説明

光ディスク装置

【課題】本体ケース内部にスペースがない場合にも、ディスクトレイの位置を検出する。
【解決手段】ディスクトレイ14は、モータ68の駆動により、引出し位置と格納位置との間で移動する。ディスクトレイ14の下面に、検出スイッチ21、スイッチレバー22を取り付ける。スイッチレバー22は、スイッチ片21bを押圧する検出位置と、スイッチ片21bを押圧しない非検出位置との間で回転する。スイッチレバー22は、スイッチバネ23により、非検出位置に向けて付勢される。ディスクトレイ14が引出し位置に移動すると、当接部22bが下カバー9の当接片9bに当接して、スイッチレバー22は、検出位置に向けて回転され、スイッチ片21bが押圧されて、検出スイッチ21がオンされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクトレイをオートローディングする光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置には、CD、DVDなどの光ディスクが記憶媒体として用いられている。光ディスク装置は、光ディスクを装填するディスクトレイを、本体ケース外部に引き出される引出し位置と、本体ケース内部に格納される格納位置との間で移動自在に組み込み、光ディスクの着脱時にはディスクトレイを引出し位置に引き出し、使用時にはディスクトレイを格納位置に移動するように構成される。
【0003】
近年では、ディスクトレイをオートローディングする技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、ディスクトレイを引出し位置と収納位置との間で移動させる場合に操作する操作部を有するスライダをディスクトレイに設け、筐体内部に、操作部が操作されたことを検出する検出スイッチを設けている。
【特許文献1】特開2003−77260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、薄型タイプの光ディスク装置では、本体ケース内部に、特許文献1に記載の検出スイッチを設けるスペースを確保することが難しく、検出スイッチを設けることができない場合には、ディスクトレイの位置を検出することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本体ケース内部にスペースがない場合にも、ディスクトレイの位置を検出することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の光ディスク装置は、光ディスクが装填されるディスクトレイを、モータを有するトレイ移動機構により、ケースから引き出された引出し位置と、前記ケースの内部に格納された格納位置との間で移動させる光ディスク装置において、前記ディスクトレイに設けられ、検出位置と非検出位置との間で変位可能な変位部材と;前記ディスクトレイに設けられ、前記変位部材を前記非検出位置に向けて付勢する付勢手段と;前記ディスクトレイが前記引出し位置まで移動したときに、前記変位部材に当接して当該変位部材を前記検出位置に変位させる当接部と;前記ディスクトレイに設けられ、前記変位部材が前記検出位置に変位したことを検出する検出手段と;を備えたことを特徴とする。
【0007】
なお、前記変位部材の変位としては、移動や回転等が挙げられる。また、前記光ディスクとしては、CD、DVD、デュアルディスク、SACD(ハイブリッド・ディスク)等が挙げられる。
【0008】
また、前記当接部を、前記ケースに設けることが好ましい。さらに、前記検出手段は、押圧可能な押圧部を有し、前記押圧部が押圧されたことを検出する押圧スイッチから構成され、前記変位部材は、前記検出位置に変位したときに前記押圧部を押圧し、前記非検出位置に変位したときに前記押圧部への押圧を解除することが好ましい。
【0009】
また、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記モータの駆動を制御する制御手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光ディスク装置によれば、ディスクトレイに設けた変位部材及び検出手段により、変位部材が検出位置に変位したこと、すなわち、ディスクトレイが引出し位置に移動したことを検出するから、ケースの内部に、ディスクトレイが引出し位置に移動したことを検出する検出機構を設けることが難しい薄型タイプの光ディスク装置でも、ディスクトレイが引出し位置に移動したことを検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示すように、光ディスク装置2は、ノート型パソコン等の電子機器に内蔵されるものであり、光ディスク装置2は、例えばパソコン本体3の一方の側面に組み込まれる。光ディスク4を装填するとき及び取り出すときには、トレイユニット5をいっぱいに引き出して行う。光ディスク4の装填後、フロントカバー6を押圧するとトレイユニット5はパソコン本体3内に完全に格納された状態でロックされる。トレイユニット5を引き出すときには、フロントカバー6に設けられたイジェクトボタン7を押す。
