説明

光ディスク装置

【課題】光ディスク装置において、最短データ長の振幅を検出してジッタ評価を可能とする。
【解決手段】光ディスク装置のフォトディテクタ10aのうち先行する要素A及びDからのRF1信号を遅延素子15で2Tだけ遅延させ、後行の要素B及びCからのRF2信号と加算器16で加算する。HD DVDのPRクラスはPR[1,2,2,2,1]であるが、2Tだけ遅延させて加算することで実質的にPRクラスをPR[1,2,1]に変換でき、2T信号長の振幅を検出可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置、特に分割フォトディテクタから出力される再生信号の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ディスク装置では光ピックアップのレーザダイオードから再生パワーのレーザ光を光ディスクに照射し、その反射光を光ピックアップの4分割フォトディテクタで光電変換し、4分割フォトディテクタのそれぞれのフォトディテクタの出力信号を加算することで再生RF信号を得ている。
【0003】
ところが、再生パワーのレーザ光が光ディスク上のピットを通過する際に、ピット反射光から得られる4分割フォトディテクタの各出力信号にはピット進行方向の先行側、後行側に位相差が生じる場合がある。この位相差は、光ディスク上のピット深さによる回折やピックアップ光学系等に起因し、光ディスク装置、光ディスクの種類、再生速度等に応じて変化する。
【0004】
図6に、光ディスク装置の再生系の構成を示し、図7に各信号を加算して得られるRF和信号を示す。図6において、光ディスク上のトラック5にはピット6が形成され、トラック5に対して再生パワーのレーザ光100を照射しその反射光を4分割フォトディテクタ10aで検出する。4分割フォトディテクタ10aはフォトディテクタA〜フォトディテクタDの4つのフォトディテクタに分割されており、フォトディテクタA及びBは光ディスクの内周側、フォトディテクタC及びDは光ディスクの外周側に位置する。また、フォトディテクタA及びDと、フォトディテクタB及びCは光ディスクのトラック方向に対して分割されたフォトディテクタであり、光ディスクの回転に伴ってピット6が図中矢印方向に移動するものとすると、フォトディテクタA及びDは先行するフォトディテクタ群であり、フォトディテクタB及びCは後行するフォトディテクタ群である。フォトディテクタAからの信号A、フォトディテクタBからの信号B、フォトディテクタCからの信号C、フォトディテクタDからの信号Dは加算器16に供給され、全ての信号が加算されて再生RF信号が出力される。再生RF信号はデコーダに供給されて復調される。信号Aと信号Dは先行側の信号、信号Bと信号Cは後行側の信号であり、光ディスクの種類やピット深さによる回折等に起因して、後行側の信号が先行側の信号に対して位相差が生じる場合がある。このように位相差が生じると、これらの和信号である再生RF信号の分解能が低下する。
【0005】
下記の特許文献には、光学ヘッドの周波数特性に起因する再生信号の波形歪みの低減を図るために、光ディスクからの反射光を受光するための少なくとも一対の光検知器を光ディスクの情報トラックの方向に対応させて配置するとともに、一対の光検知器の一方の出力段に光検知器出力の高域での位相を進める進相手段を設け、この進相手段の出力と一対の光検出器の他方の出力とを加算することが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−98938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、HD DVDやBD(Blu-ray Disc)等の次世代光ディスクでは、ディスク上のピットとレーザスポット直径の関係から、再生信号は前後のピットから符号間干渉を受けることとなり、信号再生時にはこの干渉を積極的に利用してPRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式で再生を行うことが提案されている。ここに、PRMLは、前後のピット間の干渉を抑えつつ、再生信号から最も確からしいデータを読み取る信号処理方式であり、波形干渉を抑えずに狭い周波数帯域のままデータを記録再生するPR検出と、1ビット毎に判別するのではなく複数の再生信号列から最も確からしいビット列を復号するML復号の複合技術である。HD DVDのPRクラスはメディアとピックアップ間の伝達特性からPR[1,2,2,2,1]とされているが、最短反転2T(Tは基準時間長)の変調コードが採用されており、PR[1,2,2,2,1]では、2T信号の振幅が得られない問題がある。通常、信号評価を行う際には2T信号のジッタを評価するところ、HD DVDでは2T信号の振幅が得られないことから評価ができず、代わりにPRSNR、sBER等の手法が用いられているが、例えばPRSNRは、PR等化器によって得られる信号の符号間干渉を加味して得られるSNR(振幅対ノイズ比)を所定期間内で累積計算したものであるからT毎の評価が不可能であるため記録時のストラテジのチューニング等が困難である。
