説明

光ディスク装置

【解決課題】光ディスク装置に対する光ピックアップの位置合わせが短時間で終了できる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ディスク装置は、レーザ光を光ディスクに照射する光ピックアップと、光ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるアクチュエータと、
光ディスクからの反射光を検出する光検出器と、光検出器からの出力に基づいて前記アクチュエータを制御する制御回路と、を備える。アクチュエータは光ディスクが挿入されると、光ディスクの最外周位置付近にある光ピックアップを光ディスクの最外周に向けて移動させる。制御回路は光ピックアップの移動の間の光検器からの出力に基づいて光ディスクの最外周位置を検出し、最外周位置をアクチュエータが光ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させる際の基準位置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置であり、特に、その光ピックアップの駆動に関する制御内容を改良した光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置に光ディスクを装着すると、光ディスク装置はディスク判別のためなどの、光ディスクに記録された管理情報を読み込むため、光ピックアップを光ディスクの最内周に正確に位置付けする初期起動を実行する。
【0003】
光ディスク装置が光ピックアップを光ディスクの最内周にあることを、従来、光ピックアップのキャリッジが光ディスク装置に設けられたセンサや検出スイッチに到達することによって認識していた。その後、センサに依ることなく、光ピックアップが光ディスクの最内周にあることを光ディスク装置が認識できるようにした提案がなされている。
【0004】
例えば、特開平9−282782号公報は、フォーカスサーボの応答があれば、トラッキングサーボ制御手段を動作させ、キャリッジをTOCデータ領域へシークさせて初期起動を完了し、フォーカスサーボの応答がなければ、光ディスクの有無を検出し、光ディスクが無ければ初期起動を終了し、光ディスクが有れば、光学的読み取り手段の移動範囲だけキャリッジを光ディスクの最外周部から最内周部へ移動させた後、フォーカスサーボの応答の検出以降を繰り返し、TOCデータを読み取り、初期起動を完了し、従って、検出スイッチを廃止してもTOCリードができ、薄型化とコストダウンを実現した光ディスク装置を開示している。
【0005】
また、特開2002−298383号公報は、センサがなくてもホーム位置を正確に検出できるようにして、安価で確実にホーム位置に移動できる光ディスクを開示している。光ディスクを回転中に光ピックアップからの信号を監視していれば、光ピックアップがデータエリア内であれば、何らかの信号が光プックアップから出力される。光ピックアップがデータエリアを過ぎて、クランプエリアに入ると光ピックアップからは何の信号も出力されない。そこで、光ピックアップから信号が出力されないタイミングを捉えてキャリッジを一旦停止し、そこから光ディスクの外周方向に所定の距離だけ移動し、そのポイントをホームポジションとすれば、キャリッジ専用のセンサを必要とせず、低コストでしかも正確な位置精度を持った光ディスク装置を提供できる。
【特許文献1】特開平9−282782号公報
【特許文献2】特開2002−298383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開平9−282782号公報記載の光ディスク装置は、検出スイッチを省略しているもののTOCデータを読み取るために、トラッキングサーボの制御を行わなければならないため、光ディスク挿入時での光ディスクの初期起動時間が長くなる課題がある。
【0007】
特開2002−298383号公報記載の光ディスク装置は、光ピックアップを光ディスクの径方向に移動させてディスク内周側におけるクランプエリアとデータエリアとの境界を捉え、光ピックアップを外周方向に所定方向に移動したポイントをホームポジションとしているために、光ディスクに対して光ピックアップを位置合わせするための処理時間が長くなるという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、光ディスクに対する光ピックアップの位置合わせに関する新規な制御方式を備える光ディスク装置を提供することを目的とするものである。