーボ制御を行う。そののち、光ピックアップは位置bから第2駆動距離R2だけ移動するが、位置cまで駆動しても内周領域202内に到達しないことがある。このような光ピックアップの駆動エラーが発生する場合には、光ピックアップを内周領域に移動させるために、光ピックアップを繰り返し駆動して、光ピックアップの第1駆動距離R1や第2駆動距離R2を補正する必要がある。そのため、光ディスク装置が物理情報を読み出す処理が複雑となり、また、その処理に要する時間も長くなるという問題がある。
【0008】
これに対して、特許文献1では、ピックアップヘッドがストッパに当接する時のステッピングモータのロータの回転角に基づいてピックアップヘッドの初期位置を設定しているが、当接するときのロータの回転角を予め試行により求める必要がある。また、特許文献2では、初期位置から光ディスクの内周領域で信号を読み取る位置に光ピックアップを移動させるための送り制御量を求めているが、そのためには、予め送り制御量学習用の基準ディスクを用いて送り制御量を繰り返し測定しておく必要がある。また、特許文献3では、初期位置から光磁気ディスクの内周領域までピックアップを移動させるための送り量を補正しているが、そのためには、調整用光磁気ディスクを用いて、補正すべきピックアップ送り量を予め求めておく必要がある。
【0009】
また、たとえば特許文献4には、トラッキングサーボ制御の開始時に、所望の半径位置に相当するアドレスをシークするように光ピックアップを駆動することが開示されている。特許文献4では、メカスイッチを用いずに初期位置を設定しているが、光ディスクから物理情報を読み出す際にどのような駆動を行うかについての記載はない。
【0010】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、光ディスクの管理データ領域から予め定められた情報を読み出すときの光ピックアップの駆動位置を決める処理の回数を削減することができる光ディスク装置、及び光ピックアップ駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置は、光ディスク上の管理データ領域内の予め定められた位置から予め定められた情報を読み出す光ディスク装置において、前記光ディスクから情報を読み出す光ピックアップと、前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に駆動する駆動部と、前記光ピックアップにより、前記光ディスク上のデータ領域からアドレス情報を読み出す再生制御回路部と、前記アドレス情報に対応する前記光ディスク上の第1半径位置を求め、第1半径位置と、前記光ディスク上の前記管理データ領域内の前記予め定められた位置に対応する前記光ディスク上の第2半径位置との間の距離を求める位置算出回路部と、前記アドレス情報を読み出したときの前記光ピックアップの駆動位置を基準として、前記位置算出回路部が求めた前記距離だけ、前記光ピックアップを前記光ディスクの前記半径方向に相対駆動させるように前記駆動部を制御する駆動制御回路部と、を備える。
【0012】
上記構成によれば、光ディスク上の管理データ領域内の予め定められた位置から予め定められた情報を読み出すとき、データ領域にて読み出したアドレス情報に対応する第1半径位置を求め、さらに、第1半径位置と、光ディスク上の管理データ領域内の前記予め定められた位置に対応する第2半径位置との間の距離を求める。そして、データ領域にてアドレス情報を読み出した時の光ピックアップの駆動位置を基準として、求めた距離だけ、光ピックアップを光ディスクの半径方向に相対移動させる。そのため、光ピックアップの初期位置に関わらず、光ピックアップを正確に駆動して、光ディスク上の管理データ領域から予め定められた情報を読み出すことができる。従って、光ディスクの管理データ領域から予め定められた情報を読み出すときの光ピックアップの駆動位置を決める処理の回数を削減することができる。
【0013】
上記構成において、前記光ディスクがブルーレイディスクであってもよい。また、前記管理データ領域がPID領域であってもよい。
【0014】
また、上記構成において、前記光ディスク装置に前記光ディスクを装着したとき、前記光ディスク上の前記管理データ領域内の前記予め定められた位置から予め定められた情報を読み出してもよい。
【0015】