【0012】
図2及び図3に示すように、光ディスク装置2は、薄板金属製の下カバー9及び上カバー(図示せず)により構成されるケース10を備え、トレイユニット5は、ケース10の外部に引き出された引出し位置(図2参照)と、ケース10の内部に格納される格納位置(図3参照)との間で、前後方向に移動自在に設けられている。下カバー9の内部の後端部には、光ディスク装置2の駆動を制御する制御基板(制御手段)13が取り付けられている。
【0013】
トレイユニット5は、光ディスク4の外径に対応した窪みが形成された樹脂製のディスクトレイ14と、光ピックアップ15が設けられ、光ディスク4の径方向に移動自在に設けられたキャリッジ16を有するピックアップユニット17とを備え、ピックアップユニット17は、ディスクトレイ14に取り付けられている。
【0014】
ピックアップユニット17には、光ディスク4を回転させるスピンドルモータ18が設けられており、スピンドルモータ18の駆動軸には、チャッキングコア19が固定されている。ディスクトレイ14の窪みに合わせて光ディスク4を装填すると、チャッキングコア19が光ディスク4のチャック孔4a(図1参照)に係合して光ディスク4を保持する。
【0015】
ディスクトレイ14には、光ピックアップ15及びスピンドルモータ18の駆動を制御する駆動基板(図示せず)が設けられており、この駆動基板は、FPC(Flexible Printed Circuit)から構成されるフレキシブル基板20により制御基板13に接続されている。イジェクトボタン7は、駆動基板に接続されており、イジェクトボタン7を押すと、駆動基板を介して制御基板13に、イジェクト信号が入力される。制御基板13は、イジェクト信号が入力されたことに応答して、ディスクトレイ14の位置に応じた制御(モータ68(図10参照)の回転方向の制御)を行う。
【0016】
図4、図5及び図6に示すように、ディスクトレイ14の下面には、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したこと(スイッチレバー22が検出位置に回転したこと)を検出する検出スイッチ(検出手段)21が取り付けられている。検出スイッチ21は、光ピックアップ15及びスピンドルモータ18の駆動を制御する駆動基板(図示せず)に接続されている。検出スイッチ21は、スイッチ本体21aに、スイッチ片(押圧部)21bが移動自在に取り付けられている。スイッチ片21bは、バネ(図示せず)により、スイッチ本体21aから突出する方向に向けて付勢されている。検出スイッチ21は、スイッチ片21bが突出位置(図5参照)に位置するときには、スイッチオフとなり、スイッチ片21bが検出位置(図4参照)まで押圧されたときにオンとなり、オンのときには、駆動基板、フレキシブル基板20を介して制御基板13にスイッチオン信号を出力する。制御基板13は、検出スイッチ21からスイッチオン信号が入力されているときには、ディスクトレイ14が引出し位置に位置すると判断する。
【0017】
ディスクトレイ14の下面には、スイッチレバー(変位部材)22が回転自在に取り付けられている。スイッチレバー22は、ディスクトレイ14が引出し位置に位置するときに、スイッチ片21bを押圧して、検出スイッチ21をオンさせるものであり、スイッチ片21bを押圧する検出位置(図4参照)と、スイッチ片21bを押圧しない非検出位置(図5参照)との間で回転する。スイッチレバー22は、スイッチバネ(付勢手段)23により非検出位置に向けて付勢されている。スイッチバネ23は、円巻された本体部23aと、本体部23aの一端に連続して形成された第1フック部23bと、本体部23aの他端に連続して形成された第2フック部23cとを備える。スイッチレバー22は、ディスクトレイ14の下面に形成された回転規制ボス14cに当接することにより、非検出位置に向けての回転が規制される。
【0018】
スイッチレバー22は、スイッチ片21bを押圧するスイッチ押圧部22aと、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したときに、下カバー9の当接片(当接部)9bに当接する当接部22bと、第2フック部23cがフックされるフック部22cとを備える。フック部22cには、第2フック部23cが挿入されるフック孔22dが形成されている。スイッチレバー22は、取付孔22eを中心にディスクトレイ14の下面に回転自在に取り付けられる。ディスクトレイ14の下面に形成されたフックボス14bに第1フック部23bをフックさせ、フック孔22dに第2フック部23cを挿入すると、スイッチレバー22は、非検出位置に向けて付勢される。図6に示すように、フック部22cは、段差状に形成されており、フック孔22dに第2フック部23cを挿入したときに、本体部23aがディスクトレイ14の下面に当接することがない。これにより、スイッチバネ23により、確実にスイッチレバー22を非検出位置に向けて付勢することができる。
