説明

光ピックアップ及びディスクドライブ装置

【課題】配置の自由度を確保した上で良好なサーボ特性を確保する。
【解決手段】移動ベースに固定された固定ブロック9と、対物レンズ12と、該対物レンズを保持するレンズホルダー11とを有すると共に、固定ブロック9とディスク状記録媒体100の記録面との距離を、可動ブロック10とディスク状記録媒体100の記録面との距離より大きくし、複数の支持バネ14,14,・・・をディスク状記録媒体100の記録面に対して傾斜させ、複数の支持バネ14,14,・・・の長手方向を、フォーカス動作においてフォーカス用磁気回路18に発生する可動ブロック10に対する推力の方向に直交し、かつ、トラッキング動作においてトラッキング用磁気回路に発生する可動ブロックに対する推力の方向に直交する方向とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ピックアップ及びディスクドライブ装置に関する。詳しくは、固定ブロックと可動ブロックを連結する支持バネの長手方向を所定の方向に設定して配置の自由度を確保した上で良好なサーボ特性を確保する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクや光磁気ディスク等のディスク状記録媒体に対して情報信号の記録や再生を行うディスクドライブ装置があり、このようなディスクドライブ装置には、ディスク状記録媒体の半径方向へ移動され該ディスク状記録媒体に対してレーザー光を照射する光ピックアップが設けられている。
【0003】
光ピックアップはディスク状記録媒体の半径方向へ移動される移動ベースと該移動ベースに形成された配置凹部に配置された対物レンズ駆動装置とを有している。対物レンズ駆動装置は、固定ブロックと該固定ブロックに金属製のワイヤー等の支持バネを介して支持された可動ブロックとを有している。
【0004】
光ピックアップにあっては、対物レンズを有する可動ブロックを固定ブロックに対してディスク状記録媒体の記録面に離接する方向であるフォーカス方向へ動作させてフォーカス調整を行うと共に可動ブロックを固定ブロックに対してディスク状記録媒体の略半径方向であるトラッキング方向へ動作させてトラッキング調整を行い、対物レンズを介してディスク状記録媒体に照射されるレーザー光のスポットがディスク状記録媒体の記録トラックに集光されるようにしている。
【0005】
このような光ピックアップにあっては、衝撃の発生時における支持バネの変形の防止等を図るために可動ブロック以外の部分をカバーによって閉塞することが望ましいが、他の部品の配置等によりカバーを配置するための十分なスペースを確保することができない場合がある。特に、薄型化を必要とする光ピックアップにあっては、ディスク状記録媒体と対物レンズ駆動装置との距離を小さくする必要があり、カバーを配置するためのスペースを確保し難い。
【0006】
このような不具合を解消するために、従来の光ピックアップには、固定ブロックを可動ブロックよりディスク状記録媒体に対して離隔して配置し、固定ブロックと可動ブロックを連結する支持バネをディスク状記録媒体に対して傾斜して配置しカバーの配置スペースを確保するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2006−66016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に記載された光ピックアップにあっては、図4に示すように、対物レンズ駆動装置aにおいて、フォーカス動作時に可動ブロックbに対してフォーカス用磁気回路cにおいて発生する推力Pの方向がディスク状記録媒体dの記録面に対して直交する方向とされているが、固定ブロックeと可動ブロックbを連結する支持バネf、f、・・・の長手方向が、推力Pの方向に直交する方向(タンジェンシャル方向)に対して傾斜する方向とされている。
【0009】
従って、フォーカス動作時において、推力Pの分力として支持バネf、f、・・・の長手方向に力Paが発生してしまう。力Paはフォーカス動作には不必要な支持バネf、f、・・・が伸縮する方向の力であり、フォーカス動作時に、この伸縮方向における不必要な振動モードが励起されてしまい、フォーカス動作に悪影響を及ぼすと言う問題がある。
【0010】
そこで、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置は、上記した問題点を克服し、配置の自由度を確保した上で良好なサーボ特性を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