また、上記構成において、前記光ディスク装置を起動したとき、前記光ディスク上の前記管理データ領域内の前記予め定められた位置から予め定められた情報を読み出してもよい。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の光ピックアップ駆動方法は、光ディスク上の管理データ領域内の予め定められた位置から予め定められた情報を読み出す光ディスク装置の光ピックアップ駆動方法において、前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に駆動するステップと、前記光ピックアップにより前記光ディスク上のデータ領域からアドレス情報を読み出すステップと、前記アドレス情報に対応する前記光ディスク上の第1半径位置を求めるステップと、第1半径位置と、前記管理データ領域内の前記予め定められた位置に対応する前記光ディスク上の第2半径位置との間の距離を求めるステップと、前記アドレス情報を読み出したときの前記光ピックアップの駆動位置を基準として、前記距離を求めるステップにおいて求めた前記距離だけ、前記光ピックアップを前記光ディスクの前記半径方向に相対移動させるステップと、を備える。
【0017】
上記構成によれば、光ディスク上の管理データ領域内の予め定められた位置から予め定められた情報を読み出すとき、データ領域にて読み出したアドレス情報に対応する第1半径位置を求め、さらに、第1半径位置と、光ディスク上の管理データ領域内の前記予め定められた位置に対応する第2半径位置との間の距離を求める。そして、データ領域にてアドレス情報を読み出した時の光ピックアップの駆動位置を基準として、求めた距離だけ、光ピックアップを光ディスクの半径方向に相対移動させる。そのため、光ピックアップの初期位置に関わらず、光ピックアップを正確に駆動して、光ディスク上の管理データ領域から予め定められた情報を読み出すことができる。従って、光ディスクの管理データ領域から予め定められた情報を読み出すときの光ピックアップの駆動位置を決める処理の回数を削減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光ディスク上の管理データ領域内の予め定められた位置から予め定められた情報を読み出すとき、データ領域にて読み出したアドレス情報に対応する第1半径位置を求め、さらに、第1半径位置と、光ディスク上の管理データ領域内の前記予め定められた位置に対応する第2半径位置との間の距離を求める。そして、データ領域にてアドレス情報を読み出した時の光ピックアップの駆動位置を基準として、求めた距離だけ、光ピックアップを光ディスクの半径方向に相対移動させる。そのため、光ピックアップの初期位置に関わらず、光ピックアップを正確に駆動して、光ディスク上の管理データ領域から予め定められた情報を読み出すことができる。従って、光ディスクの管理データ領域から予め定められた情報を読み出すときの光ピックアップの駆動位置を決める処理の回数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した光ディスク装置の構成図である。
【図2】本実施形態に係る光ディスクの記録構造図である。
【図3】本実施形態に係る光ディスク装置が光ディスクから物理情報を読み出す手順を示すフローチャートである。
【図4】従来の光ディスク装置においてメカスイッチの取付位置のばらつきにより生じる光ピックアップの駆動エラーの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
本発明を適用した光ディスク装置1は、たとえばBDプレイヤーであり、着脱可能な光ディスク2に対して情報の書き込み(記録)や読み出し(再生)を行う。図1は、本発明を適用した光ディスク装置の構成図である。図1に示すように、光ディスク装置1は、光ピックアップ部11(光ピックアップ)と、メモリ12(記憶部)と、制御回路部13と、LDドライバ14と、スレッドモータ15(駆動部)と、スピンドルモータ16と、サーボ回路部17と、映像音声処理回路部18と、出力回路部19と、を備えている。このほか、光ディスク装置1は、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置を備えていてもよい。
【0022】
光ピックアップ部11は、光ディスク装置1に光ディスク2がマウント(装着)されたとき、光ディスク2に対してフォーカスサーチを行うとともに、マウントされた光ディスク2に対して、データの書き込み(記録)や読み出し(再生)を行う。光ピックアップ部11は、レーザダイオード111と、ビームスプリッタ112と、対物レンズ113と、アクチュエータ114と、フォトダイオード115と、を有している。なお、以下では、レーザダイオードをLDと呼び、フォトダイオードをPDと呼ぶ。
