説明

光ディスク装置及び光ディスク装置におけるプログラムの置き換え方法

【課題】データの提供を継続しながらプログラムの置き換えを行っても、そのデータに基づいて再生されるコンテンツに乱れが生じないようにする。
【解決手段】光ディスク101のデータは、所定のタイミングで大容量メモリ107に格納される。CPU106は、書き換え可能なフラッシュROM111に記憶済みのプログラムの置き換え要求を受け取った後、ホストコンピュータ112からデータの要求がなされた場合、光ディスク101の代わりに大容量メモリ107からホストコンピュータ112に対してデータを提供している間に、フラッシュROM111に記憶されている現行のプログラムを新しいプログラムで置き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置及び光ディスク装置におけるプログラムの置き換え方法に関し、特に、プログラムによって動作が制御される光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルバーサタイルディスクなどの光ディスクを介してユーザに提供されるコンテンツのバリエーションが増加しており、光ディスク装置に求められる性能が上昇している。一般的に光ディスク装置は、全体の動作を制御するファームウェアとしてのプログラムが、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリ(以下「フラッシュメモリ」を挙げる)に内蔵されている。光ディスク装置においては、プログラムの改良などがあった場合、フラッシュメモリの従前のプログラムを当該改良が反映された新しいプログラムで置き換える必要がある。
【0003】
従来の光ディスク装置においては、このようにプログラムを置き換える際には、その従前のプログラムの動作を停止するとともに当該従前のプログラムをフラッシュメモリから削除した後、新しいプログラムをフラッシュメモリに書き込んでいる。その他にも、従来の光ディスク装置においては、ファームウェアである新しいプログラムをバックグランド処理として更新するが、その更新中には、ファームウェアの更新を優先させるために内部処理を禁止するなどして、当該更新まで待ち状態としている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−46791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のようにプログラムの置き換えの際に、一旦、プログラムの動作を停止させたり待ち状態としたりするのは、光ディスク装置の誤作動を防止したり当該更新処理の実行を優先するためであるが、このように従前のプログラムを停止などすると、当然ながら、光ディスク装置を連続的に稼働させることができなくなる。そして、プログラムの置き換えの前後にわたり連続的な稼働状態の継続が求められる場合においては、従来の光ディスク装置では、例えば光ディスクからデータを提供している間、フラッシュメモリのプログラムを置き換えることができなかった。仮に、これを無理に置き換えた場合には、そのデータに基づいて再生されるコンテンツに乱れが生じてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、データの提供を継続しながらプログラムの置き換えを行っても、そのデータに基づいて再生されるコンテンツに乱れが生じないようにすることができる光ディスク装置及び光ディスク装置におけるプログラムの置き換え方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、本発明においては、光ディスクを回転させる駆動機構と、光源からの光ビームを前記光ディスクに照射して前記光ディスクのデータを読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行う光学機構と、前記駆動機構及び前記光学機構との間における信号処理を制御する信号処理部と、前記駆動機構、前記光学機構及び前記信号処理部を制御するための現行のプログラムが記憶された書き換え可能な不揮発性記憶部と、前記現行のプログラムの動作を制御する制御部と、前記光ディスクから読み出されたデータを記憶する特殊容量記憶部と、上位装置が接続されるインターフェースと、前記現行のプログラムと置き換えられるべき新しいプログラムが記憶されるバッファとを備え、前記制御部は、前記上位装置によるデータの要求に応じて、前記光ディスクの代わりに前記特殊容量記憶部から前記データを前記上位装置に対して提供するデータ提供部と、前記データ提供部によって前記データが提供されている間に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記現行のプログラムを前記新しいプログラムで置き換えるプログラム置き換え部