説明

光ディスク装置

【課題】小型軽量化、薄型化に適する光ディスク装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光ディスク装置は、内部機器を収納するとともに光ディスク27を収納可能とするフレーム2と、光ディスク27が回転可能に載置されるトレイ5と、光ディスク27が着脱可能な載置位置と光ディスク27がフレーム2内に収納される収納位置との間でトレイを移動可能に支持するレール4と、トレイ5を載置位置と収納位置との間で移動させるトレイ移動手段と、収納位置にあるトレイ5を拘束および解放するトレイ拘束解放手段と、トレイ拘束解放手段のトレイ5の解放動作に連動して、光ディスクに押圧力を付勢するとともに、トレイ拘束解放手段のトレイ5の拘束動作に連動して押圧力を除去する光ディスク回転抑制手段とを装備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスクを再生及び記録させる光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MO、PD、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、±RW、±R等の光ディスク媒体に対して、再生及び記録する装置としてCD−ROMドライブ装置、PDドライブ装置などのタイプが存在するが、本発明においてはこれら全体を包括する表現として光ディスク装置と呼ぶ。
【0003】
従来、光ディスク装置は、装置の小型化、薄型化が進み携帯型のパーソナルコンピュータ(以下、PCと言う)に搭載されることがある。また、近年、さらに小型化、薄型化のノートブック型のPCに搭載されることも多くなっている。
【0004】
これはコンピュータで使用するソフトウェアの大容量化、また雑誌媒体などから配布されるメディアとして安価であるCD−ROMが多く採用されていることも要因の一つとなっている。それに伴い、光ディスクドライブのコンピュータへの搭載は必然となっているのが現状である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上述、(特許文献1)に示されたような従来のディスク装置の一例を説明する。ノートブック型及び薄型デスクトップPC(ディスプレイ本体一体型含む)に用いられる全高12.7mmの光ディスクドライブの構造について説明する。従来、以下の2つの方式が提案されている。
【0006】
1つの方式としては、ユーザが自ら光ディスクを持ち、光ピックアップの構成部品であるターンテーブルに直接光ディスクを取り付けた後に、ターンテーブルを含むトレイを自身の手によりドライブ筐体内部へ押し込むことで、光ディスクの再生、記録が可能状態となるドロア方式である。
【0007】
また、他の方式としては、光ディスクを装置の前面まで運び、その光ディスクを装置の前面に設けられたフロントベゼルと呼ばれるカバーに設けられたスリットに挿入し、所定の位置まで装置内部に挿入すると、装置内部に設けられたローラ等の搬入機構により光ディスクを装置の内部すなわちターンテーブルまで自動的に吸い込んでいくスロットローディングと呼ばれる方式がある。
【0008】
市場においては圧倒的にドロアタイプが優位であり、その市場の殆どを占めている状態である。このドロア方式において、トレイと、光ディスク装置とPCを接続するための基板を電気的に接続する方法として、U字型のフレキシブル基板を用いている。
【0009】
図17は従来のドロア方式のディスク装置を示す分解斜視図である。図17において、100は、ボトムカバー106bの一側の端部に設けられ、スポンジ等の柔軟性に富む素材で作製され、光ディスク27に接触することにより、光ディスク27の回転を停止する光ディスク回転抑制部材である。101は光ディスク27が回転可能に載置されるトレイである。102はスピンドルモータ、103はターンテーブル、104はフロントベゼル、105はトレイ101とフレームとを連結するレール、106aは上部フレームを構成し、上方からの荷重等から光ディスク装置の保護を行うアッパーカバー、106bは下部フレームを構成し、トレイ101、レール105等を支持するボトムカバー、107はボトムカバー106bに取り付けられ、レール105とトレイ101の摺動を円滑に行うレールガイド、108はこの例においてはボトムカバー106bに取り付けられる主基板、109は主基板108とトレイ101に取り付けられた光ディスク27に記録された情報を読みとるためのピックアップモジュールとの電気的な接合を行うための副基板、110は副基板109と主基板108の電気的な接続を行うためのフレキシブル基板である。
【0010】
このような構成の従来の光ディスク装置においては、トレイ101が図17中の矢印で示すように移動してフレーム内の収納位置に収納される際、光ディスク回転抑制部材100が光ディスク27に接触することにより、光ディスク27の回転が停止する。
【0011】
また、図18(a)および図18(b)は近年主に各社で用いられているトレイをフレームに保持する機構の部分的な拡大図である。図18(a)がラッチングソレノイド111によりトレイ101が固定(拘束)された状態である。図18(b)はラッチングソレノイド111に通電後、固定解除スプリング116によりトレイ101の固定(拘束)が解除された状態を示す図である。111は永久磁石を磁気回路に使用して吸着状態での保持は永久磁石の吸着力で行うラッチングソレノイドである。
【0012】
111aはプランジャ、111bはコイル、111cは永久磁石である。112はボトムカバー106b(図17)に取り付けられた固定ピン113と係合して、トレイ101をフレーム内部に保持する固定手段、114は固定手段112に回転方向の荷重を印加するための固定手段回動スプリング、115はラッチングソレノイド111に電流が印加された際にプランジャ111aを、図中h方向に引っぱることにより、トレイ101の拘束を解除する固定解除部材、116はプランジャ111aを引っ張る力を固定解除部材115に印加する固定解除スプリング、117はトレイ101をボトムカバー106bに挿入する際に固定ピン113と当接することにより固定解除部材115を固定位置に復帰するための復帰部材、118は復帰部材117がトレイ101をボトムカバー106bに挿入する際に固定ピン113と正確に当接する位置に留まる様に保持する保持スプリング、119はPCの電源が切られており、光ディスク装置に電圧が供給されない場合、および、光ディスク装置の故障等によりトレイ101をフレームから取り出すことが出来なくなった場合に、ピン等の部材を装置前面から挿入することによりこの部材を回転させ、カム部が固定手段112のカム部を押すことによりトレイ101のフレーム内部への固定を解放する強制イジェクト部材である。
【0013】
図18(a)の状態でコイル111bに通電すると、永久磁石111cの吸着力をキャンセルする磁界が発生し、固定解除スプリング116によりプランジャ111aが図中h方向へ移動し、同時に固定解除部材115が図中j方向に回転する。そして固定解除部材115が固定手段112に回転方向の動力を与えることにより、トレイ101の拘束が解除される。次に、トレイ101が光ディスクを装着後、ボトムカバー106bに挿入される際にはボトムカバー上に取り付けられている固定ピン113が相対的に図中l方向に移動し、復帰部材117と当接することにより復帰部材117は図中k方向に回転し、復帰部材117と嵌合する固定解除部材115を解除時と逆方向に回転させ、それに応じてプランジャ111aがh方向と逆方向に移動し、111cの永久磁石に吸着し、トレイ101の拘束が完了する。