本発明の他の目的は、光ディスク装置に対する光ピックアップの位置合わせが短時間で終了できる光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は既述の目的を達成するために、光ディスクを着脱する際光ピックアップが光ディスク最外周相当位置にあることを利用して、光ピックアップから光ディスクに照射されたレーザ光の反射光に基づいて、光ピックアップを光ディスクの径方向に僅かに移動させて光ディスクの最外周位置を検出し、この最外周を検出した際の光ピックアップの位置を光ディスクに対する基準位置としたことを特徴とする光ディスク装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、光ディスクに対する光ピックアップの位置合わせに関する新規な制御方式を備える光ディスク装置を提供することができる。さらに本発明は、光ディスク装置に対する光ピックアップの位置合わせが短時間で終了できる光ディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明に係わる光ディスク装置の実施形態について説明する。図1は、光ディスクをディスクトレイによることなく直接筐体に挿入するスロットイン方式の光ディスク装置の平面図を示したものである。なお、以後、一例として、装置の全体厚さ寸法(筐体外面の上面と下面の間の距離)が9.5mm以下とした光ディスク装置について説明する。また、光ディスク装置の内部構成を明瞭にするために、トップカバーの図示を省略している。
【0012】
光ディスク装置1の筐体はトップカバーをボトムカバー10に組み付けることによって構成されている。トップカバーとボトムカバーとを組み合わせた空間内にユニットメカデッキなどの部品が収納されている。この部品は主としてボトムカバー10に固定されている。
【0013】
符号2は光ディスク(図示なし)を回転させるディスクモータである。このディスモータはボトムカバー10のほぼ中心位置に存在する。ディスクモータ2上には、クランパ3がディスクモータ2に対して同心円状に配置されている。このクランパ3はディスクモータからトップカバー側に突出してなり、光ディスクの中心孔に嵌入されて光ディスクをディスクモータにチャッキングする。ディスクモータはディスク平面部2a上に光ディスクをディスクモータと一体回転可能に支持する。
【0014】
光ピックアップ500はスライダ5に固定されている。スライダ5は光ピックアップ500を光ディスクの半径方向に沿って進退させる移動機構(アクチュエータ)である。符号12は略平行四辺形状のフレームからなるシャーシである。このシャーシ12にディスクモータ2とスライダ5とが固定されている。ディスクモータ2とスライダ5とシャーシ12全体が既述のユニットメカデッキである。
【0015】
スライダ5の移動はねじ溝が形成されたリードスクリュー軸71と、リードスクリュー軸のねじ溝に螺合するねじ溝を内側に持った小片502と、この小片に結合された小スライダ504によって達成される。小スライダ504の一端が前記スライダ5の一端に固定されている。モータ60はリードスクリュー軸71を回転させる。
【0016】
リードスクリュー軸71の回転により小片502がリードスクリュー軸に沿って進退する。小片502を備える小スライダ504も同様であり、この小スライダ504に合わせてスライダ5も光ディスクの半径方向に進退移動する。符号72,73はスライダ5の往復動を案内する棒状のガイドである。リードスクリュー軸71などのスライダ5の移動機構もシャーシ12に固定されている。
【0017】
レバー31、32、33は、光ディスクが筐体の前面7から筐体内に挿入されるとき、及び、光ディスクが筐体から排出されるときに、この挿入及び排出のための、光ディスクに対する動力源となる。光ディスクの光ディスク装置対する挿入、そして光ディスク装置からの排出の動作を纏めて光ディスクの着脱という。
【0018】
レバー31は支点31aを中心にして回転する。ローラ41、42、43は、挿入された光ディスクの外周に当接して光ディスクのセンタリングを行う。スイッチ50は、モータ80への駆動入力の供給をオン・オフする。伝達機構21は、レバー32にモータ80の回転駆動力を伝達する。
【0019】
このように構成された光ディスク装置1において、光ディスクが筐体の前面7から筐体内に直接挿入されると、光ディスクの外周にローラ41、42、43が、ローラ41、42、43の順で当接し、レバー31、32、33を変位させながら、光ディスクのセンタリングを行い、光ディスクをディスクモータ2の回転軸と略同心となる位置に位置決めする。
【0020】