光ピックアップ及びディスクドライブ装置は、上記した課題を解決するために、対物レンズ駆動装置に、移動ベースに固定された固定ブロックと、対物レンズと該対物レンズを保持するレンズホルダーとを有すると共に固定ブロックに対してディスク状記録媒体の記録面に離接する方向であるフォーカス方向及びディスク状記録媒体の略半径方向であるトラッキング方向へ動作される可動ブロックと、固定ブロックと可動ブロックを連結する複数の支持バネと、可動ブロックをフォーカス方向へ動作させフォーカス用コイルとフォーカス用マグネットを有するフォーカス用磁気回路と、可動ブロックをトラッキング方向へ動作させトラッキング用コイルとトラッキング用マグネットを有するトラッキング用磁気回路とを設け、固定ブロックとディスク状記録媒体の記録面との距離を可動ブロックとディスク状記録媒体の記録面との距離より大きくし、複数の支持バネをディスク状記録媒体の記録面に対して傾斜させ、複数の支持バネの長手方向を、フォーカス動作においてフォーカス用磁気回路に発生する可動ブロックに対する推力の方向に直交し、かつ、トラッキング動作においてトラッキング用磁気回路に発生する可動ブロックに対する推力の方向に直交する方向としたものである。
【0012】
従って、光ピックアップ及びディスクドライブ装置にあっては、フォーカス動作時にフォーカス用磁気回路に発生する推力の分力としての支持バネが伸縮する方向における力が発生しない。
【発明の効果】
【0013】
本発明光ピックアップは、ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動される移動ベースと該移動ベースに配置された対物レンズ駆動装置とを備えると共に上記ディスクテーブルに装着された上記ディスク状記録媒体に対してレーザー光を照射する光ピックアップであって、上記対物レンズ駆動装置は、上記移動ベースに固定された固定ブロックと、上記対物レンズと該対物レンズを保持するレンズホルダーとを有すると共に上記固定ブロックに対して上記ディスク状記録媒体の記録面に離接する方向であるフォーカス方向及び上記ディスク状記録媒体の略半径方向であるトラッキング方向へ動作される可動ブロックと、上記固定ブロックと上記可動ブロックを連結する複数の支持バネと、上記可動ブロックを上記フォーカス方向へ動作させフォーカス用コイルとフォーカス用マグネットを有するフォーカス用磁気回路と、上記可動ブロックを上記トラッキング方向へ動作させトラッキング用コイルとトラッキング用マグネットを有するトラッキング用磁気回路とを備え、上記固定ブロックと上記ディスク状記録媒体の記録面との距離が上記可動ブロックと上記ディスク状記録媒体の記録面との距離より大きくされ、上記複数の支持バネがディスク状記録媒体の記録面に対して傾斜され、上記複数の支持バネの長手方向が、フォーカス動作において上記フォーカス用磁気回路に発生する上記可動ブロックに対する推力の方向に直交し、かつ、トラッキング動作において上記トラッキング用磁気回路に発生する上記可動ブロックに対する推力の方向に直交する方向とされたことを特徴とする。
【0014】
従って、フォーカス動作時において、可動ブロックに対してフォーカス用磁気回路に発生する推力が分力として支持バネの長手方向に発生することがなく、支持バネが伸縮する方向における不必要な振動モードが励起されず、固定ブロックの配置の自由度を確保した上で良好なサーボ特性を確保することができる。
【0015】
請求項2に記載した発明にあっては、上記可動ブロックのレンズホルダーにおけるディスク状記録媒体の記録面に対向して位置される面を記録面に平行とし、上記固定ブロックのディスク状記録媒体の記録面に対向して位置される面を記録面に平行としたので、対物レンズ駆動装置を配置するためのスペースが最小限で済み、光ピックアップの小型化を図ることができる。
【0016】