【特許文献1】特開2003−296997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在、携帯性を重視するノートブック型コンピュータにおいて採用されている光ディスク装置においては、その全高が12.7mmのものが多く採用されており、最近では更に携帯性を重視した薄型、軽量のノートブック型コンピュータに全高9.5mmのものが採用され始めている。また、今後はノートブック型コンピュータの普及により一層の薄型化、軽量化が予想されるため、それに伴い、光ディスク装置にもさらなる薄型化、軽量化が要求されると思われる。また一方では、ドライブの多機能化により、光学基台及びそれを支持、搬送するピックアップモジュールの大型化が進んでおり、光ディスク装置の筐体内部におけるトレイ及び作動手段に割り当てることが出来る領域は減少する一方である。
【0015】
このようなことから、光ディスク装置の全高を9.5mm以下に薄型化する場合、現状のノートPC内蔵用光ディスク装置のフォームファクタとなっている。フレーム下部を取り囲む板金部材の途中に段差を設ける構造を採用することは事実上不可能であると考えられる。
【0016】
従来の全高12.7mm及び全高9.5mmの光ディスク装置では、トレイとフレームとを連結するレールが、フレーム左端とフレーム途中に設けられた段差部に位置している。そのため、フレーム右端部においては光ディスクが回転する部分以外は余剰空間となっており、この空間を利用することにより、トレイがフレームから取り出される際に光ディスクの端面が直接接触して光ディスクの回転を停止させる光ディスク回転抑制部材100を配置することが出来ていた(図17)。
【0017】
これに対してさらに薄型の光ディスク装置においては、トレイとフレームを連結するレールはトレイの左右両端に位置することとなり、レール及びトレイに一定の強度を確保することを考慮すると、トレイをフレームから取り出した際に、光ディスクが回転した状態で排出されることを防ぐ目的で取り付ける光ディスク回転抑制部材100を、全高12.7mm及び全高9.5mmの光ディスク装置と同様の位置に設置することができない。
【0018】
また、アッパーカバー等に同様な役割を持つ部材を構成すると、光ディスクの回転を防止する部材及びその部材を搬送手段の移動に合わせて移動させる構造等が必要となるため、光ディスク装置全体の高さを低くすることができない。
【0019】
この発明はこのような課題を解決するためになされたもので、従来の装置と比較して厚さを薄くでき、具体的には、9.5mm厚以下の全高とすることができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の課題を解決するために、この発明に係る光ディスク装置は、内部機器を収納するとともに光ディスクを収納可能とするフレームと、光ディスクが回転可能に載置されるトレイと、光ディスクが着脱可能な載置位置と光ディスクがフレーム内に収納される収納位置との間でトレイを移動可能に支持するレールと、トレイを載置位置と収納位置との間で移動させるトレイ移動手段と、収納位置にあるトレイを拘束および解放するトレイ拘束解放手段と、トレイ拘束解放手段のトレイの解放動作に連動して、光ディスクに押圧力を付勢するとともに、トレイ拘束解放手段のトレイの拘束動作に連動して押圧力を除去する光ディスク回転抑制手段とを装備する。
【0021】
そして、トレイを移動可能に支持するレールは、トレイの両側部に設けられており、また光ディスク回転抑制手段は、トレイ拘束解放手段と連動するとともに、トレイ内に設けられている。この構成により、光ディスク装置の全高を大幅に薄型化することが可能であり、具体的には、全高を9.5mm厚以下とすることも可能な光ディスク装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、この発明に係る光ディスク装置は、光ディスク回転抑制手段がトレイ内部に配設され、フレームに対してトレイを移動可能に支持するレールを、トレイおよび両側部に配設することにより、安全性を確保した全高9.5mm厚以下の光ディスク装置を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の請求項1の光ディスク装置は、内部機器を収納するとともに光ディスクを収納可能とするフレームと、光ディスクが回転可能に載置されるトレイと、トレイの両側部とフレームとの間に設けられて、光ディスクが着脱可能な載置位置と光ディスクがフレーム内に収納される収納位置との間でトレイを移動可能に支持するレールと、トレイを載置位置と収納位置との間で移動させるトレイ移動手段と、収納位置にあるトレイを拘束および解放するトレイ拘束解放手段と、トレイ内に設けられて、トレイ拘束解放手段のトレイの解放動作に連動して、光ディスクに押圧力を付勢するとともに、トレイ拘束解放手段のトレイの拘束動作に連動して押圧力を除去する光ディスク回転抑制手段とを備えている。この構成により、トレイを移動可能に支持するレールをトレイの両側部に設けることができ、また光ディスク回転抑制手段は、トレイ拘束解放手段と連動するとともに、トレイ内に設けられているので、光ディスク装置の全高を大幅に薄型になるという作用を有する。
【0024】
本発明の請求項2の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、光ディスク回転抑制手段は、光ディスクと同一面内を移動して、光ディスクの周縁部に回動の軸を有し、トレイ拘束解放手段の押圧力を加える押圧部材を有している。この構成により、押圧部材は、トレイ拘束解放手段と連動して押圧力を回動方向に沿って円弧状に加えるという作用を有する。
【0025】
本発明の請求項3の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、光ディスク回転抑制手段は、前記光ディスクの周縁部に回動の軸を有し、光ディスクの記録面方向またはレーベル面方向に移動してトレイ拘束解放手段の押圧力を加える押圧部材を有している。この構成により、押圧部材は、トレイ拘束解放手段と連動して押圧力を回動方向に沿って円弧状に加えるという作用を有する。
【0026】
本発明の請求項4の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、光ディスク回転抑制手段は、光ディスクと同一面内を移動して、光ディスクの周縁部に押圧力を加える押圧部材を有している。この構成により、押圧部材は、トレイ拘束解放手段と連動して、光ディスクの周縁部に押圧力を同一面内直線方向に加えるという作用を有する。
【0027】
本発明の請求項5の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、光ディスク回転抑制手段は、前記光ディスクの周縁部に回動の軸を有し、光ディスクの記録面方向またはレーベル面方向に移動して光ディスクの周縁部に押圧力を加える押圧部材を有している。この構成により、押圧部材は、トレイ拘束解放手段と連動して、光ディスクの周縁部に押圧力を同一面内直線方向に加えるという作用を有する。