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明においては、光ディスクを回転させる駆動機構と、光源からの光ビームを前記光ディスクに照射して前記光ディスクのデータを読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行う光学機構と、前記駆動機構及び前記光学機構との間における信号処理を制御する信号処理部とを制御するための現行のプログラムの動作を制御部が制御する制御ステップと、前記制御部が、前記光ディスクから読み出したデータを特殊容量記憶部に退避させるデータ退避ステップと、前記制御部が、書き換え可能な不揮発性記憶部に記憶された前記現行のプログラムと置き換えられるべき新しいプログラムをバッファに記憶するプログラム記憶ステップと、前記制御部が、上位装置によるデータの要求に応じて、データを記憶する光ディスクの代わりに前記特殊容量記憶部から前記上位装置に対して前記データを提供するデータ提供ステップと、前記制御部が、前記データ提供ステップにおいて前記データが提供されている間に、前記制御部が、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記現行のプログラムを前記新しいプログラムで置き換えるプログラム置き換えステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、データの提供を継続しながらプログラムの置き換えを行っても、そのデータに基づいて再生されるコンテンツに乱れが生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態による光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】制御部が有する機能の一例を示すブロック図である。
【図3】データ退避処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】コマンド処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態によるコマンド処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0011】
100……光ディスク装置、101……光ディスク、106……CPU、106A……データ提供部、106B……プログラム置き換え部、107……大容量メモリ、111……フラッシュROM、112……ホストコンピュータ、113……バス。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面について、本発明の一実施の形態について詳述する。
【0013】
(1)第1の実施の形態
(1−1)光ディスク装置の全体構成
図1は、第1の実施の形態による光ディスク装置100の概略構成を示す。光ディスク装置100は、光ディスク101が着脱可能であり、ホストインターフェース110を介して上位装置の一例としてのホストコンピュータ112が接続されている。
【0014】
光ディスク101は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)のような記憶済みのデータが読み出される記録媒体の一種である。なお、光ディスク101は、このようにデータが読み出されるだけでなく、データを新たに書き込むことができる記録媒体であっても良い。
【0015】
光ディスク装置100は、駆動機構として、スピンドルモータドライバ109及びスピンドルモータ(図示せず)を搭載するとともに、光学機構として、ピックアップ102、プリアンプ103及びアクチュエータドライバ108を搭載する。その他にも、光ディスク装置100は、信号処理部104、バッファ104、大容量メモリ107、CPU(Central Processing Unit)106、フラッシュROM(Read Only Memory)111、バス113及びインターフェース110を有する。
【0016】
駆動機構においては、スピンドルモータドライバ109の制御によってスピンドルモータが光ディスク101を回転させる。光学機構においては、ピックアップ102が、図示しない光源、対物レンズ及びアクチュエータ等を備えており、アクチュエータドライバ108によって対物レンズが光ディスク101に対して相対的に移動される構成となっている。光学機構は、光源からの光ビームを光ディスク101に照射して光ディスク101のデータを読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行い、プリアンプ103を経由して信号処理部104との間で信号の通信を行う。信号処理部104は、上記駆動機構及び光学機構との間における信号処理を制御する。
【0017】
