説明

光ディスク装置

【課題】
光ディスク装置において、薄型化が可能な技術の提供。
【解決手段】
光ディスクのチャッキング時、光ディスクがトップカバー部材の対向面に当接した状態において、光ディスクの中心孔内に挿入される突起状のクランパ部の先端面が、該トップカバー部材の貫通孔から突出し、ディスク平面領域内における該トップカバー部材の平面部の高さ位置よりも高くなる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに対し情報を記録または再生する光ディスク装置に係り、特にその薄型化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連した従来技術として文献に記載されたものとしては、例えば、特開2002−352497号公報(特許文献1)や特開2004−39198号公報(特許文献2)に記載されたものがある。特開2002−352497号公報には、小型・薄型のディスク装置として、移動機構によりターンテーブルを上部筐体に設けられた当接部材側に対して相対的に移動させ、該当接部材の面にディスク面を押し付けることで、ディスク保持機構をディスク中心孔内に挿入し、該ディスクをターンテーブル上に載置された状態で保持(チャッキング)するとした構成が記載され、特開2004−39198号公報にも、ディスクドライブ装置のチャッキング機構として、ターンテーブルを備えるディスクスピンドル部がディスクに対し接離可能とされ、該ディスクスピンドル部をディスクに対し接近させ、該ディスクをアッパケースに押圧するときの押圧反力により該ディスクをターンテーブルにチャッキングするとした構成が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−352497号公報
【特許文献2】特開2004−39198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術ではいずれも、ディスクをチャッキングする場合、ディスクの中心孔に挿入される部分(クランパ部)の先端面は、カバー部材(トップカバー部材)の外側平面の高さ位置からは突出せず、該高さ位置よりも低い位置とされているため、ディスクの中心孔に挿入される部分(クランパ部)の先端面の高さを減少させない限り、カバー部材の高さ寸法の減少化は難しく、装置全体の薄型化は困難である。該ディスクの中心孔に挿入される部分(クランパ部)の先端面の高さを減少させることは、該挿入動作が難しくなるなどディスクの確実なチャッキングを阻害することにつながる。
【0005】
本発明の課題点は、上記従来技術の状況に鑑み、例えばスロットインタイプ(記録媒体としてのディスク単体を、トレイやケースなどを用いずに直接、装置内に挿入するタイプ)等の光ディスク装置において、トップカバー部材の平面部の高さ位置を低くした状態においても、光ディスクに対し所定のチャッキングを確保して、装置の薄型化を図れるようにすることである。
本発明の目的は、かかる課題点を解決し、例えば装置厚さ9.5×10−3m以下の光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題点を解決するために、本発明では、光ディスク装置において、光ディスクのチャッキング時、該光ディスクがトップカバー部材の対向面に当接した状態において、光ディスクの中心孔内に挿入され該光ディスクを半径方向に支持する凸状のクランパ部の先端面が、トップカバー部材の貫通孔から突出し、ディスク平面領域内における該トップカバー部材の平面部の高さ位置よりも高くなる構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光ディスクのチャッキングを確保した状態で光ディスク装置の一層の薄型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態につき、図面を用いて説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施形態の説明図である。図1は、本発明の一実施形態としてのスロットインタイプの光ディスク装置の構成例図であって、トップカバー部材を取外した状態を示す斜視図、図2は、図1の光ディスク装置の内部構成の平面図、図3は、図1の光ディスク装置における光ディスクのチャッキングの説明図である。
【0009】
