説明

光ディスク装置

【課題】 構成上の少ない負担でディスクの種別判別を可能とする。
【構成】 フォーカスサーボ回路7Aの内、フォーカスエラー信号FEを所定のしきい値と比較し、フォーカスゼロクロス信号FZCを出力するコンパレータ11Aのしきい値をフォーカスサーチ用とディスク種別判別用に切り換え可能とし、フォーカスサーボ立ち上げ時、コントローラ13Aはコンパレータ11Aのしきい値をフォーカスサーチ用の所定値THF に切り換え後、フォーカスサーチ信号を出力して光ピックアップ3が照射されたレーザビームが光ディスク1の信号面と合焦する直前で立ち下がるFZC信号を出力させる。ディスク種別判別時はコンパレータ11Aのしきい値をディスク種別判別用のTHD に切り換え後、フォーカスサーチ信号を出力し、FZCがハイになったか否か監視することで、光ディスク1がCDまたはCD−Rであるか、或いはCD−RWであるか判別可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は光ディスク装置に係り、とくに信号面の反射率が異なる複数種の光ディスクの内、任意の光ディスクを対象に再生または記録可能な光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクには音楽専用の記録済ディスクであるCD(コンパクトディスク)のほか、ユーザが情報を追記できるCD−R(コンパクトディスク−レコーダブル)、ユーザが情報を書き換え可能に記録できるCD−RW(コンパクトディスク−リライタブル)など、種々のものがあり、これらの内、2種以上を再生可能なマルチディスクプレーヤがある。但し、CD、CD−R、CD−RWは記録条件が異なるため、正しく再生するためには事前に光ディスクの種類を判別しておく必要がある。
【0003】従来は、CDやCD−Rに比較して、CD−RWの信号面の反射率が低く、フォーカスエラー信号のレベルが小さいことから、フォーカスエラー信号の振幅を検出して、光ディスクがCDまたはCD−Rであるか、CD−RWであるかの判別を行っていた。図15は従来のマルチディスクプレーヤにおけるフォーカスサーボ系周辺の構成を示すブロック図である。1は光ディスク、2は光ディスク1を回転させるスピンドルモータ、3は光ディスク1の信号面にレーザビームを照射し、反射ビームを受光し、光電変換して出力する光ピックアップであり、ここでは3ビーム方式(3スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応しているものとする。4はレーザビームを一点に集光させる対物レンズ、5は対物レンズ4を光ディスク1に対し垂直方向に移動するフォーカスアクチュエータ、6は光ピックアップ3の出力から光ディスク1の記録信号であるRF信号を作成し、2値化したEFM信号を出力したり、フォーカスエラー信号FEやトラッキングエラー信号を作成するヘッドアンプである。7はフォーカスエラー信号FEに基づきフォーカスアクチュエータ5を駆動し、光ディスク1の面振れに関わらずレーザビームを信号面に合焦させるフォーカスサーボ回路であり、この内、8はループスイッチ、9はフォーカスエラー信号FEに対する位相補償を行う位相補償回路、10は位相補償回路9の出力に基づきフォーカスアクチュエータ5を駆動するドライバ回路、11はコンパレータであり、フォーカスサーチ時にフォーカスエラー信号FEを絶対値化したのち、所定のしきい値THF と比較し、|FE|≧THF の間ハイレベルとなるフォーカスゼロクロス信号FZCを出力する。12は光ディスクの種別判別用のA/D変換回路である。
【0004】13はマイコン構成のコントローラであり、フォーカスサーボの立ち上げ制御をしたり、光ディスク1の種別判別を行う。図16はコントローラ13によるフォーカスサーボ立ち上げ処理を示すフローチャート、図17〜図19は各々光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWの場合のフォーカスサーチ動作の説明図であり、これらの図を参照してフォーカスサーチ動作を説明する。予め、ループスイッチ8を開いておき(図16R>6のステップS10)、ドライバ回路10に三角波のフォーカスサーチ信号を印加し、フォーカスアクチュエータ5を駆動して対物レンズ4を一旦、光ディスク1の信号面から遠ざけさせたのち、ディスク信号面に近づけさせる(ステップS11)。レーザビームの焦点がディスク信号面近くに来ると、フォーカスエラー信号FEは、CDの場合は図17に示す如く零から比較的大きな振幅P=PCDで正弦波の如く変化し、CD−RWの場合は図1919に示す如く零から比較的小さな振幅P=PCD-RW で正弦波の如く変化し、CD−Rの場合は図18に示す如く、零からCDとCD−RWの中間の振幅P=PCD-Rで正弦波の如く変化し、しきい値THF を越えた所でコンパレータ11の出力ZCSがハイレベルとなる。フォーカスエラー信号FEはレーザビームがディスク信号面に合焦した所で零となり、その直前でFZCが立ち下がる。コントローラ13はFZCの変化を監視しており(ステップS12)、立ち下がりを生じるとレーザビームがディスク信号面に対し合焦したとしてループスイッチ8を閉じ、フォーカスサーチ信号の出力を止め、フォーカスサーボをオンする(ステップS13、S14。図1717〜図19の実線参照。なお、図17〜図19の内、破線の部分は、ループスイッチ8を閉じなかった場合の信号変化の様子を示す)。