【0008】
本発明の目的は、HD DVDやBD等の最短ピット長が例えば2Tと極めて短い光ディスク、すなわち高密度光ディスクの信号品質を確実に評価できる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光ディスクのトラック方向に複数に分割され、分割された各要素で前記光ディスクからの反射光を光電変換してRF信号を出力する受光手段と、各要素のRF信号のうち、時間的に先行する各要素のRF信号を分割数及び先行時間の程度に応じた所定遅延量で遅延させる遅延手段と、遅延させた各要素のRF信号を加算する加算手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記受光手段は、トラック方向に2分割され、前記遅延手段は、2分割された各要素のRF信号のうち、先行する要素のRF信号を2T(Tは基準時間長)だけ遅延させてもよい。
【0011】
また、本発明において、前記受光手段は、トラック方向に4分割され、前記遅延手段は、4分割された各要素のRF信号のうち、先行する3つの要素のRF信号をそれぞれ3T、2T、T(Tは基準時間長)だけ遅延させてもよい。
【0012】
また、本発明において、前記受光手段は、トラック方向に3分割され、前記遅延手段は、3分割された各要素のRF信号のうち、先行する2つの要素のRF信号をそれぞれ2T、T(Tは基準時間長)だけ遅延させてもよい。
【0013】
また、本発明は、光ディスクに記録されたデータをPRML法を用いて再生する光ディスク装置であって、光ディスクのトラック方向に複数に分割され、分割された各要素で前記光ディスクからの反射光を光電変換してRF信号を出力する受光手段と、各要素のRF信号のうち、時間的に先行する各要素のRF信号を分割数及び先行時間の程度に応じた所定遅延量で遅延させる遅延手段と、遅延させた各要素のRF信号を加算する加算手段と、前記加算手段の出力を用いてPRML法により復調する復調手段と、前記加算手段の出力を用いて再生信号のジッタを評価する評価手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分割して得られる各要素からのRF信号を適宜遅延処理して加算することで、PRクラスを実質的に変換(低いクラスへ変換)するため、2T信号等の短い
信号の振幅を容易に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0016】
<基本原理>
まず、本実施形態の基本原理について説明する。再生RF信号は、4分割フォトディ
テクタを用いた場合には、4分割フォトディテクタの各要素(フォトディテクタA〜D)の信号A〜信号Dを全て加算して得られる。すなわち、
再生RF信号=信号A+信号B+信号C+信号D
である。フォトディテクタAとフォトディテクタDが時間的に先行する要素であり、信号A+信号Dは先行側の信号、信号B+信号Cは後行側の信号である。再生RF信号はPRML法によりデコードされる。PRML方式では、連続するN時刻の再生信号と目標信号とを比較しながら、最も確からしいビット列に2値化する。光ディスクの再生方法としては一般にダイレクトスライス法が用いられるが、ピット長が2Tの場合は信号振幅が小さいため、ダイレクトスライス法では2T信号を抽出することが困難である。PRML法においては、再生信号に最も近い時間遷移をもつ目標信号を選択し、目標信号を生成するビット列をデコード結果として出力する。目標信号は指定したインパルスレスポンス(PRクラス)とビット列の畳み込みにより算出される。したがって、光ディスクの記録密度に応じた適切なPRクラスが選択される。PRクラスをPR[a,b]で表現するものとすると、PR[1,1]はインパルス応答が連続する2つの識別点に1:1の割合で出現する特性を示す。したがって、入力{0・・1・・・}に対する応答出力は{0・・11・・}となる。また、PR[1,2,1]はインパルス応答が連続する3つの識別点に1:2:1の割合で出現する特性を示す。したがって、入力{0・・1・・}に対する応答特性は{0・・121・・}となる。HD DVDの場合、PRクラスはPR[1,2,2,2,1]とされ、これはインパルス応答が連続する5個の識別点に1:2:2:2:1の割合で出現することを示す。いま、HD DVDの反射光を4分割フォトディテクタで受光し、信号A+信号Dと、信号B+信号Cに分けた場合、信号A+信号DのPRクラスをPR[1,2,1]、信号B+信号CのPRクラスを信号A+信号Dから2Tだけ時間的に遅延したPR[1,2,1]とみなすことができる。つまり、時間的に先行する信号A+信号DはPR[1,2,1,0,0]、時間的に後行する信号B+信号CはPR[0,0,1,2,1]であり、両者を加算して