【0028】
本発明の請求項6の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、トレイ拘束解放手段は、強制イジェクト手段を兼ねる。この構成により、部材数を低減することができ、トレイ拘束解放手段および強制イジェクト手段をより小型化出来るという作用を有する。
【0029】
本発明の請求項7の光ディスク装置は、請求項6に記載の光ディスク装置において、トレイ拘束開放手段がさらに光ディスク回転抑制手段を回転抑制方向に作用させるための回転抑制作用手段を兼ねる。この構成により、部材数を低減することができ、トレイ拘束解放手段、強制イジェクト手段および回転抑制作用手段をさらに小型化出来るという作用を有する。
【0030】
本発明の請求項8の光ディスク装置は、請求項6に記載の光ディスク装置において、トレイ拘束開放手段がさらに光ディスク回転抑制手段を回転抑制方向に作用させるための付勢力を開放する押圧力付勢開放手段とを兼ねる。この構成により、部材数を低減することができ、トレイ拘束解放手段、強制イジェクト手段および回転抑制作用手段をさらに小型化出来る。
【0031】
本発明の請求項9の光ディスク装置は、請求項6に記載の光ディスク装置において、トレイ拘束開放手段がさらに光ディスク回転抑制手段に対して光ディスクへの押圧力を与えるための付勢力を開放する押圧力付勢開放手段とを兼ねる。この構成により、部材数を低減することができ、光ディスク回転抑制手段が強制イジェクト手段の強制イジェクト動作に連動して前記光ディスクの押圧付勢力を開放したりイジェクト回復動作に連動して前記光ディスクへの押圧力を除去したりすることができ、トレイ拘束解放手段、強制イジェクト手段および回転抑制作用手段をさらに小型化出来る。
【0032】
本発明の請求項10の光ディスク装置は、請求項6に記載の光ディスク装置において、強制イジェクト手段の一構成部材とはその被当接部に対し強制イジェクト時の作用力を受けるためのイジェクトレバーであり、前記イジェクトレバーはその被当接部に対し強制イジェクト時に受ける作用力と略同一方向に平行移動可能に設けられている。この構成により、強制イジェクト手段の回動部分が少なくなり、構成がより簡素化するとともに、強制イジェクト時の作用力をより無駄なく伝達することが出来る。
【0033】
本発明の請求項11の光ディスク装置は、請求項7に記載の光ディスク装置において、トレイ拘束開放手段、強制イジェクト手段および回転抑制作用手段が共用する少なくとも一つの部材が、強制イジェクト時において強制イジェクト手段に対し作用する強制イジェクト作用力の方向と略同一な方向へ水平移動するよう設けられている。この構成により、強制イジェクト手段や回転抑制作用手段の回動部分が少なくなり、構成がより簡素化するとともに、強制イジェクト時の作用力をより無駄なく伝達することが出来る。
【0034】
本発明の請求項12の光ディスク装置は、請求項8または9に記載の光ディスク装置において、トレイ拘束開放手段、強制イジェクト手段および押圧力付勢開放手段が共用する少なくとも一つの部材が、強制イジェクト時において強制イジェクト手段に対し作用する強制イジェクト作用力の方向と略同一な方向へ水平移動するよう設けられている。この構成により、強制イジェクト手段や押圧力付勢開放手段の回動部分が少なくなり、構成がより簡素化するとともに、強制イジェクト時の作用力をより無駄なく伝達することが出来る。
【0035】
本発明の請求項13の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、フレームの高さである装置の全高が9.5mm以下である。この構成により、信頼性や耐久性を損なうことなく、所定の規格の大きさまで全高が低くなるという作用を有する。
【0036】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつ更に具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定される物ではない。
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0038】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における光ディスク装置の分解斜視図である。図2は図1の光ディスク装置の裏面側から見た分解斜視図である。図3は光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の部分の拡大図である。図4は光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の分解斜視図である。図5(a)および図5(b)は光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明する為の図であり、図5(a)がラッチングソレノイド26によりトレイ5が拘束された状態であり、図5(b)はラッチングソレノイド26に通電後、固定解除スプリング24により拘束が解除された状態を示す図である。図6および図7は光ディスク回転抑制手段の動作を説明する図3のX−X線に沿う矢視断面図である。図6は図5(a)の状態の矢視断面図であり、図7は図5(b)の状態の矢視断面図である。
【0039】
図1及び図2において、1は装置の上部を覆うアッパーカバー、2は装置の基材となるフレームであって、内部には内部機器が収納されているとともに光ディスクを収納するスペースが形成されている。
【0040】
3は主基板と外部のPCを接続する中継基板の接続を行うためのフレキシブル基板、4はトレイ5の両側部とフレーム2との間に設けられて、フレーム2に対してトレイ5を移動可能に支持するレール、5は光ディスクが回転可能に載置されるトレイであって、レール4に案内されて、フレーム2に対して引出しのように進退動作をして、光ディスクを着脱可能とする載置位置と光ディスクがフレーム2内に収納される収納位置との間を移動するようにされている。
【0041】
6は光ディスクを回転させるスピンドルモータ、7は光ディスクに記録された情報を読み込む、もしくは情報を光ディスクに記録するための光ピックアップ、8は装置前面に取り付けられ、ノート型PCの表面に露出して、ノート型PCのフレームの一部をなすベゼル、9は使用者がトレイ5を装置から引き出す際に、トレイ固定手段を解放する指示を行うイジェクトボタン、10はスピンドルモータ6、光ピックアップ7等を含み、光ピックアップ7を光ディスクの法線方向に移動しながら光ディスクの情報を読みとる、もしくは書きこむ機能を有するピックアップモジュール、11はトレイ5をフレーム2内に留める際のフックとなる固定ピン、12はトレイ5に光ディスクを装着/着脱する際にフレーム2からトレイ5を押し出すためのトレイ排出機構、13はトレイ5の下部を保護するための保護カバー、14は電気基板(主基板)、15はトレイ5の下方からトレイ5に取り付けられ、トレイ5内部のピックアップモジュール10及びその他の部品を保護する役割を持つトレイカバーである。