ピックアップ102は、例えば、出力した光ビームが光ディスク101で反射された戻り光を受け取ったか否かに応じて、光ディスク101が装着されたか否かを検出する機能を有する。なお、光ディスク装置100は、このような光ディスク101の検出機能の代わりに、光ディスク101が光ディスク装置100に装着されたことを検出するための検出部(図示せず)が設けられている形態を採用しても良い。
【0018】
フラッシュROM111は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であり、駆動機構、光学機構及び信号処理部104を制御するためのプログラムが記憶されている。CPU106は、制御部に相当し、プログラムの動作を制御している。CPU106は、ポインタ制御を順次移動させて、そのプログラムに含まれるコードを順次実行する。
【0019】
大容量メモリ107は、特殊容量記憶部の一例であり、光ディスク101から読み出されたデータを記憶するメモリである。大容量メモリ107は、例えば、光ディスク101のデータの記憶領域の記憶領域以上の記憶容量を有し、光ディスク101に記録済みのデータを全て記憶することができる。バッファ104は、主として信号処理部104が一時的に使用する記憶領域を有する記憶媒体である。バッファ104は、第2の不揮発性記憶部の一例であり、外部から取得した新しいプログラムが記憶される。当該新しいプログラムは、フラッシュROM111に格納されているプログラムと置き換えられるべきプログラムである。
【0020】
(1−2)制御部の構成
図2は、図1に示すCPU106の機能を示す。CPU106は、データ提供部106A及びプログラム置き換え部106Bを有し、さらにポインタ制御部106Cを有する。データ提供部106Aは、ホストコンピュータ112によるデータの要求に応じて、光ディスク101の代わりに大容量メモリ107からデータをホストコンピュータ112に対して提供する機能を有する。
【0021】
上述のように大容量メモリ107には、所定のタイミングで光ディスク101から読み出されたデータが全て記憶されている。このように光ディスク101から読み出すデータは、ホストコンピュータ112において再生されるべきコンテンツのデータが含まれていれば良く、光ディスク101自体の制御データは含まれていなくても良い。
【0022】
本実施の形態では、CPU106は、このように大容量メモリ107にデータを退避させたか否かを区別するためにデータ退避フラグを用いる。このデータ退避フラグは、光ディスク101のデータが大容量メモリ107に退避が完了した状態ではオンと設定され、退避されていない状態ではオフと設定される。なお、CPU106は、このようなデータ退避フラグを用いる代わりに、光ディスク装置100にレジスタを内蔵しておき、このレジスタの一領域にオン又はオフを書き込むことで代用しても良い。
【0023】
データ置き換え部106Bは、データ提供部106Aによって上記データが提供されている間に、フラッシュROM111に記憶されている現行のプログラムを新しいプログラムで置き換える機能を有する。データ置き換え部106Bは、フラッシュROM111のプログラムの置き換えの際、フラッシュROM111に格納済みの現行のプログラムを削除した後に、フラッシュROM111に新しいプログラムを書き込む。
【0024】
ポインタ制御部106Cは、2つの機能を備えている。第1の機能は、フラッシュROM111上のプログラムを置き換えるべき旨の指示を受け取ったことを契機として、ホストコンピュータ112などの外部から受け取った新しいプログラムをバッファ104に一時的に記憶させるとともに、バッファ104上の新しいプログラムにポインタ制御を移動させる。第2の機能は、その後、プログラム置き換え部106BによってフラッシュROM111のプログラムが新しいプログラムで置き換えられたことを契機として、当該ポインタ制御をバッファ104の新しいプログラムからフラッシュROM111の新しいプログラムに移動させる。以上のようにして、ポインタ制御部106Cは、フラッシュROM111のファームウェアとしてのプログラムの置き換えの前後を通じて、各プログラムにポインタ制御を移動させ、光ディスク装置100の正常な動作を確保している。
【0025】
(1−3)第1の実施の形態におけるプログラムの置き換え方法
光ディスク装置100は、通常、CPU106が、フラッシュROM111に記憶されている現行のプログラム(置き換え前の従前のプログラム)にポインタ制御が置かれ、当該プログラムのコードが逐一実行されることにより、光ディスク101のデータの読み出しなどが制御されている。光ディスク装置100は、以上のような構成により、ホストコンピュータ112などの外部からのプログラムの置き換え指示コマンドを受け取ったことを契機に、次のようにプログラムの置き換え処理を実行する。
(1−3−1)大容量メモリへのデータ退避処理