【0023】
LD111は、LDドライバ14から供給される駆動電力に応じた強さのレーザ光を出射する半導体レーザ素子であり、BD用のレーザ光を出射する第1LD111aと、DVD用のレーザ光を出射する第2LD111bと、を有している。このほか、LD111はCD用のレーザ光を出射する第3LDを有していてもよい。なお、LD111には一定の定格電圧が印加されている。そのため、実際には、LD111のレーザ光の光出力はLDドライバ14から供給される駆動電流Iopにより制御されている。
【0024】
ビームスプリッタ112は、LD111から出射されるレーザ光を、光ディスク装置1にマウントされている光ディスク2の記録面へと導く。また、ビームスプリッタ112は、光ディスク2の記録面にて反射されたレーザ光(以下、反射光と呼ぶ。)を、PD115に導く。
【0025】
対物レンズ113は、光ディスク2の記録面に入射するレーザ光を集光して、レーザ光による光スポットを光ディスク2の記録面上に形成する。
【0026】
アクチュエータ114は、フォーカスサーチやトラッキング調整などを行うために、サーボ回路部17から出力される制御信号に基づいて、対物レンズ113をフォーカス方向(光ディスク2の記録面に略垂直な方向)やトラッキング方向(光ディスク2の半径方向r)に駆動する。
【0027】
PD115は、受光する反射光を光電変換し、この反射光の強さに応じた大きさの電流信号を生成する。なお、PD115において生成された電流信号は、所定の変換回路によって、当該電流信号の大きさに対応した電圧信号に変換されるようになっていてもよい。いずれにしても、光ピックアップ部11によって、反射光の強さに応じた大きさの光電変換信号(電流信号あるいは電圧信号)が生成されることになる。また、この光電変換信号は、反射光の強さを反映しているため、光ディスク2に対して記録又は読み取ったデータを含むとともに、LD111から出射されたレーザ光の光出力の情報をも含んでいる。そこで光ディスク装置は、この光電変換信号をLD111が発するレーザ光の光出力をフィードバック制御するための制御信号としても利用する。そのため、PD115から出力される光電変換信号は、LDドライバ14及び映像音声処理回路部18に出力される。
【0028】
メモリ12は不揮発性の記録媒体である。メモリ12は、制御回路部13により利用される制御情報及びプログラム、光ディスク2から読み出した情報(たとえば光ディスク情報などを含む物理情報)などを格納している。そのほか、メモリ12は、映像音声処理回路部18にて生成されるコンテンツデータや、出力回路部19に対して入出力されるデータなどを格納している。
【0029】
また、メモリ12に格納されている制御情報は、光出力データテーブルや駆動制御情報、駆動誤差情報などを含んでいる。光出力データテーブルには、光ディスク2の物理的特性(たとえば、反射率など)、フォーカスサーチの条件(たとえば、フォーカス信号のS字カーブの数や、フォーカスサーチに必要な時間など)、LD111のレーザ光の光出力(たとえば、再生パワー及び記録パワー)の設定値、LD111に供給する駆動電力(駆動電圧及び駆動電流Iop)の設定値などが、光ディスク2の種類と関連付けられて、予め設定されている。
【0030】
また、駆動制御情報は、光ディスク装置1が光ディスク2上の内周領域21から物理情報を読み出すときに必要な制御情報であり、光ディスク2上の位置B(図4参照)の半径方向rに対する半径位置(第1半径位置)、光ディスク2上の位置Cの半径方向rに対する半径位置(第2半径位置)、第1駆動距離R1、及び第2駆動距離R2などが設定されている。なお、駆動制御情報が示す半径位置は、光ディスク2の半径方向rに対する位置を示しており、例えば、光ディスク2の中心点O(図2参照)からの距離で表される。また、第1駆動距離R1は、光ディスク2上の位置Aに対応する第1駆動位置(基準位置)から光ディスク2上の位置Bに対応する第2駆動位置まで光ピックアップ部11を駆動させるときの光ピックアップ部11の駆動量である。また、第2駆動距離R2は、光ディスク2上の位置Bに対応する第2駆動位置から光ディスク2上の位置Cに対応する第3駆動位置まで光ピックアップ部11を駆動させるときの光ピックアップ部11の駆動量である。なお、第1駆動距離R1及び第2駆動距離R2は光ディスク2の半径方向rの変位量を示している。
【0031】
