説明

光データネットワークにおけるデータ伝送のための伝送ユニット及びその位置調整方法

【課題】効率的かつ短時間で一方の伝送ユニットの位置を他方の伝送ユニット方向へ調整する。
【解決手段】本発明は、送信ダイオード12、22の変調された可視光を介して、データを無線で受信機13、23に伝送可能である、光データネットワークにおけるデータ伝送のための伝送ユニット1に関する。伝送ユニット1は、データを送信する送信ダイオード12と、もう一方の伝送ユニット2のデータを受信する受信機13と、コンピュータシステム3に接続するためのデータインタフェース6とを備える。伝送ユニット1は、少なくとも1つの送信ダイオード12及び少なくとも1つの受信機13を、受信機13によって測定された信号強度に応じて、もう一方の伝送ユニット2の方へ向くように位置調整することができるように設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光データネットワークにおけるデータ伝送のための伝送ユニットに関し、特に、送信ダイオードの変調された可視光を介して無線でデータを受信機に伝送可能であり、データを受信するための少なくとも1つの受信機と、コンピュータシステムに接続するためのデータインタフェースとを備える伝送ユニットに関する。さらに、本発明は、このような伝送ユニットの位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコンピュータ間で情報及びデータを交換するための無線のデータネットワークを、すでに一般的となっている電波によってではなく、可視光によって構築するという研究アプローチはすでに行われている。この場合、情報は、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)の変調された可視光によってコーディングされる。それによって、個々のデータビットは、例えば、LEDから照射される光の高周波明暗変更によって伝送されることができる。変調が高周波で行われることから、人間の目にはこれを知覚することはできない。しかしながら、光ダイオード又は光トランジスタによって変調信号を受信することが可能であり、この場合には、伝送される光情報を対応する電気信号に変換し、処理することができる。
【0003】
このような光データネットワークにおける情報及びデータ伝送のための伝送ユニットは、もう一方の伝送ユニットの信号を受信するための少なくとも1つの光感受性をもつ受信機と、必要に応じて、変調された光を介してデータ送信するための少なくとも1つのLED送信ダイオードとを含んでいる。受信データは、最終的に処理され、解読されて、データインタフェースを介し接続されているコンピュータに転送することができる。それによって、2つ又は複数のコンピュータがこのような光データネットワークにおいて交信することが可能となる。
【0004】
考えられる適用分野としては、オフィス空間での天井灯の光信号による電子機器とコンピュータのネットワーク化、及び、例えば自動車のLEDテールライトなどの警告灯の光信号における情報転送がある(例えば、URL:http://smartlightning.bu.edu.を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、2台のコンピュータ間における前述のデータ接続は、空間内での位置が既知で、平坦な面にホルダーによって互いに位置を調整される2つの典型的な伝送ユニットを介して行われてきた。しかし、これらの典型的な伝送ユニットは、位置調整にかなりの時間と労力がかかるという欠点がある。さらに、部屋の中における伝送ユニットの位置が分かっていなければ、良好な接続のクオリティを得ることができない。
【0006】
このことから、移動体機器と、データ接続構築のアクセスポイントである天井灯LEDとの間で、光データネットワークにおける適用を簡単にするには、これらの伝送装置は適していない。
【0007】
したがって、本発明は、伝送ユニットのより簡単な位置調整と、もう一方の伝送ユニットへの接続構築の改善とが保証される伝送ユニット及びその位置調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、第1の態様において、少なくとも1つの受信機が、この受信機によって測定される信号強度に応じて、もう一方の伝送ユニットへの位置調整が可能であるように設置されている前述の伝送ユニットによって解決される。
【0009】