PR[1,2,1,0,0]+PR[0,0,1,2,1]=PR[1,2,2,2,1]とみなすことができる。
【0017】
そこで、先行側の信号である信号A+信号Dを遅延回路にて2Tだけ遅延させる場合を想定する。この場合、信号A+信号DのPRクラスはPR[0,0,1,2,1]となるから、全ての信号を加算して得られる再生RF信号は、
PR[0,0,1,2,1]+PR[0,0,1,2,1]=PR[0,0,2,4,2,]=PR[0,0,1,2,1]
となり、実質的にPR[1,2,1]と等しくなる。PR[1,2,2,2,1]では2Tの信号振幅は符号間干渉により小さくなって検出困難であるが、PR[1,2,1]とクラスが低くなれば3つの識別点に1:2:1の割合で出現するだけであるから符号間干渉が少なく2Tピット長の信号振幅も十分大きく検出される。
【0018】
本実施形態では、このように先行する信号を所定量だけ遅延させることでPRクラスを実質的に変換し、最短ピット長である2Tピット長の信号振幅を検出可能としたものである。遅延は先行側の信号に対して施されるが、遅延量は分割数及び先行時間の程度に応じて設定される。トラック方向に2分割されている場合、先行側は2Tだけ先行する、あるいは後行側は2Tだけ遅延しているとみなして先行側の信号を2Tだけ遅延させる。後行側の信号は遅延させずそのまま出力し、遅延させた先行側信号と遅延させない後行側信号を加算する。先行側信号をそのまま出力し、後行側信号を2Tだけ進相させて加算してもよい。遅延回路は任意の遅延演算素子で構成できる。RF信号をデジタル信号に変換する場合、デジタル遅延素子で遅延させてもよい。
【0019】
本実施形態はHD DVDのみならずBDにも同様に適用することができる。BDでは、記録密度毎に、第1世代(23.3GB対応):PR[1,2,1]、第2世代(25GB対応):PR[1,2,2,1]、第3世代(27GB):PR[1,2,2,2,1]等と設定されており、例えば第3世代についてはHD DVDと同様に処理すればよく、また第2世代についてもフォトディテクタ10aの分割方法を変化させることで対応することができる。
【0020】
<第1実施形態>
図1に、本実施形態の再生系の構成ブロック図を示す。PRクラスがPR[1,2,2,2,1]のHD DVDを再生する場合である。光ディスク5のトラックに形成されたピット6にレーザ光100を照射し、その反射光を光ピックアップの4分割フォトディテクタ10aで検出する。4分割フォトディテクタ10aは4つのフォトディテクタA〜Dから構成され、フォトディテクタA及びDはトラック5の移動方向(図中矢印方向)の先行側、フォトディテクタB及びCは移動方向の後行側に配置される。フォトディテクタB及びCを基準位置とすると、フォトディテクタA及びDは相対的に先行側に配置されている。フォトディテクタA及びDからの信号は加算されてRF1信号としてアンプ10bに供給され、ディテクタB及びCからの信号は加算されてRF2信号としてアンプ10bに供給される。
【0021】
アンプ10bはゲインAで両信号を増幅し、ローパルフィルタ(LPF)及びイコライザ(EQ)10c、10dにそれぞれ供給する。
【0022】
LPF/EQ10c及びLPF/EQ10dはそれぞれRF1信号及びRF2信号の高周波ノイズを除去し、あるいは特定周波数帯域を若干ブーストしてA/D12及びA/D14にそれぞれ供給する。LPF/EQ10c及びLPF/EQ10dは同特性であることが好適であり、平易なLPFあるいは最高周波数付近で若干のブースト特性を有するものでもよい。
【0023】
A/D12及びA/D14は、それぞれRF1信号及びRF2信号をデジタル信号に変換する。A/D12及びA/D14での変換タイミングはクロック信号CLKで決定され、CLKの立ち上がりタイミングでRF1信号及びRF2信号をサンプリングしてデジタル信号に変換する。CLKは、PLL22で生成されA/D12及びA/D14に供給される。
【0024】
遅延素子(デジタル遅延素子)15は、デジタルRF1信号を2Tだけ遅延して加算器16に出力する。遅延はクロック信号CLKに同期して行われ、CLKはPLL22から供給される。一方、デジタルRF2信号は遅延素子15で遅延されることなくそのまま加算器16に供給される。
【0025】