【0005】図20はコントローラ13によるディスク種別判別処理を示すフローチャート、図21〜図23は各々光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWの場合のディスク種別判別動作の説明図であり、これらの図を参照してディスク種別判別動作を説明する。予め、ループスイッチ8を開いておき(図20のステップS20)、ドライバ回路10に三角波のフォーカスサーチ信号を印加し、フォーカスアクチュエータ5を駆動して対物レンズ4を一旦、ディスク信号面から離させたのち、ディスク信号面に近づけさせる(ステップS21)。レーザビームの焦点が信号面に対し最遠点から最接近点まで移動する途中でフォーカスエラー信号FEは零から正弦波の如く変化する。但し、3ビーム方式(3スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応する光ピックアップ3では、光ディスク1がCDの場合のフォーカスエラー信号FEの振幅PCD、光ディスク1がCD−Rの場合のフォーカスエラー信号FEの振幅PCD-R、光ディスク1がCD−RWの場合のフォーカスエラー信号FEの振幅PCD-RW に差が有り、PCD>PCD-R>PCD-RW の関係が有る(図21〜図23参照)。フォーカスエラー信号FEの瞬時値はA/D変換回路12によりA/D変換されている。コントローラ13はレーザビームの焦点が信号面に対し最遠点から最接近点まで移動する間(図21〜図23のAの期間)、A/D変換回路12の出力を所定のサンプリング周期で取り込んで内蔵メモリ(図示せず)に蓄積する(ステップS22)。そして、フォーカスサーチ信号の出力を停止し(ステップS23)、内蔵メモリに蓄積したデータを用いてフォーカスエラー信号FEの振幅Pを計測する(ステップS24)。そして、所定のしきい値PTHと大小比較し、P>PTHであれば種別がCDまたはCD−Rと判別して内蔵メモリに登録し(ステップS25でYES、S26)、反対にP<PTHであれば種別がCD−RWと判別して内蔵メモリに登録する(ステップS25でNO、S27)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来のディスク種別判別法では、フォーカスエラー信号FEをA/D変換するA/D変換回路12が必要であり、かつコントローラ13もA/D変換回路12の出力データを取り込み、振幅Pの計測をしなければならないなど、構成上の負担が大きいという問題があった。本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、構成上の少ない負担でディスクの種別判別が可能な光ディスク装置を提供することを、その目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の光ディスク装置では、信号面の反射率が異なる複数種の光ディスクの内、任意の光ディスクに光ビームを照射するとともに反射光を受光し、光電変換して出力する光ピックアップと、光ピックアップに設けられて対物レンズを光ディスクの信号面に対し垂直に移動するフォーカスアクチュエータと、光ピックアップの出力からフォーカスエラー信号を作成するフォーカスエラー信号作成手段と、フォーカスエラー信号に基づき、光ビームが信号面に合焦するようにフォーカスアクチュエータを駆動するフォーカスサーボ手段と、フォーカスサーボ手段に付設されてフォーカスエラー信号を所定の合焦検出用のしきい値と比較する比較手段と、フォーカスサーボオフ状態で対物レンズを信号面に対し昇降させ、フォーカスサーチを行わせたときの比較手段の出力変化を監視して光ビームが信号面に合焦する位置に来たタイミングを判別し、フォーカスサーボをオンさせるフォーカスサーボ立ち上げ制御手段と、を備えた光ディスク装置において、比較手段のしきい値をフォーカスサーチ時は合焦検出用のしきい値に切り換え、光ディスク種別判別時は所定の光ディスク種別判別用のしきい値に切り換えさせるしきい値切り換え手段と、光ディスクの種別判別時、しきい値切り換え手段により、比較手段のしきい値が所定の光ディスク種別判別用のしきい値に切り換えられており、かつフォーカスサーボオフ状態で対物レンズを信号面に対し昇降させたときの比較手段の出力変化の有無から光ディスクの種別を判別する判別手段と、を備えたことを特徴としている。本発明によれば、フォーカスサーボ手段に付設された合焦検出用の比較手段のしきい値を、合焦検出用から光ディスク種別判別用に切り換えてフォーカスサーチ動作をさせるだけで光ディスクの種別が判るので、構成上の負担が著しく低減する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施の形態に係るマルチディスクプレーヤの一部の構成を示すブロック図であり、図15と同一の構成部分には同一の符号が付してある。1は光ディスク、2は光ディスク1を回転させるスピンドルモータ、3は光ディスク1の信号面にレーザビームを照射し、反射ビームを受光し、光電変換して出力する光ピックアップであり、ここでは3ビーム方式(3スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップとする。4はレーザビームを一点に集光させる対物レンズ、5は対物レンズ4を光ディスク1に対し垂直方向に移動するフォーカスアクチュエータ、6は光ピックアップ3の出力から光ディスク1の記録信号であるRF信号を作成し、2値化したEFM信号を出力したり、フォーカスエラー信号FEやトラッキングエラー信号を作成するヘッドアンプである。7Aはフォーカスエラー信号FEに基づきフォーカスアクチュエータ5を駆動し、光ディスク1の面振れに関わらずレーザビームを信号面に合焦させるフォーカスサーボ回路であり、この内、8はループスイッチ、9はフォーカスエラー信号FEに対する位相補償を行う位相補償回路、10は位相補償回路9の出力に基づきフォーカスアクチュエータ5を駆動するドライバ回路、11Aはコンパレータであり、しきい値THが後述するコントローラにより切り換え可能となっている。コンパレータ11Aのしきい値THはフォーカスサーチ時には従来と同じTHF に切り換えられる。コンパレータ11Aはフォーカスサーチ時、フォーカスエラー信号FEを絶対値化し、所定のしきい値TH=THF と比較し、|FE|≧THF の間ハイレベルとなるフォーカスゼロクロス信号FZCを出力する。これと異なり、コンパレータ11Aのしきい値THはディスク種別判別時にはTHF より高い所定のしきい値THD に切り換えられる。光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWの各々場合のフォーカスサーチ時のフォーカスエラー信号FEの振幅をPCD、PCD-R、PCD-RW とすると(図17〜図19、図21〜図2323参照)、3ビーム方式(3スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップ3では、PCD>PCD-R>PCD-RW の関係に有るが、THD はPCD-RW /2より大きくPCD-R/2より小さい所定値に設定されている(図4〜図6参照)。コンパレータ11Aはディスク種別判別時、フォーカスエラー信号FEを絶対値化し、所定のしきい値TH=THD と比較し、|FE|≧THD の間ハイレベルとなるフォーカスゼロクロス信号FZCを出力する。13Aはマイコン構成のコントローラであり、フォーカスサーボの立ち上げ制御をしたり、光ディスク1の種別判別処理を行う。
【0009】図2はコントローラ13Aによるフォーカスサーボ立ち上げ処理を示すフローチャートであり、以下、この図を参照してフォーカスサーボ立ち上げ動作を説明する。予め、ループスイッチ8を開き、コンパレータ11Aのしきい値THをTHFに切り換えておき(図2R>2のステップS30、S31)、ドライバ回路10に三角波のフォーカスサーチ信号を印加し、フォーカスアクチュエータ5を駆動して対物レンズ4を一旦、光ディスク1の信号面から遠ざけさせたのち、ディスク信号面に近づけさせる(ステップS32)。すると、フォーカスエラー信号FEは、CDの場合は図17に示す如く零から比較的大きな振幅P=PCDで正弦波の如く変化し、CD−RWの場合は図19に示す如く零から比較的小さな振幅P=PCD-RW で正弦波の如く変化し、CD−Rの場合は図18に示す如く零からCDとCD−RWの場合の中間の振幅P=PCD-Rで正弦波の如く変化し、しきい値THFを越えた所でコンパレータ11Aの出力ZCSがハイレベルとなる。フォーカスエラー信号FEはレーザビームがディスク信号面に合焦した所で零となり、その直前でFZCが立ち下がる。コントローラ13AはFZCの変化を監視しており(ステップS33)、立ち下がりを生じるとレーザビームがディスク信号面に対し合焦したとしてループスイッチ8を閉じ、フォーカスサーチ信号の出力を止め、フォーカスサーボをオンする(ステップS34、S35。図17〜図19参照)。
【0010】図3はコントローラ13Aによるディスク種別判別処理を示すフローチャート、図4〜図6は各々光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWの場合のディスク種別判別動作の説明図である。予め、ループスイッチ8を開いておき、コンパレータ11Aのしきい値THをTHD に切り換えておく(図3のステップS40、S41)。ドライバ回路10に三角波のフォーカスサーチ信号を印加し、フォーカスアクチュエータ5を駆動して対物レンズ4を一旦ディスク信号面から離させたのち、ディスク信号面に近づけさせる(ステップS42)。するとフォーカスエラー信号FEはレーザビームの焦点がディスク信号面近くに来たところで零から正弦波の如く変化する。光ディスク1がCDまたはCD−Rの場合、フォーカスエラー信号FEの振幅Pは大きく、P>THD となるので、コンパレータ11AはハイレベルのFZC信号を出力する(図4、図5参照)。コントローラ13AはステップS42のあと、フォーカスサーチ信号の1周期の間、コンパレータ11Aの出力を監視しており(ステップS43、S44)、ハイレベルになると、フォーカスサーチ信号の出力を停止し、ディスクの種別がCDまたはCD−Rと判別して内蔵メモリに登録する(ステップS45、S46)。