【0042】
図3において、16は装置が動作している状態でトレイ5をフレーム2から取り出す際に、光ディスクが回転した状態で排出されることを防ぐ押圧部材である光ディスク回転抑制部材、17は光ディスク回転抑制部材16に、光ディスクに対する押圧力を印加するための光ディスク回転抑制部材押圧スプリング、18はトレイ5に光ディスク回転抑制部材押圧スプリング17を固定する押圧スプリング固定部材、26はラッチングソレノイドと呼ばれるソレノイドであって、永久磁石を磁気回路に使用し、吸着状態での保持は永久磁石の吸着力で行う作動装置である。ラッチングソレノイド26において、26aはプランジャ、26bはコイル、26cは永久磁石である。
【0043】
21はボトムカバーに立設された固定ピン11と係合しトレイ5をフレーム2内部に固定(拘束)しておくための固定手段、22は固定手段21に回転方向の荷重を印加するための固定手段回動(付勢)スプリング、19はラッチングソレノイド26に電流が印加された際にプランジャ26aを図5(a)中E方向に引っぱることによりトレイ5の拘束を解除する固定解除部材、24は固定解除部材19にプランジャ26aを図5(a)中E方向へ引っ張る力を印加するための固定解除スプリング、20はトレイ5をフレームに挿入する際に固定ピン11と当接することにより固定解除部材19を固定位置に復帰するための復帰部材、23は復帰部材20がトレイ5をフレーム2に挿入する際に固定ピン11と正確に当接する位置に留まるように保持する保持スプリング、25はシーケンス的なトレイ搬入搬出の動作の途中で、不測の電源断などが発生し、トレイ5をフレーム2から取り出すことが出来なくなる操作不能状態となった際に、ピン等の部材を装置前面から挿入することにより回転させ、カム部25aのカム部分が固定手段21のカム部21aを押すことによりトレイ5のフレーム2内部への固定を解放する強制イジェクト部材である。
【0044】
図4において、光ディスク回転抑制部材16は、その両側面に回転する際の回転軸となる突起部16aをもち、その突起はトレイ5に設けられた溝5aの内面を回転可能な状態で光ディスク回転抑制部材押圧スプリング17及び押圧スプリング固定部材18により他の部材による規制が無い状態で図4中のB方向に回転する状態で取り付けられている。光ディスク回転抑制部材16と光ディスク回転抑制部材押圧スプリング17は図5(a)中のD部で接触しており。図5(b)中のG方向に付勢されている。また、固定解除部材19はトレイ5に設けられた回転軸に回動可能な状態で取り付けられており、固定解除部材の嵌合部19aはラッチングソレノイド26のプランジャ26aの孔と嵌合する形で取り付けられている。
【0045】
図6および図7において、図6はトレイ5がフレーム内部にある状態、すなわち、トレイ拘束解放手段により拘束された状態を示す図であり、図5(a)と対応する。また、図7はトレイ5がトレイ拘束解放手段から解放された状態を示す図であり、図5(b)と対応する。なお、図6および図7中、27はトレイ5上に載置された光ディスクである。
【0046】
ここで、固定解除部材19、復帰部材20、固定手段21、固定手段回動(付勢)スプリング22、保持スプリング23、固定解除スプリング24およびラッチングソレノイド26は、収納位置にあるトレイ5を拘束および解放するトレイ拘束解放手段を構成している。
【0047】
また、押圧部材である光ディスク回転抑制部材16、光ディスク回転抑制部材押圧スプリング17、押圧スプリング固定部材18、およびトレイ5に設けられた溝5aは、トレイ5内に設けられて、トレイ拘束解放手段のトレイ5の搬出動作に連動して、光ディスク27に押圧力を付勢するとともに、トレイ拘束解放手段のトレイの搬入動作に連動して押圧力を開放する光ディスク回転抑制手段を構成している。
【0048】
以下、図3から図7に沿って光ディスク装置の動作を詳細に説明する。図5(a)において、ラッチングソレノイド26のプランジャ26aは永久磁石26cにより保持されており、それに伴い、嵌合している固定解除部材19も拘束された状態である。
【0049】
また、固定手段21は固定手段回動(付勢)スプリング22により固定ピン11に付勢されており、トレイ5はフレーム内部の収納位置に拘束された状態である。この状態において、固定解除部材19のカム部19bが、光ディスク回転抑制部材16のカム部16bに対して、光ディスク回転抑制部材16が図6及び図7中の光ディスク27に対して押圧力を発生しない方向、すなわち図4中のC方向に回動する力を付勢しており、光ディスク回転抑制部材16が光ディスク27を押圧する方向に付勢力を発生する光ディスク回転抑制部材押圧スプリング17と釣り合った状態となっている。
【0050】
この状態において、光ディスク回転抑制部材16が、光ディスク27に接触してないため、光ディスク27は、スピンドルモータ6により回転することが可能である。これにより、光ディスク27の再生及び書き込み動作を行うことが可能である。
【0051】
この状態から、使用者が光ディスク27の装填、もしくは交換を行う場合にはイジェクトボタン9を押すこととなる。この動作により、パーソナルコンピュータから光ディスク装置に、主基板14を介してラッチングソレノイド26に電力が供給され、コイル26bに永久磁石26cの磁力を打ち消す方向の磁力が発生する。
【0052】
するとプランジャ26aが固定解除スプリング24により、図5(b)中のH方向に引っ張られ、合わせてプランジャ26aと嵌合している固定解除部材19がF方向に回動し、固定解除部材19の嵌合部19aが固定手段21の当接部21bを押すことにより図5(b)中のI方向へ回動し、トレイ5の固定ピン11への拘束が解除される。
【0053】
この動作に伴い、固定解除部材19のカム部19bと光ディスク回転抑制部材16のカム部16a部の係合が解放され、光ディスク回転抑制部材16が光ディスク回転抑制部材押圧スプリング17によって図4中B方向に回動し、図7に示す様に光ディスク回転抑制部材16の接触部16cが光ディスク27の端面に接触し、光ディスク27の回転を強制的に停止させる。その後、トレイ5は図示しないトレイ移動手段により、フレーム2から排出されて、光ディスク27が着脱可能な載置位置に向かう。
【0054】
また、光ディスク回転抑制部材16は、傾斜部16d部に傾斜が設けられており、載置位置にて、光ディスク27をトレイ5の内部のスピンドルモータ6に取り付ける際に、光ディスク27が光ディスク回転抑制部材16に当接した場合でも、光ディスク回転抑制部材16は図4中C方向に回動するため、スムーズに光ディスク27を取り付けることが可能とされている。
【0055】
光ディスク27を装着後、トレイ5をフレーム2内部に挿入する。すなわち、光ディスク装置を動作可能な状態にする場合、トレイ5がフレーム2から排出された状態では固定ピン11は図5(b)中の固定ピン11aの位置にあり、トレイ5がフレーム2内部に移動する途中で固定ピン11aが復帰部材20の当接部20aと当接し図5(b)中J方向へ回動することにより、固定解除部材19を上記で説明した固定解除部材19を図5(b)中F方向へ押し、プランジャ26aが永久磁石26cにより固定される位置まで達した後、固定ピン11と復帰部材20の接触は終了する。この動作において固定解除部材19の嵌合部19aの当接部21bに対する付勢力が解放されるため、固定部材21は固定手段回動(付勢)スプリング22により図5(b)中Iと逆方向に回転し、固定ピン11と接触した状態となり、トレイ5の収納位置での固定が完了する。