この伝送ユニットにより、より効率的に、より短時間で伝送ユニットの位置をもう一方の伝送ユニット方向へ向くように調整することができる。また、場合により、もう一方の伝送ユニットの位置が分からない場合でも位置調整が可能であるという利点がある。この場合、位置調整は、受信機によって測定される信号強度に応じて行われるため、受信される光信号のもっとも強い方向に最適に伝送ユニットを向けることができる。これによって、もう一方の伝送ユニットからこの伝送ユニットの受信機への一方向のデータ伝送が可能となる。
【0010】
伝送ユニットが、データ送信のための少なくとも1つの送信ダイオードを追加的に有していることが好ましい。この場合、受信機は、送信ダイオードと一緒にもう一方の伝送ユニットの方向に向けられるため、伝送ユニット同士の双方向のデータ伝送が可能となる。
【0011】
受信機及び必要に応じて送信ダイオードが自動的にもう一方の伝送ユニットの方向に向けられるように、伝送ユニットが設置されていることが好ましい。このことは、伝送ユニットの手動による位置調整が省略されることを意味する。すなわち、このことによって、特に空間内のもう一方の伝送ユニットの位置が不明である場合の伝送ユニットの位置調整が改善され、時間を節約することができる。
【0012】
伝送ユニットが、測定された信号強度をデータインタフェースに提供することが好ましい。これによって、データインタフェースに接続されているコンピュータシステムが信号強度を検知し、処理することができる。
【0013】
好ましくは、伝送ユニットが、受信機によって測定された信号強度を表示するインジケータを有している。このインジケータによって、さらにユーザーは、効率的な方法で伝送ユニットを手動により位置調整できるようになる。というのも、ユーザーは、空間内の信号強度についての情報を受け取り、伝送ユニットを最大信号強度の方向に向けることができるからである。
【0014】
第1の実施形態においては、受信機及び必要に応じて送信ダイオードが、第1の回転軸と、第1の回転軸に対して垂直な少なくとも1つの第2の回転軸とを中心に旋回可能に支持されている。すなわち、伝送ユニットが様々な方向に調整可能であり、もう一方の伝送ユニットの位置に向けて可変的に調節することができる。
【0015】
第2の実施形態では、伝送ユニットが柔軟なスワンネックを有し、このスワンネックの一方の端部に、コンピュータに接続するためのデータインタフェースが配置されており、スワンネックの他方の末端部に、受信機及び必要に応じて送信ダイオードが配置されている。この場合、伝送ユニットは、例えばモニターなどのコンピュータシステムに、取外し可能に又は固定された状態で配置されていることが考えられる。また、ユーザーは、このスワンネック構造によって、送信ダイオード及び受信機を備える伝送ユニットを、どのような方向にも最適に位置調整することができるようになる。
【0016】
第2の態様において、上記の課題は、前述した種類の方法によって、受信機及び必要に応じて送信ダイオードを備える伝送ユニットが、もう一方の伝送ユニットへの接続を行わなければならない場合、又は接続を維持しなければならない場合に、自動的にもう一方の伝送ユニットの方へ向くように位置調整されることによって解決される。ユーザーが、例えば、持ち運び可能なコンピュータを使って、光データネットワークにログオンしたい場合、持ち運び可能なコンピュータに接続されている伝送ユニットが、接続の確立前に、例えば、LED及び光トランジスタの形でオフィス空間の天井灯に組み込まれているもう一方の伝送ユニットの位置を検出する。伝送ユニットの位置が、例えばコンピュータが移動したことによって変化した場合には、この伝送ユニットがもう一方の伝送ユニットに対する位置を修正することも考えられる。これによって、確立しているデータ接続を、最適に維持し続けることができる。
【0017】
伝送ユニットの受信機が信号強度を測定することが好ましい。そうすることによって、例えば、天井灯に組み込まれているもう一方の伝送ユニットがアクセスポイントとして機能し、照明がオンになると、もう一方の伝送ユニットが、変調された光信号を持続的に部屋の中に送り出す。ユーザーの持ち運び可能なコンピュータに接続されている伝送ユニットの受信機は、これによって様々な方向において信号強度を検知することができる。
【0018】
最初に、伝送ユニットが、好ましくは信号強度を受信機によって複数の所定の方向で測定し、続いて、伝送ユニットをもっとも強い信号強度が測定された角度位置にする。空間のラスター走査によって、伝送ユニットは、最適な信号のクオリティを獲得することのできる方向へ向くように自動的に調整される。このような調整は、もう一方の伝送ユニットから直接送信される方向に対して可能であるが、また、反射された光線によって生じている方向に対しても可能である。
【0019】