また、駆動誤差情報は光ピックアップ部11が内周領域21から物理情報を読み出すときの光ピックアップ部11の駆動位置のずれx(図4参照)を示している。光ディスク情報は、光ディスク2の種類などを示す管理情報であり、光ディスク2の内周領域21(たとえば、BDのPIC領域)に記録されている物理情報に含まれている。
【0032】
制御回路部13は、メモリ12に格納された制御情報やプログラムを利用して光ディスク装置1の各部を制御している。また、制御回路部13は、判別回路部131と、再生制御回路部132と、位置算出回路部133と、駆動制御回路部134と、光出力設定回路部135と、を有している。
【0033】
判別回路部131は、フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2の種類を判別する。なお、光ディスク2の種類とは、光ディスク2の規格(たとえば、CD、DVD、BDなど)、光ディスク2の記録層の数、光ディスク2が再生専用、追記型の記録再生用、書き換え可能型の記録再生用のうちのいずれに該当するか、などを意味している。
【0034】
再生制御回路部132は、光ピックアップ部11のフォーカスサーボ調整及びトラッキングサーボ調整などの信号調整処理を行うとともに、光ピックアップ部11により光ディスク2から情報を読み出す。
【0035】
また、位置算出回路部133は、光ディスク2上の位置B(図4参照)にて読み出したアドレス情報に対応する光ディスク2上の第1半径位置を求め、第1半径位置と、光ディスク2上の内周領域21内の予め定められた位置Cに対応する光ディスク上の第2半径位置との間の距離を、第2駆動距離R2として求める。
【0036】
駆動制御回路部134は、スレッドモータ15の駆動制御を行うための制御信号をサーボ回路部17に出力する。この制御信号により、駆動制御回路部134は、サーボ回路部17を介して、光ディスク2上の位置Bからアドレス情報を読み出したときの光ピックアップ部11の駆動位置(第2駆動位置)を基準として、位置算出回路部133が求めた距離(すなわち第2駆動距離R2)だけ、光ピックアップ部11を光ディスク2の半径方向rに相対駆動させるように、スレッドモータ15を制御する。
【0037】
光出力設定回路部135は、メモリ12に格納されている光出力データテーブルを参照し、光ディスク2の種類に応じて、LDドライバ14がLD111に供給する駆動電力の電力値を設定するとともに、設定した駆動電力の電力値に応じたLD111の光出力の制御、及びLD111の発光/停止(すなわち、LD111に駆動電力を供給するか否か)の制御をするための発光制御信号をLDドライバ14に出力する。また、光出力設定回路部135は、これらの駆動電力の電力値に応じたLD111の光出力の制御、及びLD111の発光/停止(すなわち、LD111に駆動電力を供給するか否か)の制御をするための発光制御信号をLDドライバ14に出力する。なお、実際には、LD111に一定値の駆動電圧が印加されるため、LD111の光出力はLD111に供給する駆動電流Iopにより制御される。従って、光出力設定回路部135は、光ディスク2の種類に応じて、LDドライバ14がLD111に供給する駆動電流Iopの電流値を設定する。
【0038】
LDドライバ14は、光出力設定回路部135から入力される発光制御信号に基づいて、LD111の発光/停止を制御する発光制御回路部である。また、LDドライバ14は、LD111に一定の駆動電圧を印加するとともに、LD111の光出力制御を行うために、LD111に供給する駆動電流Iopの電流値を制御している。また、LDドライバ14は、LD111の光出力をフィードバック制御するAPC(Automatic Power Control)機能を有している。LDドライバ14は、LD111から出射されるレーザ光の光出力(たとえば記録パワーや再生パワー)が変動しないように、PD115から入力される光電変換信号に基づいて、LD111に供給する駆動電流Iopの電流値をフィードバック制御している。
【0039】
スレッドモータ15は、サーボ回路部17から出力される制御信号に基づいて、光ディスク2の半径方向rに光ピックアップ部11を駆動する駆動部である。スピンドルモータ16は、サーボ回路部17から出力される制御信号に基づいて、光ディスク2を回転させる回転駆動部である。サーボ回路部17は、制御回路部13から入力される制御信号に基づいて、光ピックアップ部11内のアクチュエータ114、スレッドモータ15、及びスピンドルモータ16の駆動制御を行っている。
【0040】