【0056】
本実施の形態において、光ディスク回転抑制部材16は、回転軸16aを持ち、トレイ5に設けられた溝5aを軸として回動する機構としたが、光ディスク27の端面に対し、水平方向に移動する機構も同様に構成することが可能である。
【0057】
(実施の形態2)
図8(a)および図8(b)は本発明の実施の形態2における光ディスク装置の光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明する為の図であり、図8(a)がラッチングソレノイド26によりトレイ5が拘束された状態であり、図8(b)はラッチングソレノイド26に通電後、固定解除スプリング24により拘束が解除された状態を示す図である。
【0058】
図8(a)および図8(b)において、固定解除部材19およびトレイ5、強制イジェクトピン29以外のすべての部品は共通である。30は固定解除部材19が一定位置以上に回転しないようにするためにトレイ5に一体化で設けられた、もしくは別部品でトレイ5に取り付けられた回転規制ピンである。固定解除部材19の被当接部19cは、強制イジェクトピン29がトレイ前方から挿入された際に固定解除部材19を図8(b)中のL方向に回動させるために固定解除手段と一体で設けられたカム部である。
【0059】
実施の形態1でも説明したように、シーケンス的なトレイ搬入搬出の動作の途中で、不測の電源断などが発生し、トレイ5をフレーム2から取り出すことが出来なくなる操作不能状態となった際には、強制的にトレイ5を取り出すために、トレイ5の前方から強制イジェクトピン29を、図中K方向へ挿入すると、強制イジェクトピン29は固定解除部材19の被当接部19cに当接する。そのまま、図8(a)の状態から図8(b)の状態まで強制イジェクトピン29をK方向に押し込むことにより、固定解除部材19は図8(b)中L方向に回転し、固定解除部材19と嵌合して取り付けられているプランジャ26aも合わせて図8(b)中M方向へ引っ張られ、永久磁石26cとプランジャ26aの間に発生する吸着力から固定解除スプリング24の荷重を引いた力を超えたところでプランジャ26aの永久磁石26cによる固定が解放され、実施の形態で説明したようにトレイ5のフレームへの拘束が解除されることになる。光ディスク回転抑制部材16の動作については実施の形態1に説明した物と同様である。また、固定解放状態から固定状態への復帰の動作についても実施の形態1に説明した動作と同様であるため、ここでは詳細な説明は割愛することとする。
【0060】
以上のように、トレイ内に光ディスク回転抑制手段を配置することにより9.5mm以下の高さを持ち、且つ光ディスク装置に異常が発生し、強制的に光ディスクを取り出す場合でも安全に取り出すことが出来る光ディスク装置を提供することが出来る。
【0061】
(実施の形態3)
本実施の形態3において、光ディスク装置全体の基本的な構成については前記実施の形態1に説明した物と同様とする。従って、光ディスク装置の分解斜視図については前記実施の形態1における図1を、光ディスク装置の裏面側から見た分解斜視図については前記実施の形態1における図2をそれぞれ用いる。
【0062】
図9は本発明の実施の形態3における光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明するための図であり、ラッチングソレノイド56によりトレイ5が拘束された状態を示す図である。図10は図9からイジェクトレバー55を除いた図、図11は図10の斜視図、図12は本発明の実施の形態3における光ディスク回転抑制部材の斜視図である。
【0063】
図13は本発明の実施の形態3における光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明するための図であり、ラッチングソレノイド56に通電後または強制イジェクト後、固定解除スプリング54により拘束が解除された状態を示す図である。図14は本発明の実施の形態3における光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明するための図であり、トレイ5をフレーム2内部に挿入する途中の一状態を示す図である。図15は光ディスク回転抑制手段の動作を説明するための図であり、図9〜図11の裏面から見た図である。図16は光ディスク回転抑制手段の動作を説明するための図であり、図13の裏面から見た図である。なお、図15および図16中、57はトレイ5上に載置された光ディスクである。
【0064】
図9〜図16において、46は装置が動作している状態でトレイ5をフレーム2から取り出す際に、光ディスクが回転した状態で排出されることを防ぐ押圧部材である光ディスク回転抑制部材、47は光ディスク回転抑制部材46に、光ディスクに対する押圧力を印加するための光ディスク回転抑制部材押圧スプリング、56はラッチングソレノイドと呼ばれるソレノイドであって、永久磁石を磁気回路に使用し、吸着状態での保持は永久磁石の吸着力で行う作動装置である。このラッチングソレノイド56は図1におけるイジェクトボタン9が押された時に電気的な制御を介して動作する。ラッチングソレノイド56において、56aはプランジャ、56bはコイル、56cは永久磁石である。
【0065】
51はボトムカバーに立設された固定ピン11と図10中の位置11cで係合しトレイ5をフレーム2内部に固定(拘束)しておくための固定手段、52は固定手段51に回転方向の荷重を印加するための固定手段回動(付勢)スプリング、49はラッチングソレノイド56に電流が印加された際にプランジャ56aを図9、図10および図13中のN方向に引っぱることによりトレイ5の拘束を解除する固定解除部材、54は固定解除部材49にプランジャ56aを図9、図10および図13中のN方向へ引っ張る力を印加するための固定解除スプリングである。50はトレイ5をフレームに挿入する際に固定ピン11と当接することにより固定解除部材49を固定位置に復帰するための復帰部材であり、通常は保持スプリング53により図9および図14に示す固定ピン11と正確に当接する位置をセンターポジションとし、その位置からY方向にもその逆方向にも回動可能に取り付けられている。53は復帰部材50がトレイ5をフレーム2に挿入する際に固定ピン11と正確に当接する位置に留まるよう保持する保持スプリング、55は、後に述べるトレイ拘束開放手段の構成部材であり、かつ強制イジェクトピン59がトレイ前面から挿入された時に強制イジェクトピン59から被当接部55aへの作用力により固定解除部材49を図10中のP方向に回動させるための強制イジェクト手段と、光ディスク回転抑制部材46を光ディスク57の回転が抑制される方向に作用させるための回転抑制作用手段(本実施の形態3においては、光ディスク回転抑制抑制部材46に対して光ディスク57への押圧力を与えるための付勢力を開放する押圧力付勢開放手段でもある)とを兼ねるイジェクトレバーである。イジェクトレバー55の長円形孔55bおよびプランジャ56aの孔56dの内部には、固定解除部材49と一体となったリリースアーム49bが嵌合して取り付けられている。また、イジェクトレバー55の長円形孔55cには、トレイ5に設けられた固定解除部材49の回転軸49aと、同じくトレイ5に設けられた突起部5dとが嵌合して取り付けられている。これによりイジェクトレバー55は図9中のR方向またはその逆方向に平行移動可能となっている。