伝送ユニットが、第1の回転方向と第1の回転方向に対して垂直な第2の回転方向とにおいて、受信機により信号強度を検知し、信号強度がもっとも急激に上昇する方向に応じてその位置を修正するのが好ましい。したがって、伝送ユニットは、初めにとった角度位置から開始して、徐々に増加する空間方向に沿って最大信号を最適に検出するため、最急降下法を実行する。この方法は、もう一方の伝送ユニットへの接続がすでに存在している間も実行することができる。この場合、ユーザーの持ち運び可能なコンピュータの伝送ユニットを、例えば、持ち運び可能なコンピュータが空間内で移動した後などに、最大信号に合わせて位置調整することが可能である。こうすることによって、光データネットワークにおける接続がすでに存在している場合にも、常に2つの伝送ユニットの間においては、最適な信号のクオリティが保証される。
【0020】
検出された最大信号に応じて、所定の空間方向において伝送ユニットが第1の位置調整を行った後、又は代替の手順として、伝送ユニットがまず、第1の回転軸を中心に旋回し、続いて、第1の回転軸に関してもっとも強い信号強度が測定された角度位置をとることも同様に考えられる。さらに、伝送ユニットが、第1の回転軸に対して垂直な少なくとも1つの第2の回転軸を中心に旋回を行い、続いて、第2の回転軸に関してもっとも強い信号強度が測定された角度位置をとるのが好ましい。空間の大まかな走査及び前述の最急降下法と並んで、この代替方法は、1つの伝達ユニットをもう一方の伝達ユニットへ最適に位置調整するためのもう1つの方法となる。
【0021】
さらなる実施形態は、従属請求項及び図の説明の中で明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】伝送ユニットを接続したコンピュータシステムの一部を示す図である。
【図2】1つの伝送ユニットを備えるコンピュータシステムの一部ともう一方の伝送ユニットの配置を示す図である。
【図3】1つの伝送ユニットの第2の実施形態を備えるコンピュータ部分の一部ともう一方の伝送ユニットの配置を示す図である。
【図4a】第1の作動状態における2つの伝送ユニットの配置図である。
【図4b】第2の作動状態における2つの伝送ユニットの配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を、複数の図に基づいて詳しく説明する。
【0024】
図1は、ディスプレイ4とキーボード5とを備える持ち運び可能なコンピュータシステム3の一部を示している。このコンピュータシステム3には、データインタフェース6を介して、光データネットワークにおいてデータを送受信するための伝送ユニット1が接続されている。伝送ユニット1は、この実施形態においてスワンネック8を有し、このスワンネック8の一方の端部において、伝送ユニット1が、インジケータ7と、コンピュータ3に接続するためのデータインタフェース6とを備えるベース本体内に通じている。スワンネック8は、そのもう一方の末端部に、送信ダイオード12と受信機13とを備える送受信装置を有している。柔軟性のあるスワンネック8により、この送受信装置を、あらゆる空間方向に向けることが可能である。
【0025】
このような種類の伝送ユニット1を介して、コンピュータ3は、もう一方の伝送ユニットへのデータ接続を確立することができ、この場合、データは、変調された可視光によって光データネットワークの中で伝送される。その際、伝送ユニット1の送信ダイオード12は、変調された高周波光パルスを発信するために働き、受信機13は、もう一方の伝送ユニットの高周波光パルスを受信するために働く。送信又は受信されたデータは、データインタフェース6を介してコンピュータ3に転送される。このデータインタフェース6は、例えば標準USB(汎用シリアル・バス)に相当する。しかし、コンピュータ3へのデータ伝送には、例えば、eSATA(エクスターナル・シリアル・アドバンスド・テクノロジー・アタッチメント)インタフェース、又はLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)インタフェースなどのその他の標準バスも考えられる。
【0026】
伝送ユニット1の受信機13は、周辺における光信号強度を検出するために、例えば光ダイオード又は光トランジスタを有しているため、空間内のもう一方の伝送ユニットの変調された光信号を検知することができる。受信された信号は電気信号に変換され、必要に応じて、例えばノイズの抑制又は周波数に依存した信号振幅の強化など、信号処理のさらなる処置によって処理される。そして、この場合、結果として生じる信号強度は、伝送ユニット1のインジケータ7に表示することができる。このインジケータ7は、信号のクオリティをバー表示するために、例えば複数の光ダイオードを有することができる。特に、例えば送信性能又はデータネットワークのパラメータなど、その他の情報を表示するデジタルインジケータも考えられる。