第1の実施の形態では、光ディスク装置100は、光ディスク101が装着されたことを契機に、光ディスク101のデータが読み出されて大容量メモリ107に格納される。具体的には、CPU106が次のようなデータ退避処理を実行する。
【0026】
図3は、光ディスク101から大容量メモリ107へのデータ退避処理の手順の一例を示す。データ退避フラグは、デフォルト設定としてオフに設定されている。上述のように当該データ退避フラグは、必要なデータが光ディスク101から大容量メモリ107への退避が完了した状態となるとオンと設定され、当該必要なデータが退避されていない状態となるとオフと設定される。
【0027】
まず、CPU106は、光ディスク101が装着されたことを契機に(SP1)、上記光学機構等を用いて光ディスク101からデータを読み出すとともに大容量メモリ107に格納する(SP2)。CPU106は、このような大容量メモリ107へのデータの退避が完了すると、データ退避フラグをオンに設定する(SP3)。
【0028】
(1−3−2)プログラムの置き換え時における処理
図4は、受信したコマンドを処理するためのコマンド処理の手順の一例を示す。なお、このプログラムの置き換え時における処理は、主としてCPU106によって実行される手順の一例を示している。
【0029】
CPU106は、図示しないコマンド受信バッファにコマンドが存在しているか否かを確認する(SP11)。即ち、CPU106は、インターフェース110を経由して何かしらのコマンドを受信したか否かを確認している。受信しうるコマンドとしては、一般的なコマンド、ホストコンピュータ112からのデータ要求コマンド及びプログラム置き換え指示コマンドを含んでいる。なお、一般的なコマンドは、後述するその他のコマンド処理において処理される通常コマンドを表している。
【0030】
データ要求コマンドは、ホストコンピュータ112があるコンテンツを再生するためのデータを光ディスク装置100から要求する際に、ホストコンピュータ112によって発行されるコマンドである。一方、プログラム置き換え指示コマンドは、フラッシュROM111に記憶されている従前のプログラムを新しいプログラムで置き換えようとする際に発行されるコマンドである。なお、このプログラム置き換え指示コマンドは、ホストコンピュータ112以外において発行されるようにしても良い。
【0031】
次にCPU106は、受信したコマンドがプログラム置き換え指示コマンドであるか否かを確認する(SP12)。ステップSP12において、CPU106が、受信コマンドがプログラム置き換え指示コマンドであると判断した場合には、当該プログラム置き換え指示コマンドに続いてインターフェース110を経由して受信した新しいプログラム(図示の新プログラムに相当)をバッファ104へ格納する(SP13)。
【0032】
次にCPU106は、ポインタ制御を、バッファ104上の新しいプログラムに移動させる(SP14)。これにより、CPU106は、ポインタ制御を、フラッシュROM111の従前のプログラム(のアドレス)からバッファ104の新しいプログラム(のアドレス)に移動させ、当該新しいプログラムの動作を制御することができる状態となる。この状態では、上述のようにポインタ制御が移動済みのため、フラッシュROM111の従前のプログラムが光ディスク装置100の動作に関与していない。
【0033】
一方、上記ステップSP12において、CPU106が、受信コマンドがプログラム置き換え指示コマンドではないと判断した場合には、CPU106は、受信コマンドがデータ要求コマンドであるか否かを判断する(SP20)。CPU106は、受信コマンドがデータ要求コマンドではない場合には、その他のコマンド処理を実行する(SP22)。
【0034】
一方、CPU106は、受信コマンドがデータ要求コマンドである場合、データ退避フラグがオンであるか否かを確認する(SP21)。ここで、データ退避フラグがオンである場合には、ホストコンピュータ112によって再生されるコンテンツに必要なデータが大容量メモリ107に格納済みであることを表している。
【0035】
次にCPU106は、次のようなデータ提供処理を実行する(SP23)。このデータ提供処理では、CPU106のデータ提供部106Aが、光ディスク101の代わりに大容量メモリ107から読み出したデータをホストコンピュータ112に対して提供する。
【0036】
次にCPU106は、次のようなプログラム置き換え処理を実行する(SP24)。このプログラム置き換え処理では、CPU106の一機能であるプログラム置き換え部106Bが、データ提供部106Aによってデータが提供されている間に、フラッシュROM111の従前のプログラムを削除するとともに、バッファ104の新しいプログラムを複写してフラッシュROM111に格納する。これにより、フラッシュROM111に記憶されている従前のプログラムが新しいプログラムで置き換えられることになる。
【0037】