【0011】若し、光ディスク1がCD−RWであった場合、フォーカスエラー信号FEの振幅Pは小さく、P<THD となるので、コンパレータ11Aの出力はローレベルのままとなる(図6参照)。このとき、コントローラ13AはステップS42のあと、ステップS43でYESとなることなくフォーカスサーチ信号開始後1周期経過した所で、ステップS44でYESと判断し、フォーカスサーチ信号の出力を停止し、ディスクの種別がCD−RWと判別して内蔵メモリに登録する(ステップS47、S48)。
【0012】この実施の形態によれば、コンパレータ11Aのしきい値をフォーカスサーチ用とディスク種別判別用に切り換え可能とし、フォーカスサーボ立ち上げ時はコンパレータ11Aのしきい値をフォーカスサーチ用の通常の所定のしきい値THF にしてフォーカスエラー信号FEの絶対値との比較をさせるので、レーザビームがディスク信号面と合焦する直前で立ち下がるFZC信号を出力させることができ、フォーカスサーボの立ち上げを正しく行うことができる。また、ディスク種別判別時はコンパレータ11Aのしきい値をディスク種別判別用の所定のしきい値THD にして、対物レンズ4を昇降させ、レーザビームの焦点を昇降させながらフォーカスエラー信号FEの絶対値との比較をさせることで、光ディスク1がCDまたはCD−Rであるか、或いはCD−RWであるか判別可能となる。よって、ディスク種別判別のためにA/D変換回路を付加したり、A/D変換データからフォーカスエラー信号の振幅を計測したりせずに済み、構成上の負担が少なくてすむ。なお、しきい値THD の値をPCD/2>THD >PCD-R/2の条件を満たすようにしておけば、光ディスク1がCDであるか、或いはCD−RまたはCD−RWであるか判別可能となる。
【0013】図7は本発明の第2の実施の形態に係るマルチディスクプレーヤの一部の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成部分には同一の符号が付してある。3Bは光ディスク1の信号面にレーザビームを照射し、反射ビームを受光し、光電変換して出力する光ピックアップであり、ここでは1ビーム方式(1スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップである。6Bは光ピックアップ3Bの出力から光ディスク1の記録信号であるRF信号を作成し、2値化したEFM信号を出力したり、フォーカスエラー信号FEやトラッキングエラー信号を作成するヘッドアンプである。
【0014】7Bはフォーカスエラー信号FEに基づきフォーカスアクチュエータ5を駆動し、光ディスク1の面振れに関わらずレーザビームを信号面に合焦させるフォーカスサーボ回路であり、この内、11Bはコンパレータであり、しきい値THが後述するコントローラにより切り換え可能となっている。コンパレータ11Bのしきい値THはフォーカスサーチ時には従来と同じ所定のしきい値THF に切り換えられる。コンパレータ11Bはフォーカスサーチ時、フォーカスエラー信号FEを絶対値化し、所定のしきい値THF と比較し、|FE|≧THF の間ハイレベルとなるフォーカスゼロクロス信号FZCを出力する。これと異なり、コンパレータ11Bのしきい値THはディスク種別判別時にはTHF より高い所定のしきい値THD1と所定のしきい値THD2に切り換えられる。光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWの各々場合のフォーカスサーチ時のフォーカスエラー信号FEの振幅をPCD´、PCD-R´、PCD-RW ´とすると、1ビーム方式(1スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップ3Bでも、PCD´>PCD-R´>PCD-RW ´の関係が有り(図8〜図10R>0、図12〜図14参照)、THD1はPCD-R´/2より大きくPCD´/2より小さい所定値に設定されており、THD2はPCD-RW ´/2より大きくPCD-R´/2より小さい所定値に設定されている(図12〜図14参照)。コンパレータ11Bはディスク種別判別時、フォーカスエラー信号FEを絶対値化し、所定のしきい値THD1(またはTHD2)と比較し、|FE|≧THD1(または|FE|≧THD2)の間ハイレベルとなるフォーカスゼロクロス信号FZCを出力する。13Bはマイコン構成のコントローラであり、フォーカスサーボの立ち上げ制御をしたり、光ディスク1の種別判別処理を行う。図7R>7のその他の構成部分は図1と全く同様に構成されている。