【0027】
ユーザーは、インジケータ7によって、受信機13を介し検知された空間内の信号強度をモニターし、表示された信号強度が最終的に最大に達するまで、スワンネック8で伝送ユニット1の位置を空間内において調整することができる。このことによって、空間内のもう一方の伝送ユニットへ光データ接続を確立するための最適な信号クオリティが保障される。検知された最大信号は、この場合、必ずしももう一方の伝送ユニットから照射される光度のメインローブでなくてもよい。空間内においては反射があることから、同様に高い信号クオリティが保証される、1つ又は複数の信号強度のサイドローブを検出することも可能である。送信ダイオード12及び受信機13の位置調整の後、コンピュータ3は、光を発信する送信ダイオード12を介して、変調された光パルスの形で、データをもう一方の伝送ユニットに送信し、また、この光パルスによって受信機13を介しデータを検知し、受信データとして処理及び再加工することができる。コンピュータ3が、その位置を変更した場合、インジケータ7が信号の変化に追従し、ユーザーは、必要に応じてスワンネック8を使って、送信ダイオード12及び受信機13の位置を再調節することができる。
【0028】
図2は、図1による伝送ユニット1を備えるコンピュータ3の一部と、例えばオフィス空間の壁又は天井に取り付けることのできるもう一方の伝送ユニット2の配置を示している。伝送ユニット1は、その送信ダイオード12と受信機13とが、スワンネック8によって、空間内のもう一方の伝送ユニット2の送信ダイオード22及び受信機23の見通し線の方向に向けられている。もう一方の伝送ユニット2は、例えば空間の天井灯に組み込むことができるため、空間の照明がオンになっている場合、この伝送ユニットは持続的に光パルスを発信している。これらの光パルスは、コンピュータ3に接続されている伝送ユニット1の受信機13によって受信され、その光度は、信号処理の後、インジケータ7で見ることができるようになる。
【0029】
もう一方の伝送ユニット2から照射されている光信号の最大方向に伝送ユニット1が最適に位置調整されると、伝送ユニット1からもう一方の伝送ユニット2に対するコンピュータ3の光データ接続が可能となる。この場合、コンピュータ3が送信するデータは、伝送ユニット1の送信ダイオード12によって光の変調信号に変換され、もう一方の伝送ユニット2の受信機23に送られる。もう一方の伝送ユニット2は、適用される伝送プロトコルに応じて、同時に、又は受信機23を介してデータを受信した後で時間をずらして、別のデータを変調された光パルスの形で、送信ダイオード22を介し伝送ユニット1の受信機13に伝送することができ、その場合、受信されたデータは、データインタフェース6を介してコンピュータ3に伝達される。
【0030】
このように、伝送ユニット1のスワンネック8をインジケータ7と組み合わせることにより、最適な信号クオリティによるデータ接続を確立することができるため、空間内の送信ダイオード12と受信機13を簡単かつ迅速に位置調整することができる。
【0031】
図3は、第2の実施形態での伝送ユニット1を備えるコンピュータ3の一部と、もう一方の伝送ユニット2の配置を示している。第2の実施形態における伝送ユニット1は、第1の実施形態と同様に、データケーブルを介してコンピュータ3のデータインタフェース6に接続可能である。図1及び2に示す第1の実施形態と異なり、第2の実施形態における伝送ユニット1の送信ダイオード12と受信機13とは、2つの回転軸X及びYを中心に旋回可能に支持されている。同時に、この伝送ユニット1は、信号クオリティ及びその他の接続パラメータを表示するためのインジケータ7も有している。ユーザーは、もう一方の伝送ユニット2に伝送ユニット1の位置を合わせるために、X軸及びY軸に関して送信ダイオード12と受信機13とを旋回させることができ、その際、受信機13によって受信された信号強度は、インジケータ7によって表示される。これによって、ユーザーは、伝送ユニットが受信した信号強度が最大となる、空間内における位置を検知することができる。そして、伝送ユニット1がもう一方の伝送ユニット2へのデータ接続を構築するために最適に位置調整されるように、ユーザーは手動で送信ダイオード12と受信機13の向きを調整することができる。
【0032】