【0019】
図4に示すように、ディスクトレイ14が引出し位置に移動すると、当接部22bが下カバー9の当接片9bに当接して、スイッチレバー22は、スイッチバネ23の付勢に抗して、検出位置に向けて回転される。そして、スイッチ押圧部22aによりスイッチ片21bが押圧されて、検出スイッチ21がオンされる。これにより、制御基板13には、スイッチオン信号が入力される。制御基板13は、スイッチオン信号が入力されたことに基づいて、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したと判断する。なお、スイッチレバー22は、図5に示すように、ディスクトレイ14が格納位置に位置するときに、ケース10の内部に格納されるような形状で形成されている。これにより、ケース10の前後方向(図5における上下方向)のサイズを大きくする必要がない。
【0020】
図3及び図6〜図8に示すように、光ディスク装置2には、右主動レール31、右従動レバー32、右サブレール33、右保持レール34、右トレイレール35及びレールギア36を有する右レールユニット37が設けられている。また、光ディスク装置2には、左主動レール41、左従動レバー42、左サブレール43、左保持レール44、左トレイレール45及びレールギア36を有する左レールユニット47が設けられている。各部材41〜45は、各部材31〜35と同様な構成(各部材31〜35の左右を逆にした形状)で形成されており、その説明及び図示は簡略化するが、各部材31〜35と同様に、各部分に符号が付される。
【0021】
図7、図8及び図9に示すように、右主動レール31は、ディスクトレイ14を引出し位置に移動させる前進位置(図4及び図10(B)参照)と、ディスクトレイ14を格納位置に移動させる後退位置(図5及び図10(A)参照)との間で移動自在に設けられ、樹脂により構成されている。
【0022】
右主動レール31は、下板31a及び側板31bからなる略L字に形成されており、下板31aには、主動ラックギア31c、右従動レバー32をガイドする前ガイド凸部31d及び後ガイド凸部31e、右従動レバー32の前ガイド凸部32c及び後ガイド凸部32dが挿入される前挿入孔31f及び後挿入孔31g、レールバネ51が挿入されるバネ挿入孔31h、レールバネ51の一端51aを保持する保持凸部31i、右従動レバー32の後方向(図9における上方向)への移動を規制する規制凸部31jが形成されている。
【0023】
主動ラックギア31cは、後退位置に移動したときに、後述するレール伝達ギア67との噛合が解除されるような長さで形成されており、下板31aには、主動ラックギア31cの前側に切欠き31kが形成されている。主動ラックギア31cとの噛合が解除されたレール伝達ギア67は、切欠き31kに入り込むため、レール伝達ギア67が下板31aに接触することがない。
【0024】
側板31bには、レールギア36を回転自在に保持する軸ピン52が取り付けられている。右保持レール34は、側板31bを保持する。同様にして、左主動レール41の側板41bには、レールギア36を回転自在に保持する軸ピン52が取り付けられている。
【0025】
図7、図8及び図9に示すように、右従動レバー32は、右主動レール31が前進位置と後退位置との間で移動するときには、右主動レール31とともに移動し、右主動レール31が後退位置に移動した後は、単独でロック解除位置(図5、図12(A)及び図13(A)参照)とロック位置(図12(B)及び図13(B)参照)との間で移動するものであり、樹脂により構成され、弾性変形可能な形状(厚み等)で形成されている。
【0026】
右従動レバー32は、板状の本体部32aに、従動ラックギア32b、前ガイド凸部32c、後ガイド凸部32d、右主動レール31の前ガイド凸部31d及び後ガイド凸部31eが挿入される前挿入孔32e及び後挿入孔32f、レールバネ51が挿入されるバネ挿入孔32g、レールバネ51の他端51bを保持する保持凸部32h、断面略L字状に形成され、ロックレバー55の押圧面55f(図12参照)を押圧する押圧部32iが形成されている。各ガイド凸部32c,32dは、本体部32aの下面から突出して形成されている。なお、左従動レバー42には、押圧部32iの形状が形成されていない。
【0027】
図7及び図8に示すように、右サブレール33は、樹脂により構成されており、板状の本体部33aに、取付凸部33bが形成されている。取付凸部33bが図示しないビスにより右主動レール31に取り付けられる。取付凸部33bの前後方向における略中心部には、切欠き33cが形成されている。本体部33aの切欠き33cが形成された部分には、軸ピン52が圧入される圧入孔33dが形成されている。
【0028】