このとき、ローラ42は光ディスクの外周に押されてレバー31を支点31aの周りに矢印Eの方向に回動させる。レバー31の矢印E方向の回転角度が所定値に達するとスイッチ50をオンする。伝達機構21はギヤ列を備えて構成されている。また、ローラ42は、レバー31上に設けられている。
【0021】
スイッチ50がオンするとモータ80が回転する。モータ80が回転すると、その回転駆動力が、伝達機構21によりレバー32に伝達される。レバー32は、伝達された力を昇降機構22に伝える。シャーシ12から昇降機構22に向けて小軸が突出し、これが昇降機構の昇降部材に係合する。昇降機構の昇降部材は小軸を介してシャーシ12を昇降させる。
【0022】
昇降機構22は光ディスクが筐体内の所定位置まで挿入された状態でシャーシの先端側506をシャーシの基端側508を基準にして上昇させる。シャーシの基端側は支点25,26においてボトムカバー10に固定されている。この支点を基準にしてシャーシの先端側が基端側に対して傾動する。この結果シャーシ12がボトムプレート10に対して平行になり、クランパ3に光ディスクを係合する。
【0023】
シャーシ12が光ディスクに対して持ち上がると、シャーシに固定されているディスクモータ2のクランパ3が光ディスクの中心孔に挿入され始め、ディスク平面支持部2aが光ディスクの中心孔周囲の平面部を押す状態となる。この状態からさらに、シャーシ12の先端側506を上昇させると、光ディスクがトップカバーの凹に当接し、トップカバーとディスク平面支持部2aに挟まれる形でほぼ完全にクランパ3にチャッキングされる。
【0024】
図2は、光ディスクDがシャーシ12に固定されたディスクモータ2にチャッキングされた瞬間の状態を示している。光ディスクがディスクモータにチャッキングされる前は、この状態では、光ピックアップ500がチャッキングを妨げないように光ディスクの最外周相当位置にあり、スライダ5に図示しないストッパが係合してスライダを移動しないようにしている。光ディスクが光ディスク装置に挿入される過程でスイッチ50がオンされるとストッパの係合が解除される。
【0025】
光ピックアップ500を備えるスライダ5は、シャーシ12の内側空間を、光ディスクDの記録面とボトムケース10との間を光ディスクDの径方向に沿って進退動する。光ディスクをディスクモータにチャッキングする工程を終了すると、光ディスクをディスクモータ2が回転させて光ピックアップ5が光ディスクの最内周に来るようにスライダが光ディスクの径方向を光ディスクの中心に向けて移動する。
【0026】
図3に光ディスク装置のブロック図を示す。図3は特に光ピックアップ500と信号処理手段12Aの詳細な構成を説明している。レーザダイオード101から直線偏光のレーザ光102が出射し、コリメートレンズ103によって平行光束となる。レーザ光102は偏光ビームスプリッタ104を通過する。偏光ビームスプリッタ104は、レーザダイオード101から出射したレーザ光102を損失無く透過させる。
【0027】
偏光ビームスプリッタ104を通過したレーザ光102は、球面収差補正素子105によって所定の球面収差を付加され、立ち上げミラー106で反射し、スピンドルモータ101によって回転駆動されている光ディスク媒体110の方向に進路を変える。
【0028】
レーザダイオード101は、CD用(赤外:波長780nm)、DVD用(赤:波長650nm)のレーザを出射する2つのレーザ発生手段、又は、これに加えてHDDVD又はBD用(青紫:波長405nm)のレーザ光を出射する合計で3つのレーザ発生手段から構成されている。
【0029】
レーザ光102は、λ/4板107を通過することで、その偏光状態が直線偏光から円偏光に変化する。レーザ光102は対物レンズ108によって集光され、情報記録面を保護するためのカバー層111を通して情報記録面112に到達し、そこに光スポットを形成する。
【0030】
情報の記録は、データに基づいて変調されたレーザ光を情報記録面に集光して照射し、形成された光スポットによって発生した熱によって、情報記録面の状態を変化させることで行われる。一方、情報の再生は、情報記録面の状態の変化によって生じる反射率の変化を検出することで行われる。
【0031】
再生専用光ディスクの場合には、予めディスク製造工程において、情報記録面に、凹凸ピットが形成されており、この凹凸ピットによる光の反射率の変化を検出することで、情報が再生される。
【0032】
情報記録面で反射したレーザ光102は、対物レンズ108を通り、続いてλ/4板107を通過することで再び直線偏光に戻り、更に立ち上げミラー106で反射して、偏光ビームスプリッタ104の方向に向かう。
【0033】