同様に、図3に示されている実施形態の場合において、送信ダイオード12と受信機13とを備える伝送ユニット1が、自動的にもう一方の伝送ユニット2の方へ向くように位置調整されることが考えられる。この場合、最適な信号強度の検出には様々な方法がある。例えば、伝送ユニット1が、まず所定の複数の空間方向で信号強度を測定し、続いて、最大の信号強度が検知された角度位置の方へ向くように位置調整することが考えられる。これと並行して、又はこの方法に続いて、例えば、最急降下法を用いることができる。この場合、送信ダイオード12と受信機13の位置は、回転軸X及びYに関して1つの微分値の分だけ変更され、引き続きその位置は、信号強度の最も急激な上昇方向に修正される。これによって、送信ダイオード12と受信機13とを、最大信号の方へ最適に位置調整することができる。伝送ユニット1がもう一方の伝送ユニット2の方へ位置調整されると、最後に伝送ユニット1は、伝送ユニット2への接続を構築する。
【0033】
例えば空間内で位置が変更された後、最大信号に従って伝送ユニット1の位置を再調整するため、もう一方の伝送ユニット2に接続している間も、継続的に又は設定時間を経過した後も、このような最急下降法を行うということも考えられる。これによって、どの時点でも最適な接続クオリティが保証されることになる。伝送ユニット1の位置を自動調整する場合、インジケータ7は直接必要ではなくなるが、ユーザーによるチェックのために、適切に用いることができる。
【0034】
図4aは、伝送ユニット1の第1の作動状態における、伝送ユニット1ともう一方の伝送ユニット2の配置を示している。もう一方の伝送ユニット2は、例えば空間の天井灯に組み込まれており、2つの点線の矢印で示されている特定の放射角度で送信ダイオード22の可視光を継続的に空間に送信している。伝送ユニット1は、その送信ダイオード12と受信機13とによって、2つの回転軸X及びYを中心に旋回可能に支持されている。図4aによる作動状態においては、伝送ユニット1の送信ダイオード12と受信機13とが垂直に向けられており、この場合、送信ダイオード12の放射される光パルスは空間内に放射され、もう一方の伝送ユニット2の受信機23は、これを不完全にしか検出することができない。この作動状態においては、極めて粗悪な信号クオリティでのデータ接続しかできないか、又は状況によっては接続が全く不可能である。このことは、信号クオリティを良くするために、伝送ユニット1をもう一方の送信ユニット2の方へ向くように位置調整しなければならないことを意味する。
【0035】
図4bは、送信ダイオード12と受信機13とを、もう一方の伝送ユニット2の方へ向くように自動調整した後の伝送ユニット1の第2の作動状態を示している。この場合、送信ダイオード12と受信機13とは、もう一方の伝送ユニット2の送信ダイオード22及び受信機23を直接見通せるように、回転軸X及びYに関して旋回した。この場合、自動位置調整は、1つ又は複数の電気駆動によって行われ、この電気駆動が伝送ユニット1を回転軸X及びYを中心に旋回させる。その際、最大値のサーチは、前述の方法に従って行われる。図4bにおいては、伝送ユニット1の送信ダイオード12が、受信機23に可視光を送ることができる。また、反対方向では、受信機13が送信ダイオード22によって放射された光信号を検知する。もう一方の伝送ユニット2に対する伝送ユニット1の自動位置調整によって、伝送ユニット1と2との間における光データ接続構築のための最適な信号強度の検出が、簡単かつ迅速に行えるようになる。ここではまた、送信ダイオード12と受信機13とが、最急降下法を用いて継続的に、又は伝送ユニット1の位置が空間内で変更された場合は設定時間の経過後も、空間内の最大信号の方向に調整されることも考えられる。同様に、伝送ユニット1が、メインローブ、すなわち第2の伝送ユニット2を直接的に見通せる方向ではなく、空間内の反射によって生じるサイドローブの方へ向くように位置調整されることも考えられる。
【0036】
さらに、図に示されていない実施形態では、伝送ユニット1を、ウェブカムのように、持ち運び可能な又はデスクトップコンピュータシステムのモニターに組み込むことができる。空間内のもう一方の伝送ユニット2への位置調整は、この場合、手動又は自動で行うことができ、その場合、伝送ユニットは、任意の回転軸を中心に空間内で旋回することができる。この場合、回転軸は必ずしも互いに直交して配置されていなくてもよい。
【0037】
さらに考えられる実施形態においては、測定された最大の信号強度が所定の限界値を超過した場合に、伝送ユニット1が警告信号を送信するようになっている。これに対する代替又はこれと組み合わせる形で、測定された最大の信号強度が所定の限界値を超過している場合、伝送ユニット1は、もう一方の伝送ユニット2への前述の位置調整手順を繰り返すことができる。