本発明ディスクドライブ装置は、ディスク状記録媒体が装着されるディスクテーブルと該ディスクテーブルに装着される上記ディスク状記録媒体に対して対物レンズを介してレーザー光を照射する光ピックアップとを備え、該光ピックアップは上記ディスクテーブルに装着される上記ディスク状記録媒体の半径方向へ移動される移動ベースと該移動ベースに配置された対物レンズ駆動装置とを有するディスクドライブ装置であって、上記対物レンズ駆動装置は、上記移動ベースに固定された固定ブロックと、上記対物レンズと該対物レンズを保持するレンズホルダーとを有すると共に上記固定ブロックに対して上記ディスク状記録媒体の記録面に離接する方向であるフォーカス方向及び上記ディスク状記録媒体の略半径方向であるトラッキング方向へ動作される可動ブロックと、上記固定ブロックと上記可動ブロックを連結する複数の支持バネと、上記可動ブロックを上記フォーカス方向へ動作させフォーカス用コイルとフォーカス用マグネットを有するフォーカス用磁気回路と、上記可動ブロックを上記トラッキング方向へ動作させトラッキング用コイルとトラッキング用マグネットを有するトラッキング用磁気回路とを備え、上記固定ブロックと上記ディスク状記録媒体の記録面との距離が上記可動ブロックと上記ディスク状記録媒体の記録面との距離より大きくされ、上記複数の支持バネがディスク状記録媒体の記録面に対して傾斜され、上記複数の支持バネの長手方向が、フォーカス動作において上記フォーカス用磁気回路に発生する上記可動ブロックに対する推力の方向に直交し、かつ、トラッキング動作において上記トラッキング用磁気回路に発生する上記可動ブロックに対する推力の方向に直交する方向とされたことを特徴とする。
【0017】
従って、フォーカス動作時において、可動ブロックに対してフォーカス用磁気回路に発生する推力が分力として支持バネの長手方向に発生することがなく、支持バネが伸縮する方向における不必要な振動モードが励起されず、固定ブロックの配置の自由度を確保した上で良好なサーボ特性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置の最良の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
ディスクドライブ装置1は、外筐2内に所要の各部材及び各機構が配置されて成り(図1参照)、外筐2には図示しないディスク挿入口が形成されている。
【0020】
外筐2内には図示しないシャーシが配置され、該シャーシに取り付けられたスピンドルモーターのモーター軸にディスクテーブル3が固定されている。
【0021】
シャーシには、平行なガイド軸4、4が取り付けられると共に図示しない送りモーターによって回転されるリードスクリュー5が支持されている。
【0022】
光ピックアップ6は、移動ベース7と該移動ベース7に設けられた所要の光学部品と移動ベース7上に配置された対物レンズ駆動装置8とを有し、移動ベース7の両端部に設けられた軸受部7a、7bがそれぞれガイド軸4、4に摺動自在に支持されている。
【0023】
移動ベース7に設けられた図示しないナット部材がリードスクリュー5に螺合され、送りモーターによってリードスクリュー5が回転されると、ナット部材がリードスクリュー5の回転方向へ応じた方向へ送られ、光ピックアップ6がディスクテーブル3に装着されたディスク状記録媒体100の半径方向(ラジアル方向)へ移動される。
【0024】
対物レンズ駆動装置8は固定ブロック9と該固定ブロック9に対して動作される可動ブロック10とを有し、移動ベース7に形成された配置凹部7cに配置されている(図1及び図2参照)。
【0025】
固定ブロック9と可動ブロック10はディスク状記録媒体100の記録トラックの接線方向(タンジェンシャル方向)に離隔して配置されている。
【0026】
固定ブロック9は移動ベース7に固定されている。固定ブロック9は、図2に示すように、可動ブロック10よりディスク状記録媒体100の記録面に対して離隔した位置に配置され、上面9aが可動ブロック10の上面より下方に位置されている。固定ブロック9の上面9aはディスク状記録媒体100の記録面に平行とされている。
【0027】
可動ブロック10はレンズホルダー11に所要の各部が取り付けられて成る。レンズホルダー11の上面11aには対物レンズ12、12が取り付けられている。レンズホルダー11は上面11aがディスク状記録媒体100の記録面と平行に位置され、後面11bが上面11aに対して90°より角度θだけ鋭角な向きとされている。
【0028】
レンズホルダー11の後面11bにはフォーカス用コイル13、図示しないトラッキング用コイル及び図示しないチルト用コイルが取り付けられている。
【0029】
可動ブロック10は固定ブロック9に、例えば、三対の支持バネ14、14、・・・によって連結され該支持バネ14、14、・・・によって中空に保持されている。支持バネ14、14、・・・は、固定ブロック9と可動ブロック10を連結する方向、即ち、長手方向が、水平方向に対して角度θ前上がりに傾斜した方向とされている。