【0066】
図9、図10、図12および図13において、光ディスク回転抑制部材46には突起部46a〜46dが設けられている。突起部46aおよび46dは溝5aの内部に嵌合して取り付けられ、突起部46bは溝5bの内部に嵌合して取り付けられ、突起部46cは溝5cの内部に嵌合して取り付けられている。それらの突起部46a〜46dはそれぞれ、トレイ5に設けられた溝5a〜5cの内面を水平移動可能である。光ディスク回転抑制部材46と光ディスク回転抑制部材押圧スプリング47は突起部46dで接触しており、図9、図10、図13、図15および図16中のT方向に付勢されている。また、固定解除部材49はトレイ5に設けられた回転軸49aに回動可能な状態で取り付けられており、固定解除部材49のリリースアーム49bはラッチングソレノイド56のプランジャ56aの孔56dおよびイジェクトレバー55の長円形孔55cと嵌合する形で取り付けられている。
【0067】
なお本実施の形態3において、固定解除部材49、復帰部材50、固定手段51、固定手段回動(付勢)スプリング52、保持スプリング53、固定解除スプリング54、ラッチングソレノイド56およびイジェクトレバー55は、収納位置にあるトレイ5を拘束および解放するトレイ拘束解放手段を構成している。
【0068】
また本実施の形態3において、押圧部材である光ディスク回転抑制部材46、光ディスク回転抑制部材押圧スプリング47、イジェクトレバー55およびトレイ5に設けられた溝5a〜5dはトレイ5内に設けられ、トレイ拘束解放手段のトレイ5の搬出動作に連動して光ディスク57に押圧力を付勢するとともに、トレイ拘束解放手段のトレイの搬入動作に連動して押圧力を開放する光ディスク回転抑制手段を構成している。
【0069】
さらに、本実施の形態3におけるイジェクトレバー55は、強制イジェクトピン59がトレイ前面から挿入された時に強制イジェクトピン59から被当接部55aへの作用力により固定解除部材49を図10中のP方向に回動させるための強制イジェクト手段を兼ねている。従って、同じくイジェクトレバー55を構成部材として有するトレイ拘束手段は、強制イジェクト手段を兼ねている、と言うことができる。
【0070】
またさらに、本実施の形態3における前記光ディスク回転抑制手段は、強制イジェクト手段の構成部材でもあるイジェクトレバー55の強制イジェクト動作に連動して前記光ディスク57に押圧力を付勢し、イジェクトレバー55の強制イジェクト回復動作に連動して前記光ディスクに押圧力を除去する。つまり、光ディスク回転抑制手段の構成部材でもあるイジェクトレバー55は、光ディスク回転抑制手段を回転抑制方向に作用させるための回転抑制作用手段、すなわち光ディスク回転抑制手段に対して光ディスクへの押圧力を与えるための付勢力を開放する押圧力付勢開放手段をも兼ねている。
【0071】
従って、強制イジェクト手段の構成部材であるイジェクトレバー55はトレイ拘束開放手段および回転抑制作用手段(押圧力付勢手段)をも構成する部材である、ということになる。
【0072】
以下、図9〜図16に沿って光ディスク装置の動作を詳細に説明する。図9〜図11において、ラッチングソレノイド56のプランジャ56aは永久磁石56cにより保持されており、それに伴い、嵌合している固定解除部材49も拘束された状態である。
【0073】
固定手段51は固定手段回動(付勢)スプリング52により固定ピン11に対して付勢されており、トレイ5はフレーム内部の収納位置に拘束された状態である。この状態において、イジェクトレバー55のフック部55dはその端部55eにおいて光ディスク回転抑制部材46の突起部46dと当接し、光ディスク回転抑制部材46が図15中の光ディスク57に接触しない位置となるように保持しており、光ディスク回転抑制部材46が光ディスク57を押圧する方向、すなわち図9、図10および図15中のTと逆方向に付勢力を発生する光ディスク回転抑制部材押圧スプリング47と釣り合った状態となっている。
【0074】
この状態において、光ディスク回転抑制部材46が、光ディスク57に接触してないため、光ディスク57は、スピンドルモータ6により回転することが可能である。これにより、光ディスク57の再生及び書き込み動作を行うことが可能となる。
【0075】
この状態から使用者が光ディスクの装填もしくは交換を行う場合、通常はイジェクトボタン9を押すこととなる。この動作により、パーソナルコンピュータから光ディスク装置に対し、主基板14を介してラッチングソレノイド56に電力が供給され、コイル56bに永久磁石56cの磁力を打ち消す方向の磁力が発生する。
【0076】
するとプランジャ56aが固定解除スプリング54により、図9および図10中のS方向に引っ張られ、合わせてリリースアーム49bによりプランジャ56aの孔56dと嵌合している固定解除部材49がP方向に回動し、固定解除部材49の嵌合部49cが固定手段51の当接部51bを押すことにより図9および図10中のV方向へ回動し、図13に示すようにトレイ5の固定ピン11への拘束が解除される。
【0077】
これらの動作に伴い、長円形孔55bにより固定解除部材49のリリースアーム49bと嵌合しているイジェクトレバー55が図9および図13中のR方向に水平移動し、それと共にイジェクトレバー55のフック部55dも図9および図13中のR方向に移動する。それによって、光ディスク回転抑制部材46が光ディスク回転抑制部材押圧スプリング47によって図9、図10、図13、図15および図16中のTと逆方向に水平移動し、最終的には図13および図16のような状態となって光ディスク回転抑制部材46の接触部46eが光ディスク57の端面に接触し、光ディスク57の回転を強制的に停止させる。その後、トレイ5は図示しないトレイ移動手段により、フレーム2から排出されて、光ディスク57が着脱可能な載置位置に向かう。このとき固定ピン11がWと逆方向へ移動し、その途中で復帰部材50の当接部50aと当接するが、復帰部材50は保持スプリング53によりその位置からY方向にもその逆方向にも回動可能に取り付けられているので、固定ピン11が当接したときの力によりYと逆方向に回動し固定ピン11をWと逆方向へと逃がして当接状態を解消した後、Y方向に回動して再びそのセンターポジションである図9に示す位置へと復帰する。
【0078】
光ディスク回転抑制部材46の接触部46eは光ディスク57端部の接線方向に対してある角度を有し、かつその対向面が光ディスク57端部に対し光ディスク57の回転方向へ向かうにつれてより接近するよう設けられている。これにより、図13および図16の状態にある載置位置にて、光ディスク57をトレイ5の内部のスピンドルモータ6に取り付ける際に、光ディスク57が光ディスク回転抑制部材46に当接した場合でも、光ディスク回転抑制部材46は図9、図10、図13、図15および図16中のT方向に水平移動するため、スムーズに光ディスク57を取り付けることが可能である。また、トレイ5をフレーム2から排出し光ディスク57が着脱可能な載置位置に取り出す際に、異音を発生させることなく光ディスク57の回転を停止させることが可能となる。