図8に示すように、右保持レール34は、右主動レール31を移動自在に保持するものであり、薄板金属により構成されている。右保持レール34は、断面略コ字状の本体部34aに、上リブ34bが形成されており、上リブ34bには、保持ラックギア34cが形成されている。本体部34aは、図示しないビスにより、下カバー9の側壁の内面に固定されている。
【0029】
図6に示すように、右トレイレール35は、右サブレール33を移動自在に保持するものであり、薄板金属により構成されている。右トレイレール35は、断面略コ字状の本体部35aに、上リブ35b及び下リブ35cが形成されており、下リブ35cには、トレイラックギア35dが形成されている。本体部35aは、図示しないビスにより、ディスクトレイ14の右側面に取り付けられている。レールギア36は、保持ラックギア34cとトレイラックギア35dとに噛合する。
【0030】
図7及び図8に示すように、右主動レール31に右サブレール33を取り付けるときは、先ず、軸ピン52を、レールギア36の挿通孔36aに挿通した後、右サブレール33の圧入孔33dに圧入する。そして、図示しないビスにより、右サブレール33を右主動レール31に取り付ける。
【0031】
右主動レール31に右従動レバー32を移動自在に取り付けるときは、先ず、図9(A)に示すように、前挿入孔31f及び後挿入孔31gに、前ガイド凸部32c及び後ガイド凸部32dを挿入する。このとき、右従動レバー32の後端部が、規制凸部31jに当接するため、右従動レバー32の後端部を変形させ(撓ませ)ながら行う。そして、図9(B)に示すように、右従動レバー32を前方に移動させると、右従動レバー32が右主動レール31に移動自在に取り付けられる。この状態で、レールバネ51をバネ挿入孔31h及びバネ挿入孔32gに挿入し、一端51aを保持凸部31iに、他端51bを保持凸部32hに、それぞれ保持させると、右従動レバー32は、右主動レール31に対して前方(図9における下方)に付勢された状態となる。右従動レバー32は、右主動レール31に対して前方に付勢されると、右従動レバー32の後挿入孔32fにより形成された後壁面22jに、後ガイド凸部31eが当接して、レールバネ51による右従動レバー32の付勢が規制される。
【0032】
図10(A)に示すように、右主動レール31が後退位置に位置するときには、レールギア36は、保持ラックギア34cの後端部とトレイラックギア35dの前端部とに噛合している。右主動レール31が前進位置に向けて前方(図10における下方)に移動すると、右主動レール31に設けられたレールギア36も前方向に移動する。右保持レール34は、下カバー9に固定されているため、レールギア36は、前方向への移動に伴い、A方向に回転する。トレイラックギア35dはレールギア36に噛合しており、レールギア36がA方向に回転すると、右トレイレール35が前方向に移動する。右トレイレール35が前方向に移動すると、右トレイレール35が固定されたディスクトレイ14も前方向に移動する。
【0033】
図10(B)に示すように、右主動レール31が前進位置に移動すると、レールギア36が、保持ラックギア34cの前端部とトレイラックギア35dの後端部とに噛合している状態となる。また、右主動レール31が前進位置に移動すると、ディスクトレイ14は引出し位置に移動する。
【0034】
図4、図5、図11及び図12に示すように、ディスクトレイ14の下面には、ディスクトレイ14に設けられた支持部(図示せず)により、ロックレバー55が、係合位置(図12(B)参照)と退避位置(図12(A)参照)との間で左右方向に移動自在に支持されている。ロックレバー55は、ロックバネ56により係合位置に向けて右方に付勢されている。
【0035】
ロックレバー55は、本体部55aと、右従動レバー32の押圧部32iにより押圧される押圧部55bと、下カバー9のロック片9aに係合してロックされる係合部55cとを備える。本体部55aには、ロックバネ56が挿入される挿入孔55dと、ロックバネ56の一端56aを保持する保持凸部55eとが形成されている。押圧部55bは、押圧部32iにより押圧される押圧面55fが、傾斜して形成されている。係合部55cは、ディスクトレイ14が格納位置に移動するときにロック片9aにより押圧される押圧面55gが、傾斜して形成されている。ロックレバー55がロック位置に移動すると、係合部55cの係合面55hがロック片9aに当接し、係合部55cがロック片9aに係合する。これにより、ロックレバー55がロックされる。押圧部55bは、ロック片9aよりも上方に位置するように形成されている。
【0036】
ロックバネ56を挿入孔55dに挿入し、一端56aを保持凸部55eに保持させ、他端56bをディスクトレイ14に形成された保持凸部14aに保持させると、ロックレバー55は、左右方向に移動自在で、且つ、ロックバネ56により係合位置に向けて付勢された状態で、ディスクトレイ14の下面に取り付けられる。
【0037】