【0030】
支持バネ14、14、・・・は導電性金属材料によって、例えば、ワイヤー状に形成されている。対物レンズ駆動装置8にあっては、図示しない電源回路から支持バネ14、14、・・・を介してそれぞれフォーカス用コイル13、トラッキング用コイル及びチルト用コイルに駆動電流が供給される。
【0031】
移動ベース7の配置凹部7aにはベース板15が配置されている。ベース板15は水平方向に対して角度θ前上がりに傾斜した状態で配置されている。
【0032】
ベース板15には磁性金属材料によって形成されたヨーク部材16が取り付けられている。ヨーク部材16はベース板15に取り付けられたベース部16aと該ベース部16aに対して直交する複数のヨーク部16b、16b、・・・(図2に一つのみ示す。)とを有している。
【0033】
ヨーク部16b、16b、・・・の前面にはそれぞれマグネット17、17、・・・が取り付けられている。ヨーク部16b、16b、・・・及びマグネット17、17、・・・は、フォーカス用コイル13、トラッキング用コイル及びチルト用コイルに平行に位置され、マグネット17、17、・・・がそれぞれフォーカス用コイル13、トラッキング用コイル及びチルト用コイルに対向して位置されている。
【0034】
フォーカス用コイル13と該フォーカス用コイル13に対向して位置されたマグネット17と該マグネット17が取り付けられたヨーク部16bとによってフォーカス用磁気回路18が構成され、トラッキング用コイルと該トラッキング用コイルに対向して位置されたマグネット17と該マグネット17が取り付けられたヨーク部16bとによってトラッキング用磁気回路が構成され、チルト用コイルと該チルト用コイルに対向して位置されたマグネット17と該マグネット17に取り付けられたヨーク部16bとによってチルト用磁気回路が構成される。
【0035】
上記したように、支持バネ14、14、・・・は長手方向が水平方向に対して角度θ傾斜した方向とされており、フォーカス用磁気回路18を構成するフォーカス用コイル13、マグネット17及びヨーク部16bは垂直方向に対して角度θ傾斜した状態とされている。従って、支持バネ14、14、・・・の長手方向は、フォーカス動作においてフォーカス用磁気回路18に発生する上記可動ブロック10に対する推力の方向(図2に示すF方向)に直交し、かつ、トラッキング動作においてトラッキング用磁気回路に発生する可動ブロック10に対する推力の方向(左右方向)に直交する方向とされている。
【0036】
図示しない電源回路からフォーカス用コイル13、トラッキング用コイル又はチルト用コイルに駆動電流が供給されると、これらの駆動電流の向きと各マグネット17、17、・・・により発生する磁束の方向とに応じた向きの力が発生し、可動ブロック10がフォーカス方向、トラッキング方向又はチルト方向へ動作される。
【0037】
フォーカス方向はディスク状記録媒体100に離接する方向(図2に示すF方向)、即ち、上下方向に対して角度θ傾斜した方向であり、トラッキング方向はディスク状記録媒体100の半径方向、即ち、左右方向であり、チルト方向は前後方向に延びる軸を中心とした軸回り方向である。
【0038】
可動ブロック10がフォーカス方向、トラッキング方向又はチルト方向へ動作されるときには、支持バネ14、14、・・・が弾性変形される。
【0039】
以上のようにして構成されたディスクドライブ装置1において、スピンドルモーターの回転に伴ってディスクテーブル3が回転されると、該ディスクテーブル3に装着されたディスク状記録媒体100が回転され、同時に、光ピックアップ6がディスク状記録媒体100の半径方向へ移動されて該ディスク状記録媒体100に対する記録動作又は再生動作が行われる。
【0040】
この記録動作及び再生動作において、フォーカス用コイル13に駆動電流が供給されると、上記したように、対物レンズ駆動装置8の可動ブロック10が固定ブロック9に対して図2に示すフォーカス方向F−Fへ動作され、対物レンズ12、12を介して照射されるレーザー光のスポットがディスク状記録媒体100の記録面に集光するようにフォーカス調整が行われる。
【0041】
また、トラッキング用コイルに駆動電流が供給されると、上記したように、対物レンズ駆動装置8の可動ブロック10が固定ブロック9に対してトラッキング方向へ動作され、対物レンズ12、12を介して照射されるレーザー光のスポットがディスク状記録媒体100の記録トラック上に集光するようにトラッキング調整が行われる。