【0079】
図13および図16の状態にある際置位置にて光ディスク57を装着後、トレイ5をフレーム2内部に挿入する。すなわち、光ディスク装置を動作可能な状態にする場合、トレイ5がフレーム2から排出された状態では固定ピン11は図9、図10および図13中の固定ピン11aの位置にあり、トレイ5がフレーム2内部に移動する途中で固定ピン11aは図9、図10および図13中のW方向へと移動しながら復帰部材50の当接部50aと当接する。復帰部材50は保持スプリング53によりその位置からY方向にもその逆方向にも回動可能に取り付けられているので、固定ピン11が図14中の11bの位置で当接したときの力によりY方向に回動し固定ピン11をW方向へと逃がして当接状態を解消した後、Yと逆方向に回動して再びそのセンターポジションである図9および図13に示す位置へと復帰する。このとき、復帰部材50の嵌合部50bが固定解除部材49と一体となった復帰アーム49dと当接し、復帰アーム49d、固定解除部材49および固定解除部材49と一体となったその嵌合部49cを図10中のPと逆方向へと回動させる。それと同時に、固定解除部材49のリリースアーム49bと嵌合して取り付けられているプランジャ56aも合わせて図9、図10および図13中のSと逆方向へ引っ張られ、永久磁石56cにより固定される位置まで達する。このとき、固定ピン11は復帰部材50との当接状態が解除された後、位置11cをW方向へ行き過ぎて復帰部材50と一旦離れ、再びWと逆方向へ戻ってくる。これらの動作において固定解除部材49の嵌合部49cの当接部51bに対する付勢力が解放されるため、固定部材51は固定手段回動(付勢)スプリング52により図9、図10および図13中のVと逆方向に回転し、固定ピン11と位置11cにおいて接触した状態となり、トレイ5の収納位置での固定が完了する。
【0080】
これらの動作に伴い、長円形孔55bにより固定解除部材49のリリースアーム49bと嵌合しているイジェクトレバー55が図9および図13中のRと逆方向に水平移動し、それと共にイジェクトレバー55のフック部55dも図9および図13中のRと逆方向に移動する。それによって、光ディスク回転抑制部材46が光ディスク回転抑制部材押圧スプリング47によって図9、図10、図13、図15および図16中のT方向に水平移動し、最終的には図9〜13および図15のような状態となって光ディスク回転抑制部材46の接触部46eが光ディスク57の端面から離れる。
【0081】
この状態において、光ディスク回転抑制部材46が、光ディスク57に接触してないため、光ディスク57は、スピンドルモータ6により回転することが可能である。これにより、光ディスク57の再生及び書き込み動作を行うことが可能となる。
【0082】
シーケンス的なトレイ搬入搬出の動作の途中で、不測の電源断などが発生し、トレイ5をフレーム2から取り出すことが出来なくなる操作不能状態となった際に強制的にトレイ5を取り出す場合、トレイ5の前方から強制イジェクトピン59を、図9および図13中の略R方向へ挿入すると、強制イジェクトピン59は固定解除部材49の被当接部49cに当接する。そのまま、図9の状態から図13の状態まで強制イジェクトピン59を略R方向に押し込むことにより、イジェクトレバー55も図9および図13中のR方向に平行移動し、固定解除部材49のリリースアーム49bと嵌合して取り付けられているプランジャ56aも合わせて図9、図10および図13中のS方向へ引っ張られ、永久磁石56cとプランジャ56aの間に発生する吸着力から固定解除スプリング54の荷重を引いた力を超えたところでプランジャ56aの永久磁石56cによる固定が解放される。そしてそれと同時に固定解除部材49も図10中のP方向に回動するため、イジェクトボタン9を押した場合と同様に、最終的には図13および図16のような状態となってトレイ5のフレームへの拘束が解除されることになる。
【0083】
これらの動作に伴うイジェクトレバー55や光ディスク回転抑制部材46等の動作については先ほど説明したイジェクトボタン9を押した場合と同様である。また、固定解放状態から固定状態への復帰の動作についても先ほど説明したイジェクトボタン9を押した場合の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明は割愛することとする。
【0084】
なお、本実施の形態3において、光ディスク回転抑制部材46は、光ディスク57の端面に対し水平方向に移動する機構としたが、両側面に有する回転軸がトレイ5に設けられた溝に装着され、光ディスク57の端面に対し回動する機構としても良い。
【0085】
以上のように、トレイ内に光ディスク回転抑制手段を配置することにより9.5mm以下の高さを持ち、且つ光ディスク装置に異常が発生し、強制的に光ディスクを取り出す場合でも安全に取り出すことが出来る光ディスク装置を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、薄型化が要求される光ディスク装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態1における光ディスク装置の分解斜視図
【図2】図1の光ディスク装置の裏面側から見た分解斜視図
【図3】光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の部分の拡大図
【図4】光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の分解斜視図
【図5】(a)光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明する為の図であり、ラッチングソレノイドによりトレイが拘束された状態を示す図、(b)光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明する為の図であり、ラッチングソレノイドに通電後、固定解除スプリングにより拘束が解除された状態を示す図
【図6】図5(a)に対応した状態の光ディスク回転抑制手段の動作を説明する図3のX−X線に沿う矢視断面図
【図7】図5(b)に対応した状態の光ディスク回転抑制手段の動作を説明する図3のX−X線に沿う矢視断面図
【図8】(a)本発明の実施の形態2における光ディスク装置の光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明する為の図であり、ラッチングソレノイドによりトレイが拘束された状態を示す図、(b)本発明の実施の形態2における光ディスク装置の光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明する為の図であり、ラッチングソレノイドに通電後、固定解除スプリングにより拘束が解除された状態を示す図
【図9】本発明の実施の形態3における光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明するための図であり、ラッチングソレノイドによりトレイが拘束された状態を示す図
【図10】図9からイジェクトレバーを除いた図
【図11】図10の斜視図