図4に示すように、下カバー9の内部には、右主動レール31を移動させる右ギア機構60が設けられている。右ギア機構60は、第1〜第6ギア61〜66、レール伝達ギア67、モータ68、モータ68の回転シャフトに取り付けられたウォームギア69を備える。各ギア61〜67は、下カバー9に回転自在に取り付けられている。第1ギア61は、ウォームギア69に噛合しており、第2ギア62は、第1ギア61に噛合している。そして、第3ギア63、第4ギア64、第5ギア65、第6ギア66、レール伝達ギア67の順に噛合している。これにより、モータ68の回転シャフトが回転すると、レール伝達ギア67が回転する。第2〜第4ギア62〜64は、2段ギアで形成されており、第2〜第4ギア62〜64では、回転が減速されて伝達される。本実施形態では、トレイ駆動機構は、右レールユニット37と、右ギア機構60とを備えて構成されている。
【0038】
下カバー9の内部には、左主動レール41を移動させる左ギア機構70が設けられている。左ギア機構70は、第1〜第5ギア61〜65、レール伝達ギア67を備える。第1ギア61の上面には、プーリー部61aが形成されており、2個の第1ギア61のプーリー部61aには、ベルト71が巻き掛けられている。これにより、モータ68の回転シャフトが回転すると、左ギア機構70のレール伝達ギア67が回転する。左ギア機構70には、第6ギア66が設けられておらず、これにより、右ギア機構60のレール伝達ギア67と、左ギア機構70のレール伝達ギア67とは、その回転方向が逆になる。
【0039】
図4に示すように、右主動レール31が前進位置に位置するときには、レール伝達ギア67は、主動ラックギア31cの後端部に噛合している。モータ68を駆動して、右ギア機構60のレール伝達ギア67を、B方向に回転させる(左ギア機構70のレール伝達ギア67をC方向に回転させる)と、右主動レール31及び左主動レール41が後方(図4における上方)に移動する。以下、右主動レール31と左主動レール41とは同様の動作をするため、右主動レール31の動作のみを説明する。
【0040】
右主動レール31が前進位置から後退位置に向けて移動し、後退位置に移動する前に、従動ラックギア32bもレール伝達ギア67に噛合する。そして、図5及び図13(A)に示すように、右主動レール31が後退位置に移動(ディスクトレイ14が格納位置に移動)すると、右従動レバー32がロック解除位置に位置する。この状態では、レール伝達ギア67は切欠き31kに入り込み、レール伝達ギア67と主動ラックギア31cとの噛合が解除されて、レール伝達ギア67は従動ラックギア32bにのみ噛合している状態となる。右従動レバー32がロック解除位置に位置しているため、右従動レバー32の押圧部32iが、押圧部55bの押圧面55fを押圧し、ロックレバー55は、ロックバネ56の付勢に抗して、退避位置に維持される。なお、右主動レール31が後退位置に移動する前に、ロック片9aに係合部55cの押圧面55gが当接し、ロックレバー55が退避位置に向けて移動される。それと同時に、押圧部32iがロックレバー55の押圧面55fを押圧し、ロックレバー55が退避位置に向けて移動される。また、押圧部55bは、ロック片9aよりも上方に位置するように形成されているため、ディスクトレイ14が格納位置に移動するときに、押圧部55bがロック片9aに接触することがない。
【0041】
図13(B)に示すように、右主動レール31が後退位置に移動した後、さらに右ギア機構60のレール伝達ギア67が図4中B方向に回転すると、右従動レバー32がロック解除位置からロック位置に後方に移動する。右従動レバー32がロック位置に移動すると、押圧部32iによる押圧部55bへの押圧が解除され、ロックレバー55がロックバネ56の付勢により係合位置に移動する。ロックレバー55が係合位置に移動すると、係合部55cがロック片9aに係合してロックレバー55はロックされ、ロックレバー55が取り付けられたディスクトレイ14は格納位置でロックされる。右従動レバー32の後方への移動は、規制凸部31jに当接することにより規制される。なお、図5においては、図面の乱雑を避けるため、第1〜第6ギア61〜66、ベルト71の図示を省略している。また、光ディスク装置2には、右従動レバー32がロック位置に移動したことを検出する検出スイッチが設けられており、制御基板13は、上記検出スイッチによる検出が行われたことに応答して、モータ68の駆動を停止する。
【0042】
一方、ディスクトレイ14を格納位置から引出し位置に移動させるときには、モータ68を駆動して、右ギア機構60のレール伝達ギア67を、図5中C方向に回転させて、右従動レバー32をロック位置からロック解除位置に向けて移動させる。右従動レバー32がロック解除位置に移動すると、押圧部32iが押圧部55bの押圧面55fを押圧して、ロックレバー55が退避位置に移動する。ロックレバー55が退避位置に移動すると、ディスクトレイ14のロックが解除される。
【0043】