【0015】図8〜図10は各々光ディスクがCD、CD−R、CD−RWの場合のフォーカスサーチ動作の説明図である。コントローラ13Bによるフォーカスサーボ立ち上げ処理は図1の場合と全く同様になされる。すなわち、予め、ループスイッチ8を開き、コンパレータ11Bのしきい値THをTHF に切り換えておき(図2のステップS30、S31)、ドライバ回路10に三角波のフォーカスサーチ信号を印加し、フォーカスアクチュエータ5を駆動して対物レンズ4を一旦、光ディスク1の信号面から遠ざけさせたのち、ディスク信号面に近づけさせる(ステップS32)。すると、フォーカスエラー信号FEは、CDの場合は図8に示す如く零から比較的大きな振幅で正弦波の如く変化し、CD−RWの場合は図10に示す如く零から比較的小さな振幅で正弦波の如く変化し、CD−Rの場合は図9に示す如く零からCDとCD−RWの場合の中間の振幅で正弦波の如く変化し、しきい値THF を越えた所でコンパレータ11Bの出力ZCSがハイレベルとなる。フォーカスエラー信号FEはレーザビームがディスク信号面に合焦した所で零となり、その直前でFZCが立ち下がる。コントローラ13BはFZCの変化を監視しており(ステップS33)、立ち下がりを生じるとレーザビームがディスク信号面に対し合焦したとしてループスイッチ8を閉じ、フォーカスサーチ信号の出力を止め、フォーカスサーボをオンする(ステップS34、S35。図8〜図10の実線部分参照。図8〜図10の破線部分はループスイッチ8を閉じなかった場合の信号変化の様子を示す)。
【0016】図11はコントローラ13Bによるディスク種別判別処理を示すフローチャート、図12〜図14は各々光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWの場合のディスク種別判別動作の説明図である。コントローラ13Bは予め、ループスイッチ8を開いておき、コンパレータ11Bのしきい値THをTHD1に切り換えておく(図11のステップS50、S51)。ドライバ回路10に三角波のフォーカスサーチ信号を印加し、フォーカスアクチュエータ5を駆動して対物レンズ4を一旦ディスク信号面から離させたのち、ディスク信号面に近づけさせる(ステップS52)。するとフォーカスエラー信号FEはレーザビームの焦点が信号近くに来たところで零から正弦波の如く変化する。光ディスク1がCDの場合、フォーカスエラー信号FEの振幅P=PCD´は大きく、P>THD1となるので、コンパレータ11BはハイレベルのFZC信号を出力する(図12参照)。コントローラ13BはステップS52のあと、フォーカスサーチ信号の1周期の間、コンパレータ11Bの出力を監視しており(ステップS53、S54)、ハイレベルになると、フォーカスサーチ信号の出力を停止し、ディスクの種別がCDと判別して内蔵メモリに登録する(ステップS55、S56)。
【0017】若し、光ディスク1がCD−RまたはCD−RWであった場合、対物レンズ4が最遠点から最接近点まで移動する際に生じるフォーカスエラー信号FEの振幅Pは小さく、P<THD1となるので、コンパレータ11Bの出力はローレベルのままとなる(図13、図14R>4参照)。このとき、コントローラ13BはステップS52のあと、ステップS53でYESとなることなくフォーカスサーチ信号出力開始後、丁度、1周期経過した所で、ステップS54でYESと判断し、コンパレータ11Bのしきい値THをTHD2に切り換える(ステップS57)。ドライバ回路10への三角波のフォーカスサーチ信号出力を継続すると、対物レンズ4はディスク信号面から離れたのち、再度ディスク信号面に近づいていく。フォーカスエラー信号FEはレーザビームの焦点が信号近くに来たところで零から正弦波の如く変化する。光ディスク1がCD−Rの場合、フォーカスエラー信号FEの振幅P=PCD-R´は比較的大きく、P>THD2となるので、コンパレータ11BはハイレベルのFZC信号を出力する(図13参照)。コントローラ13BはステップS57のあと、フォーカスサーチ信号の次の1周期の間、コンパレータ11Bの出力を監視しており(ステップS58、S59)、ハイレベルになると、フォーカスサーチ信号の出力を停止し、ディスクの種別がCD−Rと判別して内蔵メモリに登録する(ステップS60、S61)。
【0018】若し、光ディスク1がCD−RWであった場合、対物レンズ4が最遠点から最接近点まで移動する際に生じるフォーカスエラー信号FEの振幅P=PCD-RW ´は小さく、P<THD2となるので、コンパレータ11Bの出力はローレベルのままとなる(図14参照)。このとき、コントローラ13BはステップS57のあと、ステップS58でYESとなることなくフォーカスサーチ信号出力開始後、丁度、2周期経過した所で、ステップS59でYESと判断し、フォーカスサーチ信号の出力を停止し、ディスクの種別がCD−RWと判別して内蔵メモリに登録する(ステップS62、S63)。
【0019】この実施の形態によれば、1ビーム方式(1スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップを有するプレーヤにおいて、フォーカスサーボ回路7Bのコンパレータ11Bのしきい値をフォーカスサーチ用とディスク種別判別用に切り換え可能とし、フォーカスサーボ立ち上げ時はコンパレータ11Bのしきい値をフォーカスサーチ用の通常のTHF にしてフォーカスエラー信号FEの絶対値との比較をさせるので、光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWのいずれであってもレーザビームが信号と合焦する直前で立ち下がるFZC信号を出力させることができ、フォーカスサーボの立ち上げを正しく行うことができる。