映像音声処理回路部18は、光電変換信号に対して各種の処理(復調処理など)を施し、光電変換信号に基づいて様々なコンテンツデータ(たとえば、映像データや、音声データ、文字データなど)を生成し、たとえば映像信号や音声信号として出力回路部19に出力する。出力回路部19は、外部接続端子を有し、外部の機器に対して映像信号や音声信号、制御信号を入出力するインターフェースである。
【0041】
また、光ディスク2は、少なくともブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)を含む光ディスク記録媒体である。なお、以下では、ブルーレイディスクをBDと呼ぶ。そのほかに、光ディスク2には、たとえばDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)などの光ディスク記録媒体が含まれるが、特に限定しない。図2は、本実施形態に係る光ディスクの記録構造図である。図2に示すように、光ディスク2の記録面上には、光ディスク2の内周から順に、内周領域21、データ領域22、外周領域23が設けられる。内周領域21は、たとえば、BDのPIC領域やDVDのリードイン領域であり、光ディスク2の管理・制御データを示す物理情報が記録された管理データ領域である。また、データ領域22はユーザが任意に利用できる記録領域である。
【0042】
次に、光ディスク装置1が光ディスク2上の内周領域21(管理データ領域)から物理情報(予め定められた情報)を読み出す手順を説明する。図3は、本実施形態に係る光ディスク装置が光ディスクから物理情報を読み出す手順を示すフローチャートである。なお、図3の開始時において、光ピックアップ部11は初期位置として図2の位置Aに対応する第1駆動位置にあるものとする。
【0043】
光ディスク装置1に光ディスク2がマウント(装着)されると(ステップS101)、駆動制御回路部134は、メモリ12に格納されている駆動制御情報を参照し、光ピックアップ部11を図2の位置Aに対応する第1駆動位置(基準位置)から光ディスク2の外周側に向かって、光ディスク2の半径方向rに対して第1駆動距離R1だけ駆動する(ステップS102)。これにより、光ピックアップ部11は、図2の位置Bに対応する第2駆動位置まで駆動される。
【0044】
光ピックアップ部11が光ディスク2上のデータ領域22内の位置Bに対応する第2駆動位置まで駆動されると、再生制御回路部132が光ディスク上の位置Bにてフォーカスサーボ調整及びトラッキングサーボ調整を行う(ステップS103)。
【0045】
次に、判別回路部131が、フォーカスサーボ調整時のフォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2の種類を判別するとともに、光ディスク2がBDであるか否かを判定する(ステップS104)。たとえば、判別回路部131は、フォーカスサーチの際に光ディスク2の反射率を検出し、メモリ12に格納されている光出力データテーブルを参照して、光ディスク2の種類を判別する。或いは、光出力データテーブルを参照して、フォーカスサーチに要した時間から光ディスク2の種類を判別してもよい。光ディスク2の構造(たとえば、記録面側の保護層の厚さなど)や光学特性(記録面での反射率など)は、光ディスク2の規格(たとえばCD、DVD、及びBDなど)によって大きく異なる。そのため、光出力データベースを参照して、フォーカスサーチの際に検出した反射率、フォーカスエラー信号のS字カーブの数、フォーカスサーチに要した時間などを比較すれば、光ディスク2の種類をおおよそ判別することが可能である。
【0046】
フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2がBDではないと判別されたとき(ステップS104でNo)、駆動制御回路部134は、光ピックアップ部11にシーク動作をさせながら、光ディスク2の半径方向rに対して内周側に向かって光ピックアップ部11を駆動するための制御信号をサーボ回路17に出力するとともに、光ピックアップ部11により光ディスク2の内周領域21から物理情報を読み出す(ステップS105)。そして、後述するステップS116の処理に進む。
【0047】
一方、フォーカスサーチの結果に基づいて、光ディスク2がBDであると判別されたとき(ステップS104でYes)、再生制御回路部101は、光ピックアップ部11により、光ディスク2上のデータ領域22内の位置B(図2参照)からアドレス情報を読み出す(ステップS106)。位置算出回路部133は、再生制御回路部101がデータ領域22の位置Bからアドレス情報を読み出すと、読み出したアドレス情報に対応する光ディスク2上の第1半径位置を求める(ステップS107)。この第1半径位置は、光ディスク2の半径方向rに対する位置を示しており、たとえば、光ディスク2の中心点O(図2の点O)からの距離で表される。