【0042】
さらに、チルト用コイルに駆動電流が供給されると、上記したように、対物レンズ駆動装置8の可動ブロック10が固定ブロック9に対してチルト方向へ動作され、対物レンズ12、12を介して照射されるレーザー光の光軸がディスク状記録媒体100の記録面に垂直となるようにチルト調整が行われる。
【0043】
光ピックアップ6にあっては、上記したように、固定ブロック9が可動ブロック10よりディスク状記録媒体100の記録面から離隔した位置にあり、支持バネ14、14、・・・がディスク状記録媒体100の記録面に対して傾斜されているが、フォーカス方向Fと支持バネ14、14、・・・の長手方向とが直交するようにされている。従って、固定ブロック9を可動ブロック10よりディスク状記録媒体100の記録面から離隔した位置に配置して支持バネ14、14、・・・を傾斜させた状態としたにも拘わらず、フォーカス動作時において、可動ブロック10に対してフォーカス用磁気回路18に発生する推力が分力として支持バネ14、14、・・・の長手方向に発生することがなく、支持バネ14、14、・・・が伸縮する方向における不必要な振動モードが励起されず、固定ブロック9の配置の自由度を確保した上で良好なサーボ特性を確保することができる。
【0044】
上記のように、固定ブロック9を可動ブロック10より下方へ配置することにより、対物レンズ駆動装置8における可動ブロック10以外の部分をカバーによって上方から閉塞することが可能であり、衝撃の発生時における支持バネ14、14、・・・の変形の防止等を図ることができる。
【0045】
尚、光ピックアップ6にあっては、フォーカス方向Fと支持バネ14、14、・・・の長手方向が直交するため、角度θの大きさに拘わらず、フォーカス動作時において、可動ブロック10に対してフォーカス用磁気回路18に発生する推力が分力として支持バネ14、14、・・・の長手方向に発生しないため、角度θを任意に設定することができる。
【0046】
また、光ピックアップ6にあっては、可動ブロック10のレンズホルダー11の上面11aをディスク状記録媒体100の記録面に平行とし、固定ブロック9の上面9aをディスク状記録媒体100の記録面に平行としているため、ディスク状記録媒体100の下方における対物レンズ駆動装置8を配置するためのスペースが最小限で済み、光ピックアップ6の小型化を図ることができる。
【0047】
さらに、可動ブロック10のレンズホルダー11の上面11aをディスク状記録媒体100の記録面に平行とすることにより、対物レンズ12、12を介してディスク状記録媒体100の記録面に照射されるレーザー光の光軸がフォーカス方向へ動作される前の中立位置においてディスク状記録媒体100の記録面に対して直交されるため、レーザー光の光軸調整の容易化を図ることができる。
【0048】
対物レンズ駆動装置8の移動ベース7に対する組付は、例えば、以下のようにして行われる。
【0049】
先ず、移動ベース7の配置凹部7aに、対物レンズ駆動装置8が配置されたベース板15を水平な状態で配置する(図3参照)。このとき、可動ブロック10のレンズホルダー11の上面11a及び固定ブロック9の上面9aは水平面に対して角度θ前下がりの状態で傾斜されている。従って、支持バネ14、14、・・・は長手方向が水平方向に一致されている。
【0050】
次に、対物レンズ駆動装置8が配置されたベース板15を角度θだけ前上がりに傾斜させる(図2参照)。ベース板15を角度θ傾斜させることにより、レンズホルダー11の上面11a及び固定ブロック9の上面9aが水平となり、支持バネ14、14、・・・が水平方向に対して角度θ傾斜される。
【0051】
上記には、フォーカス方向を上下方向、トラッキング方向を左右方向、タンジェンシャル方向を前後方向として説明したが、これらの方向は説明の便宜上、例として示したものであり、特にこれらの方向に限定されることはない。
【0052】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図2及び図3と共に本発明光ピックアップ及びディスクドライブ装置を実施するための最良の形態を示すものであり、本図はディスクドライブ装置の概略斜視図である。
【図2】対物レンズ駆動装置の概略側面図である。
【図3】傾斜される前の状態を示す対物レンズ駆動装置の概略側面図である。