また、1ビーム方式(1スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップを有するプレーヤでは、光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWの各々の場合におけるフォーカスサーチ時のフォーカスエラー信号FEの振幅PCD´、PCD-R´、PCD-RW ´が互いに異なることを利用し、ディスク種別判別時にはコンパレータ11Bのしきい値をディスク種別判別用のTHD1(PCD´/2>THD1>PCD-R´/2)とTHD2(PCD-R´/2>THD2>PCD-RW´/2)に切り換えながらフォーカスエラー信号FEの絶対値との比較をさせることで、光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWのいずれであるか判別可能となる。よって、ディスク種別判別のためにフォーカスエラー信号FEをA/D変換するためのA/D変換回路を付加したり、A/D変換データからフォーカスエラー信号の振幅を計測するなどの構成上の負担が不要であるとともに、CD、CD−R、CD−RWの3種類の判別も可能となる。
【0020】なお、上記した第1の実施の形態では3ビーム方式(3スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップを用いた場合を例に挙げて説明したが、1ビーム方式(1スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップを用いた場合でも全く同様にして、ディスク種別判別を行うことができる。反対に上記した第2の実施の形態では1ビーム方式(1スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップを用いた場合を例に挙げて説明したが、3ビーム方式(3スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップでも、光ディスク1がCD、CD−R、CD−RWの各々の場合におけるフォーカスサーチ時のフォーカスエラー信号FEの振幅が互いに異なることから(図4〜図6参照)、3ビーム方式(3スポット方式)のトラッキングエラー検出方式に対応した光ピックアップを用いた場合でも、図7の例と全く同様にしてディスク種別判別を行うことができる。また、上記した各実施の形態では、CD、CD−R、CD−RWを例に挙げたが、DVD、DVD−RAM、DVD−RWなど他の種類についても同様に適用することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、フォーカスサーボ手段に付設された合焦検出用の比較手段のしきい値を、合焦検出用から光ディスク種別判別用に切り換えてフォーカスサーチ動作をさせるだけで光ディスクの種別が判るので、構成上の負担が著しく低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るマルチディスクプレーヤの構成の一部を示すブロック図である。
【図2】図1中のコントローラによるフォーカスサーボ立ち上げ処理を示すフローチャートである。
【図3】図1中のコントローラによるディスク種別判別処理を示すフローチャートである。
【図4】図1のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCDの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【図5】図1のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−Rの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【図6】図1のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−RWの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るマルチディスクプレーヤの構成の一部を示すブロック図である。
【図8】図7のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCDの場合のフォーカスサーチ動作の説明図である。
【図9】図7のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−Rの場合のフォーカスサーチ動作の説明図である。
【図10】図7のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−RWの場合のフォーカスサーチ動作の説明図である。
【図11】図7中のコントローラによるディスク種別判別処理を示すフローチャートである。
【図12】図7のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCDの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【図13】図7のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−Rの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【図14】図7のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−RWの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【図15】従来のマルチディスクプレーヤにおけるフォーカスサーボ系周辺の構成を示すブロック図である。