図1において、1は光ディスク装置、2は、光ディスク(図示なし)を回転させるディスクモータ、3は、ディスクモータ2の回転部上に配され、凸状の構成を有し、チャッキング時、該凸状部分が光ディスクの中心孔内に挿入されて該光ディスクをその半径方向に支持しチャッキングするクランパ部、2aは、上記ディスクモータ2の回転部上にあって上記クランパ部3と同心状に配され、該クランパ部3が光ディスクの中心孔内に挿入された状態で該光ディスクの中心孔周囲の平面部(記録または再生される側の平面部)を支持するディスク平面支持部、5、6は、装置の内部において、ディスクモータ2、クランパ部3、ディスク平面支持部2aなどの周囲の広い領域を覆い、該領域において光ディスクの平面部と装置部品・機構との間を空間的に遮断する内部カバー部材、7は、光ディスク装置1の前面パネル、8は、上記クランパ部3の上方に配され、光ディスク装置1の表面側にあって装置を覆うトップカバー部材、8aは、トップカバー部材8の外側の平面部(外側平面部)、8bは、トップカバー部材8上において上記クランパ部3との対向位置に設けられた貫通孔、8cは、貫通孔8bの周囲に設けられた凹部、10は、光ディスク装置1の裏面側にあって装置を覆うボトムカバー部材、11は、ボトムカバー部材10と結合される第1の基台としてのベース部材、12は、上記ディスクモータ2、クランパ部3、ディスク平面支持部2a、光ピックアップ(図示なし)などが取付けられた第2の基台としてのユニットメカデッキ部材である。
【0010】
また、図2において、71は、表面にねじ(図示なし)が設けられ、該ねじの回転により光ピックアップ(図示なし)を光ディスク(図示なし)の略半径方向に移動させるリードスクリュー部材、60は、リードスクリュー部材71を回転駆動する送りモータ、72、73は、該光ピックアップの移動を案内するガイド部材、31、32、33は、光ディスクが前面パネル7側から装置内に挿入されたとき、及び、光ディスクが装置内から前面パネル7側に排出されるときに、該挿入・排出動作のための駆動力の伝達を行うレバー、31aはレバー31の回動動作の支点部材、41、42、43は、上記挿入された光ディスクの外周に当接して該光ディスクのセンタリングを行うローラ、80はモータ、50は、モータ80への駆動入力の供給をオン・オフするスイッチ、21は、レバー32にモータ80の回転駆動力を伝達する伝達機構、22は、第1の基台としての上記ベース部材11側に設けられ、光ディスクのチャッキング時、該光ディスクが装置内の所定位置に挿入された状態で上記ユニットメカデッキ部材12を昇降変位させる昇降機構、25、26は、上記ユニットメカデッキ部材12の昇降変位の支点である。他の符号は、上記図1の場合と同様である。上記送りモータ60、リードスクリュー部材71、ガイド部材72、73などもユニットメカデッキ部材12上に設けられているため、該ユニットメカデッキ部材12の上記昇降動作により、該ユニットメカデッキ部材12とともに昇降変位する。伝達機構21はギヤ列を備えて構成される。また、ローラ42は、レバー31上に設けられている。
【0011】
上記図1及び図2の構成において、光ディスクが装置内に挿入されてチャッキングされるとき、上記昇降機構22が、第2の基台としての上記ユニットメカデッキ部材12を上昇させ、光ディスクを上記トップカバー部材8の凹部8cのディスク側の対向面に当接させた状態において、上記クランパ部3の先端面が該トップカバー部材8の貫通孔8bから突出し、トップカバー部材8の外側平面部8a内にあって少なくともディスク平面領域内(光ディスクの平面に重なる範囲の領域)における平面部の高さ位置よりも高くなるようにされる。
【0012】
上記光ディスク装置1において、光ディスクが前面パネル7側の挿入・排出口(図示なし)から装置内に挿入されると、該光ディスクの外周にローラ41、42、43が、ローラ41、42、43の順で当接し、レバー31、32、33を変位させながら、該光ディスクのセンタリングを行い、該光ディスクをディスクモータ4の回転軸と略同心となる位置に位置決めする。このとき、ローラ42は光ディスクの外周に押されてレバー31を支点部材31a上の支点周りに矢印Eの方向に回動させる。レバー31は、該矢印E方向の回動変位量が所定変位量に達するとスイッチ50をオン状態にする。スイッチ50がオン状態となることで、モータ80に対し駆動回路(図示なし)から所定の駆動入力が供給され、該モータ80が回転する。該モータ80が回転すると、その回転駆動力が、伝達機構21によりレバー32に伝達される。レバー32は、該伝達された力を昇降機構22に伝える。昇降機構22は、該伝達された力で作動し、ユニットメカデッキ部材12の係合部を押すなどして該ユニットメカデッキ部材12に対し、支点25、26周りの回動力を与え、該ユニットメカデッキ部材12をトップカバー部材9側に回動変位(上昇変位)させる。該ユニットメカデッキ部材12が上昇変位すると、ディスクモータ2、クランパ部3、ディスク平面支持部2aもいっしょに上昇変位し、凸状の該クランパ部3が光ディスクの中心孔に挿入され、ディスク平面支持部2aが、例えば光ディスクの中心孔周囲の平面部に一部当接した状態となる。