【0048】
次に、位置算出回路部133は、メモリ12に駆動誤差情報が格納されているか否かを判定する(ステップS108)。メモリ12に駆動誤差情報が格納されている場合(ステップS108でYes)、後述するステップS112の処理に進む。
【0049】
一方、メモリ12に駆動誤差情報が格納されていない場合(ステップS108でNo)、位置算出回路部133は、メモリ12に格納されている駆動制御情報を参照し、再生制御回路部101が読み出したアドレス情報に対応する第1半径位置と、駆動制御情報が示す位置Bの半径位置とを比較して、その差xを駆動誤差として求める(ステップS109)。さらに、位置算出回路部133は、駆動誤差xを示す駆動誤差情報を作成してメモリ12に格納する(ステップS110)。そして、位置算出回路部133は、駆動誤差xが0(すなわちx=0)であるか否かを判定する(ステップS111)。駆動誤差xが0である場合(ステップS111でYes)、後述するステップS113の処理に進む。
【0050】
一方、メモリ12に駆動誤差情報が格納されている場合(ステップS108でYes)、又は、駆動誤差xが0ではない場合(ステップS111でNo)、位置算出回路部133は、駆動制御情報が示す第1駆動距離R1を駆動誤差xに応じて補正したのち、補正した第1駆動距離R1を駆動制御情報に設定してメモリ12に上書きで格納する(ステップS112)。
【0051】
次に、補正した駆動制御情報をメモリ12に上書きで格納したのち(ステップS112の後)、又は、駆動誤差xが0である場合(ステップS111でYes)、位置算出回路部133は、メモリ12に格納されている駆動制御情報を参照して、再生制御回路部101が光ディスク2上の位置Bから読み出したアドレス情報に対応する第1半径位置と、光ディスク2上の内周領域21内の予め定められた位置Cに対応する光ディスク上の第2半径位置との間の第2駆動距離R2を求める(ステップS113)。なお、位置Cは、図2に示すように、光ディスク上の内周領域21において光ディスク情報を含む物理情報が記録されている位置である。このとき、位置算出回路部133は、求めた第2駆動距離R2を駆動制御情報に設定して、メモリ12に上書きで格納してもよい。
【0052】
駆動制御回路303は、サーボ回路部17に制御信号を出力して、光ディスク2上の位置Bからアドレス情報を読み出したときの光ピックアップ部11の第2駆動位置を基準として、光ピックアップ部11を光ディスク2の半径方向rに対して、位置算出回路部133が求めた第2駆動距離R2だけ相対駆動するように、スレッドモータ15を制御する(ステップS114)。これにより、光ピックアップ部11は、光ディスク2上の内周領域21内の位置Cに対応する第3駆動位置にまで駆動される。
【0053】
再生制御回路部132は、光ピックアップ部11により光ディスク2上の内周領域21内の位置Cから物理情報を読み出す(ステップS115)。取得した物理情報には、光ディスク2の管理情報(たとえば、光ディスク2の種類など)を示す光ディスク情報が含まれている。
【0054】
光ディスク2の内周領域21から物理情報が読み出されると、光出力設定回路部135は、メモリ12に格納されている光出力データテーブルを参照し、光ディスク情報が示す光ディスク2の種類に基づいて、LD111の光出力や、LD111の光出力制御に必要なパラメータ(たとえば、サーボゲインやRF信号のレベルなど)を調整する(ステップS116)。そして、制御回路部13が処理を終了させる。
【0055】
以上の手順により、光ディスク装置1が光ディスク2上の内周領域21から物理情報を読み出す。こうすれば、光ピックアップ部11の処理開始時の基準位置(第1駆動位置)に関わらず、光ピックアップ部11を正確に駆動して、光ディスク2上の内周領域21(管理データ領域)から物理領域(予め定められた情報)を読み出すことができる。従って、光ディスク2の内周領域21(管理データ領域)から物理領域(予め定められた情報)を読み出すときの光ピックアップ部11の駆動位置(第3駆動位置)を決める処理の回数を削減することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、光ディスク装置1に光ディスク2がマウントされるときを例として説明したが、同様の処理が、工場出荷時や光ディスク装置1の電源投入時等にも行われるものとしてもよい。或いは、マウントされるときに代えて、工場出荷時や光ディスク装置1の電源投入時のみに行われるものとしてもよい。