加算器16は、2Tだけ遅延したデジタルRF1信号と、遅延していないデジタルRF2信号とを加算して再生信号を得る。再生信号はAGC18でゲイン調整された後、イコライザ46を介してPRML処理部48に供給される。PRML処理部48はPR等化器とビタビ復号器とを備え、PR等化器で波形等化した再生信号に対してビタビ復号を行う。ここに、ビタビ復号とは、所定のPR特性を満たす全符号系列のうち、PR等化器において等化された信号のサンプル系列との誤差が最も小さい符号系列、すなわち最大尤度の符号系列を選択し、当該選択された符号系列に応じた復号を行うものである。HD DVDではPR等化器はPR特性としてPR[1,2,2,2,1]を想定するが、本実施形態では先行側の信号を遅延素子15で2Tだけ遅延処理した後に後行側の信号と加算することで実質的にPR[1,2,1]と低クラスとなるため、PR等化器はPR[1,2,1]として等化処理を行う。また、AGC18からの信号はイコライザ40、2値化回路42を介してジッタ評価回路44に供給され、ジッタが評価される。ジッタの他にデビエーションを評価してもよい。また、2値化信号はPLL22にも供給され、クロックCLKが生成される。PLL22は、AGC18からの再生信号のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出器22a、位相比較器22b、チャージポンプ22c、電流電圧変換器(IV)22d、電圧制御発振器(VCO)22e及び1/N分周器22fを有し、VCO22eからのクロック信号CLKはA/D12、14に供給される。
【0026】
図2に、PR[1,2,2,2,1]のアイパターンを示し、図3に、PR[1,2,1]のアイパターンを示す。図2では2T信号の振幅はほとんど0であるが、図3では2T信号振幅が大きく容易にデコードすることができる。また、ジッタ評価回路44で2Tピット長信号のジッタを評価することができるので、ストラテジのチューニングが容易となる。
【0027】
<第2実施形態>
図4に本実施形態の構成ブロック図を示す。第1実施形態と同様にHD DVDを再生する場合である。フォトディテクタ10aをトラック方向に4分割してフォトディテクタE、F,G,Hとする。フォトディテクタHを基準とすると、フォトディテクタE,F,Gは相対的に先行側に配置されている。フォトディテクタEは最も先行側に配置されている。フォトディテクタEからのRF1信号はアンプ10bで増幅され、LPF/EQ10cでノイズ除去され、A/D12aでデジタル信号に変換された後、遅延素子15aで遅延される。遅延量は3Tである。また、フォトディテクタFからのRF2信号はアンプ10bで増幅され、LPF/EQ10dでノイズ除去され、A/D12bでデジタル信号に変換された後、遅延素子15bで遅延される。遅延量は2Tである。フォトディテクタGからのRF3信号はアンプ10bで増幅され、LPF/EQ10eでノイズ除去され、A/D12cでデジタル信号に変換された後、遅延素子15cで遅延される。遅延量はTである。フォトディテクタHからのRF4信号はアンプ10bで増幅され、LPF/EQ10fでノイズ除去され、A/D12dでデジタル信号に変換された後、遅延されることなく出力される。A/D12a〜A/D12dはPLL22で生成されたクロック信号CLKに応じて入力RF信号をそれぞれデジタル信号に変換する。加算器16は、これら4つの信号を加算して再生信号として出力する。
【0028】
RF1信号は、PRクラスではPR[1,1,0,0,0]と表現できる。また、RF2信号はPR[0,1,1,0,0]と表現できる。また、RF3信号はPR[0,0,1,1,0]と表現でき、RF4信号はPR[0,0,0,1,1]と表現できる。これらを単純に加算すると、PR[1,2,2,2,1]となる。ところが、本実施形態ではRF1信号を3T、RF2信号を2T、RF3信号をTだけ遅延させており、RF1信号を3Tだけ遅延するとPR[0,0,0,1,1]となり、RF2信号を2Tだけ遅延するとPR[0,0,0,1,1]となり、RF3信号をTだけ遅延するとPR[0,0,0,1,1]となるため、加算器16でこれらを加算した信号はPR[0,0,0,4,4]となり、実質的にPR[1,1]に等しくなる。したがって、2Tピット長の信号も十分大きな振幅で検出されデコードされる。
【0029】
<第3実施形態>
図1の構成は、PR[1,2,2,1]のBDを再生する場合に適用することができる。この場合、RF1信号はPR[1,2,0,0]、RF2信号はPR[0,0,2,1]とみなすことができるので、RF1信号を遅延素子15で2Tだけ遅延させることで遅延RF1信号のPRクラスはPR[0,0,1,2]となり、加算器16でこれらを加算した信号はPR[0,0,0,3,3]となり、実質的にPR[1,1]に等しくなる。したがって、2Tピット長の信号も十分大きな振幅で検出されデコードされる。
【0030】
<第4実施形態>