レーザ光102は、続く偏光ビームスプリッタ104で反射し、直角方向に進路を変える。レーザ光102は、検出レンズ113と、誤差信号検出用のシリンドリカルレンズ(円筒レンズ)114によって、光検出器115上に集光される。
【0034】
光検出器115の検出面200は図4に示すように、ディスクの半径方向に2分割、そしてトラック方向にも2分割で合計4分割されている。分割された各々の検出部A、B、C及びDは、それぞれ出力信号IA、IB、IC及びIDを出力する。
【0035】
これらの出力信号を用いて、再生信号が再生信号生成回路116によって生成される。また、フォーカス誤差を示すフォーカス信号FE((IB+ID)−(IA+IC))が、フォーカス(FE)信号生成回路118によって生成される。さらに、PE(プルインエラー)信号(IA+IB+IC+ID)が再生信号生成回路116で生成される。
【0036】
フォーカス信号は、情報記録面112に対する光スポットのディスク回転軸方向のずれによって生じる信号であり、光スポットを情報記録面112に追従させるフォーカスサーボのためのフォーカスアクチュエータの駆動用に用いられる。
【0037】
シリンドリカルレンズ114の働きで、光ディスクの記録面に焦点が合っているとき、その反射光の像は光検出器の4分割受光面上で円形になる。このとき、フォーカス誤差信号である対角方向の受光面間の差動出力((IB+ID)−(IA+IC))はゼロになり焦点が合うことになる。
【0038】
ディスクの記録面が対物レンズの焦点位置から近くなったり遠くなったりすると、4分割受光面上の像が円形から楕円形に変化して、フォーカス信号は正(遠)、負(近)の電気信号(電圧)になる。図5はフォーカス信号を示す波形図である。焦点ずれに比例してフォーカス誤差信号の電圧が変化する。光ディスクの面振れに対して誤差電圧が0になるようにフォーカスアクチュエータ124は光ピックアップの対物レンズのディスクに対する位置を光軸方向に調整して焦点を合わせる。
【0039】
トラッキング誤差信号生成回路117は、(IA+IC)と(IB+ID)との位相比較を行ってトラッキング誤差信号を生成する。トラッキング誤差信号は、トラックに対する光スポットのディスク半径方向の位置ずれによって生じる信号であり、光スポットをトラックに追従させるトラッキングサーボに用いられる。
【0040】
マイクロプロセッサ121は、送られてきたトラッキング誤差信号(TE信号)に基づいて、アクチュエータ駆動回路123に指令を送り、アクチュエータ駆動回路123は、その指令に基づいてアクチュエータ124を制御し、対物レンズ108をディスク半径方向に駆動し位置決めする。
【0041】
また、マイクロプロセッサ121は、送られてきたフォーカス信号(FE信号)に基づいて、アクチュエータ駆動回路123に指令を送り、アクチュエータ駆動回路123は、その指令に基づいてアクチュエータ124を制御し、対物レンズ108をディスク回転軸方向に駆動し位置決めをする。
【0042】
マイクロプロセッサ121には光ディスクの着脱に伴ってオン・オフするスイッチ50からの出力が供給され、光ディスクが光ディスク装置から抜き出されスイッチ50のオフをマイクロプロセッサが検出すると、マイクロプロセッサはモータ駆動回路60Aに駆動信号を出力してモータ60を回動させスライダ5を光ディスクの最外周相当位置まで光ディスクの半径方向を移動させる。モータ60は例えばステッピングモータから構成されてなり、マイクロプロセッサはモータ60の回転数・回転量を制御することによって光ピックアップの位置・移動量を正確に制御することができる。
【0043】
フォーカスアクチュエータ128は、光ディスク上の記録マークに常に光スポットの位置合わせを行うために、対物レンズ108をムービングコイル型モータで発生させた電磁力によって2軸方向に高速かつ高精度に移動させるための機構である。アクチュエータによるフォーカシングは、レーザ光の光スポットを光軸方向に移動させ、そのトラッキングはレーザ光の光スポットは光軸とは直交する方向に移動させる。
【0044】
再生信号はデータ信号であり、信号処理回路119において波形等化処理等の信号処理が施された後、復調回路120において2値信号に変換される。2値信号は、マイクロプロセッサ121においてデータに変換され、上位装置に送られる。
【0045】
また、マイクロプロセッサ121は、データが所定の速度で再生されるように、スピンドルモータ駆動回路122を制御し、スピンドルモータ109の回転数を制御する。
【0046】