【図4】従来の対物レンズ駆動装置を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…ディスクドライブ装置、3…ディスクテーブル、6…光ピックアップ、7…移動ベース、8…対物レンズ駆動装置、9…固定ブロック、10…可動ブロック、11…レンズホルダー、12…対物レンズ、13…フォーカス用コイル、14…支持バネ、17…マグネット、18…フォーカス用磁気回路、100…ディスク状記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクテーブルに装着されるディスク状記録媒体の半径方向へ移動される移動ベースと該移動ベースに配置された対物レンズ駆動装置とを備えると共に上記ディスクテーブルに装着された上記ディスク状記録媒体に対してレーザー光を照射する光ピックアップであって、
上記対物レンズ駆動装置は、
上記移動ベースに固定された固定ブロックと、
上記対物レンズと該対物レンズを保持するレンズホルダーとを有すると共に上記固定ブロックに対して上記ディスク状記録媒体の記録面に離接する方向であるフォーカス方向及び上記ディスク状記録媒体の略半径方向であるトラッキング方向へ動作される可動ブロックと、
上記固定ブロックと上記可動ブロックを連結する複数の支持バネと、
上記可動ブロックを上記フォーカス方向へ動作させフォーカス用コイルとフォーカス用マグネットを有するフォーカス用磁気回路と、
上記可動ブロックを上記トラッキング方向へ動作させトラッキング用コイルとトラッキング用マグネットを有するトラッキング用磁気回路とを備え、
上記固定ブロックと上記ディスク状記録媒体の記録面との距離が上記可動ブロックと上記ディスク状記録媒体の記録面との距離より大きくされ、
上記複数の支持バネがディスク状記録媒体の記録面に対して傾斜され、
上記複数の支持バネの長手方向が、フォーカス動作において上記フォーカス用磁気回路に発生する上記可動ブロックに対する推力の方向に直交し、かつ、トラッキング動作において上記トラッキング用磁気回路に発生する上記可動ブロックに対する推力の方向に直交する方向とされた
ことを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
上記可動ブロックのレンズホルダーにおけるディスク状記録媒体の記録面に対向して位置される面を記録面に平行とし、
上記固定ブロックのディスク状記録媒体の記録面に対向して位置される面を記録面に平行とした
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
【請求項3】
ディスク状記録媒体が装着されるディスクテーブルと該ディスクテーブルに装着される上記ディスク状記録媒体に対して対物レンズを介してレーザー光を照射する光ピックアップとを備え、該光ピックアップは上記ディスクテーブルに装着される上記ディスク状記録媒体の半径方向へ移動される移動ベースと該移動ベースに配置された対物レンズ駆動装置とを有するディスクドライブ装置であって、
上記対物レンズ駆動装置は、
上記移動ベースに固定された固定ブロックと、
上記対物レンズと該対物レンズを保持するレンズホルダーとを有すると共に上記固定ブロックに対して上記ディスク状記録媒体の記録面に離接する方向であるフォーカス方向及び上記ディスク状記録媒体の略半径方向であるトラッキング方向へ動作される可動ブロックと、
上記固定ブロックと上記可動ブロックを連結する複数の支持バネと、
上記可動ブロックを上記フォーカス方向へ動作させフォーカス用コイルとフォーカス用マグネットを有するフォーカス用磁気回路と、
上記可動ブロックを上記トラッキング方向へ動作させトラッキング用コイルとトラッキング用マグネットを有するトラッキング用磁気回路とを備え、
上記固定ブロックと上記ディスク状記録媒体の記録面との距離が上記可動ブロックと上記ディスク状記録媒体の記録面との距離より大きくされ、
上記複数の支持バネがディスク状記録媒体の記録面に対して傾斜され、
上記複数の支持バネの長手方向が、フォーカス動作において上記フォーカス用磁気回路に発生する上記可動ブロックに対する推力の方向に直交し、かつ、トラッキング動作において上記トラッキング用磁気回路に発生する上記可動ブロックに対する推力の方向に直交する方向とされた
ことを特徴とするディスクドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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