次にCPU106は、フラッシュROM111のプログラムの置き換えが完了したか否かを確認し(SP25)、当該置き換えが完了したことを契機として、バッファ104の新しいプログラムに移動済みのポインタ制御を、フラッシュROM111に置き換えられた新しいプログラムに移動させる(SP26)。
【0038】
このようにポインタ制御の移動が完了すると、CPU106は、次のようにデータ提供方法を切り替える(SP27)。ここでいうデータ提供方法とは、ホストコンピュータ112に対して、大容量メモリ107に代えて従前のように光ディスク101からデータを提供することを表している。即ち、CPU106は、一時的な大容量メモリ107からのデータの提供していた暫定処理を停止させ、そのデータの読み出しの続きから、プログラムの置き換え前からのように光ディスク101からデータを読み出して提供する通常処理に移行させる。
【0039】
次にCPU106は、バッファ104に残っている新たなプログラムを削除する(SP28)。併せてCPU106は、大容量メモリ107のデータを削除し(SP29)、データ退避フラグをオフに設定するようにしても良い(SP30)。この状態では、光ディスク装置100においては、CPU106は、データ提供部106Aによって大容量メモリ107からデータを提供できない状態に戻っている。
【0040】
なお、第1の実施の形態では、CPU106は、ステップSP27を実行してデータ提供方法を変更する代わりに、その後も大容量メモリ107からデータを提供するデータ提供処理を継続するようにしても良い。この場合、CPU106は、上記ステップSP29,SP30の実行を省略することができる。
【0041】
(1−4)第1の実施の形態の効果等
以上説明したように、上記第1の実施の形態における光ディスク装置100は、上記駆動機構、光学機構及び信号処理部104などを制御するためのプログラムが記憶されたフラッシュROM111と、プログラムの動作を制御する制御部としてのCPU106と、光ディスク101から読み出されたデータを記憶する特殊容量記憶部としての大容量メモリ107と、ホストコンピュータ112が接続されるインターフェース110と、従前のプログラムと置き換えられるべき新しいプログラムが記憶されるバッファ104とを備えている。CPU106は、その機能として、ホストコンピュータ112の要求に応じて、光ディスク101の代わりに大容量メモリ107からデータをホストコンピュータ112に対して提供するデータ提供部106Aと、データ提供部106Aによってデータが提供されている間に、フラッシュROM111に記憶されている従前のプログラムを新しいプログラムで置き換えるプログラム置き換え部106Bとを備える。
【0042】
このような構成とすると、光ディスク装置100は、フラッシュROM111のプログラムの置き換えによって駆動機構、光学機構及び信号処理部104は影響を受けるものの、データの提供動作に関しては、ホストコンピュータ112から見た場合に、滞りないように行うことができる。このため、光ディスク装置100は、フラッシュROM111のプログラムが置き換えられている間であっても、ホストコンピュータ112に対して、光ディスク101の代わりに大容量メモリ107からデータを提供する。このようにすると、光ディスク装置100は、データの提供を継続しながらフラッシュROM111のプログラムを置き換えることが可能となり、プログラムの置き換えの前後を通じて連続的な稼働状態を継続することができる。従って、ホストコンピュータ112は、光ディスク装置100においてプログラムが置き換え中であっても、滞りなく提供されるデータに基づくコンテンツを途切れ又は乱れなく再生することができる。
【0043】
上記光ディスク装置100においては、CPU106は、光ディスク101が装着されたことを契機に、上記光学機構によって光ディスク101からデータを読み出すとともに、当該読み出したデータを大容量メモリ107に格納している。
【0044】
このような構成とすると、CPU106は、光ディスク101が装着された後であればどのタイミングであっても、光ディスク101の代わりに大容量メモリ107からデータをホストコンピュータ112に提供しつつ、フラッシュROM111のプログラムを置き換えることができる。
【0045】
上記光ディスク装置100においては、CPU106はポインタCPU106Cを備えている。ポインタCPU106Cは、プログラムを置き換えるべき旨の指示を受け取ったことを契機として、新しいプログラムをバッファ104に一時的に記憶させるとともに、バッファ104上の新しいプログラムにポインタ制御を移動させ、その後、プログラム置き換え部106BによってフラッシュROM111のプログラムが新しいプログラムで置き換えられたことを契機として、ポインタ制御をバッファ104の新しいプログラムからフラッシュROM111の新しいプログラムに移動させる。
【0046】