【図16】図15中のコントローラによるフォーカスサーボ立ち上げ処理を示すフローチャートである。
【図17】図15のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCDの場合のフォーカスサーチ動作の説明図である。
【図18】図15のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−Rの場合のフォーカスサーチ動作の説明図である。
【図19】図15のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−RWの場合のフォーカスサーチ動作の説明図である。
【図20】図15中のコントローラによるディスク種別判別処理を示すフローチャートである。
【図21】図15のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCDの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【図22】図15のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−Rの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【図23】図15のマルチディスクプレーヤにおける光ディスクがCD−RWの場合のディスク種別判別動作の説明図である。
【符号の説明】
1 光ディスク 3、3B 光ピックアップ
4 対物レンズ 5 フォーカスアクチュエータ
6、6B ヘッドアンプ 7A、7B フォーカスサーボ回路
11A、11B コンパレータ 13A、13B コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 信号面の反射率が異なる複数種の光ディスクの内、任意の光ディスクに光ビームを照射するとともに反射光を受光し、光電変換して出力する光ピックアップと、光ピックアップに設けられて対物レンズを光ディスクの信号面に対し垂直に移動するフォーカスアクチュエータと、光ピックアップの出力からフォーカスエラー信号を作成するフォーカスエラー信号作成手段と、フォーカスエラー信号に基づき、光ビームが信号面に合焦するようにフォーカスアクチュエータを駆動するフォーカスサーボ手段と、フォーカスサーボ手段に付設されてフォーカスエラー信号を所定の合焦検出用のしきい値と比較する比較手段と、フォーカスサーボオフ状態で対物レンズを信号面に対し昇降させ、フォーカスサーチを行わせたときの比較手段の出力変化を監視して光ビームが信号面に合焦する位置に来たタイミングを判別し、フォーカスサーボをオンさせるフォーカスサーボ立ち上げ制御手段と、を備えた光ディスク装置において、比較手段のしきい値をフォーカスサーチ時は合焦検出用のしきい値に切り換え、光ディスク種別判別時は所定の光ディスク種別判別用のしきい値に切り換えさせるしきい値切り換え手段と、光ディスクの種別判別時、しきい値切り換え手段により、比較手段のしきい値が所定の光ディスク種別判別用のしきい値に切り換えられており、かつフォーカスサーボオフ状態で対物レンズを信号面に対し昇降させたときの比較手段の出力変化の有無から光ディスクの種別を判別する判別手段と、を備えたことを特徴とする光ディスク装置。

【図2】
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【図16】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図9】
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【図10】
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【図15】
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【図20】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図21】
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【図17】
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【図18】
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【図22】
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【図19】
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【図23】
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