光ディスクにデータを記録する際には、マイクロプロセッサ121で、上位装置から送られたデータが符号化され記録信号が生成される。記録信号は、レーザ駆動回路125に送られ、記録信号に基づいてレーザダイオード101が駆動される。
【0047】
光ディスクを光ディスク装置に挿入して、光ピックアップを光ディスクの最内周に位置付けする初期起動の原理について説明する。光ディスク装置は、光ディスクの挿入を検出すると、図6に示すように、光ディスクDの最外周近傍位置にある光ピックアップ500からレーザ光500Aを光ディスクDに照射し、光ピックアップを光ディスクの最外周に向けて光ディスクの半径方向(トラッキング方向)に移動させながら反射光を利用して光ディスクの最外周の位置を決定する。マイクロプロセッサは光ディスクの最外周位置を検出した際のモータ60の回転位置を光ピックアップの基準位置としてメモリ127記憶し、この基準位置からモータ60からどの位回転させたかを制御することによって光ディスクに対する光ピックアップの位置決めを達成する。光ピックアップは光ディスクの最外周相当位置に存在するために、光ディスクの最外周を検出するための光ピックアップの移動量はHで示すようには少なくて済む。
【0048】
光ディスク装置が光ディスクの最外周位置を検出するために、フォーカス信号を利用する。光ピックアップからのレーザ光が光ディスクの表面又は光ディスクの記録面で反射すると図5に示すフォーカス信号がマイクロプロセッサに検出される。光ピックアップのレーザ光が光ディスクを越えるとフォーカス信号が検出されない。図7はその過程を示すフォーカス信号出力(V)の波形図であり、光ディスクの最外周近傍にある光ピックアップからレーザ光を光ディスクにt1の時点で照射すると光ディスク装置はフォーカス信号を出力する。
【0049】
光ディスク装置が光ピックアップを光ディスクの径方向に移動させて光ディスクの最外周端に到達したt2の時点でフォーカス信号の出力が無くなることによって、光ディスク装置は光ピックアップが光ディスクの最外周に到達したことを知る。
【0050】
図8は図7の動作をフローチャートで説明したものである。マイクロプロセッサがモータ50からオン信号を検出すると初期起動処理をスタートさせる(800)。次いで、マイクロプロセッサはスライダ5を固定するストッパを解除し(802)、光ピックアップ12に対するレーザ駆動回路125をオンする(804)。
【0051】
マイクロプロセッサは光ピックアップの対物レンズ124を光ディスクの回転軸方向にアップダウン(進退)させてフォーカス信号が得られるか否かを判定する(808)。マイクロプロセッサがフォーカス信号を得られない場合、光ピックアップが光ディスク外に位置していることであるから、マイクロプロセッサはモータ60の駆動回路60Aを制御して、スライダ5を光ピックアップ500が光ディスクの内周方向に所定距離搬送される制御を行う(822)。次いで、フォーカス信号が検出されるか否かが再度判定され(824)、光ピックアップが光ディスクにフォーカス信号が検出されるまでステップ822と824を繰り返す。
【0052】
ステップ808とステップ824においてフォーカス信号が検出されると、マイクロプロセッサは光ピックアップを光ディスクの外周側に移動させ(810)、その過程でフォーカス信号の有無を検出する(812)。マイクロプロセッサはフォーカス信号が検出されなくなるまでステップ810とステップ812とを繰り返す。
【0053】
フォーカス信号が検出されなくなると、処理はステップ814に進み、マイクロプロセッサは光ピックアップの光ディスクの外周方向への移動を移動停止し、その時の光ピックアップの位置(スライダの位置)を表すモータ60の回転量あるいは回転位置などの特定値をメモリ127に記憶する。
【0054】
次いで、マイクロプロセッサはモータの回転量を監視するなどして光ピックアップの搬送距離を計算することを行いながら(816)、光ピックアップを光ディスクの内周側へ搬送し(818)、最終的には光ピックアップをディスクの管理情報が記録されているディスク内周付近に位置づけして(820)、一連の処理を終了する。
【0055】
なお、フォーカスアクチュエータ124はフォーカス信号の出力が得られるように、図5に示す特性にしたがって、光ピックアップを光ディスクに対する焦点が合った位置から若干ずれた位置になるようにする。好ましくは、フォーカス信号の最大振幅が得られるようにする。あるいはPE(プルインエラー)信号の最大値が得られるようにする。
【0056】