このような構成とすると、プログラムの置き換え前後においてポインタ制御の移動が適切になされるので、フラッシュROM111においてプログラムの置き換えが生じても、新しいプログラムによって再生機構などが正常に動作することができる。このため、光ディスク装置100は、ホストコンピュータ112に対してデータを滞りなく提供することができ、そのデータによって再生されるコンテンツが連続的で自然なものとなる。
【0047】
上記光ディスク装置100においては、CPU106が、ポインタCPU106Cによって上記ポインタ制御がフラッシュROM111上の新しいプログラムに移動したことを契機として、バッファ104上の新しいプログラムを削除する。
【0048】
(2)第2の実施の形態
第2の実施の形態における光ディスク装置100Aは、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるため、同様の構成については同一の符号を用いて説明を省略し、以下、主として異なる点を中心として説明する。
【0049】
(2−1)データ退避処理の実行タイミング
第2の実施の形態における光ディスク装置100Aは、第1実施の形態における光ディスク装置100とはデータ退避処理の実行タイミングが異なっている。即ち、データ退避処理は、第1の実施の形態においては光ディスク101が光ディスク装置100に装着された際に実行されているが(図3参照)、第2の実施の形態においては、その代わりに、次に示すように、受信した新しいプログラムがバッファ104へ格納された後に実行される。
【0050】
図5は、第2の実施の形態におけるコマンド処理の手順の一例を示す。このコマンド処理は、光ディスク装置100Aにおけるプログラムの置き換え方法を含んでいる。なお、図5に示すフローチャートは、上述した図4に示すフローチャートとほぼ同様な手順を含んでいるが、ステップSP15,S16が追加されている点が異なっている。
【0051】
上述のようにステップSP14では、CPU106は、ポインタを、バッファ104に格納された新しいプログラムに移動させている。これにより、CPU106は、上述のように、当該新しいプログラムの動作を制御することができる状態となっている。
【0052】
このような状態において、CPU106は、上記ステップSP2と同様に、上記光学機構によって光ディスク101からデータを読み出すとともに大容量メモリ107に格納する(SP15)。上述のように大容量メモリ107へのデータの格納が完了すると、CPU106はデータ退避フラグをオンに設定する(SP16)。
【0053】
(2−2)変形例
第2の実施の形態においてCPU106は、上述のように光ディスク101から必要なデータを全て一括して大容量メモリ107に複写する代わりに、光ディスク101のデータを、所定のデータ単位で部分的に繰り返し大容量メモリ107に複写するようにしても良い。この場合、CPU106は、大容量メモリ107への当該部分的なデータの複写及び削除を、上記データ退避フラグを用いて制御するようにしても良い。
【0054】
(2−3)第2の実施の形態の効果等
以上説明したように、上記第2の実施の形態における光ディスク装置100Aは、CPU106が、外部からプログラムの置き換え指示を受け取ったことを契機に、光ディスク101からデータを読み出して大容量メモリ107に格納し、その後、プログラムの置き換えが完了したことを契機に、大容量メモリ107からデータを削除している。
【0055】
このような構成とすると、最初に光ディスク101からデータをまとめて読み出す必要がないため、処理負担を抑制しつつ、CPU106は、光ディスク101の代わりに大容量メモリ107上記データをホストコンピュータ112に提供している間に、フラッシュROM111のプログラムを置き換えることができる。このようにすると、光ディスク装置100Aは、データの提供を継続しながらフラッシュROM111のプログラムを置き換えることが可能となり、プログラムの置き換えの前後を通じて連続的な稼働状態を継続することができる。
【0056】
(3)その他の実施形態
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。例えば、上記実施形態では、各種プログラムの処理をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、処理結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替え又は並行動作するように構成しても良い。
【0057】
上記実施の形態においては、大容量メモリ107及びバッファ104が1つの記憶装置で構成されていても良いし、さらにはこれらいずれかと又はこれらの組み合わせとフラッシュROM111とを含めて1つの記憶装置で構成されていても良い。
【0058】