【0057】
以上、本発明について実施形態をもとに説明した。これら実施形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせに色々な変形例が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0058】
1 光ディスク装置
11 光ピックアップ部
111 レーザダイオード、LD
112 ビームスプリッタ
113 対物レンズ
114 アクチュエータ
115 フォトダイオード、PD
12 メモリ(記憶部)
13 制御回路部
131 判別回路部
132 再生制御回路部
133 位置算出回路部
134 駆動制御回路部
135 光出力設定回路部
14 LDドライバ
15 スレッドモータ(駆動部)
16 スピンドルモータ
17 サーボ回路部
18 映像音声処理回路部
19 出力回路部
2 光ディスク
21 内周領域(管理データ領域)
22 データ領域
23 外周領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク上の管理データ領域内の予め定められた位置から予め定められた情報を読み出す光ディスク装置において、
前記光ディスクから情報を読み出す光ピックアップと、
前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に駆動する駆動部と、
前記光ピックアップにより、前記光ディスク上のデータ領域からアドレス情報を読み出す再生制御回路部と、
前記アドレス情報に対応する前記光ディスク上の第1半径位置を求め、第1半径位置と、前記光ディスク上の前記管理データ領域内の前記予め定められた位置に対応する前記光ディスク上の第2半径位置との間の距離を求める位置算出回路部と、
前記アドレス情報を読み出したときの前記光ピックアップの駆動位置を基準として、前記位置算出回路部が求めた前記距離だけ、前記光ピックアップを前記光ディスクの前記半径方向に相対駆動させるように前記駆動部を制御する駆動制御回路部と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記光ディスクがブルーレイディスクであることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記管理データ領域がPID領域であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記光ディスク装置に前記光ディスクを装着したとき、前記光ディスク上の前記管理データ領域内の前記予め定められた位置から予め定められた情報を読み出すことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記光ディスク装置を起動したとき、前記光ディスク上の前記管理データ領域内の前記予め定められた位置から予め定められた情報を読み出すことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項6】
光ディスク上の管理データ領域内の予め定められた位置から予め定められた情報を読み出す光ディスク装置の光ピックアップ駆動方法において、
前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に駆動するステップと、
前記光ピックアップにより前記光ディスク上のデータ領域からアドレス情報を読み出すステップと、
前記アドレス情報に対応する前記光ディスク上の第1半径位置を求めるステップと、
第1半径位置と、前記管理データ領域内の前記予め定められた位置に対応する前記光ディスク上の第2半径位置との間の距離を求めるステップと、
前記アドレス情報を読み出したときの前記光ピックアップの駆動位置を基準として、前記距離を求めるステップにおいて求めた前記距離だけ、前記光ピックアップを前記光ディスクの前記半径方向に相対移動させるステップと、
を備えることを特徴とする光ディスク装置の光ピックアップ駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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