既述の実施形態によれば、センサを設けることが遠慮される薄型のスロットインタイプのドライブにおいて、センサを用いることなく光ディスクに対する光ピックアップの基準位置を見出すことができるとともに、その基準位置を決定する際に光ディスクの最外周を利用したため、光ディスクを挿入前に光ディスク最外周付近にある光ピックアップを光ディスク最外周端まで僅かに移動させるだけで良い。したがって、光ディスク装置は、光ピックアップの光ディスクに対する基準位置を短時間に決定することができる。
【0057】
なお、既述の実施形態では光ディスク装置はフォーカス信号を用いて光ディスクの最外周を検出していたが、プルイン信号を利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る光ディスク装置の内部構造を示す平面図である。
【図2】図1に示す光ディスク装置に光ディスクが挿入されている状態を示す。
【図3】図1に係る光ディスク装置のブロック図である。
【図4】フォーカス信号(FE)、プルインエラー信号(PE)を生成する回路の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】フォーカス誤差信号の波形図である。
【図6】光ディスクと光ピックアップとの配置を説明するための模式図である。
【図7】光ピックアップを光ディスクの径方向に移動する際のフォーカス信号の出力を示す波形図である。
【図8】光ディスクの最外周端を検出するための制御手段の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 光ディスク装置、5:スライダ、101:レーザダイオード,102:レーザ光,109:スピンドルモータ,110:光ディスク媒体,112:情報記録面,115:光検出器,116:再生信号生成回路(プルインエラー信号生成回路),117:トラッキング誤差信号生成回路,118:フォーカス誤差信号生成回路,119:信号処理回路,120:復調回路,121:マイクロプロセッサ,122:スピンドルモータ駆動回路,123:アクチュエータ駆動回路,124:アクチュエータ,125:レーザ駆動回路、500:光ピックアップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの再生、又は記録再生を行う光ディスク装置において、
レーザ光を光ディスクに照射する光ピックアップと、
前記光ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるアクチュエータと、
前記光ディスクからの反射光を検出する光検出器と、
前記光検出器からの出力に基づいて前記アクチュエータを制御する制御回路と、
を備え、
前記アクチュエータは前記光ディスクが挿入されると、前記光ディスクの最外周位置付近にある前記光ピックアップを前記光ディスクの最外周に向けて移動させ、
前記制御回路は当該光ピックアップの移動の間の前記光検器からの出力に基づいて前記光ディスクの最外周位置を検出し、当該最外周位置をメモリに格納する、光ディスク装置。
【請求項2】
前記光ディスクが挿入されると、前記制御回路は前記アクチュエータを前記光ピックアップが前記光ディスクの内周側から当該光ディスクの最外周に向けて移動するように制御する請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記光ディスクが挿入されると、前記制御回路は、前記光ピックアップが前記光ディスクの外に存在する場合、前記アクチュエータを前記光ピックアップが前記光ディスクの最外周近傍の内周側に来るように移動するように制御し、その後前記光ピックアップが前記光ディスクの最外周に向けて移動するように制御する請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記制御回路は前記光検出器からの出力に基づいてフォーカス信号を求め、当該フォーカス信号に基づいて前記光ディスクの最外周を検出する請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記制御回路は前記光ディスクの最外周位置を検出した後、前記アクチュエータを、前記光ピックアップが前記光ディスクの内周領域に位置付されるように制御する請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記最外周位置を前記アクチュエータが前記光ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させる際の基準位置として利用する、請求項1記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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