上記実施の形態では、図1において光ディスク装置100には、インターフェース110にホストコンピュータ112の代わりにテレビジョン受像器などの表示装置が接続されている形態であっても良い。
【0059】
上述した第2の実施形態において、光ディスク101は、書き換え可能な記憶媒体である場合には、光ディスク装置100に内蔵されている形態であっても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを回転させる駆動機構と、
光源からの光ビームを前記光ディスクに照射して前記光ディスクのデータを読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行う光学機構と、
前記駆動機構及び前記光学機構との間における信号処理を制御する信号処理部と、
前記駆動機構、前記光学機構及び前記信号処理部を制御するための現行のプログラムが記憶された書き換え可能な不揮発性記憶部と、
前記現行のプログラムの動作を制御する制御部と、
前記光ディスクから読み出されたデータを記憶する特殊容量記憶部と、
上位装置が接続されるインターフェースと、
前記現行のプログラムと置き換えられるべき新しいプログラムが記憶されるバッファとを備え、
前記制御部は、
前記上位装置によるデータの要求に応じて、前記光ディスクの代わりに前記特殊容量記憶部から前記データを前記上位装置に対して提供するデータ提供部と、
前記データ提供部によって前記データが提供されている間に、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記現行のプログラムを前記新しいプログラムで置き換えるプログラム置き換え部とを備える
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記特殊容量記憶部は、前記光ディスクの記憶容量以上の記憶容量を有し、
前記制御部は、
前記光ディスクが装着されたことを契機に、前記光学機構によって前記光ディスクから全ての前記データを読み出すとともに、当該読み出したデータを前記特殊容量記憶部に格納する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記制御部は、
外部からプログラムの置き換え指示を受け取ったことを契機に、前記光ディスクから前記データを読み出して前記特殊容量記憶部に格納し、その後、前記現行のプログラムの置き換えが完了したことを契機に、前記特殊容量記憶部から前記データを削除する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記現行のプログラムを置き換えるべき旨の指示を受け取ったことを契機として、前記新しいプログラムを前記バッファに一時的に記憶させるとともに、前記バッファ上の前記新しいプログラムにポインタ制御を移動させ、その後、前記プログラム置き換え部によって前記不揮発性記憶部の前記現行のプログラムが前記新しいプログラムで置き換えられたことを契機として、前記ポインタ制御を前記バッファの前記新しいプログラムから前記不揮発性記憶部の前記新しいプログラムに移動させるポインタ制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ポインタ制御部によって前記ポインタ制御が前記不揮発性記憶部上の前記新しいプログラムに移動したことを契機として、前記バッファ上の前記新しいプログラムを削除する
ことを特徴とする請求項4に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
光ディスクを回転させる駆動機構と、光源からの光ビームを前記光ディスクに照射して前記光ディスクのデータを読み出し及び書き込みの少なくとも一方を行う光学機構と、前記駆動機構及び前記光学機構との間における信号処理を制御する信号処理部とを制御するための現行のプログラムの動作を制御部が制御する制御ステップと、
前記制御部が、前記光ディスクから読み出したデータを特殊容量記憶部に退避させるデータ退避ステップと、
前記制御部が、書き換え可能な不揮発性記憶部に記憶された前記現行のプログラムと置き換えられるべき新しいプログラムをバッファに記憶するプログラム記憶ステップと、
前記制御部が、上位装置によるデータの要求に応じて、データを記憶する光ディスクの代わりに前記特殊容量記憶部から前記上位装置に対して前記データを提供するデータ提供ステップと、
前記制御部が、前記データ提供ステップにおいて前記データが提供されている間に、前記制御部が、前記不揮発性記憶部に記憶されている前記現行のプログラムを前記新しいプログラムで置き換えるプログラム置き換えステップとを備える
ことを特徴とする光ディスク装置におけるプログラムの置き換え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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