該状態でさらに、ユニットメカデッキ部材12が上昇変位すると、光ディスクが、トップカバー部材8の凹部8cのディスク側の対向面に当接し、該対向面からの反力により、クランパ部3がほぼ完全に光ディスクの中心孔内に入り込み、ディスク平面支持部2aも例えばその全周の部分で光ディスクの中心孔周囲の平面部に当接した状態となる。これにより、光ディスクは該クランパ部3と該ディスク平面支持部2aによりチャッキングされた状態となる。該チャッキング状態において、クランパ部3の先端面は該トップカバー部材8の貫通孔8bから突出し、トップカバー部材8の外側平面部8aのディスク平面領域内における平面部の高さ位置よりも高い位置となる。
【0013】
上記チャッキングが終了すると、上記昇降機構22は、モータ80の駆動入力に基づき、ユニットメカデッキ部材12を、支点25、26周りに、上記上昇変位の場合とは逆方向に回動させて下降変位させ、光ディスクをトップカバー部材8の凹部8cのディスク側の対向面から離間させ、所定の位置まで下降変位させる。本実施形態においては、光ディスクが該所定の位置に下降変位した状態では、クランパ部3の先端面は、ディスク平面領域内における該トップカバー部材8の外側平面部の高さ位置よりも低くなるようにされる。また、該所定の位置では、モータ80の駆動入力はオフ状態とされ、光ディスクはディスクモータ2により、情報の記録または再生などのために回転可能な状態となる。
以下の説明中で用いる光ディスク装置1の構成要素には、上記図1、図2の場合と同じ符号を付して用いる。
【0014】
図3は、図1の光ディスク装置1において、光ディスクがチャッキングされたときの状態を示す図である。
図3において、100は光ディスク、8cは、トップカバー部材8の凹部8cの光ディスク100側と反対側の面(以下、トップカバー部材8の凹部8cの外側平面という)、8cは、トップカバー部材8の凹部8cの光ディスク100側の対向面(以下、トップカバー部材8の凹部8cの内側平面という)、85は、前面パネル7側に設けられた挿入・排出口、矢印Fは、ユニットメカデッキ部材12が上昇変位するときの回動方向、矢印Fは、ユニットメカデッキ部材12が下降変位するときの回動方向、hは、ユニットメカデッキ部材12の中心部よりも支点25、26側のトップカバー部材8の外側平面部8a内のディスク平面領域内における平面部の高さ位置とクランパ部3の先端面との間の距離(=クランパ部3の先端面の外側平面部8aからの突出量)、hは、ユニットメカデッキ部材12の中心部よりも支点25、26側とは反対側のトップカバー部材8の外側平面部8a内のディスク平面領域内における平面部の高さ位置とクランパ部3の先端面との間の距離(=クランパ部3の先端面の外側平面部8aからの突出量)である(h>hとする)。
【0015】
ユニットメカデッキ部材12が、昇降機構22により上昇変位され、光ディスク100が、トップカバー部材8の凹部8cの内側平面8cに当接し、該内側平面8cからの反力により、クランパ部3がほぼ完全に光ディスク100の中心孔内に入り込み、ディスクモータ2の回転部上のディスク平面支持部2a(図3では図示なし)も例えばその全周の部分で光ディスク100の中心孔周囲の平面部に当接した状態となって該光ディスク100がチャッキングされるとき、クランパ部3の先端面は、トップカバー部材8の貫通孔8bから、外側平面8cの高さ位置を越えて突出し、さらに、該トップカバー部材8の外側平面部8aのディスク平面領域内における平面部の高さ位置よりもh〜h高い位置となる。かかる構成は、トップカバー部材8の高さ寸法を減らし、その外側平面部8aの高さ位置を、クランパ部3の先端面の高さ位置に対して低くすることで実現される。例えば、h、hを、例えば0.5×10−3m以下とすることで、光ディスク装置1の全体の厚さ寸法を9.5×10−3m以下とすることができる。
【0016】
図4は、従来技術によるスロットインタイプの光ディスク装置におけるチャッキング状態を、上記図3の本発明の構成に対比させて示した図である。該図4の構成では、光ディスク100をチャッキングするとき、ユニットメカデッキ部材12'を支点25'、26'周りに矢印F'の方向に回動させて上昇変位させ、光ディスク100を、トップカバー部材8'の凹部8c'の内側平面8c'に当接させ、チャッキング状態にする。該チャッキング状態のとき、クランパ部3'の先端面は、トップカバー部材8'の貫通孔8b'からは突出するものの、トップカバー部材8'の外側平面8a'のディスク平面領域内における平面部の高さ位置からは突出せず、該高さ位置よりもg〜g低い位置となる。かかる構成は、トップカバー部材8の高さ寸法の減少化を阻み、装置全体の薄型化を困難にする。図4において、8c'は、トップカバー部材8'の凹部8c'の外側平面、8b'は、トップカバー部材8上'の貫通孔、10'はボトムカバー部材、85'は挿入・排出口、矢印F'は、ユニットメカデッキ部材12'を下降変位させるときの該ユニットメカデッキ部材12'の支点25'、26'周りの回動方向である。