【0038】
両方の伝送ユニット1及び2の位置調整及び照射特性は、指向性を持つ形態又は拡散性を持つ形態で構成することができる。しかし、指向性を持つ場合には、光データネットワーク内におけるデータ送受信のために必要なエネルギー消費量がより少ない。公開された本発明により、空間内における伝送ユニットの位置調整が迅速、簡単、効率的に行えるため、もう一方の伝送ユニットへの最適なデータ接続を、空間内で確実に実施できるようなる。そのために、もう一方の伝送ユニットの正確な位置は必要ない。
【0039】
伝送ユニット1を最大信号が検知された方向に向くように自動的に位置調整するために、例えば、最急下降法、ニュートン法及びその他の静的又は動的最適化法など、最大値をサーチするための方法を使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1、2 伝送ユニット
3 コンピュータ
4 ディスプレイ
5 キーボード
6 データインタフェース
7 インジケータ
8 スワンネック
12、22 送信ダイオード
13、23 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ダイオード(12、22)の変調された可視光を介して、データを無線で受信機(13、23)に伝送可能である、光データネットワークにおけるデータ伝送のための伝送ユニット(1)であって、
もう一方の伝送ユニット(2)のデータを受信するために、少なくとも1つの受信機(13)と、
コンピュータシステム(3)に接続するためのデータインタフェース(6)と、を備え、
少なくとも1つの前記受信機(13)を、該受信機(13)によって測定された信号強度に応じて、もう一方の前記伝送ユニット(2)の方へ位置調整することができるように設置されている、
ことを特徴とする伝送ユニット(1)。
【請求項2】
柔軟なスワンネック(8)をさらに備え、
前記スワンネック(8)の一方の端部に、前記コンピュータシステム(3)に接続するための前記データインタフェース(6)が配置されており、前記スワンネック(8)のもう一方の末端部に、前記受信機(13)及び必要に応じて前記送信ダイオード(12)が配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送ユニット(1)。
【請求項3】
送信ダイオード(12、22)の変調された可視光を介して、データを無線で受信機(13、23)に伝送可能である、光データネットワークにおけるデータ伝送のための伝送ユニット(1)の位置調整方法であって、
前記受信機(13)と、必要に応じ前記送信ダイオード(12)と、を備える前記伝送ユニット(1)が、もう一方の伝送ユニット(2)への接続を確立するか、又は維持しなければならない場合に、前記受信機(13)によって測定された信号強度に応じて、自動的にもう一方の前記伝送ユニット(2)の方へ位置調整され、前記伝送ユニット(1)が、複数の所定の空間方向で前記信号強度を前記受信機(13)によって測定し、続いて、もっとも強い前記信号強度が測定された角度位置をとる、
ことを特徴とする位置調整方法。
【請求項4】
前記伝送ユニット(1)は、前記受信機(13)を介して、第1の回転方向及び該第1の回転方向に垂直な第2の回転方向において前記信号強度の変化を検知し、該信号強度の急激な上昇方向に応じて、前記伝送ユニット(1)の位置を修正する、
ことを特徴とする請求項3に記載の位置調整方法。
【請求項5】
前記伝送ユニット(1)が、第1の回転軸(X)を中心に旋回を行い、続いて、前記第1の回転軸(X)に関してもっとも強い前記信号強度が測定された角度位置をとり、次に、前記第1の回転軸(X)に対して垂直な少なくとも1つの第2の回転軸(Y)を中心に旋回を行い、続いて、前記第2の回転軸(Y)に関してもっとも強い前記信号強度が測定された角度位置をとる、
ことを特徴とする請求項3に記載の位置調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate


【公開番号】特開2010−213276(P2010−213276A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49728(P2010−49728)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(509333830)フジツウ テクノロジー ソリューションズ インテレクチュアル プロパティ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】