また、右従動レバー32がロック解除位置に移動すると、後壁面32jに後ガイド凸部31eが当接する。これにより、右従動レバー32がロック解除位置から、さらに前方向に移動すると、右従動レバー32とともに右主動レール31が前方向に移動する。右主動レール31が前方向に移動すると、レール伝達ギア67は切欠き31kから抜け出して主動ラックギア31cに噛合する。レール伝達ギア67が主動ラックギア31cに噛合すると、レール伝達ギア67のC方向への回転により、右主動レール31が前進位置に向けて移動する。
【0044】
次に、上記のように構成された光ディスク装置2の作用について説明する。ディスクトレイ14が格納位置に位置しているときには、検出スイッチ21はオフであり、制御基板13にはスイッチオン信号が入力されていない。この状態で、ユーザがイジェクトボタン7を押すと、制御基板13は、イジェクトボタン7からイジェクト信号が入力されたことに応答して、右ギア機構60のレール伝達ギア67を図5中C方向に回転させるように、モータ68の駆動を制御する。この制御により、ディスクトレイ14が格納位置から引出し位置に向けて移動する。
【0045】
ディスクトレイ14が引出し位置に移動すると、スイッチレバー22の当接部22bが下カバー9の当接片9bに当接して、スイッチレバー22は、スイッチバネ23の付勢に抗して、検出位置に向けて回転される。そして、スイッチ押圧部22aによりスイッチ片21bが押圧されて、検出スイッチ21がオンされる。これにより、制御基板13には、スイッチオン信号が入力される。制御基板13は、スイッチオン信号が入力されたことに基づいて、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したと判断し、モータ68の駆動を停止する。
【0046】
ディスクトレイ14が引出し位置に位置し、制御基板13にスイッチオン信号が入力されているときに、ユーザがイジェクトボタン7を押すと、制御基板13は、イジェクトボタン7からイジェクト信号が入力されたことに応答して、右ギア機構60のレール伝達ギア67を図4中B方向に回転させるように、モータ68の駆動を制御する。この制御により、ディスクトレイ14が引出し位置から格納位置に向けて移動する。
【0047】
また、ディスクトレイ14が引出し位置に位置し、制御基板13にスイッチオン信号が入力されているときに、ユーザが手動でディスクトレイ14を格納位置に向けて移動させると、検出スイッチ21から制御基板13へのスイッチオン信号の入力が停止される。制御基板13は、スイッチオン信号の入力が停止されたことに応答して、右ギア機構60のレール伝達ギア67をB方向に回転させるように、モータ68の駆動を制御する。この制御により、ディスクトレイ14が格納位置に向けて移動する。
【0048】
このように、ディスクトレイ14に設けた検出スイッチ21及びスイッチレバー22により、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したことを検出するから、ケース10の内部に、検出スイッチ21及びスイッチレバー22を設けることが難しい薄型タイプの光ディスク装置2でも、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したことを検出することができる。
【0049】
また、スイッチレバー22により、検出スイッチ21をオンさせるから、ディスクトレイ14の後端がケース10から突出した状態(図4参照)を引出し位置とすることができる。これにより、引出し位置に位置するディスクトレイ14の後端がケース10から突出しないタイプのものに比べて、ディスクトレイ14に光ディスク4を装填するとき、及び、ディスクトレイ14から光ディスク4を取り出すときの操作性を向上することができる。スイッチレバー22を設けずに、検出スイッチ21をケース10に当接させて引出し位置を検出する場合には、検出スイッチ21を、ディスクトレイ14の後端から突出しないように取り付ける必要があるため(ケース10のサイズ維持のため)、引出し位置に位置するディスクトレイ14の後端がケース10から突出しない。すなわち、スイッチレバー22を設けることにより、上記操作性を向上することができる。
【0050】
さらに、検出スイッチ21の検出結果(オン/オフ)に基づいて、制御基板13は、モータ68の駆動を制御するから、ユーザがイジェクトボタン7を押した場合、手動でディスクトレイ14を移動させた場合にも、ディスクトレイ14を正しい方向に移動させることができる。
【0051】
また、ディスクトレイ14が引出し位置に位置するときには、スイッチレバー22が下カバー9に当接しているから、スイッチレバー22を、ディスクトレイ14がケース10から抜け落ちることを防止するストッパとしても機能させることができる。
【0052】