図5に本実施形態の構成ブロック図を示す。PR[1,2,2,1]のBDを再生する場合である。フォトディテクタ10aをトラック方向に3分割してフォトディテクタE、F,Gとする。フォトディテクタGを基準とすると、フォトディテクタE,Fは相対的に先行側に配置されている。フォトディテクタEは最も先行側に配置されている。フォトディテクタEからのRF1信号はアンプ10bで増幅され、LPF/EQ10cでノイズ除去され、A/D12aでデジタル信号に変換された後、遅延素子15aで遅延される。遅延量は2Tである。また、フォトディテクタFからのRF2信号はアンプ10bで増幅され、LPF/EQ10dでノイズ除去され、A/D12bでデジタル信号に変換された後、遅延素子15bで遅延される。遅延量はTである。フォトディテクタGからのRF3信号はアンプ10bで増幅され、LPF/EQ10eでノイズ除去され、A/D12cでデジタル信号に変換された後、遅延されることなく出力される。A/D12a〜A/D12cはPLL22で生成されたクロック信号CLKに応じて入力RF信号をそれぞれデジタル信号に変換する。加算器16は、これら3つの信号を加算して再生信号として出力する。
【0031】
RF1信号は、PRクラスではPR[1,1,0,0]と表現できる。また、RF2信号はPR[0,1,1,0]と表現できる。また、RF3信号はPR[0,0,1,1]と表現できる。これらを単純に加算すると、PR[1,2,2,1]となる。ところが、本実施形態ではRF1信号を2T、RF2信号をTだけ遅延させており、RF1信号を2Tだけ遅延するとPR[0,0,1,1]となり、RF2信号をTだけ遅延するとPR[0,0,1,1]となるため、加算器16でこれらを加算した信号はPR[0,0,3,3]となり、実質的にPR[1,1]に等しくなる。したがって、2Tピット長の信号も十分大きな振幅で検出されデコードされる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態における光ディスク装置の再生系の構成ブロック図である。
【図2】PR[1,2,2,2,1]のアイパターン図である。
【図3】PR[1,2,1]のアイパターン図である。
【図4】他の実施形態の再生系の構成ブロック図である。
【図5】他の実施形態の再生系の構成ブロック図である。
【図6】フォトディテクタの構成図である。
【図7】先行側信号と後行側信号及び再生RF信号の波形図である。
【符号の説明】
【0033】
5 トラック、6 ピット、10a フォトディテクタ、15 遅延素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクのトラック方向に複数に分割され、分割された各要素で前記光ディスクからの反射光を光電変換してRF信号を出力する受光手段と、
各要素のRF信号のうち、時間的に先行する各要素のRF信号を分割数及び先行時間の程度に応じた所定遅延量で遅延させる遅延手段と、
遅延させた各要素のRF信号を加算する加算手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記受光手段は、トラック方向に2分割され、
前記遅延手段は、2分割された各要素のRF信号のうち、先行する要素のRF信号を2T(Tは基準時間長)だけ遅延させる
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記受光手段は、トラック方向に4分割され、
前記遅延手段は、4分割された各要素のRF信号のうち、先行する3つの要素のRF信号をそれぞれ3T、2T、T(Tは基準時間長)だけ遅延させる
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記受光手段は、トラック方向に3分割され、
前記遅延手段は、3分割された各要素のRF信号のうち、先行する2つの要素のRF信号をそれぞれ2T、T(Tは基準時間長)だけ遅延させる
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
光ディスクに記録されたデータをPRML法を用いて再生する光ディスク装置であって、
光ディスクのトラック方向に複数に分割され、分割された各要素で前記光ディスクからの反射光を光電変換してRF信号を出力する受光手段と、
各要素のRF信号のうち、時間的に先行する各要素のRF信号を分割数及び先行時間の程度に応じた所定遅延量で遅延させる遅延手段と、
遅延させた各要素のRF信号を加算する加算手段と、
前記加算手段の出力を用いてPRML法により復調する復調手段と、
前記加算手段の出力を用いて再生信号のジッタを評価する評価手段と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−59715(P2008−59715A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237605(P2006−237605)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】