【0017】
上記のように、本発明の実施形態によれば、トップカバー部材8の平面部の高さ位置を低くした状態においても、クランパ部3の先端面の高さは所定量が確保され、光ディスク100に対して所定の確実なチャッキング動作を行うことができる。その結果、装置の一層の薄型化が可能となる。
【0018】
なお、上記実施形態はスロットインタイプの光ディスク装置の場合につき説明したが、本発明はこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態としての光ディスク装置の構成例図である。
【図2】図1の光ディスク装置の内部構成の平面図である。
【図3】図1の光ディスク装置における光ディスクのチャッキングの説明図である。
【図4】従来技術による光ディスク装置における光ディスクのチャッキングの説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1…光ディスク装置、
2、2'…ディスクモータ、
2a…ディスク平面支持部、
3、3'…クランパ部、
5、6…内部カバー部材、
7…前面パネル、
8、8'…トップカバー部材、
8a、8a'…外側平面部、
8b、8b'…貫通孔、
8c、8c'…凹部、
10、10'…ボトムカバー部材、
11…ベース部材、
12、12'…ユニットメカデッキ部材、
21…伝達機構、
22…昇降機構、
25、26…昇降変位の支点、
31、32、33…レバー、
31a…支点部材、
41、42、43…ローラ、
50…スイッチ、
60…送りモータ、
71…リードスクリュー部材、
72、73…ガイド部材、
80…モータ、
100…光ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクをディスクモータの回転軸に同心状にチャッキングして回転させ、情報の記録または再生を行う光ディスク装置であって、
上記ディスクモータの回転部上に配され、上記光ディスクのチャッキング時、該光ディスクの中心孔内に挿入され該光ディスクを半径方向に支持する凸状のクランパ部と、
上記ディスクモータの回転部上にあって上記クランパ部と同心状に配され、該クランパ部が上記光ディスクの中心孔内に挿入された状態で該光ディスクの平面部を支持するディスク平面支持部と、
上記クランパ部の上方に配され、該クランパ部との対向位置に貫通孔を有し、装置の表面側を覆うトップカバー部材と、
装置の裏面側を覆うボトムカバー部材と、
上記ボトムカバー部材と結合される第1の基台と、
少なくとも上記ディスクモータが取付けられる第2の基台と、
上記第1の基台側に設けられ、チャッキング時、上記光ディスクが装置内の所定位置に挿入された状態で上記第2の基台を昇降変位させる昇降機構と、
を備え、上記チャッキング時、上記昇降機構が上記第2の基台を上昇させ、上記光ディスクを上記トップカバー部材の対向面に当接させた状態において、上記クランパ部の先端面が上記トップカバー部材の貫通孔から突出し、ディスク平面領域内における平面部の高さ位置よりも高くなる構成としたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
上記チャッキング終了後、上記昇降機構が上記第2の基台を下降させて上記光ディスクを上記トップカバー部材の対向面から離間させ、回転可能な状態としたとき、上記クランパ部の先端面が、ディスク平面領域内における該トップカバー部材の上記平面部の高さ位置よりも低くなる構成である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
上記第2の基台は、その中心部に対し上記ディスクモータが取付けられた位置とは反対側の位置にある端部を支点とした回動により昇降変位する構成である請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
上記トップカバー部材の外面と上記ボトムカバー部材の外面との間の距離は、9.5×10−3m以下である請求項1から3のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−209825(P2006−209825A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16956(P2005−16956)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】