さらに、右ギア機構60により右主動レール31を移動させ、左ギア機構70により左主動レール41を移動させるから、各移動機構60,70のうちのいずれか一方のみを設けたものに比べて、ディスクトレイ14が引出し位置に位置するときの、ディスクトレイ14のガタつきを抑制することができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、スイッチバネ23により、スイッチレバー22を非検出位置に向けて付勢し、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したときに、スイッチレバー22を検出位置に回転させるようにしたが、これに限定されることなく、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したことを検出することができればよく、スイッチバネ23により、スイッチレバー22を検出位置に向けて付勢し、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したときに、スイッチレバー22が非検出位置に回転されるようにしてもよい。この場合には、制御基板13は、検出スイッチ21からのスイッチオン信号の入力が停止されたときに、ディスクトレイ14が引出し位置まで移動したと判断する。
【0054】
また、上記実施形態では、スイッチレバー22に当接して、スイッチレバー22を検出位置に回転させる当接部を、当接片9bとして下カバー9に設けたが、これに限定されることなく、ディスクトレイ14が引出し位置に移動したときに、スイッチレバー22を検出位置に回転させることができればよく、当接片9bの形状を、左主動レール41や左従動レバー42等に設けるようにしてもよい。
【0055】
さらに、上記実施形態では、ディスクトレイ14に回転自在に取り付けたスイッチレバー22を検出スイッチ21に当接させてオンさせるようにしたが、スイッチレバー22を設けずに、下カバー9や左主動レール41や左従動レバー42等を、検出スイッチ21に当接させてオンさせるようにしてもよい。この場合には、検出スイッチ21に当接する部材(下カバー9、左主動レール41及び左従動レバー42のいずれか1つ)に、スイッチ当接部を形成する。
【0056】
また、上記実施形態では、押圧タイプの検出スイッチ21を用いて、スイッチレバー22の位置を検出したが、発光部と受光部とを有する光電センサ等を用いて、スイッチレバー22の位置を検出してもよい。この場合には、スイッチレバー22が非検出位置に位置するときには、発光部からの光は受光部で受光され、スイッチレバー22が検出位置に移動すると、発光部からの光がスイッチレバー22で遮断され、受光部で受光されないように、スイッチレバー22及び光電センサを設ける。光電センサは、受光部で受光していないときには、制御基板13に引出し位置検出信号を出力する。これにより、制御基板13は、光電センサから引出し位置検出信号が入力されているときには、ディスクトレイ14が引出し位置に位置していると判断することができる。
【0057】
さらに、上記実施形態では、スイッチバネ23により、スイッチレバー22を非検出位置に向けて付勢したが、これに限定されることなく、スイッチバネ23を設けずに、スイッチレバー22に弾性変形するバネ部を一体的に形成し、このバネ部により、スイッチレバー22を非検出位置に向けて付勢するようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ロックレバー55をディスクトレイ14に取り付けるとともに、下カバー9にロック片9aを形成したが、右従動レバー32がロック解除位置からロック位置に移動したことに応じてディスクトレイ14をロックすることができればよく、ロックレバー55を下カバー9に取り付け、ロック片9aの形状をディスクトレイ14に設けるようにしてもよい。
【0059】
さらに、上記実施形態では、ロック片9aによりロックレバー55をロックしたが、ロックレバー55をロックする方法は適宜変更可能であり、例えば、下カバー9に、ディスクトレイ14が格納位置に移動したときの係合部55cが挿入されるとともに、係合部55cが挿入された状態でロックレバー55が係合位置と退避位置との間で移動自在となるような係合孔を形成し、ロックレバー55が係合位置に移動したときには、係合部55cが係合孔の壁面に係合してロックされるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、右ギア機構60を、第1〜第6ギア61〜66、レール伝達ギア67、モータ68、ウォームギア69から構成したが、ギアの種類及び数量は適宜変更可能である。
【0061】