【図12】本発明の実施の形態3における光ディスク回転抑制部材の斜視図
【図13】本発明の実施の形態3における光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明するための図であり、ラッチングソレノイドに通電後または強制イジェクト後、固定解除スプリングにより拘束が解除された状態を示す図
【図14】本発明の実施の形態3における光ディスク回転抑制手段およびトレイ拘束解放手段の動作を説明するための図であり、トレイをフレーム内部に挿入する途中の一状態を示す図
【図15】光ディスク回転抑制手段の動作を説明するための図であり、図9〜図11の裏面から見た図
【図16】光ディスク回転抑制手段の動作を説明するための図であり、図13の裏面から見た図
【図17】従来のドロア方式のディスク装置を示す分解斜視図
【図18】(a)従来の光ディスク装置のトレイが拘束された状態を示す図、(b)従来の光ディスク装置のトレイの拘束が解除された状態を示す図
【符号の説明】
【0088】
1 アッパーカバー
2 フレーム
3 フレキシブル基板
4 レール
5 トレイ
5a、5b、5c 溝(光ディスク回転抑制手段)
5d 突起部
6 スピンドルモータ
7 光ピックアップ
8 ベゼル
9 イジェクトボタン
10 ピックアップモジュール
11、11a、11b、11c 固定ピン
12 トレイ排出機構
13 保護カバー
14 電気基板(主基板)
15 トレイカバー
16 光ディスク回転抑制部材(押圧部材:(光ディスク回転抑制手段))
17 光ディスク回転抑制部材押圧スプリング(光ディスク回転抑制手段)
18 押圧スプリング固定部材(光ディスク回転抑制手段)
19 固定解除部材(トレイ拘束解放手段)
20 復帰部材(トレイ拘束解放手段)
21 固定手段(トレイ拘束解放手段)
22 固定手段回動(付勢)スプリング(トレイ拘束解放手段)
23 保持スプリング(トレイ拘束解放手段)
24 固定解除スプリング(トレイ拘束解放手段)
25 強制イジェクト部材
26 ラッチングソレノイド(トレイ拘束解放手段)
26a プランジャ
26b コイル
26c 永久磁石
27 光ディスク
29 強制イジェクトピン
30 回転規制ピン
46 光ディスク回転抑制部材(押圧部材:(光ディスク回転抑制手段))
46a、46b、46c、46d 突起部
46e 接触部
47 光ディスク回転抑制部材押圧スプリング(光ディスク回転抑制手段)
49 固定解除部材(トレイ拘束解放手段)
49a 回転軸
49b リリースアーム
49c 嵌合部
49d 復帰アーム
50 復帰部材(トレイ拘束解放手段)
50a 当接部
50b 嵌合部
51 固定手段(トレイ拘束解放手段)
51b 当接部
52 固定手段回動(付勢)スプリング(トレイ拘束解放手段)
53 保持スプリング(トレイ拘束解放手段)
54 固定解除スプリング(トレイ拘束解放手段)
55 イジェクトレバー
55a 被当接部
55b 長円形孔
55c 長円形孔
55d フック部
55e 端部
56 ラッチングソレノイド(トレイ拘束解放手段)
56a プランジャ
56b コイル
56c 永久磁石
56d 孔
57 光ディスク
59 強制イジェクトピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部機器を収納するとともに光ディスクを収納可能とするフレームと、
前記光ディスクが回転可能に載置されるトレイと、
前記トレイの両側部と前記フレームとの間に設けられて、前記光ディスクが着脱可能な載置位置と前記光ディスクが前記フレーム内に収納される収納位置との間で前記トレイを移動可能に支持するレールと、
前記トレイを前記載置位置と前記収納位置との間で移動させるトレイ移動手段と、
前記収納位置にある前記トレイを拘束および解放するトレイ拘束解放手段と、
前記トレイ内に設けられて、前記トレイ拘束解放手段の前記トレイの解放動作に連動して、前記光ディスクに押圧力を付勢するとともに、前記トレイ拘束解放手段の前記トレイの拘束動作に連動して前記押圧力を除去する光ディスク回転抑制手段と、
を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記光ディスク回転抑制手段は、前記光ディスクと同一面内を移動して、前記光ディスクの周縁部に回動の軸を有し、前記トレイ拘束解放手段の前記押圧力を加える押圧部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記光ディスク回転抑制手段は、前記光ディスクの周縁部に回動の軸を有し、光ディスクの記録面方向またはレーベル面方向に移動して前記トレイ拘束解放手段の前記押圧力を加える押圧部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記光ディスク回転抑制手段は、前記光ディスクと同一面内を移動して、前記光ディスクの周縁部に前記押圧力を加える押圧部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記光ディスク回転抑制手段は、光ディスクの記録面方向またはレーベル面方向に移動して前記光ディスクの周縁部に前記押圧力を加える押圧部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記トレイ拘束解放手段は、強制イジェクト手段を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
トレイ拘束開放手段は、さらに光ディスク回転抑制手段を回転抑制方向に作用させるための回転抑制作用手段を兼ねる請求項6に記載の光ディスク装置。
【請求項8】
トレイ拘束開放手段は、さらに光ディスク回転抑制手段を回転抑制方向に作用させるための付勢力を開放する押圧力付勢開放手段とを兼ねる請求項6に記載の光ディスク装置。
【請求項9】
トレイ拘束開放手段は、さらに光ディスク回転抑制手段に対して光ディスクへの押圧力を与えるための付勢力を開放する押圧力付勢開放手段とを兼ねる請求項6に記載の光ディスク装置。
【請求項10】
強制イジェクト手段の一構成部材とはその被当接部に対し強制イジェクト時の作用力を受けるためのイジェクトレバーであり、前記イジェクトレバーはその被当接部に対し強制イジェクト時に受ける作用力と略同一方向に平行移動可能に設けられた請求項6に記載の光ディスク装置。
【請求項11】
トレイ拘束開放手段、強制イジェクト手段および回転抑制作用手段が共用する少なくとも一つの部材が、強制イジェクト時において強制イジェクト手段に対し作用する強制イジェクト作用力の方向と略同一な方向へ水平移動するよう設けられた請求項7に記載の光ディスク装置。
【請求項12】
トレイ拘束開放手段、強制イジェクト手段および押圧力付勢開放手段が共用する少なくとも一つの部材が、強制イジェクト時において強制イジェクト手段に対し作用する強制イジェクト作用力の方向と略同一な方向へ水平移動するよう設けられた請求項8または9に記載の光ディスク装置。
【請求項13】
前記フレームの高さである装置の全高が9.5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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