さらに、上記実施形態では、右ギア機構60及び左ギア機構70を設け、各機構60,70により各主動レール31,41を移動させるようにしたが、各機構60,70のうちの一方のみを設けるようにしてもよい。例えば、右ギア機構60のみを設けた場合には、各部材41〜45を設ける必要がなく、その代わりに、右ギア機構60によるディスクトレイ14の移動をガイドするガイドレールのみを設ければよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ディスクトレイ14に、ピックアップユニット17を設けた光ディスク装置2に本発明を実施したが、本発明は、ピックアップユニット17を有するトラバースメカが、光ディスク4を再生する再生位置とこの再生位置から退避した退避位置との間で昇降自在に、ケース10の内部に設けられた光ディスク装置にも実施可能である。この場合には、右従動レバー32がロック解除位置からロック位置に向けて移動したときに、トラバースメカを再生位置に上昇させる。例えば、右従動レバー32の移動により移動するスライダを設け、このスライダに、トラバースメカに設けられたトラバースピンが挿入されるカム孔を形成し、スライダが移動するとトラバースピンがカム孔を案内されて、トラバースメカが再生位置に上昇する。より詳しくは、光ディスク4が装填されたディスクトレイ14が格納位置に移動した後、右従動レバー32がロック解除位置からロック位置に向けて移動する。この移動に連動してスライダが移動して、トラバースメカが再生位置に上昇し、ピックアップユニット17に設けられたスピンドルモータ18により光ディスク4が回転可能状態となる。なお、スライダを設けずに、右従動レバー32に上記カム孔を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の光ディスク装置を備えたノート型パソコンの外観図である。
【図2】ディスクトレイが引出し位置に位置するときの光ディスク装置を示す斜視図である。
【図3】ディスクトレイが格納位置に位置するときの光ディスク装置を示す斜視図である。
【図4】ディスクトレイが引出し位置に位置するときの上面図である。
【図5】ディスクトレイが格納位置に位置し、右従動レバーがロック解除位置に位置するときの上面図である。
【図6】ディスクトレイと右トレイレールと左トレイレールとスイッチレバーとを示す分解斜視図である。
【図7】右主動レールと右従動レバーと右サブレールとレールバネとを示す分解斜視図である。
【図8】下カバーと右主動レールと右従動レバーと右サブレールと右保持レールとレールバネとレール伝達ギアとを示す分解斜視図である。
【図9】右主動レールと右従動レバーとレールバネとを示す右側面断面図である。
【図10】右主動レールと右保持レールと右トレイレールとレールギアとを示す右側面断面図である。
【図11】下カバーの内部を示す正面図である。
【図12】下カバーとロック片と右従動レバーとロックレバーとロックバネとを示す斜視図である。
【図13】下カバーとロック片と右従動レバーとロックレバーとロックバネとを示す上面図である。
【符号の説明】
【0064】
2 光ディスク装置
4 光ディスク
9 下カバー
9b 当接片(当接部)
10 ケース
13 制御基板(制御手段)
14 ディスクトレイ
21 検出スイッチ(検出手段)
21b スイッチ片(押圧部)
22 スイッチレバー(変位部材)
23 スイッチバネ(付勢手段)
31 右主動レール
32 右従動レバー
60 右ギア機構
68 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクが装填されるディスクトレイを、トレイ駆動機構により、ケースから引き出された引出し位置と、前記ケースの内部に格納された格納位置との間で移動させる光ディスク装置において、
前記ディスクトレイに設けられ、検出位置と非検出位置との間で変位可能な変位部材と、
前記ディスクトレイに設けられ、前記変位部材を前記非検出位置に向けて付勢する付勢手段と、
前記ディスクトレイが前記引出し位置まで移動したときに、前記変位部材に当接して当該変位部材を前記検出位置に変位させる当接部と、
前記ディスクトレイに設けられ、前記変位部材が前記検出位置に変位したことを検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記当接部を、前記ケースに設けたことを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記検出手段は、押圧可能な押圧部を有し、前記押圧部が押圧されたことを検出する押圧スイッチから構成され、
前記変位部材は、前記検出位置に変位したときに前記押圧部を押圧し、前記非検出位置に変位したときに前記押圧部への押圧を解除することを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記トレイ駆動機構の駆動を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−305522(P2008−305522A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154116(P2007−154116)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】